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病弱児の心理的援助に関する研究 : 病気の受容の観点から

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(1)学 位 論 文. 病弱児の心理的援助に関する研究.  一病気の受容の観点から一. 兵庫教育大学大学院 連合学校教育学研究科 学校教育実践学専攻. 学校教育臨床連合講座.  D972e4EI  中 内 み さ.

(2)                  圏次.   2。医療側と教育側の病弱教育への期待の相違 ・・・・・・・….   3.病弱教育の新しい課題 ・・…  ①ee・・ee d’ee。魯ee   4.病弱児を対象とした先行研究の課題 ・…  一・・…  一  第2節 研究の目的と意義 ・・9・…  癖・…  一・・・…   1.研究の意義 ・e・・・・・・…  ee・・…  e・e・e・.   2,研究の心的 ・・一・・一・一・・一一…  ㊥….    i)研究の警的 …  一・一一・一一一・一…    2)研究課題  ・・・・・・・・・・・・・・…  e・・・….  第3節 研究方法 …  一・…  一・・・・…  一・….   1.文献研:究 一・一…  一・・㊥一・・・…  一一   2。調査研究 ・・・・・・・・・・・・…  e…  e・・….   3.事例研究 ・・・…  一・・・・・・…  一・・一・・. ㊥ 8 ・ 。 卿 −一−一11一−. 第2章 文献研究 ・一・・・・…  一・…  一…  一・・  第1節 病弱児の病気とのかかわり ・eeee・Weee…  ee・   1.主観的な意味体験としての病気 ・・・・・・・・・・・・….   2。病弱児のストレス …  ee。e・eee・e・・。・’ee・  第2節 病気(障害)の受容 ・・・・…  一・一・一・一・  第3節 病弱児のクオリティ・オブ・ライフ(QOL) …  一・・.   1.QOLの定義 ・e・…  eee。。。e,。。ee.。。ee   2。病弱児のQOL ・・・・・・・・・・・・・…  。・・…  第4節 病弱児への心理的援助 e。・。e。・ee・・ee・・。・・.  第5節 要約 ・一・一…  一一一轡一一一一一  第1節 病気の語り ・…  一 ・ ・e 9  卿    1.病気の語り 一・一・・一…  一…  一・・…   2.子どもの病気の語り ・…  一・一・…  一・一・・  第2節 作文分析 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・….   1.対象 ・・・・・・・・・・・…  一・・・・・・・・….   2.方法 一一・・一・・一一一・・一・一・…    1)手続き ・一・・一…  一一・・一…  一・・    2)方法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・….    3)制限 te−edi−se…  e一一一・・一一   3.結果 ee・“・一一一…  一一一・一。…    1)病気そのものに関して …  一・…  一…  一・・    2)病気である生活に関して ・・・・・・・・・・・・・・….                   i. O  $  麟  脚  O  O  ゆ  ㊥  ・  の  O  ◎  ㊤. 第3章 調査研究1:病弱児の病気体験に関する語り(Narrative)の研究. 1111驚34455 γ04 4 85 86 86 979 0 14 25 3667777 11嘉111111111晶−轟−. 第1章 問題の所在と研究目的 ・・・…  一…  一・・・…  第1節 問題意識の背景 。・e・・…  e・・e…  ee・e・・   1.病弱教育の質的変化 ・・ee・・・・・・・…  eS・eee.

(3) 第3節 面接分析 ・・…  一・・一・  1.面接対象者 ・・・・・・・・・…  2.方法 ・・・・・・・・・・・・….   1)手続き ・…  一・一・・一   2)面接時期 一・・・・・…  一   3)方法 ・・・・・・・・…  一・.   4)制限 ee・aeeegeee…  3,面接事例 一一・・・・・・…   1)事例1:B子(20歳,:奪門学校生).   2)事例2:C男(16歳,高等部1年生)   3)事例3:D子(19歳,高等部3年生)   4)事例4:E子(29 Wt,職業訓練校生).  4.考察 ・・一一・一…  一・   1)病気体験の語りの共通性 ・・…   2)病気受容のための心理的条件 …. 第4節 要約 …  一・・・・…  一 第4章 調査研究2;病弱児の病気の受容:と主観的病気体験に関する研究.  第1節 方法 一一一一・一一一一一・・一一   1.子どもの生活満足度尺度の作成 ・・・・・・・・・・・…    1)子どもの生活満足度尺度の作成 ・・・・・・・・・・….    2)予備調査 ・・・・・・・・・・・・・…  一・・….    3)信頼性 一・・・…  一・・一一一一・…   2.病気体験に関する調査用紙の作成 ・・・・・・・・・・….  第2節 対象 ・・・…  の・・8e・・俸・・・・・・・・….  第3節 手続き ・…  一一・…  一・・…  一・一   1。調査の実施 ・e一・・・・・・・…  。e。。。。。ee   2.調査時期 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・….   3.制限 一…  一・…  。・一一・一・・一・・  第4節 結果 ・・・・・…  一・…  一一…  一・・   1.対象の属性 ・・一・・…  一・・一・・・・・…    1)学年と性別 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・…    2)養護学校在籍期間 ・・・・・・・・・・・・・・・・….    3)通学形態(生活場所) ・・…一e・・・…  ee・….    4)疾患種 一一一一酵一一一⑫一一・一・    5)発病時期 ・・・・・・・・・…  卿・・・・・・・….    6)罹病期聞 ・・・・・・・…  一・・・・・・・・… 蕨. 9 52 52 62 62 6 7 7 0 2 4 0 0 0 0 1 2 2 3 3 3 10 黛3 23 25 25 25 22 2 2 3 3 3 36 36 38 39 4 4 4 4 4 4 4 4 4 43 43 43 4.   3)病気である私に関して ・…  ee   4)病気体験の受けとめ方 ・・・…  4.考察 ・・・・・・・・・・・・…   1)病気体験の捉え方の発達的変化 ・・   2)各発達段階における心理的援助 ・・.

