グリーンコンシューマーの育成を目的とした 環境学習プログラムの開発・実践とその評価手法
に関する研究
A Study on Development, Practice, and the Evaluation of Environmental Study Program to Promote Green Consumer
2010 年 2 月
早稲田大学大学院環境・エネルギー研究科 環境配慮デザイン研究
塩田 真吾
Shingo SHIOTA
グリーンコンシューマーの育成を目的とした 環境学習プログラムの開発・実践とその評価手法
に関する研究
A Study on Development, Practice, and the Evaluation of Environmental Study Program to Promote Green Consumer
2010 年 2 月
塩田 真吾
Shingo SHIOTA
早稲田大学大学院環境・エネルギー研究科
目 次
頁 第1章 序 論
1.1 研究の背景と従来研究 1
1.1.1 環境学習の目的 2
1.1.2 日本における環境学習の歴史と動向 4
1.1.3 日本における環境学習の実践 6
1.1.4 環境学習におけるグリーンコンシューマー育成の必要性 9
1.1.5 日本における環境学習の評価 14
1.1.6 環境学習に関する海外動向 16
1.2 研究の目的 22
1.3 本論文の概要 24
第2章 環境学習データベースの構築とその活用 2.1 目的と従来研究 26
2.2 学習プログラムデータベースの構築 27
2.2.1 学習プログラムデータベースのフォーマットの検討 27
2.2.2 構築した学習プログラム DB の解析 33
2.3 教具データベースの構築 35
2.3.1 教具データベースのフォーマットの検討 35
2.3.2 構築した教具 DB の解析 37
2.4 実践初心者向けの DBの活用方法に関する検討 39
2.4.1 実践初心者向けのインターフェースの開発 39
2.4.2 専門家による実践初心者向けインターフェースの評価 44
2.5 まとめ 49
第3章 環境学習プログラム及び教具の開発 3.1 目的と従来研究 52
3.2 DB を活用した環境学習プログラムの開発手法の提案 55
3.3 各実施形式への展開 57
3.3.1 イベント型での環境学習プログラムの開発 57
3.3.2 ブース型での環境学習プログラムの開発 58
3.3.2 スクール型での環境学習プログラムの開発 59
3.4 各実施形式で使用可能な教具の開発 64
3.4.1エコライフゲーム(ELG)の開発 64
3.4.2プロダクトライフゲーム(PLG)の開発 67
3.5 まとめ 68
第4章 環境学習プログラムに関する評価手法の開発
4.1 目的と従来研究 71
4.2 学習プログラムのデザインに関する評価手法の開発 73
4.2.1 環境学習プログラムのデザインに関する評価手法の開発 73
4.2.2 環境学習プログラムのデザインに関する評価手法の高度化 75
4.3 学習効果に関する評価手法の開発 80
4.3.1 エコチェックシステムの開発 80
4.3.2 エコチェックシステムの高度化 84
4.4 まとめ 87
第5章 環境学習プログラムの実践とその包括的評価 5.1 目的と従来研究 89
5.2 デザインの評価を中心としたイベント型プログラムの実践とその包括的評価 89
5.2.1 イベント型プログラムの実践 89
5.2.2 イベント型プログラムの評価 95
5.2.3 シナリオポイントによるイベント型プログラムの評価 99
5.3 学習効果の評価を中心としたスクール型プログラムの実践とその包括的評価 103
5.3.1 スクール型プログラムの実践 103
5.3.2 エコチェクによるスクール型プログラムの評価 105
5.3.3 テキストマイニングによるスクール型プログラムの評価 111
5.4 その他の実践形式の実践とその包括的評価 114
5.4.1ブース型プログラムの実践 114
5.4.2ブース型プログラムの評価 115
5.5 まとめ 118
第6章 結論および今後の展望 6.1 結論 121
6.2 今後の展望 124
6.2.1 NPOとしての展開 124
6.2.2 産学連携による環境学習の展開 125
6.2.3 他分野連携による環境学習の普及 128
参考文献 132
謝 辞 136
本論文に関わる研究業績 137
第1章
序 論
第
1
章 序 論1.1
本 研 究 の 背 景 と 従 来 研 究1.1.1
環 境 学 習 の 目 的近 年 、様 々 な と こ ろ で 地 球 規 模 の 環 境 問 題 が 顕 在 化 し て い る 。例 え ば 、地 球 温 暖 化 や 酸 性 雨 な ど の 地 球 環 境 問 題 や 、景 観 の 破 壊 や 生 態 系 の 破 壊 な ど の 自 然 環 境 問 題 、 さ ら に 大 気 汚 染 や 騒 音 な ど の 公 害 や エ ネ ル ギ ー 資 源 の 枯 渇 、 廃 棄 物 の 増 大 な ど で あ る 。日 本 に お い て も 、地 球 温 暖 化 の 原 因 と な る 二 酸 化 炭 素 排 出 量 の 増 加 や 地 球 温 暖 化 、エ ネ ル ギ ー 資 源 の 枯 渇 の 原 因 と な る 家 庭 で の エ ネ ル ギ ー 消 費 量 の 増 加 な ど の 環 境 問 題 が 顕 在 化 し て い る 。こ れ ら の 環 境 問 題 の 改 善 は 急 務 で あ る 。
こ う し た 情 勢 を 受 け 、「 環 境 学 習 」 も 学 校 教 育 の 中 で 実 施 さ れ る よ う に な っ て き た 。例 え ば 、
1988
年 の「 教 育 課 程 審 議 会 答 申 」1)で は 、環 境 学 習 を 学 校 教 育 の 重 要 な 課 題 と し て 位 置 づ け 、各 教 科 や 道 徳・特 別 活 動 で 取 り 扱 う こ と と な っ た 。1989
年 の 学 習 指 導 要 領 改 訂 2)で は 、「 学 校 教 育 に お い て は 、従 来 か ら 、そ の 重 要 性 に か ん が み 、小 学 校 、中 学 校 及 び 高 等 学 校 の 主 と し て 社 会 科 、理 科 や 保 健 体 育 の 教 科 等 の 指 導 の 中 で 、児 童 生 徒 の 発 達 段 階 に 応 じ て 環 境 に 関 す る 学 習 が 行 わ れ て い る 」 と い う 認 識 の も と に 、「 さ ら に そ の 指 導 内 容 を 充 実 」 す る こ と を 示 し て い る 。 ま た1991
年 に は 、 文 部 省 「 環 境 学 習 指 導 資 料 」3)で は 環 境 学 習 の 定 義 を 明 確 に し て い る 。 こ れ ら の 文 部 科 学 省 の 環 境 整 備 に よ り 、学 校 教 育 に お い て も 環 境 学 習 が さ ら に 積 極 的 に 実 施 さ れ る よ う に な っ た 。一 方 、 世 界 で は 、
2004
年 に 「 持 続 可 能 な 開 発 の た め の 教 育 の10
年 」 が 国 連 総 会 で 採 択 さ れ 、2005
年 か ら10
年 間 、「 持 続 可 能 な 開 発 の た め の 教 育 」
1) 文 部 省 「 教 育 課 程 審 議 会 答 申 」,1998 年 7月 . さ ら に ,1998 年 9月 に は , 中 央 環 境 審 議 会 企 画 政 策 部 会 環 境 学 習 小 委 員 会 に よ る 「 持 続 可 能 な 経 済 社 会 構 築 を 目 指 し た 環 境 学 習 ・ 環 境 学 習 の 推 進 方 策 に つ い て ( 中 間 と り ま と め )」 が 提 示 さ れ た .
