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2. 特別全般検査の概要

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Academic year: 2022

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キーワード 地下鉄、トンネル、特別全般検査

連絡先 〒110-8614 東京都台東区東上野3-19-6 東京地下鉄株式会社 鉄道本部工務部土木課 TEL03-3837-7230

地下鉄トンネルにおける特別全般検査結果について

東京地下鉄株式会社 正会員 河畑 充弘 東京地下鉄株式会社 非会員 ○榎谷 祐輝 東京地下鉄株式会社 非会員 野口 正則 東京地下鉄株式会社 非会員 千葉 拓哉 東京地下鉄株式会社 非会員 笹原 道治 株式会社メトロレールファシリティーズ 非会員 小松 正典

1. はじめに

東京地下鉄株式会社(以下「東京メトロ」という.)は,現在9路線,営業キロ195.9km,保有する構造物は,

トンネル,高架橋,鋼製橋梁,土工等からなり,このうち約85%がトンネル部分である.(表-1)

トンネルの維持管理にあたっては,国土交通省「鉄道に関する技術上の基準を定める省令」に基づき,2年 毎に軌道上からの目視及び打音を1路線3ヶ月間で行う通常全般検査(以下「通全」という.),20年毎に高所 作業車上からの近接目視及び打音を1路線1年かけて行う特別全般検査(以下「特全」という.)等によりトン ネルの状態を確認している.本稿では,特全にて得られた知見の一部について紹介する.

2. 特別全般検査の概要

東京メトロでは,平成31年度までに保有する全9路線のトンネル部分の特全を予定しており,これまでに4 路線の特全を実施してきた.

特全は,終電から始発までの約3時間(準備時間含む)で行われ、過去の通全で確認したひび割れや漏水等

(以下「変状」という.)の進行度合い及び,これまでに確認されていない変状の抽出を行う.編成は,保守 用車に連結した専用の高所作業車に近接目視及び打音を担当する作業員4名を配置し,高所作業車の後方軌道 内に記録等を行う作業員3名を配置している.(写真-1,表-2)検査にて確認した変状は,健全度表によりラン ク付けを行っている.(表-3)

3. 特別全般検査で得られた知見

新たに確認した変状の多くは,通全では把握することが困難な小さな浮きである事は既稿1)のとおり変わり ないが,その大半を占めるのは補修モルタルの浮きである事が新たに分かった.

路線名 本線延長 トンネル延長 全通開業時期 工程 銀座線 14.5km 14.1 ㎞ S14.01(1939 年) H24 年度 丸ノ内線 28.0km 25.8 ㎞ S37.03(1962 年) H25 年度 日比谷線 20.7km 17.3.㎞ S39.08(1964 年) H26 年度 東西線 31.4km 17.1 ㎞ S44.03(1969 年) H27 年度 千代田線 25.0km 19.1 ㎞ S54.12(1979 年) H28 年度 有楽町線 29.3km 26.4 ㎞ S63.06(1988 年) H29 年度 半蔵門線 16.8km 16.8 ㎞ H15.03(2003 年) H30 年度 南北線 21.4km 21.4 ㎞ H12.09(2000 年) H30 年度 副都心線 8.8km 8.8 ㎞ H20.06(2008 年) H31 年度

195.9km 166.8km

表-1 東京メトロの各路線

役 割 担当 人員

保守用車運転者 社員 1 人

作業指揮者

(検査作業補助の統括含む)

グループ会社

(本体出向社員含む) 1 人 保守用車運行補助者

協力会社

1 人

検査作業補助 4 人

記録 1 人

記録補助 1 人

清掃 1 人

10 人

表-2 特別全般検査の編成 土木学会第71回年次学術講演会(平成28年9月)

‑1499‑

Ⅵ‑750

(2)

ある路線では,全変状のうち8割が補修モルタルの浮きと,かぶり不足が主要因となるコンクリートの浮き であった.(図-1)

補修モルタルの浮きとは,近年の断面修復箇所ではなく,建設当時又は補修方法が近年ほど確立していなか った当時の,簡易な補修でのモルタルの浮きであった.この様な補修には,付着向上を目的に設置する金網は 入っておらず材料も軽量モルタルである事から経年劣化による浮き発生は近年の断面修復箇所と比べて進行 が早い.簡易な補修は,はく落による列車運行支障やその後のメンテナンスを考慮して行うべきではないと考 える.これまでの検査で確認された補修モルタルの浮き等は,優先度を見極め計画的に補修を行っていく.

また,東京メトロでは,補修モルタル等のはく落による列車運行支障を未然に防ぐために,平成27年度よ り4年毎の打音点検(必要箇所の叩き落とし含む)を行っている.

4.まとめ

日々の安全・安定運行を維持するため,簡易な補修ではなく変状に見合った補修方法を策定し確実に補修を 行い,検査でその後の状態をモニタリングしていく事が重要であると考える。

[参考文献]

1) 榎谷祐輝ほか:築85年を経過したトンネルの特別全般検査について,土木学会第68回年次学術講演会,Ⅵ-098,pp195-196,2013

判定区分 構造物の状態

AA

運転保安,列車の正常運行及び旅客,公衆 等の安全を脅かし,又はそのおそれのある変 状等があるもの

A1

進行している変状等があり,構造物の性能が 低下しつつあるもの

大雨,出水,地震等により,構造物の性能を 失うおそれのあるもの

A2 変状等があり,将来それが構造物の性能を 低下させるおそれのあるもの

将来,健全度Aになるおそれのある変状等が あるもの

軽微な変状があるもの 健全なもの

表-3 構造物の健全度判定 写真-1 検査状況

写真-2 変状-浮き(モルタル) 図-1 変状の発生度

土木学会第71回年次学術講演会(平成28年9月)

‑1500‑

Ⅵ‑750

参照

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