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学位論文内容の要旨

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Academic year: 2021

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博 士 ( 工 学 ) 折 田 寛 彦

学 位 論 文 題 名

都市ごみ燃焼過程でのダイオキシン類生成 及び生成抑制と低減に関する研究

学位論文内容の要旨

  都 市ご み に 代表 さ れる一般 廃棄物の 処理方法 として, 日本のよ うに国土が 狭く人口 密 度 の 大き な 各 国で は,焼 却処理が 主流とな っている 。  その理 由は,ごみ の減容効 果 が 大 きく 最 終 処分 地の延 命化が謀 れること に有る。  1999年度のデ ータでは, 国内 の 一 般 廃 棄 物 の 焼 却 率 は78.1% に 達 し , 約4千 万 ト ン / 年 の 焼 却 量 で あ っ た 。   都 市ご み の 焼却 は ,国内で すでに40年 間に近い 実績を有 するが, 都市ごみ焼 却によ り 発 生 する , 大 気・ 土 壌・ 水 汚 染と 騒 音・ 電 波 障害 等の2次公 害を防止す る技術の 確 立 は , 最近10年以 内 に入って からであ り,未だ に開発が 続けられ ている状況 に有る。

そ れ ら の中 で ダ イオ キシン 類対策は ,技術的 難易度が 高く,多 額の資金を 要する事 等 の 理 由 によ り 遅 れて きた。  1990年に厚生 省が「ダ イオキシ ン発生防 止等ガイド ライ ン 」 を 公布 し 対 策を 進めて きたが, 効果が現 れはじめ たのは1998年 になってか らであ る 。

  2000年6月 の環 境 庁発 表 に よる と , 一般 廃 棄物 焼 却による ダイオキ シン類排出 量は 1997年 に5000g‑TEQ/年 で あっ た も のが ,1998年に は1550g‑TEQ/年 に 激減 し ,1999年 に は1350g‑TEQ/年 と さらに減 少してい る。.一 般廃棄物 焼却を含 む国内全 体の排出量 は ,1997年 の7300‑7550g‑TEQ/年 から1999年 には2620‑2820 g‑TEQ/年 へと低下 してい る が , 一般 廃 棄 物焼 却によ るダイオ キシン類 排出量は 過半を占 めている。  従って,

一 般 廃 棄物 を 代 表す る都市 ごみの焼 却による ダイオキ シン類生 成をさらに 抑制する 社 会 的要求が 強く存在 する状況 にある。

  都 市ご み 焼 却炉 に おけるダ イオキシ ン類の生 成につい ては,燃 焼過程での 生成と熱 交 換 器 や 排 ガ ス 処 理 装 置 内 で の 再 生 成 に よ る も の に 大 き く 分 類 さ れ る 。   こ の後 者 に つい て は,焼却 飛灰を触 媒とした デノヴォ 合成によ るものであ り合成反 応 の 経 路に 関 す る検 討が進 んでいる 。また, 合成反応 が成立す る雰囲気温 度条件を 避 け る事と, 不活性雰 囲気とす ることで 防止でき る事が実用的レベルで確認されている。

  ー 方で , 燃 焼過 程 でのダイ オキシン 類生成に ついては ,多くの 仮説がたて られ,燃 焼 性 能 改善 等 の 手法 により 低減対策 が実施さ れている 。しかし ,生成機構 について の 定 量 的 な検 討 が 遅れ て いる 為 , 普遍 的 な低 減 対 策が 確 立し て い ない 状 況 にあ った 。 本 研 究 は, 都 市 ごみ 燃焼過 程でのダ イオキシ ン類生成 条件を定 量的に把握 した上で , ダ イ オ キシ ン 類 の生 成抑制 と低減の 方法につ いて,新 しい提言 を行う事を 目的とし て 実 施された 。

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  第1章では ,riliiけごみ 焼却炉から発生ナるダイオキシン類の尖態と,法的規制及び こ れ ま で に 実 用 化 さ れ て き た , ダ イ オ キ シ ン 類 低 減 対 策 に つ い て 述 べ る 。

  第2章 では , 理 論的 考 察に よ り 想定 した ダイオキ シン類生 成経路の 成立条件 を,基 礎 反 応 試験 により求 めた結果 について示 す。っま り,ダイ オキシン 類の前駆 体物質と し て , クロ ロベンゼ ンに代表 される芳香 族有機塩 素化合物 の存在が 欠かせな い条件で あ り , 芳香 族有機塩 素化合物 の生成条件 がダイオ キシン類 の生成条 件となる 事を確認 し た 。 さら に,ダイ オキシン 類の生成源 物質とし て有機・ 無機塩素 源と芳香 族炭化水 素 が あ れば ,都市ご み燃焼遇 程でダイオ キシン類 の生成が ありえる 事を,ベ ンチスケ ー ル の 燃焼 器を用い た試験で 実証した。 従って, これまで 定性的に 論じられ ていた燃 焼 過 程 での ダイオキ シン類生 成に関して ,前駆体 物質の生 成過程, 及び生成 源物質か ら の ダ イオ キ シ ン類 生 成を 定 量 的に 確 認し た 。