(4)  2,病気に関して e・・・・・・・・・・・・・・・・…  e・・…  44   1)自分の病気に対する気持ち ・一・・・     …     44   2)病気の受けとめ方 ・・・・…  一・・・・・・・・・・・…  48   3)病識 ・・…  ◎・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・…  51  3.ソ・一一一・シャル・サポート ・・e・e・・・・…          e54.   1)サポート源 ・…  一・… 一・一…        54   2)教師への相談 ・・・・・・・・・・…  ee・・・・・・・…  61.  4。生活満足度 ・…  一・・・・…  一・・・…  一・…  65   1)学部別の差および性差 ・・・・…  e・・・・…  e・一・・65   2)平均得点の学部における推移 ・・・・・・・・     ・・…  66.   3)各尺度問の相関関係 ・・・・・・・・・・・…  一・・・…  68   4)病気の受けとめ方との関連 ・・・・・・・・…  ee・・・…  69 第5節 考察 ・一・一・・・・・・・・・・・・…  一・・・…  69  1.子どもの病気体験の特徴 …  一・・・・・・   …  一・69   1)病気に対する気持ちの変化 ・・・・・・・・・・・・・・・・…  69   2)病識 ・・・・・・・・…  一・…  一・・・・・・・…  70   3)ソーシャル・サポート …  e・…  e・e・・ee・・・…  71   4)生活満足度 ・・・・…  一・・・・・・・・・・・・…  一72  2.病気の受けとめ方に影響を及ぼし合う要因 ・・・・・・・・・・…  73   1)病気の受けとめ方に影響する要因 ・・・・・…  ee・・・…  73   2)病識 …  e・・e・・・…  e・e・・・…  。。.。。。。74   3)ソーシャル・サボpmト ・・e・・e・・      ee・…  74  3.病気の受けとめ方が生活満足度に及ぼす影響 ・・・・・・・・・…  75 第6節 要約 ・・…  一・・・・・・・・・・・・・・・・・・・…  76 第5章 病弱養護学校における児童生徒への心理的援助の実践的研究 ・e…  78  第!節 病弱養護学校における病気受容への心理的援助  ・・e…  e・・78   1。病弱養護学校の特性 ・・…  ㊤・・・・・・…  e。・・・…  78    1)児童生徒による病弱養護学校の評価 ・・・・・・・・・・・・…  78    2)児童生徒による教師の評価 ・・・・・・・・・・・・・・・・…  78   2.病弱養護学校における心理的援助 ・一・・e・・・・…      79    1)病気受容への心理的援助 e…  S・…  。…  e。・…  e79    2)心理的援助の観点 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・…  一79    3)心理的援助を病弱養護学校で行う意義 ・・・・・・・・…  e・・81  第2節 病弱養護学校における心理的援助の実践 ・・…  “e・・ee・・82   1.学校独自の具体的な心理的援助 ・・・・・…  。・・・・・・…  82.    1)進路への援助 ・se・・e・・…  ee・e・・ee・・e…  82    2)授業における心理的援助 ・e・・・・・・・・・・・・・・・…  82.   2.心理的援助の形態と方法 ・一・・・・…  一一・     ・82    1)形態 ・…  一・・・…  一・・・・・・・・・・・・…  82    2)方法 ・・…  e・・・・・…  。・・・・・・・…  9一・84.    3)課題 ・・s’…  一・…  一・一…  一・一・・一85 颯.

(5) 第3節 事例 一・一一・一一・・一一一・一一一一86  1.事例の概要 ・・一・・一・一一・一一・…      86   1) FptSwa e ” “ e e t e “ o e e e { e e e e e e e 一 e s e e e e g e 8 6.   2)対象者 ・…  e・・・・・・・…  e・・・・・…  ee・・86.   3)問題の所在 …  一・・e“・・ee・eeee      ・・86   4)面接者との関係 ・…  ee・…  e・e・e・      ・e88   5)カウンセリングの陽標と方法 ・・・・・・・・・・・・・・・…  88.  2。面接経過 ・・e・・・・・・・・…  ee・・・・・・…  e・・90   1)予備面接(X年1月鐙購 .・…  一・・・…        9◎   2)前期(#1∼#3) ・・・・・…  一一一       ・・91   3)中期(# 4∼#5) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・…  92.   4)終結(#6) ・・…  一・・…  8・・・・・・・・・…  93.   5)予後 ・一一…  一一一一・一・…        95  3.考察 ・・一…  一一・一…  一・…      一・96   1)面接過程について ・・・・・・・…  一・・・・・・・・…  96   2)病気受容への心理的援助の実践としての本事例の検討     ・e・98. 第4節 要約 ・・一・・一一・・一・…  一・      ・lo1 第6章 総合考察一子どもにとって病気体験とは何か一 ・・・・・・・…  !03.  第1節考察1:子どもにとって病気が意味するものは何か ・・・・…  103   1.子どもの自己への病気の影響は何か ・…  a・・・…  e…  103   2.子どもの生活への病気の影響は何か …  eg・・・…  eee・103   3.病弱児に共通する体験は何か ・・・・・・・・・・・・・・・…  103    1)病気に対する意味づけの変化 ・・・・・・…  一・e・ee・104    2)疾患に関する平野の重要性 ・…  ee・・・・・・・・・…  104.    3)「スティグマ」としての病気の意識 ee・e・…  e・e・ee104    4)病気の受けとめ方とライフ・スタイルの関連 ・…  eeee・・104    5)ソーシャル・サポートの重要性 ・・・・・・・・…  e・…  104  第2節 考察2;子どもの病気の受容に影響する要因は何か ・・・・…  104   1.以下に挙げる変数によって病気の受けとめ方に差違はあるか 一・・104   2.病気を肯定的に意味づける子どもと否定的に意味づける.                      子どもの差は何か一・・105  第3節 考察3:子どもの病気の受容と生活満二度との関係は何か ・…  105   1.以下に挙げる変数によって病気の受けとめ方に差違はあるか ・・e・105   2・病弱児の生活満足度に影響する要因は何か 一・・・・・・・…  105  第4節 考察4:子どもの病気体験に病弱養護学校は.                どのような役割を果たしているか  …  106   1.病弱養護学校での体験を子どもはどのように受けとめているか …  106   2.病弱児は教師にどのような援助を期待しているか ・・・・・・…一e106   3.子どもに病気の受容を促すような心理的援助とは.                      どのようなものか ・…  106  第5節 今後の諜題 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・…  107. 1v.

(6) 第6節要約 一一一・・一・・一・・一一・・一・・一107 引用文献 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・…  109. Appen(thl eeeeeesse−eeeeeee op eeeeeeee−eee 115 諺寸辞 . ・・・・・・・…. @ e・・・・・・・…  。。・…  。。・…  138. v.

(7) 第1章. 問題の所在と研究目的. 第1節問題意識の背景  1.病弱教育の質的変化  1947年、学校教育法制定の当時、病弱児は「就学猶予・免除」の対象であっ た。これは、結核患児が多く、結核に対する基本的治療法のない当時の「病弱 児は安静がag 一一で病気の療養に専念したほうがよい」という医療関係者、教育 関係者の考えによるものであった(加藤,1997)。その後、養護学校義務制(1979). により、すべての障害児に教育を受ける権利が認められるようになり、病弱児 の就学率も大幅に増加した。そして現在、病弱教育は大きな転換期を迎えてい る。結核が激減し、気管支喘息や腎臓疾患といった慢性疾患1や心身症などが増. 加してきた。また、白血病や悪性腫瘍などの子どもに対する教育の重要性が認 識されるようになってきた。現在の病弱教育の特徴は、①不登校を含めた心身 症などの急激な増加、②疾患段の多様化・内容の著しい変化、③身体的問題に付 随する心の問題の重要視、等が挙げられる。これに伴って、病気を「治す」「克. 服する」というよりも「いかに病気3と付き合っていくか1ということに教育の 視点が置かれるようになった(横田,1997)。.  2.医療側と教育学の病弱教育への期待の相違  近年は医学の立場からも病弱教育の意義が見直されるようになった。心身医 学やホリスティック医学の台頭、行動神経学や精神生物学、精神神経免疫学等 の発展は心理状態や生活態度が治療効果に大きな影響を及ぼすことを医学的に 立証している。たとえば、L◎cke&Colligun(1986)はf人の心理状態は明ら かにからだに影響(p.94)」し、「からだや健康に対する脅威をどのように受け とめるかによって、からだの反応は変わってくる(p.1◎2)」と述べている。ま. た、リハビリテーシuン医学からクオリティ・オブ・ライフ(以下QOLと略す) の向上が提唱され、障害者や病者の「人生の質」が改められて考えられるよう になった。そのような風潮を受けて、病弱児に対して充実した教育が望まれる ようになった。. 1慢性疾患(chyenic disease):「持続した治療を必要とする医学的状態(Friman&Settel, 1994, p.196)」. 2疾患(disease);身体の化学的、生物学的組織の異変あるいは機能不全(Fabyega,1975) 3病気(澱烈ess):入々がどのように一調や能力低下を認識し、それと共に生きるかという症 状や愚いの俸験 1.

