奈良県における就学前障害幼児をめぐる問題 −す べての障害乳幼児のすこやかな発達をめざして−
著者 田辺 正友, 田村 浩子, 李 初子
雑誌名 教育実践研究指導センター研究紀要
巻 8
ページ 17‑28
発行年 1999‑03‑31
その他のタイトル Problems around the Handicapped lnfants in Nara Prefecture
URL http://hdl.handle.net/10105/4215
−すべての障害乳幼児のすこやかな発達をめざして−
田辺 正友・田村 浩子ヰ・李 初子
(奈良教育大学障害児教育教室)(奈良県リバリビテーションセンター)
ProblemsaroundtheHandicappedlnfantsin Nara Prefecture
Masatomo TANABE,HirokoTAMURA
(DepartmentofEducationforHandicappedChildren,NaraUniversityofEducation)
Hatuko Lee
(NaraRehabilitationCenter)
要旨:障害の早期発見とそれに続く治療・訓練、早期療育などの対応はすべての乳幼児のすこや かな発達を保障していく上で重要である。本研究は、母子保健法の一部改定(1994年6月改定、
1997年4月施行)後の奈良県における乳幼児健診と早期対応の現状をアンケートによる実態調査 によって明らかにし、今後の課題について検討を試みたものである。
キーワード:乳幼児健診、就学前障害児療育 1.はじめに
障害の早期発見とそれに続く治療・訓練・療育などの早期対応の重要性はもはや常識の域に達 している。乳幼児期は、障害の軽減と共に保護者が子どもの障害と発達について正しく理解し、
受容し、子どもと力強く生きていく力をっける大切な時期でもある。親も子も集団として育ちあ える場を保障し、障害についても発達についても見通しをもって子育てができるような援助が必 要である。
障害の早期発見・早期対応を制度的に保障するものとして母子保健行政、とりわけ乳幼児健康 診査(以下、乳幼児健診)が重要な役割を果たしている。障害の早期発見システムは、保健所を 中心とした乳幼児健診の充実と共に前進してきたといえる。特に、1977年の1歳6カ月児健診の 実施以降、乳児前期(3〜6カ月)、後期(7〜12カ月)、1歳6カ月、3歳の各健診とも実施率 は全国的に向上してきた。しかし、健診の質的側面をみると、診断・発達のための専門スタッフ 不足、アンケート方式や医療機関委託の形態が多いという問題がある。また、受診率や障害の把 握率が自治体によって差があり、全国的にはまだ早期発見システムが確立したとはいえない現状 にある。
乳幼児健診での障害の早期発見が進むと共に、障害乳幼児に対する療育・保育、ハイリスク児 に対する継続的な支援、保護者への援助等の早期対応のための体制づくりも前進してきた。自治 体によっては保健所、医療、福祉、療育、保育などの各機関が連携して総合的な発達保障システ
*非常勤講師
ムやネットワークを実現しているところもある。しかし、就学前障害児教育の保障は、学齢期の ように制度的に保障されていないといった問題がある。障害児教育制度は、まだ、多くの改善す べき点はあるにせよ、教育にかかわる根幹において制度的に保障され、全国的にはぼ同一水準に 到達しているとみることができる。就学前障害乳幼児に対する国の制度は貧弱で、各々の地域・
自治体にまかされているため、住んでいる地域によって利用できる施策に大きな差が生じてきて いる。
こうした現状にあって、1994年6月に地域保健のあり方についての大きな見直しのなかで、地 域保健法、母子保健法の改定が行われた。そして、3歳児健診等の基本的な母子保健事業の実施 主体が、都道府県から市町村へ一元化された。実施を義務とする乳幼児健診について、これまで の3歳児健診に1歳6カ月児の健診を加えたが、乳児期の健診は今回も義務づけられず首長の任 意とした。そして、それらの健診を、「民間委託することができる」としている。この母子保健
法は1997年4月から施行されている。
そこで奈良県における、乳幼児健診とそれに続く療育などの早期対応がどのように実施されて いるのか、また、今回の地域保健法、母子保健法の改定(1994年4月施行)によってどのような 変更や問題が生じているのかについてアンケートによる実態調査を実施し、奈良県における乳幼 児健診と早期対応の現状を明らかにし、今後の課題について考察を試みた。
2.方 法
1997年7月に下記調査対象に対して調査票を送付し回答を依頼した。
1)母子保健事業の動向に関する実態調査 調査対象:奈良県47市町村母子保健事業担当係
調査項目:①人口、年間出生数 ②乳幼児健診体系(健診時期、実施形態・回数、受診率、
スタッフ、健診内容・項目、フォロー基準・方法、末受診児対策)(診母子保健法の改定 に伴う乳幼児健診の変更内容 ④県保健所との連携 ⑤自治体が実施している母子保健教 室の実施状況(名称、目的、対象児年齢、実施回数、スタッフ、内容、教室終了後のフォ ロー) ⑥自治体の母子保健事業における今後の課題
2)障害児通園施設・通園事業の実態調査
調査対象:障害児通園施設(4園)および通園事業(5園)の実施機関
調査項目:①施設の状況(名称、設置主体、定員、実施回数・時間) ②在籍児の状況(年 齢、人数、障害種別、在園期間、入園前の状況) ③職員構成
なお、回答があったのは、1)31市町村(回収率、66%),2)障害児通園施設3園(回収率、
75%),通園事業4園(回収率、80%)であった。
