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博 士 ( 獣 医 学 ) 瀬 戸 隆 弘 学 位 論 文 題 名

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Academic year: 2021

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     博 士 ( 獣 医 学 )    瀬 戸 隆 弘 学 位 論 文 題 名

Development of an efficient method fOrtheiSOlationof hantaVlruSbyuSlngSyrianhamSterSandEStabliShment

    0famouSemodelforhumanhantaViruSinfeCtion

( シ リ ア ン ハ ム ス タ ー を 用 い た 効 率 的 な ハ ン タ ウ イ ル ス 分 離 法 の 開 発 及 び

    

マ ウ ス を 用 い た ハ ン タ ウ イ ル ス 感 染 症 の 動 物 モ デ ル の 確 立 )

学位論文内容の要旨

  

ハンタウイノレスはブニヤウイノレス科/ ヽンタウイル ス属に属し、野生げっ歯類 を自 然 宿 主 と し て ユ ー ラ シ ア 大 陸 及び 南北 アメ リカ 大陸 に広 く分 布し てい る。

人が ハ ン タ ウ イ ル ス に 感 染 す る と 腎 症 候 性 出 血 熱 (

HFRS)

及 び ハ ンタ ウイ ルス 肺 症 候 群 (

HPS)

等 の 重 篤 な ハ ン タ ウイ ル ス 感 染 症 を 発 症 す る 。 ハ ン タ ウ イ ル ス感 染 症 は 世 界 中 で 毎 年 数 万 人 の 患者 が報 告さ れる ため 、公 衆衛 生上 重要 な人 獣共通感染症である。

  

ハ ン タウ イル スの 分離 には

Vero E6

細 胞が 一般 的に 用い られ てい る。 しか し、

ハン タ ウ イ ル ス が 最 も 良 く 増 殖 す る

Vero E6

細 胞 で も 、 本 ウ イ ル スに 対す る感 受性 は 低 く 、 ウ イ ル ス 株 を 新 た に 分離 する 事は 非常 に困 難で あっ た。 この こと が流 行 株 の 性 状 解 析 を 行 う に あ た って 大き な障 害と なっ てい た。 当研 究室 の研 究 で シ リ ア ン ハ ム ス タ ー が ョ ー ロ ッ パ 、 ロ シ ア に 分 布 す る

Puumala

ウ イ ル ス

(PUUV) に 対 し て 高 い 感 受 性 を持 つ 事 が明 らか とな ったた め(

Sanada et al.

2011

) 、 シ リ ア ン ハ ム ス タ ー を 増 幅動 物 と し て 用 い る 事 に よ り 効 率 的 な

PUUV

の分 離 法 の 確 立 を 試 み た 。 ロ シ ア 国内 で採 取さ れた

PUUV

遺伝 子陽 性野 鼠の 肺乳 剤を シ リ ア ン ハ ム ス タ ー に 接 種 し 、接 種12 日目 のハ ムス ター から 臓器 を採 取し た。 こ れ ら の ハ ム ス タ ー の う ち 、

PUUV

遺伝 子陽 性の ハム スタ ーの 肺乳 剤を

Vero E6

細 胞 に 重 層 し た と こ ろ 、

3

例の

PUUV

遺伝 子陽 性の サンプ ルか ら2 株の

PUUV

が分 離さ れ た 。 し た が っ て 本 法 は ハ ン タウ イル スを 効率 的に 分離 する ため の有 用な 手法 で あ る 事 が 実 証 さ れ た 。 今 後 未分 離の ハン タウ イル スの 分離 に本 法を 応用 することが期待される。

650

(2)

  HFRS

の原因とな るハンタウ イルスは人に対して腎障害を主徴とした内蔵出 血を引き 起こすが、 本ウイルス を実験動物に接種しても無症状である事が多 く、病原性の解析にあたって大きな障害となっていた。当研究室で分離された

Hantaan

ウイ′レスGalkino/AA57/2005 (AA57 株)を

ICR

マウスに接種をしたとこ ろ、一部のマウスが死亡した。そこで、AA57 株接種

ICR

マウスがハンタウイル ス感染症の病態解析モデルとして有用であるかどうかについて検討を行った。

2

週齢 のICR マウスにAA57 株を皮下接種したところ、ウイルス接種後8 日から14 日の間に体重減少及び呼吸困難の症状を呈した。発症率は接種したウイルス量

(30 −

30000FFU/

匹)に非依存的であり、45% から70cYo であった。発症したマウ スの一部は発症後1 日以内に死亡し、死亡率は全体の20% から

30

%であった。死 亡したマウスの全てにおいて胸腔内に大量の胸水が貯留していた。又、肺にお いて最も高いカ価のウイルスが検出され、肺の組織切片において血管周囲の浮 腫及び出血、肺胞腔内根の細胞脱落及び軽度の出血が確認された。以上の病態 は人のHPS のそれに非常に類似しており、又、HFRS の病態の一部に類似してい た。この事から、AA57 株接種ICR マウスがハンタウイルス感染症のモデル動物 として有用である可能性が強く示唆された。以上の成績は、HFRS に関連するハ ンタウイ ルスがマウ スにおいて 人のハンタウイルス感染症に類似した症状を 引き起こした初めてのモデルである。今後本モデルの病態解析により、人にお けるハン タウイルス 感染症のメ カニズムを解明するための有用な情報となる と考える。

651 ‑

(3)

学 位 論 文 審 査 の 要 旨

主査   准教授   苅和宏明 副査   教授   大橋和彦

副査   教授    有川二郎(医学研究科)

