• 検索結果がありません。

博 士 ( 獣 医 学 ) 田 中 雅 之 学 位 論 文 題 名

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "博 士 ( 獣 医 学 ) 田 中 雅 之 学 位 論 文 題 名"

Copied!
5
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

博 士 ( 獣 医 学 ) 田 中 雅 之

学 位 論 文 題 名

Induction of antibodies against pathogenic microbes       with anti‑idiotype antibodies

( 抗 イ デ ィ オ タ イ プ 抗 体 に よ る 病 原 微 生 物 に 対 す る 抗 体の 誘 導 )

学 位 論 文 内 容 の 要 旨

  免 疫 ネ ット ワ ー ク 仮 説に よ れ ば , 生体 の 免 疫 反 応 の調 節 は, イディ オタイ プ(Id)一抗Idの 複 雑な 細胞間 相互作 用によ って恒 常性 が維持 されて おり, 抗体 のイデ ィオト ープが パラトープ内 に あ っ た 場 合, こ れ に 対 す る抗Id抗体 はパラ トー プと相 補的構 造を持 ち, パラト ープが 特異的 に 結合 する抗 原工ピ トープ と相同 ある いは類 似構造゛イ.ンターナルイメージ。を持っことになる と 考 え ら れ てい る 。 こ の 仮 説に よ れ ば ,Bお よ びTリ ンパ 球 は 抗Id抗 体 に よ っ て外 来抗原 を投 与 する ことナ ょく病 原微生 物に対 する 免疫を 誘導す ること を示 唆しており,現在では, Id操作を す るこ とによ って細 菌,原 虫およ びウ イルス に対す る液性 ・細 胞性免 疫を誘 導する ことができる と いう 実験成 績が報 告され っっあ る。 したが って, 病原微 生物 の防御 抗原に 対する 抗体によって イ ン タ ー ナ ルイ メ ー ジ を 持 つ抗Id抗体 を誘導 し得 れば, 抗原の 代用と して 抗体分 子を使 用する こ とが でき, 安全性 および 特異性 の高 い新し いタイ プのワ クチ ンとし て感染 症予防 に用いること も 可 能 と 思 われ る 。 そ こ で ,申 請 者 は , 新し い タ イ プ のIdワ ク チ ンの 開 発 を 目 的とし ,抗Id 抗 体に よる病 原微生 物に対 する免 疫誘 導の検 討を進 めた。

  最 初 に , 二 ユー カ ッ ス ル 病 ウイ ル ス(NDV)の 防 御抗 原 で あ る ヘマ グ ル チ ニ ン― ノ イ ラ ミ ニ ダ ー ゼ(HN)に 対 す る モ ノ ク 口 ー ナ ル 抗 体 (MAb) を 用 い て 抗Id抗 体 を 誘 導 し , こ の 抗Id 抗 体 に よ る 同系 マ ウ ス と ニ ワト り に おける 抗・抗Id抗体 (抗ウ イルス 抗体 )を誘 導する ことに よ っ て 抗 ウ イル ス 病 ワ ク チ ンの 開 発 の 可 能性 を 検 討 し た。 まず ,精製MAbとりポ 多糖体 (LPS) を 共 重 合 し ,マ ウ ス に 免 疫 する こ と により 抗Id抗 体の誘 導を試 みた。 その 結果, 接種量 ,接種 回 数 に 比 例 し 血 清 中の 抗Id抗 体価 は 上 昇 し ,ウ イ ル ス とMAbの 結 合 反応 は , 抗Id抗 体 に よ っ て ほ ぼ100% 阻 害 さ れ た 。 ま た , 抗Id抗 体 とMAbと の 結 合 反 応 は , ウ イ ル ス とMAb結 合 反 応 を 阻 害 す る 活 性 を持 っ ウ サ ギ ,二 ワ ト り お よび マ ウ ス の 抗NDV血 清 によ っ て 阻 害 され た 。 こ の 結 果 か ら , 抗Id抗 体 中 に はNDV抗 原の イ ン タ ー ナル イ メ ー ジ が 存在 す る こ と が明 ら か と

(2)

なった。さら に,精製ポリク口ナール抗Id抗体の免疫により抗・抗Id抗体の誘導を試みた。

そ の結 果, 誘導 さ れた 抗・ 抗Id血清 中 には ,NDVのへマグルニチン(HA)に対する抗体が 検出された。 以上のように,MAb―LPS重合 物の接種によって同系抗Id抗体を容易に誘導で き ,こ の抗Id抗 体 の免疫によって誘導さ れた抗・抗Id抗体中には, 抗NDV抗体が検出され ることが明らかとなった。次に抗Id抗体で免疫したニワトりにおける防御効果を検討した。そ の 結 果 ,5羽 中3羽 に 抗NDV抗 体 (HI抗 体) が検 出 され ,こ れら の3羽の うち2羽 が強 毒 NDVの攻 撃 に対 して 防御 した 。 この こと から ,抗Id抗体でNDVに対す る免疫を誘導するこ とにより防御効果が得られることが明らかとなった。

