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雑誌名 教育実践研究指導センター研究紀要

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(1)

幼稚園教育における教育課程の意義及び編成の方法 についての一考察 −幼児における「表現」活動の 今日的課題を解く−

著者 岡本 定男, 飯尾 雅典

雑誌名 教育実践研究指導センター研究紀要

巻 8

ページ 29‑40

発行年 1999‑03‑31

その他のタイトル About meaning of a curriculum and a method of organisation in an infant education −To solve a today's problem about "expression"

activity−

URL http://hdl.handle.net/10105/4216

(2)

編成の方法についての一考察

〜幼児における「表現」活動の今日的課題を解く〜

岡 本 定 男

(奈良教育大学教育学教室)

飯 屋 雅 典

(奈良教育大学大学院教育学研究科研究生)

About meanlngOfacurricuIumanda methodoforganisationinaninfanteducation

〜TosoIveatoday sproblemabout expression activlty〜

Sadao OKAMOTO

(DepartmentofPedagogy,NaraUniversityofEducation)

MasanoriIIO

(StudentofMasterofArtsinPedagogy,NaraUniversityofEducation)

要旨:幼稚園は学校教育法に規定する学校であり、教育基本法や学校教育法に掲げる目的・目標 に即して教育が行われることは言うまでもない。しかし、幼稚園教育の対象となる幼児はまだ幼 少なので、その心身発達に応じた教育を行うためには、義務教育とは違い、ある程度一定の養護 や世話が必要となる。また、小学校から後の教育のように、教育内容を体系的に分類した教科を 中心にしてその内容の習得、または修得を行わせることとは異なり、幼稚園教育では幼児の具体 的な生活経験に基づいた総合的指導が重要である。そのためには、保育を実践する者が、教育課 程に基づき、しっかりとした指導計画を立て、実践を行わなければならない。その教育課程の中 での教育内容である5領域のうち≪表現≫について、筆者が、岐阜聖徳学園大学附属幼稚園にお ける観察実習や実践を通じて、乳幼児における「表現」活動の今日的課題を解くことで、平成12 年度より施行される教育要領、そのなかの教育課程の意義及び編成の方法についての考察を述べ た。

キーワード:教育課程、「表現」活動

Keywords:aCurriculum, eXpreSSion activlty

l.はじめに

幼稚園は学校教育法に準じさらに幼児期が生涯にわたる人間形成の基礎を培う時期であること を踏まえ、幼稚園教育の目的・目標の達成に努めなければならない。しかし、幼稚園教育の対象 となる幼児はまだ幼少なので、学校教育法では「教育」という用語を使用せず、「幼児を保育し」

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となっている。なぜなら、義務教育である小・中学校の場合とは違って、幼少であるがゆえにそ の心身発達に応じた教育を行うためには、ある程度一定の養護や世話が必要となる。従って、

「教育」という用語を使用するのではなく、幼児の具体的な生活経験に基づいた総合的指導を行 うものであるから、その教育方法の独自性を表す用語として、幼稚園教育では「保育」が使用さ れている。

本論文では、幼児における表現活動をみていく上で、まず保育の基本について述べ、続いて現 行(平成元年度)の幼稚園教育要領のなかの幼稚園教育の目標、教育課程の意義及び編成、教育 課程の実践と指導計画をみてみる。そして、同教育要領に書かれている幼稚園教育における教育 内容である5領域のうちの≪表現≫領域について、ねらい及び内容に触れ、さらに平成10年10月 より実践に携わっている岐阜聖徳学園大学附属幼稚園における観察実習や実践を通じ、幼児にお ける「表現」活動について論及する。この論及を通じて、「表現」活動についての今日的課題を 解きつつ、これからの≪表現≫領域のあり方、そして平成12年度より改訂・施行される教育要領

にあっての教育課程の意義及び編成の方法についての考察を深める。

2.保育の基本及び計画について

保育の基本についてみていく以上、まず幼稚園教育要領、「第1章 総則」より幼稚園教育の 基本についてみてみる。

「幼稚園教育は、幼児期の特性を踏まえ環境を通して行うものであることを基本とする。このた め、教師は幼児との信頼関係を十分に築き、幼児と共によりよい教育環境を創造するよう に努めるものとする。これらを踏まえ、次に示す事項を重視して教育を行わなけらばならな い。」1)

