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博士(農学)佐々木学位論文題名

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Academic year: 2021

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(1)

     博 士 ( 農 学 ) 佐 々 木 学 位 論 文 題 名

牛肉流通組織再編下における家畜商の存立形態に関する研究

ー北海道の大手家畜商を事例として―

学位論文内容の要旨

  本論文 の課 題は牛 肉流通 組織再 編下に おけ る家畜 商の存 立形態 を明 らかに するこ とである。家 畜商は 「家畜 の売買 ,も しくは 斡旋の 事業を 営む 」商人 である が,現 在,肉 牛市 場を中心に活動 し,産 地集出 荷段階 では 約4.5割 の高い 集荷 シェア を有し ている 。80年 代以降 ,牛肉 市場では,

大手ス ーパー (量販 店) や食肉 加工資 本の進 出, そして ,牛肉 輸入自 由化に よっ て,国内生産の 主流を 占める 乳用種 を中 心に流 通組織 再編が 急速 にすす められ ており ,家畜 商の 動向は,産地展 開を左 右する ものと して 注目さ れる。 しかし ,高度成長期以後,家畜商の研究はきわめて少なく,

とりわ け,乳 用種肉 牛・ 牛肉の 主産地 に介在 する家畜商にっいては,資料収集の困難性もあって,

研究上 の空白 部分と なっ ている 。

  本 論 文 の 構成 は , 第1章, 第2章 で統計 資料 の分析 によっ て,1960年代以 降の牛 肉流 通組織 再 編と, 乳用種 肉牛産 地北 海道で ,とり わけ主 産地 と目さ れる十 勝にお ける家 畜商 の一般的動向把 握を 行 い , 第3〜5章 で , 典型 事 例 と し て大 手 家 畜 商3社 を とり あげ, その事 例分 析を行 ってい る。な お,存 立形態 を規 定づけ る要因 として ,事 業展開 からみ た存立 基盤と 肉牛 ・牛肉の生産・

流 通 過 程 の 経 済 的 機 能 ( 以 下 機 能 と い う ) の 両 側 面 に 着 目 し , 分 析 を す す め て い る 。   まず, 序章 では, 課題の 整理と ,既往 の研 究整理 を行っ た。

  第1章 で は, 高度成 長期 中期か ら生産 が展開 した乳 用種 牛肉の 全国流 通から みた 特徴を ,和牛 肉と比 較して 整理し てい る。そ の結果 ,@規 格化 ・標準 化のす すんだ 乳用種 牛肉 にっいては,そ の大部 分は市 場外を 流通 し,し かも, 枝肉, 部分 肉流通 が展開 されて いる。 ◎流 通の仲継・小売 段階に おいて は,そ れま で支配 してい た食肉 問屋 のシェ アは縮 小傾向 にあり ,食 肉加工資本,量 販店の シェア が伸び てき ている 。◎そ して, このような卸,小売段階の流通組織再編に対応して,

産地 で は , 家 畜商 を 中 心 と す る集 出 荷業者 が大き なシェ アを 占めて いるこ とを明 らかに した 。   第2章 で は, 北海道 の牛 肉流通 構造を 概観し たうえ ,主 産地十 勝の生 体流通 に介 在する 家畜商 の一般 的動向 にっい て検 討して いる。 っまり ,大 部分の 家畜商 は,生 産者団 体と の肉牛集出荷競

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争 の激 化や市 場情報 公開が すす む中で ,必然 的に肉 牛売買 によ る収益 を縮小 させて いる。かれら は 階層 分化を 余儀な くされ ると ともに ,存立基盤を生体売買の差益から,[生体売買十肉牛飼養]

に よる 収益へ と複合 化させ ,存 立形態 を差益 商人か ら複合 家畜 商へと 変容さ せてい ることを明ら か にし た。

  第3章 では ,こう した 一般的 動向の 中から ,さ らに大 きく存 立形態 を変容 させ ている 大手家 畜 商 に 着 目 し, その 事例分 析にう っる。 十勝A社に っいて ,存 立基盤 ,およ び機能 の両 側面か らみ た 存立 形態に っいて 考察し てい る。そ の結果 ,存立 基盤に っい ては,A社 は,1949〜 69年の生体 売 買に よる差 益(あ るいは 手数 料)か ら,1970年以降 には, 大手食 肉加 工業者 との取引を通して 産 地市 場再編 をすす めなが ら, [生体 (素牛 )売買 十肉牛 飼養 十肉牛 集荷・ 牛肉( 枝肉)販売]

