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相互作用エネルギー成分分割解析機能PIEDAの実装とタンパク質-リガンド間の相互作用解析

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(1)

研究論文

相互作用エネルギー成分分割解析機能 PIEDA の実装と タンパク質 - リガンド間の相互作用解析

塚本 貴志

a*

,加藤 幸一郎

a

,加藤 昭史

a

,中野 達也

b,d

,望月 祐志

c,d

,福澤 薫

a,d†

aみずほ情報総研株式会社 〒101-8443 東京都千代田区神田錦町

2-3

b国立医薬品食品衛生研究所 〒

158-8501 東京都世田谷区上用賀 1-18-1

c立教大学 〒

171-8501 東京都豊島区西池袋 3-34-1

d東京大学生産技術研究所 〒

153-8505 東京都目黒区駒場 4-6-1

* e-mail: takayuki.tsukamoto@mizuho-ir.co.jp

(Received: October 2, 2014; Accepted for publication: December 4, 2014; Online publication: January 30, 2015)

フラグメント分子軌道(Fragment Molecular Orbital; FMO)法はタンパク質などの巨大分子の電子状態 計算を可能にする方法であり,FMO計算によって得られるフラグメント間相互作用エネルギー(Inter

Fragment Interaction Energy; IFIE)がタンパク質-リガンド間相互作用などを理解する上で有用であるため創

薬研究などに用いられている.本研究ではFMO計算プログラムABINIT-MP及びそのプリポストBioStation

Viewerに,IFIEを静電相互作用エネルギー(ES),交換反発エネルギー(EX),電荷移動相互作用エネルギー

(CT+mix),分散エネルギー(DI)の4つのエネルギー成分に分割・解析できる機能PIEDA (Pair Interaction

Energy Decomposition Analysis)を実装し,複数のタンパク質-リガンド系で実証計算を行った.その結果,

ノイラミニダーゼ-オセルタミビル,EGFRチロシンキナーゼ-エルロチニブ,エストロゲン受容体-リガ ンド複合体の3つの系がそれぞれ異なる特徴的なタンパク質-リガンド間相互作用を持っていることが示 され,IFIEを各エネルギー成分に分割して評価できるPIEDAの有用性が示された.

キ ー ワ ー ド: FMO, IFIE, PIEDA, Quantum mechanical calculation, Biomolecule, Interaction energy analysis, Drug design

1 はじめに

近年の目覚ましいコンピューターとソフトウェアの発 展に伴い,高精度で実用的なシミュレーションが創薬や ものづくりの現場に普及しつつある.フラグメント分子

軌道(FMO)法 [1–4]は,タンパク質などの巨大分子をア

ミノ酸などの単位でフラグメント(断片)に分割し,複 数のフラグメントの組み合わせにおける電子状態を計 算することで分子全体のエネルギー等を計算する方法 である.並列コンピューティングとの相性が良く,現実

的な時間内でのタンパク質の高精度量子化学計算を可能 にする上,フラグメント間の相互作用エネルギー(Inter Fragment Interaction Energy; IFIE)が得られるため,医薬 品化合物などの設計において有用である.FMO法はこ の10年の間に主に生命化学分野において飛躍的に発展 し,すでに創薬やワクチン開発の場で利用され始めてい る [5,6].

ABINIT-MP [5,7–9]はFMO法の主要プログラムの1つ

であり,その専用プリポストBioStation Viewerとのパッ ケージであるBioStationとして,東京大学生産技術研究 所を中核拠点とした文部科学省次世代IT基盤構築のた めの研究開発「イノベーション基盤シミュレーションソ フトウェアの研究開発」をはじめとするプロジェクトに て開発,公開されてきた [10].商用利用による普及も進

J. Comput. Chem. Jpn., Vol. **, No. **, pp. **–** (****) ©2014 Society of Computer Chemistry, Japan

†現所属:日本大学松戸歯学部

〒271–8587 千葉県松戸市栄町西2–870-1

(2)

んでいる [11].本研究では,前述のIFIEを静電相互作用 エネルギー(ES),交換反発エネルギー(EX),電荷移動 相互作用エネルギー(CT+mix),分散エネルギー(DI)の 4つのエネルギー成分に分割し,その詳細を評価できる 手 法 で あ るPIEDA (Pair Interaction Energy Decomposition Analysis) [12]をMIzuHO/BioStation [11]に実装し,これ を3つのタンパク質-リガンド系に適用した.用いた系 は,ノイラミニダーゼ-オセルタミビル(商品名タミフル

®),EGFRチロシンキナーゼ-エルロチニブ(商品名タル

セバ®),エストロゲン受容体-17β-エストラジオール複

合体である.PIEDAを用いることでタンパク質と医薬品 化合物などの相互作用をより詳細に解析することが可能 になり,新規医薬品の設計に有用な知見が得られると期 待される.