2) 個 性 を い か す 教 育 を 目 指 し て 改 定 さ れ た 、教 科 の 学 習 内 容 を さ ら に 削 減 し た 学 習 指 導 要 領 。学 習 指 導 要 領 は 1989 年( 平 成 元 年 )に 告 示 さ れ 、小 学 校 は 1992年( 平 成 4年 ) 度 、 中 学 校 は 1993 年 ( 平 成 5年 ) 度 か ら 実 施 さ れ た 。
3) 学 校 に お け る 環 境 教 育 の 意 義 と 役 割 、学 習 指 導 要 領 に お け る 環 境 教 育 に 関 す る 内 容 の 解 説 と と も に 、 指 導 の 実 践 例 を 掲 載 し 、 学 校 に お け る 環 境 教 育 の 推 進 に 資 す る こ と を 目 的 と し て 作 成 さ れ た 教 師 用 指 導 資 料 。1991 年 に『 環 境 教 育 指 導 資 料( 中 学 校・
高 等 学 校 編 )』 が 、1992 年 に 小 学 校 編 が 当 時 の 文 部 省 よ り そ れ ぞ れ 発 行 さ れ た 。
4)が 国 連 等 に よ っ て 各 地 で 実 施 さ れ る こ と と な っ た 。日 本 で も 、文 部 科 学 省 が 環 境 学 習 の 視 点 と し て 、新 し い 学 習 指 導 要 領 に お け る 環 境 に 関 わ る 内 容 を 見 直 し 、環 境 学 習 推 進 グ リ ー ン プ ラ ン な ど 環 境 学 習 の 推 進 に 向 け た 取 り 組 み を 行 っ て い る 。こ れ ら 文 部 科 学 省 の 政 策 を 中 心 に 環 境 学 習 の 実 践 は 国 内 各 地 で 行 わ れ る よ う に な っ て い る 。
こ れ ら の 環 境 学 習 の 目 的 に つ い て は 、 各 所 で 議 論 さ れ て い る が 、
1975
年 に 制 定 さ れ た ベ オ グ ラ ー ド 憲 章 5)で は 、 環 境 学 習 の 目 的 を 次 の よ う に 述 べ て い る 。「 環 境 や そ れ に か か わ る 諸 問 題 に 気 付 き 、 関 心 を 持 つ と と も に 、 現 在 の 問 題 の 解 決 と 新 し い 問 題 の 未 然 防 止 に 向 け て 、 個 人 的 、 集 団 的 に 活 動 す る 上 で 必 要 な 知 識 、 技 能 、 態 度 、 意 欲 、 実 行 力 を 身 に つ け た 人 々 を 世 界 中 で 育 成 す る こ と 」
ま た 、 文 部 省 が
1991
年 に 発 行 し た 環 境 学 習 指 導 資 料 で は 次 の よ う に 述 べ て い る 。「 環 境 や 環 境 問 題 に 関 心 ・ 知 識 を も ち 、 人 間 活 動 と 環 境 と の 関 わ り に つ い て の 総 合 的 な 理 解 と 認 識 の 上 に た っ て 、 環 境 の 保 全 に 配 慮 し た 望 ま し い 働 き か け の で き る 技 能 や 思 考 力 、 判 断 力 を 身 に つ け 、 よ り 良 い 環 境 の 創 造 活 動 に 主 体 的 に 参 加 し 環 境 へ の 責 任 あ る 行 動 が と れ る 態 度 を 育 成 す る 」
上 記 の 目 的 に 共 通 す る 項 目 と し て は 、「 環 境 や 環 境 問 題 に 関 す る 関 心 と 知 識 」お よ び「 活 動 へ の 参 加・実 行 力 」の 育 成 が 挙 げ ら れ る 。市 川(
2002
)は こ れ ら の 目 的 を 整 理 し 、 次 の よ う に 述 べ て い る 6)。
4) 持 続 可 能 な 開 発 ・ 発 展 (Sustainable Development)の 実 現 を め ざ す 多 様 な 教 育 へ の 取 り 組 み を 推 進 す る よ う 国 際 連 合 が 各 国 政 府 に 働 き か け て い る キ ャ ン ペ ー ン
(2005 年 ~2014 年 )。
5)1975 年 に 開 催 さ れ た ベ オ グ ラ ー ド 会 議 で 作 成 さ れ た 憲 章 。環 境 の 状 況 、環 境 の 目 標 、 環 境 教 育 の 目 標 、 環 境 教 育 の 目 的 、 対 象 、 環 境 教 育 プ ロ グ ラ ム の 指 針 と な る 原 則 の 6 構 成 か ら な る 。
2002,p54-55
「 環 境 学 習 の 目 的 は 、今 日 的 な 表 現 を 交 え て い え ば 、人 類 の 新 し い 発 展 、 す な わ ち 『 持 続 可 能 な 開 発 』 の 実 現 に 向 け て 、 環 境 保 全 に 必 要 な 知 識 、 態 度 ( 価 値 観 ) を 身 に つ け 、 人 間 と 環 境 を 軸 と し た 様 々 な か か わ り 合 い と い う 視 点 か ら 地 球 的 視 野 に 立 っ て 環 境 に 関 わ る 諸 問 題 を と ら え 、エ コ ロ ジ カ ル な ラ イ フ ス タ イ ル を 実 践 す る こ と が で き 、 地 域 、 国 、 国 際 レ ベ ル で の 環 境 保 全 活 動 や 『 環 境 』 と 『 開 発 』 に か か わ る 意 志 決 定 過 程 に 参 加 す る こ と の で き る 人 間 の 育 成 に あ る と い え よ う 」
つ ま り 、環 境 保 全 に 必 要 な 知 識・態 度( 価 値 観 )を 身 に つ け 、か つ 意 志 決 定 過 程 に 参 加 す る こ と の で き る 人 間 の 育 成 が 重 要 で あ る と い う こ と で あ る 。 同 様 に 朝 岡 (
2003
) も 、 環 境 学 習 の 目 的 を 内 容 知 と 行 動 知 を わ け 、「 認 識 と し て 子 ど も た ち に 伝 達 さ れ て い く 知( = 内 容 知 )と と も に 、行 動 主 体 と し て 行 動 す る こ と に よ っ て 身 に 付 け る 実 践 知( = 行 動 知 )と い う 両 者 の 知 の 枠 組 み が 必 要 で あ る 」と 述 べ て い る 7)。こ の よ う に 環 境 学 習 で は 、環 境 や 環 境 問 題 の 内 容 に 関 す る 知 識 や 態 度 を 身 に 付 け る こ と と 、 実 際 に 主 体 的 に 行 動 し 、 参 加 す る 力 を 身 に つ け る 子 ど も を 育 成 す る こ と が 重 要 で あ る と 考 え ら れ る 。1.1.2
日 本 に お け る 環 境 学 習 の 歴 史 と 動 向環 境 学 習 プ ロ グ ラ ム に つ い て 、日 本 に お け る 環 境 学 習 の 歴 史 及 び そ の 実 践 内 容 、評 価 手 法 等 に つ い て 概 観 す る 。ま ず 始 め に 、環 境 学 習 の 歴 史 に つ い て 述 べ る 。
日 本 の 環 境 学 習 は 、「 公 害 教 育 」 と 「 自 然 保 護 教 育 」 に 源 流 を 持 つ 8)。 公 害 教 育 に つ い て は 、四 大 公 害 と 呼 ば れ て い る 水 俣 病 、阿 賀 野 川 有 機 水 銀 中 毒 、 四 日 市 ぜ ん そ く 、イ タ イ イ タ イ 病 の 校 が 公 害 問 題 に 対 す る 批 判 が 高 ま る 中 で 、 子 ど も た ち の 学 習 環 境 を 守 る た め 、教 職 員 組 合 運 動 に 集 結 す る 教 師 た ち の 公
7)朝 岡 幸 彦 『 新 し い 環 境 教 育 の 実 践 』, 高 文 堂 出 版 ,2003,p40
8)例 え ば 、 以 下 を 参 照 。
川 嶋 宗 継 ・ 市 川 智 史 ・ 今 村 光 章 『 環 境 教 育 へ の 招 待 』, ミ ネ ル ヴ ァ 書 房 ,2002 今 村 光 章 編 , 井 上 有 一 ・ 塩 川 哲 雄 ・ 石 川 聡 子 ・ 原 田 智 代 『 持 続 可 能 性 に 向 け て の 環 境 教 育 』, 昭 和 堂 ,2005
朝 岡 幸 彦 『 新 し い 環 境 教 育 の 実 践 』, 高 文 堂 出 版 ,2003
害 教 育 実 践 や 全 国 で の 公 害 反 対 運 動 が 展 開 さ れ た 。学 校 教 育 に お い て も 特 に 社 会 科 に お い て「 公 害 学 習 」が 授 業 に 取 り 上 げ ら れ る よ う に な っ た 。こ の こ と に つ い て 朝 岡(
2003
)は「 学 校 の 環 境 学 習 が 、子 ど も の 学 習 権 保 障 と 命 と 暮 ら し を 守 る 、止 む に 止 ま れ ぬ 教 師 の 取 り 組 み と し て 発 生 し た 公 害 教 育 を 源 流 と し て い る 」 と 述 べ て い る 9)。一 方 、
1960
年 代 か ら の 高 度 経 済 成 長 伴 う 自 然 破 壊 を 背 景 に 、自 然 保 護 や 自 然 保 護 教 育 の 重 要 性 が 指 摘 さ れ た 。1965
年 に 日 本 学 術 会 議 が 内 閣 府 に 対 し て 「 自 然 保 護 に つ い て 」 の 勧 告 を 行 い 、1970
