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470-0392

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キーワード スロッシング,矩形型貯槽,加振方向

連絡先:〒

470-0392

愛知県豊田市八草町八千草

1247 TEL

0565-48-8121

FAX

0565-48-0030

加振方向角を変えた矩形型貯槽のスロッシング現象に関する基礎的実験

愛知工業大学 正会員 ○鈴木森晶 愛知工業大学 正会員 奥村哲夫 1.はじめに

2007 年に新潟県中越沖を震源とする M6.8 の地震により,柏崎刈羽原子力発電所 6 号機原子炉建屋 4 階の矩形型使用済み燃 料プール(幅 17.9m×奥行き 14.0m)にスロッシング現象が発生し内容液が溢流した.これまで,液面の揺動を抑えるために矩 形水槽に金網を設置する研究などが行われている

1)

.しかし,矩形型貯槽は円形型貯槽と違い地震による加振方向角や貯槽の寸 法比により,液面揺動に変化が生じると推測される.本研究では,矩形断面水槽に対して地震により加振方向角が変化した場合 について,矩形型貯槽の液面揺動がどのように変化するかを調査した.また実験結果から最大波高に対する加振方向角と寸法比 の影響を検討する.

2.実験概要 2.1 矩形型貯槽

実験にはガラス製水槽を矩形型貯槽として 4 種類(A,B,C,D) 用いる.水槽の内寸法を表-1 に示す.また,内容液は液面の 挙動を観察しやすくするため,入浴剤を混入して着色した水 を使用する.これらの水槽を加振方向の寸法 L を基準として,

加振直交方向との比率を用いて,1:3~3:1 まで,計 7 種類の 実験ケースとした.なお,柏崎刈羽原子力発電所の燃料プー ルは 1:1.3 の寸法である.(表-1 中の※印)

2.2 実験方法

加振実験の模式図を図-1 に示す.1 方 向油圧サーボ型試験機を用いて,振動数 を種々に変化させスイープ試験行った.

そして,固有振動数を特定し,同時にス ロッシングの最大波高⊿H を観測した.

また,各ケースにおいて,加振方向に対 して水槽を 5°ずつ回転させ,加振方向 角θを 0°~90°まで変化させた状態に ついても,同様に加振振動数を徐々に変 化させ,固有振動数と最大波高⊿H を観 測した.なお,液深は,0.10m と 0.15m

の 2 種類とした.これは,加振時に貯槽の底が見えず,また,溢流しない程度の液深である.加振振幅は実験中に内溶液が 溢流しない程度の±0.5mm で行い,波高は水槽の外面にメジャーを貼って観察する.さらに,矩形型貯槽のスロッシング n 次モードの固有振動数 f(Hz)は液深 H(m),重力加速度 g(m/s

2

),貯槽の幅 L(m)として式(1)より理論値を求めることができ

2),3)

.本研究ではこの加振方向角θが変化した場合にどのような固有振動数にどのような変化が生じるかも観察する.

3.実験結果

3.1 固有振動数-最大波高の関係

加振方向角θを変化させた時の固有振動数は,θ=0°の時の固有振動数の理論値周辺にあると推測し,理論値の前後の振 動数値でスイープ試験を行い,θとfの関係を求めた.また,振動数の計測は,定常状態になった後,振動台に取り付けた 変位計により得られた波形より,10 回振動する時間を 5 回計測し,その平均から固有振動数を算出した.スイープ試験によ り得られた,H=0.15m 時の各貯槽の入力振動数-最大波高関係の例を図-2 および 3 に示す.

表-1 水槽の内寸法と実験ケース 実験ケース

(寸法比)

水槽 番号

L (m)

直交方向 (m)

高さ (m) 1:3 A 0.283 0.884 0.450 1:2 B 0.287 0.586 0.360 1:1.3 C 0.437 0.588 0.450 1:1 D 0.438 0.438 0.450 1.3:1 C 0.588 0.437 0.450 2:1 B 0.586 0.287 0.360 3:1 A 0.884 0.283 0.450 1:1.3 ※ 14.0 17.9 11.8

θ 加振方向

90°

油圧サーボ型試験機 加振方向 (振幅±0.5mm)

N

矩形貯槽

S

L

⊿H H

振動台 変位計

(L:貯槽の幅,H:貯槽の液深,⊿H:最大波高,θ:加振方向角) 図-1 貯槽の加振方法

) 1 ) (

1 2 tanh ( )

1 2 ( 2

1

・π・     

・π・ ・

π

⎜ ⎞

⎛ −

= −

L H n

L g f n

土木学会第65回年次学術講演会(平成22年9月)

‑1291‑

Ⅰ‑646

(2)

理論値を基にスイープ試験を行った結果,θ=0°における各液深のス ロッシング 1 次モードの固有振動数は理論値とほぼ一致した.固有振動 数は加振方向角を変えた場合でもθ=0°の時と 0~0.02Hz 程度しか変 化しなかった.また,加振方向角θが増加するにつれて,波高は徐々に 小さくなったが,75°まで回転させても,明確な固有振動数が観測され た.しかし,図-3 に示す 3:1 貯槽の場合には,3:1 貯槽の 1 次モード の振動数の理論値周辺(f=1.60Hz)に, 1:3 貯槽の 2 次モードの振動数 (f=1.56Hz)が重なることにより波高が一部高くなる結果となった.