2 手法

FMO法ではフラグメント間の相互作用エネルギーで

あるIFIEを計算することができ,例えば医薬品化合物

とタンパク質の各アミノ酸残基との間の引力的または反 発的相互作用の大きさを評価することができる.北浦,

Fedorovら [12]により提唱されたPIEDA (Pair Interaction Energy Decomposition Analysis)はIFIEを各種エネルギー 成分に分解し,注目する相互作用がどのようなエネル ギー成分から成り立っているかを評価できる方法であ る.PIEDAの理論的背景や計算手法については論文 [12]

にて詳細に解説されているが,本稿でも主要な式に関し て再度概説する.

2.1 エネルギー分解法

PIEDAは 北 浦・ 諸 熊 の エ ネ ル ギ ー 分 解 法(Energy Decomposition Analysis; EDA) [13]の 考 え 方 をFMO法 の IFIEに適用した方法である.例えば水分子の二量体が あった場合,これらの水分子間の結合エネルギーΔEは 二量体の全エネルギーから各々の水分子の全エネルギー を引くことで求められる(Supermolecule方式).その結果 得られる水分子の結合エネルギーは数kcal/mol程度とな るが,その内訳を静電相互作用,交換反発,電荷移動相 互作用等の各種成分に分ける方法がEDA法である [13].

例えば,酸素原子間の距離が2.98 Åの水分子二量体で はHF/4-31G*レベルでΔEが-7.72 kcal/molとなるが,そ の内訳として静電相互作用が-8.98 kcal/mol,交換反発が

4.19 kcal/mol,電荷移動が-2.11 kcal/molなどと求まり,

静電相互作用が主なエネルギー成分であることがわかる [13].

2.2 PIEDA の各種エネルギー成分

PIEDAによりフラグメントI,J間のIFIE (ΔEIJ)を静 電相互作用エネルギーΔEES,交換反発エネルギー(Δ EEX),電荷移動相互作用エネルギー(mixed termを含む,

ΔECT+mix),分散相互作用エネルギー(ΔEDI)の4成分に分

けることができる(式(1)).

ES EX CT mix DI

IJ IJ IJ IJ IJ

E E E E + E

∆ = ∆ + ∆ + ∆ + ∆ (1)

ここで静電相互作用エネルギーΔEESはフラグメント間 の電子-核,電子-電子,核-核の引力的または反発的 な相互作用の和として計算される(式(2)).

( ) ( )

( )

, ,

ES I I J J J I

IJ

I J IJ

pq rs nucler

pq I rs J

E Tr D u Tr D u D D pq rs E

∆ = +

+

∑ ∑

+ ∆ (2)

ここで式(2)の第1,2項は電子-核間の引力に対応し,

フラグメントI (またはJ)の電子とフラグメントJ (また はI)の核との間の核引力積分(uI,JまたはuJ,I)にフラグ メントI (またはJ)の密度行列Dを掛けて求める.次に 式(2)第3項は電子-電子の反発に対応し,フラグメン ト間の4中心2電子反発積分(pq|rs)に各フラグメントの 密度行列Dを掛けて求める.第4項はフラグメントIJのダイマーの核反発エネルギーから各モノマーの核反 発エネルギーを引いたものである.

次に式(1)第2項の交換反発エネルギーΔEEXについて 述べる.交換反発はPauliの排他原理による占有軌道間 の反発的相互作用であり,通常のHartree- Fock法では2 電子交換積分の項によって計算される.PIEDAにおいて ΔEEXはHartree-FockレベルのIFIEで式(3)の関係が成り 立つことを利用して求める.

