• 検索結果がありません。

博士(医学)有村 裕 学位論文題名

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "博士(医学)有村 裕 学位論文題名"

Copied!
5
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

     博士(医学)有村   裕 学位論文題名

ラ ット の新 しい 主要 組 織適 合性 抗原クラス u 遺伝子 R ア 1 . Ha , RH1 . Hb , お よ び R ア 1 . DOa の 解 析

学位論 文内容の要旨

    はじめに

  主要組織適合性抗原複合体(Major Histocompatibility Complex: )VHC)は、

免 疫調 節機 能の 中心 的役 割を担っており、そのクラスII遺伝子産物は、a鎖お よ ぴB鎖の2量体 から 成り 、主 に抗 原提 示細 胞(APCs)に発現している。ラット Mf)'C (RT1)クラスII亜領域には、RTl.D(HLA ‑DR相当)およぴRTl.B(HLA ‑DQ 相 当) の遺 伝子 が知 られ てい る。 近年 、ヒ トHLA ‑DP様の新しい遺伝子RTl.H

( 砿 、Hb)の 存在 が示唆 され るよ うに なっ たが 、そ の実 体は 明ら かで ない 。 他方、以前に報告されたRT1.Bb2は、HLA・ DOB相当の遺伝子(RTl. DOb)である こ とが 判明 して いる が、 これまで第3エクソンのみ見っかっており、その全貌 は 明 ら か では ない 。加 えて 、DObと2量体 を形 成するQ鎖 の遺 伝子(RTI. DOa) は まだ 見っ かっ てい ない 。また、マウスVHC (H‑2)のクラスII遺伝子のうち、

め は 偽 遺 伝子 であ り、 それ に対 するa鎖遺 伝子(Pa)はマ ウス のゲ ノム から 欠 如している可能性が高いと考えられてきた。今回、ラットのゲノムライブラリー を作成して、脚t伝子を単離し、遺伝子構造を決定した。また、同時にRTl. DOa も 単離 する こと がで きた 。さらに、マウスのH‑2Pa遺伝子の有無についても検 討を行った。

    材料と方法

  1)実験動物:近交系ラットLEC (RTl")ならぴに近交系マウス、14珊/.′、

W卯、飴H つねSJcを用いた。

  2)DNAプローブ:  ヒト皿4.併M、皿4.脚、マウスH.2Aa、H.2.ぬ、ラット Rn.〃a(C20 a由来)、〃6(C15p由来)を用いた。

  3) ゲノムライブラリーの作成とスクリーニング:ラット腎臓DNAを、制限 酵素ぬuIIIA1で部分消化して、ライプラリーを作成した。プラークハイブルダ イゼーションは、5x108cpm/嵎以上の比活性のプロープを用いて42℃.12・18時間

(2)

行ない、最終的にlx SSC、O.l. SDS、45℃、30分洗浄後、‑80℃で2‑3日問コダッ クXPRフ イル ムに 露光さ せた 。単 離し たク ローンについて制限酵素地図を作成 し、サプクローニングした後に、′自動シークエンサーにて塩基配列を決定した。

  4) サ ザ ン ブ ロ ッ ト 解 析な らぴ にノ ーザ ンブ ロッ ト解 析: ラッ トな らぴ に マウスの腎臓のDNA lOVgを、制限酵素で切断し、0.75S6アガロースゲル電気泳 動後 、ニ トロ セル ロー ス膜 ヘサ ザン トラ ンス ファー した 。膜 は、 プ口 ーブと 42゜C、12 ‑18時間ハイブリダイゼーションした。ノーザンブロット解析では、

脾臓 よル グア ニジニウムイソチオシアネート/フェノール/ク口ロホルム法に て抽出した全RNA20 Ligを用いた。

  5) PCRとRT‑PCR:゛cspとC7aの間隙をっなぐためのPCRは、ラットDNA lVgを 94゜Cl分、550Cl分、72°C2分の条件で30サイクル行った。RT‑PCRでは、LECラット の脾 臓の 全RNA ly,gを42qC、2時 間逆 転写 反応し、第2エクソンと第3エクソン の間でPCRを94゜Cl分、490Cl分、72゜C3分の30サイクル行った。反応産物をアガロー ス電気泳動してバンドを回収し、塩基配列を決定した。

    結果

  1) 新し いRT1遺 伝子 のク ロー ニング :LECラ ット のゲ ノム ライプ ラル ーを 作成し、HLA ‑DPプロープにて約150万個のクローンをスクリーニングし、4つの 陽性ファージクローンを得た(C7a、C20 a、csf3およひrC15p)。これらのクロー ンの制限酵素地図を作成した結果、C7aとC20 Q、csf3とc15pがそれぞれオーバー ラップすることが判明した。前者には、RT1.HaおよぴRTl. DOaの一部分を含ん でいた6後者はRTl. Hbを含んでいた。また、csf3とC7aの間隙に対してPCRを行 な った とこ ろ、 その 長さ は345bpで あり 、4つ のフ ァー ジクローンと1つのPCR クローンは最終的に約37kbをカバーしていた。HbとHaの距離は約1.5kbで逆向 きに位置し、HaとDOaの距離は約7kbであった。

