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動作療法におけるセラピストとクライエントの相互作用についての質的研究 ~促進諸要因の役割と動作プロセスの記述と説明~

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(1)動作療法におけるセラピストとクライエントの相互作用. についての質的研究 ∼促進諸要因の役割と動作プロセスの記述と説明∼. 専攻 学校教育学専攻 コース 臨床心理学コース. 学籍番号MO6141J 氏. 名 村田武司.

(2) 動作療法におけるセラピストとクライエントの相互作用についての質的研究. ∼促進諸要因の役割と動作プロセスの記述と説明∼ 学校教育学専攻 臨床心理学コース MO6141」. 村田武司 はじめに__.____,______...______.___._.__._____._.._._____..___3. 第1章問題と目的._____..______,______.__.____.______,____._3 第2章方法.______.______.___.__._.___.___..______...______._.6. 第1節方法の選択と質的研究のガイドライン______,______.._.._____._____.6 第1項方法の選択______..______.______.,_._____。____.__...__6. 第2項質的研究の評価基準(ガイドライン)______.______...______.,_____8 第2節対象.._____。______,______.._._____._._____.______9. 第1項対象1(セラピスト協力者)___.._____..___.____.______.____.9. 第2項対象2(クライエント協力者)_____.______.______.______._.9 第3節実施期間及び場所..________._.____...__._._...___.______._._9 第4節実施手続_,___...,_____________一____._.._.,.,._一___..一.___.9 第5節 分析方法._.._..___一._.._......_._._._._._......._..._..__._.__.__._..__.11. 第3章結果______.__.____.______..__.____...______.______...12 第1節セッション時間、インタビュー時間、相談内容、テスト結果.._.._..._.._。_._.._._._._。ユ2. 第2節 KJ法によるインタビューデータの整理一._____,_.__,....___.___.______.13. 第1項インタビューデータからの「1行見出し」の作成______.______._____13 第2項「1行見出し」から「表札」「標識」作成の手順_.._.___.,_.._._____._____13. 第3項セラピストデータのKJ法によるカテゴリー分類______.____.__.______16 第4項クライエントデ隔日のKJ法によるカテゴリー分類___..,______.____._..,一_17. 第3節KJ法における図解化と文章化の原則______.______.______._.__19 第4節 クライエントデータの図解化と文章化の例_____.______.______.__.20 第5節クライエントデータの「治療促進的要因」を中心にした動作法体験の文章化,..._._._,,_..24 第1項文章化の本文(Figure 1及び資料8(1)参照〉.___,_..__._._,,._____...,_.一24. 第6節セラピストデータの図解化と文章化の例_._____..___.___.______.___26. 第7節 セラピストデータの「治療促進的要因」を中心にした動作法体験の文章化._______29 第1項若干の説明______._____._.______._._____.______..__29. 第2項文章化の本文(Figure 2資料8(2)参照)______.______.______.__29 第8節セッションプロトコルの会話分析結果______.____.__.____.__,_____30 第4章 考察______.____.__.______._._____.__.____._.___._37 第1節KJ法によるクライエントデータへの考察_...______..._.一_______.一_.__一_37. 第2節KJ法によるセラピストデータへの考察______..___.._____,______..__39 第3節セッションプロトコルの会話分析への考察......._,_...._..__...,_._.._.__._.__.._..41. 第4節残された問題の考察______.______.______..______._.____45 1.

(3) 結論______.______..______.__...___..._____.._._..___._..___..___.47 今後の課題_____._..__.____.__.……・……・…………・,……・……・…………・・…・……・………・……・…48. 文献______._____._.______.__.____..______....______.__..____.49 参考資料__.___.___.__...。.……・…………・………・・…………………………・…・………・……..…●……51. 資料1.研究協力に関する同意書様式______.._._____.______.....____.._..__51 資料2.フェイスシート(セラピスト用)______..__._..__.._.._____.__.___._.__._52. 資料3.フェイスシート(クライエント用)____._.___.___.._._____._.___…・…・……153. 資料4.インタビューデータから「1行見出し」の作成例_._____...______.___.___._.54. 資料5.グループ編成或いはカテゴリー分類のデータ(1行見出し∼標識)_____.._.___._60 資料6.KJ法によるクライエントデータ図解.____._.._._.__._..__._.___.______68. (1)言語面接の機能、体験段階と過程への注目____.__..__..____.__.____.__._68. (2)信頼感、リラックス感を感じて意欲がわいた______.____..__.______.___.69 (3)動作の中でさまざまな身体感覚に注目することで心もリラックスした_____._.._...__._70 (4)セラピストへの注目、・セラピストの声の影響、触れられることの意味__.____.____.__71 (5)言葉掛けが生むもの_.__.__.______..______.._._____.___.___._72 (6)声掛け、動き、触れることの効果______..______.______.,.______.・.__73 資料7.KJ法によるセラピストデータ図解__..___._二__._._._____.._._.___.__.._74. (1)言葉掛けの機能或は効果____.__...______..____.__.______..____._74. (2)動作課題の位置づけと決定から実施の流れ_.._____..______.______...___.75 (3)クライエントの身体状況と動作法の選択______..___..___.___.___.______76 (4)タスク(宿題)としての動作法__.____.______.._._____.______..__.__77 (5)問題・課題把握と動作法への導入__..____.____..__.______...____.__。_.78 (6)動作法が目指すもの_.____._._____._...____.._.______.。__.____._79. (7)ラポールという言葉ではなく理解、信頼、安心_____._..______..______...__80 (8)動作の開始から終了までの流れ.______.__._.___.._.、.____...___.___.__..81. 資料8.表札レベルの文章化データ_____.....______...__._.___.__.____..___.82 (1)クライエントデータ文章化..______._._..___...______._____._._____..82 (2)セラピストデータ文章化___.___..__._.___.._._____..._____....______87. 資料9.セッションプロトコルの会話分析結果_____._._____._...__.____._……………91 事例1____.__.9.______._._____.____._._.___.___...__..___...___91. 事例3____.__.___._..._.______.______...___.___.______..___97 事例4___.___._____.._._._____._.___1__._____._....______。._._.104 謝虫垂_.................。_............。_........._.._.................................._......._......_..............9.........__。.116. 2.

