• 検索結果がありません。

博士(農学)杉浦 綾 学位論文題名

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "博士(農学)杉浦 綾 学位論文題名"

Copied!
5
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

     博士(農学)杉浦   綾 学位論文題名

産業用 無人ヘリ コプタ を用いたフイールド情報の りモートセンシングシステム

学 位論文 内容の要旨

1.はじめに

  産業用無人ヘリコプタは,日本の農業において主に水稲の防除作業に用いられており,

その高い作業効率から普及が進んでいる。しかし,ヘリコプタのコストを考えると,防 除作業のみの使用ではコストに見合う機械とはいえず機能拡大が望まれる。本研究では,

精密農法(PF)への適用を念頭において,産業用無人ヘリコプタをりモートセンシングの プラットフオームとした新しい利用法を提案する。PFとは,生育の良不良を局所的に認 識し,最適な資材投入を行うことで,作物生育のばらっきを是正することを目指した農 法である。その作業行程は大きく分けて,センシング,診断・意思決定,資材の可変投 入の3要素技術に分類できる。この一連の技術が確立されれば,ほ場管理の低コスト化,

効率化が実現でき,生産性は向上する。ここで,作物の生育状態などのセンシングに産 業用無人ヘリコプタを導入できれば,極めて有効な手段となる。ヘリコプタは独特の飛 行原理によって垂直離着陸,空中停止,全方向への自在飛行が可能であり,その特徴は りモートセンシングのプラットフオームとして十分に活用できる。以上より,産業用無 人ヘリコプタをフイールド情報センシングのプラットフオームとし,収集した空間情報 を 解 析 し てGISに よ っ て マ ッ ピ ン グ で き る シ ス テ ム 開 発 を 目 標 と し た 。 2.ヘリコプタベ―スリモ―卜センシングシステムの開発

  供試ヘリコプタは本来農薬散布用として開発されたものであるが,農薬散布に必要な 機材を取り外し,センサマウントとして可動式雲台を装備した。作物画像取得のために 3バンド(R・G‑NIR)のマルチスペクトルイメージングセンサを採用した。機体に搭載した RTK‑GPSで絶対位置を計測し,慣性航法センサと地磁気方位センサ(GDS)でロール角,

ピッチ角及び方位角を得た。さらに,可動式雲台の回転角をロータリエンコーダによっ て計測した。これらのセンサから得られるパラメータを用いれば,取得した画像データ の外部歪みを除去できる。ヘリコプタから得られた画像に座標変換を施した結果,2m以 上の空間誤差を有していたため,姿勢角と高度にっいて補正が必要と判断した。特に方 位角が大きな誤差要因であったため,姿勢角センサによる相対方位とGDS方位との偏差 を調べることでGDS誤差モデルを作成した。ロール角,ピッチ角,高度データにっいて はバイアス値を考慮することで補正した。その結果,空間精度を誤差29cmまで改善し,

考案した補正法が妥当であることを確認した。また,本システムを用いてトウモロコシ ほ 場 の セ ン シ ン グ を 行 い , ほ 場 の 正 規 化 植 生 指 数(NDVI)マ ップ を 作成 し た。

(2)

3.地形センシングと空間情報の3次元マッピング

  開発したりモートセンシングシステムにレーザ距離計を搭載し,画像データに加え地 形情報を取得できるようにした。まず,レーザ距離計から得られた地形データの精度評 価を行った。約10mの高低差があるほ場をセンシングした結果,9cmの精度で測量でき た。また,試験ほ場の面積は23,OOom2であり,センシングに要した時間は約35分であ った。比較対照した慣行のトータルステーションによる地上測量では3時間以上要した ことを考慮すると,開発した地形測量システムは高精度でかつ高能率であった。さらに,

本システムで取得されるランダムで膨大な地形データ群にっいて精度を維持しながらデ ータ数を削減できるデータ処理アルゴリズムを考案した。全地形データ507点からデー タ数を削減し形状変化を調べた結果,元データの79%である400点を削減しても,形状 誤差を12cmに抑えることができた。さらに,ヘリコプタから得られた地形データと画 像データを統合して3次元GISマップを作成するアルゴリズムも開発した。この結果,

画像データを地形データに貼り合わせ,ほ場全体の画像と地形から3次元GISマップを 作成することを可能にした。

4.マルチスペクトルイメ―ジングセンサによる小麦の生育診断

  画像データを用いて小麦の生育状態を把握するため,画像輝度値から正規化反射率を 導出した。また,センシング時にCCDゲインと露光時間を自動制御し,その後の処理に 有効な画像が得られるようシステムを改良した。さらに,小麦ほ場に存在する防除畝を 画像中から自動的に認識・分離できる画像処理アルゴリズムを開発した。小麦ほ場のセ ンシング試験では,地上での調査項目としてSPAD値と穂水分を採用し,生育推定のグ ランドトゥルースとした。マルチスペクトル画像による推定モデルの決定係数は穂水分 が0.77,SPAD値が0.85であり,極めて高精度の推定が可能であった。次に,一度の撮 影でより広域をカバーすることで,リモートセンシング作業の効率化を図った。まず,