年 に は 日 本 生 物 教 育 学 会 も 文 部 科 学 大 臣 に 対 し て「 自 然 保 護 教 育 に 関 す る 要 望 書 」を 提 出 し て い る 。こ う し た 動 き に あ わ せ て 、特 に 社 会 教 育 に お い て 自 然 保 護 団 体 な ど が 行 っ て き た 自 然 観 察 会 な ど が 発 展 し 、今 日 の 環 境 学 習 で 広 く 行 わ れ る 自 然 環 境 を 題 材 と し た 実 践 に つ な が っ て い く の で あ る 。そ の 後 、
1980
年 代 に 入 る と 、1988
年 の「 教 育 課 程 審 議 会 答 申 」10)で は 、 環 境 学 習 を 学 校 教 育 の 重 要 な 課 題 と し て 位 置 づ け 、各 教 科 や 道 徳・特 別 活 動 で 取 り 扱 う こ と と な っ た 。 ま た1991
年 に は 文 部 省 「 環 境 学 習 指 導 資 料 」 で 環 境 学 習 の 定 義 を 示 し 、環 境 学 習 が 積 極 的 に 実 施 さ れ る よ う に な っ た 。1990
年 に は 、こ う し た 環 境 学 習 を 学 術 的 に 研 究 す る 組 織 と し て 日 本 環 境 教 育 学 会 が 設 立 さ れ た 。 さ ら に 、2002
年 よ り 開 始 さ れ た 「 総 合 的 な 学 習 の 時 間 」 で は 、情 報 、国 際 理 解 、福 祉・健 康 と 並 び 環 境 を テ ー マ に し た 学 習 を 進 め る こ と が 推 奨 さ れ 、多 く の 学 校 で 実 践 及 び 研 究 が 進 め ら れ た 。同 じ2002
年 に は 、 環 境 保 全 活 動 の 推 進 と 環 境 学 習 の 推 進 を 目 的 と し て「 環 境 保 全 の た め の 意 欲 の 増 進 及 び 環 境 教 育 の 推 進 に 関 す る 法 律 」( 環 境 保 全 活 動・環 境 教 育 推 進 法 ) が 成 立 し 、行 政 や 企 業 は 、学 校 教 育 は も ち ろ ん 社 会 教 育 に お け る 環 境 学 習 の 推 進 に 必 要 な 施 策 を 講 ず る こ と が 求 め ら れ る よ う に な っ た 。以 上 の よ う に 、公 害 教 育 、自 然 保 護 教 育 を 源 流 と し た 環 境 学 習 は 、時 代 を 経 る に 従 い 、学 校 教 育 、社 会 教 育 に お い て 広 く 実 践 さ れ る よ う に な っ て き た 。 環 境 学 習 に 関 わ る 歴 史 を 要 約 し て 表
1-1
に 示 す 11)。
9)朝 岡 幸 彦 『 新 し い 環 境 教 育 の 実 践 』、 高 文 堂 出 版 ,200,p32
10)文 部 省 「 教 育 課 程 審 議 会 答 申 」,1998年 7月 . さ ら に ,1998年 9 月 に は , 中 央 環 境 審 議 会 企 画 政 策 部 会 環 境 学 習 小 委 員 会 に よ る 「 持 続 可 能 な 経 済 社 会 構 築 を 目 指 し た 環 境 学 習 ・ 環 境 学 習 の 推 進 方 策 に つ い て ( 中 間 と り ま と め )」 が 提 示 さ れ た 。
表
1-1
環 境 学 習 に 関 わ る 歴 史年 代 事 項
1940 年 ~ 植 林 運 動 ( 木 材 視 点 と 洪 水 予 防 の た め の ) 1945~1955 年 自 然 保 護 、 自 然 観 察 ( 自 然 に 親 し む 運 動 )
1955~1965 年 国 立 公 園 法 設 立 ( 水 俣 病 ・ 四 日 市 喘 息 な ど 公 害 問 題 が 顕 著 ) 1965 年 ~ 自 然 歩 道 、 野 鳥 の 森 公 園
1971 年 環 境 庁 発 足 ( 公 害 問 題 は 政 治 問 題 )
1972 年 第 1 回 国 連 人 間 環 境 会 議 ( ロ ー マ ク ラ ブ 報 告 「 成 長 の 限 界 」)
1973 年 中 公 審 、 環 境 教 育 を 対 策 に 取 込 む 1975 年 国 際 環 境 教 育 会 議 で ベ オ グ ラ ー ド 憲 章
1977 年 環 境 保 護 意 識 高 揚 の た め の 日 本 環 境 教 育 会 設 立 住 民 参 加 の 星 の 見 え る 町 コ ン テ ス ト 、 緑 の 国 勢 調 査
1989 年 学 習 指 導 要 領 ( 文 部 省 )( 地 域 環 境 問 題 か ら 地 球 環 境 問 題 へ ) 1990 年 関 係 学 会 が 環 境 教 育 を 取 り 上 げ は じ め る 。日 本 環 境 教 育 学 会 設 立 1992 年 「 持 続 可 能 な 展 開 」( 第 2 回 国 連 人 間 環 境 会 議 )
1995~1997 年 大 学 に お け る 環 境 コ ー ス の 増 大 ( 循 環 型 社 会 が 唱 え ら れ る ) 2002 年 学 校 に お け る 「 総 合 学 習 」 で 環 境 教 育 、「 京 都 議 定 書 」( 温 暖 化
対 策 )
2003 年 「 環 境 保 全 活 動 ・ 環 境 教 育 推 進 法 」 施 行 2005 年 エ ネ ル ギ ー 環 境 教 育 学 会 設 立
2006 年 チ ー ム マ イ ナ ス 6% 運 動
1.1.3
日 本 に お け る 環 境 学 習 の 実 践日 本 に お け る 環 境 学 習 は 、先 に 述 べ て よ う に 公 害 教 育 、自 然 保 護 教 育 を 源 流 と し た が 、
1.1.2
の 歴 史 で も 挙 げ た よ う に 、 現 在 は 多 様 な 実 践 が 行 わ れ て い る 。こ の 実 践 を 、本 研 究 に 直 接 的 に 関 係 す る 初 等 中 等 教 育 を 中 心 に 体 系 的 に 整 理 す る 。横 浜 国 立 大 学 教 育 人 間 科 学 部 環 境 教 育 研 究 会 『 環 境 教 育 - 基 礎 と 実 践 - 』, 共 立 出
版,2007,p4
初 等 中 等 教 育 に 焦 点 を 当 て 、掘(
2007
)は 現 在 の 環 境 学 習 の 実 践 を 次 の よ う に 分 類 し て い る 12)。① 自 然 を 大 切 に す る ( 自 然 、 生 態 系 、 植 物 )
② 化 学 物 質 に つ い て 考 え る
③ 環 境 負 荷 の 低 減 を 考 え る ( 汚 染 、 省 資 源 ・ リ サ イ ク ル 、 エ ネ ル ギ ー ) ④ 周 囲 の 環 境 へ の 影 響 を 考 え る
⑤ 社 会 と 環 境 対 策 を 考 え る
⑥ 世 界 の 中 で の 日 本 の 役 割 を 考 え る
⑦ 地 球 と 人 間 の 関 わ り を 考 え る
⑧ 地 球 の 歴 史 か ら 現 在 の 環 境 を 考 え る ⑨ 文 明 の 発 達 か ら 環 境 問 題 を 考 え る
具 体 的 な テ ー マ で は 、河 川 の 水 辺 に 住 む 魚 や 野 草 等 の 観 察 や 酸 性 雨 の 測 定 、 廃 油 を 使 っ た 石 け ん づ く り 、ケ ナ フ の 栽 培 な ど 多 岐 に 渡 る 。こ の こ と か ら も 、 今 日 の 環 境 学 習 は 、実 践 を 重 層 的 に 積 み 重 ね て き た 結 果 で あ る こ と が わ か る 。 で は 、こ う し た 分 類 の う ち 、ど の よ う な テ ー マ が 学 校 教 育 に お い て 多 く 実 施 さ れ て い る の で あ ろ う か 。イ ン タ ー ネ ッ ト 上 の 事 例 や 学 会 の 公 開 論 文 等 の 調 査 を 通 じ て 多 く の 環 境 学 習 事 例 を 収 集 、体 系 的 に 整 理 し た デ ー タ ベ ー ス を 構 築 し 、 分 野 別 に 実 施 の 割 合 を 示 す と 、 図
1-1
の よ う な 割 合 に な る 13)。
12)以 下 を 参 照 に 筆 者 が 再 編 し た 。
横 浜 国 立 大 学 教 育 人 間 科 学 部 環 境 教 育 研 究 会 『 環 境 教 育 - 基 礎 と 実 践 - 』, 共 立 出 版,2007,p203~205
2007 2
図
1-1
分 野 別 環 境 学 習 プ ロ グ ラ ム の 分 野 別 の 実 践 割 合実 施 割 合 の 高 い の は 「 生 態 系 へ の 影 響 」 で あ り 、 学 校 で 実 践 さ れ て い る 授 業 の 約
50% に 当 た る 。 こ れ は 、 先 に 挙 げ た 分 類 で は 、 ① 自 然 を 大 切 に す る
( 自 然 、 生 態 系 、 植 物 ) に 該 当 す る 。
他 方 、自 然 体 験 等 の 学 習 が 多 い と い う こ と は 、児 童・生 徒 が 日 常 の 生 活 を 見 直 し 、環 境 問 題 を 考 え る と い う 活 動 は あ ま り 行 わ れ て い な い と い う こ と を 意 味 す る 。環 境 学 習 の 目 的 と し て 、自 然 体 験 や 環 境 問 題 に 対 す る 知 識 の 獲 得 だ け で な く 、日 常 の 生 活 の 中 で 環 境 に 配 慮 し た 行 動 を と る こ と が 求 め ら れ る 中 、単 に 自 然 体 験 だ け で 終 わ ら な い 環 境 学 習 の 開 発・実 践 は 大 き な 課 題 で あ る 。も ち ろ ん 、発 達 段 階 に 応 じ た プ ロ グ ラ ム を 構 成 す る 必 要 は あ る が 、知 識 や 体 験 に 終 わ ら ず 、「 行 動 の 変 容 」 を 目 指 す プ ロ グ ラ ム の 開 発 が 重 要 で あ る と い え る 。
