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雑誌名 教育実践研究指導センター研究紀要

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奈良教育大学学術リポジトリNEAR

教科「生活」の附属演習林における集中授業「ワイ ルドライフ、炭焼き、木材工作の体験」の試みにつ いて

著者 前田 喜四雄, 谷口 義昭

雑誌名 教育実践研究指導センター研究紀要

巻 3

ページ 117‑127

発行年 1994‑03‑31

その他のタイトル A new experiment in education as a special part of the Life Environment Studies − Experience in living with nature, charcoal making,and woodworking for university

Students in the Attached Experimental Forest−

URL http://hdl.handle.net/10105/4422

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前 ′田 喜四雄・谷 口 義 昭

(理科教育教室)  (木材加工教室)

AnewexperimentineducationasaspecialpartoftheLife EnvironmentStudies−Experienceinlivingwithnature,

Charcoalmaking,andwoodworkingforuniverslty StudentsintheAttachedExperimentalForest−

KishioMAEDA(DepartmentofScienceEducation)and YoshiakiTANIGUCHI(DepartmentofWoodwork)

要旨:平成5年度教科「生活」の授業の一環として、50人の学生を対象に附属演習林で3泊4日の 集中授業を行った。ねらいは、生活科の指導に関する基本的な事項の経験と工夫の基礎的事項の体 験をしてもらうことであった。さらに、生活科指導で言われている「子どもに教えるのではなく、

子どもを支援し、その中から自分自身や身の周りの諸状況に気付いたり関心を持ったり、そして意 欲的に生活することができるようになる」とはどういうことかを膚で感じてもらうことであった。

授業終了から3日後までに、この授業の感想文を提出させた。そのまとめを表1と表2に示した。

これらによると、全体的には予想どおりの成果が得られたと推測され、一部の問題点も今後比較的 簡単に改良が可能であると思われる。

KeYWords:LifeEnvironmentStudies,ExperienceinlivlngWithnature,Charcoalmaking,and

WOOdworking

l.はじめに

この集中授業は以下に述べる理由から企画された。すなわち、1993年度の例をとると、教科「生 活」の受講者が229名にもなり、しかも生活科を小学校で担当するにはあまりにも不向きな学生が 多く、彼らを一望に会して授業展開するには生活科の授業として教育的配慮を欠くと考えられた。

また、学生を複数の組に分けて何度か同じ様な授業を展開するには、この授業に協力してくれる教 官がいなく、まして現在担当している教官だけでそれを担うには負担があまりにも増えすぎること が現状である。そこで、授業を通常のものと、夏を利用した集中授業の2本立てとした。この企画 だと、集中授業受講学生には教科目標を膚で感じさせることができ、集中授業受講者分の学生が減 ることで、通常の授業展開にも各種の工夫が可能になり、問題の解決ができると考えた。

なお、この計画の立案と場所および時期の決定は、前年に3人の学生と90km離れた附属演習林で 行なった試行キャンプ、そゐ後の再三の下見および炭焼き窯の予備テスト結果を考慮して行なわれ た。

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前 田 喜四雄・谷[1義 昭

2.受講学生と付添・補佐の教職員と学生

1993年度教科「生活」の附属演習林における集中授業(ワイルドライフ、炭焼き、木材工作の体 験)は教科「生活」を受講届を提出した学生229名のうち、オリエンテーションで概略を説明後の 希望者50名を対象に行なわれた。この集中授業を受講した学生の内訳は2年生37名(男9,女28)、

3年生2名(男)、4年生11名(男10,女1)であり、男子学生は21名に対し、女子学生は29名で あった。なお、その詳しい内訳は、幼稚園課程2年生15女、養護課程2年生4女、小学校課程2年 生の数学専攻3男,3女、理科3男、音楽1男,2女、国語1女、社会1男、体育1女、心理1女、

同3年生の心理1男、4年生の数学4男、理科1男、社会1男、体育2男、国語1男、中学校課程 2年生の社会1男、国語1女、同3年生の技術1男、4年生の技術1男、特別教科書道課程4年生 の1女であった。

担当指導教官は理科教育の前田と木材加工の谷口であり、補佐していただいた教職員と学生は金 属加工の山口礼郎教授、教育資料館主幹であり元附属小学校教頭の小柴幸文氏、附属演習林技能補 佐員の岸本勇氏、同氏夫人、マッキー総合学院動物植物専門学校インストラクターの伊藤その子氏、

