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博士(医学)土屋 学位論文題名

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Academic year: 2021

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     博士(医学)土屋 学位論文題名

   麻 酔 下 の ラ ッ ト に お け る 皮 膚 の 機 械 的 刺 激 に よ る CORTICOSTERONE . LUTEINIZING HORIVIONE    ( LH) 及 び TESTOSTERONE の 反 射 性 分 泌 調 節

学位論文内容の要旨

1.目  的

  皮膚感覚刺激は内臓機能に影響を及ぼすことが知られており,治療にも応用されている。しか しながら,その作用発現の生理学的機序は明確ではない。近年来,実験動物に麻酔をかけ情動反 応の影響を除去した上で,皮膚に対する種々の刺激が心臓,胃腸管,膀胱,副腎髄質等の自律機 能を反射性に調節することが実証されてきた。例えば,副腎交感神経活動及び副腎髄質からのカ テコールアミン分泌は皮膚の刺激に反射性に反応し,その際,侵害性機械的刺激で亢進し,非侵 害性機械的刺激で抑制される相反する影響を受ける。これらの知見に加え,皮膚感覚刺激のホル モン分泌機能への影響を知ることは皮膚感覚刺激の生体への影響を理解する上で重要と考えられ る。そこで,本研究では皮膚の刺激が,麻酔条件下で晴動の影響を除去した状態で,副腎皮質か ら のcorticosterone分泌 ,下 垂体 前葉 か らのluteinizing hormone (LH)分泌 ,及び精巣 か らのtestosterone分 泌に影響するかどうか,その際,皮膚の侵害性機械的刺激の影響と非侵害 性 機 械 的 刺 激 の 影 響 に 違 い が あ る か ど う か を 明 ら か に す る こ と を 第1の 目 的 と し た 。   また,内分泌機能の加齢変化にっいて,下垂体―副腎皮質機能は加齢に伴いよく維持されるの に対し,下垂体―精巣機能は減弱することが示唆されている。このことは,ホルモンの基礎分泌 濃度及び下垂体ホル モン刺激に対するin vivo及びin vitroの反応性を調べることよって明らか にされてきた。したがって,体性感覚刺激による内分泌機能への反射性反応の加齢に伴う変化に 興味がもたれる。そこで皮膚の刺激によるこれらのホルモンの反射性分泌調節が,加齢動物でも 認められるかどうか を明らかにすることを第2の 目的とした。

2. 方  法

Pentobarbital麻酔 下のWistar系 オスラット(13〜22週齢の若齢成熟群及び24〜27ケ月齢 の     ‑ 90←

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加齢群)を用いた。0830hに麻酔導入後,気管,右側 総頸動脈,右側総頸静脈に挿管し,人工呼 吸器に接続した。手術は0930hまでに完了し,採血開 始まで動物を安静状態に置いた。実験中は イ ンフ ュー ジョ ンポンプを用い,pentobarbital及びgallamine triethiodideを継続的に 注入 した。終末呼気炭酸ガス 濃度,血圧,直腸温をモニターし,各々一定の範囲の値を維持するよう にした。

  皮膚の侵害性機械的刺 激は,両側後肢足蹠を10分間,外科鉗子でpinchingして 加えた。皮膚 の非侵害性機械的刺激は ,両側後肢を10分間,歯ブラシでbrushingして加えた。 また,コント ロール群では皮膚に刺激 を与えず採血のみ行った。

  採血は大腿静脈に挿入 留置したカニューレより行った。血漿corticosteroneの 分析のための 採 血 実 験で は,1430h〜1630hに15分間 隔で 採血 した ( 刺激 前に3回 ,刺 激後 に6回 )。 血漿 LH及 び 血漿testosteroneの分 析の ため の実 験で は血 液 を1400h〜1730hに30分 間隔 で採 取し た(刺激前に1回,刺激後に7回)。

  血 漿corticosteroneの 分 析 は 高 速 液 体 ク ロ マ ト グ ラ フ ィ ー(HPLC)で 行っ た。 血漿LH及 び血漿testosteroneの分 析はradioimmunoassay (RIA)で行った。