こ う し た 環 境 学 習 の 実 践 は 、体 系 的 に 行 わ れ て い る の で あ ろ う か 。学 校 教 育 で は 、「 環 境 」 と い う 教 科 が 存 在 す る わ け で は な い た め 、 環 境 に 関 係 す る 内 容 を 総 合 学 習 の な か で 扱 わ れ る 。必 然 的 に 教 師 が 教 え る 内 容 は 多 岐 に わ た り 、課 題 も 多 い 。こ う し た 課 題 に つ い て 堀(
2007
)は「 環 境 学 は ア プ ロ ー チ が 多 様 で あ り 、体 系 と し て も 確 立 さ れ て い る も の で は な い の で 、教 え る 内 容生態系への影 響 50%
海洋・水 質汚染
13%
廃棄物処理 問題
13%
地球温暖化 6%
エ ネルギー 枯渇
5%
資源の消費 3%
大気汚染 6%
オゾン層破壊
1% 酸性雨 3%
の 幅 が 広 く な り 、 教 師 に よ る 差 も 大 き く な る と 考 え ら れ る 」 と 指 摘 し 14)、 現 在 の 環 境 学 習 の 実 践 が 体 系 的 に な さ れ て い な い こ と を 問 題 点 と し て 挙 げ て い る 。確 か に 、環 境 と い う 概 念 は 多 様 な ア プ ロ ー チ が 可 能 で あ り 、教 え る 側 の 力 量 に よ り 、扱 う 内 容 や 教 え る 方 法 に 差 が 生 じ る 。こ う し た 状 況 は 、前 述 の よ う に 自 然 体 験 等 の 学 習 が 多 く 行 わ れ て い る こ と か ら も 読 み 取 る こ と が で き る 。
同 様 に 、環 境 学 習 の プ ロ グ ラ ム に つ い て も 、教 え る 側 の 判 断・論 理 で 開 発 さ れ て い る と い う の が 現 状 で あ る 。文 部 科 学 省 も 各 教 科 で の 目 標 を 例 示 し て い る も の の 、具 体 的 な 教 科 で の 環 境 学 習 の 扱 い や プ ロ グ ラ ム の 開 発 方 法 に つ い て は 言 及 し て い な い 。も ち ろ ん 初 期 に は 、多 様 な ア プ ロ ー チ に よ る 実 践 が 積 み 重 ね ら れ る こ と が 重 要 で あ る 。し か し な が ら 、そ う し た 状 況 が あ る 程 度 達 成 さ れ た 状 況 下 で は 、環 境 学 習 を 体 系 的 に 行 う た め に 、こ れ ま で の 環 境 学 習 の 例 を 体 系 的 に 整 理 し 概 観 し た 上 で 、実 践 に 繋 げ る こ と が 求 め ら れ る 。さ ら に 、環 境 学 習 が 学 校 教 育 だ け で な く 、社 会 教 育 な ど で も 行 わ れ て い る こ と を 踏 ま え る と 、環 境 学 習 の 体 系 的 整 理 だ け で な く 、そ う し た 場 面 で の プ ロ グ ラ ム の 開 発 方 法 な ど に つ い て も 検 討 す る 必 要 が あ ろ う 。
1.1.4
環 境 学 習 に お け る グ リ ー ン コ ン シ ュ ー マ ー 育 成 の 必 要 性上 記 の よ う に 、こ れ ま で の 環 境 学 習 は 、自 然 環 境 を 題 材 と し た 実 践 や 環 境 問 題 に 関 す る 知 識 を 教 え る 実 践 が 中 心 で あ っ た 。例 え ば 、地 域 の 川 や 森 林 を 題 材 と し て 学 習 を す す め る 実 践 や 地 球 温 暖 化 や エ ネ ル ギ ー 問 題 な ど に 関 す る 知 識 を 教 師 が 子 ど も に 教 え て い く と い う 実 践 で あ る 。確 か に 、地 域 の 自 然 な ど を 題 材 と す る こ と で 子 ど も た ち が 環 境 に 対 し て 興 味 を 持 つ こ と は あ る で あ ろ う し 、あ る 程 度 の 自 然 体 験 や 環 境 問 題 に 対 す る 知 識 の 獲 得 は 必 要 で あ る 。
し か し な が ら 、環 境 問 題 の 深 刻 化 の 要 因 と し て 、個 人 の 日 常 生 活 が 挙 げ ら れ る 現 在 、将 来 を 担 う 子 ど も 達 に は 自 然 体 験 や 環 境 問 題 に 対 す る 知 識 の 獲 得 だ け で な く 、日 常 の 生 活 の 中 で 環 境 に 配 慮 し た 行 動 を と る こ と が 求 め ら れ る で あ ろ う 。
14)横 浜 国 立 大 学 教 育 人 間 科 学 部 環 境 教 育 研 究 会 『 環 境 教 育 - 基 礎 と 実 践 - 』, 共 立 出 ,2007,p203~205
他 方 、こ う し た 日 常 の 生 活 の 中 で 環 境 に 配 慮 し た 行 動 を と る 消 費 者 の こ と を 、「 グ リ ー ン コ ン シ ュ ー マ ー 」 と 呼 ぶ こ と も 多 く な っ て き て い る 。 グ リ ー ン コ ン シ ュ ー マ ー と は 、
John Elkington
、Julia Hailes
(1988
)が 、ス ー パ ー チ ェ ー ン で の 商 品 の 産 地 、製 品 の 状 況 、廃 棄 物 の 処 理 、環 境 対 策 な ど を 調 査 し 、そ の 結 果 を5
段 階 の 星 で 評 価 し た こ と に よ り 、多 く の 消 費 者 が 環 境 に 配 慮 し た 店 舗 や 商 品 を 選 ぶ よ う に な っ た だ け で な く 、企 業 経 営 者 の 側 も 環 境 問 題 対 策 へ の 努 力 を 払 う こ と に も な っ た こ と が き っ か け で 広 ま っ た 考 え 方 で あ る 15)。日 本 で も 、
1991
年 に 京 都 市 内 の ス ー パ ー マ ー ケ ッ ト の 環 境 対 策 を 調 査 し た 『 か い も の ガ イ ド ・ こ の 店 が 環 境 に い い 』16)が 発 行 さ れ て 以 降 、 注 目 を 集 め る よ う に な っ た 。表1-2
に「 ご み 問 題 市 民 会 議 」が 掲 げ ら れ て い る グ リ ー ン コ ン シ ュ ー マ ー の10
の 原 則 17)を 示 す 。表 1-2 グ リ ー ン コ ン シ ュ ー マ ー の 10 の 原 則 グ リ ー ン コ ン シ ュ ー マ ー10 の 原 則
① 必 要 な も の を 必 要 な 量 だ け 買 う
② 使 い 捨 て 商 品 で は な く 、 長 く 使 え る も の を 選 ぶ
③ 包 装 は な い も の を 最 優 先 し 、次 に 最 小 限 の も の 、容 器 は 再 使 用 で き る も の を 選 ぶ
④ 作 る と き 、 使 う と き 、 捨 て る と き 、 資 源 と エ ネ ル ギ ー 消 費 の 少 な い も の を 選 ぶ
⑤ 化 学 物 質 に よ る 環 境 汚 染 と 健 康 へ の 影 響 の 少 な い も の を 選 ぶ
⑥ 自 然 と 生 物 多 様 性 を 損 な わ な い も の を 選 ぶ
⑦ 近 く で 生 産 ・ 製 造 さ れ た も の を 選 ぶ
⑧ 作 る 人 に 公 正 な 分 配 が 保 証 さ れ る も の を 選 ぶ
⑨ リ サ イ ク ル さ れ た も の 、 リ サ イ ク ル シ ス テ ム の あ る も の を 選 ぶ
⑩ 環 境 問 題 に 熱 心 に 取 り 組 み 、 環 境 情 報 を 公 開 し て い る メ ー カ ー や 店 を 選 ぶ
こ の グ リ ー ン コ ン シ ュ ー マ ー の 定 義 に つ い て は 、 先 に 挙 げ た
10
の 原 則 の
15)John Elkington, Julia Hailes『The Green Consumer Guide』Gollancz,1988
16) ご み 問 題 市 民 会 議 『 か い も の ガ イ ド ・ こ の 店 が 環 境 に い い 』,1991
17) ご み 問 題 市 民 会 議 『 か い も の ガ イ ド ・ こ の 店 が 環 境 に い い 』,1991
他 、 従 来 研 究 と し て 様 々 な 定 義 が な さ れ て い る 18)。 そ の 定 義 を テ キ ス ト マ イ ニ ン グ に よ り 分 析 、分 類 を 行 っ た と こ ろ 、グ リ ー ン コ ン シ ュ ー マ ー が 、「 環 境 負 荷 を 少 な く す る こ と 」を 主 目 的 と し て お り 、特 に「 商 品 を 選 ぶ 」こ と が 重 視 さ れ て い る こ と が 明 ら か に な っ た 。 一 方 で 、「 使 用 」 や 「 廃 棄 」 に 関 す る 定 義 は 少 な い こ と も 明 ら か に な っ た 。図
1-2
に 、テ キ ス ト マ イ ニ ン グ に よ り 分 類 し た グ リ ー ン コ ン シ ュ ー マ ー の 定 義 を 示 す 。