(4) はじめに. 本研究の機縁は、筆者が臨床動作法を学習し、臨床適用している中で生まれた疑問にある。臨 床動作法は、その実施手順の中に「触れる動作法」の部分と「触れない動作法」の部分があり、筆者 自身の体験がらは「触れる動作法」をしてもらった時の方が、「触れない動作法」を受けたときよりも. 援助を受けているという実感が強かった。また、動作課題をおこなっている時の「言葉掛け」或いは 「声掛け」の違いによって同じ動作課題にもかかわらず動作体験が異なっていたように感じたことな どから、「触れる、触れない」「言葉掛け・声掛け」の「あり、なし」が動作体験にどのように影響を与え. るのかに興味を持ったことに始まる。また、心理療法の世界においては「身体にふれる」ということが. まだまだ例外的であると考えられる中、臨床動作法が動作療法として今後展開をしていくには、「触 れない動作法」の役割が大きくなるであろうと予測されることも動機となっている。. 第1章問題と目的 動作法は、「人の動作に関わる主題についての実験的研究を目指す」実験動作法と「悩みや困難 などある心理的な問題を抱えているひとに臨床的な援助をする」臨床動作法に分けて考えられてき た(成瀬、1995)。さらに、臨床動作法は次の二つに分けて考えられてきた。肢体不自由児(者)に対 する心理リハビリテイションとしての動作訓練と心理療法・カウンセリングへの適用・展開としての動 作療法である。そのほかにも「障害者のリハビリテイション、健康法や高齢者への動作法」などがあ. る。これらにおいては適用の分野は異なっているが、それぞれ同じ問題を含んでいるとされている (成瀬、2000)。本論文においては、動作訓練における施術者をトレイナー、被施術者をトレイニーと して、動作療法におけるそれをセラピスト、クライエントと表記する。. 臨床動作法の成り立ちは、成瀬(1995)によると本格的な取り組みが始まったのは1966年である。. 脳性マヒの青年達に催眠を適応したときに何人かの青年の手や腕が動いたという報告がきっかけ になって始まったものである。当初は肢体不自由児(者)のリハビリテイションのために動作訓練とし. て開発され、発展した。その後、他の障害児に広範囲に適応され効果を上げている中で、今野 (1978)によって自閉症児、多動因へ適用され効果をあげたことが報告された。また、統合失調症患. 者への適用(蒲原・佐々木・斉藤、1980.鶴、1982)、神経症への適用(藤岡、1986)、PTSDへの適 用(冨永、1997)など心理療法・カウンセリングへの適用・展開の試みが現在も続いている。このこと について藤岡(1987)は「重要なことは、単に動作の改善を目指すのではなく、むしろ、動作を介して 情緒・行動の統制面などの心理治療を行うことを主たる目的とし、大きな効果を得たこと」であると評 価し、「動作療法が心理療法として成り立つ可能性」について論じている。. これまで臨床動作法の研究は多くの研究論文が示すように事例研究、実験研究等が中心であっ たといえる。このような中で、近年はトレイナー(セラピスト)とトレイニー(クライエント)の相互作用に. 研究の焦点があてられることが多くなっている。大神(1991)は、「重度重複児の発達援助における. 非言語的な対人相互作用の過程を考察」する中で、「援助者側のコミュニケーションスキルの重要 性を」検討しながら、臨床動作法をコミュニケーションとして、或いは相互作用として考察をしている。. その中で動作法の目的を「二者間の身体的相互作用を通して、トレーニーの内部にジレンマを作り、. 適切な動作に必要な感覚体験や運動体験、さらには様々な感情体験をさせながら、身体運動の様 式を系統発生的に正常な発達ルートに乗せていく営み」ととらえている。それゆえにトレーナー側の コミュニケーションスキルの獲得は重要なのであるが、特にどのように「自分自身の行動を伝達の媒 体」として用いるかという「方法の技術」、トレーニーの「体験」や「内部状態の調節」を「推論する力」 3.

(5) を重要視している。なぜならば、動作のプロセスを「トレーニーの内部状態が変化していくことは、ト. レーナーが目的に合わせて自己の行動を修正することと、トレ一理ーが与えられた動作課題を解決 するために(緊張状態を解消するために)自分の活動を修正したり調整したりしていくことの間に見 られる相互交渉の結果であり原因である」と見ているからである。そして相互作用=コミュニケーショ. ン過程は「(1)トレーナーが意図する動作課題を言語的・非言語的な媒体を同期化しながら、トレー ニーに知らせようとするメッセージの伝達過程」「(2)トレ一門ーによってそれが認知され、トレーナー. とともに課題動作を共同作業的に遂行される過程」「(3)両者が自分と相手である他者の体験過程 を認知していく対人認知過程」の3つの側面が複雑に関係する過程であるとしている。さらに、この 相互作用過程について「援助行為の内容を同期性や共同性の側面」から検討をおこなっている(大 神、1993)。この中で巧い援助行為の要因について「予測と対処の適時性に関する因子」「トレーニ ーの態度・情緒の因子」「トレーナーの態度・余裕の因子」「補助の適切性因子」「言葉の使用因子」 が関係していることを見出している。またこれらの因子は「相互作用的な同時性」或いは「共同注意」. が密接に関与しているとしている。また、援助者側の要因について香野、大神(1993)は、「課題、伝 達内容の適切さ」、トレーナー側の「非言語的な応答や気分」の重要性を指摘している。. 内藤、森崎(2003)らは、被援助者の状態把握、課題内容の知識、援助仮説の適切さなどの援助. 者の認知内容或いは認知プロセスが援助者の非熟練者から熟練者への成長に寄与する要因であ ることを明らかにした。同じく、田中(2003)は、動作法による援助場面を社会的相互交渉として位置. づけその中での援助者側の要因としての「スキル構造」について研究した。その中で、「援助者の認 知活動(=「見立てのスキル」:著者挿入)と援助行為(=「省察的働きかけのスキル」=著者挿入)が. 概念上区別されるとしても、実践場面では両者が密接不可分の様態にある」として、この二つの因 子の「高い内的一貫性を」主張している。成瀬(2005)は相互作用という視点とは異なるが「内動」或 は「顛動感受」という概念を用いてセラピストによるクライエントの体験把握を理論づけている。すな. わち、グライエントは動作課題の遂行を通して動作体験とそれに伴う感覚的、感情的等の体験をす る。それは動作に表れることもあるが表れず内部的な動きとしてクライエントに生じるものを「内動」. とよぶが、セラピストはクライエントを観察しながらそれと一致する動きを自ら引き起こす。これが共 動作を生み、共体験を生じさせる。これによってクライエントの体験を推測するというものである。. 相互作用におけるクライエント側の要因は「動作体験様式の構造図」という形で論及されている。 田中(1995)は、動作課題を媒介項にした指導者とクライエントのコミュニケーションのうちクライエン. トの体験している部分を図式化し、次のように作用するとした。「動作課題によるからだをとおしたク ライエントと指導者のコミュニケーションがおこなわれているときは、クライエントは動作感覚と運動. 感覚が明確に意識化でき自分でやっているという主動感が生じてくる。そのため自体感も明確にな り、実動感や成功感・自由感・能動感がうまれ、…受容されたという反応だけではなく、外界に対す る自らの働きかけも積極的になってくる。…クライエントは、からだをとおした『受容されている』体験 や、共動作理解による『共感的に理解されている』という体験が得られる。」. これらの論点について、心理療法としての動作療法に焦点づけて考えるためにいま少し詳細なそ の定義についてみる必要がある。成瀬(2000)によると、動作療法とは「動作法適応の諸分野におい. て共通に見られる心理治療的な側面を、クライエントにおける生き方の自己処理、官己選択、自己 監理、自己変革、自己治療の過程として捉えながら、そのための適切な援助を」代表するもの、と定 義されている。そして、「課題ももちろん重要だが、もっとはるかに重要視されるのは、治療者がどの. ように対応し、いかに援助し、それに伴ってどのような努力、体験が得られ、それがどんな経緯で臨. 4.