に よる 収益へ と多角 化をは かっ ている 。また ,機能 にっい ては ,肉牛 集出荷 ,肉牛 飼養,屠殺,

枝 肉 販 売 へと 拡大 させて いる。A社 は加工 過程を 内部化 して おらず ,新た な事業 拡大 に迫ら れて い る 。 以 上か ら,A社の 存立 形態は ,端緒 的では あるが ,事 業の総 合化を はかり つっ ある総 合家 畜 商と いえる 。

  第4章 では , 釧 路B社の 分 析 を 行 って ,A社 よ りも 一 層 の事業 の総 合化を はかっ ている ことを 明 ら か に して いる 。すな わち,B社 の存立 基盤の 変化を みる と,1949〜62年の 生体売 買に よる差 益 から ,63〜75年には 食肉加 工によ る収益 へと 変わり ,そし て,76年以降 は[肉 牛・肉豚飼養十 牛 肉・ 豚肉・ 鶏肉・ 羊肉の 加工 処理・ 部分肉 販売十 食肉小 売] による 総合的 収益へ と多角化し,

現 在, その中 心を肉 豚生産 ・肉 豚加工 ・部分 肉販売 から肥 育牛 生産・ 牛肉加 工処理 ・部分肉販売 へ と移 しつっ ある。 機能の 面に っいて は,肉 牛集荷 ,肉牛 飼養 ,屠殺 ,枝肉 格付, 加工処理へと 拡 大し ,牛肉 加工処 理過程 を内 部化し ,同社 の主要 な事業 部門 として 確立さ せてい る。したがっ て ,B社 の 存立形 態の変 容を みると ,旧来 の家畜 商であ る差 益商人 から食 肉加工 ヘ進 出した 家畜 商 を経 て,現 在は, 存立基 盤の 多角化 と機能 の拡大 をもと に, 取扱畜 種を総 合化さ せて,経営を 拡 大し ている 総合家 畜商へ と展 開して いる。

  第5章 では , さ ら に 十勝C社 を と りあ げ て 分 析 し,B社 よりも なお 一層の 事業の 総合化 をすす め てい ること を明ら かにし てい る。す なわち ,C社の存 立基盤 の変化 をみ ると,1949〜 70年の生 体 売買 による 差益か ら,70〜73年に は[生 体( 素牛) 売買十 肉牛飼 養十 飼料販 売]による総合的 収 益へ と多角 化し, さらに ,74年 以降に は,牛 肉加 工処理 ・部分 肉販売 や食肉 小売 が加わり,存 立 基盤 の一層 の多角 化がす すめ られて いる。また,機能にっいても,肉牛集荷,肉牛飼養,屠殺,

枝 肉 格 付 ,加 工処 理,輸 送へと 大きく 拡大さ せて いる。 っまり ,C社は, このよ うな 存立基 盤の 多 角化 や機能 の拡大 を背景 に, 飼料販 売をも 加え, 販売品 目を 総合化 させて 経営を 拡大する総合

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家畜商としての新しい存立形態を備えている。また,C社は,牛肉輸入自由化以降,スーパー主 導による牛肉流通組織化の進展を契機に,大手食肉加工資本J社を通して,量と質を求めるスー パーの牛肉販売戦略への出荷対応をすすめている。これを通して,C社は,大手資本に対し,牛 肉販売上の価格交渉カを獲得しっっある。だが,産地の自立した再生産を可能にするには,その 機能のさらなる拡大が必要である。っまり,自由化以降の肉牛・牛肉価格低迷にともない,C社 総販売額は伸悩み,肉牛を供給する直営生産部門は経営不振に陥っている。以上のように,C社 は,これまでみてきた家畜商の中でも,最も多部門に亘る事業の総合化をはかり,大手資本によ る牛肉流通組織化に対応して,さらに機能を拡大している。