  2) RT1.Hb遺伝 子の 構造 解析 :第2エク ソン (第5コ ドン )から 、予 想さ れるコーディング領域の最後(終止コドン)までを決定した。Hb遺伝子はp2ド メイン(Hbコドン171‑173)に7bpの欠失があるため、フレームシフト変異を起こ し、結果的に13アミノ酸後に終止コドンを生じて偽遺伝子となっていた。 173 番目にあるべきシステイン残基は上記の欠失によって失われていた。ラットと マ ウス のp2ドメ イン はDNAレペルで851のホモロジーを有していたが、これら2 種 は 他 の 動 物 種 に 対 し て は 比 較 的 低 い ホ モ ロ ジ ー を 示 し た 。   3) RT1.Ha遺伝子の構造と発現:コーディング領域の全ての塩基配列を決定 した。 Haのエクソン、イントロン構成はヒトのHLA ‑DPA1と同様であり、塩基の 欠失、挿入の変異はなかった。a2ドメインについてHaと他の種の相当遺伝子と 比較したところ、ウサギ(RLA ‑DPa)で82鬢、ヒト(HIA ‑ DPAl)で791のDNAのホ

‑ 300 ‑

(3)

モロジーを示した。ノーザンプロット解析では、mRNAは検出できなかったが、

RT ‑PCRでは 第2イ ン トロン をスプラ イシング したmRNAの断 片を増幅 した。

  4) RT1.DOa遺伝子の構造と発現:DOa遺伝子は、第1エクソンから細胞膜貫 通ドメインの途中までが明らかとなり、エクソン、イントロン構成はヒトHIA ‑ DNAと同様であった。a2ドメインでのDOaと他の種の相当遺伝子との比較では、

ヒト( 皿イ‑DNA)で84S、 マウス(H‑20a)で931のDNAのホモ ロジーを 示し、高 度に保存されていた。ノーザンプロット解析では、脾臓で2. Okbと3.5kbの2種 類のmRNAが検出された。

  5)マウ スH‑2Pa遺伝子 の検出:Haをプロー ブとして マウスDNAの サザンブ ロット解析を行った。 AKR、C3HヽNOIケマウスで、1本ないし2本の明らかなバ ンドが見られ、DPA相当遺伝子の存在が示唆された。

    考察と結語

  5つのクローンの解析によって、ヒトの場合と同様に、RTl. HaとHbとは逆向 きに近接して位置し、またRTl. DOa遺伝子はDOb遺伝子との間にベプチドトラン スポーター遺伝子を挟んで存在しており、クラスII亜領域の構成はよく保存さ れてい ることが判明した。Hb遺伝子のp2ドメインにおける7bpの欠失は、過去 に報告されたマウスH ‑ 2Plnllt伝子のp2ドメインの8bpの欠失と良く似ているがそ の位置 は異なる。ラットとマウスのp2ドメインにおけるDNAのホモロジーは両 者の欠失を除いて比較すると89016に達し、他の種の相当遺伝子との比較値より もかな り高い。したがってこの2種は進化上、比較的後期になって分岐したと 推察される。Ha遺伝子は低いレペルではあるが転写されていたので、他のクラ スIIロ鎖遺伝子、すなわちRTl.励、Dbと結合している可能性もある。DOaとマウス H‑20aのa2ドメインでのホモロジーは93016ときわめて高く、またDOaのノーザン ブロッ ト解析で2種類のmRNAが認められたことはヒトHIA ‑DNAの報告に類似す るので、DOa鎖がDOb鎖と結合して発現していることを示唆する。Haプローブに よルマ ウスのHa相当遺伝子(〃‑ 2Pa)と思われる明瞭なバンドが3つの系統の マウスで認められた。この結果が正しいとすれば、ラットと同様にマウスにお い て も H‑2Pa遺 伝 子 はPbとOaの 間 に 存 在 す る こ と が 予 想 さ れ る 。

(4)

