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博士(医学)宮崎恭介 学位論文題名

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Academic year: 2021

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(1)

     博士(医学)宮崎恭介 学位論文題名

Gianturco Stents for the Venous System:

       A Detailed Pathological Study

(Gianturco Stentの 静脈 系留 置に関する病理学的検討)

学位論文内容の要旨

【目的】

  Gianturco stentは1985年 に 開 発 さ れ て 以 来 、 上 大 静 脈 症 候 群 や 他 の 静脈 系の 閉塞 病 変に 臨床 応用 され、比較的良好な治療成績が報告されてきた。しかし今日まで、静脈系 に 対 す るstent留 置 後 の 病 理 学 的 な 変 化 に つ い て の 研 究 はほ と ん ど さ れ て い な ぃ 。   そ こ で 本 研 究 では 、Gianturco stentの静 脈系 血管 への 留置 の安全 性と 有用 性を 確認 す るこ とを 目的 として、開存成績及び病理学的変化を動脈系血管への留置と比較しつつ検 討 した 。

【 材 料 と 方 法 】

  動 物 は8ー12kgの ビ― グル 犬12頭を 使用 した 。す べて の実 験は 北海道 大学 医学 部『 動 物 実験 に関する指針』に従って行った。全身麻酔下に実験犬を開腹し、下大静脈、門脈、

腹 部大 動脈を剥離露出し、以下の2群を作成レた・o stent群は下大静脈、門脈、腹部大動 脈 に そ れ ぞ れ 直 径10mm、8mm、6mmのGianturco−RoeschZ一stent(Cook社 製 ) を stent径 のO.9倍 とな る部 位に 直接 留置 した 群、control群 は下 大静脈、門脈、腹部大動 脈 にそ れぞ れ同 様の手 術操 作を 行う もstent留置を しな ぃ群 とし 、両群とも各6頭作成し た 。評 価方 法は モデル 作成4週 後に 犬を 犠牲 死させ 、stent留置 血管及ぴ留置相当部の血 管 を摘 出し、開存の有無、組織治癒を評価した。肉眼的観察、Hemotoxylin一eosin(HE) 染 色、Elastica van Gieson染 色、 抗ば‑actin抗体 染色 、抗Factor―V工工工抗体染色に よ る 組 織 学的 検討 を行 った 。さ らにstent群で は各 血管 のstent埋 没部 の内 腔か らstent 直 上ま での 距離 を内腔 一stent聞距 離と して 測定、control群で は各血管の内膜厚、中膜 厚 を測 定し 、各 群のmean土SDを 求め た。 有意 差検 定に はMann―WhitneyU―testを用い、

pくO.05を 有意 差あり とし 両群 間で 比較 した 。

【結果】

  開 存成 績:stent群、control群と もに 下大静 脈、 門脈 、腹 部大 動脈 の各 血管で全例開 存し た。stent群で は各留置血管でstentの移動、血管壁の貫通所見は認められなかった。

(2)

  肉 眼的 観察 :stent群 の下 大静 脈、 門脈 ではstentは血 管壁 に完 全に埋没し、白色透明 な新 生内 膜が 均一 にstent表 面を 被覆 した 。― 方、 腹部 大動 脈で は薄い新生内膜がstent 表 面 を 被覆 して いる もの の、stentの埋 没は 不完 全で ワイ ヤ― 周囲やbent部に 血栓 付着 を 認 め た。control群 では 各血 管の 内腔 面に 変化 はな く、 正常 血管そ のも ので あっ た。