18) 筆 者 は 以 下 の 論 文 、 書 籍 を 分 析 し た 。
John Elkington, Julia Hailes『The Green Consumer Guide』Gollancz,1998 Alice Tepper Marlin『Shopping For a Better World』Ballantine Books、1989 ご み 問 題 市 民 会 議 『 か い も の ガ イ ド ・ こ の 店 が 環 境 に い い 』,1991
グ リ ー ン コ ン シ ュ ー マ ー ネ ッ ト ワ ー ク『 地 球 に や さ し い 買 い 物 ガ イ ド 』講 談 社 、1994 山 田 國 廣 『 エ コ ラ ベ ル と グ リ ー ン コ ン シ ュ ー マ ー リ ズ ム 』 藤 原 書 店 、1995
近 勝 彦 「 グ リ ー ン コ ン シ ュ ー マ リ ズ ム と 企 業 の 環 境 に 対 す る 社 会 的 責 任 」 小 樽 商 科 大 学 商 學 討 究 47、1996
本 間 都 『 グ リ ー ン コ ン シ ュ ー マ ー 入 門 』 北 斗 出 版 、1997
野 田 朗 子 「 環 境 配 慮 型 製 品 の マ ー ケ テ ィ ン グ 戦 略 」 同 志 社 政 策 科 学 研 究 2、2000 齋 藤 實 男 「 情 報 と グ リ ー ン マ ー ケ テ ィ ン グ 」 九 州 産 業 大 学 商 經 論 叢 42、2002 高 岡 伸 行 「 コ ン シ ュ ー マ ー リ ズ ム と グ リ ー ン コ ン シ ュ ー マ ー リ ズ ム 」 長 崎 大 学 東 南 ア ジ ア 研 究 年 報 44、2002
長 棹 香 織 ・ 赤 塚 朋 子 「 グ リ ー ン コ ン シ ュ ー マ ー を 広 め る た め に 必 要 な 教 育 の 課 題 」 宇 都 宮 大 学 教 育 学 部 教 育 実 践 総 合 セ ン タ ー 紀 要 28、2005
2006
図 1-2 テ キ ス ト マ イ ニ ン グ に よ り 分 類 し た 「 グ リ ー ン コ ン シ ュ ー マ ー 」 の 定 義
さ ら に 、テ キ ス ト マ イ ニ ン グ で 得 ら れ た 、キ ー ワ ー ド を 整 理 し 、文 章 化 す る と 以 下 の よ う に な る 。
・「 環 境 に 配 慮 」 し た 「 企 業 」 の 「 商 品 」 や 「 環 境 負 荷 の 少 な い 」「 商 品 」 を 「 必 要 な 」 だ け 「 選 び 」「 購 入 」 す る 。
・「 環 境 負 荷 の 少 な い 」「 使 用 」、「 廃 棄 」 を 実 行 す る 。
・「 企 業 」は「 情 報 を 公 開 」し 、「 消 費 者 」は「 企 業 」に 対 し て「 商 品 」の 使 用 情 報 を フ ィ ー ド バ ッ ク し 、「 協 力 」 関 係 を 構 築 を す る 。
・「 商 品 」 の 「 選 択 」、「 購 入 」 か ら 「 企 業 」 の 行 動 ・ 活 動 を 「 変 え る 」。
分 析 か ら は 、「 使 用 」 や 「 廃 棄 」 に 関 す る 定 義 が 少 な い こ と が 明 ら か に な っ た が 、 今 後 、
EPR(Extended Producer Responsibility
: 拡 大 生 産 者 責 任)
の も と で 、 商 品 の 提 供 者 側 で も 環 境 配 慮 設 計(Design for Environment
:環境
企業 基準
資源
エネルギー
メーカー 使い方
情報 消費
配慮
行動
経済 負荷
容器 包装
協力
公開 購入
使用
生活
大事
問題
生産 近く
商品
選ぶ
買う 必要
作る
取り組む 変える 使う
捨てる
少ない
使える 長い
最も
する
できる
ある リサイクル
人 ない
DFE)
や 使 用 済 み 製 品 の リ サ イ ク ル が 強 化 さ れ る な か で 、 こ う し た 製 品 の 使 用 や 廃 棄 に つ い て も 、消 費 者 が 日 常 的 に 配 慮 し な け れ ば な ら な い 行 動 で あ る こ と を 踏 ま え 、グ リ ー ン コ ン シ ュ ー マ ー の 定 義 を 再 考 し 、以 下 の よ う に 定 義 し た 。① 環 境 に 配 慮 し た 企 業 の 商 品 や 環 境 負 荷 の 少 な い 商 品 を 必 要 な だ け 選 び 、 購 入 す る 。
② 製 品 の 設 計 、 製 造 、 流 通 、 使 用 、 廃 棄 の 過 程 に 関 心 を も つ 。
③ 環 境 負 荷 を 軽 減 す る 使 用 や 廃 棄 を 心 が け る 。
④ 企 業 に 対 し て 情 報 の 公 開 や 環 境 配 慮 設 計 、リ サ イ ク ル な ど の 環 境 活 動 を 行 う よ う 働 き か け る と と も に 、他 の 消 費 者 に 環 境 製 品 の 購 入 や 環 境 配 慮 行 動 の 実 施 を 働 き か け る 。
こ う し た 言 わ ば「 消 費 者 教 育 の 視 点 」に つ い て は 、文 部 科 学 省 も 環 境 教 育 指 導 資 料(
1995
)19)の 中 で 、「 環 境 教 育 は 、消 費 者 教 育 の 視 点 も 併 せ も つ も の で あ る 。日 常 生 活 は 、様 々 な 商 品 を 消 費 す る こ と で 成 り 立 っ て い る 。そ れ ら の 商 品 は 、生 産 、流 通 、消 費 と い う 課 程 を 経 て 廃 棄 さ れ て お り 、そ れ ら の 各 課 程 に お い て 不 要 物 や 汚 染 物 を 出 し て 、環 境 に 負 荷 を 与 え て い る 。( 中 略 ) 消 費 者 に は 環 境 に や さ し い 生 活 様 式 に 根 ざ し た 商 品 選 択 や 意 識 決 定 能 力 を 育 成 し て い く こ と が 必 要 で あ る 」と 述 べ て お り 、単 に 環 境 に 対 す る 知 識 を 身 に つ け る だ け で な く 、消 費 者 と し て 環 境 負 荷 の 軽 減 に 取 り 組 む 必 要 性 を 指 摘 し て い る 。環 境 学 習 の 目 的 と し て 、自 然 体 験 や 環 境 問 題 に 対 す る 知 識 の 獲 得 だ け で な く 、日 常 の 生 活 の 中 で 環 境 に 配 慮 し た 行 動 を と る こ と が 求 め ら れ る 現 在 、初 等 教 育 の 段 階 か ら 、環 境 に よ い 製 品 を 購 入 し 、さ ら に そ の 製 品 を 適 切 に 使 用 す る と い っ た 具 体 的 行 動 が で き る グ リ ー ン コ ン シ ュ ー マ ー を 育 成 す る こ と は 重 要 で あ る 。
1.1.5
日 本 に お け る 環 境 学 習 の 評 価わ が 国 に お け る 環 境 学 習 の「 評 価 」に つ い て 概 観 す る と と も に 、そ の た め の 手 法 等 に 関 し て 検 討 す る 。
こ こ で の 「 評 価 」 で は 、 学 習 効 果 の 評 価 だ け で な く 、 そ の 前 段 の カ リ キ ュ ラ ム や 授 業 内 容 の デ ザ イ ン( 構 成 )の 評 価 も 取 り 上 げ る 。天 野(
2006
)の 以 下 の 定 義 に よ れ ば 20)、 ① が 学 習 効 果 の 評 価 、 ② が 授 業 の デ ザ イ ン の 評 価 と い う こ と に な る 。① 児 童 生 徒 の 成 長 ・ 発 達 を 促 す と い う 教 育 目 標 に か か わ る も の で 、 身 体・健 康 状 態 、学 習 レ デ ィ ネ ス 、興 味・意 欲 、学 力 や 性 格 や 行 動 様 式 の 実 態 と 変 容
② 教 育 目 標 を 達 成 す る の に 直 接 か か わ る 学 校 カ リ キ ュ ラ ム 、教 科 書 や 教 材 、 授 業 を は じ め と す る 教 育 活 動 、 教 師 の 資 質 や 能 力 。
ま ず 、 ① の 学 習 効 果 の 評 価 と い う 側 面 か ら 概 観 す る 。
こ れ ま で 、環 境 学 習 で は 、そ の 目 的 が 達 成 さ れ た か ど う か に つ い て は 、主 に ア ン ケ ー ト や テ ス ト が 用 い ら れ 、そ れ に よ っ て 児 童 の 意 識 や 知 識 の 変 容 が 評 価 さ れ て き た 。例 え ば 、「 環 境 問 題 に つ い て 興 味・関 心 が 高 ま り ま し た か ? 」、
「 水 辺 に 住 む 生 き 物 の 様 子 が わ か り ま し た ? 」と い っ た 問 い で あ る 。こ う し た 評 価 は 、 カ ー ク パ ト リ ッ ク の 四 段 階 評 価 21)の 観 点 か ら 考 え る と 、 下 位 か ら
2
番 目 の 「 学 習 の 評 価 ( 獲 得 さ れ た 知 識 や ス キ ル )」 に 相 当 す る 。 図1-3
に カ ー ク パ ト リ ッ ク の 四 段 階 評 価 を 示 す 。
20) 辰 野 千 壽 , 石 田 恒 好 , 北 尾 倫 彦 『 教 育 評 価 辞 典 』, 図 書 文 化 社 ,2006 p21
21) カ ー ク パ ト リ ッ ク の 評 価 に つ い て は 以 下 を 参 照 .
