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径間吊橋の弾塑性挙動と耐荷力特性

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Academic year: 2022

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(1)

超長大

5

径間吊橋の弾塑性挙動と耐荷力特性

首都大学東京 学生会員 ○小沢武仁 首都大学東京 正会員 岸 祐介 首都大学東京 フェロー会員 野上邦栄 大日本コンサルタント(株) 正会員 平山 博 首都大学東京 学生会員 岩下慎吾 大日本コンサルタント(株) 石井喜代志 長岡技術科学大学名誉教授 正会員 長井正嗣

1.

背景と目的

我が国では、高度経済成長期に本州四国連絡橋を始めとする長 大橋が建設された。その後、国内に海峡横断プロジェクトの検討 が進められたが、2008 年にプロジェクトが凍結され、それ以降、

国内における長大橋新設の計画は少ない。しかし、2013 年に福 岡県は関門海峡道路の事業化へ向け、調査を再開するなど国内で の長大橋事業に新たな動きも見え始めている。一方、世界では 様々な長大吊橋のプロジェクトが進んでおり、国外における長 大橋の需要は高くなっている。トルコでは、中央径間

1550m

イ ズミット湾横断橋が架設中であり、チリでは全長

2635m、最大

径間長

1100m

のチャカオ橋の建設計画が進んでおり、長大化

に伴う多径間吊形式橋梁の建設も活発である。しかし、多径間 吊形式橋梁の弾塑性挙動などの研究は極めて少ない

1)2)3)

。ま た、今後の競争力向上のため、より経済的および合理的な設計 が求められている。このような背景において、本研究では中央 径間

3000m

の超長大

5

径間吊橋について耐荷力解析を行い、

吊橋全体系の弾塑性挙動と耐荷力特性を明らかにする。

2. 対象橋梁

対象とした吊橋は、表1の設計条件により試設計した図1の 超長大5径間吊橋である。主桁は、図2の一室箱型断面である。

主塔は図3のように6層のラーメン構造形状であり、(b),(c)のよ うな側塔および中央塔の塔基部から塔頂部にかけて断面が減少 する変断面である。構成部材の材料特性を表 2 に示す。なお、

サグ比1/8、1/10、1/12の3モデルを試設計したが、紙面の都合

上、1/10モデルについてのみ掲載する。

3. 解析方法

解析方法は、弾塑性有限変位理論による骨組構造解析を行う。まず、死荷重D(wD=220kN/m)が作用する初 期状態1.0Dを作成する。その後、死荷重Dと活荷重L(wL=33.69kN/m)を載荷した状態に対して荷重パラメ キーワード 長大橋 多径間 吊橋 弾塑性 耐荷力

連絡先 〒192-0377 東京都八王子南大沢1-1 首都大学東京 TEL 042-677-1111

図2 桁断面

(b) 中央塔断面 表1 設計条件

(c) 側塔断面 (a) 塔柱

図1 全体形状

支間割 1:2:2:2:1 ケーブル支間 1500+3000×3+1500m

桁支間 1480+2980×3+1480

サグ比 1/10

桁の高度 50m

ケーブル中心間隔 35.5m

ハンガー間隔 30×50+3×60×50+30×50m

車線数 6車線

舗装厚 50mm

図3 塔柱形状および断面

側径間1 中央径間1 中央径間2 中央径間3 側径間2

y x

x y

塔基部 塔頂部

塔基部 塔頂部

土木学会第70回年次学術講演会(平成27年9月)

‑1229‑

Ⅰ‑615

(2)

ータαを乗じて荷重α(D+L )を漸増させる。したがって、αに 1を加えた荷重パラメータを荷重倍率としてβ(=α+1) と定義 した。載荷ケースは、各部材に対して最も厳しくなるような9 ケースを対象とした。ここでは、特に図4の主塔、およびハン ガーに厳しい3ケースについて示す。主桁および主塔の鋼材の 応力-ひずみ関係は、図5(a)の完全弾塑性体とし、主ケーブル、

