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学位論文内容の要旨

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Academic year: 2021

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博 士 ( 工 学 ) 相 澤 則 行

     学位論文題名

シリコン単結晶(lll )表面原子層構造の形成と制御の研究      ― 超 高 真 空 走 査 型 電 子 顕 微 鏡 に よ る 観 察 一

学位論文内容の要旨

   近 年の半導 体デバ イスの研 究は原 子や分子 を直接 制御し,ナノメータスケールの構造 開 発を目指 してい る.シリ コンは 結晶の完 全性と酸 化膜の安定性から将来も最も有用な デ バイス基 板であ り続ける であろ う.将来 はデバイ スの諸特性に対する表面の影響がよ り 大きくな ること が予想さ れる. またナノ メータス ケールの構造の形成には表面の原子 ス テップや 再構成 構造の利 用が必 要となる であろう .しかし表面再構成の動的過程、再 構 成表面の 欠陥や ステップ との関 係の解明 は未だ不 十分で,再構成表面の薄膜育成等に 対 する影響 は不明 である. 本研究 はシリコ ン表面に おける薄膜育成やナノメータスケー ル 構造物形 成に対 する基礎 的知見 を得るこ とを目的 に,表面再構成の動的過程,再構成 初 期のドメ インと ステップ との関 係,再構 成表面上 の Ge の固相エピタキシーとサーファ ク タントの 関係, 表面構造 物の変 化等を超 高真空走 査型電子顕微鏡法によるその場観察 法で研究した.

   本研究の背景と意義,目的について第1 章序論で述べた,

   第 2 章 で 実 験装 置 に つい て 述 べた . 本 研 究に 用い た実験装 置は電 界放射電 子銃を 用 い た走査型 電子顕 微鏡を超 高真空 対応に改 良したも ので,Si 表面のモノレイヤーステッ プ や Si(111)7X7 ド メ イ ン, S1(001)2Xl ド メイ ン とlx2 ド メイン の試料温 度変化 に基づ く制御と,その場観察が可能である,

   第 3 章 で , Si 単 結 晶表 面 構 造研 究 の 基 礎と な る結晶 学と関連 表面現 象を整理 した.

   第 4 章 で , 相転 移 温 度( 830 ℃ ) か ら 数℃ 下 で 起き る 再 構成 表 面 の動 的 過程で ある Si (111)7 x7 ドメイン間位相境界の再配列について述べた.Si(lll )表面は,相転移温度よ り 上 で 1X1 構 造 , 下 で 7X7 構 造 を と る . 相 転 移 温 度 よ り 8 ℃ 低 い温 度 で 7X7 表 面 を観 察 するとド メイン 間位相境 界が観 察される .位相境 界は不安定で数分の間に形状を変え る .連続観 察の結 果,位相 境界の 安定化方 向が 7X7 ユニッ トのダイ マーの 方向を反映し てく110 >方向をとることを明らかにした・

   第 5 章で ,Si(lll )表 面に形 成される 初期7X7 ドメイン形状が表面ステップの結晶方向 に 依存する ことを 明らかに した. まずステ ップ方向 を一義 的に決定 するた め, [T2i] と [211 ] の結晶 軸方向を 菊池パタ ーンに よって絶 対的に決定できることを示した.次に典 型 的方向の ステッ プ端に形 成され る初期ド メインの 形と成長後の観察を行い,ドメイン は 成長初期 にステ ップとく 112 >方向に垂直な直線相境界で囲まれ,ステップ方向の違い でドメインの成長が異なることを確認した.

   第 6 章 で , 7X7 ド メイン 間位相 境界と表 面のス テップが 再構成 表面上の 結晶成長 に対

し,選択的な核形成場所となることを述べた.Si 表面上のGe 層の成長はStranski − Krastanov

モ ード iE で成長し,Ge 層の厚さが4 モノレイヤーを超すとGe の島が形成される.Si ( 111 )

(2)

表 面 にInm程 度 蒸 着 し たGeの 固 相 エ ピ タ キ シ ー をAFM観 察 し , 網 目 状 パ タ ー ン の 成 長 が 観 察 さ れ て い る が , こ れ がSi(lll) 表 面 の ス テ ッ プ や7X7ド メ イ ン 間 位 相 境 界 に 形 成 さ れ たGeの 島 に よ る こ と を 直 接 検 証 し た . ま た ド メ イ ン が ド メ イ ン 間 位 相 境 界 よ り50℃ だ け 結 晶 化 温 度 が 高 い こ と を 明 ら か に し た ・