  終章では,以上の分析を要約して,現段階における家畜商の存立形態にっいて総括するととも に,家畜商の産地における新たな評価と位置付けを行っている。すなわち,事例分析をしたA, B,Cの各社は,一般家畜商とは異なった総合家畜商ともいうべき新たな存立形態を備えるとと もに,産地では,農家や中小家畜商を系列化し,産地インテグレ一夕―としての位置を占めてい る。また,現在,主産地に存立している家畜商を類型的にみれば,@差益商人,◎複合家畜商,

◎総合家畜商の3っの形態がある。このことは,零細・下層の分解が促進される中で,@から◎,

◎へとすすみつっある家畜商の発展方向を示している。だが,総合家畜商は産地では優れた牛肉 集出荷対応をすすめているが,その事業は大手スーパーや食肉加工資本主導の全国的な牛肉イン テグレーションに組み込まれている。因みに,大手資本による市場総合の触手は系統農協にも及 びつっあり,生産者団体と同様,総合家畜商は大手資本に対しては,経済的弱者の立場にある。

両者は提携しながら産地から生産の内発的な組織化をはかり,産地としての自立的再生産を可能 にする集出荷対応をすすめる必要がある。

学位論文審査の要旨 主査

副査 副査 副査

教授・

教授 教授 助教授

臼井 太田原 土井 三島

    晋 高昭 時久 徳三

本論文は,7章からなり,図50,表15,参考文献155を合む181頁の和文論文であり,ほかに9

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編の参 考論文 が添え られ ている 。

  牛肉市 場では ,生 産の主 流を占 める乳 用種 牛肉を 中心に ,急速 に流通 組織再編がすすめられて いる。 そのな かで家 畜商 は産地 で大き な肉牛 集荷シ ェア を占め て活動 してい るが,資料収集の困 難性の ため, その研 究は ほとん ど行わ れてい ない。

  そこで 本論文 は, 乳用種 牛肉主 産地十 勝・ 釧路の 両地区 を対象 として ,牛肉流通組織再編下に おける 家畜商 の存立 形態 を明示 するこ とを課 題とし てい る。存 立形態 を規定 づける要因として,

事業 展開か らみ た存立 基盤と 事業の 経済 的機能 (以下 機能と いう) の2っの側 面に 着目し ,分析 をすすめている。

  まず, 序章で は, 課題の 整理と ,既往 の研究 整理 を行っ ている 。

  第1章 では ,統計 資料に よって ,全 国流通 からみ た乳用 種牛肉 流通 の特徴 にっい て,和 牛肉 と 比較し て検討 し,大 部分は 市場 外流通 ,枝肉 ・部分 肉流 通とな り,流 通の仲 継・小 売段階では,

食肉加 工資本 ,量販 店が, 産地 集荷段 階では ,家畜 商が 大きな シェア を占め ている ことを明らか にした 。

  第2章 では ,十勝 の家畜 商の一 般的 動向に っいて 検討し ている 。そ して, 多くの 家畜商 は, 系 統と の 肉 牛 集 出荷 競 争 の 激 化や 市場 情報公 開の 進展に よって ,存立 基盤 を生体 売買の 差益か ら

[生体 売買十 肉牛飼 養]に よる 収益へ と複合 化させ ,存 立形態 を差益 商人か ら複合 家畜商へと変 容させ ている ことを 明らか にし た。

  第3〜5章 に お い て は, こ う し た一般 的動向 の中か ら, 存立形 態をさ らに大 きく変 容さ せてい る大手 家畜商 に着目 し,典 型事 例とし て3社をと りあげ て分析 した 。

  第3章 では 十 勝A社 を分 析 対 象 と して い る 。A社は , 存 立基盤 の変化 をみる と,生 体売 買によ る差益 から, [生体 (素牛 )売 買十肉 牛飼養 十肉牛 集荷 ・牛肉 (枝肉 )販売 ]によ る収益へと多 角化を はかり ,また 機能の 面で は,肉 牛集出荷,肉牛飼養,屠殺,枝肉販売へと拡大させている。

