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博士(医学)黛 彖恭 学位論文題名

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Academic year: 2021

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     博士(医学)黛   彖恭 学位論文題名

Glioma 細 胞に おけ る Dopamine D2 受容体アゴニスト による Vascular Endothelial Growth Factor (VEGF)

産生の制御およびその作用機序について 学位論文内容の要旨

悪性腫瘍の成長には,血管新生が重要な役割を担っている.急速な腫瘍の成長に伴う低酸 素 ・低 栄養など の特殊 な内部環 境がVEGF (Vascular Endothelial Grow山Factor),

bFGF(basic Fibroblast Growth Factor)などの血管新生因子を誘導し,血管新生が促進され ることは広く知られている,種々の血管新生因子のなかでも,主要な役割を果たすVEGFお よびそ の受容体に関する様々な研究がなされており,VEGFの発現調節が主に低酸素誘導 因子(HIF: hypoxia‑inducible factor)を介することがこれまでの研究で明らかになった,

神経膠 腫gliomaにおけるVEGFの発現は組織学的悪性度と相関し,悪性神経膠腫は全固形 腫瘍の中でもっとも血管新生能の高い腫瘍である.抗血管新生因子を用いた治療法の開発 も 広 く 行 わ れ て お り , す で に い く っ か の 薬 剤 は 臨 床 治 験 が 行 わ れ て い る . dopamlneあるいはdopamine受容体アゴニス卜が抗血管新生作用をもつことはあまり知ら れてい なぃ.2000年にdopamineお よびdopamineD2受 容体ア、 ゴニス卜はマウスの卵巣 癌細胞において血管新生抑制効果を示し,その機序は,dopamineD2受容体アゴニストが血 管表面 のVEGF受容 体(VEGF.R2)の内在 化・リ サイクリ ングを抑制し,VEGFとVEGFR2 の相互 作用を阻害することによると報告された.glioma細胞に対するdopamineD2受容体 アゴニス卜の血管新生作用に対する作用については,まだ知られていなぃ.本研究では,

dopamineD2受容体アゴニス卜として知られるbromocriptme(2.bromo.ば゛ergocryptine methanesulfonatesalt)に注目した,本薬剤のグリオーマ細胞における血管新生能に与える 作用およびその機序について検討した.

ま ず、 組織学的 にグリ オーマと 診断さ れた10手術 検体に おけるD2受 容体の 発現をPCR 法で検討したところ、5検体でD2受容体の発現が確認された。このうち、悪性度の最も高 いglioblastomaでは7検体中4検体で陽性であったが、グリオーマにおいて悪´陸度が高く なるにっれ血管新性能も高くなるとされることから検討に用いた手術検体中に血管構成細 胞成分が混入している可能性も考えられた。っぎにグリーマ細胞でのD2受容体の発現を同 様にPCR法で検討したところ,全16細胞株のうち4種類でD2受容体が発現していた.この う ち も っ と もVEGF蛋 白 の 発 現 の 強か っ たU87MG細胞 株 を 以降 の 実 験で 利 用 した ,   ま ずD2受 容 体 アゴ ニ ス 卜で あ るbromocriptineをU87MG細胞に 暴露した 場合のVEGF 蛋白.mRNAの発現をELISA法)Northemblot法によりそれぞれ検討した,bromocritpt泣e はVEGF蛋白 .mRNAのい ずれも 抑制した .また低 酸素濃 度下で細胞を培養した場合、こ の抑制 がさらに強まり,bromocriptneは低酸素条件でのVEGF発現の作用過程になんらか の影響 を及ぼ している と推測さ れた, 蛋白.mRNAの抑制の 程度はほぼ同程度であり、

bromocriptineによるVEGF発現の抑 制には転写後の調節はあまり関与していないと推測 された。VEGF遺伝子の上流の配列を利用したルシフェラーゼアッセイでは,bromocriptine がHRE(hypoxiaresponsibleelement) と呼ば れる配列 の有無 によりVEGFの 転写活 性 が有意に変化し、bromocriptineは特にこの配列に作用する可能性が高いと考えられた,

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学位論文審査の要旨

     学位論文題名

Glioma 細胞におけるDopamine D2 受容体アゴニスト による Vascular Endothelial Growth Factor (VEGF)