(6) 床効果をもたらしたのかなどということが問題になる」と相互作用プロセスの重要性について述べて いる。しかし、「心理治療」のためには身体運動を「主体の努力ないし動作として翻訳し直す」必要が あるとされているが、「現在のところ、そこには推測や立場による違いがあって、まだ、その辺の共通 理解は必ずしも充分ではない」と検討すべき点について述べ、セラピスト、クライエントが参与する動. 作プロセスの内実がどのようなものであるかを明らかにすることは大きな意義を持つと述べた。これ. までにも藤岡(1987)は、次の3つのことにポイントをおきながら動作療法の治療過程について検討 している。すなわち、治療の段階=プロセス(「治療の相」)、「治療目標」、動作療法における「言葉. のもつ意味」である。その中で藤岡(1987)は、終結にいたった不安神経症の2事例を検討し、動作. 療法プロセスを「導入期、展開期、自体操作期、終結期」の4つの段階に分けている。導入期の特 徴として「言葉を通して症状の特定」を行うこと、「CL(クライエント:筆者)の動作を通しての心理学的. 診断」をすること、「治療目標」「治療方針」の決定などをあげている。また、治療過程の終結につい て「体に対して、ある構えがとれるようになると同時に、外界に対しても、まったくこれまでと違うやり. 方でかかわれるように」なること、「自分の体を操作することを通して、主体の自己活動は現実的で 充実したもの」となることがその条件であると述べている。. また、藤岡(1987)は、動作療法における言葉の意味について次のように述べている。「(動作療 法における)言語面接はあくまでも、動作課題を行なうにあたって症状の程度を評定すること、社会 生活の水準など、さらには、Th(セラピスト:筆者)とCl(クライエント:筆者)の関係形成の程度の評 価のためになされる」ものであり、「補助的なものであり、時間も限られる」ものである。「動作課題場 面における、言葉の役割」は「励ましや促し、支持」などであり、他の心理療法と同じように「言葉の かけかたがそのTh(セラピスト:筆者)の治療的雰囲気をかもしだす」ことにあり、「Cl(クライエント:. 筆者)の自体へのポジティブな評価の醸成を目指している」と述べている。鶴(1991)は治療者から みたクライエントの変化について、次のように述べている。「人がこのからだを、自分のからだという. 感じをもって活動する時のそのからだの」感じを自体感と呼び、この「自体感の確実化の体験」が 「動作療法における独自の治療要因」であろうと推量している。また、「クうイエソトー治療者関係」及 び体験の「意識化言語化」は、それぞれ「治療上重要」であり、「有意義」であるが「促進要因として: 位置づけることが妥当」と述べている。成瀬(2000)もまた動作療法においては「ことばは補助的な役. 割しか果たさない」と述べ、その動作療法中における活用の重要性を「動機づけ、勇気づけ、励まし、 維持・促進するため」「クライエントの体験する過程と状況をこちら(セラピスト)で把握・理解する」た. め、「より適切な治療体験ができやすいように援助する」ことにあると結論づけている。. これらの研究・議論を踏まえて本論文は、以下のことを目的としている。第1に、動作療法の経過 中における治療促進的諸要因である「言葉掛け・声掛け」「触れること」の役割を推測すること。第2 に、これらの役割が動作療法の経過中のセラピストークライエント関係或いはセラピスト・クライエント. それぞれにとってどのような意義・意味があるかを検討すること。最後にこれらの推測、検討を通し て動作療法における「治療促進的要因」の役割に関する仮説構築をおこなうことである。. 5.

(7) 第2章方法 第1節方法の選択と質的研究のガイドライン. 第1項方法の選択 本研究における方法の選択は以下の原則によっている。質的研究の一般的な特徴は、澤田栄三、 南博文(2006)によると次の5点になる。1)帰納的であること、2)対象となる事態と人々を全体的に見. ていく、3)研究者自身が対象者に与える影響に敏感である、4)対象者の視点から相手を理解しよう と努める、5)研究者の信念、視点、以前の前提をいったん保留する、である。そして、質的研究の方. 法論は「初期段階の研究、すなわち未熟な研究ではなく、量的研究法による実証化の道とは異なる. 認識論にもとつく方法論であり、それ独自の洗練の方向性を持っている」とされている。また、 Mcle。d, John(2001)は、質的研究の第1目的は、「世界がどのように構成されているのかについて の理解を深めること」としている。そして、質的研究実践をするものにとっての基本的認識論として、 「現象学」と「テキスト解釈学」を挙げている。「現象学」的方法は「研究対象について当然視されてい. る前提概念を全て棚上げにして、‘事象そのもの’を徹底的かつ包括的に記述すること」を目的にし ており、「テキスト解釈学」方法は事象の理解を「常にある特定の見方から生ずるものであり、常に. 解釈という行為の問題と考える」とされている。本研究の目的は「第1章問題と目的」おいて述べた ように「動作療法における『治療促進的要因』の役割に関する仮説構築」にある。よって、前述した質. 的研究についての基本的認識、基本的観点を用い、法則定立を目的としている形式の量的研究で はなく、以下に述べる質的研究法を採用した。. 方法は、実際の臨床事例ではなく半実験的方法により臨床動作法による面接を計画・実施した。 ここで「半実験的方法」という意義づけを行ったのは以下の点からである。第1に、この研究のため に特にセラピー場面牽設定し「セラピストとしての協力者(以後、セラピスト協力者と表記する)」「クラ イエントとしての協力者(以後、クライエント協力者と表記する)」を依頼したこと。第2に、それぞれの 「セラピスト協力者」「クライエント協力者」にたいして共通の教示をおこない、統制をおこなったこと。. これらのことから本研究の方法は、「実験的」であると考えられる。しかし、第3にセラピーの時間、. 相談内容の統制はおこなわなかったこと。第4に、参与による自然観察的見本観察法により事象を サンプリングし、行動描写法により記録を行い、記述的分析を行おうとしていること。これら2点から 「非実験的」であると考えられる。尚、この方法を採用したのは、実際の臨床事例を研究対象とする ことの是非の問題が広く議論され、解決されている状況にないと判断したこと、「クライエント協力 者」の心理的・精神的負担を必要以上に高めないように倫理的に配慮したことによる。. また、本来、動作療法は、心理療法という枠組みで実施される。クライエントは自らの心理的な問 題、或は心理的な問題に端を発していると自らが考えている問題を持ってセラピストのもとにやって くる。そこで「動作」という身体運動をともなう方法を提案するということになる。これは、具体的な技. 法をもちいてセラピーに導入する際に、クライエントに同意を求めるという他の心理療法のモデルと 変わるところは無い。しかし、本研究においては研究のために半実験的方法を採用しているので、ク ライエントは動作療法を受けるのを前提としており、提案というかたちはとっていない。また、それぞ れのセッションは1回だけのものであり、セラピストおよびクライエントはセラピー場面において初対 面である。以上、これらの複数の条件を統制しているが、「相談内容」はクライエント自身の問題を解 決するために出されるのであり、セラピストも「現実的な問題解決」のために参加する。クライエント、 セラピストともに「ロール(役割)」としてではなく、本来の意義どおりのものとして規定される。これら. のことを総合的に勘案して、本研究において採用した方法を「半実験的方法」と規定した。そして、こ 6.

(8) れらの方法は川喜多(1970)の提唱するKJ法におけるW型問題解決モデルの中の一部として位置 づけられる。W型問題解決モデルは人間の「知を探求」する方法の一つとされている。主に次の8つ の段階からなっている。「問題提起一探検(必要なデータ、必要らしいデータの蒐集)一野外観察一 発想と統合(データをして語らしめる)一推論一実験準備一実験観察一検証」である。そして「推論」の 段階を「仮説の展開」と位置づけている(川喜多、1967,1970)。本研究の目的を仮説形成とおいてい るので、「問題提起一探検(必要なデータ、必要らしいデータの蒐集)一野外観察一発想と統合(デー タをして語らしめる)一推論(仮説の展開)」が本研究のプロセスとなる。. 7.