Kirkpatric,D.L「Evaluating Training Programs-The Leves」Brett-koehler SanFrancisco,1998
図
1-3
カ ー ク パ ト リ ッ ク の 四 段 階 評 価し か し 、環 境 学 習 に お い て 、主 体 的 に 行 動 し 、参 加 す る 力 を 身 に つ け る 児 童 を 育 成 す る こ と が 重 要 な 目 的 と さ れ て い る こ と を 踏 ま え る と 、児 童 の 長 期 的 な 行 動 の 変 容 を 定 量 的 に 評 価 す る 必 要 が あ る 。カ ー ク パ ト リ ッ ク の 四 段 階 評 価 で 言 え ば 、「 行 動 の 評 価( 実 際 の 行 動 の 変 容 )」で あ る 。も ち ろ ん 、目 指 す べ き は 「 結 果 の 評 価 ( 社 会 や 組 織 の 評 価 )」 で あ る が 、 児 童 へ の 学 習 効 果 が 社 会 や 組 織 を 変 え る ま で に は 時 間 が 掛 か る 。初 等 教 育 に お け る 学 習 の 効 果 と 考 え た 場 合 、「 行 動 の 評 価 ( 実 際 の 行 動 の 変 容 )」 ま で が 適 切 で あ ろ う 。
行 動 変 容 の 評 価 に つ い て は 、ア ン ケ ー ト を 用 い た 調 査 も 行 わ れ て い る( 早 渕 、
2008
)22)。 し か し 、 質 問 紙 を 用 い た ア ン ケ ー ト で は 、 対 象 者 の 人 数 や 実 施 の 回 数 の 増 加 に よ っ て 教 員 の 作 業 量 が 増 加 し 、忌 避 さ れ る 可 能 性 も 高 い 。 児 童 の 長 期 的 な 行 動 の 変 容 を 評 価 す る た め に は 、定 量 的 で か つ 教 員 も 簡 便 に 対 応 で き る 評 価 手 法 が 求 め ら れ る 。一 方 、② の カ リ キ ュ ラ ム や 授 業 内 容 の デ ザ イ ン の 評 価 と い う 側 面 に つ い て は 、環 境 学 習 に 限 ら ず 、教 育 方 法 学 や 教 育 工 学 な ど で 研 究 が 行 わ れ て い る 23)。
22 )早 渕 百 合 子 『 環 境 教 育 の 波 及 効 果 』, ナ カ ニ シ ヤ 出 版 ,2008
23 )例 え ば ,イ ン ス ト ラ ク シ ョ ナ ル デ ザ イ ン な ど が 挙 げ ら れ る .詳 し く は 以 下 を 参 照 . Robert M. Gagne, John M. Keller, Katharine C. Golas, Walter W. Wager
「Principles Of Instructional Design」,Wadsworth Pub Co,2004
こ う し た 研 究 で は 、授 業 の デ ザ イ ン に つ い て 、授 業 実 施 者 、学 習 者 の 相 互 評 価 や 第 三 者 の 評 価 に 基 づ き 、授 業 を 教 育 内 容 、教 材 、教 授 行 為 、学 習 環 境 の 視 点 か ら 評 価 す る 必 要 が あ る と さ れ て い る 。環 境 学 習 に つ い て も 、授 業 実 施 者 が 授 業 を ふ り か え り 、授 業 の デ ザ イ ン を 評 価 す る こ と は 多 い 。た だ し 、こ の 場 合 の 評 価 に は 、教 員 自 身 の 環 境 学 習 の 実 践 経 験 に 大 き く 依 存 す る こ と に な り 、経 験 の 浅 い 実 践 初 心 者 で は 、充 分 な 評 価 を 行 う こ と が 難 し い も の と な る 。こ う し た 実 践 初 心 者 が 、ど の よ う に し た ら カ リ キ ュ ラ ム や 授 業 内 容 の デ ザ イ ン の 評 価 を 効 果 的・効 率 的 に 行 え る か と い う 点 は 、今 日 的 課 題 と し て 挙 げ ら れ る 。
1.1.6
環 境 学 習 に 関 す る 海 外 動 向1 ) 欧 米 諸 国 に お け る 環 境 学 習 プ ロ グ ラ ム と 推 進 体 制
以 上 で わ が 国 の 環 境 学 習 の 歴 史 や 動 向 を 述 べ て き た が 、今 後 の 展 開 に は 海 外 動 向 を 知 る こ と は 重 要 で あ る 。
欧 米 諸 国 が 学 校 教 育 に お い て 、環 境 学 習 を ど の よ う に 位 置 づ け て い る か を 、 ス ウ ェ ー デ ン 、 ア メ リ カ 合 衆 国 の 事 例 で 見 て お く こ と に す る 24)。 ま ず 国 別 に 、環 境 学 習 に 積 極 的 に 取 り 組 む に 至 っ た 歴 史 、関 連 す る 法 律 な ど を 整 理 す る 。各 国 の 憲 法 や 教 育 関 連 法 に は 、表 現 方 法 は 様 々 で あ る が 、環 境 学 習 の 推 進 に 関 す る 規 定 が 盛 り 込 ま れ て い る 。 こ れ ら の 法 律 で は 、「 環 境 学 習 」 と い う 用 語 は 使 用 さ れ て い な い が 、「 生 態 系 へ の 理 解 」、「 人 間 と 自 然 と の 相 互 作 用 の 認 識 」な ど と 表 現 す る と と も に 、環 境 学 習 を 受 け た も の に 対 し て は 、民 主 主 義 社 会 に 則 り 、環 境 問 題 の 解 決 に 向 け て 、社 会 的 な 行 動 を と る よ う に 求 め て い る 記 述 が な さ れ て い る 。
2 ) ス ウ ェ ー デ ン に お け る 環 境 学 習 プ ロ グ ラ ム と 推 進 体 制
ス ウ ェ ー デ ン を は じ め と す る 北 欧 諸 国 は 、森 や 湖 な ど 美 し い 自 然 に 恵 ま れ 、 古 く か ら こ う し た 自 然 と ふ れ あ う こ と が 根 付 い て お り 、自 然 享 受 権 が 基 本 的 人 権 と し て 法 的 に も 確 立 し て い る 。 と こ ろ が 北 欧 諸 国 で は 、
1960
年 代 頃 か ら 酸 性 雨 が 深 刻 な 問 題 と な り 、酸 性 雨 に よ っ て 美 し い 森 は 枯 れ 、湖 は 魚 の 住
24)以 下 を 参 照 し た .
佐 島 群 巳 ・ 中 山 和 彦 『 世 界 の 環 境 教 育 』 国 土 社 、1993
め な い 死 の 湖 と な る 経 験 を も っ た 。特 に ス ウ ェ ー デ ン は 、酸 性 沈 着 物 に よ る 自 然 生 態 系 へ の 被 害 が 初 め て 記 録 さ れ た 国 で あ り 、 こ れ を 受 け て 早 く も
1967
年 に 環 境 保 護 庁 を 設 置 し て い る 。1970
年 代 に は い る と 、教 育 の 分 野 で も「 環 境 」と い う 概 念 が 確 立 す る 。こ こ で い う 環 境 と は 、人 間 と 自 然 の 関 係 を 指 し 、ス ウ ェ ー デ ン で「 環 境 を 教 え る 」と い え ば 、人 間 が 自 然 に ど の よ う な 影 響 を 与 え る か を 教 え る こ と を 意 味 す る 。 さ ら に1972
年 、 国 連 人 間 環 境 会 議 が 、ス ウ ェ ー デ ン の 首 都 ス ト ッ ク ホ ル ム 市 で 開 催 さ れ 、こ の こ と が き っ か け と な っ て 環 境 学 習 が 一 層 推 進 さ れ る こ と に な っ た 。1986
年 に は 、 チ ェ ル ノ ブ イ リ 原 発 事 故 を 経 験 し た こ と も あ り 、ス ウ ェ ー デ ン で は 環 境 問 題 の 解 決 に 向 け て 環 境 学 習 が 積 極 的 に 進 め ら れ て い る 23)。 ス ウ ェ ー デ ン に お け る 環 境 学 習 の 歴 史 を 表1-3
に 示 す 。表
1-3
ス ウ ェ ー デ ン に お け る 環 境 学 習 の 歴 史年 代 事 項
1968 年 学 校 庁 は 、「 学 校 に お け る 環 境 学 習 委 員 会 」を 発 足 さ せ 、学 校 教 育 に お い て 本 格 的 な 環 境 学 習 を 始 め る 。
1970 年 環 境 学 習 を 義 務 教 育 の カ リ キ ュ ラ ム に 取 り 入 れ る 。
1972 年 ス ト ッ ク ホ ル ム 市 で 開 催 さ れ た 国 連 人 間 環 境 会 議 が き っ か け と な り 、 環 境 学 習 が さ ら に 推 進 さ れ る 。
1985 年 教 育 法 の 中 で 、 教 員 だ け で は な く 学 校 で 働 く す べ て の 人 は 、 個 人 と 環 境 の 価 値 を 尊 重 す る こ と を 奨 励 し な け れ ば な ら な い こ と が 明 記 さ れ る 。
1993 年 学 校 法 が 改 正 さ れ 、 義 務 教 育 全 科 目 の 中 で 環 境 学 習 が 行 わ れ る こ と に な る 。
1994 年 国 の 定 め る 教 育 課 程 の 中 で 、 す べ て の 科 目 に 環 境 学 習 が ど の よ う に 扱 わ れ れ る べ き か が 明 記 さ れ る 。
23)学 校 法 第 2 条 に は , 次 の よ う に 示 さ れ て い る .
