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博士(獣医学)鈴木千恵 学位論文題名 IN VITRO PRODUCTION OF PORCINE ErvIBRYOS US工 NG CHEMICALLY DEFINED MEDIA

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Academic year: 2021

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     博士(獣医学)鈴木千恵      学位論文題名

IN VITRO PRODUCTION OF PORCINE ErvIBRYOS     US 工 NG CHEMICALLY DEFINED MEDIA

(化学的組成の明らかな培地を用いた豚胚の体外生産に関する研究)

学位論文内容の要旨

  近年、豚の体外受精技術は改善されてきているものの、体外受精由来胚 の生産効率は極めて低く、更なる生産効率の向上と安定した生産技術の開 発が望まれている。そこで、本研究では、豚の体外成熟卵子の体外受精率 およびその後の胚発生率の向上と安定化を図るため、血清やウシ血清アル ブミ ン(BSA)など の生物学的 製剤を添加しない化学的組成の明らかな培 地 を 用 い た 体 外 受 精 お よ び 発 生 培 養 に つ い て 検 討 を 行 っ た 。

  第1章では、化学的組成の明らかな培地を用いた体外成熟卵子の体外受 精法を確立するために、体外受精用基礎培地(豚配偶子用培地、porcine gamete medium、PGM)を 開発 し 、そ の 基礎 培 地(PGM)へ のテ オ フ アリ ン、アデノシンおよびシステインの添加が体外成熟卵子の受精および発生 に及 ぼす影響に ついて検討 した。その 結果、PGMヘ適量のテオフアリン (2.5 mM)、 ア デ ノ シ ン (1ルM)お よ び シ ス テ イ ン(0.2uM)を 添 加 す ることにより、受精率および胚盤胞への発生率が改善された。さらに、テ オ フア リン、アデ ノシンおよ びシステイ ンを添加し たPGM (PGMtac)中 で受 精させた卵子を化学的組成の明らかな発生培地(豚接合子用培地、

porcine zygote medium、PZM)を用いて培養して得られた胚盤胞の産子へ の発 生能にっいても調べた。4頭のレシピェントヘ1頭あたり20〜25個の 胚盤胞を手術的に移植した結果、すべてのレシピェントが妊娠して合計21 頭の産子が得られた。

  第2章では 、第1章で開発した体外受精用の化学的組成の明らかな培地

( テオフアリ ン、アデノ シンおよび システインを添加したPGMtac)の汎 用性を検討するために、異なる方法で凍結保存した射出および精巣上体精 子 、ならびに 液状保存した射出精子(計17頭の雄由来)を用いて体外受 精 を行い、受 精率およびその後の胚発生率(PZMを用いて発生培養)を調 べた。その結果、凍結保存精子にっいては凍結方法により胚盤胞への発生

(2)

率(26〜56%)が異なるものの、供試したすべての雄の射出および精巣上 体精子から胚盤胞が作出できた(胚盤胞への発生率:14〜75%)。また、液 状保存精子(1〜  14日問保存)については、保存期間が長くなると受精率 が低下したが、l‑v10日間保存した精子を使用することによって体外受精 胚の20〜48%が胚盤胞ヘ発生することが分かった。

  第3章 では 、化学 的組 成の 明ら かな発 生培養用培地(PZM)を用いた体 外受精由来胚の発生培養、とくにPZMへのグルタミン、ハイポタウリン、

タウリンおよびアミノ酸溶液の至適添加濃度について検討するとともに、

培地 交換お よぴBSA添加の効果についても調べた。その結果、グルタミ ン、ハイポタウリン、タウリンおよぴアミノ酸溶液の添加濃度を調整する ことにより体外受精胚の胚盤胞への発生能が改善されることが分かった。

