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実時間反力補償制御を採用した振動台の性能確認

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Academic year: 2022

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(1)

実時間反力補償制御を採用した振動台の性能確認

(財)電力中央研究所  正会員  ○大友敬三 同  上  正会員    酒井理哉

1 はじめに

振動台実験においては,供試体の固有振動数付近でのゲインを補正する伝達関数補正加振が採用される.

しかしながら,供試体が破壊する過程においては,振動台の制御系は供試体の特性変化(たとえば,剛性低 下)の影響を強く受け,伝達関数補正制御による方法では,目標とする波形の再現性が低下する.このよう な問題に対応するために「反力補償」と「適応フィルタ」を用いた実時間反力補償制御方法 1)を導入した.

今回,このような制御方法の有効性に関する性能確認試験を実施したのでその結果を報告する.

2 実時間反力補償制御の概要

  実時間反力補償制御の概念を図-1に示す.反力補 償制御は,供試体反力の相殺に必要な加振力は発生 させるための補償信号を出力する.このような条件 を満たす補償器は加振機の油柱共振周波数よりも高 周波数域でノイズの影響を強く受ける特性を持つ.

本 振 動台 にお け る加 振機 の 油柱 共振 周 波数 は約 13Hzであることから,本制御部における反力補償制 御の補償周波数範囲を10Hz以下とした.

適応フィルタは目標信号と実際の出力信号を比較 して,両者の振動台伝達特性を極めて短時間に同定 して修正信号を作成する.同定するにあたっての周 波数サンプリング刻みを細かくする必要があるため,

必然的に高周波数領域における適用性が高い.この ため,本制御部においての補償周波数範囲を 10Hz

〜30Hzと設定した.

3 性能確認試験 (1)試験方法 

試験に用いた振動台は(財)電力中央研究所所有の

電気油圧制御方式の水平一軸大型振動台(平成16年3月設置)である.主要な諸元は,①台寸法:5m×5m,

②最大積載質量:定格60t(最大80t),③最大変位:±0.5m,④最大速度:1.5m/s,⑤最大加速度:1.0g(60t 搭載時),⑥周波数範囲:DC〜30Hz,などとなっている.

供試体の概要は図-2に示すとおりであり,ウェイトを負荷質量として加えた鋼製フレーム構造となってい る.供試体の設計については,①反力補償制御と適応フィルタが適用されるそれぞれの周波数範囲に固有振 動数を有すること,②試験体の応答が塑性域に達すること,などを満足させることとした.この結果,反力 補償制御用(質量22t)と適応フィルタ用(質量16t)それぞれの固有振動数は約5Hz,約17Hzなどとなっ た.反力補償制御用供試体では,柱部,また,適応フィルタ用供試体では,ブレーキダンパ機構により,そ れぞれ所定の強度以上の振動台加振によって試験体の塑性化が可能なものとした.

キーワード:振動台,振動制御,弾塑性応答,反力補償,適応フィルタ

連  絡  先:〒270-1194  千葉県我孫子市我孫子1646    Tel:04-7182-1181  Fax:04-7183-8700

1092 360430302

540

ウェイト

1092 360430302

540

ウェイト 加速度,変位FB

波形発生 装置

目標、基準

適応 フィルタ

入力積分 演算

サーボ演算 反力補償演算

アンプ ユニット

振動台

加速度,変位,差圧FB 目標

1792 3601130302

720 ウェイト

1792 3601130302

720 ウェイト

図-1 実時間反力補償制御の概要

図-2 試験体の概要 (a)反力補償用,(b)適応フィ ルタ用(単位;mm)

(a) (b)

土木学会第59回年次学術講演会(平成16年9月)

‑821‑

1‑411

(2)

加振波形については,両者の供試体に対して模擬地震波を用 いることとした.反力補償制御用では,1Hz〜10Hzまで,適応 フィルタ用では,5Hz から 30Hz までの周波数範囲で平坦な特 性を持つ速度応答スペクトルに基づいて位相ランダムの模擬地 震波を作成した.これらの地震波の最大加速度振幅値を調整す ることで供試体に弾性ならびに塑性応答を与えることとした.

