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博 士 ( 医 学 ) 吉 川 裕 幸 学 位 論 文 題 名

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博 士 ( 医 学 ) 吉 川 裕 幸

学 位 論 文 題 名

Late adverse reactions of nonionic contrast media

(非 イオ ン阯 造影 剤の遅発型副作用)

学 位 論 文 内 容 の 要 旨

I研 究目的

  今日のX線 検査に 必要 不可欠 なヨー ド造影 剤には 様々 な副作 用のあ ること は良 く知ら れてい る が,検 査中に 出現す る即 時型副 作用に 関して は, いわゆ る非イ オン性 造影剤は,従来のイオン性 造影剤 と比べ 非常に 軽減 した。 一方検 査終了 後数 時間以 上経て から発 現する遅発型副作用は,検 査室を 出てか ら発生 する という 性質か らその 実態 がとら えにく く,発 生頻度や症状などの詳細は ほとん どわか ってい ない 。

  造 影CTを 受 け た 患 者を 対象に ,非イ オン 性造影 剤の遅 発型副 作用の 頻度 症状, 発生ま での時 間,継 続時間 などに っき ,prospectiveに検 討し た。ま た,喘 息など いわゆ るア レルギ 一歴と の 関連に っいて も検討 を加 えた。

II対象と 方法

  1989年8月 か ら1990年2月 ま で 帯 広 厚生 病 院 で 造 影CTを 受 け た2382人,男 性1276人 ,女性11 06人 を対象 にアン ケート 調査 を行っ た。造 影剤は 月曜か ら水 曜まで は,iopamidol, 木曜か ら土 曜ま で はiohexolを用 い た 。 造 影剤 の 量 は , 体重40kg以上 の患 者のう ち2060人 がlOOmE,283人 が150mE使 用 さ れ , 体 重 が40kg以 下 の39人 は 体 重 に2施 を か け た 量 が 静 注 さ れ た 。   検査に 先立 ち,過 去のア レルギ ー歴や 造影 剤の副 作用の 有無に っい て問診が取られ,検査中に 生じた 即時型 の副作 用も 記録さ れた。 検査終 了後 ,17の症 状と自 由記 載欄,および症状発現の時 期と 継 続 時 間 を記 入 す る ア ン ケー ト を 渡 し ,2日 間 の 観 察期 間 を 経 て 提出 す る よ う 求め た 。   本 研究で は遅発 型副作 用を 以下の3っ の条件 を満た すもの とした 。即 ち,検 査終了 後30分 以降 2日 以内 に発生 し, 検査以 前には 経験し たこと のな い症状 であり ,薬, 食物 など他 の要因 が考え られな いこと である 。副 作用を 訴えた 患者に 対し ては電 話また は面接 で条件 を満たした症状か否 か確認 した。

(2)

m結  果

  2382名の患者のうち1824名からアンケートが返却された。無回答の557名中228名は検査約1々 月後に電話で症状の有無を調べた。回答の得られなかった329名,および検査翌日に進行胃癌で 死亡したと判断された74歳の男性は今回の検討から除外した。結局,2381名中2052名から回答が 得られ,回答率は86.2%だった。191人が遅発型副作用を訴え,この内179名(93%)が電話また は面接による確認が行われ,28名は基準により除外された。その主な理由は,検査前から症状が あった,しばしば同様の症状を経験していたなどで,検査日前後に投与されていた抗癌剤が原因 と判断された症例もあった。5名は2日目以降に症状を訴えたが,これらも今回の検討から除外 さ れ た 。 結 局 ,2052名 中165名 が遅 発型 副 作用 を訴 え, そ の頻 度は8.0%と な った 。   遅発型副作用は即時型(3.8%)よりも多く発生していた。また男性(5.7%)より女性(10.7