学位論文審査の要旨 主 査    教 授    柿 沼 光 明 副 査    教授    小野江和則 副 査    教 授    吉 木    敬

学 位 論 文 題 名

ラッ ト の新 しい主 要組織適 合性抗原 クラス H 遺 伝子 R ア 1 . Ha , RH1 . Hb , お よ び RT1 . DOa の 解 析

  ラ ッ ト の 主 要 組 織 適 合 性 抗 原 複 合体(RT1) クラ スII亜 領 域に は 、RTl.D (HLA ‑ DR相当 )およびRTl.B(HLA ‑DQ相当)の遺伝子が知られているが、近年 ヒトHLA ‑DP様の新しい 遺伝子RTl.H (Ha、Hb)の存在が 示唆され るようになっ た 。他 方 、 以前 に 報 告さ れ たRTl. Bb2(RTl. DOb)は、 第3エクソ ンのみ見 つ かっ ており、そ の全貌は 明らかで はない。 加えて、DObと2量体を 形成するQ鎖 の 遺伝 子(RTl. DOa)は ま だ見 っ か って い な い。 また、 マウスMHC (H‑び のク ラ スII遺 伝子 の う ち、Pbは 偽 遺 伝子 で あ り、 そ れに対す るQ鎖遺伝 子(Pa)は マウ スのゲノム から欠如 している 可能性が高いと考えられてきた。申請者はこ れ ら の 遺 伝 子 の 実 体 を 明 ら か に す る こ と を 目 的 と し て 実 験 を 行 っ た   まず 、近交系ラットLEC (RTI ,から抽出したDNAを用いて、ゲノムライブラ リーを作成し、觚メ‑ DPをプローブとしてスクリーニングを行った。単離したク ローンについて制限酵素地図を作成し、サブクローニングしたのちに、自動シー クエ ンサーにて 塩基配列 を決定し た。さら に、ラッ トの各臓 器からRNAを抽出 して ノーザンブ ロット解 析を行っ た。また、近交系マウス、AKR/J、NOD、C3H/

HeSlcを用いて、サザンブロット解析を行った。

  得られた結果は次のとおりである。

  1)4つの 陽 性 ファ ージクロ ーン(C7a、C20 Q、C5Bおよびcisp)を 得、その うち、C7aとC20 Qは、RTl. HaおよびRTl. DOaの一部分を含んでいた。C5[3とC15{3− はRTl. Hbを含んでいた。また、C5t3とC7aの間隙に対してPCRを行なったところ、

その 長さは345bpであ り、全体 で約37kbをカ バーして いた。HbとHaの距離は約 1.  Skbで 逆 向 き に 位 置 し 、 Haと DOaの 距 離 は 約 7kbで あ っ た 。   2) RTヱ. Hb遺伝子は第2工クソン以降を決定した結果、p2ドメインに7bpの欠

302 ‑

(5)

失があ り、フレ ームシフト 変異を起こし、13アミノ酸後に終止コドンを生じて 偽遺伝子となっていた。7bpの欠失は、過去に報告されたマウスH‑2Ptnj伝子の B2ド メ イ ン の 8bpの 欠 失 と 良 く 似 て い る が そ の 位 置 は 異 な る 。   3) RTl.Ha遺伝子は、コーディング領域の全ての塩基配列を決定した結果、エ クソン、イントロン構成はヒトのHLA ‑DPA1と同様であり、塩基の欠失、挿入の 変 異は な かっ た。ノー ザンブロ ット解析 では、mRNAは 検出できな かったが 、 RT‑PCRでは第2イントロ ンをスプラ イシング したmRNAの断 片が増幅され、低い レベルではあるが転写されていた。

  4) RTl.DOa遺伝子は全領域の塩基配列を決定した結果、無傷で発現可能であっ た。a2ド メインの ホモロジー を比較すると、マウス(H‑20a)で93%となり高度 に保存されていた。ノーザンブロット解析では、脾臓で2. Okbと3.5kbの2種類 のmRNAが検 出された 。また、RTl. DObのノーザンブロット解析では、3.Okbの mRNAが検出 された。 したがってDOa鎖がDOb鎖と結合して発現している可能性が 高いことを示唆する。

  5) RTl.HaをプローブとしてマウスDNAのサザンブロット解析を行った結果、

AKR、C3H、NODマウスで 、1本ない し2本の明 らかなバ ンドが見 られた。DPA相 当遺伝子(H ‑2Pa)の存在が示唆され、さらにラットと同様にマウスにおいても H‑2Pa遺伝子はPbとOaの問に存在することが予想される。

  口頭発 表にあた り小野江教 授からRTl. DOと ほかのク ラシカルクラスII抗原 との違いについて、吉木教授からRTl. DO   mRNAが検出される細胞ならぴに組織 の種類 について 質問があっ たが、申請者はそれぞれ適切な応答をなしえたと思 われた。さらに、両教授から個男uに諮問を受け合格と判定された。本論文は、

実験モ デル動物 として有用 なラットの主要組織適合性抗原の一部を世界で初め て明ら かにし、 さらに、こ れまでにその存在が知られていなかったマウスのH‑

2Pa遺伝子 の存在を 示唆したも のであり 、博士( 医学)に 相当すると考えられ た。

参照

関連したドキュメント

マーカーによる遺伝子型の矛盾については、プライマーによる特定遺伝子型の選択によって説明す

(注 3):必修上位 17 単位の成績上位から数えて 17 単位目が 2 単位の授業科目だった場合は,1 単位と

キャンパスの軸線とな るよう設計した。時計台 は永きにわたり図書館 として使 用され、学 生 の勉学の場となってい たが、9 7 年の新 大

同研究グループは以前に、電位依存性カリウムチャネル Kv4.2 をコードする KCND2 遺伝子の 分断変異 10) を、側頭葉てんかんの患者から同定し報告しています

となってしまうが故に︑

人間は科学技術を発達させ、より大きな力を獲得してきました。しかし、現代の科学技術によっても、自然の世界は人間にとって未知なことが

下山にはいり、ABさんの名案でロープでつ ながれた子供たちには笑ってしまいました。つ

 講義後の時点において、性感染症に対する知識をもっと早く習得しておきたかったと思うか、その場