(8)  高木(1983)は、病弱教育は総合教育的立場(Liaison E d“catigas)をとる 必要があると主張している。   人間ぶ生物学的存荏であると同時に、心理的・社会的存在であるから、医者は   ‘‘病める入”を対象とした治療や生活捲導を行わねばならないことを意味する。.    (中略〉心理学、教育学の専門家はもとより、すべての教師たちに、現在慢性.   疾愚児について、医療爾でどのような闘題を取挙げ、対処していくことが迫ら   れているかを知り、教育側からも医療藏に積極醜な協力する体制を組んでいた   だきたいからである。それができたとき、医療側における心理的ケアへの志向    が、現実的効果的になると筆者は考える。当然のことであるが、このような疾   患をもちながら、‘‘より健やかな人生”を送れるように援助することは、教育の   力によって成し遂げられるからである(高木,1983,p.48)。. 更に、高木(1983)は論文の申で以下のように述べている。   そしてこの児童・生徒たちに対する教育冒標はその人闇的な感覚をもちつづけ    て、それぞれの生命を生き貫かせる援助であると筆者はいいたい(p.59)。. 豊島(1996)は全人的医療の具現化のために小児医療と教育の統合を提唱して いる。.  一方、文部省(1994)は「病気療養児の教育に関する調査研究協力者会議審 議のまとめ」で、病気療養児の教育の意義として、①積極性・自主性・社会性の. 芳養、②心理的安定への寄与、③病気に対する自己管理能力、④治療上の効果 等を挙げている。すなわち、教育によって以下の効果が期待されるとする。第 一に治療を積極的に受ける態度を養成することで、セルフ・ケアへの意欲を高め. る。第二に心理的安定を図ることで、医師や看護婦等の医療関係者や家族との 関係を良好にし、これが身体疾患回復につながる。第三に、入院や療養による 長期欠席の学習空白を埋めることで、子どもに元籍校へ復帰する自信をっけさ せ、その意欲を高め、元籍校復帰をスムーズにする。第四に、子どもの学習権 を保障することで、教育環境を整え「病気療養児の療養生活の質(QOL)」を 高める。.  こうした点からみると、教育側が志向する病弱教育は、病弱児の生き方や生 きる態度への援助を教育に期待する医療側の要請に比べてやや消極的な傾向に あるのではないかと思われる。.  3.病弱教育の新しい課題  教育は子どもの病気に対してより積極的な働きかけができる可能性をもって いると考える。. 2.

(9)  勿論、教育は「疾患」に対する「医療行為jはできない4。しかし、「病気」. とは症状や障害と共にある個人の生き方であり、生活体験であるということを 心にとめなければならない。子どもの病気に対する援助を考える際、疾患に対 する医療行為や医療環境のみに焦点を当てるのではなく、発達的・心理的・社 会的存在としての子どもの1挽(生命.生活、人生)全体に焦点を当てるべき である。とすれば、子どもが1日の活動する二階の大半を占める学校において、. 教育は「病気」に対してもっと積極的に援助する必要があるのではないか。.  病弱教育の真の目的は、病気を「改善・克賑する」ことではない。病気・障 害と共に生きる子どもの自己肯定であり、人間的健康5を実現することである。 上野(1985)は以下のように述べている。    病弱教育にそっていえば、丁度髭をなくすことができないと同じく、病気もな    くすことができないゆえ、病気や死が自分にとってもつ積極的意味を発見し得    ような関わり合いの実現に、病弱教育の本来的使命撰あるということでもある    (p.63)o. そのために、今後、病弱教育が取り組むべき課題の一つに病気の受容がある。.  病気を受容するためには、自分の病気を知的に理解するだけでなく、体験的 に理解することが必要である。疾患に関する知識や症状等に関する理解はあっ ても、セルフ・ケアが十分できない事例や病気を受け入れることができない事 例が養護学校の現場で時折見られる。教育は子どもが「病気になる」「病気であ. る」という体験を個人の具体的な生き方として、個人の「生の全体性と結びつ いた真の経験(申村,1992,p.63)]にしていくことを積極的に援助する必要 があるのではないだろうか。.  4.病弱児を対象とした先行研究の課題  病弱児を対象としたこれまでの研究は、大きく5つの内容に分類できる。  第一は、ある特定疾患児の心理状態や性格傾向、あるストレスにある病弱児 の行動傾向などの研究である。例えば、瓢◎r痴,Kyawiechi, Wright&WakeM (1993)や細谷(1996)の概究等が挙げられる。これらの研究は、病気による. 二次的障害の予防や入院生活への適応の推進、周囲の理下等に役立つ有意義な ものである。しかしその反面、これらは子どもの一面的・一時的な姿しか捉え ていない。第二は、病気の受容に関する研究である。これらの研究は、Waechtey. (1971)やClgnies−Kgs§&LansdeWR(1988)の研究等、生命にかかわる病. 4教育は嫉馳に対する医療行為はできない:1999年度、文部省は全圏の鱒都道府県に導撮 やたんの吸引など教育現場における賑療的ケアの調査と研究を委託した 5人間的健康:「病気を農己の一部分として受けとめて、これと麹解し、病気を引き受けた自 分をそれ以外のあり様がない自分として受容する(上賜,1975,p.53>」在り方. 3.

(10) 気(}ife 一一 threateniRg illltes$)あるいは末期の病気(termiRal 9}xesg)の. 子どもたちを主に対象としており、死の受容の問題とも結びついている。これ らは生存者(survivor)や家族の問題等にも関連した非常に重要なテーマを含 んでいる反面、対象が白二野や小児癌など特定疾患に限定される傾向にある。 また、モ・一 :ング・ワークが強調され、発達・成長する存在としての子どもの. 日常的な姿が軽視される傾向にあるように思われる。第三は、ソーシャル・サ ポートに関する研究である。兼松(1998)、SeXSOIt&MadaR−Swaix(ig95) の研究等、病院・施設、教育など様々な立場からソーシャル・サポートの重要 性が述べられている。しかし、田中・上原・新平・青野・一色(1998)の研究 など一部の研究を除き、サポートを受ける病弱児自身の要求や評価が反映され ていない。第四は、心理療法に関する研究である。安藤美・安藤普・竹内(1995). や村田・三浦(k996)の研究等が挙げられる。これらの研究は臨床心理学の立 場から病弱児の個人的な精神的葛藤や解決に焦点がおかれ、子どもの内的な体 験を重視している。その反面、研究の対象が受ける個人や心理療法の場に限定 されており、同等の具体的な場とどうつなげていくかの視点に欠けているよう. に思われる。第五は、病気の理解に関する研究である。病気の概念や理解の発 達に関する矢吹・永峯(1976)や小畑(1990)の研究が代表として挙げられる。. 主観的体験としての病気を考える上でこれらの研究は示唆に富む反面、上野の. 一連の研究(1975,1976,1979,1981,1989)を除くと子どもと病気とのか かわりの視点に欠けているように思われる。更に欠けていると思われるのは、 子どもの目常生活と病気とのかかわりの視点である。.  今後の病弱児を対象とした研究は、子どもと病気のかかわりを子どもの霞常 生活の中で子ども自身が評価するインサイダーの視点が必要でないかと考える。 as 2節研究の意義と霞的.  1.研究の意義  本研究は、様々な疾患を対象とする病弱養護学校において、病気を子どもが いかに評価しているか、病気と子どもの日常生活がいかにつながっているか、. 病気の受容の観点から心理的援助の実践はどうあればいいのかを考察すること で、病弱教育の可能性を探究する。筆者が知る限り、教育実践の立場から病弱 養護学校における病気受容の心理的援助に関してはこれまで研究されていない。.  病弱児の生き方に対する態度は、彼らが自分の病気をいかに受けとめ、いか に自分の人生に位置づけているかに関連している。従って、病弱児が病気とい う暁町の『事実』を自らの『体験』としていかに受け入れていくか(皆藤, 4.