  組 織学 的観 察:stent群の 下大 静脈 、門 脈で はstentは 中膜 下端 まで埋没し、外膜を圧 迫し た。 抗Factor一v工エエ抗体染色標本ではstentが埋没した内腔面に一層の内皮細胞を 認め た。 また 、抗 ―actin抗体 染色 標本では中膜に平滑筋細胞の増殖を詔め、中膜肥厚 を来 して いた 。一 方、 腹部 大動 脈で はstentは内膜に留まり、中膜を圧迫した。内腔面に は ― 層 の 内 皮 細 胞 を 認 め 、 内 膜 に 平 滑 筋 細 胞 が 増 殖 し 、 内 膜 肥 厚 を 来 し て い た 。 control群で は各血 管の 層構 造に 変化 はな く、 正常 血管 その もの であった。stent群の下 大 静 脈 と 門 脈 の 内 腔 一stent間 距 離 (メm)は それ ぞれ249土64、110土31で、control群 の下 大静 脈と 門脈 の中 膜厚 (ルm)30土6、65土15に比して有意に厚かった。stent群腹部 大 動 脈 の 内 腔‑stent間距 離 は137土42で 、control群 の 内 膜 厚13土3に比 して 有意 に厚 かっ た。

【考察】

  本 研 究 で はGianturco stentの 静 脈 系 血管 留 置 に 関 し て 、 留 置1ケ 月で の短期 成績 を 動脈 系血 管留 置と 比較 するこ とに より検討した。静脈系では各種悪性腫瘍での狭窄例で使 用されることの多い静脈として下大静脈と門脈を、動脈系で(ま大動脈炎や閉塞性動脈硬化 症 で の 使 用 報告 か ら 腹 部 大 動 脈 を 選 択 し た 。Gianturco stent留 置4週後 、下大 静脈 と 門脈 の静 脈系 ではstent全体 が新 生内 膜で 被覆 され ている のに 対して、腹部大動脈の動脈 系で は部 分的 に新 生内 膜の被 覆が 認められるだけでステントワイヤ―周囲には少量の血栓 付 着 を 詔 め た。 こ の こ と よ りGianturco stentを留 置し た下 大静 脈と 門脈 の血管 修復 治 癒は 、腹 部大 動脈 の血 管修復 治癒 より も良 好で ある と言 える 。さらに、静脈系ではstent が中 膜ま で深 く埋 没し 、中膜 肥厚 を来 たし たの に対 して 、動 脈系ではstentの埋没は内膜 内に 留ま り、 内膜 肥厚 を来し てい た。 この よう な動 脈系 と静 脈系でのstent留置後の修復 治癒 の違 いの 原因 は、 動脈系 と静 脈系での血流や血圧の違いだけでなく、本来の血管壁の 形態 学的 構造 の違 いも 原因の ―つ であると考えられた。すなわち、腹部大動脈では下大静 脈や 門脈 に比 べて 内弾 性板が 非常 によ く発 達し てお り、 その 内弾性板がstentの内膜貫通 を妨 げた ためstentが内 膜に 留ま った と考 えら れた 。―方 、弾 性線維がほとんど存在しな い下大静脈や門脈の静脈系ではステントワイヤ―が容易に内膜を貫通し中膜下端まで達し、

血管壁と―体化したと考えられた。

【結語】

  Gianturco stentの 静 脈 系血 管 へ の 留置 では 、動脈 系血 管へ の留 置に 比し てstentの 血 管壁 への埋没が容易で、そのため抗血栓性の獲得も早く、良好な内膜修復治癒を得るこ と が で き た こ と よ り 、 本stentの 静 脈 内 留 置 の 安 全 性 と 有 用 性 が 確 認 さ れ た 。

(3)

学位論文審査の要旨

学 位 論 文 題 名

Gianturco Stents for the Venous System:

       A Detailed Pathological Study

(Gianturco Stentの静 脈系留置に関する病理学的検討)

    Gianturco stentは主に静脈系閉塞病変に臨床応用され、比較的良好な治療成績が 報 告さ れてき た。 しか し今日まで、静脈系に対するstent留置後の病理学的な変化に ついての研究はほとんどされていない。そこで本研究では、Gianturco stentの静脈系 血管におけるGianturco stent留置後の病理学的変化を動脈系血管における変化と比較 しつつ検討することを目的とした。

