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学位論文内容の要旨

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Academic year: 2021

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博 士 ( 工 学 ) 稲 垣 克 彦

学 位 論 文 題 名

銅酸化物Bi2+ エSr2‑ エCuOy 単結晶における金属―絶縁体転移

学位論文内容の要旨

  金属 と 絶縁 体の 違い が 明ら かに なっ たの は 量子 力学 が成 立し て 間も ない1930年 代で ある .っ ま ルバ ン ド理 論に よる と電 子 がバ ンド を埋 め てい るか 否ということに帰すことがで きる.ところが,

バ ン ド 理 論 を 適 用 す る と 金 属 にな る はず のNi0が 実は 絶縁 体で あ るこ とが1937年 に発 見さ れた , これ は電子間のクー口ンカ に起因するものである.こ のような転移はモット転移と 呼ばれる.以来,

現在 ま で電 子相 関の 絡ん だ 金属 ・絶 縁体 転 移は 未解 決の物理学上の重要な問題と して認識されてい る. 金属・絶縁体転移にお いては,系の次元が重要な 意味をもつ.1979年にAb11a.hamsらによって発 表さ れ たス ケー リン グ理 論 は相 互作 用が な い電 子系 にお いて 次 のこ とを 明らか にした.3次元系で は乱れの程度によ り局在,非局在転移(金属,絶縁体転移)が生ずる.しかし,2次元系ではどんなに小 さな 乱 れで もそ れが 存在 す ると 絶対 零度 で はす べて の状態が局在する.すなわち ,相互作用がない 場合 の 金属 、絶 縁体 転縦 の 下部臨界次元は2次元であ ろ.一方,量子ゆらぎが引き 起こす相転移であ る量 子 ホー ル液 体・ 絶縁 体 転移,超伝導・絶縁体転移 の二者においては2次元にも かかわらず「金属 相」 が 存在 して いる こと が 近年 明ら かに な った .さ らに 下部 臨 界次 元が1次元で あることがFisher によ っ て提 案さ れて いる , この よう な背 景 のも とで ,1電子 近似 の効 か なくなる ような電子相関が 強い2次 元電 子 系に おい て金 属状 態 が存 在す るか とい う こと に注 目が 集 まってい る.このような系 を実 現 する 典型 物質 とし て は銅 酸化 物超 伝 導体 があ げられる.そこで本研究にお いては相関の強い 2次 元電 子系 に おい て金 属・ 絶縁体転移が存在するか 否かを調べることを目的とし て,キャリア濃度 を制 御 した 銅酸 化物Bi2十エSr2−よCuO 単結晶を用 いてコンダクタンスとホール 係数の温度依存性 を測定した.

  本論文の構成は 以下の通りである.

  1章において,本 研究の背景と動機について 説明した.

  2章に おい て ,金 属・ 絶縁 体転移について,電子間 のクー口ンカによるモット転 移と結晶中の乱れ によ る アン ダー ソン 転移 を 説明 した .格 子 に強 く束 縛された電子系(たとえば3d電子系など)では 電子 間のクーロンカによっ てキャリアが格子点に局在 することがある.このような 系を記述するもっ とも 簡 単な モデ ルとI− .モ ッ卜 ・ ハバ ード モデ ルを 紹介Lクー口ンカによって金 属・絶縁体転移が 生じることを説明 した.

  一方,結晶中の 乱れは,電子の波動関数を空 間的に局在させる(アンダーソン局在).アンダーソン 局在 による金属・絶縁体転 移が存在するときには,非 局在状態と局在状態を分ける エネルギーが存在 し,易動度端(mobilityedge)と呼ぷ.アング ーソン転移は,フェルミ準位が局在状態にある場合(絶 縁体)と非局在状 態にある場合(金属)の転移 である.アンダーソン局在において,系の次元によって 金属 , 絶縁 体転 移が 存在 す る場 合と 存在 し ない 場合 があることをべ一夕関数を導 入することで説明 した . ベー 夕関 数に よっ て ,磁場および相互作用のな い2次元電子系は絶対零度で すべての状態が局 在することが示さ れる.