(11) 1998,p.115)」を援助するということは。彼らの生き方を援助することにつな. がる。この「病気と共にある子どもがいかに生きるかjを問う視点は障害児教 育のみならず、教育の意味を改めて考える視点でもある。この諜題は、たとえ ば死に向かう子どもに教育は何ができるか、慢性の疾患や障害と共に生きてい く子どもに教育は何を援助すればよいのかといった「教育とは何か」という本 質的な課題につながっている。.  2.研究の目的.   1)研究のR的  病弱児が病気を体験的に理解し.かつ病気を受容していくことを援助するた めには、子どもが自分の病気をいかに捉え、自分の1漉の中にどう意味づけて いるかということを理解していなければならない。そのためには、子どもにと って「患う体験」、すなわち「病気になる」「病気であるjとはどういうことな. のか、子どもの主観的な病気体験そのものを捉え直すことが必要であると考え る。.  本研究の目的は、病弱児の病気の語り(nayrative)やアンケート調査の結果. の分析を基に、病気の受容の観点から病弱養護学校の子ども達が体験している 病気についての理解を深めることである。そして、子ども達が人間的健康を実 現していくために、学校は彼らをいかに援助していけばよいのかということを 心理臨床と病弱教育の観点から考察する。なお、本研究では、病気の受容を「病. 気の否定的側面を理解した上で病気の肯定的側面をも認め、病気と共に生きる 自分の人間的価値を再発見し、積極的に生きる姿勢をもつこと」と定義する。.   2)研究課題 1.子どもにとって病気が意味するものとは何か。  「病気になる」「病気である」体験によって、自分自身や生活、周囲はどのよう. に変化していると病弱児は評価しているか。子どもは病気になることで、具体 的に何を失い、何を得たと考えているのか。病気の語りから子どもの主観的病 気体験を考察する。具体的には次の課題を設定する。.  1)子どもの自己への病気の影響は何か。  2)子どもの生活への病気の影響は何か。  3)病弱児に共通する体験は何か。 2.子どもの病気の受容に影響している要因(肯定的・否定的)は何か。.  子どもの病気の受けとめ方には何が関連しているか。否定的な病気の受けと め方と肯定的な病気の受けとめ方では、ソーシャル・サポートや病識噂にどの. 6病識:自分の病気に対する気づき(小山,1989). 5.

(12) ような差があるか。病気体験のアンケート調査から、子どもの病気の受容を考 察する。具体的には次の研究課題を設定する。.  1)以下に挙げる変数によって、子どもの病気の受けとめ方に差違はあるか。.   (1)発達段階.   (2>性   (3)疾患種   (4)発症時期   (5)罹病期間  2)病気を肯定的に意味づける子どもと否定的に意味づける子どもの差は何   か。. 3.子どもの病気の受容と生活満足度との関係は何か。.  子どもの生活満足度に病気の受容はどの程度関連しているか。また、病気の. 受容以外に何が生活満足度に影響しているのか。QOLの観点から病気の受容を 考察する。具体的には次の研究諜題を設定する。.  1)以下に挙げる変数によって子どもの病気の受けとめ方に差違はあるか.   (1)H常生活の充実   (2)生き方の態度   (3)自己認知   (4)将来への展望   (5)自己評価  2)病弱児の生活満足度に影響する要因は何か 4。子どもの病気体験に病弱養護学校はどのような役割を果たしているか。.  病弱養護学校に在籍する(した)ことを子ども自身はどのように捉えている のか。教師は子どもにどのような援助をしているか。また、子どもが望んでい る援助は何か。子どもが自分の病気を受容するために学校で有効な援助はどの ようなものが考えられるか。病気の語りとアンケート調査の結果から、病弱養 護学校における効果的な子どもの援助を考察する。具体的には次の研究課題を 設定する。.  1)病弱養護学校での体験を子どもはどのように受けとめているか  2)病弱児は教師にどのような援助を期待しているか  3)子どもに病気の受容を促すような心理的援助とはどのようなものか. 第3節研究方法 1.文献研究 6.

(13)  研究諜題に基づき、病弱児教育、臨床心理学、心身医学、精神医学、小児医 学、看護学、社会学などの領域にわたってH米の先行文献による研究を行った。.  2.調査研究  本研究では子どもの病気の語りとアンケート調査を行った。.  調査に当たっては、単に病弱児の生活や養護学校の病弱児の現状を考察する というのではなく、子どもと病気の関係性に焦点を当てた。すなわち、外的事 実としての病気体験ではなく、子どもの内的事実としての病気体験}病気とい う現実を子どもがどう感じ、何を体験しているかについて考察した。  語りにおいては、①子どもの日常性に焦点を当て、病気体験の受けとめ方や 病気に対する態度等のデータを収集するために作文を分析した。②量的方法で は理解できない全体性や複合性に焦点を当て、「『経験』から『意味』へ、『意 味』から『行為』へと移行する過程(やまだ,2◎90,p.17)」を探究するため. に面接を行った。③病弱児の一般的傾向に焦点を当て、語りから得られたデー タを基にして調査用紙を作成し、アンケート調査を行った。  3.事例;研究.  :事例研究は、病弱養護学校における心理的援助についてより詳細に探究する ために行われた。.  上野・高木(1975)は客観的アブur・一チによる病弱教育の研究方法を批判し、. 病弱教育の研究は「病める子どもをいつも人問全体として、いいかえれば、存 在そのものとして間う(p.20)」現象学的アプローチ法をとるべきであると主張. している。そして、研究主体と客体(病弱児)の対人関係を基盤にして子ども. の内的体験世界を重視する病弱教育の研究は、人間を対象とする科学として臨 床的性格を有すると述べている。それは対象である人問を一つの世界としてみ るということであり、主体が自ら現象にかかわるということである(河合, k992)o.   …人間は瀾定可能な部分からのみ成り立つものではない。逆に測れない部分こ   そが二丁を形作っていると書える。人間を三々に異なる総性をもった存在として   尊重すると1うに臨床心理学の出癸点淋あll、そのための方法論が事倒研究なの   である(岸本,1999,P.22).  本研究では、高等部3年女子の卒業不安への予防的カウンセリング事例をと りあげ、そのB的や方法、面接過程における生徒と面接者のかかわり等につい て検討することで、学校環場で行われる心理的援助の実践について理解を深め た。. 7.