3.母子保健法改定後の奈良県における乳幼児健診・早期対応の現状と課題
母子保健法改定後の奈良県における乳幼児健診および早期対応の現状について、結論を先に指 摘すると、十分な人的、財政的な準備もなく国の公的責任を縮小した機械的な市町村への移管の 中で、各自治体の関係者は、今まで積み上げてきた母子保健対策を維持・発展させていくよう努 力しているといった現状にある。乳幼児健診の実施状況は、表1、2に示すとおりである。乳児 前期は、回答のあった31市町村すべてが健診として3、4カ月時に実施している。後期では、9、
10カ月時に実施している市町村が多いが、健診として実施しているのは31市町村のうち半数で、
表1健診実施状況 その1−乳児前期・後期
市 町 村 1996年度 人 口 (〟
乳 児 前 期 乳 児 後 期
備 考 実 施 形 態 平均受 診率
(%)
ス タ ッ フ (人 ) 実 施 形 態 平均受診率
(%)
ス タ ッ フ (人 ) 健 相 集 個 回 / 隼
人 / 回
小 そ 保 育 栄 歯 歯 心 そ
芭 健 護 養 硝 薫 の 健 相 集 個 回 / 隼 人 / 回
小 そ 保 者 栄 歯 歯 心 そ 迂 健 護 養 調 整 の 出生数 の 診 談
団 別
要フォロトー率 . . 団 別
要フォロー率
(印 (和 (%) 師 師 娼 婦 士 師 士 風 他 月) (月 (%) 師 師 婦 婦 土 師 士 且 他
奈 良 市 362 136 3 190
● 4
● ●
7 ・8
● 14
60 80.2
33.0 0 0 7 0 1 0 0 0 1 天 理 市 71 3 91
8 30
● 4
● 14
60 81.0
1 0 5 2 1 0 0 0 0 ● 10
● 14
60 81.0 1 0 5 2 1 0 0 0 0 生 駒 市 110 6 31
9 60
● 3
● 92,8
52,4
● 7
● 94.9
42.1
4舶 2鯛 臓 12カ月鵬 1膨 鶏 橿 原 市 123 377
1 382
● 4
● 82.0
13,0
● 10
● 8 1.0
8.0 桜 井 市 64 606
6 87
● 4
● 24
30 90.1
19.0 1 0 4 2 0 0 0 0 1 ● 10
● 24
30 74 .0
25.0 0 1 4 2 0 0 2 0 0 大和高田市 76 200
9 30
● 4
● 24
35 89.2
19.5 1 0 6 1 1 0 0 0 1 ● 10
● 12
60 80.0
0 0 4 0 1 0 0 0 1
香 芝 市 58 147 ● ● 12 96.1 \ / 11 2 2 0 0 0 0 ● ● 12 93 .8 \ / 1 1 2 2 0 1 0 1 乳 児 相 談 実
6 19 4 46 42.1 1 8 49 6.0 1 施
五 條 市 37 0 39 ● ● 12 99.0
1 0 4 2 0 0 0 0 0 ● ● 12 85.7
1 0 4 2 2 0 0 0 1 7 ・12 カ月児
2 68 4 25 10.0 10 25 10.0 相談 実施
平 群 町 20 7 94 132
● 3 ・4
● 12
20 88.0
36.2 0 2 4 2 2 0 0 0 1 ● 6 −12
● 6
40 0 0 4 2 2 0 1 0 1 三 郷 町 23 3 79
24 6
● 3
● 6
36 93,2
14.0 0 1 8 1 0 0 0 0 0 ● 9
6
33 0 1 8 1 0 0 0 0 0 6 ・12 カ月児 健診実 施
斑 鳩 町 28 4 05 ● ● 6 80.0
1 1 6 2 1 0 0 0 4 ● ● 6 70.0
1 1 6 2 1 0 0 0 4 5 ・6 カ 月児
2 46 3 ・4 50 33.0 9 ・10 50 20.0 相 談実施
安 堵 町 9 0 13 ● ● 6 85_3
1 0 ト=弔 1 0 0 0 1 ● ● 6 71.3
1 0 4 2 1 0 0 0 1 6 ・7 カ月児
98 3 ・4 14 〜 18 44.0 9 ・10 15〜 20 20.9 相談 実施
川 西 町 10 0 24 78
● 4
● 6
10〜 15 96.9
34.4 1 0 4 2 1 0 0 0 1 三 宅 町 8 4 10
63
● ● 4
60 90.4
41.0 0 1 ト5 1 1 0 1 0 1 ● 乳 児
● 12
70 94 .7
35.9 0 0 ト5 1 1 0 1 0 1 田原本町 33 3 50
2 98
● 4 ・5
● 12
25 78.0
43.0 0 1 ト5 2 1 0 0 0 0 ● 10
● 12
25〜 30 8 1.0
27 .0 0 0 ト5 2 1 0 1 0 0
高 取 町 8 2 87 ● ● 6 90.9 \ / 4 1 1 1 1 0 1 ● ● 6 94 .1 \ / 4 1 1 1 1 0 1 4 〜 12 カ 月
49 4 6 9 .1 1 10 9 22 .2 1 児相 談実施
大宇陀町 9 6 82 ● ● 12 83.3
1 0 4 1 1 0 0 0 0 ● ● 12 56 .0
1 0 4 1 1 0 0 0 0 7 カ 月 児 健
53 4 5 8.0 10 10 7.2 診実 施
菟田野町 5 375 34
● 4 ・5
● 6
5 ノー 6 72.2
0 0 1 3 1 1 0 1 0 0 ● 10 ・11
● 6
7 78 .0
0 0 1 3 1 1 0 1 0 0 榛 原 町 20 5 22
129
● 4 ・5
● 6 13 ′、r14
83,6