HF ES EX CT mix

IJ IJ IJ IJ

E E E E +

∆ = ∆ + ∆ + ∆ (3)

IJのダイマーの全エネルギー計算において,通常は SCF計算が行われ電子密度が自己無撞着になるまで反復 計算が行われるが,ΔEEXは電子密度を各モノマーの電 子密度に固定した状態で得られる全エネルギーEEXを用 いて式(4)に示すように計算する.

(3)

( )

' '

EX EX EX

IJ IJ IJ IJ I J

IJES

E E Tr D V E E

E

∆ = − − −

− ∆ (4)

ここでEEXはフラグメントのダイマー形成による電荷移 動の寄与を無視した全エネルギーなので式(3)における 第3項が0となる.また,式(4)の第1から4項はIFIE を計算するための式に対応し,先に求めたΔEESとの差 からΔEEXを計算できる.

ΔEESとΔEEXが計算できれば式(3)からΔECT+mixを求め ることができる.ここでΔECT+mixは全体から他のエネル ギー成分を差し引いた余りとして求めるため,電荷移動 とその他の相互作用がカップリングした高次の相互作用 エネルギー(mixed term)を含むが,その値の大きさは一 般的な系では無視できる程度の大きさであることが示さ れている [13].

最後にΔEDIはMP2計算などによって求めるダイマー の電子相関エネルギーから各モノマーの電子相関エネル ギーの和を引いて求めることができる.

2.3 フラグメント間の電荷移動量の評価

論文 [12]ではフラグメントIからJへの電荷移動量 ΔqI→Jについても評価する方法が提唱されている.注目 するフラグメントIの原子電荷について,モノマーの場 合のMulliken電荷qIIとダイマー形成時のMulliken電荷 qIIJの差分を取る方法であり,以下の式で求められる.

( )

,

or

CT I IJ

I J I I

X X

I I

I

X X X X X

q q q

q Z Z X I IJ

Z D S D S

α α

α µν µν µν µν

µ ν α µ α ν α

∆ ≡ −

≡ − + =

= +

∑ ∑ ∑

(5)

ここでαは原子のインデックス,μとνは基底関数のイ ンデックスであり,DとSはそれぞれ密度行列と重なり 行列である.

このフラグメント間の電荷移動量を評価する方法につ いてもBioStationに実装し,ΔqI→JをPIEDAの各種エネ ルギー成分と合わせて出力するようにした.電荷移動の 相互作用の大きさをΔECT+mix項によって評価することが でき,さらにΔqI→Jを評価することによって電荷移動の 方向を知ることができる.

3 実装

PIEDAの計算機能をABINIT-MPに,PIEDAの計算結

果を可視化する機能をBioStation Viewerにそれぞれ実装 した [11].なお,PIEDAの検証については,先行論文 [12]でEDAとの数値比較がなされており,水クラスター

n量体 (n = 2−16)において両者の各エネルギー成分が1%

程度の誤差で一致することが示されている.本実装で は,先行論文で用いられているGAMESSプログラムと の数値比較を行い,一致することを確認した.ABINIT-

MPでのPIEDAの実行は非常に簡単であり,従来のFMO

計算のインプットファイルにPIEDAの実行を指示する ネームリストとキーワードEnergyDecomposition = 'YES' を追加するだけで良い.FMO計算が完了するとログ ファイルにはIFIEの出力に続いてFigure 1に示すよう にPIEDAで計算されたエネルギー成分であるES,EX,

CT+mix,DI及びΔqI→Jがフラグメントの組み合わせ毎

に出力される.これは水分子5量体の例であるが水素結 合を形成する水分子間の静電相互作用エネルギーが最大

−16.7 kcal/molと大きいことがわかる.これに交換反発

Figure 1. (a) Output of PIEDA analysis for the system of five water molecules (b) calculated at FMO-MP2/6-31G** level.

(4)

エネルギーなどが加わり正味の相互作用エネルギーは

−8から−9 kcal/mol程度となる.また,各エネルギー成

分の絶対値はES,EX,CT+ mix,DIの順に大きいこと,

水素原子から酸素原子に0.04 e程度の電荷が移動してい ることなどもわかる.