産生の制御およびその作用機序について

   悪性腫瘍の成長には,血管新生が重要な役割を担っている,急速な腫瘍の成長 に伴う低酸素・低栄養などの特殊な内部環境が血管新生因子を誘導する.種々の 血管新生因子のなかで主要な役割を果たすVEGF およびVEGF 受容体に関する様々 な研 究 がな さ れて お り, VEGF の 発現 調 節が 主 に低 酸 素誘導因 子( HIF : hypoxia −inducible factor) を介することがこれまでに明らかになった.神経膠 腫glioma におけるVEGF の発現は組織学的悪性度と相関し,悪性神経膠腫は全固 形腫瘍の中でもっとも血管新生能の高い腫瘍である.抗血管新生因子を用いた治 療法の開発も広く行われているが,dopamine 受容体アゴニストが抗血管新生作 用をもつことはあまり知られていない.2000 年にdopamine およびdopamineD2 受容体アゴニストはマウスの卵巣癌細胞において血管新生抑制効果を示し,その 機序は,dopamine D2 受容体アゴニストが血管表面のVEGF 受容体(VEGF ーR2) の内 包化の促進し,VEGF と VEGFR2 の相互作用を阻害することによると報告された,本 研究ではI dopamine D2 受容体アゴニストとして知られるbromocriptine に注目 し,本薬剤のグリオーマ細胞における血管新生能に与える作用およびその機序に ついて検討した,

   グリーマ細胞での D2 受容体の発現をPCR 法で検討したところ,全16 細胞株の うち4 種類でD2 受容体が発現していた,このうちもっともVEGF 蛋白の発現の強 かった U87MG 細胞株を以降の実験で利用した,bromocriptine をU87MG 細胞に暴 露した場合のVEGF 蛋白. mRNA の発現をELISA 法,Northern blot 法によりそれぞ れ検討したところ,VEGF 蛋白.mRNA のいずれも抑制された.また低酸素濃度下で 細胞を培養した場合はこの抑制がさらに強まり,bromocriptine は低酸素条件で のVEGF 発現の作用過程になんらかの影響を及ぼしていると推測された.さらに VEGF 遺 伝 子 の 上 流 の 配 列 を 利 用 し た ル シ フ ェ ラ ー ゼ ア ッ セ イ で は,bromocriptine がHRE と呼ばれる配列に作用する可能性が高いと考えられた.

雄 郎

輝 和

崎 橋

岩 石

授 授

教 教

査 査

主 副

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VEGFの 発現はお もにHIFー1に より調節 されており,低酸素濃度条件ではHIF‑1の 発現が増加し,逆に分解は抑制される.さらにHIFー1の活性化も誘導される.その 結果,HエF一1がHREに結合し,VEGFの転写を亢進させる.bromocriptineがこの調節 過 程のどこ に作用するか調べるためにWestern blot法,免疫沈降法を行った.低 酸 素条件で 培養したU87MG細胞にお いて,bromocriptineの投 与によりMAPKのり ン 酸化が抑 制され, その下流 のpathwayであるHIFーlaの活性化 が抑制されると 考 えられた ,またHIF‑1の 分解はbromocriptineの 投与による 影響は受 けなかっ た . bromocriptineのglioma細胞 における 抗血管新 生作用は情 報伝達系(MAPK) の 抑制によ り,HIF―laの 活性化,VEGFの転写活性などのMAPKよりも下流の系が 抑 制 さ れる .bromocriptineは腫瘍で のVEGF産生の 抑制と, 血管表面のVEGFR2 の 内包化の 促進・リ サイクリ ングの抑制 という2つの機序で抗血管新生作用を有 す ると推測 される,公開発表において石橋輝雄哲也教授より,抗血管新生薬とし てD2―agonlstを選ん だ理由やVEGFの転写活 性の変化を調べたLuciferase assay に 使用した コンストラクトの配列の詳細に関してなどの質問があった,次いで長 島 和郎教授 より,glioma細 胞株での 他の血管新 生因子発 現の程度 やMAPKの活性 化 とHIF―laの活 性 化 の関連 に関する 質問があ った.最後 に,岩崎 喜信教授 よ り ,D2受 容 体 の 手 . 術 検 体 で の 発 現 率 と 組織 学 的悪 性 度 との 関 連の 有 無 や D2−agonistを脳腫瘍 患者に投 与した場 合に期待できる効果についての質問があ っ た.いず れの質問に対しても,申請者らは自らの研究に基づく経験や過去の論 文 の 内 容 を 引 用 し , 豊 富 な 知 識 に 基 づ ぃ て 明 解 に 解 答 し た .   こ の 論 文 はD2 ‑agonistのghoma細 胞 に おけ るVEGF産生 に 対 する 抑 制 効果 を 明 ら かに し ,そ の 機 序がMAPKの活 性化の低 下によるHIF.1Qの活性低 下にあ る ことを明 らかにし た点が高 く評価され ,今後のD2.agnositの抗血管新生薬と しての研究に応用できるものと期待される.

  審 査員一同 はこれらの成果を高く評価し,大学院課程における研鑚や単位取得 な ども併せ 申請者が博士(医学)の学位を受けるのに充分な資格を有するものと 判定した.

参照

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