当時理科教育5年学生(現・鳥羽水族館飼育研究部勤務)の上岡岳氏、理科教育前田研究室4年の 一伊達統、萩原直紀、森本くみ子氏、生物科北川研究室4年の丸山健一郎氏であった。これらの方々 にここに合わせて感謝の意を表する。

3.ねらいと方法

この集中授業のねらいは、小学校生活科の指導に関する基本的な事項の経験と工夫の基礎的事項 の体験をさせることである。さらに、生活科指導で言われている「子どもに教えるのではなく、子 どもを支援し、その中から自分自身や身の周りの諸状況に気付いたり関心を持ったり、そして意欲 的に生活することができるようになる」とはどういうことかを膚で感じさせることであった。それ らの指導内容と方法を以下に箇条書きで示す。

1.自然における本当の意味で生活体験が無い、あるいは大変少ない学生にその経験を積ませる。

おそらく、かって経験したキャンプでは先生その他がすべて準備を整えた中で、タイムスケジュー ルどおりに動いただけのものであったはずである。そこで、自分たちが考え、そして動かないと何 もできないし、解決しないように計画した。

したがって、一目を最低限3度3度の食事が自分たちでできるだけでもよい、曲がりなりにも睡 眠できればよいという具合に考え、時間はなるべくルーズに、しかも十分とるようにした。限界が きたら、大塔寮という安全な宿泊施設がすぐそばにある。したがって、学生が本当に困った時や危 険が迫ったり、あるいは目の前に危険が予測される時以外は、少々失敗しようが、間違えていよう が、悪い結果が出て本当に困った状態にならない限り、付添の教官や学生が補助しないことを方針 とした。そのような前提条件の中で、なるべく深く印象に残る経験を多く積ませるように企画した。

2.火が扱え、水、ゴミを考え、基本的な生活が自分たちでできるようになる。

3.日分たちで使用する生活用品や薪は、丸太や枝などの木を集めさせ、日頃、あまり経験しない オノ、ナタ、ノコギリなどを用いて、切ったり割ったりして作らせる。

4.ナイフの使用に慣れさせるため、竹トンボなどを作成する。

5.日分たちのねぐらや小屋を自分たちで作成することを試みさせる。

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6.山間部において自分たちの遊びを自分たちで見つけさせる。

7.炭焼きを自分たちで行ない、その炭を炊事や焼肉に使用する。

8.雨天続きの時は、屋内で竹トンボ作り、人形の顔作り、紙しぼいに関した絵の書き方、演習林 の動物の話、樹や木材の話の実習や講義を受ける。

4.実施場所と全体スケジュール

今回の集中授業は吉野郡大塔村赤谷にある附属演習林、およびその周辺を利用して行なわれた。

附属演習林は標高400mから1200mにかけて約170hqの面積をもち、スギやヒノキの植林地、二次林 の雑木林はもちろんのこと、ブナやミズナラの大木が多くある原生林をも擁しており、豊富な植物 相とともに、豊かな動物相を有している。また、標高400mの平地部には夏にはカブトムシやクワ

ガタムシの集まるクヌギなどの広葉樹からなる小林地、テントを20〜30は十分に張ることができる 裸地を含むとともに、水道、水洗トイレ、風呂を備えた鉄筋の宿泊施設である大塔寮がある。なお、

ここは大塔村の一番近くの村落から3km離れており、近くには大塔村村営のキャンプ場しかない場 所である。バス停留所、食料品店は3k甘1離れたところにしかなく、道幅やカーブが急なため、大型 バスは乗り入れできない。また、この平地部のすぐそばで、渓流魚が住む赤谷川と河原樋川が合流

している。

期間は1993年7月29日から8月1日まで3泊4日の上程で、全体スケジュールは下記のようであっ た。

7月29日午前9時、貸切バスにて受講学生は大学を出発、一部の教官と付添補佐学生は授業に使 用する備品を積んで自家用車で出発。正午前、国道168号線の大塔村宇井で貸切バスを下車、荷物 は補佐学生、教官等の車で演習林まで運び、学生は演習林まで3kmの山道を歩く。午後1時、演習 林着、すぐに持参した弁当による昼食、その後、本格的授業開始。

