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C ベントナイト 加熱温度

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Academic year: 2022

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(1)

短期間の温度履歴を受けたベントナイトの膨潤圧特性に関する実験的調査

茨城大学 学生会員 ○大橋 良哉,正会員 小峯 秀雄 フェロー会員 安原 一哉,正会員 村上 哲  

1.はじめに 

高レベル放射性廃棄物の処分施設において,オーバーパックと周辺岩盤との間の充填材料である「緩衝材」には,

膨潤性や低透水性等を有しているベントナイトの利用が検討されている.一方,高レベル放射性廃棄物からは崩壊 熱が発生し 1,その影響をベントナイトが受け緩衝材として要求される上記の性能の低下が懸念されている.そこ で本研究では,比較的短期間の温度履歴をベントナイトに与え,膨潤圧特性に対する実験的調査を行った.得られ た実験結果は,温度履歴を受けていない条件での結果と比較し,膨潤圧特性に及ぼす温度履歴の影響を把握した.

2.使用した試料 

茨城大学では,諸特性の異なる代表的なベントナイトとして,

A

Na

型,クニミネ工業・クニゲル

V1

),

B

Na

型,日商岩井 ベントナイト株式会社・ボルクレイ),

C

Ca

型,クニミネ工業・

クニボンド),

D

Na

交換型,クニミネ工業・ネオクニボンド),

E(Na

型,日商岩井ベントナイト株式会社・MX-80)を選定し ている 2.モンモリロナイト含有率と交換性陽イオンの種類・

組成に差異が認められる点から,これらを代表的なベントナイ トと選定した.本研究では,その内,

A

B

C

E

を選び実験 に供した.表

-1

に使用したベントナイトの基本的性質を示す.

3.温度履歴 

 ベントナイトを粉末状のまま温度

60

90

110

130

℃に設定 した乾燥炉に所定期間投入し温度履歴を受けた試料を作製した.

乾燥炉の設定温度は,高レベル放射性廃棄物からの崩壊熱の影 響によって,緩衝材内部の温度が

65

165

℃に達するという解 析結果 1を参考とした.表-2に,今回の温度履歴条件を示す.

各試料の含水比は実験直前に測定し,ベントナイト

A

4.81

10.36

%,

B

5.68

8.48

%,

C

6.05

15.9

%,

E

4.48

17.4

% であった.

4.膨潤圧実験 

 本実験では,ベントナイトが膨潤し体積変化をする際に,そ れを抑止するため必要な圧力を膨潤圧として測定した.図

-1

に 実験で使用した装置を示す.実験には,上下二方向からの静的 荷重によって締固めた供試体

(

直径

28mm

,高さ

10mm)

を用いた.

供試体を実験装置に設置し,ピストンと供試体上部を接触させ,

体積変化を抑止するためにクランプノブを固定した後,蒸留水 を供給し実験を開始した.供試体から発生する鉛直圧を膨潤圧

とし,その測定は蒸留水を供給する直前から経時的に7日間行った.実験終了後,供試体の含水比を測定し飽和度 を算出したところ,いずれも

110

139

%の範囲にあり,実験終了時点で飽和しているものと考えられる.

表‑1 使用したベントナイトの基本的性質 

ベントナイト A B C E

タイプ Na型 Na型 Ca型 Na型 土粒子密度(Mg/m3) 2.79 2.84 2.71 2.88 液性限界(%) 458.1 565 128.7 437.3 塑性限界(%) 23.7 47.2 38.4 38

液性指数 434.4 517.8 90.3 399.3

モンモリロナイト含有率(%) 57 71 84 80 陽イオン交換容量(meq./g) 0.732 1.007 0.796 1.104 交換性Naイオン量(meq/g) 0.405 0.556 0.119 0.624 交換性Caイオン量(meq/g) 0.287 0.293 0.585 0.429 交換性Kイオン量(meq/g) 0.009 0.016 0.019 0.24 交換性Mgイオン量(meq/g) 0.03 0.132 0.072 0.027

表‑2 実験を行った温度履歴条件 

28 60 120

A 60

130

B 130

60

130

E 130

C

ベントナイト 加熱温度(℃) 加熱期間(日)

 

ロ ー ド セ ル ベ ロ フ ラ ム シ リ ン ダ ー

変 位 計

供 試 体 直 径 : 2 8 m m 高 さ : 1 0 m m 蒸 留 水 ポ ー ラ ス メ タ ル

ス テ ン レ ス 製 リ ン グ 内 径 : 2 8 m m

高 さ : 5 0 m m ク ラ ン プ ノ ブ

図‑1 膨潤特性実験装置 

キーワード 高レベル放射性廃棄物,ベントナイト,温度履歴,膨潤圧特性 

連絡先 茨城大学工学部都市システム工学科 〒

316-8511

 茨城県日立市中成沢町

4-12-1

 

TEL0294-38-517

土木学会第59回年次学術講演会(平成16年9月)

‑509‑

3‑255

(2)

測定した膨潤圧は実験期間中でほ ぼ一定となり,その時の膨潤圧の最 大値を最大膨潤圧とし結果を整理し た.図

-2

に各ベントナイトの最大膨 潤圧と初期乾燥密度の関係を示す.