  第7章 で ,7X7表 面 を 用 い 次 の4種 類 の 方 法 で 固 相 成 長 さ せ たGe膜 の 表 面 モ ホ ロ ジ ー と 内 部 の 結 晶 性 と の 比 較 に つ い て 述 べ た . (1) シ リ コ ン 基 板 上 にGeと 同 時 に 砒 素 を共 蒸 着 さ せ る 方 法 ,(2)シ リ コ ン 基 板 上 の み に 砒 素 を 蒸 着 す る 方 法 ,(3)多 層 構 造 で , 各3nm のGe層 の 間 に 砒 素 を 蒸 着 す る 方 法 ,(4) Geフ イ ル ム の 表 面 の み に 砒 素 を 蒸 着 す る 方 法 で あ る . 上 記4種 類 の 方 法 で 成 長 さ せ たGe膜 の 表 面 モ ホ ロ ジ ー に 大 き な 差 は 認 め ら れ な か っ た , 断 面 TEM, 平 面TEMに よ る 観 察 か ら 固 相 エ ピ タ キ シ ー に よ るGe膜 の 結 晶 性 は MBEに よ る 膜 の 結 晶 性 に 比 べ て い く 分 低 い こ と を 確 認 し た . ま た 方 法(4)で 表 面 に 島 形 成 が 起 き な い こ と か ら , 固 相 エ ピ タ キ シ ー に お け る 成 長 モ ー ド の 変 化 は サ ー フ ァ ク タ ン ト と し て 用 い た 砒 素 層 に よ り 表 面 のGe原 子 の 拡 散 が 妨 げ ら れ る 結 果 で あ る こ と を 明 ら か に し た . ま た7x7再 構 成 表 面 と 準 ixi 領 域 の 混 在 す る 表 面 は 、 準 1X1 表 面 が Geの 固 相 エ ピ タ キ シ ー に 対 し 選 択 的 な 結 晶 成 長 場 所 で あ る こ と を 明 ら か に し た.7X7ド メ イ ン と 1X1 ド メ イ ン 上 のGeは 各 々 約50℃ の 結 晶 化 温 度 の 差 を 持 ち な が ら 砒 素 層 が 無 い 場 合 と 比 べ て100℃ 高 い 結 晶 化 温 度 を 示 し た . こ の50℃ の 差 は7X7ド メ イ ン の 安 定 性 に 起 因 し ,100℃ の 結 晶 化 温 度 の 上 昇 は 砒 素 層 の 効 果 に よ る こ と を 明 ら か に し た .   第8章 で , 微 傾 斜Si(111) 面 に り ソ グ ラ フ イ ー 技 術 や 二 次 イ オ ン 質 量 分 析 器 を 利 用し て 形 成 し た 長 方 形 ク レ ー タ ー (10‑‑100LimX200 Lr,m、 深 さlLtm)の 加 熱 に よ る 自 己 組 織 化 に つ い て 述 べ た 。1200℃ 近 傍 の 加 熱 で 長 方 形 の ク レ ー タ ー は 底 に 巨 大 な (111) 無 ス テ ッ プ 面 を 形 成 す る . こ の (111) 無 ス テ ッ プ 平 坦 面 は ア ド ア ト ム 拡 散 に よ る ス テ ップ フ 口 ー メ カ ニ ズ ム で 形 成 さ れ る こ と を 明 ら か に し た . こ の 方 法 が 厳 密 にSi(lll) 表 面 に 一 致 し た 表 面 形 成 の 技 術 で あ る こ と を 明 ら か に し た .

  第9章 で , 本 研 究 で 得 ら れ た 成 果 を ま と め た . 第1にSi(111)7 X7位 相 境 界 がTc( 相 転 移 温 度 ) よ り8℃ 低 い 温 度 の ア ニ ー ル で7X7ユ ニ ッ ト の ダ イ マ ー を 反 映 し く110> の 方 向 で 安 定 化 す る . 第2に 菊 池/ヾ 夕 ー ン の 構 造 か ら[12T]と[211] 方 向 を 絶 対 的 に 決 定 で き , 第3に ス テ ッ プ に 発 生 す る7X7ド メ イ ン の 相 境 界 が ス テ ッ プ と く112> 方 向 に 垂 直 な 直 線 相 境 界 と で 囲 ま れ る 形 を と る . 第4に7X7ド メ イ ン 間 位 相 境 界 及 び そ の 二 次 元 的 広 が り で あ る 準 ixi 領 域 がGeの 固 相 エ ピ タ キ シ ー に お け る 選 択 的 核 形 成 サ イ ト と な り ,7X7領 域 と50℃ の 結 晶 化 温 度 の 差 が あ る 事 を 明 ら か に し た . 第5にGe固 相 エ ピ タ キ シ で 表 面 層 の 砒 素 が 成 長 モ ー ド を 変 え ,Geの 結 晶 化 温 度 を100℃ 上 昇 さ せ る . 第6 に 加 熱 に よ り , 表 面 構 造 物 か ら 無 ス テ ッ プ 平 坦 面 が で き , こ れ ら は 自 己 組 織 化 を 利 用 し た 厳 密 なSi(ll1) 表 面 形 成 技 術 と な り う る こ と 等 で あ る .