7月30日、31日、8月1日の午前、後述のような諸活動。

8月1[]午後1時、徒歩で演習林を大塔村宇井に向かって出発、学生の荷物は初日同様に運搬。

午後2時、国道168号線の大塔村宇井から貸切バス出発。午後5時前、教育大学着、解散。

5.活動のための装備

(1)全体装備

1)キャンプ生活用:テント(11張、但し、新品5張と大変古いもの6張)、ナベ大と中、フラ イノヾン大、お玉、シャモジ、ヤカン、ランタン(各5個)、ポリバケツ(10個)。

2)木材加工、薪作り、わらじ作り用:手斧、木割斧、金鎚、ペンチ、ゼットソ一、竹ノコギリ、

荒砥石、中砥石(各5丁)、なたのこ(20丁つ、腰なた(10丁)、切出し小刀(30丁)、竹、わら、釘 各種。

3)ねぐら(小屋)作り用:かけや(4丁)、丸ショベル(4丁)、ツルハシ(2丁)、一輪車

(2台)。

4)川遊びとイカダ用:水中観察箱(箱めがね、10個)、手綱(20個)、ロープ、針金、かすがい、

材木。

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前 田 喜四雄

谷 口 義 昭

5)炭焼き用:移動式炭焼釜(1式)。

6)火起こし用:火起こし器。

7)動物、植物、星座観察用:フィールドガイド(動物、植物、見検索図鑑、1式)。

8)救急薬品(一式)。

(2)個人装備

以下のものを、現地での活動に備え、用意して持参するようにうながした。

食事の材料、新聞紙などのたきっけ、マッチ、軍手、ウチワ、食器、炊事川上圭(包丁一など)、か さ(雨具)、水着、着替え、長袖シャツ、洗面具、寝るのに寒くないような毛布や寝袋、懐中電燈、

ゴミ袋、つっかけ、ノート。

6.事前指導

4月の教科「生活」全体のガイダンス時に概略説明をした後、受講希望者を募った。その後6月 30日に参加希望者全員を集めて、正式説明と事前指導を行なった。また、7月26日に代表者を集め て準備の確認をした。なお、6月3の]には以下のことを説明し、また、実行させた。

1.自力による生活体験と自然体験、木材加1二体験などに関する基本的な考えの説明と全体スケ ジュール説明。

2.グループと食事チーム分けの最終決定。個人の選択により4〜5人からなる11グループを作 り、各グループに名前を考えさせる。さらに、その2〜3グループからなる5食事チームを編 成した。

3.グループの表札(テント入口用)作りの依頼。

4.期間中の食事作りについての説明(朝昼夕食各3回分、但し昼食はおにぎりなどの弁当食と する)、炊事および食事用グループ持参用貝の説明、現地で焼いた炭が2日目から使用可能な こと。現地でのかまど、炊事場、流し作り、たき木作りの説明と献立作りの依頼やそれらの心 構えと下調べ。

5.内容説明。食事作り、ベンチ作り、竹トンボ、縄作り、ねぐら作り、イカダ作り、火おこし 方法、炭焼、ねぐら(小屋)作りについて、およびそれらの構想や下調べなどの依頼。

6.個人の所持品、入浴、雨天の説明など。

7.授業の経過

授業の全体経過は以下のとおりであり、次い で実際の生活の様子や行動の一部を具体的に紹 介する。

29日午後(晴後曇、夜になり小雨)、演習林 の施設などの説明や演習林管理者および補佐教 官や学生の紹介後、テントや炊事用具の配布を 行なう。一部代表者を除き全員で手分けをして まずテント場選びとテント設営(写真1)、そ

の後、かまど作り、たき木集めや準備(写真2)、 写真1 テント張り

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写真2 薪にするため、急傾斜面でのノコギリによる 間伐材の切断

写真4 両の中の食事作り

写真3 炭焼き窯に木材を入れる

写真5 雨の日に大塔寮の中で竹トンボを作る

写真6 雨の日に大塔寮の軒下でわらじ作りに挑戦      写真7 丸太を真っ二つに割り、

イスやテーブルを作製

夕食準備を行なう。代表者は木槌作り、炊事場作りと炭焼きの準備(写真3)を行なう。それらの 合間に全員を集め、炭焼きの説明と点火式を行なった。その後夕食と入浴を適宜すませた。一部の 学生はテントの激しい雨漏りのため、深夜に演習林宿舎に引っ越す。