ハンガーは、それぞれの硬化係数をE2/E1=0.061、E2/E1=0.062

とした図5(b)のバイリニア型を用いた。また、塔柱断面には、引張残

留応力σrtyを、圧縮残留応力σrc=0.4σyの残留応力を溶接型断面 の理想的線形分布として導入した。

4. 解析結果

側径間1の補剛桁中央の鉛直変位と荷重の関係を図 6に示す。荷 重倍率 2.0 を超えたところから、どの荷重条件でも荷重増加に対す る変位量が大きくなっている。これは主ケーブルの降伏が発生した ためである。LC2においては荷重倍率 2.6付近で荷重変位曲線がピ ークを迎え、ハンガーの破断により終局に至った。一方、LC1とLC3 の曲線の場合、ピークは見られないが、図7の側塔の応力分布より、

側塔が塔全体にわたり塑性進展して終局を迎えている。なお、LC1と LC3は重なっている。図8は、中央塔2の塔頂部の水平変位と荷重 の関係を示している。LC2 のみ、荷重倍率2.1付近までは負方向へ 変位し、その後、主ケーブルの塑性の発生とともに、荷重倍率2.3付

近まで、正方向へ変位した。図9は、LC2における、中央塔2塔頂部付近の主ケーブルの荷重倍率と、応力 の関係である。中央径間2の主ケーブルは、中央径間3の主ケーブルより、荷重倍率の増加に対して、応力の 増分が大きい。したがって、中央径間2の主ケーブルの塑性進展が早く、中央径間3の主ケーブルの引張力が 中央径間2の主ケーブルよりも大きくなったため、正方向へ変位した。

5. 結論

対象とした超長大 5 径間吊橋の耐荷力解析結果、次のような点が明らかになった。(1)サグ比の異なる超長 大吊橋の各載荷ケースにおける弾塑性挙動を明らかにした。(2)1/10モデルの荷重倍率は2.5~2.7付近で終局 を迎えており、耐荷力の面から対象とした吊橋は十分な安全性を確保できている。(3) 明石海峡大橋のケーブ ル安全率2.2に対して、今回1.8を採用しており、ケーブル安全率の低減化の可能性を示すことができた。

参考文献:1)石井:サグ比の異なる5径間超長大吊橋の弾塑性挙動と耐荷力に関する研究,修士論文,2014.3、

2)井尾:5径間長大吊橋の弾性挙動と終局強度特性に関する研究,修士論文,2011.3、 3)藤岡:中央径間長3000m

を有する4径間超長大吊橋の耐荷力特性に関する研究, 修士論文,2015.3

図4 載荷ケース

図6 荷重~変位曲線(側径 間1の補剛桁中央)

図7 側塔2の応力分布 図8 荷重~変位曲線 (中央塔2の塔頂部)

(a)完全弾塑性型 (b)バイリニア型

図5 弾塑性モデル

使用箇所 主桁 主塔 主ケーブル ハンガー

鋼種 SM490Y SM570 ST1770 ST1570

許容応力度σa(MPa) 210 255 983.3 628 基準降伏点σy(MPa) 355 450 1380 1160

引張強度σu(MPa) 490 570 1770 1570 降伏ひずみεy 0.0011 0.0022 0.00708 0.00595 最大塑性ひずみεu - - 0.04 0.04

ヤング率E1 2.0×105 2.0×105 1.95×105 1.95×105 ひずみ硬化係数E2 0 0 1.19×104 1.21×104

0 100 200 300

0 1200

高さ(m)

応力(MPa) LC1 LC2 LC3 σy

1 1.21.4 1.61.82 2.22.4 2.62.8

-10 -5 0

荷重倍率

水平変位(m) LC1 LC2 LC3

表2 材料特性

LC1

LC2 L

LC3

D

1.21 1.41.6 1.82 2.22.4 2.62.8

0 25

荷重倍率

鉛直変位(m) LC1 LC2 LC3

800 1000 1200 1400 1600

1 2 3

応力(MPa)

荷重倍率 中央径間2側 中央径間3側

図9塔頂部ケーブル応力と荷 重の関係(LC2, 中央塔2) 土木学会第70回年次学術講演会(平成27年9月)

‑1230‑

Ⅰ‑615

参照

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