とある。幼児が自己を十分に発揮できるような環境、さらには安定した情緒が保たれるような環 境を教師が整え、幼児との信頼関係を保ちながら、心身の調和をとりつつ心身の諸側面が相互に 関連し合い豊かで健やかな成長が促されるような発達ができること、それが重要である。

そのためには、幼稚園における教育内容が、単独かっ、羅列的に捉えられるのではなく、それ らが相互に、有機的な関連をもつものとなるように保育の計画が立てられなければならない。さ らに言えば、幼稚園教育の基本に基づいて、幼児の発達を見通しつつ、教育期間の全体にわたっ て、幼児の充実した生活を展開できるようなものとすることを見通し、作成されねばならない。

さらに、幼稚園教育において、保育を進めるにあたっての計画の必要性、その理由については 次の4点があげられる2)。

・ 発達課題の欠落を避ける

・ 発達の見通しとっみ重ねの重要性

・ 活動の偶発性と保育者の計画性

・ 生活のマンネリ化を避ける

そして、これは言うまでもないが、保育の計画を実施していく場合、教育期間の全体にわたっ て幼児の実態をよくとらえ、個人差を重視することが大切である。また、絶えず反省や改善を繰 り返しながら保育活動を重ね、次の指導計画にとって有意義かつ有益なものへとっなげていくこ とが望まれることは言うまでもない。

(4)

3.幼稚園における教育課程の意義と編成 3.1.教育課程の意義

幼稚園・保育所には、教育課程、保育計画、指導計画など、保育を進めていくための計画があ る。これらは、もともとは学校教育のなかで用いられていたものである。幼稚園においては、現 在の日案に相当する 保育案〟 と呼ばれるものや、 保育項目別時間配当表〝のような形での計 画表はかなり古くから存在していた。しかし、現在用いられているような意味での教育課程や指 導計画が保育のなかに位置づけられるようになったのは、昭和31(1956)年に文部省が作成した

『幼稚園教育要領』と、それを参考にして厚生省が昭和40年に作成した『保育所保育指針』が登 場してから後のことである。教育要領は、この後、昭和39(1964)年と平成元(1989)年にそれ ぞれ改訂されている。この教育要領の趣旨をいっそう徹底する意味で作成された『幼稚園教育指 導書』では、教育課程の意義について次のように述べている。

「幼稚園は、幼稚園教育の基本に基づいて幼児期にふさわしい生活を展開する場であると言うこ とができる。また、同時に幼稚園は意図的な教育を目的としている学校であるので、幼稚園教 育の目的、目標を有効に達成するために、幼児の発達を見通して、それぞれの時期に必要な教 育内容を明らかにし、計画性のある指導を行う場でなければならない。このような意味から、

それぞれの幼稚園は、その幼稚園における教育期間の全体にわたって、幼稚園教育の目的、目 標に向かってどのような道筋をたどって教育を進めていくかを明らかにし、幼児の充実した生 活が展開できるような全体的な計画を示す教育課程を編成して教育を行う必要がある。」

また、もともと教育課程は、教育目標に向かって児童・生徒の学習活動を指導するために、学 校や教師が教育内容を計画的・組織的に編成した総体であると言われている。幼稚園は制度的に は教育機関であり、意図的な保育を行う場である。であるから、幼稚園における教育課程という ものは、幼稚園教育の目的、目標とそれと具体化した各年齢ごとのねらいと内容で構成され、さ らに、それらが各年齢を通じて一貫性のあるものとする必要がある。

さらに幼稚園では教育課程のほかに、指導計画と呼ばれる計画も作成することとなっている。

また、『幼稚園教育要領』において、第3章では指導計画作成上の留意事項についてこう書かれ ている。

「幼稚園教育は、幼児が自ら意欲をもって環境とかかわることによってつくり出される具体的な 活動を通して、その目標の達成を図るものである。幼稚園においては、このことを踏まえ、幼 児期にふさわしい生活が展開され適切な指導が行われるよう、次の事項に留意して調和のとれ

た組織的、発展的な指導計画を作成しなければならない。」

これからわかるように、教育課程は、幼稚園における乳幼児の在園期間全体にわたって、それ を見通した全体的な計画であり、指導計画はそれを子どもへの指導として具体化していく際の細 案と考えることができる。しかしながら、現在では、教育課程は、、編成〟 と 実施〝の2つに分 けて考える場合が多く、、、編成′′ は全体的な計画を意味し、 実施〝の場合はそれを指導計画と

