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博 士 ( 農 学 ) 久 米 靖 穂 学 位 論 文 題 名

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Academic year: 2021

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博 士 ( 農 学 ) 久 米 靖 穂

学 位 論 文 題 名

リ ン ゴ 計 画 密 植 園 の 垣 根 仕 立 て 方 式 へ の 転 換 方 法      に 関 す る 研 究

学 位 論 文 内 容 の 要 旨

  果樹 の栽植 密度 と仕立 法は収 量,品 質に 大きな 影響を 及ぼす ばかり でな く,作 業の難易にも関 係 す る の で , 種 類 , 樹 齢 に 応 じ た 適 正 な 方 法 が 確 立 さ れ る こ と が 望 ま れ る 。   本研 究はり ンゴ の計画 密植園 におい て間 伐を行 うこと なく, 過密化 を防 ぐ方法 として垣根仕立 て方 式への 樹形の 改造 法を確 立する 目的で 行った もの で,受 光量, 樹相, 生産 力,果実品質など にっ き比較 調査し た結 果,実 用化し 得るこ とを実 験的 に実証 し得た 。さら に樹 形改造後の樹体の 管理 方法と して, 夏季 せん定 ,窒素 施肥の 制限, はく 皮逆接 ぎなど のわい 化処 理を実施し,その 効果にっいても検討した。その概要は次のとおりである。

1, リン ゴ 樹に おい て幹周 の増大 は地上 部の増 大な らびに 着果数 ,収量 と密 接な関 係があ り,低   密度 区では 幹周 と着果数の間にはrーO. 798,幹周と収量の間にはr二ニO.769と高い相関関係が   認め られた 。と くに幹 周70cmま で着果 数は直 線的に 増大 した。 中密度 区では 幹周 と着果数の間   に はr=ニO.812, 幹 周 と 収 量 の 間 に はr=0.818と 高 い 相 関 関 係 が 認 め ら れ た 。     樹 高と樹 冠幅は 若木時 代の栽 培管 理,と くにせ ん定の 強弱 によっ て差は 認めら れるが,低密   度区 では樹 高と 着果数 の間にr ‑0. 753,樹高と収量の間にr二二O.709,樹冠幅と着果数の間に   r二ニO.815,樹 冠幅と 収量の 間に はr =0. 745と高い相関関係が認められた。中密度区では樹高   と着果数の間にr二二0. 815,樹高と収量の間にはrーO.820,樹冠幅と着果数の間にはr二ニO.866,   樹冠幅と収量の間にはr=ニ0.872と高い相関関係が認められた。

    幹周の増加は地上部の発育状態を知るうえで樹体調査項目中で最も安定した生育指標であったが,

  樹高と樹冠幅の増大と合わせて調査することが収量推定の精度を高めるうえに重要なことが判明した。

2.  10a当た り,33本 植え, (5.4mX5.4m)で は15年生 で,50本植え(4. 5mx4.5m)では11年   生で 密植の 害が 果実品 質に現 れた。 この 時期か ら間伐 するか ,樹形 改造 するか ,いずれかの措   置をとらなければナょらないが,時期の目安は樹冠占有率が70%になった時であると判断された。

3. 高品 質,多 収を維 持する ため には,10a当 たり,33本植 えの場 合は樹 高3.5m,樹 冠幅3.6m,

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50本植 えでは 樹高3. 5m,樹 冠幅3.Omが結実 面積, 結実容 積か ら適当 で,こ の樹形 が最も 生産 性が あり, 効率の よい樹 形で あるこ とを明 らかに した。