GuIを用いた可視化解析は計算完了時に出力される チェックポイントファイル(cpfファイル)をBioStation Viewerで読み込むことで実施できる.ここではエストロ ゲン受容体の複合体を例にGuIの基本的な機能を紹介す る.従来からの機能としてBioStation Viewerでは注目す るフラグメント(ここではリガンド)と周囲のフラグメン ト(ここではタンパク質の各アミノ酸)の間のIFIE値に 基づいて立体構造を色づけすることができたが,今回新 たに実装した機能では, PIEDAの各エネルギー成分(ES,

EX,CT+mix,DI)及びΔqに基づいて立体構造を色づけ

ることできるようになった(Figure 2 (a-e)).それぞれの カラーグラデーションは,ESが赤/青(−/+),EXが紫(+),

CT+mixがシアン(−),DIが緑(−),Δqが赤/青(−/+)と なっており,色の強弱が相互作用の強さを表している.

また,Figure 2 (f)に示すように,Figure 2 (b)~(e)のうち

最も大きなエネルギー成分によって各フラグメントを色 づけする"Main component”表示機能も実装した.

4 解析事例

3つのタンパク質−リガンド系に対してPIEDAを適用 した.具体的には,(1)ノイラミニダーゼ(neuraminidase;

NA)とオセルタミビル(商品名タミフル®),(2) EGFRチ

ロシンキナーゼとエルロチニブ(商品名タルセバ®),(3) エストロゲン受容体(ER)と17β-エストラジオールにつ いて,リガンドと周辺アミノ酸残基間の相互作用成分 解析を行った.尚,計算レベルはFMO2-MP2/6-31G*を 用い,フラグメント分割に関しては,タンパク質はアミ ノ酸残基単位,リガンドは全体を1フラグメントとして 扱った.

4.1 インフルエンザノイラミニダーゼ (NA)

抗インフルエンザ薬であるオセルタミビルは,増殖し たウイルスの遊離過程において,ウイルス膜表面タンパ Figure 2. Visualization of PIEDA results using BioStation Viewer: (a-d) four energy components of interaction energy between the estrogen receptor (ribbon) and its ligand (yellow, ball & stick), (e) charge-transfer estimated by change of Mulliken atomic charge, (f) "main component" representation, in which each amino acid colored by the largest energy component in the four components.

(5)

ク質であるNA (Figure 3 (a)) が宿主細胞表面のシアロ糖 鎖を切断する機能を阻害する.阻害剤とNAの周辺アミ ノ酸残基との間の相互作用をFMO法によって定量的に 評価することで,阻害メカニズムの解明や阻害剤の設計 などに役立てることができると期待される.

本解析ではPIEDAを用いてNA –リガンド間の相互作 用を各エネルギー成分に分割し,相互作用の詳細を解析 した.Figure 3 (c)にNA –リガンド間のIFIEを示す.こ の図において横軸はアミノ酸フラグメントであり,縦軸 はそのアミノ酸残基とリガンドとの間のIFIEの各エネル ギー成分の大きさ(kcal/mol)を表している.また,横軸 のアミノ酸はリガンド−アミノ酸間のIFIEの総和が引力 的に大きいアミノ酸を左から並べ,同じくIFIEの総和が 反発的に大きいアミノ酸を右から並べ,中間のIFIEが

0 kcal/mol付近のアミノ酸は省略している.この棒グラ

フから阻害剤とNAのアミノ酸残基間の相互作用はES成 分が支配的であることがわかる.これはFigure 3 (b)に示 すようにオセルタミビル活性体構造が両性イオンのリガ

ンドであることから妥当な結果であるといえる.

Figure 4には従来のIFIE (Total IFIE),各エネルギー成 分(ES,EX,CT,DI),およびmain component表示によ り各アミノ酸フラグメントを色づけした図を示す.ES による相互作用が支配的であるため,Total IFIEとESの 表示にほとんど違いがなく,Main component表示でもES による引力的相互作用が支配的であることが視覚的にも 確認できる.

4.2 EGFR チロシンキナーゼ

EGFRチロシンキナーゼ(EGFRK, Figure 5 (a))は肺がん の分子標的薬のターゲットあり,既にゲフィチニブ(商 品名イレッサ®),エルロチニブ (Figure 5 (b)) などの阻害 F i g u r e 3 . ( a ) A c o m p l e x o f i n f l u e n z a s u r f a c e

p r o t e i n N A ( p i n k a n d g r e e n ) a n d o s e l t a m i v i r (yellow). (b) Active conformation of oseltamivir.