17.0 0 1 5 1 1 0 1 0 0 ● 9 ・10
● 6
17 89 .4
7.8 0 0 5 1 1 0 1 0 1 新 庄 町 19 584
18 5
● 4
● 12
40 76.0
14.0 0 2 4 2 1 0 1 0 0 ● 乳 児
● 12
15 0 0 2 0 0 0 0 0 0 上 牧 町 24 54 5
24 2
● 4 ・5
● 6
43 92.8
42.1 0 1 4 1 1 0 0 0 0 ● 乳 児
● 24
0 0 4 1 1 0 0 0 0 王 寺 町 24 0 00
2 42
● 4
● 12
19 99.0
28.0 0 1 4 4 4 0 0 0 1 ● 10
● 12
18 93 .4 10 .6
広 陵 町 30 119 ● ● 12 98.0
1 0 7 1 2 0 0 0 2 ● ● 12 97 .0
0 0 7 1 1 0 0 0 2 12 カ月 児 相
2 42 4 30 13.0 7 30 ユ0.0 讃 実施
河 合 町 20 5 01 14 4
● 3 ・4
● 6
33 91.0
10.0 1 0 5 2 1 0 0 0 3 ● 4 ・・12
● 12
25 0 0 5 0 1 0 0 0 0
吉 野 町 12 6 82 ● ● 12 73.3 0 1 4 1 1 0 1 0 1 ● ● 12 74 .0
0 1 4 1 1 0 1 0 1 7 カ 月 児 健
68 4 3 〜 6 10,9 10 3 ′〜 12 12 .0 診実 施
大 淀 町 20 762 159
● 4
● 6
30 75.0
12.5 1 0 5 2 1 0 0 0 1 ● 10
● 6
30 80 .0
1 5.9 1 0 5 2 1 0 1 0 1 下 市 町 9 287
61
● 3 ・U5
● 6
10′−13
91.4 1 0 5 3 2 0 1 0 1 ● 9 ・レ11
● 6
9 〜 18
8 1.8 1 0 5 3 2 0 1 0 1
月 ヶ瀬村 2 0 00 ● ● 3 100.0
1 0 2 1 1 0 0 0 1 ● ● 3 10 0.0
1 0 2 1 1 1 1 0 1 6 ・7 カ月児
10 3 へ4 2 〜 3 6.0 9 ハYlO 4 〜 5 6 .0 健診 実施
大 塔 村 7 74 6
● 4
● 4
1 〜 3 100.0
0 0 0 2 1 1 1 1 0 0 ● 10
● 4
1 〜 3 75 .0
0 0 2 1 1 1 1 0 0 十津川村 5 237
42
● 3 ・vl2
● 3
32
78.0 1 0 3、40 1 1 1 0 1 ● 3 ′、1 2
● 3
3 2
78 ,0 1 0 34 0 1 1 1 0 1
川 上 村 3 0 33 7
● 3 A′17
● 4
20 77.0
11.0 0 1 2 2 1 0 1 0 0 ● 3 ′−17
● 4
20 7 7.0
1 1.0 0 1 2 2 1 0 1 0 1
注1)奈良県47市町村中、アンケートの回答があった31市町村の実施状況を編載 注2)−は不明。
表2 健診実施状況 その2 −1歳6カ月児・3歳児
市 町 村
1 歳 6 カ 月 児 童 3 歳 児
備 考 実 施 形 態 平均受診率
(%)
ス タ ッフ (人 ) 実 施 形 態 平均受診率
(%)
ス タ ッ フ (人 )
: i: 回 / 隼
人 / 回
小 そ 保 看 栄 歯 歯 心 そ 児 の
科 他 健 護 養 絹 至 の 医 医
: i: 回 / 隼
人 / 回
小 そ 保 看 栄 歯 歯 心 そ 科 他 健 護 養 絹 翌 の 児 の
医 医
要フォロー率 要フォロー率
(%) 師 師 婦 婦 士 師 王 員 他 (%) 師 師 婦 婦 士 師 士 風 他
奈 良 市 ● 48
60〜 70 86.3
23.3 2 0 8 3 1 0 1 0 1 ● 43
60 〜 70 76 .0 2 0 8 4 1 1 0 0 0
天 理 市 ● 15 87.0
1 0 6 3 1 1 1 1 1 ● 15 87.0
1 0 6 3 1 1 1 1 0
生 駒 市 ● 92.0
35,9
● 1 歳 6 カ月 ・3 歳 児相談
市 窯診セ ンターで実 施
植 原 市 ●
● 24 5 0〜 60
90 .0
12 .0 0 0 6 0 2 1 2 1 0 ● ● 24 50′−6 0
78.0
11,0 0 0 6 0 2 1 2 1 0 1歳 6 カ月児・3 歳 腸 ナ
桜 井 市 ● 24
30 87 .2
39 .9 0 1 4 2 1 1 2 0 1 ● 24 29
86.0
16.2 0 1 5 3 1 1 2 0 1
大和高田市● 12
74 90 .0
15 .6 2 0 10 5 1 2 4 0 2 ● 12 67′〜97
88.0
23.0 2 0 10 5 1 2 3 1 4 香 芝 市 ● 12 98 .8 \ / 11 2 1 1 2 0 1 ● 12 87,8 \ / 12 2 1 1 2 0 1
51 43 .9 1 67 29,9 1
五 條 市 ● 12
25 90 .9
20 .0 0 2 4 3 2 2 3 0 1 ● 12 30
90.0
20.0 0 2 3 3 2 2 3 0 1
平 群 町 ● 4
4 0 88 .0
26 ,5 2 0 5 2 1 1 3 1 1 ● 3 50
80.0
2 .1 0 2 5 3 1 1 2 1 1
三 郷 町 ● 5
50 84 .3
19 .7 1 0 8 1 1 0 1 0 0 ● 5 50
79.6
3 .4 1 0 8 1 1 0 1 0 0
斑 鳩 町 ● 6