  第3章 で は, 第2章 で把 握 し たダ イ オ キシ ン 類生 成 条 件を 基 礎と し て,ダイ オキシ ン類 の 生 成源 で の 生成 抑 制機 構 と して 考 えら れ る ,硫 黄Sに よる 塩 素Cl2の還 元反応 成立条件 を,硫黄 の形態を 変えて定 量的に求 めた結果 について示 す。具体的には,S02 ガス及び 石炭に含 まれる硫 黄Sと,廃 棄物,に 含まれる 塩素Clのモル比の違いにより,

ダイ オ キ シン類の 低減率が 異なる結 果を,試験 データに 基づき示 す事がで きた。特 に 注目 さ れ る結 果 は ,廃 棄 物と 石 炭 を混 合したRDFの燃焼に より,ダ イオキシ ン類の低 減効果が 大きく現 れる事が 確認され た事であ る。

  第4章 で は ,都 市 ご み燃 焼 領域 に おい て,生成 後のダイオ キシン類 分解促進 の条件 を ,小 型炉 試験で求 め,実機 で性能確 認し実用 化の可能性 がある事 を示す。 小型炉試 験 では , ダ イオ キ シ ン類 低 減の 条 件 ,及びNOxを 低減する還 元雰囲気 燃焼領域 の形成 条 件を , 共 通し て 満 足さ せ る重 要 な パラメー タである1次 燃焼空気 量の減少 限界を把 握 した 。合 わせて燃 焼室出口 で,再循 環排ガス により未燃 焼ガスを 混合撹拌 しオーバ ー ファ イア 空気との 併用効果 で,ダイ オキシン 類分解の条 件を作る ことがで きる事を 示 した 。  実 機 で は, さ らに1次 燃 焼空 気量を減 少する為に 酸素富化 空気を導 入し,

炉 内の 高温 化によル ダイオキ シン類分 解を促進 すると共に ,燃焼ガ ス量の低 減によル ダ イオ キ シ ン類 の 総 量を 低 く押 さ え る条 件 を把 握 し た。

第5章では, 本研究で 得られた 成果をま とめて示 す。

  こ れらの研究 成果によ り,従来 から定性 的に提唱 されてき たダイオキ シ類生成 経路 について の定量的裏 付けがで き,理論としての正当性を確認できた。また,ごみ燃焼領 域で生成 する事が明 確となっ た,ダイオキシン類の炉内での分解促進方法についても,

有効な手 法の提案が できたも のと考え られる。

  今後,さ らにダイオ キシン類 低減の要求が厳しくなる傾向にあるが,本研究により示 され た生成機 構を基礎 とした新 しい低減 方法の提 案,及び ,本研究で 提案した 都市ご みと石炭 の混焼と, 酸素富化 空気を用いた低ダイオキシン類燃焼の普及を期待したい。

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学位論文審査の要旨

学 位 論 文 題 名

都市ごみ燃焼過程でのダイオキシン類生成 及び生成抑制と低減に関する研究

  

都市ごみに代表されるー般廃棄物の処理方法として,日本のように国土が狭く人口密度の大き な各国では,焼却処理が主流となっている。その理由は,ごみの減容効果が大きく最終処分地の 延命化が 謀れる ことに有る。1999年度のデータでは,国内の一般廃棄物の焼却率は78.1%に達 し,約4千万卜ンノ年の焼却量であった。

  

都市ごみ の焼却 は,国内ですでに

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年間に近い実績を有するが,都市ごみ焼却により発生す る,大気 ・土壌 ・水汚染 と騒音・ 電波障 害等の2次公害を防止する技術の確立は,最近10年以 内に入ってからであり,未だに開発が続けられている状況に有る。それらの中でダイオキシン類 対策は,技術的難易度が高く,多額の資金を要する事等の理由により遅れてきた。1990年に厚生 省が「ダイオキシン発生防止等ガイドライン」を公布し対策を進めてきたが,効果が現れはじめ たのは1998年になってからである。

  2000

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月 の環境 庁発表に よると ,一般廃 棄物焼却によるダイオキシン類排出量は1997年に

5000g

―TEQ/年であったものが,1998年には1550g−TEQ/年に激減し,1999年には1350g−TEQ/年と さらに減少している。一般廃棄物焼却を含む国内全体の排出量は,1997年の7300―7550g―TEQ/年 から1999年には2620−2820g―

