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実鋼斜張橋の支持ケーブルの局部振動の応答特性

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Academic year: 2022

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(1)I-A070. 実鋼斜張橋の支持ケーブルの局部振動の応答特性 青木建設 長崎大学工学部. 正会員. ○池田雅徳. 長崎大学大学院. 学生会員. 高橋和雄. 長崎大学工学部. 正. フェロー会員. 会. Wu. Qing Xiong. 員. 中村聖三. 1.まえがき 風や車の走行による斜張橋全体系の振動によって,斜張橋の支持ケーブルに局部振動が発生することがあ る。この原因としてケーブルに係数励振振動が発生することが考えられる。実橋を対象とした著者らによる 全体振動数とケーブルの局部振動の振動数との関係及び応答特性を明らかにした研究. 1)があるが,斜張橋の. 振動特性を反映した支持ケーブルの局部振動に関する研究は見受けられないようである。そこで本研究では, 大島大橋(鋼斜張橋)2) を対象として,動的外力を受ける斜張橋の全体振動による支持ケーブルに発生する 係数励振振動に起因する局部振動の応答特性を明らかにすることを目的とする。 2.解析方法 解析対象は,平成 11 年に完成した橋長 670m(中央スパン 350m)の3径間連続鋼斜張橋の大島大橋である。 解析では,斜張橋の全体3次元 FEM モデルを作成したうえに,固有振動解析を行い,モード解析法により 動的外力による斜張橋の応答を求める。これらによって計算した桁側および塔側ケーブルの定着点の相対応 答をケーブルの支点変位として,係数励振振動を表現できるケーブルの非線形振動運動方程式に代入して, ケーブルの局部振動解析を実施する。一端固定,他端に任意の支点変位を受けるケーブルの局部振動解析モ デルを用いる。具体的に動的外力は,鉛直正弦波加振荷重,路面凹凸を考慮した走行荷重及び地震荷重であ る。 3.支持ケーブルの応答特性. ケーブルの1次振動数 ケーブルの1次振動数の2倍 斜張橋全体系の固有振動数 C19 C20. (1 ) 全 体 固 有 振 動 数 と ケ ー ブ ル の 局 部 振 動 の 固 有 振 動 数の関係. C18 C3. C17 C4. C 1 4 C7. ケーブルの1次振動数の2倍. 図−1 より,全体系の鉛直対称 2 次固有振動数が C19. C3C17C4 C15 C18 C5 C20 C16 C13 C19 C8. および C20 の1次固有振動数に接近し,副不安定領域に. 0.0. 鉛直正弦波加振は,全体鉛直対称2次固有振動数と同. 0.5. ねじれ逆対称1次. C10. ねじれ対称1次. 鉛直対称4次. 鉛直逆対称3次. 鉛直対称3次. 鉛直対称2次. 応している。. 鉛直逆対称2次. 鉛直対称1次. が C14 の固有振動数の 2 倍に接近し,主不安定領域に対 (2)鉛直正弦波加振によるケーブルの局部振動特性. C11. ケーブルの 1次振動数. 鉛直逆対称1次. 対応しているのがわかる。ねじれ逆対称 1 次固有振動数. 1.0. 1.5. 2.0. 2.5. 振動数(Hz). 図−1. 一の加振振動数 0.692Hz および加振力の振幅 5tf で行い, 作用点を中央スパンの中央点とする。図−2 に示すよう. 全体系の固有振動数とケーブルの固有振動 数の関係 0.24. C8. 0.22. に,C19 および C20 の1次固有振動数が全体振動の鉛直. C19. 0.20. 対称 2 次固有振動数と一致しているので,C19 および C20 が副不安定領域における係数励振振動が発生している。 図−3 より係数励振振動の応答はうなりを伴っているこ. 最大振幅(m). 0.18. C20. 0.14 0.12. C12. 0.10 0.08. C2. 0.06. とがわかる。ただし,図−2 のように C8 および C12 の振. 0.04 0.02. 幅も大きくなっている.これはケーブルの固有振動数が. C1. 0.00. 主桁の固有振動数の 2 倍と一致する時に発生する非線形 振動に基づく 2 倍の高調波共振である。. 0.16. 0.4. C18 C3. C6 C4 C5 C14 C16 C7. C17 0.6. 0.8. C11 C11 C10. C13. C15 1.0. 1.2. 1.4. 1.6. 1.8. 2.0. 2.2. 2.4. ケーブルの固有振動数. 図−2. 鉛直正弦波加振によるケーブルの最大振幅. キーワード:係数励振振動、斜張橋、非線形振動 連絡先:〒852-8521. 長崎市文教町 1-14 長崎大学工学部. 社会開発工学科. -140-. tel 095-847-1111(内線 2710) Fax 095-848-3624. 土木学会第56回年次学術講演会(平成13年10月).