「 教 員 は , す べ て の 人 間 は お 互 い の 固 有 価 値 を 尊 重 し , 私 た ち の 共 通 の 環 境 を 大 切 に す る こ と を 生 徒 に 教 え な け れ ば な ら な い 」
ス ウ ェ ー デ ン の 教 育 科 学 省 で は 、 ナ シ ョ ナ ル カ リ キ ュ ラ ム
(
シ ラ バ ス)
と 学 科 計 画 を 作 成 し て い る 。 こ の ナ シ ョ ナ ル カ リ キ ュ ラ ム や 学 科 計 画 を 見 る と 、 ス ウ ェ ー デ ン の 学 校 教 育 で は 、各 教 科 の 中 で 環 境 学 習 を 実 施 す る こ と と し て い る 。こ こ で は 、教 育 科 学 省 が 作 成 し た ナ シ ョ ナ ル カ リ キ ュ ラ ム の う ち 環 境 学 習 に 関 わ る 部 分 を 以 下 に 示 す 。【 ナ シ ョ ナ ル カ リ キ ュ ラ ム 】
す べ て の 科 目 の 授 業 で は 、生 徒 た ち に 全 体 像 を 把 握 さ せ る こ と が 重 要 で あ る 。環 境 保 全 に つ い て は 、生 徒 た ち が 直 接 影 響 を 与 え て い る 環 境 に 対 し て 責 任 を 持 つ と 同 時 に 、地 球 的 な あ る い は 総 体 的 な 環 境 問 題 に つ い て 自 分 の 意 見 を 持 つ よ う に 指 導 す る こ と が 大 切 で あ る 。授 業 で は 、社 会 を 調 和 の と れ た 形 で 持 続 的 に 発 展 さ せ る た め に 、社 会 の 機 能 と 私 た ち の 生 活 と 労 働 を 、ど の よ う に お 互 い に 調 整 す れ ば よ い か を 理 解 さ せ な け れ ば な ら な い 。
一 方 、中 等 教 育 以 下 の 段 階 の 教 育 の す べ て は 、市 町 村 が 直 接 管 轄 し て い る 。 市 町 村 で は 国 が 定 め る 法 令 や 指 針 な ど に 従 っ て 、市 町 村 独 自 の ス ク ー ル プ ラ ン を 策 定 す る 。学 校 は こ の ス ク ー ル プ ラ ン を 受 け て 学 校 独 自 の ロ ー カ ル プ ラ ン
(
授 業 計 画)
を 作 成 す る 。 ス ト ッ ク ホ ル ム 市 の ス ク ー ル プ ラ ン で は 、 す べ て の 学 校 が 、個 々 に 学 校 独 自 の ア ジ ェ ン ダ21(
環 境 行 動 計 画)を 作 る こ と を 定 め て い る 。 こ れ は 、1992
年 に ブ ラ ジ ル で 開 催 さ れ た 国 連 会 議 で あ る 「 環 境 と 開 発 に 関 す る 国 連 会 議(
地 球 サ ミ ッ ト)
」 で 採 択 さ れ た 「 環 境 と 開 発 に 関 す リ オ 宣 言 」 と 環 境 保 全 の た め の 具 体 的 行 動 計 画 で あ る 「 ア ジ ェ ン ダ21
」 を 取 り 入 れ た も の で あ る 。 学 校 ア ジ ェ ン ダ21
と は 、 児 童 が 一 定 の 時 間 、 共 同 生 活 を 送 っ て い る 学 校 も ひ と つ の 社 会 と し て 捉 え 、計 画 を 立 て 環 境 に 付 加 を 与 え な い よ う に 行 動 し て い く と い う も の で あ る 。児 童 も 学 校 と い う 社 会 の 構 成 員 の 一 人 と し て 、責 任 を 持 っ て 行 動 し て い く こ と が 求 め ら れ 、環 境 学 習 の ひ と つ の 有 効 な 手 法 と し て 、さ ら に 国 際 社 会 の 一 員 と し て 国 際 的 義 務 を 果 た す 経 験 を す る と い う 意 味 も 持 っ て い る 。「 学 校 ア ジ ェ ン ダ
21
」 に は 、 学 校 内 で の 実 際 の 消 費 活 動 を 省 み て 、 ど こ を 改 善 で き る か を 具 体 的 に 挙 げ て い る 。ま た 各 教 科 内 で は 、ど の 科 目 に 重 点を 置 い て 環 境 学 習 を 進 め て い く か も 示 さ れ て い る 。そ れ ぞ れ の 目 標 に は 、責 任 者 や 評 価 者 も 決 め ら れ て お り 、実 効 性 の 高 い も の と な っ て い る 。図
1-4
に ス ウ ェ ー デ ン ・ ス ト ッ ク ホ ル ム 市 に お け る 環 境 学 習 の 推 進 体 制 を 示 す 。図
1-4
ス ト ッ ク ホ ル ム に お け る 環 境 学 習 の 推 進 体 制3 ) ア メ リ カ 合 衆 国 に お け る 環 境 学 習 プ ロ グ ラ ム と 推 進 体 制
ア メ リ カ に お け る 環 境 学 習 の 目 的 は 、
1970
年 に 成 立 し た 全 米 環 境 学 習 法 に「 環 境 学 習 と は 、人 間 を と り ま く 自 然 及 び 人 為 的 環 境 と 人 間 と の 関 係 を 取 り 上 げ 、そ の 中 で 、人 口 、汚 染 、資 源 の 配 分 と 枯 渇 、自 然 保 護 、運 輸 、技 術 、 都 市 や 田 舎 の 開 発 計 画 な ど が 、人 間 環 境 に 対 し て ど の よ う な 関 わ り を 持 つ か を 理 解 さ せ る た め の プ ロ セ ス で あ る 」と 明 記 さ れ て い る 。こ う し た 法 律 で は 、 単 に 環 境 学 習 に お け る 理 念 法 で な く 、今 後 、環 境 学 習 を ど の よ う に 推 進 し て い く か と 行 っ た 具 体 的 な 計 画 な ど が 盛 り 込 ま れ て い る 。一 方 、ア メ リ カ の 教 育 シ ス テ ム で は 、連 邦 省 庁 が 通 常 は 、地 域 の 学 校 の 政 策 や 教 育 カ リ キ ュ ラ ム の 策 定 に は 関 与 し な い 。教 育 に 関 す る 権 限 は 、州 や さ ら に 小 単 位 の 学 校 区 に 委 ね ら れ て い る 。 教 育 カ リ キ ュ ラ ム な ど に 関 し て は 、 州 あ る い は 学 校 区 ご と に ガ イ ド ラ イ ン が 作 成 さ れ る が 、そ れ も 法 的 拘 束 力 を 持 つ も の で は な い 。 ア メ リ カ で は 、 授 業 内 容 や 教 科 書 ・ 教 材 の 選 定 も 含 め 、 現 場 の 教 員 の 裁 量 が 大 き い 。ア メ リ カ 合 衆 国 の ウ ィ ス コ ン シ ン 州 に お け る 環 境 学 習 の 歴 史 を 表
1-4
に 示 す 。表
1-4
ア メ リ カ ウ ィ ス コ ン シ ン 州 に お け る 環 境 学 習 の 歴 史年 代 事 項
1800年 代 後 半 ア メ リ カ 合 衆 国 で 自 然 学 習 や 野 外 学 主 が 行 わ れ る 。
1935 年 ウ ィ ス コ ン シ ン 州 が 、 全 米 で 初 め て 、 観 光 保 全 に 関 す る 教 育 を 子 ど も た ち に 行 う よ う 議 決 。
1970 年 全 米 環 境 学 習 法 が 制 定 さ れ る (1982 年 廃 止 )
1983 年 ウ ィ ス コ ン シ ン 州 が 、 小 学 校 お よ び 農 業 、 科 学 、 社 会 の 教 員 の 資 格 を 取 得 す る 試 験 で 環 境 学 習 を 必 修 に す る 。
1985 年 ウ ィ ス コ ン シ ン 州 が 、 週 内 の 全 学 校 区 に 対 し て カ リ キ ュ ラ ム プ ラ ン を 作 成 す る 際 に は 環 境 学 習 を 含 め る こ と を 義 務 づ け る 。
1989 年 ウ ィ ス コ ン シ ン 州 で は 、 州 内 に 環 境 学 習 委 員 会 を 設 置 す る こ と 、 環 境 学 習 プ ロ グ ラ ム に 対 し て 助 成 金 を 交 付 す る こ と と 、 州 立 ウ ィ ス コ ン シ ン 大 学 ス テ ィ ー ブ ン ポ イ ン ト 校 に 環 境 学 習 を 目 的 と し た セ ン タ ー を 設 置 す る こ と を 定 め た 法 律 を 制 定 す る 。
1990 年 全 米 環 境 学 習 法 ( 現 行 法 ) が 制 定 さ れ る 。