して具体化したものや、その展開までを含めて考えることになっているのである3)。

3.2.教育課程の編成 3.2.1.編成上の基本条件

教育課程の編成にあたっては、上述したような教育課程の意義をしっかりとふまえた上で、次

(5)

の諸点に留意することが大切である。

1)教育課程は、その園の保育にあたる際の基本的な姿勢をとりつつ、園における子どもたち の生活の全体の見通しを立てるものである。また、園長の責任において、全職員が一致協 力して編成にあたるものである。

2)各園における教育目標・保育目標を具体的に述べ、なおかつ確認することである。

3)乳幼児の心身の発達の様相をとらえることである。

4)小学校の教育課程や家庭生活・社会生活との関連についても配慮することである。

以上の点について十分注意すること、また園内の生活に重点をおきっっも、小学校への関連や 家庭生活・社会生活との連携を忘れてしまうことのないように配慮しなければならない。

次に、教育課程の編成にあたっては、保育者として、下記の基本的な条件をふまえておかなけ ればならない4)。

・保育目標を明確にすること。

・発達をしっかり見通していくこと。

・ 子どもたちの実態を把握すること。

この条件は、各々が独立したものでなく、お互いに関連し合っており、たとえば、保育目標は 当然、発達に即して、将来を見通した上でたてなければならないし、園やクラスの子どもの実態 を把握するときには、発達の見通しと比較する部分が多い。また、子どもの実態にそって、その 子どもが通っている園の目標が具体的に考えなければならない。したがって、この関連を常に或 において実際の編成を行なう必要がある5)。

次に、その教育課程編成の実際についてみていくこととする。

3.2.2.教育課程編成の実際

なぜ教育課程が幼児の園生活プランなのか。それは、幼児が家庭から離れ、何のために毎日登 園してくるかを考えたものであるからであろう。幼児は、家庭における兄弟・姉妹など異年齢の 関係にあるものとは違い、同年齢の友だちが多くいて、そういった環境において多様な経験が精 一杯できる生活を体験するために園に通うのである。

幼児の側からみるならば、友だちが多くいる環境のなかで一人ひとりが楽しく、かつ充実した 生活を展開していきたいと望む。一方、幼稚園側や保育者側からみるならば、幼稚園での生活を 通して、幼児一人ひとりが身体の発達と共に、充実した心の発達をしていってほしいと望む。こ うしたことは、教育の基本であると考えるし、教育や保育をする側が心しておかなくてはならな い。また、幼稚園ではこれらのことが考えられた教育課程の編成をしなければならない。しかし 教育課程というとなぜか枠組みを作り、その枠組みで幼児を縛ったり、それに合わせるような展 開をすることで、平均化した枠組みの中に幼児を入れこんでしまう。また、枠組みを形式化して 統一したり、異体的ではなく、抽象的な教育課程をよしとされることもある。これらのような教 育課程で実際の編成がされ、それによる教育が行われるのは問題であり、幼児が主体者であると

いうことを考えた教育課程の編成が求められている。

教育課程の編成にあたっては、その手順として、まず、上述したような編成の基本に従って法

的根拠をみていく。学校教育法、児童福祉法、また、公立幼稚園においては、教育委員会規則な

どを揃えておく。特に、言うまでもなく幼稚園教育要領、保育所保育指針などは手元に置いて必

ず機会を設けて目を通すようしなければならない6)。その他、考えなければならない手順を下に

(6)

まとめることとする。

・幼児の実態を把握する。

・幼稚園の実態を把握する。

・保育目標の設定と保育方針の共通理解を図る。

・在園生活への適応の状態と在園期間における発達の課程を見通してみる。

・具体的なねらいと内容の組織・編成を行う。

・反省と改善の繰り返しをする。

以上、教育課程の編成にあたっての基本条件と手順について述べてきた。これを受け、続いて 教育課程編成の実際についてみていくこととする。以下は、それらについて簡略的にまとめたも のである7)。

(1)保育期間の設定

(2)ねらいの具体化と配分

(3)経験や活動の積み重ね

(4)行事をどう組み入れるか

(5)その他留意点(教育課程編成の手引き[教育委員会]、他の幼稚園の教育課程)

