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PC 舟形橋梁の振動計測と静たわみ実橋実験

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Academic year: 2022

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PC 舟形橋梁の振動計測と静たわみ実橋実験

舞鶴工業高等専門学校 正会員 玉田 和也 大阪府 正会員 北山 明生 大阪府 正会員 楠村 幸正

1.はじめに

大阪府下の大阪中央環状線 には,桁長が 15.0~22.1mの P C 舟 形 橋 梁 が 少 な く と も 232 径間(主桁数では 481 主 桁)存在している.構造形式 としては,図 1に示すように,

舟形のプレキャストPC桁の 上にRC床版を場所打ちする

形式であり,標準図には「PC合成ゲタ」との表記がある.建造 年代は 1963 年から 1971 年であり,建造から 50 年から 40 年以上 経過している.そのため,プレキャスト桁の上フランジ部分のR C床版の損傷事例が一部で確認されているなど橋歴に応じた損 傷が発現している.交通量が多く,目視点検困難箇所を抱えた数 多くの橋梁に対する実用的で効率的な評価方法が求められてい る.

2.研究目的

同形式の橋梁の固有振動数を計測し,統計的に閾値を設けることに よって,詳細点検が必要な橋梁を抽出することができるシステムを構 築し,点検にかかる労力と時間を軽減することを目的とする.また,一 部の橋梁で静的載荷によるたわみ計測を実施し,固有振動数による評 価の検証を行う.

3.対象橋梁

対象橋梁の代表として,1969 年建造の亀井跨道橋の側面図と平面図 を図 2に示す.今回の検討では,桁長が 20mの橋梁を対象とする.

4.振動計測

振動計測は PDV100 ポータブルデジタル振動計(写真 1)を用いて計 測した.支間4分の1付近にレーザーを照射し,5分間(サンプリング 周波数 1000Hz)計測した.測定結果の一例とし

て亀井跨道橋 S1-A の加速度の計測データを図 3 に示す.これをフーリエ変換したものを図 4 に示す.同様に各橋梁,各径間の固有振動数の 確定を行った.桁長 20mの 130 径間の固有振動 数のヒストグラムを図 5 に示す.

キーワード 振動計測,たわみ計測,健全性評価,PC桁,実橋実験

連絡先 〒625-8511 京都府舞鶴市字白屋 234 舞鶴高専建設システム工学科 e-mail:tamada@maizuru-ct.ac.jp 図 2 亀井跨道橋側面図・平面図 図 1 PC舟形橋梁断面図

写真 1 LDV計測状況

図 3 計測データ

図 4 固有振動数のスペクトル図

図 5 固有振動数のヒストグラム L=20 土木学会第70回年次学術講演会(平成27年9月)

‑693‑

Ⅰ‑347

(2)

5.たわみ計測

固有振動数による構造の損傷推定を検証するために,実際の橋 梁の静たわみ量を計測した.2車線のうち走行車線側を規制し,

50トンラフタークレーン(写真 2)を桁中心位置まで移動させ,

その前後の桁のたわみをレーザー距離計 OFV505 で計測した.支間 中央部に載荷している状況を写真 3に示す.

6.振動計測と静たわみとの相関性

春宮跨道橋の振動計測結果を図 6に示す.縦軸は主桁の1次モ ードの固有振動数を表し,横軸は径間番号を,奥行き方向の手前 側が南行車線の主桁,近畿自動車道を挟んで奥側が北行車線の主 桁を表す.振動方程式による固有振動数の推定値が 6.339Hz に対 し,図 5に示す 130 径間の計測値平均が 6.437Hz,春宮跨道橋の 計測値の平均は南行 5.686Hz,北行 6.300Hz であった.

全体平均から 10%程度低い固有振動数を計測した春宮跨道橋 南行の東側車線に対して実施した 8 径間分のたわみ計測の結果に ついて検討を行う.計測した各径間のたわみ値

を第1径間の値で正規化し,その逆数をとると 正規化した曲げ剛性 EIdを算出することができ る.また,計測した各径間の固有振動数を第1 径間の値で正規化し,それを二乗すると,正規 化した曲げ剛性 EIfを算出することができる.

振動数とたわみそれぞれから求めた曲げ剛性の 比較を図 7に示す.これより,両者には相関性 が認められると判断できた.

7.まとめ

同形式で同じ支間長を有する橋梁の振動計測 を多数実施し,試行として固有振動数のバラつ きに対し振動方程式による推測値と全体の平均 値を勘案した上で,-2σ以下を赤,-1σまでを 青,その中間を黄に分類し着色したものが図 5 である.プラス側のバラつきについて,支点条 件の変状によると考えられる.

振動計測の結果より黄色の範囲にあり,曲げ 剛性に何らかの損傷が疑われる春宮跨道橋に対 し,50トンラフタークレーンを用いた静たわ み計測を実施し,振動計測による判定の検証を

行った.その結果,春宮跨道橋南行に関して,振動計測とたわみ計測で相関性を認めることができた.これに より,車線規制と載荷トラックが必要なたわみ計測を実施しなくとも,桁下からのレーザー照射による振動計 測によって曲げ剛性に関する健全性を評価できる可能性を示すことができた.

今後の課題として,振動計測における①レーザー振動計を固定する確実な方法,②走行車両の振動の影響,

および③支点条件の評価,④力学的・設計的な関連性の評価などがある.振動とたわみの計測結果を精査し,

より実用的で信頼性の高い評価方法とするため,これらの課題に取組む予定である.

CH7

写真 2 50 トンラフタークレーン

写真 3 載荷状況

図 7 正規化した断面2次モーメント

径間番号

南行東側主桁

図 6 春宮跨道橋の固有振動数

主桁番号 径間番号

(Hz)

(EI/EI0)

EId EIf

土木学会第70回年次学術講演会(平成27年9月)

‑694‑

Ⅰ‑347

参照

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