3.2 加振方向角-最大波高/L の関係

図-4 に液深0.10m の時の各貯槽の最大波高⊿H の変化の様子を示す.

縦軸は最大波高⊿H を貯槽の幅 L で無次元化してある.横軸は各加振方 向角θとした.

この図より,1:1 貯槽以外では.0°の場合が最も波高が高く,加振 方向角θが大きくなるにつれて波高が小さくなる傾向が読み取れる.こ れは,加振方向角θを変えた場合,幅方向の液面揺動と加振の方向は同 じ方向ではないため,加振時の入力エネルギーが余弦成分のみとなる.

そのため,θが大きくなるにつれて波高が小さくなると考えられる.た だし,1:1 貯槽は縦横の比が同じであるため,他の矩形型貯槽と挙動が 異なり,加振方向角θ=45°のとき液面が大きく対角線方向に液面が振 動し,最も波高が高くなった.

上記のことを確認するため,図-4 をθ=0°の時の⊿H/L が 1 になる ように正規化したグラフを図-5 に示す.また,図中に参考として余弦 曲線を示す.この図より,最大波高の変化は余弦曲線と比較的よく一致 した傾向を示していることがわかる.また,加振方向角θが 0°~30°

の間では,一部を除き⊿H/L の減少量は 30%以下であまり変化しない.

1:1 貯槽に関しては液深 0.10m の場合,加振方向角θ=45°付近で最も 波高が高くなり,条件によっては波高がθ=0°に対して 2 倍以上に高く なった.

4.まとめ

本研究では矩形型貯槽の加振方向角を変えて加振した場合の,固有振 動数や液面揺動の変化および最大波高に対する加振方向角と貯槽の寸 法比の影響を検討した.結果を以下に示す.

1)加振方向角θを 0°~90°まで変化させた場合,75°までは,明確な

固有振動数が確認された.2)加振方向角θが 30°までの変化なら,スロッシングによる最大波高は最大でも 30%しか減少し なかった.3)1:1 貯槽のように長辺と短辺の長さが同じ場合など,貯槽の縦横比寸法により液面揺動の最大波高は大きく影 響されると思われる.

謝辞:

本研究は愛知工業大学地域防災研究センターの支援を受けて行ったものである.また,実験に際しては,愛知工業大学土木工学専攻

(

研究当

)

の江尻博昭君と徳田幸大君の協力を得た.ここに謝意を表する.

参考文献

1) 池田達哉,平野廣和,井田剛史,佐藤尚次:矩形断面容器におけるスロッシング対策に関する一提案,土木学会第 64 回年次学術講演 会,I-269,pp537-538,平成 21 年 9 月.

2) 酒井理哉,東貞成,佐藤清隆,田中伸和:溢流を伴う矩形水槽の非線形スロッシング評価,構造工学論文集,Vol.53A,2007.3.

3) 山崎友之,中山司:同調液体ダンパーによる構造物 の制振に関する数値解析,中央大学理工学研究所論文集,第 10 号 2004 年.

0 15 30 45 60 75 90

1.15 1.16 1.17 1.18 1.19 1.20 1.21 1.22 1.23 1.24 入力振動数(Hz)

⊿H(mm)

15°

30°

45°

60°

75°

90°

理論値

図-2 1.3:1 貯槽入力振動数-最大波高関係

0.00 0.10 0.20 0.30 0.40 0.50

° 15° 30° 45° 60° 75° 90°

加振方向角(θ)

⊿H / L

 3:1  2:1 1.3:1 1:1 1:1.3  1:2  1:3

図-4 加振方向角-最大波高/L の関係

0.00 0.50 1.00 1.50 2.00 2.50

° 15° 30° 45° 60° 75° 90°

加振方向角(θ)

⊿H/L

 3:1  2:1 1.3:1  1:1 1:1.3  1:2  1:3 COS

図-5 正規化した加振方向角-最大波高/L 図-3 3:1 貯槽入力振動数-最大波高関係

0 20 40 60 80 100 120 140

1.51 1.54 1.57 1.60 1.63 1.66

入力振動数(Hz)

⊿H(mm)

15°

30°

45°

60°

75°

90°

理論値

1 次モード 2 次モード

土木学会第65回年次学術講演会(平成22年9月)

‑1292‑

Ⅰ‑646

参照

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