  皮膚刺激の血漿ホルモ シレペルヘの影響の評価はpairedと・testで行った。若 齢成熟群ラッ トと加齢群ラットのホル モンの安静状態での基礎濃度の有意差検定はStudent sと.testで行つ た。

3.結  果

  1) 麻酔 下安 静状 態 での 血漿cortlcosterone, 血漿LH及 び血 漿testosterone:麻酔下 で皮     膚に刺激を加えずに 安静状態を保った若齢成熟ラットの血漿corticosterone6ま1430h〜1630     hの2時 間 , ほ ぼ 一 定 で あ っ た 。 ま た , 血 漿LH及 び 血 漿testosteroneは1400h〜1730h     ・の2.5時間,ほぼ 一定の値を示した。

  2) 皮膚 に対 する 侵 害性 機械 的刺 激の 血漿corticosterone, 血漿LH及び血漿testosterone     へ の影 響: 両側 後肢 足蹠 の侵 害性 機械 的刺 激 の後 ,若 齢成 熟群 ラットの血漿corticos‑

    terone,血 漿LH,及 び血 漿testosteroneは有意に増加した。血漿corticosteroneの 増加     は 刺激 終了 直後 より 見ら れ, 刺激 後約1時間 持続 した 。一 方、 血漿LHは刺激終了後30分     と60分 に 有 意 に 増 加 し , 血 漿testosteroneは刺 激後60分 〜150分に 有意 に増 加し た。

  3) 皮膚 に対 する非侵害性機械 的刺激の血漿corticosterone,血漿LH及び血漿testosterone     への影響:両側後肢 の非侵害性機械的刺激後も若齢成熟ラットの血漿corticosterone,血     漿LH及 び 血 漿 testosteroneは い ず れ も 刺 激 前 と 同 等 の 値 を 維 持 し た 。     ー91―ー

(3)

4)加 齢群 ラットの麻酔下安 静状態の血漿corticosterone,血漿LH及び血漿testosterone: 加齢 群ラ ット の麻 酔下 安静 状態 での 血漿corticosterone及び 血漿LHは若齢成熟群 の値と ほば 等し かった。一方,加 齢群ラットの麻酔下安静状態の血漿testosteroneは若齢 成熟群 の値に比べ,有意に低値であった(pく0.01)。

5)加 齢群 ラットでも,血漿corticosteroneは両側後肢足蹠の侵害性機械的刺激後に 有意に 増加した。この増加反応の大きさ及び時間経過に っいて,加齢群ラットと若齢成熟群ラット の間に顕著な差異は見られなかった。

6)加 齢群 ラッ トに おけ る皮 膚の 侵害 性機 械 的刺 激の 血漿LH及 び血漿testosteroneへの影 響: 加齢 群の ラッ トの 血漿LH及 び血 漿testosteroneは, 両側 後肢足蹠の侵害性機 械的刺 激 の 終 了 直 後 か ら 刺 激 終 了 約3時 間 ま で , 刺 激 直 前 と 同 等 の 値 を 示 し た 。

4.考  察

  若齢成熟ラットに おいて,皮膚の侵害性刺激は副腎皮質からのcorticosterone分泌,下垂体 前葉からのLH分泌, 精巣からのtestosterone分泌を有意に増加させることが明らかとなった。

この成績は情動の影響を除去した麻酔動物を用いて得られたことから,皮膚感覚入カからこれら のホルモン分泌への反射性調節のあることが示唆された。一方、皮膚の非侵害性機械的刺激はこ れらのホルモン分泌 にfま影響しなかった。

  加齢群ラットにお いて,皮膚の侵害性機械的刺激は,血漿corticosteroneを有意に増加させ た 。一 方, 加齢 群で は,同じ皮膚の侵害性機 械的刺激の後,血漿LH及び血漿testosteroneは 変化しなかった。こ の成績は,皮膚の侵害性機械的刺激によらて血漿LH及び血漿testosterone が増加する若齢成熟群の成績と対照的であった。今回,侵害性体性感覚刺激の下垂体前葉及び精 巣の分泌機能への影響と副腎皮質の分泌機能への影響は加齢に伴い異なる変化をすることが明ら かとなった。すなわち,侵害性体性感覚刺激による副腎皮質からのcorticosterone分泌亢進は,