30日午前(雨)、雨中で朝食準備を行なう(写真4)。かまど上にテントを張る。雨漏りのテント

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前 田 喜四雄・谷 口 義 昭

写真8 1本の丸太と2本組み合わせた イカダ乗りに挑戦

写真9 火おこしを試みる

を張り直す。11時頃より希望者は小柴氏指導による竹トンボ作り(写真5)と岸本氏指導によるわ らじ作り(写真6)に挑戦した。適宜昼食をすませた。

30日午後(雨)、竹トンボ作りとわらじ作りを続ける。雨の合間をぬってテントの張り直しやテ ントの周りの溝切りを指導する。雨中の夕食作りの後、夕食と入浴を適宜すませた。

31日午前(晴)、朝食を終わった後、2班(イカダ作り・川遊び班とベンチ、テーブル、小屋作 り班、各々写真7、写真8)に分れ、各々実行した。昼食後、全員で、火おこし実演(写真9)と 炭の釜出しを行なう。

31日午後(晴)、午前の続きを行なう。3時頃より班を交代した。夕食作り、夕食後にえんぴっ けずり腕試しと木材工作のアンケートを行なう。適宜入浴をすませる。

1日午前(晴)、朝食の後、テントの撤収、乾燥、炊事用具などの後片付けを行ない、ゴミの処 理をすませる。昼食後徒歩でバスの待っている所まで出発した。

(1)キャンプ生活

受講学生はすべてテント生活をすることに決めていたので、まず演習林平地部にテントを張った。

その際、教官や付添の学生はほとんど助言をしなかった。したがって、学生は各自でテントの張り 場所を選択した後、張り方を考えながらテント張りを試みた。

夜半から雨となり、一部の雨漏りが激しい老朽テントの学生は途中から演習林宿舎に避難した。

ほとんどの学生が激しくはないが、テントの雨漏りや床上浸水を経験した。そこで、初めてテント やフライシートの張り方の工夫、テントの張り場所、テント周辺に溝を掘る必要性などについて助 言や手伝いをした。

炊事は各チームが創意工夫して作ったかまどを利用して行われた。薪は毎回山から各自拾ってき た各種の焚き付けや間伐材を適宜切ったり割ったりして作られた。御飯焚きは一部各自が持参した 飯台を使用したが、普通のナベでも御飯焚きが行なわれた。

2日目の朝は雨の中の食事作りであり、どの食事チームも火つけや焚き付けができなくて、ある いは試みる前から、雨中での炊事の意欲を失っていた。したがって、教官や補助学生が中心となり、

シートを利用して、かまどの上に屋根を作った。その後火つけや焚き付けを行なうべく時間をかけ て努力したが、相当な困難を伴い、一部は補助学生や教官が手伝わざるを得なかった。しかし、昼 食、続いて夜食の準備になるにつれて、雨の中での火つけが次第に上手になり、最初は濡れた靴で

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踏みつけていた薪を踏みつけるのを避け、薪をかまどの周りで乾かすという工夫へと変っていった。

水は谷から引いた水を1本のホースでテントサイトまで導き、そこに置かれた半分に切られたド ラムカンに貯められていた。したがって、水は常に出ており、スイカや飲み物をそこで冷やしてい た。水場のそばに炊事用テーブルがあるとよいことた気付き、間伐材を利用して簡易テーブルを作 製した。また、日を追うにしたがって、食事をするイスなども周辺にあるいろいろなものを利用し て増やしていったり、水場からの水路ができたりしていった。但し、トイレとシャワーは大塔寮に ある既設のものを使用した。

(2)イカダ作り

次に、3日目に行なったイカダ作りと川遊びの様子にふれる。大塔寮の少し下流に堰堤があり、

通常そこは水が澄み、背が立っため、15m幅のプールとして、また「覗き眼鏡」で魚を見たり、網 で魚を採ることができる。しかし、当[=ま授業前の数日、および前日に降った雨で堰堤一杯に淘っ た水がたまり、川幅は100mにも達し、岸近く以外は背が立たない深さになっていた。

