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雑誌名 教育実践研究指導センター研究紀要

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奈良教育大学学術リポジトリNEAR

K.Y君の6年間をふリ返って −障害をもつ子どもの 発達と授業内容−

著者 坂下 伸一

雑誌名 教育実践研究指導センター研究紀要

巻 5

ページ 129‑138

発行年 1996‑03‑31

URL http://hdl.handle.net/10105/4382

(2)

K.Y君の6年間をふリ返って

一障害をもっ子どもの発達と授業内容一

坂 下 伸 一

(附属小学校)

要旨:K.Y君は、奈良教育大学附属小学校障害児学級で6年間の教育を受けた。その中で、大 きく成長した子どものひとりである。K.Y君をとりまく仲間や家族の支えで成長したことは言 うまでもない。それと共に、学校の用意する教育内容が、K.Y君の成長に一定の役割を果たし たことも間違いない。ここでは、K.Y君の6年間の様子と授業内容を述べていくことで、一人 ひとりの子どもの発達に合わせた授業内容をどうっくりだしていくかを考えたい。また、授業内 容づくりをする上で、確認してきたことを、子どもの視点から見直してみたい。

キーワード:小学校6年間、授業内容 1.はじめに

奈良教育大学附属小学校(以下「本校」と略す)障害児学級では、これまで、授業内容づくり を進める上で、次のようなことを教師集団で確認してきた。

①子どもの身体や認識の発達に即する。

②子どもの障害や生活についても考慮する。

③文化・科学の系統に則ったものとする。

の3点である。実際の教科のあり方や授業づくりでは、

・子どもの発達段階や生活年齢を考えて、教科の設定期を決定する。

・集団で行い、仲間との関係を大事にして進める。

などを重視してきた。

本校障害児学級では、上記の視点から実践をし、総括してきたが、一人ひとりの子どもの発達 から見た時、授業内容が子どもに合っていたのかという吟味をこれまで十分にしてこなかった。

そこで、ここでは、K.Y君の6年間を振り返りながら、子どもの発達にそった授業内容をどう つくり出してきているのか、また、これまで授業内容づくりをする上で重視してきたことが、間 違ってはいなかったことを確認していきたい。ただし、K.Y君の記録をこの報告のためにと意 識して残してきたわけではないので、不十分な点はあるが、連絡帳(親と教師との)や日記、お 知らせ(学期ごとの授業内容と子どもの様子をかいた通知表)、検査の記録などからK.Y君の6 年間をふり返ることにした。

2.入学前の様子

本校の就学相談の中で、お母さんは、入学前のK.Y君の様子を次のように話された。「つわり

がひどく入院をした。陣痛をおこす薬ものんだが、出産時は特に変わったことはなかった。1才

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坂下 伸一

2ケ月ごろからことばが消え、表情も乏しくなった。1才半健診で障害があると言われる。走り まわることが多く、車の前にとびだすこともあった。ひとりでよく遊んでいた。3才の時、専門 機関で「自閉症」と診断される。同じころ、公立の保育所に入る。また、外へ出ても戻ってくる ようになり、人を探すようにもなった。保育所では、みんなの中にも入っていけるが、好きな友 だち2人だけで遊ぶことが多い。ボール遊びなどにはついていけない。話し合い活動はしんどい が、しなければ、がんばらなければという意識は強い。」

小学校入学にあたっては、障害児学級か通常学級か迷ったようだが、両親はその時の考えを、

入学してからの親の文集『子育ての記』に次のように書かれた。「公立の保育所に3年間、入所 時には言葉がなかったYが、友達のする事を見、自分もしたいという気持ちがでて、言葉の獲得 できた時の自信もっいてきました。でも、その反面、ひとりでやれることまで、みんなが手伝っ てくれるのに甘んじていたり、お客様的存在やYには高すぎる課題がきになっていました。いろ いろな方とお話をしていく中で、今のYに合った少人数の集団で学習できる主体性のある学習環 境と学校へ行くのが毎日楽しいことを、小学校を選ぶ上で大事なこととし、結局、顔見知りのな い奈良へ(本校入学前は、東大阪に住んでいた)放課後の友達との遊びの確保は親がなんとかす ることで、19クラス(本校障害児学級のこと)への入学をきめました。」

本校の入学前の検査の中で、K.Y君は、2〜3語文で話し、日常的なことなら言われている ことをほぼ理解できていた。ただ、話をする時に相手の顔から目をそらしたり、絵を描くより、