ウ ィ ス コ ン シ ン 州 で は 、
1989
年 に 環 境 学 習 を 支 援 す る た め に 州 内 に 環 境 学 習 委 員 会 を 創 設 す る こ と 、環 境 学 習 に 対 し て 助 成 金 を 交 付 す る こ と 、州 立 ウ ィ ス コ ン シ ン 大 学 ス テ ィ ー ブ ン ス ポ イ ン ト 校 に 環 境 学 習 セ ン タ ー を 設 立 す る こ と を 定 め た 法 律 を 制 定 し た 。環 境 学 習 セ ン タ ー は 、初 等 中 等 教 育 の 教 員 、児 童 の た め の 環 境 学 習 プ ロ グ ラ ム の 開 発 、普 及 、実 施 お よ び 評 価 を 支 援 す る た め の 施 設 で あ る 。他 方 、 連 邦 レ ベ ル で は
1990
年 に 全 米 環 境 学 習 法 が 定 め ら れ 、 環 境 保 護 庁(
EPA
)が リ ー ダ ー シ ッ プ を と っ て 環 境 学 習 を 推 進 し て い く こ と が 定 め ら れ た 。こ の 法 律 の 目 的 は 、内 容 面 で は 環 境 に 関 す る 国 民 の 理 解 を 深 め る と と も に 環 境 学 習 と 指 導 者 の ト レ ー ニ ン グ を 進 め 、ま た 政 策 面 で は 、す べ て の 州 に お い て 環 境 学 習 の プ ロ グ ラ ム を 確 立 さ せ 、実 施 を 支 援 す る こ と で あ る 。具 体 的 に は 、環 境 保 護 庁 内 に 環 境 学 習 課 を 設 け て 、環 境 学 習 と 指 導 者 の 研 修 の 場の 設 立 と 運 営 の た め に 、 高 等 教 育 機 関 、 環 境
NGO
ま た は こ の よ う な 機 関 の 助 成 金 や 協 力 契 約 を 、組 合 に 授 与 す る 役 割 を 持 た せ た 。同 様 に 、民 間 が 環 境 学 習 に 対 し て 資 金 提 供 を 行 う こ と を 促 進 し 、ま た 、環 境 学 習 と 指 導 者 の 研 修 を 世 界 的 に 推 し 進 め 、環 境 意 識 の 向 上 を 図 る た め に 、全 米 環 境 学 習 研 修 基 金 を 設 立 す る な ど 、 ア メ リ カ 合 衆 国 の 場 合 、 学 校 教 育 機 関 以 外 のNGO
や 民 間 が 積 極 的 に 環 境 学 習 推 進 に 携 わ っ て い る 。以 上 、主 に ス ウ ェ ー デ ン 、ア メ リ カ 合 衆 国 の 事 例 を 中 心 に 海 外 の 動 向 を 概 観 し た 。環 境 学 習 に 限 ら ず 、海 外 の 教 育 シ ス テ ム と 日 本 の 教 育 シ ス テ ム に は 違 い が 大 き い も の の 、特 に 環 境 学 習 の 普 及 と い う 面 に お い て は 、海 外 の 環 境 学 習 の 推 進 方 法 は 示 唆 に 富 ん で い る 。
1.2
本 研 究 の 目 的本 研 究 で は 、社 会 教 育 及 び 初 等 中 等 教 育 に お い て 、環 境 学 習 を 体 系 的 に 整 理 す る と と も に 、環 境 に 配 慮 し た 行 動 を 促 進 で き る グ リ ー ン コ ン シ ュ ー マ ー の 育 成 を 目 指 し た 環 境 学 習 の プ ロ グ ラ ム の 開 発・実 践 と そ の 評 価 手 法 の 開 発 を 行 う こ と 目 的 と す る 。
ま ず 、環 境 学 習 の 体 系 的 整 理 つ い て は 、現 在 、多 様 な 環 境 学 習 プ ロ グ ラ ム が 全 国 的 に 実 施 さ れ て お り 、そ の 事 例 は 書 籍 や イ ン タ ー ネ ッ ト な ど で 多 数 紹 介 さ れ て い る も の の 、そ れ ら の 体 系 的 な 整 理 は な さ れ て い な い 。そ こ で 、環 境 学 習 プ ロ グ ラ ム を 効 率 よ く 実 施 し 評 価 方 法 を 確 立 す る た め に 、数 多 く あ る 事 例 を 調 査 す る こ と で 体 系 的 整 理 を 行 い 、環 境 学 習 プ ロ グ ラ ム の デ ー タ ベ ー ス を 構 築 す る 。
次 に 、環 境 学 習 プ ロ グ ラ ム の 開 発 に つ い て は 、予 め 応 募 者 を 募 り 一 定 時 間 を 区 切 り 実 施 す る イ ベ ン ト 型 と 、自 由 に 往 来 す る 人 が 興 味 を 持 っ た ら 参 加 す る ブ ー ス 型 、さ ら に 小 学 校 等 の 団 体 に 出 前 教 室 を 行 う ス ク ー ル 型 の
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つ の 実 施 形 式 に 合 わ せ た 環 境 学 習 プ ロ グ ラ ム 開 発 の 手 法 を 検 討 す る 。ま た 、環 境 学 習 プ ロ グ ラ ム の 開 発 だ け で な く 、プ ロ グ ラ ム で 用 い る た め の 教 具 に つ い て も 開 発 を 行 い 、 そ の 開 発 手 法 を 検 討 す る 。最 後 に 、評 価 に つ い て は 、プ ロ グ ラ ム の デ ザ イ ン の 評 価 と 学 習 効 果 の 評 価 の
2
つ に 分 け て 検 討 す る 。ま ず 、プ ロ グ ラ ム デ ザ イ ン の 評 価 に つ い て は 、実 践 初 心 者 の た め の 授 業 構 成 の 評 価 と い う 点 に 重 点 を 置 き 、環 境 学 習 プ ロ グ ラ ム デ ザ イ ン の 評 価 を 行 う シ ス テ ム の 開 発 を 行 う 。ま た 、学 習 効 果 の 評 価 に つ い て は 、従 来 の ア ン ケ ー ト や テ ス ト を 用 い た 子 ど も た ち の 意 識 や 知 識 の 変 容 を 評 価 す る 方 法 で は な く 、環 境 学 習 プ ロ グ ラ ム の 成 果 を 、子 ど も た ち の 長 期 的 な 環 境 配 慮 行 動 の 変 容 と い う 視 点 で 定 量 的 に 評 価 す る シ ス テ ム の 開 発 を 行 う 。 図1-5
に 研 究 目 的 を 示 す 。図
1-5
研 究 目 的以 下 に 、 こ れ ま で 述 べ た 個 別 の 研 究 項 目 の 目 的 を 記 す 。
1
) 環 境 学 習 プ ロ グ ラ ム を 体 系 的 に 整 理 し 、 デ ー タ ベ ー ス を 構 築 す る 。 さ ら に 、作 成 し た デ ー タ ベ ー ス を も と に 、特 に 実 践 初 心 者 を 対 象 に 活 用 を 検 討 し 、 実 践 初 心 者 向 け の デ ー タ ベ ー ス の 活 用 方 法 を 提 案 す る 。2
) 環 境 学 習 プ ロ グ ラ ム の 開 発 及 び プ ロ グ ラ ム で 用 い る た め の 教 具 の 開 発を 行 う 。 さ ら に 開 発 の 手 法 に つ い て も 検 討 を 行 う 。
3
) 環 境 学 習 の 評 価 を 、 プ ロ グ ラ ム の デ ザ イ ン の 評 価 と 学 習 効 果 の 評 価 の2
つ に 分 け て 検 討 す る 。プ ロ グ ラ ム の デ ザ イ ン の 評 価 に つ い て は 、実 践 初 心 者 の た め の デ ザ イ ン の 評 価 と い う 点 に 重 点 を 置 き シ ス テ ム の 開 発 を 行 う 。学 習 効 果 の 評 価 に つ い て は 、子 ど も た ち の 環 境 配 慮 行 動 の 変 容 と い う 視 点 で 定 量 的 に 評 価 す る シ ス テ ム の 開 発 を 行 う 。4
) 開 発 し た プ ロ グ ラ ム 及 び 教 具 を 用 い 、 社 会 教 育 、 初 等 中 等 教 育 に お い て 実 践 し 、 そ の 成 果 を 定 量 的 に 評 価 す る 。環境学習プログラム及び 教具の開発
開発
プログラムのデザイン及び 学習効果の評価手法の開発 活 用
データベースの構築
学習プログラムDB 学習教具DB
活用方法の提案 DBの分析
評価
環境配慮行動を実践できるグリーンコンシューマーの育成
学校教育・社会教育における各実施形式での実践・包括的評価 実践