(9) 第2項質的研究の評価基準(ガイドライン) 本研究は質的研究として位置づけられる。よって、妥当性等について質的研究の評価基準(ガイ ドライン)に照らして評価されるべきものと考える。Mcleod,John(2001)は、EIIiot,Fischer&Rennie(1999) の論文(Evolving guidelines f◎r the publicatlon of qualitative research studies in psychology and. related石elds)から暫定的であるとしながら7つのガイドラインを示している。本研究の妥当性につい ては次の3点が、該当すると思われる。3)事例に根ざしていること(「分析手続きとデータ例を提示し ていること」)、4)信愚性チェックをおこなうこと(何点か挙げられているが、本研究では「b)複数の質. 的分析をおこなう」が該当)、5)整合性(「研究知見がデータに基づく領域の根底にある構造と互いに. 適合していること」、本研究ではこれまでの臨床動作法の効果研究との整合性或いは効果の説明 の整合性)である。これとは別に、Stiles,W叡1993)は、質的研究データの解釈の妥当性について 「妥当性とは、解釈が内的に一貫しているか、有用であるか、正確であるか、生産的であるか或い は多産的であるかということに関連している」としている。本研究は仮説設定・仮説構成を目的にし ている。したがって、Stiles,WB.(1993)が述べる考えの適用範囲で評価されるものと考えられる。、. また、サンプリングとの関係ではサトウ、安田、木戸、高田、ヤーン・ヴァルシナー(2006)は、「人間. は開放システムであり、物のように外界から孤立しては存在しないこと、及び、開放システムには等 至性(異なった経路を辿りながらも同じような通過点或いは段階を経ること=筆者)が認められること、. この二つの特徴を考えるためには等至性を考慮した対象抽出法(サンプリング法)が必要となる。こ れがサンプリング法としてのHSS(歴史的構造化サンプリング法:筆者)である」として提案し、「対象 抽出法としてランダムサンプリングに積極的な意義がない研究もありえる」として「無作為確率サンプ リング」と「目的的サンプリング」に二分するPatton(2002)のサンプリング方略を紹介している。本研 究は心理療法としての動作療法における「言葉掛け。声掛け」「触れること・触れないこと」などの多. 様性を研究対象にしている。この意味では、本研究のサンプリングは前述の「目的的サンプリング」 の考えに合致するといえる。ただし、やまだ(2002)は質的研究の評価基準を「典型性」「共通性」で. あるとしながら、自らの研究におけるサンプリングについて「第1には、逆説的ではあるが、質的分. 析においては大量の分厚い記述によって裏付けられた多くの事例がないと典型性や共通性は見え てこないし、少数事例のみでものを言うことは危険である。第2には、多量のサンプルの中から選ば ないと、絵としても質のよいものが入手しにくいからである。…第3には、数量的選択や平均的選択 とは異なる基準で選択するためにも、事例は多い方がよい。」と述べている。この指摘は重要な指摘 であると考えられるが、やまだの(2002)の研究は研究テーマに関する多文化間比較をおこなうという. 大きなものであり、ある意味で普遍性を求めたものとかんがえられる。本研究の必要とする対象群 や方法とは異なっている。また、本研究はr典型性」「共通性」「」普遍性」を目的としていない。よって. サンプリングの方法については妥当であると考えている。. 8.

(10) 第2節対象 第1項対象1(セラピスト協力者) セラピスト協力者として、Table 1の6名が参加した。50歳代の男女2名、40歳代の女性1名、30. 歳代の女性2名、20歳代の男性1名の計6名。職業は大学教員1名、病院勤務の心理士5名。 動作療法の経験は2年から30年以上にわたっている。臨床動作士の有資格者3名、非資格者3 名。(臨床動作学講師の有資格者2名を含んでいる。). 第2項対象2(クライエント協力者) クライエント協力者として、Table 2の8名が参加した。20歳代の男性1名と女性3名、30歳代の. 男性1名と女性1名、40歳代の男性1名、50歳代の女性1名の計8名。心理療法の体験の有無、 或は動作体験の有無はTable 2にあるとおりである。. Table 1セラピスト協力者 i Zラピスト1年齢. 醒. A l50歳代 B]2・歳代 C l30歳代. 職業. male male. 大学教員. 回female. o験年数 mの有無 130年以上1 有 1 有 無r. 病院勤務1 2年 病院勤務1 4年 1 無 1 無. 医学講師の. 臨床動作. 動作法の. 性別. k. 晶. 唱 無 』. 5年t無i無. D14・聖代. female. 病院勤務i. E l30歳代 F 150歳代. female. 病院勤務1 7年 1 有 1 無 十 有{ ・ 有 病院勤務書20年以上1. female. Table 2クライエント協力者 レライエ州年齢i性別屡. l. I. 職業. 1 イ 140歳代imale 記 ロ }20歳代l male. @ 無. 無. 江. 墨 ホ 150歳半lfemale. ヒへ12・灘躍㎜h 1 チ 120歳代rfemale. @の有無. 高校教員1 無 1 大学院生τ 無 無 高校教員言 無 1 無 大学院生言 無 笹t 高校教員甘 遭 1 有. 1 ハ 」30常代三 male t 二 130歳代Lfemak∋. i ト 120歳代lfemale. セラピー体験 動作体験の有. 盤_. 大学院生† 無 1 無 卜. 大学院梨 無 ・無 r 卜. 冨. 覇ウンセラー1 無 1 無. 第3節実施期間及び場所 2007年5月から10月の期間。A大学サテライト演習室、A大学発達臨床センター、 B大学セラピ ールームにおいて実施した。. 第4節実施手続 1.セラピスト協力者およびクライエントに対して、事前に本研究の目的・実施方法を説明し文書に て同意を得た。. 2.実施前にクライエントにGHQ30とJSACL(八田、1995)を実施した。 3.セラピスト協力者は決められた教示から動作療法を始めた。 4.その様子をビデオに収録した。. 5.実験終了後、クライエント協力者に再びJSACLを行うとともに半構造化面接(10項目)を実施し た。. 6.実験終了後、セラピスト協力者に半構造化面接(10項目)を実施した。. Table 3及びTable 4はそれぞれクラインと協力者、セラピスト協力者への教示と動作法体験後の半. 構造化面接の質問項目である。 9.

(11) Table 3クライエント協力者への教示と動作法体験後の半構造化面接 協力者への教示(GHQ30とJSACLの実施後) それでは、これから動作法を用いたカウンセリングを体験していただきます。動作法. とは簡単に説明すると「 とい喝心理1 を主な道 としてカ ンセ1ン’ゐ{ 甑最近あなたが解決しているといいなあとか、或は解決したいなあと思われ る自分自身の、それほど大きくない、自分ひとりでも解決できるかも知れないけれど も誰かに相談しようと思うような実際の問題を使って動作法を使ったカウンセリング 体験してください。時間はおおよそ20∼50分程度です。何かご質問はありますか?. , i半構造化面接) Dモ今、身体はどんな感じですか? 2)i今、気持ち或は心はどんな感じですかケ 3)1苓の体験を茄セスに分けるとしたらどのように分ける事ができますか? 1そして、これから幾つかの質問をします。自分がそのはじめの時点に立ってい 1ると考えて答えてください。よろしいですか?身体の感じについて、a)自分で自4)i分の体を動かしている感じ、b)勝手に体が動いている感じ、 c)自分の体が動か. ・)瀦鑑鍵鯉勲艘隠囎導の中℃それぞれの段階で心に i. @i次の質問はい今のお答えと重なるかもしれないし、重ならないかもしれないで U)1すが、今の体験に伴ってどのような感覚、或は感情、或は考えが生じてきました @iか?或は生じなかったですか?. ・)蓬繍鐵鍵体験にどのように影響しましたか?まな鰍. 罐翻鰭誰講灘難たの体験に影響しましたか?もしあっ 1夢. .. 10)1体験をしている間どあようなことに注意を向けていましたか?. Tabb 4セラピスト協力者への教示と動作法体験後の半構造化面接 セラピスト協力者への教示 それでは今から動作法を用いたカウンセリングを行っていただきます。協力者の方には 氓フように説明をしています。「これから動作法を用いたカウンセリングを体験していただ. ォます。動作法とは簡単に説明すると「 とい一心 活重加を主な道具と一 ングを行うもので五最近あなたが解決しているといいなあとか、或は解決したいなあと 思われる自分自身の、それぼど大きくない、自分ひとりでも解決できるかも知れないけれ ヌも誰かに相談しようと思うような実際の問題を使って動作法を使ったカウンセリングを フ験してください。,」ということです。おおよそ、時間は20∼50分程度でセッションを終了す. 「るようにお願いします。それではよろしくお願いいたします。. (半構造化面接) 研今日のセッションをいくつかのプロセスに分けるとしたら、どのように分けること Gができますか。 〒 E)i雅麗難繁あなた力沁カミけたこと・或は意識していたこと1こはど 一■■. の. ,. R)1心理アセスメントをした時に、どのようなところに注意を払いながらアセスメント 蛛cしましたか?或はアセスメントをした時に、特に気になったところはどのよう奮. 5)働作法を実施中、クライエントへの言葉賭けをどのようなきっかけで必要だと判 @1断しましたか? ・雌の事がクライエントとのやり取りにどのように反映したと考えて・・ますか・. ・)i言論畿彗欝欝醗瓢霰孕雌器雛撫∼旋 Tあなたが動作を実施していられる間、あなた自身はどのような事を考えられて8)1いましたか?また、そのことがクライエント協力者とのやり取りのなかにどのよう. Pに反映したとおもいますか?. ● X)Lセッションの終了は、いつどのように考えられ、そして実施されましたか? 10)1全体として今日のセラピスト体験は、どのような印象ですか?. 10.