加 齢に 伴い 維持 され るが ,侵 害性 体性 感 覚刺 激に よる 下垂 体前 葉か らのLH及び精巣からの testosterone分泌亢 進は加齢に伴い減弱することが示唆された。

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学位論文審査の要旨

  1)皮膚刺激が,麻酔下で情動の影響を除去した状態で,cortlcosterone,luteinizing hor―     mone (LH),及 びtestosterone分 泌に 影響 するかどうか,その 際,皮膚の侵害性機械的     刺激と非侵害性機械的刺激の影響に違いがあるかどうかを明らかにする。2)皮膚の刺激に     よるこれらのホルモンの反射性分泌調節が,加齢動物でも認められるかどうかを明らかにす     ることを目的として実験を行った。

    Pentobarbital麻酔 下のWistar系 オス ラッ ト(13〜22週齢の若 齢成熟群及び24〜27ケ月     齢の加齢群)を用いた。皮膚の侵害性 機械的刺激は,両側後肢足蹠を10分間,外科鉗子で     pinching,非侵害性機械的刺激せ,両 足後肢を10分間,歯ブラシでbrushingして加えた。

    また,コントロール群では皮膚に刺激 を与えず採血のみを行った。corticosteroneの分析     のため大腿静脈に挿入留置したカニュ ーレより1430h〜1630hに15分間隔で採血した(刺激     前に3回, 刺激 後に6回 ) 。血 漿LH及び 血漿testosteroneの実験では血液を1400h〜1730     hに30分間 隔で採取した(刺激前に1回 ,刺激後に7回)。corticosteroneの分析は高速液     体ク ロマ トグ ラフ ィ― で ,LH及びtestosteroneの分 析はradioimmunoassayで行った。

  1)侵害 性機 械的 刺激 の後,若齢成熟群ラットのcorticosteroneは 刺激終了直後より有意に     増加し約1時間持続した。LHは刺激終了後30分と60分に有意に増加 し,testosteroneは50     〜150分後 に有意に増加した。

  2,)非侵害 性機械的刺激によって若齢成熟群ラットのcorticosterone,LH及びtestosterone     はいずれも有意の変化を示さなかった 。

  3) 加齢 群ラ ット の麻 酔下 安静 状態 でのcorticosterone及びLHは 若齢成熟群の値に比ベ,

    有意に低値であった(pく0. 01)。

  4) 加齢 群ラ ット にお ける 侵害 性機 械的 刺激 後にcorticosteroneは有意に増加した。LH及     びtestosteroneは約3時間まで変化はみられなかった。

  こ の発 表に 対し ,斉 藤秀 哉 教授 から1)pinchingの後corticosterone,LH,testosterone の間 に反 応の 時間 差が ある が ,こ れを どう 考え るか?2)brushingによる副腎皮質と髄質の 反応 のち がい をど う考 える か ?3)老齢 ラッ トでcorticosteroneは 若齢 ラッ トと同様の反応     ―93―

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を 示 す のにLH,testosteroneでは示 さない のはどう 説明す るか?4)体性 神経刺 激によル ホ ル モン反 応をひきおこす中枢機序は?,本間教授からは1)麻酔下に不動化して,情動反応を除 いたという説明であったが,もし無麻酔,無拘束動物でしらべた場合実験データに差がでると思 う か ?2)circadian riseが通常 見られ る時間帯 にみられ なかっ た理由は ?さら に藤本征 一 郎 教授か らは1)麻酔と くにpentobarbitalはLHそ の他のホ ルモン を抑制す るとさ れている 。 何 故pentobarbitalを 用い たか ?2)pentobarbitalは 微量で も排卵に 影響が でる。麻 酔深度 はどのようにコントロ―ルしたか?等々の質問がなされた。発表者はこれらに対し適切妥当な返 答をなし得た。さらに副査の斉藤秀哉教授,本間研一教授に個別に試問をうけ合格と判定された。

  本 研究は 皮膚感覚刺激のホルモン分泌機能への影響をcorticosterone,luteinizing hormone 及 びtestosteroneを用 いて若 齢ラット で明らかにし,さらに老齢ラットでそれらがどのように 変わって行くかを明らかにしたものであり,博士(医学)の学位を授与するにふさわしい論文と 認められる。

参照

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