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学位論文内容の要旨

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Academic year: 2021

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(1)

博 士 ( 理 学 ) 本 田 知 亮

学 位 論 文 題 名

Some indices of singularities of holomorphic         foliations on complex surfaces.

( 複 素 曲 面上 の複 素解 析的 葉層 構造 の特 異点 のい くっ か の指 数に つい て)

学位論文内容の要旨

  本 稿 で は 複 素 曲 面 ( 二 次 元 複 素 多 様 体 ) 上 の 複 素 解 析 的 葉 層 構 造 の 特 異 点 に 関 す る 三 つ の 指 数(Poincare‑Hopf indexBaum‑Bott indextangential index)に つ い て 考 察 す る 。 以 下 、 葉 層 構 造 と は す ぺ て 複 素 解 析 的 な も の を 言 う こ と と す る 。 Poincare‑Hopf indexは ベ ク ト ル 場 に 関 し て は 古 く か ら よ く 知 ら れ て し ゝ る が 、1970 年 にP  BaumRBottPoincare‑Hopf indexを 葉 層 構 造 の 法 層 のChern類 の 局 所 化 と み な し 、 一 連 の 留 数 と し て 拡 張 し た 。 底 空 間 を 二 次 元 に 限 る 場 合 に は 、 そ の 一 連 の 留 数 はPoincare‑Hopfの 場 合 以 外 に は 、 本 質 的 に は 一 種 し か 存 在 し な い 。 こ れ ら の 留 数 が 葉 層 構 造 の 特 異 点 の 局 所 的 な 振 る 舞 い の み に よ る も の で あ る の に 対 し て 、tangential indexは 葉 層 構 造 と 底 空 間 上 の 解 析 的 曲 線 の 「 接 し 方 」 に 関 し て 定 ま る 指 数 で あ る 。 こ れ は1996年 にM.Brunellaに よ っ て 一 般 的 に 定 め ら れ 、 底 空 間 が コ ン パ ク ト で あ る と き に そ の 和 を 与 え る 指 数 定 理 が 彼 に よ っ て 示 さ れ て い た 。 そ し て 、 筆 者 が 解 析 的 曲 線 の コ ン パ ク ト 性 の み を 仮 定 し た 別 証 明 を 与 えた 。

  1Yを 複 素 曲 面 と す る 。X上 の 一 次 元 葉 層 構 造 ア と はXの 接 層Oxの 階 数1の 部 分 層 ア の こ と を い う 。 ア に は 自 然 に 正 則 直 線 束Fが 対 応 し 、TXXの 接 束 と し て 、 自 然 な 束 写 像F ‑ TiYが 存 在 す る 。 こ の 束 写 像 が 単 射 で は な いXの 点 の 集 合 を ァ の 特 異 点 集 合 と い う 。 そ し て 、 特 異 点 集 合 が 孤 立 点 の み か ら な る 場 合 、 葉 層 構 造 ア はreducedと 言 わ れ る 。 本 稿 で は 葉 層 構 造 は す べ てreducedな も の と する 。

  サ( エ,リ )を 二変数 斉次対称多項式、Crl二二ニエ十リ,U2ニニヱリ,二変数多項式I/)(X,リ)を lp(x, め = サ ( げ1U2)に よ っ て 定 め る 。 こ の と き 、 葉 層 構 造 ア の 特 異 点 集 合 の 元p と め に 関 し て 、 Baum‑Bott留 数 が 定 ま る 。 こ の 留 数 は ァ のpの 近 傍 で の 挙 動 に よ っ て 定 ま る 複 素 数 で あ っ て 、 更 に 、 底 空 間Xが コ ン パ ク ト で あ る と き に は そ の 和 は 仮 想 束TtY ‑Fの 特 性 類 砂 ( TX‑ F)に 等 し い 。 こ こ で ) 、ciを 仮 想 束TX‑F iChern類 と し て 、 サ (TX‑ F)7p(ciC2)で あ る 。 特 に 、 ゆ 〓 びfUの 場 合 が 重 要 で あ り 、 後 者 の 場 合 、Baum‑Bott留 数 はPoincare‑Hopf indexに 一 致 す る。 前者の 場合の 留数 をBaum‑Bott indexと 呼ぶこ とにす る。

