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博士(工学)河渕 靖 学位論文題名

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Academic year: 2021

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     博士(工学)河渕   靖 学位論文題名

高 集積回路 における 高信頼 性配線用アルミニウム合金      材料の 開発

学 位論文内容の要旨

集積回路素子の高集積化にともなぃAl配線の微細化技術はますます重要になってきて いる。一方、Al合金配線の配線幅が2Lt血以下になると、エレクトロマイグレーション とストレスマイグレーションによる断線とぃう極めて重大な問題が発生した。これらの 故障はAl合金膜の膜質と、製造工程中にかかる熱履歴、あるいは集積回路製造プロセス そのものに強く依存して発生する。Al配線のエレクトロマイグレーションとストレスマ イグレーションに対する対策は、A1‑Si合金にCuを添加したAl‑ Si‑Cu合金によって解決 した。しかし、この材料は腐食しやすく、微細加工が難しいという欠点を持っている。

集積回路の微細化をさらに進める上での根本的な対策は、配線用Al合金の耐マイグレー ション性を高め、耐食性を改善することである。このような背景から、耐マイグレーショ ン性が高く、微細加工性と耐食性に優れた信頼性の高い新Al合金配線材料の開発を本研 究 の 目的 と した 。 本論 文 は8章に より構成さ れており、 その概要を 以下に示す 。 第1章では、現状のAl配線技術の問題点について詳細に説明し開発目標と、本論文の 構成について述べた。

  第2章では、エレクトロマイグレーション現象、およびストレスマイグレーション現 象とクリーブ現象とが共にAl原子の粒界拡散に起因することに着目し、エレクトロマイ グレーション寿命とハルク材のクリーブ破断寿命との問に相関関係が認められることを 明らかにした。これによってパルク材の高温引張試験によって耐エレクトロマイグレー ション性を向上させる可能性の高い合金添加元素を選び出し、次にパルク材のクリーブ 破断試験で合金系を数種類に紋り込んだ。クリーブ破断試験で選んだ数種類の合金系に ついて、集積回路のAl配線として童要な電気伝導度、耐食性の評価を行なぃ、最終的に 全ての項目で優れた特性を示したA1‑Si‑Pd合金系を選択した。

  第3章では、テストデハイスを作製し、耐エレクトロマイグレーション性、耐ストレ スマイグレーション性の比較評価をA1‑Si‑Pd配線と、従来のAl‑Si配線とAl‑Si‑ Cu配線と の問で行なった。まず、Pdの最適添加量の検討を行ない、耐エレクトロマイグレーショ ン性は0.3wt 9'6Pdで優れた改善効果みられることを明らかにした。ついで、エレクトロ マイグレーション寿命を累積不良率の観点から比較評価し、A1‑lwt弼Siー0.3wt96Pd配線 の平均断線時間は現在使われているAl‑lwc96Si‑0.5wt96Cu配線の2倍以上であることを 明らかにした。ストレスマイグレーション寿命は、集積回路製造工程における熱履歴で

(2)

A1配線 にポ イド が形 成さ れるとその影響を受けて短くなること、ボイドの量が多い程ス ト レ ス マ イ グ レ ー シ ョ ン 寿 命 が 短 く な る 傾 向 が み ら れ る こ と 、Al‑Si‑Pd配 線 で は A1‑Si‑ Cu配線に比べて大きなポイドが形成されにくいことなどを明らかにした。さらに、

高 温硬 さ試 験、 およ び組 織観察 の結 果か ら、Al配 線を450℃でアニールした後で冷却す る際に、 A1・Si‑Pd合金の方がA1‑Si‑ Cu合金よりも析出温度が高く、配線中に微細な析出 物が数多く分布することを明らかにした。

  第4章 では 、ブ ラス チッ クパ ッケ ージ によ って モー ルドした集積回路素子のAl配線の 腐食について検討した。A1一SiとA1ーSi−Pd配線の耐湿信頼性を比較するテストデパイスを 作製し、加速寿命試験によりAl配線腐食の累積不良率を調ベ、Al−Si−Pd配線の腐食開始 時 間 はAl‑Si配 線 に 比 べ て 約2倍 に 長 く な る こ と を 明 ら か に し た 。 こ の 結 果 か ら 、 Al一SiーPd配線は従来のAl‑Si配線に比べてブラスチックバッケージ内の集積回路素子にお いても優れた耐湿信頼性が保証されると結諭した。

  第5章では、集積回路作製ブロセスにおけるA―Si、A1一Si‑ Cu、Al‑SiーPd配線材料の耐 ヒ ロッ ク性 、コ ンタ クト 特性、微細加工特性について検討した。アニールの際のヒロッ ク 形成 につ いて は、 実際 の配線パターンを用いて、アニール後のヒロック密度を測定す ることにより評価した。A1一Si. Al‑Si―Clユ、Al一Si−Pdの順にヒロックの大きさが小さくな り、密度も減少することを示した。