撮像範囲を広くとるため,イメージングセンサに広角レンズを装着した。広角レンズを 使用して撮影した画像には,レンズ収差による歪みが生じたため,幾何学的な補正が必 要となった。そこで,多項式近似によるレンズ歪みモデルを導入して,キャリブレーシ ヨンによルレンズ歪み特性を把握した。また,これまでの機体直下を撮影する方式を改 め,カメラに俯角を持たせた状態での撮影を行った。これにより,一度に広域をセンシ ングでき,作業効率は大幅に向上した。この方法で小麦のセンシング試験を行い,穂水 分とSPAD値の 推定を行った。その結果,決定係数は穂水分が0.71,SPAD値が0.79と 十分な推定精度を示した。

5.サーモトレーサによる土壌水分状態のモニタリング

  サーモトレーサによりほ場の熱画像を取得し,土壌含水率を推定できるシステムを開 発した。リモートセンシングの試験区として土質が一様な水田ほ場を選び,裸地状態で センシングを行った。ヘリコプタからの空撮は,ほ場全体を1枚の画像でカバーするた め,サーモトレーサに俯角をっけた状態で行った。そのため,ピクセル毎に透過率補正 を行う必要があったので,透過率にっいて熱画像補正モデルを導出した。まず,熱画像 補正モデルの性質を調べ,基礎実験によってその有効性を検証した。約80゜Cの表面温 度をもつ物体をサーモトレーサで計測し,補正モデルを適用した結果,測定対象までの 距離50m以内においてR.M.S.誤差0.7°Cで計測できることを確認した。土壌含水率推

1266

(3)

定 には 午前 と午後 の熱 画像 及び その差 分デ ータを用いた。含水率の相関は午前が Rニ0.69,午後が犀=0.67であり,ともに十分な精度を示した。また,午前から午後に かけての温度変化にも相関があることが確認できた。最後に,得られた推定モデルによ って土壌表面の含水率マップを作成した。本システムを用いた場合,センシング毎にグ ランドトゥルースの取得とキャリブレーションが必要となるが,ここで扱った含水率の 範囲であれば,地表の土壌含水率は地表面温度の線形モデルで推定できることを明らか にした。

1267 ‑

(4)

学 位 論 文 審 査 の 要 旨 主査   教授   野口   伸 副査   教授   端   俊一

副査   教授   小野里雅彦(北海道大学大学院      情報科学研究科)

副査   助教授   谷   宏

学 位 論 文 題 名

産 業 用 無 人 ヘ リ コ プ タ を 用 い た フ イ ー ル ド 情 報 の り モ ー ト セン シ ング シス テム

  本 論文は,全6章からなる総頁 数131の和文論文である。論 文には図86,表14,引用文 献104が含まれ,別に参考論文10編が添えられ ている。

  本研究は,産業 用無人ヘリコプタ(以下,無人ヘリコプタ)の精密農業への適用を念頭 において,リモー トセンシングのプラットフオームとした新しい利用法の提案を目的とし ている。作物生産において有用な空間情報を収集・解析して,GISでマッピングできるシス テムを開発し,ほ 場内の空間変動を考慮した基盤整備やほ場管理の可能性を示した。以下 に,論文の内容と 審査結果について述べる。

1.ヘリコプタベースリモート センシングシステムの開発

  供試した無人ヘリコプタにセンサマウントとして可動式雲台を装備した。作物画像取得 の ために3バンド(R‑G‑NIR)のマルチスペクトルイメージングセンサを採用した。機体に搭 載 したRTK‑GPSで絶対位置を計 測し,慣性航法センサと地磁気方位センサでロール角,ピ ッ チ角及び方位角を得た。さらに,可動式雲台の回転角をロータリエンコーダによって計 測 した。姿勢角センサによる相対方位と地磁気方位センサの絶対方位との偏差を調べるこ と で 方 位 誤 差 モ デ ル を 作 成 し , 幾 何 補 正 精 度 を 誤 差29cmま で 向 上 さ せ た 。 2.地形センシングと空間情報の3次元マッピング