  Cを 底 空 間1Y上 の ( 被 約 ) 解 析 的 曲 線 と す る 。Cは ァ に よ っ て 不 変 な 曲 線 で は な

173 ‑

(2)

い、っまり、/,りをそれぞれC,戸の局所定義関数、局所生成元として、り(/)ぜ(f) で あ る と 仮 定 す る 。Cの 一 般 の 点 で は ァ の 葉 はCと 横断 的に 交わ って いる が、Cの 接 線 方 向 と 葉 の 方 向 が 一 致 す る 点 も 存 在 す る 。そ こでCと 戸の 接点 集合 を 、葉 と Cの 方 向 が 一 致 す る 点 の 集 合 及 び 、Cと ァ の 普 通 の 意 味 で の 特 異 点 集 合 と の和 集 合 とす る。 この 接点 集合Tはり (/) 〓0で特 徴っ けら れる 。 接点 集合 は孤立点のみ か ら な る と 仮 定 す る 。 接 点 集 合 の 各 点pに 関 して 、そ こで の接 し方 の度 合 いを 測 る 指 数 と し て 、tangential indexが 定め られ る。NをCの非 特異 点集 合の 法 束の 、 Cの 近 傍 へ の 正 則 な 拡 張 と す る と 、 こ のtangential indexは 仮 想 束N‑Fの 一 次 Chern類c:l(N ‑ F)の 接 点 集 合 へ の 局 所 化 と 捉 え る こ と が で き る 。 実 際 、Cが コ ン パ ク ト で あ れ ば (Xの コ ン パ ク ト 性 は 仮 定 しな い) 、そ の和 はcl(N ‑ F)^[C]

に一致する。こ こで、[C】はCの基本類である。

  一 方 、 ,X上 の 余 次 元1の 葉 層 構 造 ど をXの 余 接 層s2,Yの 階 数1の 部 分 層 とし て 定 め る 。 こ の 場 合 も 前 の 場 合 と 同 じ く 、 正 則 直 線 束Eが 対 応 し 、 自 然 な 東 写 像 E→T゛Xが 存 在 す る 。 こ の 束 写 像 が 単 射 に な ら な いXの 点 の 集 合 を 特 異 点 集 合 と ぃ う 。 そ れ が 孤 立 点 の み か ら な る 場 合 に ど はreducedで ある と言 う。 底 空間 が 二 次 元 でreducedな も の の み を 考 え て い る 場 合に は、 これ らニ つの 葉層 構 造は 一 対 一に 対応 する 。更に、Eをどに対応するべクトル束(どの余法束 とぃう)として、

ア とど が互 いに 対応 する もの で ある とす ると、葉層構造の接東と 余法東の間には、

ぬ をXの 標 準 東 と し て 、E=F○ ぬ な る 関 係 が あ る 。 こ の 関 係 を 用 い て 、F を 用 い て 述 べ ら れ て い る 上 述 の 指 数 定 理 をEで 書 き 下 す こ と が で き る 。   ヤ をX上 の 有 理 型 関 数 と す る 。 微 分dヤ を 考 え る こ と に よ っ て 、 余 次 元1の 葉 層 構 造 を 定 め る こ とが でき る。 この 葉層 構造 はャ の臨 界点 や不 定点 をそ の 特異 点 集 合 と し て 含 み 、 各 葉 は ジ の フ ん イ バ ー と な って いる 。こ の余 次元1の 葉 層構 造 に 対 し て 本 稿 で は 上述 の三 種の 指数 及ぴ 指数 定理 を適 用し てい る。 有理 型 関数 の 極 因子 上に はな い特 異点 に関 し てはPoincare―Hopf index, Baum‑Bott indexとも に 簡 単 に 計 算 で き る 。 極 因 子 上 に あ る 特 異 点 のBaum‑Bott indexも 本稿 で は計 算 し てあ り、 またPoincare‑Hopf indexに 関し ては ぃく っか の 場合 を計 算してある。