(12) 第5節分析方法. ’. 協力者に対する半構造化面接のデータについて、KJ法による整理・分析・解釈を行った。 KJ法の 手続きでは、インタビューのもとの語りを「意味のあるまとまり∫に分けることが出来る場合には、そ れを分けて「単位化」する。その「単位化」した語りにラベル(「一行見出し」)をつけ、その「一行見出. し」をさらに意味の共通性をもとにグループ化して、新たなラベル(「表札」)をつけ、さらにその上位 カテゴリーにラベル(「標識」)をつける、というように階層化していく。最終的にこのグループの数がお. およそ10以下くらいになるまで階層化を続けるというのが基本手続きである。そのラベルをつけるに. 際しての要点はもとの文章が含むキーワードへの着目であり.概念的ではないより感性的なものを 重要視するという視点である、とされている(川喜多、1967」970)。また、質的研究法における類似 の分析方法としてBamy G. Glaser&Anselm L Strauss(1967)らが開発したグランデッドセオリー理. 論がある。やまだ(2003)によるとグランデッドセオリー理論とKJ法の根本的に異なるところは、「グ. ランデッド理論が、概念的カテゴリーを基礎として概念的に理論構成するのに対して、KJ法では一 度バラバラにしたカードの意味的エッセンスをもとに創造的に総合して、図解によるあたらしい『意味 連関』を作り出すところである」。動作療法は、r動作に伴う体験とその仕方」を変化させることを「目 標」にしており、「その具体的な手段は動作法によるという関係」(成瀬、2000)にあり、「身体運動を. 挟んだ両者の情報のやり取りが直接的かつ即時的に対応できやすいというのが」「動作法の特徴」 (成瀬、2000)となっていて言語的相互コミュニケーションにその中心をおいていない。これらのことよ. り、やまだ(2003)の指摘するように、言語的コミュニケーションや語りからr概念的カテゴリーを基礎. として概念的に理論構成する」グラウンデッドセオリー理論ではなく、KJ法を本研究における質的分 析方法の一つとして選択した。. また、録画・録音された面接資料に対しては、会話分析(エスノメソドロジー)の手法を用いて分析 した。西阪(2001)によると、会話分析(エスノメソドロジー)の研究方針とは「人々が自分達の表現・. 行為の合理的特徴をどのように組織的に産出・構築していくか、その方法(論)もしくは手続きを解明 していこう」とするものである、とされている。この手法によりKJ法によって明らかになった相互的行 為の中でクライエント協力者およびセラピスト協力者それぞれの体験が、どのような「手続き」「相互 作用」によって構築されたかを仮説的に明らかにすることが可能と考えられる。. 11.

(13) 第3章結果 第1節セッション時間、インタビュー時間、相談内容、テスト結果. 結果は以下のとおりである。セッションの時間は19分02秒から65分42秒までであった。インタ. ビュー時間は、セラピスト分が11分42秒から39分28秒、クライエント分は11分06秒から29分 02秒であった。相談内容は、職場でのこと、自己の進路に関すること、学業上のこと等の現実生活 での活動にかかわる悩みと身体に関すること、自己表現に関すること、睡眠に関すること、ストレス. に関することなどであった。GHQの結果は2名がカットオフポイントを超えていた。 JSACLの結果は 全員がST(ストレス度)がマイナス、事例4が最も多くて一13ポイントであった。A訣(覚醒イキイキ度). は事例3、事例5を除きイキイキ感は上がっていた。最も高かったのが事例1であった。それぞれ8 名分のセラピストインタビューは4時間56分53秒、クライエントインタビューは2時間27分59秒置 あった。. Table 5セッション時間等の結果. 事例番口 session 1. 5 6. 24:28120=43 {. 11=03. 学校での相談活動に関する悩み 顯一胴 i路決定に際してプレッシャーを感じてしま 修士論文の事でプレッシャーを感じてしまう. 19=22’. 16:34. 授業レポートの書き方が分からずに焦って. 53:46118:17. 29:02. 27:19. 13=32. 日 g体の変化が気になってしょうがない 薗一幽 蜷ィの前で話すのが苦手. 11:34. 19:28 11:42 騨. @ 37=51 」. 21=19. →. .』1」互{Σ.L」_ 45:261. ● 7. 31:08. 18=55. 65:421. 39128. 24=00. 事例番口. GHQ. 前JSACL ST AR. 1. 2/30 5/30. 8. 相談内容. Cンタヴュー コ. ●一. 4. クライエント. _. 19:02111:54. 2. @ 3. インタ“. 夜中々眠れない 6■ ナ近疲れることがあり和らぐことが出来ない. Table 6 GHQ、JSACLの結果. 2−. 後JSACL ST AR 13 一21 14 一19. 差. ST. AR. 一6. 一20. 3. 一4. 8 4 0. 2. 一17. 6. 一13. 4. 7. 一21. 7. 一8. 0. 一15. 5. 一10. 10. 3. 4/30. 一16. 3. 4. 9/30. 一4. 一13. 一9. 備考. 一般的疾患傾 一般的疾患傾. 5. 7/30. ?A身体的症状、. s安と気分変調 6. 2/30. 一8. 6. 一13. 10. 一5. 7. 3/30 3/30. 一14. 5. 一21. 9. 一7. 4 4. 一16. 10. 一20. 11. 一4. 1. 8. 12.

(14) 第2節KJ法によるインタビューデータの整理 第1項インタビューデータからの「1行見出し」の作成 川喜多(1967、1970)によると「単位化」による「1行見出し(下位概念化)」の作成についての基準 は以下のようになる。「つまり発言内容のコンテキスト、ひとまとめの構造を持った部分、ひとまとま りの構造を持った意味内容のエッセンス」を「1行見出し(下位概念化)」に書いていくのであり、「悪. い1行見出し化」の注意点として「観念的で、土のかおり」がなく「勝手にストーリーを拡げ内容を歪 曲しすぎ」たり、「どうとでもとれて、誤解を生む」もの、「主語が誰かも分からないもの」「異質のもの. を1枚に盛りすぎ、その結果長くなりすぎでもあるもの」を避けるということである。これを参考にクラ イエント、セラピストそれぞれのインタビューデータにKJ法を用い「意味のあるまとまり」ごとに「単位 化」を行い「1行見出し(下位概念化)」「表札(中位概念化)」「標識(上位概念化)」に階層分類し表 題をつけた。Table 7はもとのインタビューデータから「1行見出し(下位概念化)」を作成した例である。. これはセラピストに対するという半構造化面接の質問に対するセラピストからの回答の一部である。. 質問項目3:「心理アセスメントをした時に、どのようなところに注意を払いながらアセスメントをしまし. たか?或はアセスメントをした時に、特に気になったところはどのようなところです か?」 もとのセラピストの回答は以下のとおりである。. 「この方が今現にどういう風なことで困っているのかなあとか、この方って、その人なりに皆懸命に 生きてる事に違いは無いですけど、何を大切にして生きているのかそういうことはやっぱり気をつけ ないといけないんですよね。この方にどういう応援が出来るのかなあと、例えば必ず解決しなくても いいと思っているんです、私は。面接したからつて会ったからつて、ただ本人が気づけてこういうとこ ろに問題や課題があるのねえと、まず気づいてくれるといいんじゃないかしら。1回1回のセッション. で重ねられたらいいですけど、1回で気づくというわけにはいかない場合もありますから、一緒に考 えれたらいいですし、動作面接も通してですけれどもね。動作面接をすることで本人が視点が変わ ったりとか、考えやすくなったりとか、こうだからこうだから、一足す一が二になったように、こうなって. 変わって私は行動が変わりましたってそんな自覚がほとんどの人が無いといってね。別に、ひとりで に自分で元気になったって言う、元気になってくれればいいんじゃないと思ってますからね、本人とし てはですよ、クライエントとしてはですよ。だからそれに気づけて元気になったという場含もあるし、. 人によって、自分で考えたからつて元気になる人もあるし、それはまあ色々ですよね。要するに私は 何かをする人にはならないように気をつけてますからね。セラピストにはならないように。」 この回答を前述の川喜田(1967、1970)の原則にのっとってTable 7、 Table 8、 Table 9、 Table 10. の4つの部分に単位化して「1行見出し(下位概念化)」をつけた。. 第2項「1行見出し」から「表札」「標識」作成の手順 また、Table 11はセラピストインタビュー、 Table 12はクライエントインタビューの語りからそれぞれ作 成した「1行見出し(下位概念化)」をもとに、さらに「表札(中位概念化)」「標識(上位概念化)」へとグ. ループ化しラベルをつけ例である。「1行見出し(下位概念化)」から「表札(中位概念化)」「標識(上 位概念化)」を作っていく過程を川喜田(1967」970)は「グループ編成」と呼んでいる。. 13.