数字に興味をもち、それを紙にいっぱい書くなど、自閉的な傾向を示した。自分の名前なら文字 で書くこともできていた。

3.1年生の時の様子

F連絡帳より

・4月12日一お母さんから一

昨晩から、やはり少し緊張していた様子で、今朝も学校に着くまで車の中でも、落ちつか ない感じでした。見ている方もあんなに大勢の人達が集まって下さっている中で、無事式の 問、じっとしていられるか不安でたまりませんでしたが、皆さんに暖かく迎えられたという ことが、本人にもわかったのだと思いますが、おかげ様で、上手に小学校生活のスタートを きれたようです。

・4月22日一担任から一

「きのう、おとうさんとすもうした。しんおおみやで。おとうさんつよい。おとうさんた んじょうびした。ケーキ。バーエキューのかった。でんきやさん。」(朝の会で昨日のことを 話したときに言ったこと。お父さんとすもうしたこと以外は2〜3週間前の話だった。)

・5月15日一担任から一

絵本、いっもよくみて反応しているのですが、今日は「こぶとりじいさん」の紙芝居を入 れたところ、急に目をそらし、ねころんだり両手を上げて気をそらし始めました。時々は見

るのですが、ストーリーを追っている様子はありません。やっぱりまだ難しいようです。

・6月19日一担任から−

「かたっむりのでんちゃん」の絵本を読んでもらいました。てんとう虫がでてくるとかぶ

とむし、ありはごきぶり、ちょうちょははちと答えています。

(4)

K.Y君の6年間をふり返って

・11月15日−お母さんから一

毎H乗るはずのバスに乗れないと、すぐ涙ぐみ、坂に小学生が少ないと「ぉくれる」「お そい」「みんなもうきてる」何度も聞きます。

・12月11日一担任から−

体育で大縄をしました。大波、小波です。はじめは先牛と手をつないでしました。次はひ とりでしました。だんだん座りこまないように教えてもらって10回程いけるようになりま

した。

・12月13日一お母さんから一

「ぼくできるから、なわとびやろ!」これまで、なかなか言ってもわからなかったのに、

どうしたら、とべるようになったのでしょうか?

・2月6日−担任から−

「ねつがありました−」と言いかけて涙ぐみ、つまって言えなくなりました。やっぱりよ ほどくやしかった様ですね。みんなが、一言ずっ報告するとよけいにつのってティッシュを 目にあてて「こんどスキーにいきたい。」と泣きながら言いました。(雪遊びの行事にかぜで 参加できなかった。)

・2月13日−お母さんから一

鼻の医者へ2人で行きました。待っている間、「今日は何勉強したの?」「ずこう」「何か つくったの?」「ちがうよ。絵をかいて色をぬったよ。ぼく、明日日直さん、はやく学校へ いくから」「小鳥の水もかえてあげるの?」「うん、ぼくは、Kちゃんはね、ちっともしてく れないし−」と文句も言っています。ずいぶん会話ができるようになったとおもいます。

1年生の5月に実施した発達検査(K式発達検査)では、K.Y君は全領域で4才2カ月を示 しており、本校障害児学級の1年生としては、力のある子どもだったといえる。しかし、積極面 でもあるのだが、連絡帳にもあるように、「〜しなければ、譲れない」という気持ちが強く、ま だまだ十分な見通しがもてていないという点や自閉的なところもあることなど、そして何よりも 1年生という生活年齢から考えて、学校に慣れることを基本的なねらいとし、次のような授業と 内容を設定して取り組んだ。

○授業の設定

「音楽・図工・体育・あそび」の授業を基本にし、絵本の読み聞かせとしての「ことば」

の授業を設定した。「かず」の授業は設定しなかった。

○授業内容(「ことば」)

絵本「ごあいさつあそび」「いただきますあそび」「とんでけとんでけおおいたい」など単 純なあそび絵本から始まり、2、3学期には、「ちいさなきいろいかさ」「おはいんなささい

えりまきに」など繰り返しがあり簡単なストーリーのある絵本を読み聞かせた。また、絵本 をもとにして劇あそびなどにも取り組んだ。文字については、書ける文字も相当あったが、

急がず、授業としては文字の学習に取り組まなかった。

(5)

坂下 伸・一

4.2年生の時の様子

連絡帳より

・4月11日−お母さんから一

1学期がはじまって、時間のことで混乱しています。冬時間から夏時間にかわって、戸惑っ ているようです。6時すぎから「おくれる!」とずっといっているのです。いろいろ決まっ ていないことも、Yを不安にさせているだろうと思います。