こ れは 、二 変数 の多 項式 から 定 まる 、射 影曲面上の葉層構造や、 そのmodification の 指 数 を 計 算 す る のに 有用 であ る。 これ によ って 、二 変数 多項 式の 無限 遠 方で の 挙 動に 関す る公 式を 得る こと が でき る。 一方 、一 般の 底空 間、 で、 解析的曲線Cと C上 で 定 数 で は な い 有 理 型 関 数 に よ る 葉 層 構 造に 関す るtangential indexが完 全 に 計 算 さ れ る 。C上 で の 有 理 型 関 数 と はC上 で 定 数 で は な く 、Cの 近 傍 に お い て 有 理 型 な 関 数 の 制 限で ある と考 える のが もっ とも 自然 であ るが 、こ のtangential indexは こ の よ う に定 めた C上 の有 理型 関数 の 臨界 点で の位 数を 与え る と考 え ら れ る 。 実 際 、Cが非 特異 な場 合、tangential indexは その 有理 型関 数のCへの 制 限 の 各 点 で の 位 数 と 一 致 し て い る 。Cが コ ン パク トな 場合 、指 数定 理は そ れら 位 数の和を与える 公式となっているのである。

  最後 に本 稿で は、 ベク トル 場 のblowing−upに 関し て述 べ て、tangential index がblowing‑upに よ っ て ど の よ う な 挙 動 を 示 す の か を 表 す 公 式 を 導 い て い る 。

(3)

学位 論文審査の要旨 主査

副査 副査 副査 副査

教授 教授 助教授 助教授 助教授

諏 訪 立 雄 泉 屋 周 一 石 川 剛 郎 河 澄 響 矢 中 居    功

    学 位論 文 題 名

    Some indices of singularities of holomorphic     foliations on complex surfaCeS.

(複 素 曲 面 上の 複 素 解析 的 葉 層構 造 の 特異 点 のいく っかの指 数につい て)

  近 年 、 複 素解 析 的 葉層構造 の特異 点に付随 した不変 量とし ての指数 、留数 に関する 研究 が 盛ん に 行 わ れて い る。こ れらを具 体的な 場合に明 らかに すること は重要 な問題で ある。

  本 論 文 で は複 素 曲 面( 二 次 元複 素 多 様体 ) 上 の複 素 解 析的 葉 層 構 造の 特 異点に関 する 三つ の指数(Poincare−Hopf index,Baum−Bott index,tangential index)について考察され てVゝる。Poincare‑Hopf indexは べクト ル場に関 しては 古くから よく知 られてい るが、P. Baum,R.BottはPoincare‑Hopf indexを葉 層 構 造の 法 層 のChern類 の 局 所化 と み なし 、 一 連の 留 数 と して 拡 張 した 。 本 論文 で は まず 葉 層 構造 が 有 理型 関 数 か ら定 められ る場合 に この 留 数 を 解析 し 、 留数 公 式 を得 た 。 応用 と して、2変 数多項式 が与え られたと き、そ の 定義 域 を コ ンパ ク ト 化し た 空 間上 に 自 然に 定 め られ る 葉 層構 造 に 対 する 指数公 式が得 ら れ、 こ れ は 多項 式 の 無限 遠 で の挙 動 を 解明 す る うえ で 有 用な も の で ある 。これ は、Le Dung Trangの問 題の解 答を与え るもの でもある 。

  も う ー つ の指 数 と して 、 複 素曲 面 上 の葉 層 構 造の非 不変曲線 に関する 指数(tangential index)が考 察 さ れて いる 。tangential indexは 葉層構造 と底空間 上の解 析的曲線 の「接 し 方 」 に 関 し て 定 ま る 指 数で 、M. Brunellaに よ っ て導 入 さ れ、 そ の 和を 与 え る指 数 定 理 が 彼に よ っ て 示さ れ ていた 。本論文 ではこ の定理の 更に一 般の場合 にも通 用する見 通しの 良 い別 証 明 が 与え ら れ てい る 。 また 、 こ の指 数 を 特異 点 のblow−upに 依 り具体 的に計算 出 来る 式 が 与 えら れ ており 、これを 用いる と原理的 にすべ ての場合 にこの 指数を計 算でき る こと に な る 。特 に 、葉層 構造が有 理型関 数から定 められ る場合に 具体的 公式が得 られて いる 。

  こ れ を 要 する に 、 著者 は 、 複素 曲 面 上の 葉 層 構造 に 対 し種 々 の 興 味深 い 公式を得 たも の であ り 、 こ れら は 複素解 析的葉層 構造の 解明に極 めて有 用で、複 素解析 幾何学に 貢献す

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るところ大なるものがある。

  よって著者は、北海道大学博士(理学)の学位を授与される資格あるものとみとめる。

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