副査   講師   長谷部理絵

学 位 論 文 題 名

Development of an efficient method fOrtheiSOlationof hantaVlruSbyuSlngSyrianhamSterSandEStabliShment     OfamouSemodelforhumanhantaViruSinfeCtion

(シリアンハムスターを用いた効率的なハンタウイルス分離法の開発及び      マ ウ ス を 用 い た ハ ン タ ウ イ ル ス 感 染 症 の 動 物 モ デ ル の 確 立 )

  ′ ヽ ン タ ウ イ ル ス 感 染 症 は げ っ 歯 類 を 自 然 宿 主 と す るノ ヽ ン タ ウ イ′ レ ス の 感 染 によ っ て 起 こ る 人 の 重 篤 な 感 染 症 で 、 腎 症 候 性 出 血 熱(HFRS)と ハ ン タ ウ イ ル ス 肺 症 候 群 (HPS)2つ の 病 型 が あ る 。 毎 年 世 界 中 で 数 万 人 規 模 の 患 者 が 報 告 さ れ て お り 、 多 く の 国 々 で 公 衆 衛 生 上 の 問 題 と な っ て い る 。

  ハ ン タ ウ イ ル ス の 分 離 に はVero E6細 胞 が 広 く 用 い ら れ て い る も の の 、 本 細 胞 株 に お け る ハ ン タ ウ イ ル ス の 増 殖 能 は 低 く 、 げ っ 歯 類 や 患 者 か ら ウ イ ル ス を 新 規 に 分 離 す る の は 容 易 で は な い 。 こ の こ と が 流 行 株 の 性 状 解 析 を 行 う 上 で 大 き な 障 害 と な っ て い た 。 そ こ で 、 シ リ ア ン ハ ム ス タ ー がPuuiala型 ハ ン タ ウ イ ル ス(PUUV)に 高 い 感 受 性 を 持 つ 事 を 利 用 し 、 ロ シ ア 国 内 で 捕 獲 さ れ たPUUV遺 伝 子 陽 性 野 鼠 の 臓 器 乳 剤 を ハ ム ス タ ー に 接 種 し た 。 接 種12日 目 の ハ ム ス タ ー の 臓 器 乳 剤 をVero E6細 胞 に 重 層 し た と こ ろ 、 ウ イ ル ス 遺 伝 子 陽 性 の 野 鼠3例 か ら2株 のPUUVが 分 離 さ れ た 。PUUVは 分 離 の 困 難 な ハ ン タ ウ イ ル ス と し て 知 ら れ て お り 、 本 手 法 は ハ ン タ ウ イ ル ス の 効 率 的 な 分 離 法 と し て 有 用 で あ る と 考 え ら れ た 。

  HFRSは 人 で 重 篤 な 症 状 を 示 す が 、HFRSの 原 因 ウ イ ル ス を 実 験 動 物 に 接 種 し て も 無 症 状 で あ る こ と が 多 く 、 小 型 の 実 験 動 物 に お い て 人 の 病 態 に 類 似 し た 症 状 を 示 す 動 物 モ デ ル は こ れ ま で 確 立 さ れ て い な ぃ 。Hantaan virus Galkino/AA57/2005(AA57株 ) を ICRマ ウ ス に 接 種 す る と 、 一 部 の マ ウ ス が 死 亡 す る こ と が 最 近 見 い 出 さ れ た 。 そ こ で 、 2週 齢 の エCRマ ウ ス にAA57株 を 皮 下 接 種 し て 経 過 観 察 を 行 っ た と こ ろ 、 ウ イ ル ス 接 種 マ ウ ス は8日 か ら14日 目 の 間 に 体 重 減 少 、 及 ぴ 呼 吸 困 難 の 症 状 を 呈 し 、 発 症 マ ウ ス の 一 部 が 死 亡 し た 。 す べ て の 死 亡 マ ウ ス の 胸 腔 に は 大 量 の 胸 水 が 貯 留 し て お り 、 肺 に お い て 血 管 周 囲 の 浮 腫 、 出 血 、 血 管 内 皮 細 胞 の 変 性 お よ び 好 中 球 の 付 着 が 確 認 さ れ た 。 ま た 、 死 亡 個 体 の 臓 器 中 で は 、 肺 に お い て 最 も 高 い カ 価 の ウ イ ル ス が 検 出 さ れ た 。 以 上 のAA57株 感 染ICRマ ウ ス の 病 態 はHPSの そ れ に 酷 似 し て お り 、HFRSの 病 態 の 一 部 に も 類 似 し て い た 。 し た が っ て 、AA57株 感 染 エCRマ ウ ス は ハ ン タ ウ イ ル ス 感 染 症 の モ デ ル 動 物 と し て 有 用 性 が 高 い こ と が 明 ら か に な っ た 。 本 成 績 はHFRSに 関 連 す る ハ ン タ ウ イ ル ス が 、 マ ウ ス に お い て 人 の ハ ン タ ウ イ ル ス 感 染 症 に 類 似 し た 症 状 を 引 き 起 こ し 得 る こ と を 示 し た 初 め て の 報 告 で あ る 。

652

(4)

  

以上の研究業績は、ハンタウイルス感染症の研究遂行上障害となっていた問題点 を解決したものとして高く評価される。よって審査員一同は、上記博士論文提出者 瀬戸隆弘氏の博士論文は、北海道大学大学院獣医学研究科規程第6 条の規定による 本研究科の行う博士論文の審査等に合格と認めた。

653

参照

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