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博士(医学)露口雅子 学位論文題名

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Academic year: 2021

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(1)

     博士(医学)露口雅子 学位論文題名

血液 透 析 患者 に お ける C 型肝炎 ウイル ス感染の 検討 学位論文内容の要旨

  (目的)

  血 液 透 析(HD)患 者 で は 、 高 率 にC型 肝 炎ウ イ ル ス(HCV)の 感 染 が 報 告 さ れ て い るが 、 感 染 経 路 やHCV抗 体 陽 性HD患 者 の 臨床 像 につ いては 明ら かではない。著者らはこれらの点を明らかにす る た め 、 多 数 のHD患者 の 血 清HCV関 連 マ ー カ ー の検 出 率 、 血液 生 化学 的所見 を健 康診断(健診)受診者と対比して検討した。併 せて、HD患者のHCVーRNA量とalanine ammotransferase(ALT)との 相 関 、 透 析 前 後 で のHCV‐RNA量 の変 化 に つ い て も 検討 し た 。

(対象)

  10透析施設の血液透析患者584例(男性378例,女性206例)を対象 とした。平均年齢は52.9歳、平均透析期間は91.2月で、輸血歴を 有する患者は41.3%であった。透析期間は3群(GroupI:5年未満、

Group II:5年以上10年未満、Group III:10年以上)に分けて検討 した。対照は某施設の健診受診者1,442例(男性962例、女性480例

、 平 均 年 齢 50.1歳 、 輸 血 歴 の 有 る 率8.3ワ 。 ) と し た 。

(方法)

(1)HCV‑RNAの測定:

    患 者 血 清か らAGPC法 に てRNAを 抽 出 した 後 、 逆 転 写 を 行 い c‑DNAを合成し、two stage RT‑PCRを行った。lst PCRでは40cycle 施行 し、2nd PCRは25cycle施行し た。PCR産 物はア ガロ ースゲ ル で電気 泳動 後、エ チジ ュウム ブロマイドにて染色を行い、紫外線 下に 観察し 、目 的のサ イズ のbandを認 めるも のをHCV‑RNA陽性 と 判定した。

(2)

(2)HCV genotypeの測定:

  Okamotoらに準じcore領域に4種類のtype specific primerを設定し RT‑PCRを行い、電気泳動後、得られたPCR産物のサイズからI,II, m,IV型に分類した。

(3)HCV‑RNAの半定量:

  HD患 者20例 とC型 慢 性 肝 疾 患16例 の 血 清 中HCV‑RNA量 をend point dilution法にて半定量した。原血清をHCV‑RNA陰性血清で1ニ10 倍 〜lニ106倍 に 希 釈 し 、 RT ‑PCRを 施 行 し た 。HCV‑RNA量 は HCV‑RNA陽 性 と 判 定 さ れ る 最 高 希 釈 倍 率 で 表 示 し た 。 (4)血液透析前後のHCV‑RNA量とALT値:

  血 液 透 析 がHCV‑RNA量 とALT値 に 及 ぼ す 影 響 を 検 討 す る た め HD患 者4例 に つ い て は 透 析 前 ・ 後 の 血 漿 のHCV‑RNA量 とALT値の 変 化 と 、 透 析 排 液 中 の HCV‑RNAと ALTの 有 無 を 測 定 し た 。

(成績)

(1)施設別の背景因子とHCVマーカー陽性率:

  施 設 間 でHCV抗 体 陽 性 率 は0〜4‑1.2% 、HCV‑RNA陽 性 率 は0〜 27.9%と 差が みられ た。HCVマ ーカー 陽性 率が高 い施 設では 輸血 歴 の有る率が高い傾向にあった。

(2) HD患者におけるHCVマーカー陽性率:

  HD患 者 で はHCV抗 体 陽 性 率22.0%、HCV‑RNA陽 性 率12.3%で 、 健診受診者の2.10̲10、1.5%に比較し有意に高率であった。輸血歴を 有 す る 群 で 、HD患 者 のHCV抗 体 陽 性 率39.8% 、HCV‑RNA陽 性 率 22.O%であり、健診受診者ではそれぞれ6.7%、5.8%であった。輸 血 歴 の 無 い 群 で は 、HD患 者 のHCV抗 体 陽 性 率9.6%、HCV‑RNA陽 性率5.5%、健診受診者ではそれぞれ1.7%、111%と、輸血歴の有無 に 関 わ ら ずHCVマ ー カー 陽 性 率 はHD患 者 で有意 に高 率であ った 。 HCV抗 体 陽 性 例 中 のHCV‐RNA陽 性 率 は 、HD患者55.8%、健 診受 診 者70%とHD患者で低率であった。