予定ではその場所で「覗き眼鏡」 で泳いでいる魚を観察したり、あるいはそれらを採って食事に 供したり、渓流での水泳の経験を積んだり、イカダ遊びをすることになっていた。しかし、その濁 水と増水のため魚採りはできず、しかたなくイカダ遊びだけとなった。それも、堰堤の上を溢れて 流れる水量と水流の強さを事前に十分観察し、堰堤から上流100mの範囲には立ち入らないよう注 意させ、そこより上流で行なわれた。

あらかじめ川岸へ運んであった直径が20〜30cm、長さ3〜4m程度のスギ丸太16本を2人がか りで持上げて、まず重さを実感させた。丸太は生木であるため予想外に重く、女子2人では細い方 を持上げるのが精一杯であり、太い方も男子2人でやっと持上がるくらいの重さがあった。

これを水の中に運び、まず1本の丸太に立って乗れるかどうか試みたが、大変に難しく、バラン スのための竹の棒をもっても上に立って乗ることは不可能だった。そこで、丸太に座って乗って試 みたが、極めて上手な1女子の例外を除いては大変苦労し、丸太が回転することにより、多くの学 生は何回も水に落ちた。なお、生木のためと恩われるが、1本の丸太に2人も座ろうとすると、丸 太は相当水に沈んだ。

その後、丸太を組んでイカダ作りを行なった。まず、2本組イカダが試された。かすがいとロー プを使い、丸太を組合わせて、その乗る心地を試した。安定は悪く、これを乗りこなすには特殊技 術を要し、安全な乗り物にはならなかった。そこで、3本では?それでは4本ではどうだろうかと いう貝合にして、結局5本をつなぎあわせてようやくまずまずの安定度を保つことが分かった。そ

こで、これを使い、川を横断したり、上下流に行くなどの試みをした。またある学生は1本丸太乗 りにあくまでも挑戦する、あるいはその上に乗ることをあきらめ、丸太に数人でつかまってバク足 で川を往来するなど思い患いの川遊びを試みた。

一方では、補助学生を中心として、ポリネシアンカヌーと称して、1本の丸太の両側に小さいフ ロートを付けて高速艇を作る試みをしていた。しかし、バク足エンジンでは2馬力(2人がバク足 で艇を推進する)にしても、3馬力にしてもスピードは限界があり、エンジンの疲労の方が問題に なっていた。

8.事後の感想レポートと授業についての考察

授業終了後間もなくの8月3日迄に、感想(全体の、良かった点、悪かった点、実際に自分が小

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前 田 喜四雄・谷 口 義 昭

学校の教師になった場合、このようなことができるか?)のレポート提出を義務づけた。

この感想レポートの内、2年生37人(男9,女28)に限って、「良かった点」と「悪かった点」

の内容をそれぞれ表1と2のようにまとめた。この際、表1では内容を、意図どおりの成果と予想 外の成果に分けて整理した。また、表2では予測および意図どおり、企画の反省点や今度の問題点、

学生自身の反省点の3つに分けて整理した。

全体的には、予想どおりの成果が得られたと思われる。これは感想文の中に、「最初は大変で帰 りたい、しんどい、やめたいと恩ったが、後半になって、また終わった後に振返ってみると、大変 楽しかった、良かった、良い経験をした、雨もよい経験になった」ということが非常に多くみられ たことから推測される。学生が大変だと感じた具体的内容は、1日目の夜から2日目の夕方まで雨 にたたられ、薪が濡れてしまい、火の焚き付けがうまくいかなったために雨の中での食事の準備が 非常に大変であったこと、テントの張り方が悪かったために雨漏りしたり、水はけが悪い所にテン トを張ったために夜中にテントの中に水が彦み込んだこと、テントの中に虫が入ってきたことなど であろう。

これらは、薪は濡らすな、雨から避けろ、濡れた履き物で踏むな、こうすれば火がつく、テント 設営の場所をこのような点から考えろ、テントの張り方はこうするのだ、雨にそなえてテントの周 りに溝をちゃんと掘るなどと、教官や補佐学生が予め細かく忠告したり、それでなくても自分たち で十分考えていろいろな事を行なえばほとんど避けられた問題ばかりである。しかし、教官が予め 忠告するのと、自分で失敗を経験し、苦労の末、対処の仕方を理解するのとはどちらが印象に残る