(2) I-A070. ( 3 ) 走行荷重によるケーブルの局部振動特性. 0.15 0.10. ルの係数励振振動を調べた。本研究では車両を1自由度. 0.05. 系にモデル化し、車両の重量は 20tf、車両の振動数は. 振幅(m). 走行荷重が作用した場合の斜張橋の応答によるケーブ. 0.00 ‑0.05. 2.60Hz および車両の減衰定数を 0.03 とした。路面につ. ‑0.10. いては、路面状態が最良の場合を用いた。図−4 に示す. ‑0.15 0. ように C12 および C9 の1次固有振動数が全体系の固有 振動数と一致していることから,ケーブルに副不安定領. 20. 40. 60. 80 100 時間(sec). 120. 140. 160. 180. 図−3 鉛直正弦波加振による C20 の応答波形. 域における係数励振振動が発生していることが確認でき. 0.0025. C12. 0.0020. C9. しかし,図−5 からわかるように走行荷重による係数励 振振動においては、ケーブルの振幅が非常に小さいため に実用上には問題にならないと考えられる。. 最大振幅(m). る。また、ケーブルの振幅は桁の約3倍となっている。 C10 0.0015. C13 0.0010. (4 )地震荷重によるケーブルの局部振動特性. 0.0005. 地震荷重が作用した場合の斜張橋の応答によるケーブ. C7. C6 C18 C3 C16 C5 C15 0.6. 0.8. 1.0. 1.2. 1.4. 1.6. 1.8. 2.0. 2.2. 2.4. ケーブルの振動数(Hz). 入力地震動は平成 8 年版の道路橋示方書(耐震設計編). 図―4 走行荷重によるケーブルの最大振幅 0.003. 計算する。図−6 より,地震荷重による全てのケーブル. 0.002. に同程度の応答が生じていることがわかる。図−7 に比. 0.001. 振幅(m). に準じて,レベルⅠの地盤種別Ⅰ種の地震波形を用いて. 較的応答が大きい C20 の定着点における主桁の応答とケ. C1. 0.4. C14. C19 C20 C17 C4. C2. 0.0000. ルの係数励振振動を調べた。地震荷重の解析条件のうち. C11. C8. 0.000 ‑0.001. ーブル C20 の応答を示す。図−7 からわかるように、地. ‑0.002. 震荷重によって、ケーブルにうなりを伴う係数励振振動. ‑0.003 0. は発生していないことがわかる。. 20. 40. 60 時間(sec). 80. 100. 120. 図−5 走行荷重による C12 の応答波形. 4.まとめ. 0.20. 本研究では動的外力による実鋼斜張橋の全体振動によ に本論文によって得られた結論を示す。 (1)鉛直正弦波加振によって,ケーブルが副不安定領. 最大振幅(m). るケーブルの係数励振振動の特性を明らかにした。以下. C20. C2. C17 C7 C14 C3. C13 C9. C1 C18. C4 C16. C5. C10. C11. C8 C12. 0.10. 域における係数励振振動が発生する。係数励振振動はう なりを伴った振動波形をもっている。. C19. 0.15. C6 C15. 0.05. (2)走行荷重によって,ケーブルが副不安定領域におけ る係数励振振動が発生するが,振幅が小さいため実用上. 0.00 0.4. 0.6. には問題にならない。. 0.8. 1.0. 1.2. 1.4. 1.6. 1.8. 2.0. 2.2. 2.4. ケーブルの固有振動数(Hz). (3)地震による過渡振動の場合、係数励振振動は発生. 図−6. 地震荷重によるケーブルの最大振幅. 0.15 0.10. 参考文献. 0.05. 1)高橋,伶,中村,久保田,伊田:斜張橋の支持ケー ブ ル の 局 部 振 動 の 解 析 , 構 造 工 学 論 文 集 , Vol.46A,. 振幅(m). しない。. 0.00 -0.05 -0.10. pp.501‑510, 2000.3.. -0.15. 2)久松,神田,有吉,辻治:大島大橋(仮称)の計画 と設計,橋梁と基礎,Vol.30, No.6, pp.12-18, 1996.6.. -141-. 0. 5. 10. 15 時間(sec). 20. 25. 図−7 地震による C20 の応答波形. 土木学会第56回年次学術講演会(平成13年10月).

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