7ト Stranski‑Iくrastanovモード:エピタキシーの際,下地に到達した原子が始めの数層は層状成長を し,ある臨界厚を過ぎるとその表面に島状に成長する様式.

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学位論文審査の要旨

主査   教授   早川和延 副査   教授   鬼柳善明 副査   教授   成田正邦

副査   教授   並河一道(東京学芸大学大学院教剖噺究科)

     学 位 論 文 題 名

シ リ コ ン 単 結 晶 (m) 表 面 原 子 層 構 造 の 形 成 と 制 御 の 研 究      ― 超 高 真 空 走 査 型 電 子 顕 微 鏡 に よ る 観 察 ―

   従 来 のシ リ コ ンテ ク ノ口 ジ ー はシ リコン単 結晶の完全 性と酸化 膜の安定 性とに 支えられ てめざま しく発展 してきた 。しかし 将来のデ パイステクノ口ジーにおいて は、新し い表面構 造や表面 層特性を 備えた新 素材を開 発することが必要である。そ のために ナノメー タースケ ールの表 面粗さの 改善や、 ナノメータースケールの微細 構造物の 形成を、 表面の原 子層ステ ップや表 面再構成 構造物制御法によって行う試 みが進展しつつある。しかし表面の原子層ステップと表面再構成構造の関係などは、

現在まだ詳細は明らかになっていない。

   本研究は 、超高真 空走査型 電子顕微 鏡を用い て表面の 動的観察を行い、シリコン 単結 晶 (111 )表面 原子層ス テップと 再構成表 面に関する 知見を得 た先駆的 研究で ある。得られた結果は以下のように要約される。

@Si(111)7X7 再 構成 表 面に 形 成 され る 位 相境 界 はア ニ ー ルに よ りSi(lll) 表面内    で方向が それぞれ 120 ゜異なる 3 方向[101 ]、 [Il0] 、[011 ]に規則配列化するこ    とを明らかにした。(シリコン(111 )表面は相転移を起こし、相転移温度(830 ℃)

   以 下 で 7X7 構 造 と な る 。 位 相 境 界 は 7X7 領 域 間 に で き る 位 相 不 整 合 の 境 界    である。)

◎菊 池 バ ター ン を 用い て 、Si(lll) 表面内 で方向が 60 °異なる[12I] 方 向と [211 ]    方 向 を 絶 対 的 に 判 別 ・ 決 定 で き る こ と を 明 ら か にし 、 7X7 領域 の ステ ッ プ 方    向 依 存 性 を 解 明 し た 。 相 境 界 ( 7X7 領 域 と 1X1 領 域 と の 境 界 ) は Si(lll) 表    面内で方向がそれぞれ120 °異なる3 方向[ 112] 、[1 ゑ1 ]、[211 ]に垂直で、かつ   7X7 ユニット の積層欠 陥を含むサプュニット (Faulted half) で形成されている事を    検証した。

◎ 位 相 境 界 が Ge の 固 相 エピ に 対し て 選 択的 結 晶 化サ イ トで あ る こと を 明ら か に

   した。

(4)

@砒素サーファクタント使用のGe/Si(lll) の固相工ピは成長様式が島成長様式か    ら層状成長様式に変化し、砒素層のキャッピング効果により結晶化開始温度が上    昇することを明らかにした。

◎微 傾斜表面に 形成した凹クレーターを超高真空中で加熱し、広い無ステップ

( 111 )表面の形成法の技術開発に成功した。この方法は厳密にSi (111 )面に一    致した表面形成技術となることを明らかにした。

   これを要するに、著者はシリコン単結晶(111) 表面原子層構造の動的観察によルシ リコン( 111 )表面制御に関する多くの新知見を得たものであり、将来のシリコン ナノエレクト口二クス分野の発展を支える材料分野に貢献するところ大なるもの がある。

   よって著者は北海道大学博士(工学)の学位を授与される資格あるものと認める。

参照

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   よっ て, 著者 は, 北海 道大 学博 士( 理学 )の 学 位を 授与 される資格あるものと認める..

  

   よ って 著者 は、 北海 道大 学博 士(工学)の学位を授与され る資格あるものと認める。. ―

  

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