50 80 .0
30 .0 0 2 6 3 1 1 1 1 4 ● 6 50
70.0
40,0 0 2 6 3 1 0 0 1 4
安 堵 町 ● 4
22 ′−25 92 .3
32 .0 1 0 ト5 3 1 1 1 0 1 ● 3 30〜 34
89,4 20.0
1 0 1ト 5 3 1 1 1 0 1
川 西 町 ● 4
19 89 .5
29 .4 1 0 4 2 1 1 1 0 2 ● 3 29
69.0
30.0 0 1 5 2 2 1 2 0 2
三 宅 町 ● 4
15− 20 83 ,6
29 .7 0 1 ト6 1 1 1 1 0 1 ● 4 15〜 20
75.8 18.8
0 1 ト 6 1 1 1 1 0 1
田原本町 ● 10
30 87 ,9
11.9 0 1 5 2 1 1 1 1 0 ● 12 39
8 6.4
2 2.0 1 0 6 2 1 1 1 0 0
高 取 町 ● 6 95.6 \ / 4 1 1 1 1 0 1 ● 3 8 8,2 \ / 4 0 1 1 1 0 1
10 9.1 1 15 13.3 1
大宇陀町 ● 4
18〜 19 81,8
14.8 0 1 4 1 1 1 1 0 0 ● 3 27
74 .4
24 .6 0 1 7 0 1 1 1 0 1
菟田野町 ● 4
9 85,0
11,8 0 1 3 1 1 1 1 0 0 ● 4 14
64 .3
11.1 0 1 3 1 1 1 1 0 0
榛 原 町 ● 6 88,9
14.1 0 1 5 1 1 1 1 0 1 ● 4 3 7
78 .4
20 .7 0 1 6 1 1 1 1 0 1
新 庄 町 ● 4
46 86,5
11.0 0 2 4 2 1 1 1 0. 3 ● 4 46
8 3.0
3.2 0 2 4 2 1 1 1 0 3
上 牧 町 ● 6
40 85.7
13,9 0 1 4 1 1 1 1 0 0 ● 12 23
7 2.7
19.7 0 1 4 1 1 1 1 0 1
王 寺 町 ● 8
25〜 3 0 87,0
31,0 0 1 卜5 1 1 1 2 0 1 ● 8 25 〜 30
7 3.8 3 2.3
0 1 卜 5 2 1 1 2 0 1
広 陵 町 河 合 町 吉 野 町
●
●
● 6 50〜 6 0
4 30〜 40
4 15
98.0 20.0 95.0 25.0 95.0 7 0
1 0 7 1 1 1 3 1 3
1 0 4 1 1 1 1 0 1
●
●
● 6 50 〜 60
4 30 ノー40
4 15
90 .0 2 5,0 6 1.3 3 .0 95 ,0 7 0
1 0 8 1 1 1 2 1 3
1 0 4 2 1 1 1 0 1
大 淀 町 ● 6
30 75,0
36 4 1 0 5 3 1 1 3 0 1 ● 6 30
6 1.0
25.0 1 0 5 2 1 1 1 0 0
下 市 町 ● 4
12′、′13 97.2
0 1 4 2 1 1 2 0 0 ● 3 20 〜 23
79.2
0 1 5 2 1 1 1 0 0
月ヶ瀬村● 3
7 〜 8 100 .0
11 0 1 0 2 1 1 1 1 0 1 ● 3 5 〜 6
100.0
11 0 1 0 2 1 1 1 1 0 1
大 塔 村 ● 4
1 〜 2
100 .0 0 0 2 1 1 1 1 0 0 ● 4 0 ′、′1
100.0 0 0 2 1 1 1 1 0 0
憎 川村 ● 3
14 79 .0
1 0 34 1 1 1 0 0 1 ● 3 14
93.0 1 0 3ノ、4 0 1 1 1 0 1
川 上 村 ● 4
8
79 .0
8 .0 0 1 2 0 1 1 2 0 0 ● 2 7
85.0 0 1 2 2 1 1 1 0 0
注1)奈良県47市町村中、アンケートの回答があった31市町村の実施状況を掲載 注2)−は不明。
その他の市町村は相談事業として実施している。健診形態は、集団健診が中心であるものの、前 期は奈良市、生駒市、橿原市が、後期は生駒市と橿原市が個別健診として医療機関に委託してい る。受診率は前期70〜90%台、後期50〜90%台と各市町村により差がみられている。また、スタッ フの構成は、前・後期とも医師、保健婦、看護婦が中心となり、栄養士、歯科衛生士が参加して いる市町村もある。医師は31市町村中の半数は小児科医師であるが、残りの半数は内科医師等が 健診に携わっているといった現状である。
1歳6カ月児健診は、大多数の市町村が集団健診として実施している。しかし、生駒市は個別 健診として医療機関に委託、橿原市は集団健診を実施しているが内科的健診のみ医療機関に委託
している。受診率は各市町村で差はあるが80〜90%前後のところが多い。スタッフは、医師、保 健婦、看護婦、栄養士、歯科医師、歯科衛生士で構成されている。しかし、小児科医師の参加は 半数にも満たないのが現状である。また、6市町村では、集団健診の場に心理判定員が参加して いる。1988年度に2市町村で1歳6カ月児健診時に心理判定員が参加して以降、その他の市町村 でもその必要性が唱えられ徐々に増加してきている。そして、事後指導の場として各市町村が独 自に発達相談や育児教室を事業として位置づけるなか、現在18市町村で心理判定員(常勤1市町 村・非常勤17市町村)が仕事に携わっている。3歳児健診は、1997年度より新しく市町村が実施 主体となっている。実施形態、回数、スタッフの構成等は1歳6カ月児健診と同じであるが、受 診率は乳児、1歳6カ月児健診に比して低い市町村が多い。
早期対応としては、乳児期における経過観察を要する児の内訳の主たるものは、股関節脱臼、