  Si基 板とAl配 線と のコ ンタクト特性の検討では、Al合金材料によるコンタクト抵抗を 評 価し た。 また 、ア ニー ルを行なった時のコンタクト部分におけるSiのエビタキシャル 成長を評価し、A1‑Si−PdとではSiのエピタキシャル成長が起こりにくく、コンタクトの 耐熱性が高いことを明らかにした。

  微細 加工 性の 検討 では 、ドライエッチングした時の横方向サイドエッチングによるAl 配 線の 寸法 シフ ト量 を評 価した。Cuを添加するとA1ーSi配線のサイドエッチング量が増 え るの に対 し、Pd添 加で は却ってサイドエッチング量が減り、集積回路を微細化するた め に はAlSiCuよ り もAl‑Si‑Pdの 方 が 作製 ブ ロ セ ス に 適 合 して いる と結 諭し た。

  第6章では、Al‑SiーPdとAl―Si−Cu配線を実際の製品デハイス(1.3ロmブ口セス、2Mbit マ スクROM)に適 用し 、実 装比較 と信 頼性 評価 試験 を行 なった。その結果、Al‑Si−Pd 線 を 用 い た デ パ イ ス の 方 が 高 い 製 品 歩 留 と 信 頼 性 が 得 ら れ る こ と を 実 証 し た 。   第7章 では 、配 線幅1m以下 のAl配線 技術 で用 いら れてい るAl合金 とW‑TiTiNとの 積 層配 線に つい て、 主に 耐エレクトロマイグレーション性について検討した。まず、積 層 配線 にお けるA1合 金へ のPd添加、およびCu添加が、積層配線のエレクト口マイグレー シ ョン 特性 にお よほ す影 響について検討した。その結果、積層配線の耐エレクトロマイ グレーション信頼性はAl‑Si、Al‑Si‑ Cu、Al‑SiーPdの順番に高くなることを確認した。積 層配線の耐エレクトロマイグレーション信頼性は、A1合金材料の耐エレクト口マイグレー シ ョ ン 性 に よ っ て 決 ま る こ と を明 らか にし た。 また 、16M‑D RAM相 当の 集積 回路 にお いては、従来のAl‑Si‑ Cu配線材料と高融点導体との組み合わせによる信頼性の限界追求 が課題となっている。本研究ではAl‑Si‑ CuITiN積層配線の耐エレクト口マイグレーショ ン 信頼 性に 対す るAl合金 中のSi添加 の影 響に つい て検 討し 、Si添加 をな くし たA1‑Cu/

TiN積層配線の方がAl‑Si‑ Cu′TiN積層配線に比べて耐エレクトロマイグレーション性が 高くなることを確認した。

(3)

8

章 は結 言と して本 研究 の全 体の 課題に 対す る結 果と成果についてまとめた。

以上のように、本論文は半導体集積回路における、A1‑Si‑Pd合金配線材料の開発と集 積回路素子製造ブロセスヘの適用、および今後の積層配線技術の展開について述べたも のである。

(4)

学位論文審査の要旨

学 位 論 文 題 名

高 集積 回路における高信頼性配線用アルミニ ウム合金      材料 の開 発

  

集積回路素子の高集積化が進み,Al配線の配線幅を

2

肛m以下に微細化す るにっれて電流密度が増大し,エレクトロマイグレーションやストレスマ イグレーションによる断線や短絡が顕在化してくる.この問題は従来から 使われてきた

Al

Si

合金にCuを添加してAl合金の高温強度を上げることで 解決しているが,このCu添加合金の難点は微細加工性と耐食性に劣ること である.これらの問題を解決することが,さらに回路素子の集積度を上げ るためのキーテクノ口ジーとなっている.本論文は,電気伝導度を大きく 阻害することなく耐マイグレーション性を高くし,耐湿信頼性や配線加工 プ口セスにおける微細加工性にも優れたより信頼性の高い新

Al

合金配線材 料 の開 発 と実 用 化に つ いて 述べ た もの で あり ,

8

章よ り 成っ て いる .

  

2

章では,エレクト口マイグレーション現象とストレスマイグレーシ ヨン現象は共にクリープ現象と同じように

Al

原子の粒界拡散に起因するこ とに注目し,エレク卜口マイグレーション寿命とバルク材のクリープ破断 寿命との間に相関関係が認められることを見出している.これを利用して,

バルク材による高温引張試験とクリープ破断試験によって可能性の高い合 金を見付け出す迅速・簡便法を開発している.次いで,この迅速法により 二十数種に及ぷ添加元素の効果を調ベ,これらの中から高温強度を特に高 める数種の候補合金系を選び出している.さらに,その他の要求される諸 特性である電気伝導度,耐食性などを検討して,最終的にPdを添加した合 金が有カであることを導いている.

