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鋼 床 版 塗 膜 の 凝 集 破 壊 本州四国連絡橋公団

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Academic year: 2022

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(1)1‑099. 土木学会第59回年次学術講演会(平成16年9月). 鋼 床 版 塗 膜 の 凝 集 破 壊 本州四国連絡橋公団. 正会員. ○大塚 末廣 熊井. 雅裕 弘靖 貴弘. 1.概 要 本 州 四 国 連 絡 橋 の 海 峡 部 橋 梁 は 、厳 し い 腐 食 環 境 下 に あ る た め 無 機 ジ ン ク リ ッ チ ペ イ ン ト( 以 下、 「無機ジンク」という)を下地とした重防食塗装「長期防錆型塗装系」が施されている。 (表 −1)本塗装系の維持管理では、無機ジンクおよびその保護のための下塗り塗膜を常に健全な 状態に保つため塗替塗装を行っており、塗膜点検、定点塗膜調査の結果を基に設計・計画され ている。本塗装系の腐食形態、劣化パターンは十分解明されておらず、塗膜の劣化・変状に対 してはその原因等を見極め適切な管理方法(時期、仕様、範囲等)を決定する必要がある。 西瀬戸自動車道(瀬戸内しまなみ海道)の因島大橋では、平成4年(供用後9年経過時)か ら鋼床版裏面に塗膜の膨れ、割れが発生し増加傾向にあることから、本塗装系の管理方法の検 討に資する目的で塗膜調査を行った。 表−1 因島大橋の一般外面塗装仕様 ( 塗膜厚、単位:μ) 下地処理. 工 場 塗 装. 一次. 二次. 原板ブラス ト+無機ジ ンクリッチ プライマー. 製 品 ブ ラ ス ト. (20). 第1層. 第2層. 厚膜型無機ジ ンクリッチペイ ミストコート ント (75). ( −). 第3層. 第4層. 第5層. 厚膜型エポキシ 厚膜型エポキシ ポリウレタン用 下塗 下塗 中塗 (60). (60). (30). 第6層. 合計膜厚. ポリウレタン 上塗. (255μ). (30). 2.塗膜の変状 表−2 変状の発生状況 2.1 発 生 状 況 部材・区間 発生数 備 考 因島大橋の塗膜変状は、無機ジンク層内で剥離し 1A〜2P 29 2003. 7 現 在 鋼 している点が特徴的であり、経年で増加し塗替塗装 2P〜CL 3 〃 床 後にも新たに発生している。また同じ塗装系であっ CL〜3P 0 〃 版 て も 部 材 、 区 間 の 差 が 顕 著 で あ り ( 表 − 2 )、 そ れ ぞ 3P〜4A 157 〃 れ塗装会社、塗料メーカが異なる。同橋における発 補 剛 桁 0 〃 生は鋼床板に限 られているが、他の橋梁では同様の 主 塔 0 〃 変状が補剛桁においても確認されており、これらは 計 187 塗膜の凝集破壊と考えられている。 ※A:アンカレイジ、P:橋脚 2.2 凝 集 破 壊 凝集破壊は、塗膜の内部応力が凝集力(破壊強さ)を超えた時に割れやはがれ等が生じる事 象である。内部応力は、塗膜形成時の材料、膜厚、熱、吸脱湿、温度変化等により変化し、凝 集力は経年または腐食性物質等(紫外線、水、酸素、塩素等)の影響により、塗料分子間の結 合力が低下し脆弱化すると考えられている。以上のことから海峡部橋梁の鋼床版塗膜は一般部 に比べ過酷な環境にあると言える。 3.塗膜調査 3.1 調 査 内 容 塗膜調査は健全性調査、原因調査を目的とし、変状の形態から無機ジンク層を主な対象とし た。無機ジンクの健全性は自身を保護する上層の塗膜状況や、置かれている環境に影響を受け ていると考えられることから条件の異なる部位を選定し、その影響度を確認することとした。 試験項目は表−3のとおりである。 キーワード:長期防錆型塗装、無機ジンクリッチペイント、塗膜変状、凝集破壊 連 絡 先 : 〒 722-0073 広 島 県 御 調 郡 向 島 町 6904( TEL0848-44-3700, FAX0848-44-7609) ‑197‑.