(c) Inter fragment interaction energy (IFIE) between oseltamivir and its surrounding amino acids. The four energy components are shown by red (ES), pink (EX), cyan (CT+mix), and green (DI).

Figure 4. (a) Conventional IFIE (Total IFIE), (b)-(e) the four energy components based on PIEDA (ES, EX, CT, DI), and (f) main component of the interaction energy between oseltamivir and its surrounding amino acids.

(6)

剤が上市されている.エルロチニブはπ電子を多く持つ リガンドであり,Figure 5 (c)(d)に示すようにEGFRKと の結合状態では周囲のアミノ酸と多くのCH/π相互作用 [14–16]を示す.

Figure 5 (e)にEGFRK−リガンド間のIFIEの各エネル

ギー成分を示す.Figure 3 (c)のNA‐ リガンドでは静電 項(ES)が殆どであったが,ここでは分散項(DI)の寄与も 大きいことがわかる.リガンドとのCH/π相互作用が示 唆されているアミノ酸にFigure 5 (e)中に矢印を付けて示 しているが,分散エネルギーが大きいアミノ酸と一致し ており,CH/π相互作用の存在を裏付けている.

Figure 6に示した立体構造のエネルギー成分による色

づけを見ると,Total IFIEで引力的な相互作用を示してい る残基でもES成分では反発的なものがあることがわか る.これらを安定化させているのはDI成分であり,main

component表示と併せて見ることで各成分の寄与を明ら

かにすることができる.各残基の主要成分は主に,荷電・

極性アミノ酸残基がES,疎水性残基がDIとなっている.

4.3 ER-17 βエストラジオール

核内受容体の一種であるEstrogen Receptor (ER)は,女 性ホルモンを内因性リガンドとしており,乳がんや骨粗 しょう症のターゲットとなっている.これまでに,エス トロゲン受容体への複数の化学物質の結合性をFMO計 Figure 5. (a) A complex of EGFRK (ribbon) and erlotinib

(ball & stick). (b) Structural formula of erlotinib. (c),(d) CH/π interaction between erlotinib and surrounding amino acids by using CHPI program [14–16]. (e) IFIE between erlotinib and its surrounding amino acids.

Figure 6. (a) Conventional IFIE (Total IFIE), (b)-(e) the four energy components based on PIEDA (ES, EX, CT, DI), and (f) main component of the interaction energy between erlotinib and its surrounding amino acids.

(7)

算を用いて評価できることが示されている [17,18].

本解析では,PIEDAを用いてERと17β-エストラジ

オール(Figure 7 (a))との間の相互作用エネルギー成分

を解析した.Figure 7 (b)にERとリガンド間のIFIEを示 す.Total IFIEが引力的に大きかった上位2つのアミノ酸

残基はES成分の寄与が大きく,それに続く残基ではDI

成分の占める割合が大きいという結果になった.静電 相互作用の寄与が特に大きかった2つの残基はGLu353 とHIS524であり,Figure 7 (a)に示す通りリガンドとの 間に水素結合を形成している.特にGLu353において はCT成分も大きいことが判った.一方,その他の残基 は大半が疎水性残基であった.Figure 8 (f)に示すmain

component表示からはアミノ酸残基毎にESまたはDIが

主要成分になっていることが示され,各残基の相互作用 の特徴を視覚的に捉えることができる.

5 おわりに

本稿では,BioStationに新たに実装したPIEDAの概要 と適用事例について報告した.PIEDAを用いることによ り,これまで単一の値として得られていたIFIEを各種エ ネルギー成分に分けて計算することができるようになっ た.また,PIEDAで得られる各種エネルギー成分の可視 化解析機能についても,main component表示などの新規 の機能も含めて実装した.実証計算では,インフルエン ザNA,EGFRチロシンキナーゼ,エストロゲン受容体の 3つの系について,リガンドとの相互作用のエネルギー 成分を解析し,それぞれの相互作用の特徴を明らかにし た.PIEDA解析がリガンド結合を評価する上で有用であ ることが示され,創薬などの分子設計への活用が期待さ Figure 7. (a) Schematic picture of interactions between

estrogen receptor (ER) and 17β-estradiol (EST). Direction and magnitude of charge-transfer (CT) are indicated by arrows. (b) IFIE between EST and its surrounding amino acids

Figure 8. (a) Conventional IFIE (Total IFIE), (b)-(e) the four energy components based on PIEDA (ES, EX, CT, DI), and (f) main component of the interaction energy between EST and its surrounding amino acids.