  次に,牛の 小型ピロプラズマ病の病原寄生体であるTheileria sergenti(Fsergenti)膜表 面32キ口ダル トン蛋白質(P 32)に対する マウスMAbを用いてモノク口 ーナル抗Id抗体を作 出し,マウス 及び牛における抗Id抗体の免疫による抗・抗Id抗体(抗原虫抗体)の誘導と抗 原虫病ワクチン開発の可能性にっいて検討を行った。まず,細胞融合により,アsergenttのP32 に対するMAb(Ts―MAb)のパラトープに対 するモノク口一ナル抗Id抗 体産生ハイブリドー マ を得 た。 間接 螢 光抗体法(IFA)により3株のハイブリドーマ(1E1,4C4,4F11)の産生 する抗体が,丁.sergentL抗原に対するイン夕一ナルイメージを保持していることが確認された。

こ れら のハ イブ リ ドーマが産生する抗Id抗体は,FsergentiとTs―MAbの結合反応を100% 阻 害 し た 。 ま た , 抗Id抗 体 とTs―MAbの結 合反 応 は,FsergentiとTsーMAbとの 結合 反 応を阻害する活性を持っウシおよびマウスの抗r sergenti血清によって阻害された。この結果 から,これら の抗Id抗体中にはP32抗原の インターナルイメ―ジが存在することが明らかと なった。また,精製抗Id抗体と油性アジュバン゛トを調製し,マウスに免疫することにより抗・抗 Id抗体の誘導 を試みた。その結果,誘導さ れた抗・抗Id抗体血清中には,Zsergentiに対す る抗体が検出 され,いずれの抗Id抗体においても接種回数に比例して抗・抗Id抗体価は上昇 することが明 らかとなった。次に,精製Fab―fragment(1E1)抗体と油性アジュバントを調 製し,牛に免疫することにより抗・抗Id抗体の誘導を試みた。その結果,誘導された抗・抗Id 抗体血清中にはT. sergentiに対する抗体が検出され,接種回数に比例して抗・抗Id抗体価は 上昇すること が明らかとなった。最も高い抗体価を示した1頭の牛に対し,アsergenti感染血 液を静脈内接種で攻撃したが十分な発症防御効果は認められなかった。以上のように,試作した Idワクチンの防御効果能にっいては不十分であったが,細胞融合により作出されたモノク口ー ナル抗Id抗体中にはインターナルイメージが含まれ,この抗体の免疫によって誘導された抗・

抗Id抗 体 中 に は , 抗Fsergenti抗 体が 検出 され , 生体 にお けるId― 抗Id反 応に よる 免

219 ‑

(3)

疫ネッ卜ワークが働いていることが明らかとナょった。

  今回の実 験は,ウイルス抗原や原虫抗 原に対するMAbを用いて,抗Id抗体を誘導し,その インターナルイメージを用いてId操作することによって病原微生物に対する抗体産生を誘導し た。NDVの感 染防御において,抗Id抗体 で誘導した抗体で防御効果が得られることが明らか となったが,F sergenti感染防御においては,誘導した抗体のみでは防御は困難であり,防御 には細胞性免疫の関与も示唆された。

  抗Id抗体を外来抗原の代用として使用するこ.の方法tま,今までにない全く新しいタイプのId ワクチン開発の基礎的,実験的モデルとなりうるものであり,安全性および特異性の高いワクチ ンとして病 原微生物の感染防御機構の解 明するうえでも,その有用性が明らかとなった。

学位論文審査の要旨

     主査

、   副査      副査      副査

教 授    小 教 授    清 教 授    佐 助教授   杉

沼    操 水 悠 紀臣 藤 文 昭 本 千 尋

  免疫ネットワーク仮説によれば,生体の免疫反応の調節は,イディオタイプ(Id)一抗Idの 複雑な細胞間相互作用によって恒常性が維持されており,抗体のイディオトープがパラトープ内 にあった場合,これに対する抗Id抗体はパラトープと相補的構造を持ち,パラトープが特異的 に結合する抗原工ピ卜一プと相同あるいは類似の構造,インターナルイメ―ジを持っことになる と考えられている。したがって,病原微生物の防御抗原に対する抗体の免疫によルイン夕―ナル イメージを持つ抗Id抗体を誘導し得れば,抗原の代用として抗体分子を使用することができ,

安 全 で か つ 特 異 性 の 高 い 新 し い タ イ プ の ワ クチ ンと して 用い る こと も可 能で あ る。

  申請 者は,新しいタイプのIdワクチンの開発を目的とし,抗Id抗体による病原微生物に対 する免疫誘導を検討し,本論文にまとめた。本論文は英文48頁からなり,参考論文12編を付して いる。

  最初 に,ニュ一カッスル病ウイル ス(NDV)の防御抗原であるへマグルチニン―ノイラミニ ダーゼ 蛋白に対するモノク口ーナル 抗体(MAb)を用いて抗Id抗 体を誘導し,この抗Id抗体

(4)