・4月19日一担任から−

給食で、はじめて「あげパンきらい」と言います。1年のときは、オエッとしながらも、

「あげパン好き」と言っていたのに、本当のことを言えるようになって「えらい」とはめて あげました。

・6月14日一お母さんから−

ひらがなの練習、先生のお手本を真剣にみて書いています。タックッと数個書いてから、

これはちがうかなと思うのを指さして、「これは?」と私に持ってきます。毎日、お手本を よくみてゆっくり書くようになってきました。

・9月25日一担任から−

話しているうちに、A君が先に着がえてロッカー室を出ていってしまいました。A君より 早く着がえたかったY君は、廊下まで出ていって着がえ、注意されて泣いてしまいました。

音楽では、「1〜3年は前の席」と言われてまた、涙です。Y君には、これも勉強だと思っ ています。

・12月4日−お母さんから−

「今日何してあそんだの?」ときくと、「けいさつごっこ、ぼくは刑事で、Bちゃんが、

署長、CくんとDちゃんとEくんが犯人A君もFちゃんもやっているよ。けいさつごっこ」

とのことです。

・3月1日−お父さんから−

今日のYは、カレンダーの裏に一生懸命、文字を書いていました。ごほんかごばんになっ たり、300回を300んびゃくかいと書いたりしていますが、とても意欲的に?取り組んでいま す。ことばの授業で習うことをいろいろ自分なりに実践しているのかもしれません。おかし くなったところを指摘すると、自分で大笑いして、ごまかしていますが、繰り返していくう ちに、直ってくるだろうと楽観的にみています。

・3月18日一担任から−

今日、なわとびを473回できました。目標400回だったのですが、それ以上にとびました。

リズムは少し早くなったり、遅くなったりしますが、よくとびました。

2年生になってくると、Y君はまわりの友だちにも目をむけ、連絡帳にもあるように友だちと

一緒に遊べるようになってきた。また、学校にも慣れ、まだまだ不十分ではあるが、自分を少し

ずつだせるようになってきた。学習についても、意欲的に課題にとりくんだ。この年度の11月の

K式発達検査では、全領域5才2カ月を示している。本校障害児学級では、子どもの障害や生活

年齢も考慮しっっ、発達からみると、文字を教え始めるのは4才後半ごろから、「がず」の授業

をするのは5才すぎからと考えてきた。それでY君にも2年生から文字を授業で教え始めた。

(6)

K.Y君の6年間をふり返って

「かず」の授業は次の年を待つことにした。両親は「かず」の授業をと願われたが、焦らず、長 い見通しで取り組むことを話した。2年生の終わりごろから、絵を中心とした絵日記を書き始め ている。

○授業の設定

1年生の時と同じように「ことば・音楽・図工・体育・あそび」の授業を設定した。

○授業の内容(「ことば」)

絵本の読み聞かせや劇あそびは1年生の時と同じような内容で学習を続ける。文字につい ては、1年間かけて、清音・濁音・半濁音の読みと書きの学習をした。

5.3年生の時の様子

連絡帳より

・4月8日1お母さんより一

「明日、ひとりで行っていい?」「うんい、いいよ」そうかという気持ちと不安もあるの ではとおもいます。(3年生より一人通学をはじめる。)

・6月13日一担任から一

今日、丸池で、なかなかみんなと同じように走ってこれないH君を迎えにいって、おんぶ してあげようとしていました。友だち、小さい子への関わりももてるようになって、とても うれしく恩いました。

・10月27日一お母さんから一

今日のかずの宿題について、なかまを○でかこみましょうがわからず、一びきずつ○でか こんでいます。なかまは1でないことはわかっているので、自分が○をした中に1ぴきしか いないことを認識させようとするが、時間がかかりました。機械的に1対1対応をしていた のかもしれません。それが終わって、裏の問題にいくと、なぜかまた、○で、かこんでいる のです。表の問題を裏までひきずっています。

・11月5日一担任から一

中休み、昼休みよく野球をしています。八木先生も、一緒になって教えてくれますし、私 も相手をしています。IくんやJくんもー。

毎日の練習の成果で、投げるのがうまくなってきました。ボール玉やデッドボールを投げ るので、「ピッチャー交替」といってやると、「ピッチャー交替しません。」といいながら投 げています。