  開発したりモートセンシングシステムにレーザ距離計を搭載し,画像データに加えて地 形情報を取得できるように改良を施した, 約10mの高低差があるほ場をセンシングした結 果,9cmの誤差で測量できた。また,23,OOOrri2の試験ほ場において測量に要した時間は約35 分であった。従来のトータルステーション による測量では3時聞以上要したことを考慮す ると,開発した測量システムは高精度でかつ高能率であった。さらに,本システムで取得 されるランダムで膨大な地形データ群について精度を維持しながらデータ数を削減できる

1268

(5)

データ処理アル ゴリズムを考案した。最後に,無人ヘリコプタから得られた地形データと 画 像 デ ー タ を 統 合 し て3次 元GISマ ッ プ を 作 成 で き る ア ル ゴ リ ズ ム も 開 発 し た 。

3.マルチスベクトルイメージングセンサによる小麦の生育診断

  画像データを用いて小麦の生 育状態を把握するために,画像輝度値から正規化反射率を 導出した。また,センシング時 にCCDゲインと露光時間を自 動制御することで,光環境に 対して広いダイナミックレンジ を確保できるよう改良した。小麦ほ場のセンシング試験で は,地上での調査項目としてSPAD値と穂水分を採用し,生育推定のグランドトゥルースと した。マルチスベクトル画像による推定モデルの決定係数は穂水分が0. 77,SPAD値は0.85 であり,極めて高精度の推定が 可能であった。次に,一度の撮影でより広域をカバーする ことで,リモートセンシング作 業の効率化を図った。撮像範囲を広くとるため,イメージ ングセンサに広角レンズを装着 し,レンズ収差による歪みを多項式近似によるレンズ歪み モデルを作成して補正した。ま た,カメラに俯角を持たせた状態で撮影することで広域を センシングでき,作業能率を大幅に向上させることに成功した。

4.サーモトレーサによる土壌水分状態のモニタリング

  サーモトレーサ によりほ場の熱画像を取得し,土壌含水率を推定できるシステムを開発 した。リモートセ ンシングの試験区として,土質が一様な水田ほ場を選び,裸地状態でセ ンシングを行った 。無人ヘリコプタからの空撮は,ほ場全体を1枚の画像でカバーするた め,サーモトレー サに俯角をっけた状態で行った。そのため,ピクセル毎に透過率補正を 行う必要があった ので,透過率にっいて熱画像補正モデルを導出した。まず,熱画像補正 モデルの性質を調 べ,基礎実験によってその有効性を検証した。約80°Cの表面温度をも つ物体をサーモト レーサで計測し,補正モデルを適用した結果,測定対象までの距離50m 以内においてR.M.S.誤差07°Cで計測できることを確認した。土壌含水率推定精度は決定 係数がO 69で,十分な精度を示した。最後に,得られた推定モデルによって土壌表面の含 水率マップを作成した。

  以 上のように本論文は無人ヘリコプタをフイールド情報センシングのプラットフオーム とし ,収集した空間情報を解析してGISにマッピングできる完成度の高いシステムを開発 した 。画像データをGISと連結し て空間情報として扱うことで,取得された情報の有用性 は格 段に向上する。現在,全国の地方自治体は電子地図化を進めており,地域のGISコン テン ツとしての活用も考えられる。さらに,近年ヘリコプタベースリモートセンシングは 精密 農業のコア技術として注目されており,国際的にみても高いオリジナリティと学術的 価値 のある研究である。よって審査員一同は,杉浦綾が博士 (農学)の学位を受けるに 十分 な資格を有するものと認めた。

1269

参照

関連したドキュメント

   セレン原 子の異常分散効果を利用したタンパク質の構造解析は1980 年代後半ころのシンク口ト

   第4 章で は,第3 章で 得られた 結論を発 展させ, より一般

岩見沢試験地で育種途中の2 交配集団にっいて、F4 世代および Fs 世代では304 系統と 252 系統を、 F6

ダイ コン SLG 遺 伝子 を基 にし たプ ライ マー を用 い, PCR‑RFLP に よる S 対 立遺

   遺 伝子 診断 法で は上記の3 菌群に関し.16 −23S リボソーマルRNA 遺伝子のspacer 領域の塩 基配 列が 竹内 およ び筆 者ら (1997

   第 2 章は脂 肪球か ら精 製した りパー ゼの性 質を示 した もので ある。 アラビ アゴ ム溶液 中で乳 化 したヤ シ油と 殺菌 均質化 乳の乳 脂肪を 基質と し,

   次に,消化管内で実際に発現している膵プ口テアーゼ活性のin vivo での測定を試みた。すな わち ,キモトリプシ ンに特異的な人工基質であ るbenzoyl 一L −tyrosyl‑p

   カンザワハダニの卵prey としての栄養価を1 とすれば,第2 若虫のそれは2 .5 ,雌成虫は5 .3    になると推定された。産卵開始後の生存期間は低温ほど長く,15 ℃では約80