この他、教育課程の編成には、次に保育者が立案する指導計画との関連についても考慮しなけ ればならない。

さらに、指導計画への具体的な展開→保育の実施→反省と評価→教育課程の改善→再編成→と いうフィードバックが必要とされる。あくまでも、予測は当てはまるとは限らないのであり、教 育課程は予測による計画案なのである8)。

4.教育課程の実施と指導計画

教育課程は、入園から修了までの幼児の幼稚園における生活の大綱を示したものである。その 教育課程の中で中心の核として位置づけられているのは、「幼稚園教育要領」に示されている一 般的なねらいが、幼稚園修了までに育っことが期待される心情・意欲・態度など総合的に達成さ れるように組織された「具体的なねらいと内容」である。上述したように、教育課程は生活の大 綱であるから、これを基に、さらに幼児の実態を把握しつつ具体的な指導計画が立てられ、それ を用いて保育が実践されていくのである。

現在、教育課程は 編成〝 と 実施〟 という2つのプロセスがあることは、上述のとおりであ る。指導計画の作成とそれを基にした実践があるこのプロセスでは、まず全体の計画である教育 課程を基に、それをしだいに長期から短期の指導へと具体化していくやり方がとられるのであ る9)。

教育課程の編成の過程では、一般論としての幼児の発達の姿をとらえながら、幼児の発達にお ける一般共通性・典型類似性をみていき、その上で園児の姿を明確に位置づけるのに対し、指導 計画の作成および保育実践では、ひとりの人間として具体的な自己成長をしていく幼児の発達と も絶えず向き合い、付き合っていくこととなる。それは、幼児の個別性を明らかにしていくこと でもある。指導計画の作成および保育実践においては、あくまでも今、そこで出会って、接して いる幼児を念頭に置くべきことは言うまでもない。

教育課程の評価は、保育実践が指導計画によってなされていることから、まず指導計画が評価

(7)

3  歳  12  月  の  指  導  計 

・個 々 の 子 ど も の 健 康

・家 庭 で も 手 洗

・今 学 期 、 一 番 カ ゼ で 休 ん だ 子 が 多 園 長 印

状 態 を よ く把 握 し 、 い 月 だ っ た 。

異 常 の あ る 場 合 は ・年 長 児 や 年 中 児 の 遊 び を み て ま ね

適 切 に 対 応 す る 。

・寒 さ に 負 け ず 戸 外 で

し て み た り 、 一 緒 に 遊 び の 中 に 加 わ っ た り し て 、 楽 し め る よ う に な っ て き た 。

・ も ち つ き 大 会 や お た の し み 会 な ど 1 2 月 な ら で は の 行 事 も あ り よ ろ

こ ん で 参 加 で き た 。

7 C 気 い っ ぱ い 遊 ぶ

い 、 つ が い や 薄 着 で 過

・友 達 を 恩 い や る 気 持 ち も 少 し ず つ で て き た よ う に 思 う 。

ご す こ と の ・ ス リ ッ パ を そ ろ え た り 、 保 育 者 の

b 習 慣 つ け の 簡 単 な 手 伝 い も で き る 子 が ふ え

協 力 を 依 頼 て き た 。 や れ る こ と へ の 自 信 に す る 。 つ な が る よ う は め て い き な が ら つ づ け て や れ る よ う に し て い き た い 。

・ 「お は よ う 」 「は い 」 「あ り が と う」

「ご め ん な さ い 」 な ど 言 わ れ な く て は 自 分 で 言 え な い 子 が 多 い の で 、 3 学 期 の 課 題 に し て い き た い 。

・寒 さ が 増 す に つ れ て 衣 服 の 調 節 の 仕 方 、 手 洗 い 、 う が い の 大 切 さ を 知 ら せ て い く。

主 任 印

五 領 域 の 視 点 予 想 さ れ る 子 ど も の 活 動 援 助 活 動 ・ 留 意 点

冬 の 生 活 の 仕 方 を 知 る 。

・戸 外 で 身 体 を 動 か し て 元

・手 洗 い 、 う が い を す る 。

・暖 房 器 貝 の 危 険 に つ い て

・寒 さ の 為 、 う が い が お ろ そ か に な っ た り 、 トイ レ に 行 く事 を が ま ん し が ち な の で 一 人 ひ と り の 様 子 を 見 な が