・3月2日一担任から1

「6年生のおわかれ会の実行委員になる。Iくんは、副実行委員で」とか昨日から話して いました。今H、給食の後、Iくんが「音楽室をかしてください」と言うので、「何すんの ん」ときくと「実行委員会」というので、「いってらっしゃい」といって、後からのぞきに

いくと、Iくんが司会をして、黒板にリレーとかブランコとか書いてあって、JくんとK.Y

君が「バーイ」「バーイ」と手をあげて意見を言っていました。どんな話し合いになるのか

楽しみです。

(7)

坂下 伸ノーー

・3月18日−お母さんから−

この一年間よく成長してくれたと主人と話していました。I君が、J君が転校してきて、

Yには刺激いっぱいでした。Y自身しんどかったと思いますが、よくがんばってくれたと思 います。

3年生になると、一層友だちに目をむけ、一緒にあそべるようになった。K.Y 君と同じぐら いの力を持った男の子二人が、本校障害児学級に転入してきたことも大きかった。また、連絡帳 にもあるように友だちと遊ぶだけでなく、小さい子にも目をむけ、世話のまねごとみたいなこと もするようになった。学習に対しても意欲的で、家庭の協力に支えられた部分もあるが、日記を 毎日書くようになったり、宿題もしてくるようになった。こうしたK.Y君に「かず」の授業も 設定し、系統的な指導を進めていった。

○授業の設定

これまでの授業「ことば・音楽・図工・体育・あそび」以外に「かず」の授業を設定し取 り組みはじめた。

○授業内容(「ことば」・「かず」)

ことば−「へぇ−すごいんだね」「三びきのやぎのがらがらどん」「ブレーメンの音楽隊」

などしっかりしたストーリーのある物語を中心にして読み聞かせをする。テーマにかかわる 質問もし、学習する。つまる音、のばす音、ねじれる音などの読み、書きをする。また簡単 な文章の読み、書きも授業の中でする。

かず一なかまあつめや比較など数以前の学習から始め、5までの数の3者関係(タイル・

数詞・数字)の獲得を1年間かけて学習する。(過一回の授業)

6.4年生の時の様子

F連絡帳より

・4月16日−お母さんから−

ちびくろサンボの本、トラがぐるぐるまわってバターになる楽しさがYと共有できたこと がとてもうれしかったです。「・・が・・を・・に」などまだまだまちがいだらけで、言い たいことをこちらが整理してやらないとわからなかったりすることが多いですが、いろいろ おしゃべりしてくれるのが楽しいです。

・5月6日一担任から−

「5月2日うしまどにいきました。竹のあるところへのぼって、竹のこはりをしました。

いとこと竹をはりました。5月3日岡山の大島に行きました。バーベキューをしました。岡 山のレンガのお城、ローマのお城みたいな所にいきました。5月4日帰りは車がこんでいた ので、神戸で下におりました。ごほんがなかったのでマクドナルドのお店でたべました。車 のところでねました。11時半につきました。」(朝の会の話)

・9月30日−お母さんから一

今日、いっしょにおふろに入っている時、図工で「ふしぎなたいこ」(ことばで習ってい

(8)

K.Y君の6年間をふり返って

るものを絵にする。)の色ぬってんというので、どこかで聞いた話だなとおもったのですが

「どんな話だった?」と聞くと、「げんごろうが……」いっしょうけんめい話してくれるので すが、私自身、話をわすれていたので、要領を得ませんでした。「天国の大工さんが、柱と まちがえて、くぎカーンとうってん……鼻がおれてびわ湖におちてん。」とYがおもしろかっ た所をしっかりいってくれます。話を他人に伝えるってむずかしいけど、大事だなあとおも いました。

・11月10日−お母さんから−

胃拡張ではないかと思うほど食欲があります。今日は、給食がごほんなので、しっかり食 べただろうと思うのに、おやつにスイートポテトパイやウィンナーやハムのパイを焼いてい

るとよく食べること。

・3月14日−お母さんから−

帰ってきて、「今日は、つくし8本みつけたよ。小野先生の次にたくさんみつけてん。」

「ふーん、1年の時なんか、散歩にいったら、ただ、いっしょうけんめい歩いているだけやっ たけど。そんないっぱいみつけたん。すごいね。お母さんそんなにみつけられるかな。

「Yどうやってみつけるの。」ときくと、「ぼくはね、春がおしえてくれたから。」って言 うのです。「そんなこと言えるようになっただけでも、小学校へやった意味がある。」と主人 はうれしそうでした。本当にうれしいです。