(15) Table 71行見出し(下位概念化)作成例 ファイル名・記号. 1枚 4熱中. 1−4. 見出し 何を大切にして生きているのか、その上でどんな通し番号 t96 ことで困っているのかをアセスメントの時に注意 する。 この方が今現にどういう風なことで困っているのかなあとか、この方って、その人 なりに皆懸命に生きてる事に違いは無いですけど、何を大切にして生きている のかそういうことはやっぱり気をつけないといけないんですよね。 日付. 2007.9.8. 場所. K大学. 1NTERVIEWEE. INTERVIEWER. A. murata. Table 81行見出し(下位概念化)作成例. ファイル名・記号 卜3 2枚 4枚中 見出し 援助の時には、クライエントが自分の問題や課. 通し番号 t97. 題に気づいてくれることが必要だと思う。 この方にどういう応援が出来るのかなあと、例えば必ず解決しなくてもいいと思っ ているんです、私は。面接したからつて会ったからつて、ただ本人が気づけてこう いうところに問題や課題があるのねえと、まず気づいてくれるといいんじゃないか 日付. 2007.9.8. 場所. K大学. 1NTERVIEWEE. INTERV1EWER. A. murata. Table 91行見出し(下位概念化)作成例. ファイル名・記号 ト3 3枚 4枚申 見出し 動作面接でクライエントが、視点が変わったと 通し番号 tg8 か、考えやすくなったとか自分で元気になったと いってくれればいいと思う。 1回1回のセッションで重ねられたらいいですけど、1回で気づくというわけにはい かない場合もありますから、一緒に考えれたらいいですし、動作面接も通してで すけれどもね。動作面接をすることで本人が視点が変わったりとか、考えやすく なったりとか、こうだからこうだから、一足す一が二になったように、こうなって変. わって私は行動が変わりましたってそんな自覚がほとんどの人が無いといって ね。別に、ひとりでに自分で元気になったって言う、元気になってくれればいいん じゃないと思ってますからね、本人としてはですよ、クライエントとしてはですよ。 だからそれに気づけて元気になったという場合もあるし、人によって、自分で考 えたからつて元気になる人もあるし、それはまあ色々ですよね。 日付. 2007,9.8. 場所. K大学. ファイル名・記号. 1NTERV1EWEE. A. 1NTERV!EWER − murata Table 101行見出し(下位概念化)作成例 1−3 4枚 4枚中. 見出し 何かをする人=セラピストにはならないように気 通し番号 tg9 をつけている。. 要するに私は何かをする人にはならないように気をつけてますからね。セラピス トにはならないように。 日付. 2007.9.8. 場所. K大学. 1NTERV1EWEE. INTERV1EWER. A. murata. その手続きと注意点をまとめると以下のようになる。手続きの順番は①記録された紙片(1行見出し が書かれているもの)を読むというよりも眺める。②親近感を覚える紙片を集める。③集められた紙. 片を熟読しその根拠について理性的に検討をおこなう。④紙片全体の内容を圧縮して表現する見 出し(「表札(中位概念化)」)を見つける。⑤これらの「表札(中位概念化)」を同じ手続きを経て上位. 階層のグループを作る。川喜田(1967、1970)の用語では、上位階層のグループに対する命名も「表 14.

(16) 札」と呼んでいるが、本論文では階層ごとの区別のためにこの上位階層グループを「標識(上位概 念化)」と表記する。. 注意点としては次の2点を指摘している。(1)グループ化の時に最後までどのグループにも属さな いものが出ることがある。決して、何処かに入れようとするべきではなく上位のグループ編成に際し て検討すること、またそれでも入らないときにはそのまま独立のものとすること。(2)グループ分けは. 全体を先にグループに分割していくのではなく、それぞれ個々の「1行見出し(下位概念化)」或いは 「表札(中位概念化)」の親近性によるグループ化を進めて全体が数グループに分かれるようにおこ なうこと、である。「1行見出し(下位概念化)」から「表札(中位概念化)」「標識(上位概念化)」作成と. いうグループの形成過程ではボトムアップという方法が用いられ、同時に「情念」によってデータ紙 片を集め、「理性による検討」をおこなうという「情念と理性の二重構造」過程を経てグループ化され. るところに特徴がある。これらの手順と注意点に従ってグループ化をおこなった。Table 11では7つ. の「1行見出し」からその見出し毎のキーワード或いは意味内容から1つの「ラポールという意識で はなく相手の理解、信頼関係が大きい」という「表札」が作られ、その「表札」が1行見出しの内容も 考慮されて「ラポールという言葉ではなく理解、信頼、安心」という「標識」となっている。 Table 11セラピストデータのグループ編成の例. 1行見 し 札 示言 クライエントの訴えに沿って行く事が大切のでラ ポールはそれほど意識しない。 ラポールというよりも、自己紹介をしながら和んだ1. 感じが出れば良い。. 1ラポールi. ラポールというよりは少しでも理解したいというこ1という意i. 1薄霧iラポールという言. とです。. _1葉ではなく理解、信 ラポール形成は大事です。 ロ 動作9ことを説明する中で、緊張、不安をなくすよ羅劇頼・安心 うに信頼関係を作ろうと努力します。 1が大き! ロ 出来てることに焦点を当てて、問題を楽に見れる1い。. ようにする。 1 クライエントさんからその人の問題とどの様な動1 コ 作援助が必要かを教えてもらえるように話を聞く。1. 昌. Table 12クライエントデータのグループ編成の例 表札 1行見出し 触れられていないと一人で力を抜きさる体験が出来なかっ1 触れられていないと、後押しがなく申々緩まないで時間がか1. コ かるかもしれないと思った。. 5. 標識. :. 書. 1触れられて弛め1 ら. …. が分かった。. 動かし方が分かるので、触れてもらってたことが良かった。 晶 先生の手の動きに重ねていったという感じです。. :. 亀. :. 触れてもらうことでよく分かるようになった。. 艦講養豊麗蕊號軽羅矯籍;. …. 旨. ロ. 触れてもらうと気持ち良さがあった。. 1触れられるこ. ロ 1との意味 鶏錦甜によって・手のぬく生暖かさを感じられたi触れられて恥1 叫 であった。. 触れられることへの予期的な抵抗感を動作中に気づかなく1 なったのが驚きであった。 1. :. :. …. 5. 触れられることで言葉以上に癒される。 包まれるような援助の持ち方が、安心感を与える6. 身体が触れられない方が安心 触れられなかったので自分の自由に選べたような気がす る。. 15. :. 巴. 旨. =. 1. }触れられない自l. l 由と安心. …. =. =.