ら言 葉 が け を し て い く 。

・室 内 の 換 気 や 温 度 の 調 節 に 留 意 す る 。 気 に 遊 ぶ 。

・共 同 の も の を 仲 良 く使 う。

理 解 し 気 を つ け て 遊 ぶ 。 ・保 育 者 の 一 緒 に 遊 び 体 を 動 か す と 暖

・マ ラ ソ ン 、 乾 布 摩 擦 に 参 加 す る 。

・ ボ ー ル 遊 び、 鬼 ご っ こ を す る 。

・み ん な が 遊 び た い も の を

か く な あ る こ と を 知 ら せ て い く。

・様 子 を み な が ら順 番 を 守 る と ケ ン カ 取 っ た り せ ず 旧番 を 守 っ に な ら な い 事 を 知 ら せ て い く。

・一 人 で 遊 ん で い る子 を み つ け 友 達 が

・集 団 生 活 の 中 で 、 誰 と で

て 遊 ぶ 。

・ 「あ の 子  嫌 だ 」 と言 わ

も 仲 良 く 遊 ぶ 。 ず 仲 良 く、 誰 と で も 遊 遊 ん で い る 中 へ 連 れ て い き 一 緒 に 遊

ぶ 。 ぶ こ と が で き る よ う に し て い く。

・冬 の 自 然 に 触 れ 、 興 味 を ・落 莫 を 拾 っ て 遊 ぶ 。 ・子 ど も 達 に 自 然 の 変 化 に つ い て 気 が 持 っ 。

・ ご っ こ 遊 び を 通 じて 日 常

・息 を 吐 く と 白 く な る こ と つ く よ う に 声 を か け 、 子 ど も達 が 改 に 気 づ く 。 め て 気 が つ い た 事 を 共 感 して い く。

・家 族 ご っ こ、 お 店 屋 ご っ ・子 ど も 達 が 遊 ん で い る 中 に 入 り 、 よ の あ い さ つ や ノゝ三 を こ を し て 会 話 を 、し む り遊 び が  展 し て い く よ う 声 を か け

Eコ 本 ロ

し む 。 O       CI

・話 の 内 容 を 理 解 し イ メ − て い く。

・す ぐ に 「や っ て 」 「で き な い 」 と 言

・絵 本 な ど の 簡 単 な 内 容 が わ か り 、 イ メ ー ジ を 持 ち 、 楽 し ん で 聞 く。

・ハ サ ミや の り な ど の 用 具

ジ を ふ く ら ま せ て い く。

・ ク リ ス マ ス の 袋 作 り等 、

の 扱 い に 慣 れ 、 上 手 に た の し ん で 作 る こ と が わ ず に 説 明 を 繰 り返 し、 自 分 で で き

使 う 。 で き る。 る よ う 促 し て い く。

・製 作 を 楽 し む 。 ・ 自分 で 作 っ た 作 品 に 自 信 を 持 っ こ と

が で き る よ う 出 来 上 が っ た 作 品 の 話 を し た り、 は め た り す る。

・お も ち つ き大 会

・お た の し み

(8)

され、次にその実践との関連で評価される。指導計画には、大まかにまとめると週日計画、週間 計画、月間計画、年間計画などがあるが、まず、保育実践では、過日計画が評価・改善され、そ の積み上げにより週間計画や月間計画が評価・改善されていく。また、教育課程の評価は、年間 計画を義務教育で分けられている3学期制に合わせて期で区切り、その期ごとの指導計画との関 連で評価・改善され、再編成されるのが妥当であるとされている。教育課程というものは、指導 計画による実践から評価・改善され、新たなる教育課程の再編成がなされるという繰り返しの積 み重ねにより、より良いものが作られていく、このことが大切なのである。

それでは、前述したような教育課程の編成がなされているか、実際の指導計画について、浄性 寺学園「まどか南幼稚園」(岐阜市)の平成9年度、年少すみれ組((3歳児)保育者:武田 幸 枝)の月間指導計画より、12月の実例をここに載せて、それについての考察をしてみることとし たい。(左表)