この年度の9月のK式発達検査では、全領域6才10カ月を示している。連絡帳でも、たくさ んみられるように、表面的なことだけでなく、心の動き、感情も少しずっとらえるようになって きた。それに伴って、話することも、豊かになってきている。また、この時期より、身体も大き く成長してくる。それまで、少しだが、給食で食べられないものがあったが、何でも食べられる ようになる。身体の成長との関係が考えられる。

○授業の設定

3年生の時と同じように「ことば・かず・音楽・図工・体育・あそび」の授業を設定した ただし、「あそび」の時間数が減り、「ことば・かず」の時間数がふえる。

○授業の内容(「ことば」・「かず」)

ことば一絵本は3年の時と同じような内容の物語り中心。ただし、読み聞かせだけでなく、

自分で絵本を持ち、ひとりで読み、内容をつかまえ、ふかめる学習をする。助詞の学習、簡 単な漢字の学習もはじめる。

かず−9までの数の足し算、引き算の学習。20までの数の三者関係の学習をする。

(過二回の授業)

7.5年生の時の様子

連絡帳より

4月13日−お母さんから一

学校から帰り、バスと電車にのって、新大宮の耳鼻科へ行って帰ってきました。耳鼻科が

(9)

坂下 伸一

終わって、近鉄新大宮駅から「今、終わったから、帰る」とTELをかけてきました。少し 慣れてきたせいか、落ちっいています。

・5月2日一担任から−

いっぱいで、絵日記には書ききれない程ですね。Y君も最近しっかり絵日記をかいてくれ ます。また、絵日記はしたことを順番にきっちり書けるようになってきています。しばらく は、それが続くかもしれませんが、いちばんおもしろかったところだけ、もう少し詳しく書 けるよう、時々、声をかけていこうと思います。

・9月27日一担任から−

4時間目にはじめて、体育大会に向けての全校練習でした。Y君は黄組です。応援団長を 決める時には、Y君さっと前に出ていきました。今年は5年の応援団長はK君で、Y君とふ たり出たので、Y君は、副応援団長になりました。(4年生までも、体育大会の応援団長に は立候補し、旗もちをさせてもらったりしていた。5年生で、障害のない子どもたちの中に 入って、放課後残って応援の練習を毎日つづけた。本当の意味で応援団の一人になったとい える。)

・12月6[]−お母さんから一

4年生(通常学級)との交流会の準備、実行委員、やはり回を重ねるごとに慣れるだけで なく、いろいろ考えたり、相談したりできるようになっているなあと思います。Yに10ク ラス(4年の学級名)の子の顔と名前がわかる子何人いる?と聞くと、全員だそうです。

・2月3日一担任から一

体育で縄跳びで前とびをしました。701回いきました。まだまだ、しんどそうではなくた またま、ひっかかったという感じで止まりました。千回ぐらいいけそうに思います。

・2月3日−お母さんから一

家では「L君の千回に挑戦しようかな」というと、妹が二重とび百回以上とべる子がいる からがんばりやとはっぱをかけられています。二重とびが1回いけるようになった妹に、休 みの日にお手本をみせています。去年とまったく跳び方が変わって軽やかになり、びっくり

しています。(この時二重跳びが数十回できていた。)

5年生になると、行動範囲も友だち関係も一層の広がりをみせてくる。連絡帳からもみられる ように、授業の取り組みだけでなく、4年との交流会の実行委員、学級委員、体育大会の応援団 良など、教科外の取り組みの中でも、活躍できる力がつきはじめる。しかし、学級内のK.Y君よ り発達年齢が高い子との関係で、泣いてしまったり、言いなりになったりということが見られる ようになった。これは、基本的には、K.Y君の課題というより、学級集団づくりの課題が大き いと考えるが、K.Y君にとっても、友だちとの関係を調整したり、いやなことはいやといったり する力を獲得しなければならないといえる。授業については、次の様な内容で取り組んだ。

○授業の設定

4年生の時と同じ「ことば・かず・音楽・図工・体育・あそび」を設定する。

○授業内容(「 ̄ことば」・「かず」)

ことば−これまでしてきた物語の学習だけでなく、説明文や詩の学習もする。簡単な文を

作ることから作文の学習まですすむ。

(10)

K.Y君の6年間をふり返って

かず一繰り上がりのある足し算、繰り下がりのある引き算と99までの数の三者関係の学 習をする。

8.6年生の時の様子

F連絡帳より

・4月18日−お母さんより一

家では、夜お風呂に入る前に、明日の用意をしてランドセルを持ってきておくこ ̄とを約束 しました。2年はど前までは、自分できっちりやっていたような気がするのですが、勘違い だったかな?と患うほど、はりっぱなし、ぬぎっぱなしが目につきます。