だが ,A社は 未だ 加工過 程を内 部化し ておら ず, その存 立形態 は,端 緒的 ではあ るが, 事業の 総 合化を はかり つっあ る総合 家畜 商とい える。

  第4章 では , 釧 路B社を と り あ げ て分 析 し ,A社よ り も 一層の 事業の 総合化 をはか って いるこ とを 明 ら かに した。B社 の存立 基盤の 変化で は, 生体売 買によ る差益 から ,[肉 牛,肉 豚飼養 十 牛肉, 豚肉, 鶏肉, 羊肉の 加工 処理・ 部分肉 販売十 食肉 小売] による 総合的 収益へ と多角化し,

また , 機 能の 面では ,肉牛 集荷, 肉牛 飼養, 屠殺, 枝肉格 付, 加工処 理へと 拡大し ている 。B社 の存立 形態は ,存立 基盤の 多角 化と機 能の拡 大をも とに ,取扱 畜種を 総合化 した総 合家畜商ヘ発 展して いると いえる 。

(5)

  第5章で は,さ らに十 勝C社をと りあげ て分析 し,B社よ りも なお一 層の事業の総合化をfまかっ ている こと を明ら かにし た。存 立基 盤の変 化では ,生体 売買に よる 差益か ら[生体販売十肉牛飼 養十飼 料販 売]に よる総 合的収 益へ 拡大し ,さら に,牛 肉加工 処理 ・部分 肉販売や食肉小売を加 えて一 層の 多角化 をすす めてい る。 また機 能の面 では, 肉牛集 荷, 肉牛飼 養,屠殺,枝肉格付,

加工処 理, 輸送へ と拡大 してい る。 さらに 大手資 本のす すめる 牛肉 流通組 織化に連結した牛肉集 出荷 対応を 通し て,牛 肉販売 上の価 格交渉 カを 獲得し つっあ る。C社は 飼料販 売を も加え た販売 品 目 の 総 合 化 を も と に 最 も 多 部 門 に 亘 る 事 業 の 総 合 化 を は か っ て い る 。   終章 では, 以上を 要約し ,家 畜商の存立形態を総括するとともに,産地における位置付けを行つ て いる 。 す な わ ち,A,B,Cの 各 社 は 一 般家 畜 商と は異な った総 合家畜 商と もいう べき新 たな 存立形 態に あると ともに ,産地 では ,農家 や中小 家畜商 を系列 化し ,産地 インテグレ一夕ーとし ての 位置を 占め ている 。また ,以上 にみた @差 益商人 ,@複 合家畜 商, ◎総合 家畜商 の3っの存 立 形 態 は , @ か ら ◎ , ◎ へ と す す み つ っ あ る 家 畜 商 の 発 展 方 向 を も 示 し て い る 。   総合 家畜商 は産地 で優れ た牛 肉集出 荷対応 をすす めて いるが ,その 事業は大手資本主導の全国 的な牛 肉イ ンテグ レ―シ ョンに 組み 込まれ ている 。それ 故,大 手資 本に対 しては,生産者団体と 同様, 経済 的弱者 の立場 にある 。両 者は提 携しな がら産 地から 生産 の内発 的な組織化をはかり,

産地と して の自立 的再生 産をは かる 必要が ある。

  以上 のよう に,本 研究は ,綿 密なケ ースス タディ と統 計・資 料の収 集,分析によって,これま で研究 上の 空白部 分であ った, 新夕 イプの 家畜商 の存立 形態を 具体 的に解 明した点で,学術上の 新知見 を示 した。 また, 国産牛 肉市 場狭隘 化の中 で,産 地の新 たな 展開方 向を示唆した研究とし ても有 益で ある。

  よっ て,審 査員一 同は, 最終 試験の 結果と 合わせ て, 本論文 の提出 者佐々木悟は,その請求す る 博 士 ( 農 学 ) の 学 位 を 受 け る の に 十 分 な 資 格 の あ る も の と 認 定 し た 。

参照

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