(14) 文献研究. 第黛章.  第1章では病弱児の病気体験を講査する目的や意義、研究課題、研究方法に ついて述べた。この章は研究課題に基づいて包括的に文献研究を行う。とりあ げるのは以下の題目である。病弱児の病気とのかかわり、病気(障害)の受容、. 病弱児のクオリティ・オブ・ライフ(QOL)、病弱児への心理的援助である。. 第1節 病弱児の病気とのかかわり.  1.主観的な意味体験としての病気  病気になるということは子どもにとって一種の挫折体験,あるいは喪失体験 として受けとめられる。家族や地元から離れて入院しなければならない。ある いは生活や運動、食事等を制限され、しばしば苦痛を伴う治療を受けなければ ならない。それはN常世界から分断され今までの自分とは異なる自分になって しまう(ならざるを得ない)体験である。しかも医師をはじめとする他者に絶 対的に依存しなければならない生活である。このような物理的・心理的環境の 一変は、子どもにとって非臼常的体験である。それはまた、自分一人が$常世 界から脱落してしまった感覚であり、自分がもはや自分ではない、「普通の人間」. から「異常な変な者」「劣った者」になってしまったという体験でもある。.  子どもが病気になって喪失したものは、単に健康な身体や健康だった頃の生 活だけではない。彼らが今まで築いてきた世界、自己像をも喪失する。子ども にとって、病気である自分の体は異物化されており、已のアイデンティティが もてない。Charmaz(1983)は「病気を体験するということは、主体的自己(1). と客体的自己(Me)の問の内的対話が変化し、体験の定義が変化する社会的心 理的プロセスである(p.170)」と述べている。.  上野(1981>によると、病虚弱児の内的意味体験の世界では心とからだが絡 み合っており、病気=(異物化した)からだコ自分である。こうした病気の中 の私という観念から私の中の病気という観念への転換を図ることは重要である。 すなわち、主客分離の体験から、主客融合の体験への転換である。   具体的にいえば、人が病気を私の病気(生体上の二君なモノではなく体験的意   味を担うWト〉として、病気をなぶめるのではなくて、みつめ、知るのではな   くて、わかり、そしてこれを背負うのではなくて、引き受けるというあり方だ   ということが出来る。それは病気にかかわる認識、判断、そして行為に結びつ   く主体の態農でもある(上野,1989,p.264)。. 8.

(15)  上野(1979)はこうした転換は、それまでマイナスの意味体験を担う状況の 中で自分にとってのプラスの意味を発見することであり、そこに人間が本来も つ主体性や能動性が働くと述べている。.  2.病弱児のストレス  BedeU, Giordani, Amour, Tavormina&Bol} (1997)はこれまで病気の存. 在が子どもたちの心理的成長を決定する有力な要素であると考えられて、社会 的環境的要因はしばしば考慮されていなかったことを批判し、慢性疾患児の心 理的安定を決定するものとして、ライフ・ストレス等の社会的環境的影響も考慮 すべきだとしている。.  病弱児にはライフ・ストレスや発達課題に伴うストレスだけでなく、病気に 関連するストレスが加わるが、病気に関するストレスには、性や発達段階、疾 患種、疾患の慢性度(chrOkicity)による差がある(Spirito, Stark&Tyc,1994;. 細谷,1996;中村・兼松・武田・内照・古谷・丸・杉本,ig96)。また、ある 子どもにはストレスとなるものでも、別の子どもにとってはストレスにならな い場合もあり、個人的要因も大きい。例えば、入院が子どもにとってストレス. になる場合と、逆にストレスの解除になる場合があることが報告されている (関・宮本・磨平・西川・太留・松本,1983)。.  ストレス・マネジメントの訓練や高い自己効力感は心理的ストレス反応を軽 減する(Spirito, Stark&Williams,1988;金・嶋瞬・板野,1996;武露・原, 1997)o. 第2節 病気(障害)の受容  障害受容の定義に共通している要素は、境実認識と自己認知・自己概念の変 容である(岡,1996)。.  古牧(1977)は障害受容に影響する条件として知的能力や障害の程度、家族 の態度等の個体要因と障害要因、環境要因を挙げている。これらは障害体験そ のものに影響する要因(本田・南雲・江端・渡辺,1994)でもあり、このこと から障害受容には生活史の申におけるyその個人にとっての障害の意味(中原, 1995,p.329>」が重要な役割を果たしていることが示唆される。中原(1998>. は障害受容への援助について、自己信頼の復活への援助はすなわち肯定的な障 害観の再構成への援助に他ならないと述べている。障害に対する価値観の転換 には以下の4条件が挙げられる(古牧,1986>。. ①自分の疾病に対する正確な知識、および障害の程度に対する自己評価と客観 的評価の一致:。. 9.

(16) ②障害に対する積極的な取り組み。 ③障害に対する開かれた態度。 ④生きる目標と生きがい。.  また、橋本(1997)は病気受容に至る患者の苦悩の癒しに重要な役割を果た している心理的条件として、①自己の連続性の回復、②事物とのつながりの回. 復、③他者とのつながりの回復、④生命とのつなが9の回復の4つを挙げ、以 下のように述べている。    患者は、病によって来来への展望を失い、環境への慣れ親しみを失い、他者    からの孤立を感じるが、ともに生きようとする家族や前向きに生きる同病の    仲閥に支えられ、自分の障害を受審し、残された可二物を認識し、その可能    性を生かして再び生繕環境に適応しようとする意欲を敢り戻す。…  そし.    て、病を受容するにつれて、患者は社会の一員としての自分、生命の一員と    しての自分という拡大した自IE意識を経験するようになる(p.513)。. このことは、障害受容が個人的問題ではなく個人を支える周囲の課題でもある ことを示している。.  病気や障害の受容には対象喪失によるモーニング・ワークを必要とする。す なわち、否認や無関心、怒りや悲嘆・抑うつ等の混乱のプロセスを経て病気や 障害は受容されるのであり、否認や悲哀の心理的プロセスを通過しなければ、 二次性のアレキシサイミア等が生じる恐れがある(福西・尾崎・遠山・岡田,. 1993)。山本(1997)は喪失のプロセスにおける様態として、予期の様態一崩 壊の様態一一補償の様態の3つの型を定義し、各様態におけるモーニング・ワー クの諸課題を安堵の課題、悲嘆の課題、希望の課題と明細化している。 第3節 病弱児のクオリティ・オブ・ライフ(QO:L).  1,QOLの定義  QOLは1960年代、社会学・経済学・政治学の分野で研究され、197B年代 に入ってホスピスや癌治療など医学の分野に導入された。それは量から質へ、 生命のみから生活、更に人生へと視点の拡大をもたらした(小島,1984;上田, 1984)o.  QO:しに関しては様々な定義がなされているが、 QOLの概念には健康状態が. ①f主観的」な観点を含めて、②「全人的」な視点から、③生活の「文脈」に 即して問われなければならないという点に共通の認識が見出される(鈴木, 1999)。上田(1994)は“life”の雷葉そのものが構造をもつとして、 QOLも. 構造をもつと述べている。そしてリハビリテーション医学の立場から障害の構 10.