「まどか南幼稚園」では、後に述べる「岐阜聖徳学園大学附属幼稚園」で行われている自由保 育とは違い、設定保育による教育方針をとっている。

この年少(3歳児)の指導計画をみていくと、【評価・反省】の項において、例えば人間関係 について、12月では「一緒に遊びの中に加わったり」する子や「保育者の簡単な手伝いのできる 子がふえてきた」となっているが、それ以前の5月では、「一人で遊んでいる子や保育者にくっ ついて安心感を感じている子が多い」となっていた。5月から12月までのこの数ヵ月間で、子ど も達は保育者を仲立ちとして子ども同士が関わっていく中で個人差はみられるものの、自分の思 いを通そうとする傾向から、お互いの気持ちが考えられる傾向へと人間的に豊かに成長していっ たことが伺える。

また、【内容】の項において、5領域のうちく≪表現≫のところの「指導援助・留意点」では、

「すぐに『やって』『できない』と言わずに説明を繰り返し、自分でできるよう促していく」とか、

「自分で作った作品に自信を持つことができるよう出来上がった作品の話をしたり、はめたりす る」といったように、子どもがさまざまな活動の中で成長できるよう援助するということが配慮 されている。このように、幼稚園において幼児が安心した環境の下で生活するなかで、活動が促 され、その活動によって自主性が育ち、心身ともに成長することを配慮した指導計画を作成する ことが必要である。続いて以下に、5領域の教育内容の一つである≪表現≫領域のねらい及び内 容についてみていくこととする。

5.幼稚園教育要領の≪表現≫領域のねらい及び内容

≪表現≫領域のねらい及び内容についてみていく前に、平成元(1989)年に改訂された幼稚園 教育要領、「第2章 ねらい及び内容」10)について触れておく。

「この章に示すねらいは幼稚園修了までに育っことが期待される心情、意欲、態度などであり、

内容はねらいを達成するために指導する事項である。これらを幼児の発達の側面から、……

(中略)……感性と表現に関する領域「表現」としてまとめ、示したものである。」

次に、≪表現≫領域のねらいの趣旨11)について幼稚園教育要領からみると、

「この領域は、豊かな感性を育て、感じたことや考えたことを表現する意欲を養い、創造性を豊

(9)

かにする観点から示したものである。」

とされている。

[ねらいについて]

従来、この≪表現≫領域に関する事項は、絵画製作と音楽リズムの2領域であり、さらには表 現方法について定められていた。このため、保育の重点は、形態の整った活動の展開や表現の技 術に指導の中心がおかれがちであった。それに対し、平成元年改訂のものは、領域が≪表現≫と

いう名称にされているように、幼児にとって、見る、聞く、触れるといった活動から生ずる感覚 的な経験が重要かつ必須であることを認めている。また幼児の素朴な感覚や感情体験を素直に表 わすことを尊重し、こうした幼児のありのままの原初的な、心や身体に流れている生命的な表出 を大切にしながら、客観性のある表現へと導いていくこと。さらには既成の枠にとらわれない創 造的な活動ができるような幅広い基盤を作ることが、そのねらいであるとみて良い。

したがって、大人の目からは不可解不合理にみえる飛躍や発想の転換もあるが、保育者として は、幼児なりの未熟な表現である「つもり」を認め、それと共感しながら徐々に発達させること が大切であろう。そのためには、保育者自身の柔軟な感じ方が重要になり、加えて保育者の鋭く 豊かな感性が保育技術に先立って要求される。具体的に、表現には動き、音楽、言葉、造形があ

り、それらがお互いに関わり合って行われることも十分に配慮することが必要である。

[内容について]

まわりのものに触れてイメージを豊かにするという基本的基底的な体験では、幼稚園や保育者 によって環境が整えられていることが前提となる。さらには幼児が感じていることが、友だちや 保育者に共鳴を与え、同時に保育者が感じとったことを幼児に伝え、そこに含まれる意図や意味 を幼児が気づくという相互交流が必要である。

また、活動による楽しさを味わったり自由に表現する活動においては、その子なりの表現でよ いのであるが、幼児ということもあり、表現がうまくできないために、保育者の視点からは満足 できないこともある。幼児にとっては、保育者がそういった自分の表現を受け入れたり、認めた

りすることが大きな喜びとなるので、保育者が規律のあるなかでの自由を認め、かつ「自由に」

「豊かに」活動を展開することが必要である。さらには、物を作る、作ったもので遊ぶという活 動の過程から、それらの活動の成果が生かされる経験を経て、目的をもってつくる活動へと発展 させることも大切となるであろう。