か、身につくかを考えたら、やはり時間は十分取れるため、後者の選択が正しいと考える。

なお、最初の頃、こんなことをして教科の生活の単位がもらえていいのだろうかと思っていた学 生が何人もいたようだが、雨中の食事準備などですぐにその考えが吹き飛んだことを感想文の中か

らうかがい知ることができた。

一方、この雨はいろいろな影響を今回の企画に与えた。結果的に学生が貴重な経験ができたこと は良かったことではあるが、これら雨の対処に大変時間がかかったことで、企画したいくつかの内 容を行なう時間がとれなかったし、また降雨による急峻な斜面のスリップLやすさを考えて、木材

を山から下ろし、各人のねぐらを作ろうという企画も不可能になった。

良かった点の中に私たちが目論み、意図したことが想像したより多く見られることでも、この企 画は成功だったと恩えるし、予想外の成果もたくさん感想の中にみられた。

また、悪かった点も多く挙げられているが、その中の多く、特に雨に関するものは良かったこと の裏返しであり、結果的には貴重な良い経験や強烈な印象を与えたりの成果をうむことになってい る。この中に、時間どおりにいかなかった、自由すぎた、計画性のなさなどの感想が一部みられた。

これは、今回の企画でこのような感じを抱くことが問題であり、このことは事前に指導したことで ある。従来これらの学生が経験した野外活動やキャンプは、企画された時間どおり、周到に準備さ れたレールの上をただ機械の一つの部品のように動いただけのものに近かったからであろう。すな わち、個人のアイデアを存分に生かしたり、自由な考えに基づいて行動するということが入りこむ 余地はなかったためであろう。

もちろん、企画側の反省点もある。その一番が炭焼であろう。炭焼はあまり学生の印象に残らな かったようであり、一部の感想文の中にしかふれられていない。これは、木材が釜の中にすでに並 べられた状態であったこと、しかも、その後も代表学生による実行だったことによるものと思われ る。木材を山から切り出し、ノコとマサカリで切って割る準備に多くの時間と手間がかかり、炭の

(10)

表1.感想レポート中の良かった点のまとめ(2年生男9,女28人だけを対象)

回  答  内  容

意図どおりの成果

自分たちでしなくては何も始まらない生活

時間に縛られているという気持ちが一度もしなかった 患うようにやってのびのびって感じで楽しかった 生活の智恵が以前より身についた

かつてなかった野外での生活体験を実感 自然の中で暮して、自然を充分に満喫できた 生きることの大変さを知った

自然の厳しさを知った

工夫する喜び、発見する喜びを感じた 自分で物が作れることが分かった

いつもは使わない道具(ナタやノコギリ)を使った 普段経験しない工作(竹とんぼ)ができた わらじ作りを経験できた

道具を用いて物を作り出す喜び、テーブル等ができた 炭焼きを体験できた

筏遊び、川遊び

やる時は真面目にやる、遊ぶ時は思い切り遊ぶ

女    男(人)

9     1 4     0 3     0 14     0 17     6 8     1 2     0 5     0 4     0 2     0 5      2 13     4 7     2 6     1 3     4 23     5 1     0 126    26

予想外の成果

普段の生活のぜいたくさ、ありがたさに気がついた 火の重要さに気がついた

青空、太陽のありがたさを実感

協力して作業がはかどった、協力の重要性体験 食事がうまくできた、それを食べる喜び 友達が増えた

先生と話ができた

ギターがテントの中まで聞こえて心地良かった 木皮をめくり、きれいな木目が顔を出した瞬間の印象 テレビがない生活でもやれた

シャワーを毎日浴びれた 本当の野生のヘビを見た 良い感じの看板を作ったこと ゴミに対する考えが変った

コ1     2 4     0 2     0 13     4 12     0 16     4 4     1 1     0 2     0 1     0 1     0 1     0 1     0 0     1 79    12

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前 田 喜四雄・谷 口 義 昭

表2.感想レポート中の悪かった点のまとめ(2年生男9,女28人だけを対象)

