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学 位 の 種 類 博士(歯学)

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Academic year: 2021

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ふ り が な

氏 名

ひろた あつや

広田 敦哉

学 位 の 種 類 博士(歯学)

学 位 記 番 号 甲 第 892 号 学 位 授 与 の 日 付 令和 3 年 3 月 5 日

学 位 授 与 の 要 件 学位規則第 4 条第 1 項に該当

学 位 論 文 題 目 Bioactivation of Bovine Bone Matrix Using Argon Plasma: An Experimental Study for Sinus Augmentation in Rabbits

(アルゴンプラズマを応用した牛骨材の生体活性について:ウ サギを用いた上顎洞底挙上術への実験的研究)

学 位 論 文 掲 載 誌 The International Journal of Oral & Maxillofacial Implants 第 35 巻 第 4 号

令和 2 年 7 月 論 文 調 査 委 員 主 査 馬場 俊輔 教授

副 査 富永 和也 教授 副 査 橋本 典也 教授

論文内容要旨

上顎洞底挙上術に用いる異種移植材に対し、アルゴンプラズマによる生物活性化の効果についてウ サギ実験モデルを用いて検討した。骨再生は生体の細胞と骨補填材との相互作用により行われ、生体 の骨再生能や欠損形態に加えて、骨移植材の表面性状により影響をうける。これまでの研究で、プラ ズマ技術が様々なチタン表面の表面エネルギーを増加させ、細胞の接着性が促進することが報告され ている。また、アルゴンプラズマ処理による生物活性化は、細胞の分化を促進することや、チタン製 インプラントのオッセオインテグレーションを促進することも示唆されている。一方、アルゴンプラ ズマによる生物活性化の骨移植材に対する影響について、in vivoで検討した報告はほとんどない。そ こで本研究では、上顎洞底挙上術の移植材として使用される異種移植材の、アルゴンプラズマ処理に よる生物活性化の影響を評価することを目的とした。

ニュージーランドウサギ 20 羽を使用し、両側上顎洞底挙上術を実施した。実験群はアルゴンプラズ マ処理を行ったウシ由来骨補填材(Bio-Oss

®

, Geistlich Biomaterials)を移植し(プラズマ群)、対 照群は未処理のウシ由来骨補填材を移植した。骨窓部はコラーゲン膜で被覆した。術後 2 週および 10 週に、それぞれ 10 羽ずつ安楽死させ、評価を行った。組織学的評価では、新生骨、軟組織、移植骨補 填材、血管、破骨領域、炎症性細胞浸潤を評価対象とし、スティーブネルブルーとアリザリンレッド、

またはトルイジンブルー染色を行った。組織形態学的評価は、NIS-Elements D 5.11 (Laboratory Imaging, Nicon Corporation)を使用して行った。洞内の組織組成を分析し、組織別の平均値を求めた。

骨壁付近(骨壁領域)と挙上部の最も中央に位置する部位(中央領域)の組織成分を評価した。統計 学的評価は、IBM SPSS Statistics (IBM Inc., Chicago, IL, USA)を使用し、実験群と対照群の比較 は Wilcoxon test を用いて行った。 (動物実験委員会承認承認番号 2018.1.10.58.7 号)

術後 2 週には両群の治癒傾向に大きな差は認められず、組織組成はプラズマ群と対照群で同等であ

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った。新生骨の割合はプラズマ群で 5.2±2.9%、対照群で 5.0±3.5%であった(p=0.795)。一方、術後 10 週では、2 週と比較して両群ともに新生骨の増加が認められた(プラズマ群:23.5%±7.0%、対照群:

21.3%±7.3%) 。また、中央領域において、プラズマ群で 20.4±9.7%、対照群で 13.2±10.5%の新生骨 量を示し、プラズマ群において統計学的に有意に高い新生骨量が認められた(p=0.037) 。

本研究では、挙上中央部において新生骨の割合が対照部位と比較して 7.2%の骨形成量の有意な増加が 見られた。挙上上顎洞底の中央部はインプラント埋入部位であり重要な部位であるが、母骨から距離 があり、細胞による骨形成能が低いとされている。同部位において、異種移植骨補填材にアルゴンプ ラズマ処理を行うことによって良好な骨形成が確認されたことから、アルゴンプラズマによる生物活 性化が骨形成に有用であることが示唆された。

論文審査結果要旨

プラズマ技術は、様々なチタン表面の表面エネルギーを増加させ、細胞の接着性が促進することが 報告されている。中でも、アルゴンプラズマ処理による生物活性化は、チタン製インプラントのオッ セオインテグレーションを促進することが示唆されていることから近年注目されている。本論文は上 顎洞底挙上術に用いる異種移植材であるウシ由来骨補填材に対し、アルゴンプラズマによる生物活性 化の効果についてウサギ実験モデルを用いて検討したものである。アルゴンプラズマ処理はハイドロ キシアパタイト等の骨補填材への細胞接着を促進する、という in vitro 実験報告はあるが、アルゴン プラズマによる生物活性化の骨移植材に対する影響について in vivo で検討した報告はほとんどない。

従って、上顎洞底挙上術の移植材として使用される異種移植材の、アルゴンプラズマ処理による生物 活性化の影響を評価することを目的とした本論文は意義深いものであると考えられる。

本論文では、ウサギ 20 羽を使用し、両側上顎洞底部に 3.5mm のトレフィンバーを用いて開洞した。

その中央部にスクリューが埋入されており、治癒後の埋入部位に対する指標として用いられているの は優れた実験モデルとして評価される。開洞後、上顎洞底部を挙上した骨欠損部に、実験群はアルゴ ンプラズマ処理を行ったウシ由来骨補填材(Bio-Oss

®

, Geistlich Biomaterials)を移植し(プラズマ 群) 、対照群は未処理のウシ由来骨補填材を移植した。骨窓部はコラーゲン膜で被覆した。アルゴンプ ラズマ処理を行ったウシ由来骨補填材は、特に静電気の影響で飛び散ることはなかったとのことから、

操作性において問題はないことが示唆された。

術後 2 週および 10 週に組織学的評価および組織形態学的評価を行った結果、術後 2 週には両群の治 癒傾向に大きな差は認められなかったが、術後 10 週では、2 週と比較して両群ともに新生骨の増加が 認められた。特に中央領域においては、プラズマ群で 20.4±9.7%、対照群で 13.2±10.5%の新生骨量 を示し、プラズマ群において統計学的に有意に高い新生骨量が認められた(p=0.037)。挙上上顎洞底 の中央部はインプラント埋入部位であり重要な部位であるが、母骨から距離があり細胞による骨形成 能が低いとされている。同部位において、異種移植骨補填材にアルゴンプラズマ処理を行うことによ って良好な骨形成が確認されたことから、アルゴンプラズマによる生物活性化が骨形成に有用である ことが示唆された。本論文で用いた Bio-Oss

®

は吸収されにくい材料である。骨補填材は、吸収性材料 と非吸収性材料があり、双方ともに利点欠点があることから、今後臨床的にもさらなる検討が求めら れるとの議論もなされた。

アルゴンプラズマによる骨補填材の生物活性化が骨形成に有用であることが示唆された。以上より、

本論文は博士(歯学)の学位を授与するに値すると判定した。

参照

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