(2) 1‑099. 土木学会第59回年次学術講演会(平成16年9月). 表−3 調査項目 健全性. 原因. 付着力. 目. 塗膜調査項目. 的. 方 法 碁盤目試験「JIS K 5400-1990」 アドヒージョンテスト「JIS K 5600-1999」 走査型電子顕微鏡 (SEM) 光学式顕微鏡 電磁膜厚計 熱伝対 X線マイクロアナライザー( EPMA) エネルギー分散型X線検出器(EDX). 付着力低下の範囲と程度確認. 状態観察 亜鉛粒子の状態確認 過膜厚の影響 塗膜厚 (総膜厚、無機ジンク厚) 温度測定 鋼材温度の影響 無機ジンク内の劣化因子の存在 元素分析 亜鉛粒子の酸化程度 亜鉛粒子間の硬化反応 他. 写真−1. 部位 鋼床版. 250. 200. 150. 補剛桁. 100. 80 70 60 50 40 30 20 10 0. 50. 付着力(kgf/c㎡). 3.2 調 査 結 果 (1)健全性調査 鋼 床 版 で 塗 膜 変 状 の 多 い 区 間( 3 P〜 4A)の 塗 膜 は 、 見 た 目 健 全 で あ っ て も 付 着 力 は 低 下 し て い た。また、変状のあった部位の亜鉛粒子は酸化し、割れや膨張により付着力低下の一因となっ て い た 。( 写 真 − 1 ) 塗 膜 変 状 の 無 い 主 塔 、 補 剛 桁 に お い て も 亜 鉛 粒 子 の 酸 化 が 確 認 さ れ た 。 (2)原因調査 総膜厚の過多は内部応力の増大につながり、無機ジンク塗膜の過多は自身の硬化反応を妨げ る こ と と な る 。 膜 厚 は 総 じ て 厚 く 、 特 に 無 機 ジ ン ク の 膜 厚 は 設 計 値 75 μ m に 対 し 、 平 均 128 μ m 、 最 大 250 μ m で あ っ た 。 無 機 ジ ン ク 膜 厚 と 付 着 力 に は 相 関 が 見 ら れ 、 150 μ m を 超 え る と 付 着 力 は 10kgf/cm 2 以 下 で あ り 塗 膜 の 耐 久 性 上 の 懸 念 が あ る 。( 図 − 1 ) 鋼床版裏面塗膜では、冷熱繰返しにより鋼材と塗膜の熱膨張係数の差から内部応力の変動が 激 し い た め 、 疲 労 ・ 脆 弱 化 が 進 む と 考 え ら れ る 。 外 気 温 の 変 動 約 10 度 に 対 し 、 鋼 床 版 デ ッ キ プ レ ー ト 面 の 変 動 は 32 度 、 塗 膜 変 状 の 無 い 鋼 床 版 U リ ブ 下 面 は 22 度 で あ っ た 。 無 機 ジ ン ク 層 内 に は 劣 化 因 子 と な る Cl (塩 素 )、 N (窒 素 )、 S (硫 黄 )は 確 認 さ れ な か っ た 。 補 剛 桁 及 び 主 塔 は 、 鋼 床 版 と 比 べ グー ス 施 工 時 の 熱 影 響 と 厳 し い 冷 熱 繰 り 返 し を 受 け て い な いため、変状がない要因の一つではないかと考えられる。. 無 機 ジ ン ク 膜 厚 ( μm). 酸化し割れた亜鉛粒子. 図−1 無機ジンク膜厚と付着力 4.まとめ 本 調 査 で は 、工 場 塗 装 時 の 塗 装 作 業 記 録 が 残 存 せ ず 、劣 化 原 因 を 特 定 す る に は 至 ら な か っ た 。 無機ジンクを健全に保つという長期防錆型塗装の塗膜管理を行ってきたが、一部において無 機ジンクは既に劣化し凝集破壊が生じていた。膨大な量を有する本四連絡橋の塗装を合理的に 管理するために、塗膜内部「無機ジンク」からの劣化も、長期防錆型塗装の劣化形態の一つと して考慮する必要があるかどうかを含 め、今後も追跡調査とはがれの原因究明を行う必要があ ると考えている。 参 考 文 献 等 本 四 技 報 ( HONSHI TECHNICAL REPORT) VOL.27 No.101 2003.9. ‑198‑.

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参照

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