加えて、歌を歌うこともさることながら、楽器、劇、ごっこなど総合的な活動は幼児期ならで はの楽しくて、生き生きした活動である。この活動を通じて、保育者の豊かな発想、また用具や 楽器の下準備などをすることによっての関わりも、成長していく上で重要なことである。

特に、音楽は感性と表現がもっとも問われる。それ故に≪表現≫領域にとって音楽は、必須で ある。その音楽についてみていくと、大きく〔表現〕と〔観賞〕に分けることができる。〔表現〕

の中には、歌唱、器楽、即興表現などがあるが、幼児が幼稚園において音楽の分野でまず触れる ことといえば、歌うことである。ここで重要なのは、その歌うことの媒体である「うた」、つま り、人間のもっ「声」の力である。その「うた」、それを「うたう」という行為には「ことば」

「からだ(身体表現)」「うた(音楽)」という3つが相互に、密接に結びっいており、3つが統合 してこそ一つの有機体として成り立っている、と言えるのである。「うたう」ことで、人と人の 間に「ことばが伝わる→それによって心が交流する→心でのコミュニケーションがとれる」こと、

また「同じ場を共有していることによる楽しみを味わうことができる」ことが重要であり、大切

(10)

なのである。

一方で、保育者が幼児の「うたい」という行為を促す手段として用いられているものに、保育 者による「弾きうたい」がある。「弾きうたい」をする行為によって、保育者の主体の目が、耳 が、手など五感すべてが、また身体すべてが幼児たち向かって開かれ、声の力がひとつの矢となっ て届くこと、「ことばが伝わる」ことで「心で交流」し、お互いが「同じ場を共有し、つながっ た」という実感が心の奥底で湧いたり、そこで生き生きとした表現が生まれるのではないか。こ うした「心のつながり」、「心の響き合い」、そして「共に生きているという実感」を感じとるこ とが大切である。

以上、≪表現≫領域のねらい及び内容について概観してみたが、「表現」活動の実際について、

岐阜聖徳学園大学附属幼稚園で筆者が関わったものを具体例としてとり上げてみる。

6.岐阜聖徳学園大学附属幼稚園における「表現」活動

岐阜聖徳学園大学附属幼稚園は、

平成10年4月より従来の設定保育 から自由保育へと教育方針を変え た。この自由保育は、子ども申し\

つまり指導にあたっては子どもが 自発的、主体的に考え、動くこと を大切にするという指導方法の形 態と捉える考え方である。言わば、

子ども主体で展開される教育であ る。筆者が携わった平成10年10 月・11月は、11月22日に開かれる

〈ふれあい広場〉(幼児の作品展)

のための作品づくりが活動の中心 であった。年少・年中・年長共通 して絵(写真1、年長)を描き、

さらに各年齢毎に作品づくりをし た。年少は「お家ごっこ」、年中

は「ブロック」と「はいざいこう さく」、年長は「袋おばけ」(写真 2)、「森づくり」。さらに、11月 22日は、幼児の作品展ということ で、父母らも参観していたことか ら、当日には父母参加の作品づく り、年少は手形製作、年中は粘土 をっかったペン立てづくり、年長 は粘土を使用した貯金箱づくりを

した。

(11)

筆者が幼児の活動に参加していて感じたのは、喜んで活動している幼児に心の成長が見受けら れ、これらの作品に映し出されていくことの素晴らしさである。年長の貯金箱づくりは、まず型 の表面に紙粘土をくっつけていき、自分の恩いや考えを入れながら形を整えていく。粘土が乾い たら色をぬっていき、最後に色落ちをふせぎ、光沢を出すためにニスを塗る。くふれあい広場〉

のあと、これを3週間かかって仕上げていった。その活動は、まさに楽しく、真剣そのものであっ た。貯金箱のかたちには、最近のアニメ番組の影響からか、写真3・4のようにポケットモンス

ターのキャラクターものが多かった。これに対し、独創性や創造性によるものが少なかったのは 残念であった。

こうした絵や造形などの美術の分野だけではなく、≪表現≫領域には感性と表現がもっとも問 われる音楽の分野がある。すでに前に述べた「弾きうたい」に関する基礎的な考えに基づき、筆 者の行った弾きうたいの実践について若干の分析をしてみよう。対象としたのは、3歳児と5歳 児。使用した歌は、まどみちを作詞、くらかけ昭二作曲の〈きのこ〉である。ここに、その曲の 一番の歌詞を挙げておく。