TEQ/

年ーと低下しているが,一般廃棄物焼却によるダイオキシン 類排出量は過半を占めている。従って,一般廃棄物を代表する都市ごみの焼却によるダイオキシ ン類生成をさらに抑制する社会的要求が強く存在する状況にある。

  

都市ごみ焼却炉におけるダイオキシン類の生成にっいては,燃焼過程での生成と熱交換器や排 ガス処理装置内での再生成によるものに大きく分類される。

  

この後者にっいては,焼却飛灰を触媒としたデノヴォ合成によるものであり合成反応の経路に 関する検討が進んでいる。また,合成反応が成立する雰囲気温度条件を避ける事と,不活性雰囲 気とすることで防止できる事が実用的レベルで確認されている。

  

一方で,燃焼過程でのダイオキシン類生成にっいては,多くの仮説がたてられ,燃焼性能改善 等の手法により低減対策が実施されている。しかし,生成機構についての定量的な検討が遅れて

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彦 夫

一 孝

藤 沼

工 菱

授 授

教 教

査 査

主 副

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いる為,普遍的な低減対策が確立していない状況にあった。

本研究は,都市ごみ燃焼過程でのダイオキシン類生成条件を定量的に把握した上で,ダイオキシ ン類 の 生 成抑 制 と 低減 の 方 法 につ い て ,新 し い 提言 を 行 う事 を 目 的と し て実施 された。

  

第1章では,都市ごみ焼却炉から発生するダイオキシン類の実態と,法的規制及びこれまでに 実用化されてきた,ダイオキシン類低減対策について述べる。

  

第2章では,理論的考察により想定したダイオキシン類生成経路の成立条件を,基礎反応試験 により求めた結果について示す。っまり,ダイオキシン類の前駆体物質として,クロロベンゼン に代表される芳香族有機塩素化合物の存在が欠かせない条件であり,芳香族有機塩素化合物の生 成条件がダイオキシン類の生成条件となる事を確認した。さらに,ダイオキシン類の生成源物質 として有機・無機塩素源と芳香族炭化水素があれば,都市ごみ燃焼過程でダイオキシン類の生成 がありえる事を,ベンチスケールの燃焼器を用いた試験で実証した。従って,これまで定性的に 論じられていた燃焼過程でのダイオキシン類生成に関して,前駆体物質の生成過程,及び生成源 物質からのダイオキシン類生成を定量的に確認した。

  

3

章 では,第

2

章で把握したダイオキシン類生成条件を基礎として,ダイオキシン類の生成 源 での生 成抑制機構として考えられる,硫黄Sによる塩素Cl2の還元反応成立条件を,硫黄の形 態 を変え て定量的に求めた結果について示す。具体的には,S02ガス及び石炭に含まれる硫黄S と,廃棄物に含まれる塩素Clのモル比の違いにより,ダイオキシン類の低減率が異なる結果を,

試験データに基づき示す事ができた。特に注目される結果は,廃棄物と石炭を混合したRDFの燃 焼 に よ り , ダ イ オ キ シ ン 類 の 低 減 効 果 が 大 き く 現 れ る 事 が 確 認 さ れ た 事 で あ る 。

  

4

章では,都市ごみ燃焼領域において,生成後のダイオキシン類分解促進の条件を,小型炉 試験で求め,実機で性能確認し実用化の可能性がある事を示す。小型炉試験では,ダイオキシン 類低減の条件,及び

NOx

を低減する還元雰囲気燃焼領域の形成条件を,共通して満足させる重要 なパラメータである

1

次燃焼空気量の減少限界を把握した。合わせて燃焼室出口で,再循環排ガ スにより未燃焼ガスを混合撹拌しオーバーファイア空気との併用効果で,ダイオキシン類分解の 条件を作ることができる事を示した。  実機では,さらに1次燃焼空気量を減少する為に酸素富 化空気を導入し,炉内の高温化によルダイオキシン類分解を促進すると共に,燃焼ガス量の低減 によルダイオキシン類の総量を低く押さえる条件を把握した。

第5章では,本研究で得られた成果をまとめて示す。

  

これらの研究成果により,従来から定性的に提唱されてきたダイオキシ類生成経路にっいての 定量的裏付けができ,理論としての正当性を確認できた。また,ごみ燃焼領域で生成する事が明 確となった,ダイオキシン類の炉内での分解促進方法についても,有効な手法の提案ができたも のと考えられる。

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これを要するに著者は、都市ごみ燃焼過程でのダイオキシン類生成メカニズムを実証的に明ら かにし、これをもとにダイオキシン類の生成抑制と低減の方法にっいて,新しい提言をおこなっ ており、熱・環境工学上有益な多くの新知見を得たものであり、熱・環境工学の進歩に貢献する ところ大なるものがある。

よって著者は、北海道大学博士(工学)の学位を授与される資格あるものと認める。

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参照

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