%)に有意に多く認められた(Chi−square test,PくO.001)。2種類の造影剤間や使用量によ る発生頻度の差はなかった。最も多い症状は頭痛と皮疹で,次いでかゆみ,悪心,めまい,全身 倦怠感であった。いわゆるショックなど重篤と恩われる訴えはなかったが,1週間以上も全身倦 怠感と嘔吐が続いた症例,検査終了1時間後に強い頭痛と激しい睡魔に襲われそのまま院内で記 憶がないほど眠った症例,また乏尿と全身浮腫が4日間続いた症例など,注意すべき患者もいた。

患者の一部は近医に相談したが,いずれも発生時間が遅すぎるとの理由で造影剤との関係は否定 されていた。

  遅発型副作用の半数は6時間以内に発症していたが,皮疹は頭痛などと比べると6時間以降に も多く認められた。症状の60%は6時間以内に消失していたが,1週間以上続く症状もあった。

副作用は,喘息,蕁麻疹などいわゆるアレルギー歴のある患者や造影剤の副作用の経験者に有意 に多く発生していた(Mantel―Haenszel test,Pく0.01)。即時型副作用と遅発型副作用との 発生には有意な関係はみられなかった(MantelーHaenszel test)。

IV考  察

  造影剤の遅発型副作用が注目されるようになったのは最近で,詳しい調査は余りない。英国で の調査では,イオン性,非イオン性造影剤の遅発型副作用の頻度はいずれも27%前後で両者に差 はないが,本調査と比べると約3倍の多さである。これはアンケートの回答を再確認せずに集計 したことによる偽陽性の増加が一因と考えられる。一方,米国での調査では非イオン性造影剤を 使用した患者の8.7%が検査後気分が悪くなったとしている。しかしこの調査は気分の変化しか 述べておらず,回答率も50%と低い。今回の調査で非イオン性造影剤の遅発型副作用の内容がよ

(3)

り詳細にわかっ たといえる。

  遅 発型 副 作用 の方 が 即時 型よ り も多いことは注 目に値する。非イオ ン性造影剤はイオ ン性より 即時 型副 作 用の 頻度 , 程度 とも 低 く安全性が高い と言われているが, その評価には遅発 型副作用 も考慮すべきこ とが重要である。

  症 状で は 頭痛 と皮 膚 症状 がも っ とも多かったが ,ほとんどのものは 自制可能であった 。重要な のは 多く の 患者 が頭 痛 やめ まい , 倦怠感などの不 快感を持ったことと ,近医では造影剤 との関係 が否定されてい たことである。注意 すべき症状では, 強い眠気は中枢神 経系への効果が考えられ,

全身浮腫と乏尿 の女性は急性腎不全 を思わせる。

  今 回の 調 査で は過 去 の造 影剤 に 対する副作用も 含めたいわゆるアレ ルギー歴と遅発型 副作用の 発現に有意な関 係を求めた。また即 時型副作用の発生とは有意ナょ関係がナょかった。すなわち,即 時 型 副 作 用 の 出 現 か ら 遅 発 型 副 作 用 の 発 生 を 予 測 す る こ と は で き な い こ と に な る 。   以 上, 今 回の 検討 か ら, 非イ オ ン性造影剤の遅 発型副作用は稀なら ず発生し,時に医 療上注意 を要 する 場 合も ある こ とが わか っ たが,このこと は,放射線科医が周 知しなければなら ないこと はもちろん,患 者及び臨床家へも情 報が提供されるべ きである。

   学位 論文 審査の要旨 主 査    教授    古舘 正従 副 査    教授    斎藤 和雄 副査   教授   藤本征一郎

I研 究 目的

  x線 検査 に必要ナょヨード造 影剤に出現する即 時型副作用に関し ては,いわゆる非イ オン性造影 剤は ,従 来 のイ オン 性 造影 剤と 比べ非常に軽減 した。一方検査終 了後数時間以上経て から発現す る遅 発型 副 作用 は, 検 査室 を出 てから発生する という性質からそ の実態がとらえにく く,発生頻 度や 症状 な どの 詳細 は ほと んど わ かっ てい な いq