(17) Table 12においては5つの「1行見出し」から「触れられて弛めが分かった」という「表札」、7つの「1 行見出し」から「触れられて安心であった」という「表札」、2つの「1行見出し」から「触れられない自由. と安心」という「表札」が作られた。そして、これら3つのr表札」から「触れられることの意味」という 「標識」を作成した。. 第3項セラピストデータのKJ法によるカテゴリー分類 Table 13及びTable 14は、前述の方法に従って作成された、全セラピストデータのKJ法によるカ テゴリー分類とその数、及び全クライエントデータのKJ法によるカテゴリー分類とその数である。川. 喜田(1970)は、人間が直感的に全体としてとらえ、何らかの意味を見出すことが出来る数を経験知 から10以内としている。これを指針にグループ編成(カテゴリー分類)を行なったところ、最終的に、. セラピストデータにおいて8個の標識、クライエントデータにおいて10個の標識が得られた。その詳 細は以下のとおりである。 Table 13セラピストデータのKJ法によるカテゴリー分類とその数(但し各カテゴリー名は簡略化してある). 1 標識(上位概念) 1 l l 1i 動作面接が目指すもの i 1. l. 1. l圏. 1. 表札(中位概念). 十全な存在体験 クライエントの体験について考える 取組み方の変化を感じてもらいたい クライエントの問題. 21問題把握と動作法への導入! 1. ;. ?. l. 1 T. i. l. I. i動作法の開讐終了までのi 1 I. l l腫. 匿. 相手の理解、信頼関係 面接外で自分でやれることを求める セラピー璽構造化 動作の流れ プロセスの第1段階 プロセスの第2段階 プロセスの第3段墜 プロセスの,。り方. 1. 認題の決定理由. i. 6i 課題の決定から実施へ 1. l. i. !. 月半. 望ましい自己イメージ. i. l. 7i 身体状況と動作法の選択 i 1 1. l l. 8i言葉掛けの堺町は卜辞 I. 1行見出しの数(下位概. 9. t 匿. 昌. r. 課題の持つ効果 課題決定を考える. 動作法とクライエントの無理 身体、緊張に気づく. l. 努力の方向のための言葉かけ 安心感と声掛け. 計. 25. 5 8 3 3 11. 旨. 7. 冒. 2. 富. 1. : 塁. t 3 『. 唇. 卜. r [. 心・身体が求める課題を提示・実行す1. 動作法の禁忌 触れる援助と姿勢. 3. 卜. アセスメント. 31ラポールより理解、信頼、安心i 41タスク(宿題)としての動作法1. I. 動作への撞近. l. ヨ. =. [. 謹. 匿. ヒ. 1.. 3. 4 2 3. 10 9. 4 1. 6. 4 1. 2 2 5 8. 4 111. セラピストのインタビューデータからは「帯桟」の「1行見出し(下位概念)」が得られた。これらから. 構成され、命名された「表札(中位概念)」は、以下の25項目であった。「クライエントに自分は十. 全な存在であると体験してもらう」「動作中はクライエントの体験の実感やその意味について考え ている」「問題への向き合い方、取り組み方が変わったと感じてもらえればいい」という3つの「表 札」が「動作面接が目指すもの」という標識にグループ化された。「クライエントにとっての問題」 「動作への接近」「姿勢動作をアセスメントする」という3つの「表札」が「問題・課題把握と動作法 16.

(18) への導入」という標識にグループ化された。「ラポールという意識ではなく相手の理解、信頼関係 が大きい」というr表札」は、7つの「1行見出し」の内容も考慮して「ラポールという言葉ではなく理 解、信頼、安心」という標識になった。「面接外で自分でやれることを求める」という「表札」は、2つ の「1行見出し」の内容も考慮してが「タスク(宿題)としての動作法」という標識になった。「セラピー. の構造化」「動作の流れ」「動作プロセスの第1段階」「動作プロセスの第2段階」「動作プロセスの 第3段階」「動作プロセスの終わり方」という6つの「表札」が「動作法の開始から終了までの流れ」 という標識にグループ化された。「動作課題の決定理由或は根拠」「クライエントの望ましい自己イ. メージに向かって動作課題を提案する」「課題の持つ効果或は意味」「動作課題をどのように決定 するのかを考える」「クライエントの心理、身体が求める動作課題を提示・実行する」という5つの 「表札」が「動作課題の位置づけと決定から実施への流れ」という標識にグループ化された。「動作. 法の禁忌jr触れる援助の要・不要はクライエントの動作や姿勢が示している」「動作法はクライエ ントの無理を直ぐに察知する」という3つの「表札」が「クライエントの身体状況と動作法の選択」と. いう標識にグループ化された。「言葉掛けによって自分自身の身体、緊張に気づきやすくなる」「出. 来ていること、努力の方向のための言葉掛け」「安心感、自己肯定感、達成感のために声を掛け る」という3つの「表札」が「言葉掛けの機能或は効果」という標識にグループ化された。. 第4項クライエントデータのKJ法によるカテゴリー分類 クライエントのインタビューデータからは「117個」の「1行見出し(下位概念)」が得られた。これら から構成され、命名された「表札(中位概念)」は、以下の25項目であった。 Table 14クライエントデータのKJ法によるカテゴリー分類とその数(但し各カテゴリー名は簡略化してある) 標識(上位概念) 1. 2. 3. 言証面妾の機能 体験段階と過程への注目. 信頼感、リラックス感、意欲. 表札(中位概念). 言語面妾の働き 異なる段階と共通の結果 プロセスと注意の方向 ゆったりとして意欲がわいてきた。 彊やかなリラックスした気分. 信頼感を産む 重されている感じを感じた。. 4. 身体感覚への注目とリラック. @ 5. ス. 違和感を感じずに道かれた. 6 セラピストへの注目 7 セラピストの声の影画 8 9. 10. 触れられることの意味 声掛け、動き、触れる効果. 声掛けが生むもの. 計. 1行 出しの数(下位概 4 12 6 3. 15 1. 2. 自分で動かせたので落ち着いた. 1. 自由の変化. 8. 弛む感じに注意を向けていた 動作法による身体感覚の発見 体験は無心なリラックス感 身体が落ち着いて楽になると心も楽になつ 違和感を感じずに捲かれた セラピストへの注目. 5. 声の体験への影響. 3. 触れられて弛めが分かった。 触れられて安心であった。 触れられない自由と安心 声掛け、動き、触れることの効果. 5. 体験と符合した言葉掛けの働き. 3. 声掛けによる身体の修正. 4. 声掛けは安心感と自信をもたらす 声掛け蛙婆いてくれる 声掛けは主猶感を生んだ 25. 3 4. 17. 3 2 9 2. 2. 7. 2 2. 9. 117.

(19) 「言語面接の働き」という「表札」が「1行見出し」の内容も考慮され「言語面接の機能」という標識に グループ化された。「異なる段階と共通の結果」「プロセスと注意の方向」という2つの「表札」が「休. 験段階プロセスと体験過程への注目」という標識にグループ化された。「ゆったりとして意欲がわい てきた。」「穏やかなリラックスした気分」「信頼感を産む」「尊重されている感じを感じた。」という4つ. の「表札」が「信頼感、リラックス感を感じて意欲がわいた」という標識にグループ化された。「自分で. 動かせたので落ち着いた」「自体感の変化」「弛む感じに注意を向けていた」「動作法による身体感 覚の発見」「体験は無心なリラックス感」「身体が落ち着いて楽になると心も楽になった」という6つの 「表札」が「さまざまな身体感覚に注目することで心もリラックスした」という標識にグループ化された。. 「違和感を感じずに導かれた」という「表札」が「1行見出し」の内容も考慮され「違和感を感じずに導 かれた」という標識になった。「セラピストへの注目」という「表札」が「1行見出し」の内容も考慮され 「セラピストへの注目」という標識になった。同じく、「声の体験への影響」という「表札」が「1行見出. し」の内容も考慮され「セラピストの声の影響」という標識になった。「触れられて弛めが分かった」 「触れられて安心であった。jr触れられない自由と安心」という3つの「表札」が「触れられることの意 味」という標識にグループ化された。「声掛け、動き、触れることの効果」という「表札」が「1行見出し」. の内容も考慮されが「声掛け、動き、触れることの効果」という標識になった。「体験と符合した言葉 掛けの働き」「声掛けによる身体の修正」「声掛けは安心感と自信をもたらす」「声掛けは導いてくれ. る』「声掛けは主導感を生んだ」という5つのr表札2が「声掛けが生むもの」という標識にグループ化 された。なお、インタビュー及び階層化されたデータの一部或いは全部は参考資料に添付した。. 18.