体重増加不良、運動機能発達、精神発達の経過観察である。保健婦による家庭訪問指導、保健所 でのフォロー、市町村によっては専門医(小児科・整形外科)による診察、発達検査の実施等に よって経過観察し、専門的検査、治療を要する乳児については専門の医療機関であるリハビリテー ションセンター等を紹介している。1歳6カ月児健診後経過観察を要する児は、20〜40%と市町 村によって差がある。その内訳は、各市町村ともに精神発達面のフォローが中心である。経過観 察を要する児は保健婦が家庭訪問を2歳時点またはそれ以前に行い、さらに必要に応じて心理判 定員による発達相談や育児教室への勧奨および専門機関(医療・療育)への紹介を行っている。
また、1歳6カ月児健診の事後指導の場として、各市町村が独自に育児教室を開催しているとこ ろが年々増加してしており、現在20以上の市町村で実施されている(表3)。遊びやグループワー クを通して子どもの発達を理解し、子どもとの関わりを学び、健全な母子関係を育成することを 目的としている。さらには、子育て支援として、子育ての危機といわれる現在、孤独に悩みなが ら、人とふれあいたい、手をっなぎたいと願う母親たちが自主的に集まってグループ活動を行う
「子育てサークル」活動の育成をしている市町村も増えている。健診の時期や健診の実施回数・
内容、健診後の経過観察児としてフォローする基準、障害・発達の遅れのある幼児を対象とした 親子教室の実施状況などについても各自治体のもつ社会的資源およびその活用状況の差に起因す ると考えられる様々な違いがあるといった状況である。こうした状況のなかで各自治体は健診体 制の整備、地域での子育て支援体制作り、療育システム作りなどに前向きに取り組んでいるといっ た現状にあるといえる。
乳幼児健診は、すべての子どもの健康と発達を守り、母親がより豊かな子育てができるように 援助していくためのものである。奈良県の場合、まだ、様々な問題を抱えており障害の発見もれ、
発見の遅れなどの事例も認められている。障害の発見もれをなくすためには、健診の個別通知に よる全数把握の方向での取り組みが大切であり、専門スタッフの配置も重要である。まず、乳幼
表3 子育て支援・健診事後指導のための教室の実施状況
C A 市 町村
0 :3 0 :6 0 :9 1 :0 1 :6 2 :0 2 :6 3 :0 3 :6 4 :0 4 :6 5 :0 5 :6 6 :0 ( 就 学 )
l I l l l 】 l l l l i l i l l l l l 1 1 1 1
奈 良 市 l
l きしゃぽっぽ教室 生 駒 市 」 」 し _ 」
すこやか育児教室 なかよし教室
橿 原 市 l l 5 カ月児子育てセミナー 母子と子のふれあい教室 l
桜 井 市 」_ 」
なかよ し教室
大和 高 田市 】 l
l コアラ教室 l
香 芝 市
l l l す 。す;教室 どんぐり教室 l ゎんば;教室
五 條 市 l 】
1 きりん教室 i 平 群 町
ハムスターズファミリー l l
題 題 l す くす く学級 1 1 子育 て教室 1
三 郷 町
l
− むすんでひらいて教室 − 育児教室 一 一
l なかよし教室
斑 鳩 町 し 」 l l
子育てサークルす くすくクラブ ー 子育て教室 −
安 堵 町 」 」
こあらっこ教室 川 西 町 l l
1 8 a by ク ラブ l
三 宅 町
l l ピヨピヨクラブ
I 1 、 ゎんぱ くキッズ l なかよ しキ ッズ
田 原 本 町 l J
1 っ くしんぼ・たんばぼ教室 l ひまわり教室
高 取 町 I ふれあい交流会
大 宇 陀 町
l
一 子育て講座 :
1 ふれあいの広場 I
菟 田 野 町 l 『 巧 盲面 1
榛 原 町 l
l カ ンガル−教室
上 牧 町
l l
1 育児教室 I l ポ ピンズ教室
l l っ くしっこ教室
王 寺 町 i l
1 ぅさぎさんの集 い l 広 陵 町
」_ − 」 なかよしサークル 竹の子おうな教室
河 合 町 表音吉元表 [1 歳お誕生教室 l ゎんぱ く教室 l
吉 野 町 l
育児 サークル l
大 淀 町 ]
コアラの広場
下 市 町 l
育児教室 l
川 上 町 のび っこ教 室
児健診における「4つのもれをゼロに」−実施もれ/受診もれ/発見もれ/対応もれ−をめざし た健診システムを確立する課題がある。
さらに、乳幼児健診にかかわる重要な課題として、健診の系統性に関する問題がある。いま実 施されているそれぞれの健診が独立単独なものでなく、乳幼児の発達の流れの中で捉えられるべ きものである。奈良県の現状として、3歳児健診が市町村に移管されるなか、乳児期からの一貫 した健診システム作りを実施し始めている市町村もあるが、まだ、乳幼児の発達の流れの中で子 どもを捉えるといったフォロー体制が取りにくく、その時点での「点」として見てしまいがちに なっている。一人の子どもの乳児期から就学までを一貫してフォローできる体制作りが必要であ る。特に、自閉性障害や重度の知的障害などを早期に発見し、0、1歳から早期療育につなげて いくためには、乳児後期、とりわけ、10カ月児健診を充実させることが必要である。乳児期に障 害を発見して治療や発達援助を行いながら、その効果を発達的にも評価しつつ、幼児期前半の対 策を決めていくために1歳6カ月児健診があり、幼児期後半の対策を決めていくために3歳児健 診があるのである。