  造 影CTを 受け た患 者 を対 象に , 非イ オン 性 造影 剤の 遅 発型 副作 用 の頻 度,症状, 発生時間,

継続 時間 な どに っき ,prospectiveに 検 討し た。 ま た,喘息など いわゆるアレルギー 歴との関連 にっ いて も 検討 を加 え た。

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1I対象と方法

  1989年8月から1990年2月まで帯広厚生病院で造影CTを受けた2382人,男性1276人,女性11 06人を対象にアンケート調査を行なった。造影剤は月曜から水曜までtま,iopamidol,木曜から 土曜まではiohexolを用いた。造影剤の量は,体重40kg以上の患者のうち2060人がlOOmE,283 人 が150mE使 用 さ れ , 体 重 が40kg以 下 の39人 は体 重に2祕 をか け た量 が静 注さ れた 。   検査に先立ち,過去のアレルギ―歴や造影剤の副作用の有無にっいて問診が取られ,検査中に 生じた即時型の副作用も記録ざれた。検査終了後,17の症状と自由記載欄,および症状発現の時 期と継続時間を記 入するアンケートを渡し,2日間の観察期間を経て提出するよう求めた。

  本研究では遅発型副作用を以下の3っの条件を満たすものとした。即ち,検査終了後30分以降 2日間以内に発生し,検査以前には経験したことのない症状であり,薬,食物など他の要因が考 えられないことである。副作用を訴えた患者に対しては電話または面接で条件を満たした症状か 否か確認した。

m結  果

  2382名の患者のうち1824名からアンケ―トが返却された。無回答の557名中228名は検査約1カ 月後に電話で症状の有無を調べた。結局2381名中2052名から回答が得られ,回答率は86.2%だっ た。191人が遅発型副作用を訴えこの内179名(93% )が電話または面接による確認が行なわれ,

28名は基準により除外された。結局,2052名中165名が遅発型副作用の訴え,その頻度は8.0%と なった。

  遅発型副作用は即時型(3.8%)よりも多く発生していた。最も多い症状は頭痛と皮疹で,次 いでかゆみ,悪心,めまい,全身倦怠感であった。遅発型副作用の半数は6時間以内に発症して いたが,皮疹は頭痛などと比べると6時間以降のも多く認められた。症状の60%は6時間以内に 消失していた。副作用は,喘息,蕁麻疹などいわゆるアレルギ一歴のある患者や造影剤の副作用 の経験者に有意に多く発生していた。即時型副作用と遅発型副作用との発生には有意な関係はみ られなかった。

W考  察

  造影剤の遅発型副作用が注目されるようになったのは最近で,詳しい調査は余りない。米国で の調査でtま非イオン性造影剤を使用した患者の8.7%が検査後気分が悪くなったとしている。し かしこの調査は気分の変化しか述べておらず,回答率も50%と低い。今回の調査で非イオン性造

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影剤の遅発型副作用の内容がより詳細に分かったといえる。遅発型副作用の方が即時型よりも多 いことは注目に値する。非イオン性造影剤はイオン性より即時型副作用の頻度,程度とも低く安 全性が高いと 言われているが,その評価には遅発型副作用も考慮すべきことが重要である。

  症状では頭痛と皮膚症状がもっとも多かったが,ほとんどのものは自制可能であった。重要な のは多くの患者が頭痛やめまい,倦怠感などの不快感をもったことと,近医では造影剤との関係 が否定されていた事である。

  今回の調査では過去の造影剤に対する副作用も含めたいわゆるアレルギー歴と遅発型副作用の 発現に有意な関係を認めた。また即時型副作用の発生とは有意な関係がなかった。すなわち,即 時 型 副 作 用 の 出 現 か ら 遅 発 型 副 作 用の 発生 を予 測 する こと はで きな い こと にな る。

  本研究の価値判定:本研究は非イオン性造影剤の遅発型副作用は稀ならず発生することを明ら かにした。よって学位論文としての価値を認めるものである。

参照

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