(20) 第3節 KJ法における図解化と文章化の原則 川喜多(1970)はKJ法による図解化と文章化について次のように述べている。図解化は「KJ法の 本質をあらわして、その意味の構図の上にあえて価値判断、すなわち評価を加えないところに特色 がある。…(中略)…どのようにささやかに見えるデータであろうと、重要に見えるデータと同様に公. 平に扱うのである。そもそも重要であるかないかは、KJ法で組み立ててみるまではなんとも決しが たいことである。」としている。図解化の中心は空間配置である。空間配置は2つのステップがあると されている。第1ステップは以下のとおりである。「最終段階のユニット」(本研究においては「標識」). を意味内容に従って配置の試行を繰り返す。この空間配置の適切性、妥当性について川喜田 (1970)は次のように述べている。「それならば万事空間配置をおこなう人の主観しだいなのかとい えば、決してそうではない。それなりによく出来た空間配置は、よく見ていると十人十色ではなくて、. ある部分が人々に共通なものが多い。…十人二、三色といった場合がもっともふつうである。十人 十色にならないからといって、勝手気ままに出来るものではない。素材に素直であるかぎりは、そう. 勝手な空間配置はできないのである。」この観点に従い2種類の空間配置になるまで試行錯誤を行 い、セラピストデータについては「言葉掛けの機能或は効果」標識、クライエントデータについては 「触れられることの意味」標識、「声掛け、動き、触れることの効果」標識、「声掛けが生むもの」標識. がそれぞれに妥当な意味相関であると考えられる空間配置を採用した。第2ステップとして、川喜多 (1970)に従いそれぞれの「標識」に含まれる「表札」データをその「標識」の空間配置内でバラバラ. にして、同じく意味相関にしたがって下位の空間配置をおこなった(下位の図解については参考資 料を参照)。グループ編成(カテゴリー分類)についてはボトムアップ方式であったが、図解化につい てはトップダウン方式であるといえる。. また、文章化の意義について川喜多(1970)は、次のように述べる。本来のKJ法における文章化 は「叙述と解釈」を明確に分けながらも、ともに含んだものである。図解にもとづいて文章化をおこな. う時にはその対立や矛盾を生産的に生かそうという努力が必要になりそこに新しいアイディア、ヒン トが出てくる。このアイディア、ヒントとデータをたくみにつないでストーリーを作っていくところにKJ法. における文章化の重要な意味があるとしている。「文章化は図解をふまえておこなう。そのときに図. 解のどの部分から文章化を始めるかという、一つの作戦の問題があるが、やはりこのあたりから始 めるのが順序としてよいという場所がある。それは、個々の材料により、また作者の意図によってき まる」と述べている。そして「基本的発想データ群(BDA)」(本研究においては「1行見出し」群、或い は「表札」群)に注目し、「グループ編成のときの最初の小さな一グループ、もしくはその小さな一グ ループが:二つ、三つ集まった程度のグループ」から始めるべきであることを主張している。文章化の. 手続きについて、「叙述と解釈とをまぎらわしくなく、自分にも他人にも明白に区別できるように記す ことが、文章化のもっともだいじな点だと思う」とも述べている。本研究では、動作療法中における 「言葉掛け・声掛け」や「触れること」などの「治療促進的要因」の役割に焦点をおいており、動作プロ. セスの経過記述はそれとの連関において記述される。よって、それらに関する「表札」或いは「1行見 出し」の相互関連を中心に文章化をおこなう。また、川喜多(1970)のいう「叙述と解釈」については、 「叙述」を「結果」において「解釈」を「考察」において述べる。. 19.

(21) 第4節クライエントデータの図解化と文章化の例 Figure 1は、クライエントデータの階層分類全体を図解化したものである。図全体が「標識(上位 概念化)」間の関係を表しており、図中の小さな四角形は個々の標識(上位概念化)」を表している。 また、小さな四角形の中の個々の文章は、「1行見出し(下位概念化)」である。図解の「→」は「影響 する」「関連する」という表記によって、また「←→」は相互に関連或は影響するという関係を表す。 Table 15は図解化にもとづいたクライエントデータのうち標識(上位概念)の文章化(叙述)を表す。. Table 16は標識の文章の元となる表札の文章化の例である。他の表札の文章化は、参考資料とし て巻末に添付する。. 20.

(22) 「. ウうイエントD醜融の▲溢i僻(桐団晦グループ). 回盲搬の雛. 億麟礁馬リラツケス髄聾じて竃歓ぶわいた. 踏響撃払の中二【縛麟々¢身体纏糞に注目することでOもリラックスした. @ ゆったりとして章敏がわいてきた.. @@ 搬蓼欝→自纈齢 ↓ 1 慧諜1響・ 駿灘る射寧. 骭怐x. 翻:諏つた。. \ /. 蓄臨画. @. ↓ ↓. 欝類跨 魏i灘甥離に. r這糊謄鵬ず周防、れた 遭翻隠壱璋。ずに轟かれた セつピストへの建闘. セ9ピストへの建口. 儀れられることの二二. セラピストの貞の影●. 獅の体験への影●. Figure 1 21’.

Table 16クライエントデータの文章化6・7・8 6 7 8 標識(上位概念) 表札レベルの文章化「セラピストへの注目」 は、「セラピストの声」1動作中はセラピストの反応に注意を向けていて、その動きを真似ようと や「セラピストに触れら1「セラピストを注目」していた。「セラピストの声」や「セラピストに触れられれること」と相互に関1ること」と相互に関係しているといえる。係しているといえる。1 かれた」という体験「セ1たり、動かしたりが分かった」ということである。そのことは「触れられるこラピストへの注目」とい
Table 18セラピストデータの文章化の例8 標識(上位概念) 表札レベルの文章化 8        1声掛けをする目的はクライ土ントの自己コントロールカを高めることである。       1声掛けは主体的取り組みを指示する事に効果があるからであり、クライエンにとって「言葉掛1張に気づきやすくなる」ということである。 ことである・        1っに声を掛けるということである。クライエントへの言葉掛けは強制ではなく        1て、成り行きに任重て木丈夫だというメッセージでセラピストが気づいたクラ 注
Table 22事例3動作中のプロトコルへの会話分析三 明弱輩禰醗翫跣巳馳一一一一一一→亜鵯畿灘響 肩 の 上 げ 下 げ 課 題 ■        1 ロ        ロロ        ロ lth、cl l((th、 cl、が同時に腰を立てて背を立てた。)) ithi倉畜縁i奇鎌発1黙読磨濫淫骸ようか・■        11  泊分の肩をあげ始める。))■        1■        置コ       ロコロ        ロithlそうそうそうそう。((亡hはclの動きを注視している))■  
Table クライエントデータの文章化3・5 3 5 標識(上位概念) 表札レベルの文早化         ヨ          1「落ち着いて穏やかなリラックスした気分になった」とは、穏やかで安らかな         i感じがして、落ち着いていることである。一旦は焦っている気持ちがストップ         1して思考停止みたいな感じであったり、気持ちの方が落ち着いていたりで 「体験段階プロセス」1あった。安心してリラックスして楽になった。気持ちもスッキリした。なんかのや「体験過程への順義情がわくというより
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