(8)

れる.また,最近では複数のリガンドの結合性を統計的 手法によって予測するための技術開発が行われており,

FMO法との融合が模索されている [19–23].PIEDAは各 種エネルギー成分と電荷移動量という複数の説明変数を 与えることができるという点で期待できる.

本研究の実施にあたり,東京大学生産技術研究所の沖 山佳生博士,渡邉千鶴博士に大変有益なご助言を頂きま した.また多くの共同研究者の皆様に感謝申し上げま す.

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[Medline] [CrossRef]

(9)

Implementation of Pair Interaction Energy Decomposition Analysis and Its Applications to Protein-Ligand Systems

Takayuki TSuKAMOTO

a*

, Koichiro KATO

a

,Akifumi KATO

a

,Tatsuya NAKANO

b

, Yuji MOCHIzuKI

c,d

, Kaori FuKuzAwA

a,d*

a

Mizuho Information & Research Institute, Inc., 2-3 Kanda-Nishikicho, Chiyoda Tokyo 101-5494 Japan

b

National Institute of Health Sciences, 1-18-1 Kamiyoga, Setagaya, Tokyo 158-8501, Japan

c

Rikkyo university, 3-34-1 Nishi-ikebukuro, Toshima, Tokyo 171-8501, Japan

d

university of Tokyo, 4-6-1 Komaba, Meguro, Tokyo 153-8505 Japan

* e-mail: takayuki.tsukamoto@mizuho-ir.co.jp, fukuzawa@iis.u-tokyo.ac.jp

The fragment molecular orbital (FMO) method enables us to calculate electronic states of large molecules such as proteins. The FMO method has been employed by researchers in the drug discovery and related fields, because inter fragment interaction energy (IFIE), which can be obtained in the FMO calculation, is useful to understand interac- tions between proteins and their ligands, In the present study, we implemented pair interaction energy decomposition analysis (PIEDA) into the FMO calculation program ABINIT-MP and its GuI program BioStation Viewer. PIEDA is a method which divides the IFIE into four energy components: electrostatic (ES), exchange repulsion (EX), charge-trans- fer and mixing term (CT+mix), and dispersion (DI) energies. After the implementation, we applied the PIEDA to three protein-ligand systems in order to clarify which energy components play main roles in their binding interactions. The results show that the protein-ligand interactions in complexes of influenza protein neuraminidase-oseltamivir, EGFR tyrosine kinase-erlotinib, and estrogen receptor-ligand consist of clearly different energy components. This indicated that PIEDA is useful to understand details of ligand binding mechanisms.

Keywords: FMO, IFIE, PIEDA, Quantum mechanical calculation, Biomolecule, Interaction energy analysis, Drug design

(10)

相互作用エネルギー成分分割解析機能 PIEDA の実装と タンパク質 - リガンド間の相互作用解析

Comments

[Q1] The citation to Figure 3c appears to be out of order.

[Q2] Medline indexes “Chem. Phys. Lett.” but cannot find a listing for reference 1 “Kitaura, Sawai, Asada, Nakano, uebayasi, 1999”. Please check the reference for accuracy.

[Q3] Medline indexes “Chem. Phys. Lett.” but cannot find a listing for reference 2 “Kitaura, Ikeo, Asada, Nakano, uebayasi, 1999”. Please check the reference for accuracy.

[Q4] Medline indexes

“Chem. Phys. Lett.” but cannot find a listing for reference 7 “Nakano, Kaminuma, Sato,

Akiyama, uebayasi, Kitaura, 2000”. Please check the reference for accuracy.

[Q5] Medline indexes “Chem. Phys. Lett.” but cannot find a listing for reference 8 “Mochizuki, Yamashita, Murase, Nakano, Fukuzawa, Takematsu, watanabe, Tanaka, 2008”. Please check the reference for accuracy.

[Q6] Medline indexes “Chem. Phys. Lett.” but cannot find a listing for reference 9 “Mochizuki, Yamashita, Fukuzawa, Takematsu, watanabe, Taguchi, Okiyama, Tsuboi, Nakano, Tanaka, 2010”. Please check the reference for accuracy.

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1976”. Please check the reference for accuracy.

参照

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