  さらに,近年報 告された,2次元電子系にお ける新しい「金属相」につい て紹介した.量子ホール液

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体 ・絶 縁体転移の転移点直上と ,超伝導・絶縁体転移の転 移点直上において金属相が存 在することを 示 す実 験結果を引用し,またそ の理論的な裏付けとしてFisherによるスケーリング理論 を紹介した,

  3章 では 本研 究で 用 いた 銅酸 化物 超伝 導 体に つい て論 じ た. 銅酸 化物 超伝 導体の結 晶構造は伝導 を 担 う2次 元 的 なCri02面 が 積 層し ,そ の 間に ブロ ック 層と よ ばれ る層 が存 在 する.Cu02面 は正 規 組 成 で は3d電 子 がCu原 子 に ひ と つ 存 在 す る た め に , 電 子 相関 を考 慮 しな けれ ば金 属で あ るこ と が 予測 され る が, 実際 には 電 子相 関の ため に絶 縁 体であ る.そこでブロック層によりCu02面の電子 数 を制 御し , キャ リア をド ー プす るこ とで 電気 伝 導が生 ずる.銅酸化物超伝導体を用 いることによ り ,Cri02面自 体の 組 成は その まま にCr102面の キ ャリア を制御した金属・絶縁体転移 の研究を行う こ とが 可能 で ある .し かし な がら 現在 まで に行 わ れた研 究結果は統一的な描像を与え ていない.こ のことを 過去の研究結果を引用して 概説した.

  4章で は実験方法について述べた. 本研究で用いたBi2+、オSr2―″Cu0 の特徴として電気伝導度の 異 方性 が大 き いこ と,2次 元性 が高いこと,超伝導遷移温 度が低いこと,Bi/Srの置換 によってキャ リ ア濃 度を 制 御す るこ とが で きる こと があ げら れ る.そ のために,本研究の目的に最 適な物質であ る と考 えられる.試料としては ,フラックス法を用いて育 成した単結晶を用いた.銅酸 化物は伝導に 寄 与 す るCu02面 が 層 状 に 積 層 し た 構 造 を と っ て い る た め に 測 定 し た 電 気 伝 導 率 から2次 元面 あ た りの コン ダ クタ ンス を求 め るた めに は試 料寸 法 を精密 に求めなければならない.本 研究ではエキ シ マレ ーザーを用いて試料形状 を加工し,試料形状を決定 した.また,微小電圧測定に 関る問題点を 考察した .

  5章 にお いて 実験 結 果を 説明 し,考察を行った.コンダ クタンスの温度依存性は試料 のキャリア濃 度 に応 じてふるまいが異なった .キャリア濃度が小さい試 料では可変領域ホッピング型 が観測され,

キ ャ リ ア濃 度 が大 きい 試料 では 温 度の 対数 に比 例 して 低温 でコ ンダ ク タン スが 減少 する こ とが 観 測 され た.この対数依存性を与 えるモデルとしてはアンダ ーソン局在の弱局在,近藤効 果,電子間相 互作用が 知られている.しかレ,コ ンダクタンスに加えてホール係数の温度依存性,磁気抵抗効果,非 線 形伝 導の 測 定結 果を 詳細 に 検討 した とこ ろ, そ の3者 の いず れの モデ ルに おいても 測定結果を説 明できな いことを示した.

  さら に,電気抵抗率が極小を とる温度Bユ;‥とキャリア 密度nとの間にTふf K(nc−n)なる関係 が ある こと を 明ら かに した . この実験式を説明するために ,「易動度端の存在する2次 元電子系」の モデルを 導入し,このモデルによっ てヱm わと孔の関係が説明されることを明らかにした.っまり,下 部 臨界 次元が2次元ではないこ とを明らかにした.これは,2次元電子系では超伝導・絶 縁体転移,量 子 ホー ル液 体 ・絶 縁体 転移 に 次ぐ 第3の 量 子相 転移 を示 唆 する もの であ り, 非常に重 要な結果であ ることを 意味する.