(17) 造を客観的障害と主観的障害に分け、それに対応してQOLは客観的QOLと主 観的QOLをもつとした。すなわち、 QOLをy生命の質」「生活の質」「人生の 質∬体験としての人生の質jと定義した。それぞれのQO:Lは相互に規定し合 っている。総合的なQO:L向上のためには、客観的QOLの向上をマイナス面の. 減少とプラス面の増加の両面から実環していくと共に、主観的QOLを向上さ せることが必要であり、そのためには障害の受容による価値観の転換が不可欠 である。.  QOLの主観性を強調する重要なキーワードは主観的満足感あるいは幸福感 (subjective weU−bei嚢琶,以下SWBと略す)である。それは個人の内的基 準枠に焦点を当て、life k体へのアセスメントを含んでいる(Diener,1984)。. 根建・田上(1995)はその構成要素として①自己受容、②論理的柔軟的認知、 ③問題処理行動、④自己実現目標、⑤他者接触活動を挙げている。この内、自 己受容:、論理的柔軟的認知、自己実現目標の肯定的認知は生活満足感と呼ばれ、. SWBの最:も安定した変数である(Dinney,1984)。.  2.病弱児のQOL  医学の立場から成人のQOLに関する研究は多い。たとえば、町沢・永田・ 石川・吾郷(1992)はQOLを「生活全体に対する主観的幸福感と満足感」と 定義し、意味構造として生きがいと将来への希望など6つの因子を抽出した。. そして、社会的つながりと自己肯定感が慢性疾患患者のQOLに重要な役割を 果たすとしている。.  一方、児童・思春期のQOLを高めることは重要であるにもかかわらず、そ れをテーマにした研究は少ない。    青少年期は、精神癸逮の面では自己同一性の獲得麟諜題とされ、発達の過程    にあり、変化しつつある時期である。この時期の思慮・判断、価値観は成長    していくにつれ、いずれ変化していくものであろう。同時に、青少年期は感    受性の鋭い時期でもあるので、社会・文化から多大な影響を受ける。一個の    人閥としての内在的な変化のカと、社会的存在としての外的な変化の力麟働    いている。従って、この時期のQOLは評緬しても安定した結果が得溺たく、    基準や標準化ぶ圏難であるという問題kSでてくる。しかし、変化するもので.    あるならばなおのこと、その時期、その時代における青少年のQOLを評緬    しておく意義がある(榎戸・平口・中糾・揖原・北本・近藤・鳥居,1995,    p.23).  複戸・平跨・中獅・川原・北本・近藤・鳥居(1995)は健康や家庭生活など. 8領域について中学生のQOLを調査した。その結果、健康、家庭生活、学校生. 活、友人関係、将来の5領域において高QOL群と低QOL群に有意差がみられ 11.

(18) た。続く研究では、鎖肛の子どもたちを対象に調査渉行われた(榎戸・平欝・ 門川・高木・渡辺・近澤・近藤・鳥居・小沼・梶本,1995;小沼・谷内・河野・. 野崎・北谷・梶本・伊川・榎戸,1998)。排便機能が良妊な子どもはQOLも高. かったが、疾患群と対象群ではQOLに有意差はなく、疾患が必ずしもqOLの マイナス要因ではないということが示唆された。しかし、内科外来子等を対象. にした研究では、自己肯定などにおいて患者の得点は低く、QOLにおける心理 的側面への援助の必要性を示している(町沢・永田・石川・吾郷,ig92>。. 第4節 病弱児への心理的援助  病弱児への心理的援助としては、病気への適応の援助、死にゆく子どもたち への援助、家族への援助等のソーシャル・サポート演考えられる。Foote, Piazza,. Holcombe, Pai}1&Dkffift(1990)はソーシャル・サポートを「個人が生命力. を増し人間的成長を続けることを促進する個人的資源と物質的援助を得ること (p.156)」であると定義している。.  病弱児は拘束の多い生活をおくっており、健康な子どもに比べるとH常生活 に関するストレスが高い(中村・兼松・武田・内田・古谷・丸・杉本,1996)。. 従って、日常的に病弱児にかかわっている人々の支援体制は病弱児の生活に影 響する。その場合、「病気と付き合いながらよりょく生きていくといった、その. 人固有のquality of lifeを求めての自己実現を目指した援助(安藤美・安藤 晋・竹内,1995,p.297)」が必要である。.  ソーシャル・サポートは以下の4つに分類される(Peterson&Weinert,1987)。 ①情緒的サポート、②評価的サポート(自尊心を確かにするフィード・バック)、 ③情報的サポート、④インストルメンタル・サポート(物質的援助やサービス)。. ソーシャル・サポートはストレス反応の軽減に重要な役割を占め、セルフ・エ スティームや希望との関連も示唆されている(Fo◎te, Mazza, Holcombe, Paul. &Daffin,1990;武田,1997)。.  行動と発達の礎を制限する「生物学的拘束〈con$tyaiRS>」にソーシャル・サ. ポートの欠如や親役割の不全といった「社会文化的拘束」が結びつくと、子ど もの発達そのものが阻害されることになる(Turner&H◎laday,1995)。従っ て、病弱児のサポートは1漁一spanの観点から考えなければならない。   例えば、教育やヘルス・ケアの専門家の多くは、漫性の病気の子どもを「永遠   の子ども」とみなし、現箋欝標として競争的仕事(eのmpetitive employmaen£)   をみない(Tumer&ffoladay,1995, p.9)。. Iif¢ 一 spaltの観点にたって、セルフ・ケアのために必要な知識や自立のための. 12.

(19) 情報を提供することは、社会生活の幅の広がりをもたらす上で重要である(兼松, 1998>o.  また、病弱児の「発達環境は生育の始発時期において慢性疾患を発症すること. により、患者と家族の間の危機的関係を極めて多く含んだ環境(村購・三浦, 1996,p.62>」である。例えば、子どもが病虚弱であると親が認知すると、彼. らの能力や生活冒標(今後の生き方等の価値観)への期待に関してまで親は消 極的・否定的な態度をとるようになる(岡,1989)。特に、進行性・致死性の 疾患児の場合、親は子どもの病状・障害が進行するにつれて子どもの将来に絶 望し、それにより親子関係が不安的になりやすく、子どもを取り巻く家族全体 に対するサポートが不可欠である。. 第5節 要約  大山(1977)は、疾患は①身体的苦痛、②当面の問題や将来に対する不安、 ③不安定な身体像、④社会的役割行動の低下を招くとしている。子どもの場合 には、それらが成長・発達の危機に結びついている。  一般に病弱児の心的特長として、緊張、不安、甘え、退行、聞き分けのよさ、 環実からの逃避や反抗、無気力、辣うっ等が挙げられる(高木,1983;岡,1988;. 村田・三浦,1996;長畑,1996)。しかし、病弱児ぶF特別に」精神病理が弱 いというわけではない(Tavoymima,:KasSney, Slater&Watt,1979)。病弱児. の問題行動や人格形成上の問題は、薬の副作用など病気の直接的な影響だけで なく、子どもの個人的要因、制限された生活環境や周囲の過干渉等の環境的要 因によって発達が阻害された結果であるといえる。従って、病弱児に対するサ ポートは潤常的なかかわり合いの中で、life 一 spanの観点から行われなければ ならない。.  障害や病気は客観的状態であると同時に主観的体験でもあり、障害や病気を もつことは必ずしもQOLのマイナス要因としてのみ働かない(上田,1994)。. 上田(1994)はQOL向上のために、障害の受容を挙げている。それは疾患や 障害に対するあきらめや居直りといった消極的な態度ではなく、病気の自分の 自己肯定であり、1漉への積極的な態度である。. Z3.