4.樹 冠 幅 の 異 な る垣根 仕立て 樹の樹 体変化 と受 光量を 調査し た結果 ,改 造後3年ま では樹 勢が 安 定 せず , 多 く の徒 長枝が 発生し ,光 の透入 が悪く ,樹冠 内部 は暗か った。 この傾 向は強 せん 定 を 加え た 樹 ほ ど著 しかっ たが, 夏季 せん定 ,はく 皮逆接 ぎ, 窒素の 制限な どを併 用する こと に よ って4年 目 に は樹 勢 が 安 定 し, 受 光 態勢 が改善 された 。普 通樹の 垣根仕 立て樹 に対し て側 面 刈 り込 み 角 度 をっ けるこ とは, 樹冠 への光 透過を 良好に し, 着色と 果実品 質には 良い影 響を 与 え るが , 一 挙 に強 く刈り 込むこ とに よって 樹を若 返らせ るの で,適 正な樹 勢にし ,夏季 せん 定 な どで 樹 冠 内 部に 頂芽を 増加さ せ, 結果枝 を適正 に配置 した うえで 徐々に 角度を っける こと が良 好であ った。

5. 垣根仕 立て 樹の適 正な樹 形構成 とし て枝の 密度,主枝本数,側枝の発出位置を検討した結果,

  3っの型 の樹形 構成が 考えら れた 。

    I型 は 主幹 ― 主 枝 一 亜主 枝 一 側 枝 で,10a当 りの 栽植本 数は30本 から40本,樹 高は3.5m, 樹 冠 幅が3. Omで 園 内 通 路幅 は1.8m, 主 枝本数 は2本から3本 ,側枝 は亜主 枝の側 方斜 め下腹 面よ り発生 させ, 着果は 容積 型であ る。

    1I型 は主幹 ―主枝 ―側枝で,10a当りの栽植本数は50本から60本,樹高は3,5m,樹冠幅が3.O mで園 内 通 路 幅 は1. 5m,主 枝 本 数 は4本 か ら5本 ,側 枝 は 主 枝 の側 方 斜 め 下 腹面 よ り 発生さ せ, 着果は 容積型 である 。

    皿 型 は 主幹 ー 側枝 で,10a当り の栽植 本数は100本以上 で,樹 高は3.5m, 樹冠 幅が2.Om以 内 で 園内 通 路 幅 は1. 5m,側 枝は20本 程度 を主枝 に直結 して構 成さ れ,着 果は表 面型で ある。

6. 普通樹 を垣 根仕立 て方式 ヘ転換 した 場合, 樹相診 断の時 期と方 法に っいて 検討し た結果 ,樹 冠 上 部の 新 し ょ う 長に よ り4っ の型 に 分 類 さ れた 。I型 : 見か け 上の樹 勢が著 しく 強いも の。

  H型 : 見 か け上 の 樹勢が 強いも の。 皿型: 見かけ 上の樹 勢がお おむ ね適当 なもの 。I型:見 か   け上 の樹勢 が弱い もの 。

    この 樹相 診断は 頂端新 しょう長,新しょうの停止時期がよい指標であるが, ゴールデン    ス ターキ ング にお ける樹 冠上部 の頂端 新し ょう長 は,I型が81cm以上 ,II型は61cmから80   cm,m型は41cmから60cm,IV型 は40cm以 下のも のが 該当し た。

    樹 冠 下 部で はI型 が61cm以 上,H型 が41cmから60cm,m型は21cmから40cm,IV型は20cm以下   の も の が 該 当し ,診 断時 期は樹 冠上部 では8月下 旬,樹 冠下部 では7月下 旬が 適期で あった 。     新し ょう の停止 時期は ,見か け上の 樹勢 が弱い 型ほど 早く停 止し ,診断 時期は6月 下旬が適

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  期で あるこ とを 明らか にした 。

7. 葉に よる診 断は葉 色,葉 中窒素 含量 ,新し ょう茎 頂部の 窒素 含量が よい指 標であ った。 葉色   は 見 か け 上 の 樹勢 が強い 型ほ ど濃緑 で,診 断時期 は7月下旬 から8月上 旬にか けて 葉色カ ラー   チャ ートを 用い て測定 するの が適当 であっ た。 見かけ上の樹勢がおおむね適当なm型では ゴー   ルデ ン ,   ス ターキ ング とも 葉色カ ラーチャート指数が5であることを明らかにした。新   しょ う葉の 葉中 窒素含 量は, スターキング のI型では2.6%,m型は2.4%,IV型が1.8%,