  6章に おいて,本研究の総括を行っ た.

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学位論文審査の要旨 主 査    教 授    山 谷 和 彦 副 査    教 授    中 山 恒 義 副 査    教 授    田 中 啓 司 副査    助教授    丹田    聡

学位論文題名

銅 酸化 物 Bi2 + xSr2 − xCuOy 単結 晶 に おけ る 金属一 絶縁体転移

   電子相関の強い2 次元電子系において金属ー絶縁体転移が存在するか否か分 かっていない。一般に相転移の存在はその系の空間次元に依存しており重要な 意味をもつ。相互作用のない2 次元不規則電子系では電子局在のスケーリング 理論とその実験によって絶縁体相しか存在しない、っまり金属相が存在しない ことが明らかにされている。しかしながら、最近、強磁場中の2 、次元電子系と 超伝導薄膜 の2 種 類の 2 次元電子系において、金属相が存在することが明らか になった。いずれもそれらの系が強い量子ゆらぎのために単に空間次元だけで はなく時空を考慮にいれた(2 十 1 )次元電子系になっているため、量子ホール 液体―絶縁体転移、超伝導一絶縁体転移の量子相転移臨界点において新しい金 属相が存在していると考えられている。このような背景のもと、電子相関の強 い2 次元電子系においても金属―絶縁体転移が存在するか否か重要な問題とな っている。

   本論文では、電子相関が強い2 次元電子系を実現する典型物質として、キャ リア濃度を制御した銅酸化物Bi2 +エSr2‑ エCu0 ,単結晶を選び、コンダクタンス、

ホール係数、磁気抵抗効果、非線形伝導の測定と解析を行い、電子相関が強い 2 次元電子系における金属―絶縁体転移の存否を明らかにする実験的研究を行 っている。その主要な成果は次の点に要約される。

   (1 )コンダクタンスの温度依存性はキャリア濃度が小さい試料では可変領域      ホッピング型で、キャリア濃度が大きい試料のコンダクタンスは温度の対      数に比例して低温で減少することを見出した。

   (2 )コンダクタンスの対数型温度依存性に加えて、ホール係数の温度依存性、

     磁気抵抗効果、非線形伝導の測定結果はアンダーソン局在の弱局在、近藤      効果、電子間相互作用の従来モデルでは、矛盾なく説明することができな      いことを示した。

   (3 )電気抵抗率が極小を示す温度とキャリア密度には比例関係があることを

     発見し、その関係は「易動度端の存在する2 次元電子系」のモデルを導入

     することによって説明されることを明らかにした。これは、 2 次元電子系

     では量子ホール液体・絶縁体転移、超伝導・絶縁体転移に次ぐ第3 の量子

     相転移を示唆し、2 次元にもかかわらず「金属相」の存在を意味する重要

     な結果が得られた。

(4)

   これを要するに著者は、電子相関が強い2 次元電子系において「金属相」の 存在に関して新知見を得たものであり、物性物理学および応用物理学に対して その進歩に貢献するところ大なるものがある。

   よって著者は、北海道大学博士(工学)の学位を授与される資格あるものと 認める。

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参照

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オオミジンコの化学物質に対する反応解析に関して、重要な新知見を提供したものとして

   よ って 著者 は、 北海 道大 学博 士( 理学 )の 学位 を 授与 され る資 格が ある もの と認める。.

   よっ て, 著者 は, 北海 道大 学博 士( 理学 )の 学 位を 授与 される資格あるものと認める..

  

  

   これを要するに、著者はシリコン単結晶(111) 表面原子層構造の動的観察によルシ リコン(

   よ って 著者 は、 北海 道大 学博 士(工学)の学位を授与され る資格あるものと認める。. ―