による同系マウスとニワ卜りにおける抗・抗Id抗体(抗ウイルス抗体)を誘導することによっ て 抗ウ イルス病ワクチンの開発の可 能性を検討した。まず,精 製MAbとりポ多糖体(LPS) を共重合し,マウスに免疫することにより抗Id抗体の誘導を試みた。その結果,接種量,接種 回数に比例し 血清中の抗Id抗体価は上昇 し,ウイルスとMAbの結合反応は,抗Id抗体によっ て ほば100%阻 害さ れた 。 また ,抗Id抗 体とMAbとの 結合反応 は,ウイルスとMAb結合反 応を阻害する 活性を持っウサギ,ニワト りおよびマウスの抗NDV血清によって阻害された。

この結果から ,抗Id抗体中にはNDV抗原の インターナルイメ―ジが存在することが明らかと ナよった。さらに,精製ポリクロナール抗Id抗体の面により抗・抗Id抗体の誘導を試みた。そ の 結果 ,誘導された抗・抗Id血清中 には,NDVのヘマグルニチン (HA)に対する抗体が検 出された。以 上のように,MAb―LPS重合 物の接種によって抗Id抗体を 容易に誘導でき,こ の抗Id抗体の 免疫によって誘導された抗 ・抗Id抗体中にtま,抗NDV抗 体が検出されること が明らかとなった。そこで抗Id抗体で免疫したニワトりにおける防御効果を検討した。その結 果 ,5羽 中3羽 に 抗NDV抗 体 (HI抗 体 ) が 検 出 され , これ らの3羽 のう ち2羽が 強毒NDV の攻撃に対し て防御した。このことから ,抗Id抗体でNDVに対する免疫を誘導することによ り防御効果が得られることが明らかとなった。

  次に,牛の 小型ピロプラズマ病の病原体であるTheileria sergenti(Fsergenti)を用い,

抗Id抗体による抗原虫病ワクチン開発の可能性にっいて検討を行った。まず,細胞融合により,

T. sergenti表面の32キ口ダルトン蛋白 質(P32)に対するMAb (Ts―MAb)のパラトープに 対するモノク口―ナル抗Id抗体産生ハイブリドーマを得た。間接螢光抗体法により3株のハイ ブリドーマ(1E1,4C4,4F11)の産生す る抗体が,Fsergenti抗原に対するインターナルイ メージを保持していることが確認された。これらのハイブリドーマが産生する抗Id抗体は,―

丁 ,sergentLとTs亠MAbの 結合 反応 を100% 阻害 した 。また, 抗Id抗体とTs―MAbの結合 反応tま,アsergentLとTs―MAbとの結合 反応を阻害する活性を持っウ シおよびマウスの抗 r sergenti血清によって阻害された。この結果から,これらの抗Id抗体中にはP32抗原のイン ターナルイメ―ジが存在することが明らかとなった。また,精製抗Id抗体と油性アジュバント でマウスに免 疫することにより抗・抗Id抗体の誘導された。誘導された誘導された抗・抗Id 抗体血清中には,F sergentiに対する抗体が検出され,抗・抗Id抗体価は,接種回数に比例し て上昇した。 精製Fab―fragment (1E1)抗体と油性アジュバントを調製し,牛に免疫したと ころ,抗Id抗 体が誘導され,その血清中 にはFsergentiに対する抗体が検出された。抗Id抗 体価は,抗Id抗体の接種回数に比例して上昇した。最も高い抗体価を示した1頭のウシに対し,

221

(5)

T. sergenti感 染血液を静脈内接種で攻撃したが十分な発症防御効果は認められなかった。

T. sergenti感染防御試験においては,誘導した抗体のみでは防御は困難であり,防御には細胞 性免疫の関与も示唆された。

  以上の成績は ,ウイルス抗原や原虫抗原に対するMAbを用いて,抗Id抗体を誘導し,その イン夕―ナルイメージを用いてId操作することによって病原微生物に対する抗体産生を誘導で きることを示している。この研究は,抗Id抗体を微生物抗原の代用として使用する全く新しい タイプのIdワクチン開発にとって重要な知見を提供するものである。よって審査員一同は,田 中 雅 之 氏 が 博 士 ( 獣 医 学 ) の 学 位 を受 ける のに 十 分な 資格 を有 する も のと 認め た。

参照

関連したドキュメント

Pretazettine(45)(式11)はクリーン型ヒガンバナ科ア

友人同士による会話での CN と JP との「ダロウ」の使用状況を比較した結果、20 名の JP 全員が全部で 202 例の「ダロウ」文を使用しており、20 名の CN

健学科の基礎を築いた。医療短大部の4年制 大学への昇格は文部省の方針により,医学部

また,具体としては,都市部において,①社区

まず,PREG 及び PROG の重水素標識体をアルカリ条 件下での交換反応により合成し,それぞれを IS として Fig.. 7) .コント

び3の光学活`性体を合成したところ,2は光学異`性体間でほとんど活'性差が認め

免疫チェックポイント阻害薬に分類される抗PD-L1抗 体であるアテゾリズマブとVEGF阻害薬のベバシズマ

高機能材料特論 システム安全工学 セメント工学 ハ バイオテクノロジー 高機能材料プロセス特論 焼結固体反応論 セラミック科学 バイオプロセス工学.