   ゴ ールデ ン ではI型が2.5%, 皿型は2.1% ,IV型 が2.0%で, 見かけ上の樹勢が強いほど   窒素 含量が 高か った。

8. 果実 による 樹相診 断は等 級別区 分, 「アオ 実」の 発生程 度が よい指 標とな ること を明ら かに   し, 診断時 期は 採収時 であっ た。

9. 夏季 せん定 による 樹冠の 拡大は , ス夕一 キング では 処理 枝長10cmで 抑制 され, 処理時期   が 早 い ほ ど わ い化 傾向が 示さ れた。 ふじ では 処理枝 長5 cm区 の6月中旬 ,6月下旬 処理 で   わい 化傾向 が認 められ ,頂芽数は増加した。また夏季せん定によって受光態勢は改善され, ス   ター キング で は高品 質果の 割合が 向上し た。

10.は く 皮 逆 接ぎ は 根量 を抑制 し,枝 伸び を抑え ,花芽 を増加 させた 。こ れは処 理後2年目 でと   くに 顕著で あり ,処理 時期は5月 下旬が 適期で あった 。

11.垣根仕 立て樹 の樹勢 を安 定させ るわい 化処理 として 窒素 の制限 ,夏季 せん定 ,は く皮逆 接ぎ   の組 み合わ せ処 理の効 果が高 く,回 復も遅 かっ た。わ い化技 術の組 み合わせ処理を行う場合,

  樹相 ,土壌 の表 層の厚 さを考 慮すべ きであ るこ とを明 らかに した。

学位論文審査の要旨 主査

副査 副査 副査

教 授 教 授 教 授 助 教授

八 鍬 筒 井 喜 久 田 今 河

利 郎     澄 嘉 郎     茂

  本 論文は ,表49,図39, 引用文 献111を含 む総ぺ ージ数225の 和文論 文で あり,5章 に分け て論 述さ れて おり, 別に参 考論文51編が 添えら れてい る。

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  本 研究は りンゴ の計 画密植 園にお いて間 伐を行 うこ となく ,過密 化を防 ぐ方 法として垣根仕立 て 方 式 へ の 樹 形 の 改 造 法 を 確 立 す る 目 的 で 行っ た も の で ,そ の 概 要 は 次 のと お り で あ る。

1. 幹 周の 増 大は地 上部の 増大 ならび に着果 数,収 量と 密接な 関係が あり, 地上部 の発 育状態 を 知 るうえ で樹体 調査項 目中で 最も 安定し た生育 指標で あり ,樹高 と樹冠 幅の増 大を合わせて調査 す る こ と により 収量 推定の 精度を 更に高 め得 ること が判明 した。 また,10a当たり ,33本植 えで は15年生で ,50本 植えで は11年生 で密 植の害 が果実 品質に 現れ た。こ の時期 から樹 形改造の措置 を とらな ければ ナょら ないが ,時 期は樹 冠占有 率が70%に達 した時 が適当 であ ると判断された。

2.高品 質, 多収を 維持す るため には,10a当たり ,33本植 えの 場合は樹高が3.5m,樹冠幅が3.6 m,50本 植えで は樹高 が3. 5m,樹冠 幅が3.Omの樹形 が最も 生産性 があり ,効 率のよい樹形であ る ことを 明らか にした 。垣根 仕立 てに改 造後3年ま では樹 勢が安 定せず,多くの徒長枝が発生し,

光 の透入 が悪か った。 この傾 向は 強せん 定を加 えた樹 ほど 著しか ったが ,夏季 せん定,はく皮逆 接 ぎ , 窒 素の制 限な どの併 用によ って4年目 には樹 勢が 安定し ,受光 態勢が 改善さ れた 。垣根 仕 立 て 樹 の 適正 な 樹 形 構 成と し て ,3っの 型が考 えられ た。I型は 主幹一 主枝 ―亜主 枝―側 枝で,