そして、そうした系統的・総合的な取り組みを行っていくためにも、専門職によるチームワー クの形成、各機関の有機的連携と自治体レベルでのネットワークの形成がますます重要になって きている。母子保健法改定にともない奈良県47市町村では、多様化した母子保健ニーズの対応と 新たな母子保健事業を総合的に推進していくために、1997年度より5カ年計画で「母子保健計画」
を策定し実施している。たとえば、奈良市ではすべての子どもが健やかに成長することのできる 地域社会の実現をめざし、保健、医療、福祉、教育等の各分野が連携し住民とともに進めていこ
うとする「子育て支援計画」をうち出している。また、筆者らが事業に参加している田原本町で は、「すこやか子どもプラン」をうち出し実施している。
しかし、奈良県における早期発見・早期対応にかかわる分野・機関でのネットワークは立ち遅 れているといわざるを得ない現状にある。障害や発達の遅れのある子どもとその家族が抱える問 題は多岐にわたっている。一分野、一機関、一職種では解決が困難である。求められる対応のレ ベルが高度になればなるほど他分野・機関・職種とのネットワークによる連携がより必要になっ てくる。
一方では 出生数の低下、核家族化の進行や都市化、女性の社会進出等によって、子どもを生 み育てる環境は大きく変化してきている。これにともない、乳幼児健診・相談の場での親の悩み や子どものもっ問題も変化してきている。「一緒に遊ぶ友だちがいない」、「集団に入っていけな い」、「育児の相談相手が身近かにいない」等が深刻な悩みになってきている。子育ての危機とい われる昨今にあって、健診の場が「発見の場」としてだけに終わることなく、母親と子育てを一 緒に考えていく場、「早期療育の場」といった役割を担っていくことが重要になってきているの である。
障害や発達に応じた療育・保育の保障、経過観察児のフォロー、保護者への子育て援助など、
きめ細やかな早期対応を保障していかなければならない。そして、健診をとおして、母子保健か ら児童福祉や社会教育関係者も含めた取り組みへと広げていくことを見とおしつつ、その中に障 害乳幼児の療育へという流れを地域の中で作り出していくことが期待されるのである。
4.就学前障害児保育・療育
乳幼児健診を中心として、乳幼児期の障害の早期発見体制が徐々に整備されるにつれ、これに
っながる保育・療育の場が問題になってきている。早期対応は、その子どもが将来にわたってど のように発達していくかという基本的問題とかかわる大切な意味をもっている。障害乳幼児のた めの保育・療育は、保育所・幼稚園、障害児通園施設・通園事業、障害児学校幼稚部などで進め られているが、本稿では、障害児通園施設・通園事業での障害児療育の現状と課題について検討 を行いたい。
児童福祉法に定められている就学前の障害乳幼児を対象とする障害児通園施設には、精神薄弱 児通園施設(以下、知的障害児通園施設)、肢体不自由児通園施設、難聴幼児通園施設の3種類 がある。通園施設と並んで障害乳幼児の療育保障のために大きな役割を果たしている施設に障害 児通園事業がある。通園事業は、通園施設のない地域や、比較的人口の少ない自治体で大きな役 割を果たしている。心身障害児総合通園センター(以下、総合通園センター)は、早期発見・早 期療育体制の充実を図ることを目的として、1979年に厚生省児童家庭局通知によって制度化され たものである。制度化の当初は、実施主体は都道府県、政令市または人口30万人以上の市で、障 害に関する相談・検査部門と療育訓練部門をもち、療育訓練部門には知的障害児通園施設、肢体 不自由児通園施設、難聴幼児通園施設の3種類を設置するものとされていた。しかし、設置数が 増えないため、条件の見直しが行われ、1993年からは、実施主体の「人口30万人以上の市」が
「人口おおむね20万人以上の市」に、また、療育訓練部門は「2種類以上の通園施設」にと変更 されている。現在、総合通園センターは、奈良県をはじめ全国で12カ所設置されている。
表4に、1994年10月1日現在の通園施設およ 表4 障害児対象の通園施設・通園事業の現状 び通園事業数を示してある。通園施設の数は、 (1994年10月1日現在)
1980年代以降ほとんど増えていない。さらに施 施設数 定 員 設が地域的に偏在しているといった問題がある。
一方、通園事業は、現在、全国に300カ所近く 精神薄弱児通園施設 222 8,149 あり、これは通園施設の増設がみられなくなっ 肢体不自由児通園施設 79 3,260 た1980年代以降も徐々に増えてきている。1974
年に知的障害児通園施設の対象に関する規定が 難聴幼児通園施設 26 860 撤廃されたが、現在、在籍数の年齢構成では 心身障害児通園事業 292 5,840
「就学前の幼児のみ」の施設割合は87%と高率
で、在籍児の97%を6歳までの幼児で占めてい(総理府編『障害児白書平成7年度版』より引用)
る現状にある1)。
奈良県の法内通園施設は表5に示した、3種類4施設である。仔鹿園は定員50人の知的障害児 通園施設である。総合通園センターは、知的障害児・肢体不自由児・難聴幼児の通園施設があり、
定員はそれぞれ30人、40人、30人である。県内の通園施設の定員は150人であるので障害をもっ 表5 県内の心身障害児通園施設
(1997年10月1日現在)
施設の名称 施 設 の 種 別 所在地 定員(人) 在籍児数(人)
仔鹿園 知的障害児通園施設 奈良市 50 49 心身障害児 知的障害児通園施設 30 30 総合通園センター 肢体不自由児通園施設 田原本町 40 33 難聴幼児通園施設 30 16
大部分の子どもたちは通園施設で の療育は受けられない現状にある。