(20) 第3章  調査研究1:病弱児の病気体験に関する       語り(Narrative)の研究  この章では、個人的体験としての病気を検討することで、患うことの意味を 探究する。すなわち、病弱児がいかに自分の病気を体験しているかということ を子どもの病気の語りから読みとっていく。.  病弱児は疾患の特殊性はあっても、生活体験や日常生活で直面するさまざま な問題、求めている援助は共通する部分が大きい(兼松,1998)。従って疾患 種による症状や生活の特徴ではなく、病気体験そのものあるいは病気体験の及 ぼす影響に焦点を当てる。語りの資料としては、病弱養護学校の文集に収めら れた作文と、思春期慢性疾患者との面接記録を使う。.  病気の語りから、①各発達段階で病気の受けとめ方にはどのような特徴があ るか、病気の受けとめ方がいかに変化してきたか、病気が彼らにとってどのよ うな意味をもち、生活や人生観にどのような影響を及ぼしているかを調査し、. ②各発達段階でどのような心理的援助が考えられるか、③病気であることによ って子どもが共通して体験することは何かを考察する。. 第1節 病気の語り  1.病気の語り  病気体験に関する研究はすでに1970年代の半ば頃から社会学や医療人類学 の分野で出現している。そこでは、面接や自伝的作晶(biogfaphic鍼 woyk) といった病気の語り(xarrative)の分析を通じて、病気と共に生きる人々の個. 人的、主観的体験に焦点が当てられ、文化や社会的構造の申で論じられている (Williams, 1984; Conrad, 1987;Kleinman, 1988;Frank, 1993)..  アイデンティティの脅威に対して、人はそれにかかわる物語を創作し意味づ けをすることで、「社会的世界と内的体験とをひとつの円環のうちに関連づけ (K:leinman,1988, p. x)」ようとする。例えばWilliams(1984)が語りを. 聴いた3名の慢性関節リウマチ患者の内の一人、Bi11は自分の状態について「ど うしてこんな目にあうんだ。こんなのは俺じゃない」と述べている。これは「関 節炎の原因以上のものへの関心を示し(Williams,1984, p.176)jていた。   人々はいくつかの科学の常識的見解や医療モデルをよく引用するだろう。だが、    「私はどうなるの。私には何も残されていないわ」とGillが雷うとき、彼女は.   伝統的な科学的論説の境界を打ち破り、複雑な社会心理学と実用倫理学に移行   する質問をしているのである(Wi}liams,1984, p.197)。. 14.

(21)  病気の語りは病者が自分の病気について「この異常な出来事を意味づけるた めにどんな理論や説明を発展させたか(Conrad,1987, p.5)」が焦点となる。. 病気の語りに関する研究は、病気と共に生きる個人の内的世界を探究する上で 重要であり、対処行動や自己認知や機能障害についての質三三では測定しきれ ない認識論的な意義をもつものである(Kleinman,1988)。そのことによって、. 個人や個人が抱える主観的な世界を理解することができるだけでなく、個人が どういう援助を必要としているのか、どういう支えを望んでいるのかを知るこ とで、病気そのものやケアおよびサポートについての理解もまた深めることが できるからである。.  2.子どもの病気の語り  わが国の病弱教育の分野において、子どもや思春期青年の病気体験の語りに 焦点を当てた研究は、例えば病弱児の作文や詩を分析した矢吹(1986)や近藤 (1995)、岩井(1996)の研究や、精神療法的アプローチから病弱児の身体に まつわる病気体験について考察した上野(1981)の研究等がある。  岡(1986)は以下のように述べている。   ところで、現実の要請から対応を迫られる課題を扱う場合でも、長い時間経過   の中での経験的事実から、その課題のもつ問題点、解決に必要な事柄や技術を   考察する方法が採用されて然るべきである。ことに、当事者がよりょく生きる   ための研究を中心に据えるならば、長期にわたる経験的事実の研究がより一層   必要になるであろう。一例を挙げると、彼らが病虚弱に起因する如何なる困難   を抱え、如何に対処し、如何なる人生観を形成してきたか、如何なる生き方を   選択(または強いられた選択)してきたかを探究することにより、環在の子ど   もへの指針が得られるであろう(p.37)。.  病気の語りは、病弱児の主観的内的世界を探究する有効な方法であるが、以 下のような危険も予測される。. ①病気は喪失体験であり、病気になることによって失われたそれまでの日常生 活や健康な身体が大切なものであればあるほど、「人はそう簡単にその事実を 受け入れることができない(杉原,1995,p.161>」。まして、子どもは身体的. にも情緒的にも成長・発達途上であり、喪失体験によって生じる様々な感情が うまく処理できず、成人よりも精神的混乱に陥りやすい(森,1990)。. ②病気になったことそのものが心的外傷体験であり、体験の性急で強制的な想 起は情緒的混乱を招く恐れがある。.  作文や三等の自伝的作品は子どもの病気の語りを探究する上で有益な資料で ある。第四に、子どもが意識化し、自分の申で消化できた感情や出来事を自分 が表現できる言葉を使って叙述するので、心理的に安全である。第二に、対象 15.

(22) 範囲を広く設定できる。第三に、自分の体験している世界を叙述しているので、. 子どもの主観的な生活体験の評価も可能であり、それによって生活の質を向上 するための援助法も検討できる。しかし、叙述されたものが子どもの病気体験 のすべてであると決め込むことは危険である。自分の真の感情を隠蔽するため に作為的な場合がある。井筒(1983)は発語(parole)が=書記書語(るcri糠re). のレベルに入り三二テクストになると書語が変化すると述べている。   どう変わるかというと、話し手(A)が聞き手(B)に話しかける、言語的コミ   ュニケーーションの直接性がなくなってしまう。それを術語的に「疎隔」と呼ぶ.   のですが、いつ、どこで、どういう人が、どんな心理状態あるいは身体的状態   で、どんな状態の人に向かって話しかけるのか、等々の要因で形成される三三   行為特有の状況がほとんど二部消し宏られてしまう。ポール・リクールのいわ   ゆるf状況の脱落」です(p.44)。.  面接はいつ、どこで、誰がというように場(トポス)が重視され、病気体験 を子どもに直に聞くことが可能である。その反面、対象者は情緒不安定になる ことなく自分の病気体験を言語化できる者に限られる。また、信頼関係の中で 子どもが自らの病気体験を想起して直面化するのを支える面接者の存在が重要 である。面接者は子どもと共にいて、彼らが「病いの経験を理解し、価値ある ものにするような這いの語りを創り出すのを手伝う(Kleinrr;an, ig88, p.67)」。. そうすることで、病気が子どものlifeに影響を及ぼしている個人的な意味を彼 らが受け入れたり、変化させるのを援助する。. 第2節 作文分析  1.対象  A養護学校が毎年発行する文集(1987年∼1998年)に基づき、文集に収め られている小学1年生から高校3年生までの自由作文を分析する。対象者は、 小学生低学年(1年∼3年)慧2名(男子84名、女子58名)、小学生高学年(4. 年∼6年)168名(男子99名、女子69名)、中学生154名(男子91名、女子 63名)、高校生124名(男子69名、女子 .55名)、計588名(男子343名、女. 子245名)である。対象とした作品は、小学部低学年143編、小学部高学年 168編、申学部158編、高等部124編、計593編であった。一人で複数の作晶 を提出している場合もあり、総数は全体の人数の588を超えている。対象児の 疾患種は、腎臓疾患、心臓疾患、気管支喘息、血液疾患、代謝性疾患等の漫性. 疾患である。在校期間は1年未満から12年未満である。. 16.