10a当り の 栽 植 本 数は30本 か ら40本,樹 高は3,5m,樹冠 幅が3.Omで 園内 通路幅 は1.8m,主 枝 本 数 は2本 か ら3本 。H型 は 主 幹 一主 枝 一 側 枝 で ,栽 植 本 数は50本 から60本,樹 高は3. 5m,樹 冠 幅 が3. Omで 園内 通 路 幅 は1.5m,主 枝本 数は4本か ら5本 。m型は主 幹― 側枝で ,栽植 本数は 100本以 上で, 樹高は3.5m,樹冠 幅が2.Om以内で 園内通 路幅は1.5m,側 枝は20本 程度を主枝に 直 結して 構成す る。

3. 普 通樹 を 垣根仕 立て方 式へ 転換し た場合 の樹相 診断 の時期 と方法 にっい て検討 した 結果, 樹 冠 上 部 の 新し ょ う 長 に より4っ の 型 に分 類 さ れ た 。I型 は見 かけ 上の樹 勢が著 しく強 いもの ,u 型 は見か け上の 樹勢が 強いも の, 皿型は 見かけ 上の樹 勢が おおむ ね適当 なもの ,IV型は見かけ上 の 樹勢が 弱いも のであ る。こ の樹 相診断 では頂 端新し ょう 長,新 しょう の停止 時期がよい指標で あるが,   ゴールデン    スターキング における樹冠上部の頂端新しょう長fま,I型が81cm 以 上 ,H型 は61cmから80cm,III型は41cmから60m,IV型は40cm以下の もの が該当 し,診 断時期 は 8月 下 旬が 適 期であ った。 また ,新し ょうの 停止時 期は ,見か け上の 樹勢が 弱い型 ほど 早く停 止 し , 診 断 時期は6月 下旬が 適期 である 。葉に よる診 断は 葉色, 葉中窒 素含量 ,新し ょう 茎頂部 の 窒 素 含 量 が よ い 指 標 で あ っ た 。 葉 色 の 診 断 時期 は7月 下 旬か ら8月 上 旬に か け て 葉 色カ ラ ー チ ャート を用い て測定 するの が適 当であ った。 新しょ う葉 の葉中 窒素含 量は, 見かけ上の樹勢が 強 いほど 高かっ た。果 実によ る樹 相診断 は等級 別区分 ,「 アオ実 」の発 生程度 がよい指標となる こ とを明 らかに し,診 断時期 は採 収時で あった 。

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4.夏季 せん 定によ る樹冠 の調節 にっい は,   スタ ーキング では処理枝長10anで抑制され,処 理 時 期 が 早い ほ ど わ い 化傾 向 が 示 さ れた 。 ふ じ では処 理枝長5cmの6月 中旬,6月 下旬処 理 で わい化 傾向が 認めら れ,頂 芽数 は増加した。また夏季せん定によって受光態勢は改善され, ス 夕 一キン グ で は高品 質果の 割合 が向上 した。 はく皮 逆接 ぎは根 量を抑 制し,枝伸びを抑え,花 芽 を増加 させた 。これ は処理 後2年目で とく に顕著 であり ,処理 時期 は5月 下旬が適期であった。

5. 垣根 仕立て 樹の樹 勢を安 定させ るわ い化処 理とし て窒素 の制 限,夏 季せん 定,は く皮逆 接ぎ の 組み合 わせ処 理の効 果が高 く, 回復も 遅かっ た。わ い化 技術の 組み合 わせ処理を行う場合,樹 相 ,土壌 の表層 の厚さ を考慮 すべ きであ ること を明ら かに した。

  以 上のよ うに本 研究 は,学 術上重 要な知 見を加 えた ばかり でなく ,リン ゴ生産技術特に整枝,

剪 定と夏 季の管 理技術 の向上 に貢 献するところが頗る大きく,応用面においても高く評価される。

  よ って , 審 査 員 一同 は , 別に行 った学 力認定 試験の 結果 と合わ せて, 本論文 の提 出者久 米靖 穂 は 博 士 ( 農 学 ) の 学 位 を 受 け る に 十 分 な 資 格 が あ る も の と 認 定 し た 。

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