また、通園施設は県の北部・中部 に設置されているが、通園区域は 県内全域であるため、総合通園セ ンターの場合、登園に車で2時間 30分もかかる子どももいる。
施設の対象児童は就学前幼児で ある。1988年6月まで肢体不自由 児通園施設がなかったっことによ り、仔鹿園には早くから肢体不自 由児が入園している。同園におけ る在籍児の障害の内訳は、精神発 達遅滞52%、肢体不自由26%、自 閉性障害16%、言語発達遅滞6%
となっている2)。
総合通園センターにおける在籍 児の年齢構成を表6に示した。2 歳から4歳の子どもが全体の80%
で、5・6歳児は少なくなってい る。これは、就学前に地域の幼稚 園や保育所に転園していくためで ある。障害の程度が垂かったり、
重複している子どもはほとんどが
表6 心身障害児総合通園センターにおける在籍児の年 齢構成(人)
(1997年10月1日現在)
肢体不自由児 知的障害児 難聴幼児 通園施設 通園施設 通園施設 計 歳
歳 歳 歳 歳 歳
1 2 3 4 5 e U
3 00 10 5 5 2 0 0 11 13 5 1 3 17 28 18 10 3
計
表7 心身障害児総合通園センターにおける新入園児の入園時にお ける年齢構成(人)
(1990年度・1996年度)
肢体不自由児 知的障害児 難聴幼児 計 通園施設 通園施設 通園施設
1990年度1996年度1990年度1996年度1990年度1996年度1990年度1996年度
8 4 1 0 0 0
9 5 4 1 0 1
歳 歳 歳 歳 歳 歳
l n
∠ 3 4 5 6
0 1 16 1 0 0
1 8 5 4 0 0 1 12 2 0 0 01 2 0 0 1 0 9 17 19 1 0 011 11 9 5 1 1
計 20 13 18 18 4 15 42 46 就学まで在園している。通園施設に入園する年齢は以前に比べ低下している(表7)。ほとんど の子どもが3歳までに入園している背景には乳幼児健診の充実が考えられる。
職員配置は、知的障害児通園施設・難聴幼児通園施設では児童4人につき職員(保母・児童指 導員)1人となっており、難聴幼児通園施設では、聴能言語訓練士も含んだ割合となっている。
肢体不自由児通園施設は医療法に定められている診療所を設置しなければならず、医師、看護婦、
理学療法士(PT)、作業療法士(OT)等が配置され、職種は多いが、職員数についての基準 は定められていない。県内通園施設の職員構成と数を表8に示した。仔鹿園には肢体不自由児が 在籍しているが、現行制度では職種構成には限界があり、PTやOTを採用することは難しい状 況である。総合通園センターは総合通園となっており、職員の職種は多様であるが職員数は少な い。通園する子どもの低年齢化、障害の多様化、重度・重複が進むなか、ますます専門性が要求 されるようになっているが、こうした専門性への要求にこたえる職員配置にはなっておらず、必 要な医療・訓練的ケアが受けられない状況にあるといえる。
また、総合通園センターでは通園形態の問題がある。保母・指導員の数が決定的に少ないため、
全国的にも母子通園により、親が保育に入らないと運営できない実態におかれているところが多 くある(80%強の園で実施)1)。保護者との通園も「園と家庭の一貫した療育」、「母親に対する 指導援助」といったように意味があることではあるが、兄弟の処遇の問題も含めて家庭への負担
表8 奈良県における通園施設の職員構成(人)
職 員
通 園施設
施 指 保 医 心 言 作 理 看 ケ 事 栄 調 運 管 語 業 学 漂 スl
設 導 理 療 療 療 ・ ワ 務 養 理 転 理 法 法 法 蓮 去
長 員 母 師 士 士 士 士 婦 l 員 士 士 手 人 仔 鹿 園 常 勤 1 1 15 0 0 0 0 0 0 0 1 (1 ) 0 2 (1 )
非常勤 0 1 2 0 0 ′ 0 0 0 0 0 1 0 (2 ) 0 0 心 肢体不 自由児 常 勤 (1 ) 1 4 (1 )(1 )(2 )(2 )(4 ) 1 (2 ) (1 ) (1 )委 託 0 0 身
障 堂苑 総 ノゝ
通園施設 非常勤
知的障害児 常 勤
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
(1 ) 1 6 0 (1 )(2 ) 0 0 (1 )(2 ) (1 ) (1 )委 託 0 0 通□
園 セ タン
通園施設 非常勤
難聴幼児 常 勤
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
(1 ) 0 2 0 (1 )(2 ) 0 0 (1 )(2 ) (1 ) (1 )委 託 0 0 l 通園施設 非常勤 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 注)()は、兼務。
は大きく、いかに負担を減らしていくかが園の課題の一つになっている。職員の体制を充実させ、
単独通園や毎且通園(登園日が年齢や障害によって指定・限定されず毎日登園の形態になってい るのは、全国的に67%で、ここ数年減少する傾向にある)の条件を作っていくことが必要である。
そして、子どもと保護者の必要に応じて、母子通園や単独通園、毎日通園や限定通園等の多様な 形態の中から最も適切な形態を選択し得るようにすべきであろう。
通園施設を利用することが困難な地域に市町村(委託を認められている)が通園の場を設け、
指導・訓練を行うのが通園事業である。職員配置は、「利用定員20名に専任職員3名と委託医1 名」となっている。県内には表9に示した5カ所ある。障害種別の制限がないので利用しやすく、