(23)  2.方法   1)手続き  文集をとりあげるにあたっては、A養護学校長の許可を得た。また、引用し た作文はすべて作者の許可を得ている。.   2)方法  分類にあたっては、自分の病気体験について記述した作品のみを取り上げた。.  まず、作文内容を以下の観点で分類し、各グループの特徴を調べた。①病気 そのものに関して記述した作晶、②病気である生活を記述した作8.、③病気で. ある自分自身に関して記述した作品。生活を記述した作品は、特に子どもが1 日の活動する時間の大半を過ごす入院生活と養護学校、友人に関して記述した 作品に焦点を絞った。題が病名であっても生活を記述した作品は②病気である 生活を記述した作晶群に含めた。また、疾患について記述した作品であっても、. 養護学校在籍の因となる慢性疾患とは因果関係のないもの(中耳炎等)につい ての作晶は除外した。.  次に、全作品を通して、各発達段階に見られる特徴、子どもの病気の受けと め方や病気に対する態度について検討した。.   3)制限 ①文集に収められた作品は、学校における国語教育の指導下で書かれた作文や 詩等の中から選ばれたものであり、それぞれで教師の教示や場所等条件が異な る。. ②対象者の疾患が幅広く、また養護学校在籍期間も1年未満∼12年未満と個 個の状態差が大きい。.  3,結果  病気体験を記述した作品は、小学部低学年16編、高学年64編、中学部57 編、高等部40編、計177編である。Table 3−1に学部別の作文の内容分類 を示す(作文の具体的記述例はAppendix Aを参照)。.   1)病気そのものに関して  小学部低学年は、検査・治療・手術の痛みやつらさについて記述した作品の みである。高学年から「病気になってよか.oた」ド学んだ」等病気を肯定的に捉. えようとする作品が出現してくる。高等部の検査・治療等のつらさを訴えた晶. 晶1編および病気そのものの苦しさを訴えた作晶黛編中1編は幼い頃の思い出 として記述されたものであった。なお、身体(体調等)に焦点を当てた作品と は、「∼がよくなるようにがんばろう」といった表現で決意や希望が述べられた 作品を指す。. 17.

(24)   2)病気である生活に関して    (1)入院生活.  小学部低学年においては、入院生活に関して記述した作品8編の内4編 (50%)が家族と離れる寂しさを綴ったものであり、彼らにとって入院による. 不安や孤独感がいかに大きいかを示していた。入院生活を肯定的なものとして. 捉えようとする作品の割合が、小学部低学年では0編(0%)、高学年では16 編中3編(18.8%)、中学部では4編中2編(50.0%)、高等部では4編中3編. Table 3−1 学部別の作文の内容分析.                   数慰嬢数 ーハ∠2◎AV. 4 25.0 22 34.4 7 IZ3 5 M5 38 21.5.    !1斬.  鰍.   計. 議貸. 庁. 合計. 礪牽. 1. 6 11. 71n◎. 鞍 気持次第. ︿︶∩VO.    ノ1聯 (2)将来. 1. §24◎︾ 941◎. 、深化. 3. 煽02 2壌3399. 酪. 病気によって麩)た. 00◎◎0 ︽V◎0. 決意・希望. 00000. 12 75.0 42 65.6 31 54.4 24 ee.g lce 61.6. 3.病気の私. G)自分自身. イ墓壌リム. 難. (4)友人. ワ恥◎2. 識樹. 消極的意味づけ 否定的奮糟づけ 樹霊的意蘇づけ. 5で85 43nO.    ノ矯十 (3)養護学校. り∂. 自由に動けない. 耀柾しくなった. 257 242 657. (2)生活規制. 5 −  墨◎ 1  U  5     3   ∩4.      学んだ         ノ1鮒. 3︵ 竃︵U∩V 12 4り3 ︵︶藤昌◎◎V17﹂n◎.      えた、よかった. 10.署 −濯一4 4.15.      友人や選露虫・蕎護婦に会. り44n∠ O O︶8 ︷︵ −. (1)入院生活  入院が嫌.      家族と離れる      学校にそr淘ない. nφ貫︶磨∂32.   計 2.病気の生活. ﹂一04ヨー﹂ー.      病気その初)の記しさ      身体に焦点(体調等)      病気によって選んだ      病気になってよかった. 切0︵︶◎◎. 7399編−742 30 ◎ 37 45 ハ031 0nヲ 4    ハ 1. ノ1〈低)% ノK高)%  中 %  高 %  計 % 1.病気そのもの検査・手術等の痛みなど. O O O O 19 ee.3 X 27.5 se 16.9 16 1eeP 64 100.e 57 IC)O.O tK) 10C}“ 177 IO()D. 18.

(25) (75.0%)と加齢に伴って増加している。高等部の入院生活が嫌だと記述した. 1篇は小学部時代の回想であった。.    (2)生活規制  噛由がなくて嫌だ」と記述した作晶群と、生活が規則正しくなったという 事実のみを記述した作晶群に分かれた。.    (3)養護学校  小学部は、転校したいきさつの説明や冷暖房等の設備面の記述が主であるが、 中学部からは養護学校での経験や学んだことの感想の記述が主になる。.  A養護学校に転校したことに関しては、①否定的に意味づけているもの、② 肯定的に意味づけているもの、③養護学校を元籍校と比べて「養護学校もいい けれど元の学校に帰りたい!という感想を述べたり、「腰掛け!的存在として消. 極的に意味づけているものとに分かれている。養護学校を肯定的に意味づける 作晶の割合が、小学部低学年0編(0%)、高学年10編中1編(10.0%)、申学. 部14山中8編(57.1%)、高等部9編中8編(88。9%)と加齢に伴って増加し ている。高等部の否定的に意味づけた!編は、高3の学年途申でA養護学校に 編入学してきた生徒の作品である。突然の発症と養護学校への編入学を挫折体 験として捉えていた。.  養護学校に対する否定的な意味づけと肯定的な意味づけをした作文の内容を. Table 3−2に示す。否定的意味づけは、病気そのものに起因したものや「養 護学校」自体に対する抵抗など個人で理由が異なっていた。一方、肯定的な意 味づけで最も多かったのは「学んだ」で、400/e以上を占める。その内容を詳細. にみてみると、生命の大切さ、同和学習における差別問題、集団生活の規則な どが挙げられており、「普通の学校だったら、本当に理解できていただろうか」. といった評価がなされている。二番目に多かったのは「友人に出会えた,仲間 関係」および1ゆとりができた,自分が出せる」であった。.   3)病気である私に関して  病気と関連して自分を見つめ直したり、将来を主題にした作晶は中学部から 出現する。.    (1)自分自身  20編申15編(75。0%)が病気を肯定的に意味づけている。以下の4つに分 類できた。. ①決意・希望:病気と共に生きる決意や希望を述べたもの。 ②内省:今までの自分の在り方を内省したもの。 ③変化:病気による自分の肯定的変化について述べたもの。 ④深化:自分の病気体験を障害者問題などにまで深め、追究したもの。 19.

Table 4一霊1 病気に対する気持ちの変化の有無 数値は案数 学部 性翔  気持ちが続いている 気持ちが変化した 空白 計 小学部 男女小 子子計 1壌弓4 505 4−−り◇ 74そ一 00︵︶ 325 24ハ◎ 中学部 男女小 子子計 ワ鮎湿3 n∠57 21尋 28ハ︾ n乙133 43n◎ ハ0嬉バリ 高等部 男女小 子謀計 2♂一3 霞︶蕾蓼ハ◎ 4◇︷4 耀一戸◎7f 314 5り4◎◎ 900フ 計%  0 84GU4 員8 52.9 フリ0 223 婚◎.◎ 丁論1繕4一一12 病気に対

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