  (3)透 析 期 間 別 の 背 景 因 子 と HCVマ ー カ ー 陽 性 率 :   透 析 期 間 が 長 期 に な る に っ れ 、 輸 血 歴 は 高 率 と な り HCV抗 体 、HCV‑RNA陽性 率 は 高 率 と な る傾 向 に あ っ た 。 輸 血歴 の 有無別に検討しても同様の結果であった。

  (4) HCV‑RNA陽性例のHCVgenotypeの分布:

  HD患 者 で 特 徴 的 なgenotypeの 分 布 は み ら れ な か っ た 。   (5) HD患 者 と 慢 性HCV感 染 に お け るHCV‑RNA量 とALT値 の相 関

(3)

  HD患 者 と慢 性HCV感染 例に お いてHCV‑RNA量とALT値の 間 に 正の相関が認められた。相関係数は、それぞれp0.603,r=0.626

(pく0.01)であった。

(6)透析前後でのHCV‐RNA量:

  検索した4例全例で血漿HCV‑RNA量は、透析の後では前の1/10 に減少し、透析 排液にHCV‑RNAが検出された。ALT値は透析前後 で差は見られず、透析排液中のALT値は全例測定感度以下であっ た。

(7) HCVマーカー別のALT値異常率:

  HD患者ではALT値が異常を示す頻度は、HCVマーカー陽性例で有 意 に 高 率で あ った 。HD患者 と健 診 受診 者のHCV‑RNA陽性 例 の ALT値 が 異 常 を 示 す 率 は 、 HD患 者 で 低 率 で あ っ た 。

(考按)

  HD患 者のHCV抗体 、HCV‐RNA陽性率は、健診受 診者比較して 有意に高率であり、HD患者はHCV感染のhigh risk groupと考えら れた。

  HD患者のHCVの主な感染経路は頻回にわたる輸血がであること が示 唆されたが、輸血歴 の無い群でもI{D患者のHCV抗体、HCV‑

RNA陽性率は、輸血歴の無い健診受診者に比較して有意に高率で あり、透析期間が5年以上と長期になると高率となることから、輸 血以外の感染経路の存在する可能性が示唆された。この経路とし て輸 血によるHCV感染者の多い治療環境での水平感染、過去の医 療機器の消毒上の問題などが考えられた。

  HD患者のALT異常率はHCVマーカー陰性群より陽性群で高率であ り、HD患 者の肝機能障害の主な原因はHCV感染によると考えられ た。

  透析の 前後でHCV‑RNA量を測定すると透析後では前より約1/10 に減 少しており、透析排液からもHCVが検出されることから、透 折の 過程で血中からHCVが一部排除されると考えられた。また、

HD患者とC型慢性肝疾 患とで、HCVーRNA量とALT値に は正の相関 が 認め ら れる 事実 よ り、HD患者のHCV抗体陽性例 における   HCVーRNA陽性率が 低いこと、およびHCV‑RNA陽性例でALT異常率 が低いことに、透析によるHCV排除の関与している可能性が示唆さ れた。

(4)

(結語)

  HD患者におけるHCV感染について健康診断受診者を対照に検討 して以下の成績を得た。

(1)HD患者584例のHCV抗体陽性率は22%であり、その約半数で HCV‑RNAが検出された。

(2) HCVの主な感染経路は、頻回、多量の輸血にあると考えられ た。しかしHD患者では輸血歴の無い例でもHCVマーカー陽性率は 健診受診者や透析期間の短い群に比較し高率であることから輸血以 外 の 医 療 行 為 が 原 因 と な る HCV感 染 が 示 唆 さ れ た 。 (3) HD患者 とと型 慢性肝疾患例の、血中HCV‑RNA量と血清ALT値 には正の相関性が認められた。

(4) HD患 者 で は 健 診 受 診 者 に 比 し 、HCV抗 体 陽 性 例 中 の HCVーRNA陽´陸率が低率で、さらにHCVマーカー陽性例における ALT異常率も低かった。これらの成績には、透析の過程でHCVの一 部が排除されることが関与すると考えられた。

(5)

学位論文審査の要旨

主 査   教 授   川 上 義 和 副 査   教 授   皆 川 知 紀 副 査   教 授   細 川 真 澄 男

学 位 論 文 題 名

血液透析患者におけるC 型肝炎ウイルス感染の検討

(目的)  血液透析(HD)患者では、高 率にC型肝炎ウイルス(HCV)の感染を 受けていること が報告されているが 、HCVの感染経路やHCV抗体陽 性のHD患者の臨床像については明らかではない。これらの点を明ら かにするため、多数のHD患者の血清を対象として、HCV関連マーカ ーの検出率、,血液生化学的所見を健康診断受診者と対比して検討し た。(対象)