これらの波形を用いて実時間反力補償制御を考慮した場合とそ うでない場合についてそれぞれ供試体を加振した.

(2)試験結果 

反力補償制御用ならびに適応フィルタ制御用供試体に対する 加振波形の一例を図-3に示す.これらは塑性応答を対象とした 目標加振波形である.最大加速度値は反力補償制御用と適応フ ィルタ制御用でそれぞれ,0.23g,0.15gなどとなっている.

反力補償制御用供試体の速度応答スペクトル(減衰定数5%)

を弾性応答と塑性応答それぞれについて,図-4 に示す.なお,

これらの加振における目標最大加速度振幅はそれぞれ,0.04g,

0.23gである.弾性応答の場合には,もともと伝達関数補正加振

で対応できるから,反力補償制御のあり(RFC ON)となし(RFC OFF)それぞれの場合で応答に差異はなく,目標値と良く一致 している.一方,塑性応答の場合には,供試体の固有振動数が 低下したことにより,反力補償制御がない場合には,供試体の 弾性固有振動数付近での応答が大きい,すなわち,振動台特性 が低下していることが明らかである.これに対して,反力補償 制御がある場合には,試験体の塑性化に左右されずに振動台の 応答特性が安定している.適応フィルタ制御用試験体に関する 同様な速度応答スペクトルを図-5に示す.ここでは,弾性応答 と塑性応答それぞれの加振における目標最大加速度振幅はそれ ぞれ,0.09g,0.15gである.適応フィルタの適用範囲である10Hz

〜30Hzの周波数範囲において,塑性応答時には,適応フィルタ 制御がある場合(ADF ON)で供試体の固有振動数約17Hz付近 での振動台応答特性の低下がうまく補償できており,適応フィ ルタ効果が顕著に認められる.

4 まとめ

  供試体の特性変化による振動台波形の応答性低下を解消する ため,「反力補償」と「適応フィルタ」を用いた実時間反力補償 制御方法を導入した.このような制御方法の有効性を供試体に 塑性応答を与えることで検証した.

謝辞:振動台加振性能試験の実施とデータ整理にあたっては,(株)日立製作所の堂園美礼氏,(株)日立イ ンダストリイズの小池英樹氏らにご協力をいただいた.末筆ながら感謝の意を表します.

参考文献

1) 堂園美礼,堀内敏彦,勝俣英雄,今野隆雄:非線形供試体反力の実時間補償による振動台制御,第2回構造物の破壊過程解 明に基づく地震防災性向上に関するシンポジウム論文集,pp.53-582001.

0 2 4 6 8 10

0 5 10

周波数(Hz)

速度応答(cm/s) 目標

RFC ON RFC OFF 減衰定数5%

0 10 20 30 40 50

0 5 10

周波数(Hz)

速度応答(cm/s) 目標RFC ON

RFC OFF 減衰定数5%

0 2 4 6

0 10 20 30

周波数(Hz) 速度応答(cm/s) 目標ADFON

ADFOFF

減衰定数5%

0 5 10 15 20

0 10 20 30

周波数(Hz) 速度応答(cm/s) 目標ADFON

ADFOFF

減衰定数5%

図-4 反力補償制御確認時の速度応答スペク トル (a)弾性応答,(b)塑性応答

図-5 適応フィルタ制御確認時の速度応答ス ペクトル (a)弾性応答,(b)塑性応答

(a)

(b) (a)

(b)

-0.5 0.0 0.5

0 5 10 15 20

時間(s)

加速度(g)

-0.2 -0.1 0.0 0.1 0.2

0 5 10 15 20

時間(s)

加速度(g)

図-3 塑性応答の性能確認時入力加速度波形  (a)反力補償用,(b)適応フィルタ用

(a)

(b) 土木学会第59回年次学術講演会(平成16年9月)

‑822‑

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