基礎培地(PZM)中の高分子物質(ポリビニルアルコール)の代わりにBSA を添加しても胚盤胞への発生率には影響がみられなかった。また、培地交 換(媒精72時間後)により胚盤胞への発生率は改善されず、むしろ胚盤 胞の細胞数が減少することが分かった。さらに、グルタミン濃度を2 mM に修 正したPZMを用いた発生培養により得られた体外受精由来の胚盤胞 を申請者が開発した非手術的な移植技術を用いてレシピェントに移植して 産子への発生能を有することが確認された。

  第4章では、PZMに添加したグルタミンおよびハイポタウリンの胚発生 改善効果について検討を加えた。すなわち、卵割期(媒精後48〜72時間)

におけるグルタミンとハイポタウリンの胚発生に及ばす影響、ならびに卵 割 胚内の酸化還元状態やDNA損傷に及ばす影響について検討した。その 結果、卵割期におけるグルタミンおよぴハイポタウリンの存在により胚細 胞 内H202量やDNA損傷 の減 少が みられ た。 しか し、 媒精72時間 後の 卵 割胚の細胞数と細胞内グルタチオン含量にはグルタミンおよびハイポタウ リンの影響が認められなかった。このことからグルタミンおよびハイポタ ウリンが卵割胚の酸化ストレスを軽減し、その後の胚発生を促進すること が示唆された。

  以上のように、本研究により血清やBSAなどの生物学的製剤を添加し ない化学的組成の明らかな培地を用いた豚の体外生産技術、すなわち、化 学的組成の明らかな培地を用いた豚卵子の体外受精および発生培養により 胚盤胞を作出する技術を開発することができた。また、この技術により体 外生産された胚盤胞を手術的あるいは非手術的にレシピェン卜に移植して 産子への発生能を実証した。

(3)

学位論文審査の要旨 主査

副査 副査 副査

教授 教授 准教授 准教授

高橋 葉原 片桐 佐々木

芳幸 芳昭 成二 宣哉

     学位論文題名

IN レァァ々〇PRODUCTION OF PORCINE EIVIBRYOS     USING CHEMICALLY DEFINED MED 工 A

(化学的組成の明らかな培地を用いた豚胚の体外生産に関する研究)

  学位論文提出者は、豚胚の体外生産技術の向上と安定化を図るため、血清、

牛血清アルブミン(BSA)などの生物学的製剤を添加しない化学的組成の明らか な 培 地 を 用 い た 体 外 受 精 お よ び 発 生 培 養 に つ い て 検 討 を 行 っ た 。

まず、化学的組成の明らかな培地を用いた体外受精技術を確立するために体外 受精用の培地(受精培地)について検討を加え、適量のテオフアリン、アデノシ ンおよぴシステインを受精培地に添加することにより受精率および胚盤胞への 発生率が改善されることを明らかにした。また、その培地で受精させた卵子を 培養して得られた胚(胚盤胞)を手術的にレシピェントヘ移植して、移植胚の約 25%が産子に発生することを実証するとともに、多数の雄豚から採取して凍結あ るいは液状保存した精液を用いて体外受精を行い、開発した受精培地の汎用性 を確認した。

ついで、化学的組成の明らかな培地を用いた体外受精由来胚の発生培養技術に っいて検討を加え、発生用の培地(発生培地)ヘ添加するグルタミン、ハイポタ ウリン、タウリンおよびアミノ酸溶液の至適濃度を明らかにした。また、この 培地ーのBSA添加や培養途中での培地交換の必要がないこと、培地ヘ添加した グルタミンとハイポタウリンが胚の酸化ストレスを軽減して胚発生が促進され ることも示した。さらに、非手術的な豚胚の移植法を開発し、化学的組成の明ら かな受精培地および発生培地を用いて作出した胚(胚盤胞)をレシピェントヘ移 植して産子の生産に成功した。

(4)

  本研究により、化学的組成の明らかな培地を用いた豚卵子の体外受精および 体外受精由来胚の発生培養の技術(豚胚の体外生産技術)が開発された。よっ て、審査員一同は上記学位論文提出者鈴木千恵氏が博士(獣医学)の学位を授 与されるに十分な資格を有するものと認めた。

参照

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