  

3

章では,テストデバイスを実際に製作し,耐エレクト口マイグレー ション性と耐ストレスマイグレーション性について,Pd濃度を変えた数種 のAl―Si−Pd合金配線と従来のAl−Si合金配線やAl−Si−Cu合金配線と比較し て,最適な

Pd

の添加量の検討を行っている.その結果,

O

.3wt.%のPd添加 で優れた改善効果が発現し,累積不良率の観点から見た平均断線時間は従

宜 明

邦 惣

木 井

貫 笠

鈴 石

大 武

授 授

授 授

教 教

教 教

査 査

査 査

主 副

副 副

(5)

来 材 の

2

倍 以 上 で あ る こと を 示 し て い る . 次 い で ,高 温 硬 さ 試 験 , 組 織 観 察 な ど か ら , スト レ ス マ イ グ レ ー シ ョ ン 寿命 は集 積回路 製造 工程 にお ける 熱 履 歴 に よ る ボイ ド 形 成 傾 向 に 左 右 さ れ るこ と,

Pd

添加 合金 の高 温強 度は 析 出 温 度 の 高 い微 細 析 出 物 に よ り 支 え ら れて いる こと, その こと によ ルア ニ ー ル 工 程 で のボ イ ド 形 成 が 抑 制 さ れ る こと など を明ら かに して いる .さ らに,前章からの成果を総合して,最適化組成はAl―lwt. %Si―O.

3wt. %Pd

合 金であることを明らかにしている.

  

4

章 で は , さ ら に 進ん で 実 装 デ バ イ ス を 想 定 した プ ラ ス テ ィ ッ ク パ ッ ケ ー ジ に よ っ てモ ー ル ド し た 集 積 回 路 素 子の 配線 にっい て, 耐湿 信頼 性テ ス ト を 前 章 で 開発 し た 新 候 補 材 料 と 従 来 の材 料を 用いて 比較 ・検 討し てい る. この 試験 でも ここで 新し く開 発し たCu一

Si

Pd

配 線材料の性能が極めて 優れたものであることを明らかにしている,

  

5

章 で は , 集 積 回 路作 製 プ ロ セ ス 時 に 問 題 と なる 耐 ヒ 口 ッ ク 性 , コ ン タ ク ト 特 性 , 微細 加 工 性 な ど に つ い て 検 討し てい る.ま ず, ボイ ド形 成に よ る 断 線 と 並 んで 問 題 と な る 配 線 間 の 短 絡の 原因 がヒ口 ック 形成 であ るこ と を 明 ら か に し, ア ニ ー ル 工 程 で 発 生 す るヒ 口ッ ク密度 がPd添加 合金 では 極め て少 ナよ いこ とを示 している. Si基盤とAl配線間のコンタクト特性の評 価 で は ,

Pd

添 加合 金 で は

Si

の エ ピ タ キ シ ャル 成長 が起こ り難 く, コン タク ト 部 分 の 耐 熱 性が 高 い こ と を 明 ら か に し てい る. 次いで ,ド ライ エッ チン グ の 際 に 発 生 する 横 方 向 の サ イ ド エ ッ チ ング によ るAl配 線の 寸法 変動 はPd 添 加 合 金 で 最 も小 さ い こ と を 示 し て い る .こ の合 金はこ のよ うな 微細 加工 性 だ け で は な く, 耐 ヒ 口 ッ ク 性 , お よ び コン タク ト特性 の観 点か らも 優れ て お り , こ の 新材 料 が 集 積 回 路 を 微 細 化 する ため に必要 な各 種の 要件 の全 てを満たしていることを実証している.

    

6

章 では, この 新開 発材料 を製 品デ バイ ス(

1

3

m

プ口セス,2 Mbit マ ス ク

ROM

)に 適用し て, 総合 的ナ ょ実証 試験 を行 ってい る. これ によ って

Pd

添 加 合 金 配 線材 料 に よ る 製 品 デ バ イ ス は極 めて 高い製 品歩 留と 優れ た製

  

品信頼性を持っていることを明らかにしている,

    

7

章 では ,集積 度を さら に高 めて配 線幅 を1肛m以下 にす るよ うな ニー

  

ズ に対 応す るた めの配 線材 料の 開発 を行っ てい る. このような微細配線に

  

お いて 耐工 レク ト口マ イグ レー ショ ン性を 高め るた めには.

Al

合金と高融

  

点導体とを組合わせた私眉配線以外にナょいことを諭じ,.Al合金とW‐Ti合金

  

あ る い は化 合物

TiN

との 積層 配線 を採り 上げ て, 各種の

Al

配 線材 料を 用い

  

た 積層 配線 の信 頼性の 評価 を行 って いる. ここ でも ,開発したPd添加合金

  

の 配 線 材 料 と し て の 優 位 性 は 変 わ ら な い こ と を 示 し て い る .

    

8

章 では ,本研 究で 得ら れた 結果と 成果 を総 括する と共 に, 今後 のこ

の種 造プ 高集

  

金属るところ極めて大である.

   

製し りす

   

を討 あ献

   

料検 で貢

   

材に のに

   

線的 も展

   

配合 た進

   

る総 しの

   

けら 功術

   

おか 成技

   

に点 に造

   

路観 発製

   

回の 開ス

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(6)

  

よって,著者は北海道大学博士(工学)の学位を授与される資格あるもの と認める.

参照

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