    動 物は8ー12kgの ピーグル犬12頭を使用した。全身麻酔下に犬を開腹し、下大静 脈 、門 脈、腹 部大 動脈 を剥 離露 出し 、以 下の2群を 作成した。stent群は下大静脈、

門脈、腹部大動脈にそれぞれ直径10mm、8mm、6mmのGianturco‑Roesch Z‑stentをstent 径の0.9倍となる部位に直接留置した群、control群は下大静脈、門脈、腹部大動脈に そ れぞ れ同様 の手 術操 作を 行いstent留置 をし ない 群とし、両群各6頭作成した。評 価 方法 はモデ ル作 成4週後 に開 存の 有無、 組織 治癒 を評 価し た。 肉眼 的観 察、HE染 色、Elastica van Gieson染色、抗a―actin抗体染色、抗Factor‑VIII抗体染色による組織学 的観察を行い、さらにstent群では各血管のstent埋没部の内腔からstent直上までの距離 を内腔―stent間距離として測定、control群では各血管の内膜厚、中膜厚を測定し、両 群間で比較した。

    その結果、開存成績はstent群、control群ともに下大静脈、門脈、腹部大動脈の各 血管で全例開存した。肉眼的観察では、stent群の下大静脈、門脈でstentは血管壁に 完全に埋没し、白色透明な新生内膜が均一tごstent表面を被覆した。腹部大動脈では 薄い新生内膜の部分的なstent被覆のみで、stentの埋没は不完全でワイヤー周囲やbent 部 に血 栓付着 を認 めた 。control群では各血管の内腔面に変化はなかった。組織学的 観察では、stent群の下大静脈、門脈でstentは中膜下端まで埋没し、外膜を圧迫レた。

stentが 埋没 した 内腔 面には一層の内皮細胞を認めた。中膜には平滑筋細胞の増殖を 認 め、 中膜肥 厚を 来し ていた。腹部大動脈ではstentは内膜に留まり、中膜を圧迫し た 。内 腔面に は一 層の 内皮 細胞 を認 め、 内膜 に平 滑筋細胞が増殖し、内膜肥厚を来 していた。control群では各血管の層構造は正常血管そのものであった。stent群の下大

男 秀

和 慶

坂 田

宮 安

授 授

教 教

査 査

主 副

(4)

静脈と門脈の内腔‑stent間距離(ルm)はそれぞれ249士64、110土31で、control群の下大 静脈と門 脈の中膜厚(ルm)30土6、65土15に比して有意に厚かった。stent群腹部大動 脈の内腔‑stent間距離は137土42で、control群の内膜厚13土3に比して有意に厚かった。

    以上の結果から、Gianturco stentの静脈系血管への留置では、動脈系血管への留 置に比し てstentの血管 壁への埋没 が容易で抗血栓性の獲得も早く、良好な血管修復 治癒を得られた。

    口頭発表において、安田慶秀教授より、各血管に対する至適stent径の選択につい て、静脈 と動脈でstent留置後の外 膜変化の有無について、ヒ卜の動脈硬化血管での stent留置につ いて、血管平滑筋細胞の増殖機序について、理想的なstentワイヤーの 太さと構 造につい ての質問が あった。 次いで宮坂和男教授より、腹部大動脈でstent ワイヤー 周囲の血 栓付着が長 期的に消 失するのかどうか、門脈でのstent埋没が下大 静脈より も浅い理 由について 質問があ った。ま た、加藤 紘之教授 より、病的狭窄血 管でのstent留 置について、stentの人体への影響についての質問があったが、申請者 は、おおむね妥当な回答をした。

    審 査 員 一 同 はGianturco Stentの 静 脈 系 留 置 に 関 し て 病 理 学 的 に 詳 細 な 検 討 を 行 っ た 本 研 究 の 意 義 を 高 く 評 価 し 、 申 請 者 が 博 士 ( 医 学 ) の 学 位 を 受けるのに充分な資格を有するものと判定した。

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