これからも増えていくことが予想される。県内各施設とも5日間開園されているが、利用者が多 いため1日の利用定員を限定し、子ども1人については週2〜3回の通園としているところが多 いようである。幼稚園において障害児の加配職員がつかないため、個別に配慮した関わりができ にくいので、これらの施設において専門的な関わりを行うと位置づけている自治体もある。
通園事業では障害種別に制限がないので利用する子どもたちの障害は多様である。また、通園 施設の場合と同様に、障害の重度・重複児も多く含まれており、さらに、低年齢児が多くなって
いる。しかしこうした実態に対応できる条件になっておらず、少ない職員で個々の障害に対応し ていくことは困難な現状にある。通園事業が障害乳幼児のための療育・保育の場として重要な役 割を果たしているが、通園目数が限られていたり、療育時間が短かったり、食事や午睡のための 時間や空間が保障されていなかったり、といった不十分な実態にあるところが多いようである。
さらに、通園事業の抱える課題としては、通園事業は、「障害児のために法内通園施設を利用 することが困難な場合に補完的に実施されるもので」、「全市町村に共通に実施する義務はない」
という理由で、法内に国庫補助規定は設けられていないといった問題がある。通園事業は法定施 設ではないため、一片の通知で補助金額が変更されてしまうような極めて脆弱な財政基盤にある。
障害乳幼児施策のかなりの部分が法律によってではなく、「事業」で進められてきたこと自体、
表9 奈良県における障害児通園事業
名 称
設置主体
経営主体
年齢別園児数 (人) 障害の内訳 (人) 職員構成の 延通園数 (人)
対象児数 (人)
定 員
0 1 2 3 4 5 歳 歳 歳 歳 歳 歳
精 ダ 自 言 肢 そ
董 堀 の
滞 症 害 滞 由 他
保 心 緒 そ 理 判 導 の
㈹
児 児 児 児 児 児 定
母 員 員 他 92 93 94 95 96
み ど り 園
奈 良 市 奈良市社会 福祉協議会
60 0 4 20 25 13 7
\/ \/
2 2 34 3 10 3 0 1 0
− − − 3656 3091
か し の 木 園
橿 原 市
橿 原 市
30 0 2 7 12 20 18
\/
5 1 8 0 0 0 5 2
− − − 2886 2648
40 52 48 53 60
ク ロ ー バ ー 学 園
桜 井 市 桜井市社会 福祉協議会
10 0 0 2 1 5 2 3 0 2 4 0 1 2 0 0 1
24 1 227 229 226 228
6 7 9 7 9
ひまわ り学 園
香 芝 市 香芝市社会 福祉協議会
20 0 0 3 11 2 2 4 1 7 6 0 0 4 0 0 1
175 125 2 14 _ 231 238
35 2 1 13 8 18
め ば え 学 園
大和郡山市 大和郡山市社会 福祉協議会
30 4 0 0 1
32 13 4305 4695 4495 −
51 51 60 58 −
注)−は、不明。
大きな自治体間の格差を生み出す原因となっているのである。補助金で運営される通園事業は、
措置費で運営される通園施設や保育所に比して極めて不安定な立場にある。せめて通園施設と同 レベルの財政基盤の保障を、というのが関係者の切実な願いである。しかし、1995年度より突然 の国の補助金制度改悪で通園事業はその運営の危機にさらされている。
1995年12月の総理府障害対策推進本部が発表した「障害者プラン」では、地域での療育は通園 事業の増設で、重度・重複障害児をはじめとする療育を必要とする子どもの療育保障は通園施設 のセンター化によって対応することを打ち出している。早期発見・早期療育、重度・重複障害児 への対応を国が政策化しようとしたことは、一定程度評価できることである。しかし、真に早期 発見・早期療育、重度・重複障害児の療育を地域で保障していくにふさわしい体制を国が保障し ているとはいえないのもまた現実である。
1997年8月に、全国心身障害児通園事業連絡協議会が発足した。障害別の通園施設は全国的な 連絡組織があるが、通園事業の全国的な連絡組織は今までなかった。しっかりとした財政的裏付 けのない通園事業では大きな地域差があり、制度的な基盤も自治体によって違いがある。そんな 中で、全国通園事業連絡協議会は様々な通園事業の全国的な連絡会として発足した。障害者プラ ンや障害乳幼児のいちばん初めの療育の場としての地域療育計画など、今後の乳幼児の療育シス テムにとって大きな役割を果たすこと、また、施設運営や療育内容の研修・交流など職員にとっ
ても大きな連絡会になること、が期待されている。
5.おわりに
障害児通園施設・通園事業での療育活動が、乳幼児健診・相談活動とも連携しながら、保育所 や幼稚園での障害児保育と密接に関連し、就学までの一貫した療育を展開するといった乳幼児期 からの系統的で総合性のある取り組みが追求されなければならない。療育に関わる重要な課題と して、今日、療育の系統性と総合性を志向する療育システム論が展開されている。とくに、就学 前障害児の療育システムにおいては治療や訓練が保育と結合して実現できるような条件が必要で
ある。
未来に生きる子どもたちのすこやかな成長と発達は、すべての保護者、われわれの共通の願い である。子どもたちの発達の権利を守り、保障していくための研究・実践・運動をさらに発展さ せていかなければならない。
注
1)日本精神薄弱者愛護協会通園施設部会1997 「平成7年度全国精神薄弱児通園施設実態調 査報告書」
2)1997年度全国愛護協会職員研究大会資料