回  答  内  容

予測、および意図どおり

雨天が悪かった、雨天対策をもっと考えるべきだった テントの雨漏り、テント張りがうまくできなかった 炊事場のフライシートは初口に張るべきだった

先生の授業に全員参加すべきだった テント張りの事前指導がなかった 時間どおりにいかなかった

夜の内容が自由すぎた、計画性のなさ 食事作りに時間がかかりすぎた 山登りや遠足ができなかった

昆虫採集や魚釣りに行く時間がなかった 行動の時に同時性がなかった

自分勝手な行動があった

ゴミ問題、分別しておけばよかった 企画側の反省点や今後の問題点

学生が先生に頼りすぎ、自主的行動ができなかった 竹とんぼ作りが難しかった

家作りが(うまく)できなかった、経験できなかった イカダ班と家作り班とでとても差があった 虫にさされた

水の出るホースがもう1本あるとよかった 一一部の道具が少なかったと感じた 火を自分の手でおこせなかった 火おこし、焚き火がうまくいかなかった

学生自身の反省点

もう少し進んでいろいろすべきだった 消極的すぎる人かいたこと

役割分担をしないでいろいろな経験をすれば良かった 食事を女子にまかせきりだった

事前の準備や下調べ不足

班内の事前の話し合いが十分でなかった 看板を作らなかった

食事作り、食事計画の失敗

班のリーダーの役目を余りこなせなかった

男(人)

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出来上がりが遅れて、授業時間内に炭が利用できないという欠点があり、炭焼を授業に取り入れる やり方をもう少し工夫しなければならないであろう。

一方、悪い感想の中で、竹とんぼの材料の竹が異常に硬かったこと、3日目にイカダ班と家作り 班を希望にしたがって分けたのであるが、とても差あったと思わせたこと、虫に想像異常に刺され たこと、学生の自主性を尊重するよう努めたが、それでも先生に学生が頼りすぎた傾向があったこ とを指摘していた。虫、具体的にはそのほとんどが蚊であるが、これについてはこの時期は例年の 年なら全く問題なかったが、たまたま雨が多いという異常気象で今回はたくさん発生したものであ り、その対処についてほとんど考えていなかった問題である。これも含めてまだ対策の余地が十分 にあるため、次回の問題提起とする。

また、学生側に起因する反省点もいくつかあげられているが、事前指導やグループの構成のやり 方などで改善できることのもあるので、注意を要する。

以上の学生の感想から、生活科の指導に関する基本的な事項の経験と工夫の基礎的事項の体験は 十分達成できたし、また生活科指導で言われている「子どもに教えるのではなく、子どもを支援し、

その中から自分自身や身の周りの諸状況に気付いたり関心を持ったり、そして意欲的に生活するこ とができるようになる」とはどういうことか膚で感じさせる到達目標も達成できたと考える。

9.今後の課題

今回の集中授業終了後、8月4日に、担当教官、補佐していただいた教職員と学生たちと反省会 を持った。その時の内容、および学生の感想レポートから今後の課題を次のように挙げた。しかし、

予算面を除くと、いずれも今後比較的簡単に改良できる問題である。

1.グループ分け、食事チーム分けを考える。すなわち、グループが食事チームとする、グループ 内に2年生と上級生を混ぜない、あるいは2回生しか受講させないなどである。しかし、新たに 炊事用具を購入し、それらを倍増させねばならない問題がある。

2.テントの張り方にかかわらず雨漏りする古い不完全テントをなくする。6組新規購入の必要が ある。

3.担当教官や補佐学生の一部も受講学生と同じようにテント生活をすべきであろう。さらに、一 組のテントの購入が必要である。

4.事前指導のやり方を考える。今回は調べよ、考えておくようにといったが、事前にこれらにつ いてのレポートの提出化などを義務づける必要について考える。

5.反省会形式の事後指導の必要性がある。

6.炭焼きのやり方を再考する。

7.グループ名と番号名の両方をっける。

8.竹を選ぶ。すわなち真竹を選ぶ。

9.グループ内の学生に現地での行動その他についての事前の話し合いをうながす。今回の授業の 状態をビデオに撮ったため、事前指導でこれを見せる。

10.カブトムシや魚採り、岩石・鉱物等の観察をもっと取り入れるべきであった。今年は水量増と 異常気象などで不可能であったが、天候次第では十分可能と考えられる。

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要旨:幼稚園は学校教育法に規定する学校であり、教育基本法や学校教育法に掲げる目的・目標

〜と思います。」→発言の内容よりも技能重 視的な意識が働きかねない。→上手に話さな

Ⅹ:雪消えの沢の池の北側に学生を集合させた。この池の東の隅付近では、渇水期を除いては