き き きのこ き き きのこ ノコノコノコノコ あるいたりしない き き きのこ き き きのこ ノコノコあるいたりしないけど ぎんのあめあめ ふったらば せいがのびてくるるるるるるるる

いきてる いきてる いきてる いきてる きのこは いきてるホントに

この歌は、言葉遊びみたいな歌詞と、(a)→(b)→(C)間のそれぞれに移り変わる効果的な変化とが 相性よく合っている。幼児たちには、聞いているだけでもワクワクし、歌うとより一層楽しくな る魅力を感じるのか、この曲は大変人気がある。3歳児(年少)は家庭から離れ、幼稚園にきて 自分の兄弟・姉妹以外の年歳の友達と、また先生と毎日触れ合うことが楽しい歳頃である。筆者 が数人の園児の前でこの曲を一回弾き歌いした後、「どんなきのこを知っているの」と聞くと、

子どもたちは口早に「毒きのこ」「マッシュルーム」「しいたけ」と元気よく叫んだ。その後、子

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どもたちは筆者の伴奏で好きなきのこになったっもりで歌い始める。特に(a)の部分では、リズム と遅れることはあっても、両手を頑の上にもっていきリズムに合わせて歌う。(b)の部分では、ひ とりひとりが背がのびる動きを本当に楽しんでやっていた。先述した「うたう」という行為、

「ことば」「からだ(身体表現)」「うた(音楽)」という3つが統合してこそ一つの有機体として 成り立っとした筆者の考えと、これは正しく合致していた。しかし、これが5歳児(年長)とな ると、女子は本当に楽しんでやっていたのに対し、男子は「ことば」「うた(音楽)」は元気よく やるが、「からだ(身体表現)」は5歳児という年頃かも知れないが、恥ずかしかったりして小さ な動きでしか見せてくれなかった。ともかく、これら一連のうたと動きを幼児が筆者とともに楽

しむことで、その場の臨場感や雰囲気に合った一体感が生まれることを感じた。音楽には、「か らだ(身体表現)」という体育の要素も入っていることも見逃してはならないのである。

以上のように、感性と表現がもっとも問われ、幼児の人間形成、より豊かな成長を育む上で

≪表現≫領域、その活動は幼稚園教育になくてはならないものである。

7.おわりに〜乳幼児における「表現」活動の今日的課題と展望〜

乳幼児にとっては、幼稚園や保育所が日々の生活を深める中で貴重な体験を積み重ねて成長し ていく場となる。今日、マスメディアの発展や、多様化によって、情報が絶えず流れている。そ ういった情報を、乳幼児は、「表現」活動において精一杯のかたちで表そうとする。しかし、そ れは、あくまで情報をコピーしているだけで、独創性や創造性というものが少ないのが現状であ る。これからの展望として、「表現」活動においてはマスメディアによる影響も考えつつ、幼児 主体でかっ独創性や創造性を育てることが求められている。また、「表現」活動は生きた人間の 本性から出発しなければならないことを常に念頭におき、保育者がそのような「表現」活動を展 開できる力量を身につけていくことが切に望まれる。

今後、もう一歩保育実践における「表現」において、中でも人間の根源的な能力のひとつであ る音楽の「うたう」という行為について、「表現」活動との関連、またそのあり方について探っ ていき、教育課程でどのように組み込んでいくかについて研究していきたい。

1)文部省『幼稚園教育要領』、文部省、p.1、1989

2)森上 史朗・阿部 明子『幼稚園教育課程・保育計画総論』、建吊社、pp.5〜7、1991 3)同上書、p.4

4)同上書、p.54

5)同上書、p.54

6)同上書、p.54

7)同上書、pp.58〜61

8)同上書、p.61

9)同上書、p.62

10)1)に同じ、p.3

11)同上書、p.8

(13)

参考文献

文部省『幼稚園教育要領』、文部省、1989

森上 史朗・阿部 明子『幼稚園教育課程・保育計画総論』、建岳杜、1991

文部省幼稚園教育課内 幼稚園教育研究会『幼稚園教育 早わかり一間一答』、フレーベル 館、1982

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