  10透析施設のHD患者584例(男性378例,女性206例)を対象とした。

平均年齢は52.9歳、平均透析期間は91.2カ月で、輸血歴を有する患者 は41.3%であった。

比較対照はHD患者と年齢、性別に差の無い健診受診者1,442例(輸血 歴の有る率8.3%)と.した。

(方法)  HCV‑RNAの測 定 は、 患者 血 清か らAGPC法 にてRNAを 抽出した後

、 逆 転 写 を 行 いcDNAを 合 成し 、two stage RTーPCRを 行っ た 。 HCV‑RNA量 は 、原血清をHCV‑RNA陰性 血清で10倍〜10y倍に 希釈し

、RTーPCRを施行し 、HCV‑RNA陽性と判定される最高希釈倍率で表 示した。(成績、考案)

  1.施設間でHCV抗体陽性率はO〜41.2070、HCV‐RNA陽性率はO〜 27.9%と差がみられた。HCVマーカー陽性率が高い施設では輸血歴の有 する率が高い傾向にあった。

  2.HD患者ではHCV抗体陽性率22.Oa/o、HCV‑RNA陽性率12.3%で、

健診受診者の2.1010、1.5%に比較し有意に高率であった。HCV抗体陽 性例中のHCV‑RNAの陽性 率は、HD患者55.8%、健診受診者70%とHD 患者で低率であった。

  3.輸血歴を 有する群では、HD患者 のHCV抗体陽性率は39.8%、

HCV‑RNA陽性率は22.0%であり、健診受診者ではそれぞれ6.7%、5.8

%であった。輸血歴の無い群では、HD患者のHCV抗体陽性率は9.6%

、HCV‑RNA陽性率は5.5%であり、健診受診者ではそれぞれ1.7%、

111ワ。と、輸血歴の有無に関わらずHCVマーカー陽性率はHD患者で有

(6)

  意 に 高率 で あ り 、HCV感 染 のhigh risk groupと 考え ら れ た 。     HCVRNA間が 長期に なるに つれ、 輸血 歴の有 無にかかわらず、

  HCV‐RNA陽性 率は高率となった。したがってHD患者のHCVの主な   感染経路は頻回の輸血であると考えれたが、輸血以外の感染経路の   存在も示唆された。この経路として輸血によるHCV感染者の多い治   療環境での水平感染、過去の医療機器の消毒上の問題をどが示唆さ   れた。

    5.HD患者20例とC型慢性肝疾患16例の血清中HCV.RNA量を半定量   し、血清ALT値との相関を検討し、HCV‐RNA量とALT値の間には、

  正 の 相 関 が 認 め ら れ た 。 (r=0.603, ロO.626  .Ol) 。     6.血液透析が血中HCVーRNA量とALT値に及泣字諺響を検討するた   めHD患 者4例については透析前・後の血漿のHCV‑RNA量とALTの変   化と、透析排液中のHCV‐心岨とALTを測定した。検索した4例全例   で血漿中HCV_RNA量は、透析後ではその前の約1/10に減少し、透析   排液にHCVRNAが検出されることから、透折の過程で血中からHCV   が一部排除されると示唆された。ALT値は透析前後で差は見られず

、 透 析 排 液 中 の ALT値 は 全 例 測 定 感 度 以 下 で あ っ た 。     7.HD患者ではALT値異常率は、HCVマーカー陽性例で有意に高率 であ り、HD患者 の肝機能障害の主な原因はHCV感染にあると考えら れ た 。HD患 者 と 健 診 受診 者のHCV‐RNA陽 性例のALT異常率 は、HD 患者で低率であった。

  HD患 者とC型 慢 性 肝 疾患 とで、HCV‑RNA量とALT値 には正 の相 関 が 認 め られ る 事 実 よ り、HD患 者のHCV‐RNA陽性 例でALT異 常率 が 低い こと に、透 析によるHCVの排除の関与している可能性が示唆さ れた。  (結語)

  HD患者 におけ るHCV感染について健康診断受診者を対照に検討し て以下の成績を得た。

  (1)HD患 者584例のHCV抗体陽性率は22%であり、その約半数で HCV‑RNAカ瀬出された。

  (2)HCVの主な感染経路は、頻回、多量の輸血にあると考えられた

。し かしHD患者 では輸血歴の無い例でもHCVマーカー陽性率は健診 受診者や透析期間の短い群に比較し高率であることから輸血以外の 医療行為が原因とをるHCV感染が示唆された。

(3)HD患者 とC型 慢 性肝 疾 患 例 の 、 血中HCV‑RNA量と 血 清ALT値 には正の相関が認められた。

(4)HD患者 では健 診受診 者に比 し、HCV抗体陽 性例中のHCV・RNA 陽性 率が 低率で 、さら にHCVマー カー 陽性例 におけ るALT異常率も 低か った 。これ らの成績には、透析の過程でHCVの一部が排除され ることの関与が示唆された。

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