・4月28日一担任より一

児董委員の選挙にいきました。立候補者に質問の時間があり、Y君は、「図書にどんな本 を入れてくれるか?」と質問しました。言い回しが悪いところもありますが、こうした経験 の中で、少しずつ言い方も学んでいくのだと恩います。

・5月20日−お母さんから−

今日4時すぎにIさんから電話があり「Y君がバスを乗り間違って、今家に来ている。」

とのことです。べそをかいているらしく、「落ち着いたら帰らせるわ」で、5時すぎ帰って きました。Yがバスを乗り間違えるなどと考えられないし、六条山行きは乗り場も違うし、

おかしいなと思って聞いてみると、Iくんが、マウンテンバイクを見せたいから来いと言っ たと言います。最初はことわったけど、ことわりきれなかったらしいです。Yも自転車を見 たかっただろうし、あそびたかっただろうと思います。

・10月14日−お母さんから−

体育大会のつみあげリレーのこと、去年は「誰々が遅いから負ける。」とおこっていたの に、今年は、そして今日は、「みんながんばっていんねんけどね」と変わってきました。口 ぐせのように、最後の運動会やからと言っています。

・10月27日一担任から−

今日、誕生日会の司会をしてくれました。途中、適当にことばを入れて、とても上手に司 会をしてくれました。これまで、ピアノをひくのが中心だったので、司会ができて、とても 満足そうです。

いよいよ小学校生活最後の年度になり、生活の見通しも十分もてるため、余裕もでできた。こ れまで、あまりなかった忘れ物も時々したりするようになった。人との関係でいうと5年生の時 の課題をそのまま残している。こうしたことは、一見すると問題であるようにみえるが、次へ発 達していきたいという要求の表れであるとも言える。成長の証でもある。この年度の5月のK式 発達検査では、全領域8才3カ月を示している。

○授業の設定

これまでの「ことば・かず・音楽・図工・体育・あそび」の授業以外に、「りか・しゃか

い」の授業の設定をする。

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坂下 伸一

○授業内容(「ことば」・「かず」)

ことば−「えんぴっびな」「ちいちゃんのかげおくり」などの戦争文学、「けんか山」「か さこじぞう」などの民話の読み取りの学習をする。

かず−数の計算の仕方ばかりでなく、問題の考え方の学習をする。足し算では、合併・添 加・増加、引き算では、求残・求補の学習。3けたまでの数の足し算と引き算、999までの 数の三者関係の学習をする。

9.おわリに

K.Y君の成長と授業設定や内容との関係を学年ごとにできるだけ詳しく述べてきた。残して ある資料の少なさや、書くべき視点の曖昧さから、不十分な部分も多くあるが、子どもの発達や 生活に合わせながら、焦らず、じっくり授業に取り組むことの必要性を再度認識できたように思 う。また、障害児学級での授業づくりを子どもの視点から見ていく場合、次のような事を今後も 大事にしていきたい。

・発達を考えて授業内容を設定する。すなわち文字の導入は、発達年齢4才後半から、がずの 授業の設定は、発達年齢5才すぎとする。(ただし、小学校で学ぶ子どもの場合)

・低学年の間は、発達年齢が高くとも、文字やかずの授業を急がない。子どもの6年を見通し て授業内容を決めていきたい。

・授業では文化・科学を系統的に指導していく。特に、数や文字の指導では、子どもの生活と 関わらせながらも、数や文字の体系にそって教えていきたい。

・授業の目標やねらいを重視する。言うまでもないことだが、子どもに合わせ一つひとつの授 業の目標やねらいを出来る限り科学的で、客観的なものにする努力が必要となる。

本稿では、本校の障害児学級の教育課程や教育内容全般について考えたかったが、授業内容の ことのみになってしまった。子どもの6年間の成長と教育内容を見る上で、今後、次のようなこ とも課題としていきたい。

・その子どもと仲間との関係、集団の中でどういう教育内容をっくりだすのか。

・親が子どもの成長や教育内容をっくっていく上でどういう役割を果たすのか、親と教師の関 係についても考えたい。

・教師集団のあり方が子どもの成長や教育内容づくりにどう関わっていくのか。

などである。今後、具体的な実践を通して、深めていきたい。

参照

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