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耐風安定性からみた少数主桁橋の長スパン化に関する研究 大成建設

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Academic year: 2022

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(1)I-B357. 耐風安定性からみた少数主桁橋の長スパン化に関する研究 大成建設(株) (研究当時横浜国立大学大学院) 横浜国立大学 大学院環境情報研究院 横浜国立大学 大学院工学研究院 石川島播磨重工業(株). 正会員 ○清水 智仁 フェロー 山田 均 正会員 勝地 弘 正会員 上島 秀作. 1.研究の背景と目的 「公共事業のコスト縮減」が求められている社会情勢の中、橋梁の建設においてもライフサイクルコストの縮減 は避けられないものとなっている。このような背景の中、鋼橋の分野では、少数主桁化・横補剛システムの省 略を行った少数主桁橋が注目されている。経済性を追求するために生まれた少数主桁橋が、長スパン化を図ら れるのは十分予測できる。しかし耐風安定性が悪い断面形状であることや、長スパン化による固有振動数の低 下を考慮すると風による影響が無視できなくなる。本研究では、様々な架橋条件を想定し、少数主桁橋がどの 程度のスパンまで架橋可能であるかを調べた。 2.研究の概要 2・3・4 主桁の3種類の形式を想定し、それぞれに対し 50m・75m・100mのスパンのものを研究対象にした。 また都市部での架橋を想定し、遮音壁(高さ3m)の有無による違いについても考慮した。 耐風安定性を評価するにあたり、固有振動数に代表される動的特性と、断面形状から決まる空力特性の二つに 着目をした。 3.動的特性 ねじれにより生じる断面変形の影響を考慮するため、3 次元立体 FEM により固有値解析を行った。 固有振動数一覧(単位 Hz) Hz). 表1 2主桁. 3主桁. 4主桁. 50m. 75m. 100m. 50m. 75m. 100m. 50m. 75m. 100m. たわみ. 2.09. 1.19. 0.76. 2.66. 1.39. 0.88. 2.25. 1.09. 0.68. ねじれ. 2.40. 1.50. 1.07. 2.62. 1.56. 1.14. 2.44. 1.39. 1.03. 少数主桁橋の固有振動数に関する特徴として、振動数比が非常に小さいことにある。他の形式の橋梁の振動数 比が 2〜3 であるのに対し少数主桁橋は 1〜1.5 で、ねじれ方向振動に対し注意が必要である。また、各主桁間 において固有振動数に大きな差異は無い。 4.空力特性 空力特性を把握するにあたり、主桁本数・迎角・減衰・遮音壁の有無をパラメータにし、風速 V と振幅 A との関 係を得ることで判断した。 実験条件を 模型縮尺:1/60 模型縮尺:1/60 迎角:+3DEG 迎角:+3DEG・0 +3DEG・0DEG ・0DEG・−3 DEG・−3DEG ・−3DEG 減衰:δ=0.015 減衰:δ=0.015・ =0.015・0.050・ 0.050・0.080 気流:一様流 とし、各主桁同一質量・極慣性で実験をおこなうことで断面形状の違いによる空力特性を把握した。 上記のパラメータに着目し実験結果を比較すると、 渦励振:各主桁ともδ=0.015 でねじれ方向に 2DEG を超える大きな渦励振が発生した。δ=0.04 程度でねじれ 渦励振はほぼ消失した。また、遮音壁を付属することによりねじれ渦励振は大幅に低減した。 ギャロッピング:遮音壁を設置することによりギャロッピング風速は低下した。また、各主桁とも 負迎角に減衰付加による効果が見られた。 フラッター:主桁数・迎角の違いによる影響は小さいが、減衰付加による安定化は大きいことが分かった。また 遮音壁を付属したものは安定化する傾向が見られた。 5.耐風安定性の評価 風洞実験結果と固有振動数を合わせて実橋の耐風安定性を推定した。 キーワード:少数主桁橋・長スパン化 連絡先:〒240-8501. 神奈川県横浜市保土ヶ谷区常盤台 79-5. -714-. ℡:045-339-4243 Fax:045-348-4565. 土木学会第56回年次学術講演会(平成13年10月).

(2) I-B357. 耐風安定性を評価するにあたり、重要な値は以下の3点である。 渦励振振幅:Sc−A の関係で実橋のものを推定 渦励振発現風速:実験風速に風速倍率を乗じた。 発散振動発現風速:ギャロッピングは模型片振幅5mm を超える風速 フラッターは模型片振幅1DEG を超える風速 →各々の風速を Sc−V の関係式より得、風速倍率を乗じ実橋の発現風速を推定した。 上記の条件で実橋(δ=0.030)の耐風安定性を推定したグラフが以下の図である。ただし、たわみの渦励振は小さ い値なのでここでは省いている。 3 ねじれ渦励振振幅(DEG). ギャロッピング風速(m/s). 200 2主桁 3主桁. 150. 4主桁 3主桁遮音壁有. 100 50 0. 2 1.5. 2主桁 3主桁. 1. 4主桁. 0.5. 3主桁遮音壁有. 0 45. 60. 75 スパン(m). 90. 105. 図1 ギャロッピング風速比較図. 45. 図2. 60. 75 スパン(m). 90. 105. ねじれ渦励振振幅比較図. 150. 75 2主桁. 2主桁. 3主桁. 60. フラッタ-発現風速(m/s). ねじれ渦励振発現風速(m/s). 2.5. 4主桁 3主桁遮音壁有. 45 30 15. 3主桁 4主桁. 100. 3主桁遮音壁有. 50. 0. 0 45. 60. 75 スパン(m). 90. 45. 105. 図3 ねじれ渦励振発現風速. 図4. 60. 75 スパン(m). 90. 105. フラッタ−発現風速比較図. 6.結論 ・ 実橋の構造減衰率をδ=0.030 と仮定すると、各主桁設計上クリティカルになる風速はねじれ渦励振の発現風 速となるが、遮音壁を付属する場合は、発散振動発現風速がクリティカルとなる。また、乱れ強さの大きい地 域では渦励振振幅の低減が期待できるため、問題となる風速は発散振動発現風速となる。 ・ ダンパー付加を想定したδ=0.080 のものでは、渦励振が消失するため渦励振に対しての問題は無くなる。し かし、ダンパー付加による効果はギャロッピングでは負迎角、フラッターでは正の迎角のみ現われた。 設計照査ではδ=0.030 の発散振動発現風速のものとほぼ変わらない扱いとなる。 ・ 日本の大部分を占める基本風速 30m/s に対し、地表粗度区分Ⅰでは各主桁スパン 50mであっても渦励振に対 して問題がある。粗度区分Ⅱでは高度 25mでスパン 75m付近から渦励振の問題が起こる。粗度区分Ⅲ・Ⅳで はスパン 100mでも問題ないと判断できる。 ・ 乱れ強さの大きい地域を想定すれば、強風地区である風速 45m/s のところであっても各主桁スパン 60m程度 のものが架橋可能であろう。 ・ 各主桁スパン 100mのものは基本風速 30m/s〜40m/s の範囲で、乱れ強さの大きい地域でのみ架橋可能であろ う。 【参考文献】日本道路協会:道路橋耐風設計便覧、日本鋼構造協会:構造物の耐風工学、上田利夫:合理化構造 形式 2 主桁橋梁の空力振動特性(土木学会第 55 回年次学術講演会). -715-. 土木学会第56回年次学術講演会(平成13年10月).

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