-2

より,ベントナイト

A

の初期乾 燥密度が高い条件に限って,温度履 歴を受けたベントナイトの最大膨潤 圧が若干高くなっていることが認め られるが,本研究では有意な差とは 考えなかった.その他のベントナイ トに関しては,温度履歴条件にかか わらず最大膨潤圧の差異は小さかっ た.以上のことから,今回の温度履 歴条件内では,ベントナイトの膨潤 圧特性に対する温度履歴の影響は極 めて小さいと考えられる.

本研究では温度履歴を受けたベン トナイトの膨潤圧実験を行ったが,

小峯らはベントナイト

A

に関して,鉛直圧

9.8kPa

下で膨潤変 形実験を行っている3.それによれば,加熱温度

110

℃以上,

加熱期間

1

年程度で膨潤変形特性が低下したと報告している.

さらに,膨潤変形特性が低下した原因のひとつに,ベントナ イトの交換性陽イオンが周辺の水に溶出することを挙げてい

る.本研究でも,実験終了後の供試体周辺の水を採取しイオンクロマトグラフィー

(

東亜ディーケーケー株式会社製,

IA-100)

を使用して陽イオン濃度を測定したところ,ベントナイト

A

に関して,温度履歴を受けることによって陽イ

オン濃度が高くなる傾向が認められた.ベントナイト

A

の結果を表-3に示す.温度履歴を受けることによって,イ オン交換以外の現象で交換性陽イオンが周辺の水に溶出する場合,モンモリロナイト層間水と周辺の水との間の陽 イオン濃度差が小さくなり,陽イオン濃度差に起因して発生する浸透圧が低下する可能性が考えられる.しかし,

本研究で行った実験結果からは,交換性陽イオンが溶出することによる影響は小さいことが言える.一方直井らは,

陽イオンを多量に含んでいる人工海水を供給した膨潤圧実験を行い,ベントナイトの膨潤圧特性への人工海水の影 響は小さいことを明らかとしている 2.これを参考に考察すると,温度履歴を受けることによって,ベントナイト の交換性陽イオンが周辺の水に溶出しても,膨潤圧特性への影響は小さいと考えられ,図

-2

の実験結果と整合する.

5.まとめ 

 温度履歴条件にかかわらず,各ベントナイトの膨潤圧特性への温度履歴の影響は小さかった.さらに,温度履歴 を受けることによって,交換性陽イオンが溶出することがベントナイト

A

で確認できたが,水質の観点から考察し た結果からも,膨潤圧特性への温度履歴の影響は小さいものと考えられる.

謝辞:本研究の一部は財団法人原子力安全研究協会のご協力をいただきました.ここに感謝の意を表します.

参考文献:

1)核燃料サイクル機構:わが国における高レベル放射性廃棄物地層処分の技術的信頼性−地層処分研究開発第 2

取りまとめ−分冊

2

地層処分の工学的技術,JNC TN1400 99-022,1999. 

2)直井優・小峯秀雄・安原一哉・村上哲・百瀬和夫・坂上武

晴:各種ベントナイト系緩衝材の膨潤特性に及ぼす人工海水の影響,土木学会論文集,投稿中. 

3)小峯秀雄・緒方信英・田代勝

浩:ベントナイトの膨潤変形に及ぼす温度履歴の影響

,

地盤工学会「高温環境と土」シンポジウム発表論文集

,pp141

146,1997.

 

0 1000 2000 3000 4000 5000 6000

1.4 1.5 1.6 1.7 1.8 1.9

ベントナイトA

:温度履歴なし

:60℃、28日間

:130℃、28日間

:130℃、120日間

最大膨潤圧P smax(kPa)

初期乾燥密度ρ

d0(Mg/m3)

2000 4000 6000 8000 10000 12000

1.45 1.5 1.55 1.6 1.65 1.7 1.75 1.8 1.85

:温度履歴なし

:130℃、28日間

:130℃、120日間

最大膨潤圧Psmax(kPa)

初期乾燥密度ρ

d0(Mg/m3) ベントナイトB

1000 2000 3000 4000 5000 6000 7000 8000 9000

1.2 1.25 1.3 1.35 1.4 1.45 1.5 1.55 1.6 ベントナイトC

:温度履歴なし

:60℃、28日間

:130℃、28日間

:130℃、120日間

最大膨潤圧Psmax(kPa)

初期乾燥密度ρ

d0(Mg/m3)

0 2000 4000 6000 8000 10000 12000

1.45 1.5 1.55 1.6 1.65 1.7 1.75 1.8 ベントナイトE

:温度履歴なし

:130℃、28日間

:130℃、60日間

:130℃、120日間

最大膨潤圧Psmax(kPa)

初期乾燥密度ρ

d0(Mg/m3)

図‑2 各ベントナイトの最大膨潤圧と初期乾燥密度の関係  表‑3 ベントナイト A の陽イオン濃度測定結果 

温度履歴条件

Na

(mol/m

3

) K

(mol/m

3

) Mg

2+

(mol/m

3

) Ca

2+

(mol/m

3

)

温度履歴なし 0.60〜1.72 0.00〜0.01 測定限界以下 0.00〜0.04

60℃、28日 0.60〜1.34 0.00〜0.03 0.00〜0.04 0.00〜0.10 130℃、28日 1.45〜5.57 0.00〜0.01 測定限界以下 0.00〜0.03 130℃、120日 1.86〜12.31 0.01〜0.04 0.02〜0.12 0.05〜0.18   土木学会第59回年次学術講演会(平成16年9月)

‑510‑

3‑255

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