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博士(医学)深山雅寿 学位論文題名

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Academic year: 2021

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     博士(医学)深山雅寿 学位論文題名

ブ夕 LVAD 装着モデルにおける腎臓,腸管,全身の      代謝 性変 化に 関す る研 究

学位論文内容の要旨

  Left Ventricle Assist Device(以下LVAD)は、末期の心不全患者、人工心肺からの離 脱不能例、また拡張型心筋症に対して、今日欧米では広く使われている。最近はドナー不 足、またLVADの性能の向 上からその使用期間が延長してきている。LVAD装着下の患者 の血行動態はしばしば不安定であり、全身臓器の機能不全があり、代謝障害に陥っている。

LVAD装着下で生体臓器に対する不均等な血流配分が生じた場合、低潅流状態での生体に 及ばす影響はさらに増幅され全身的な代謝障害を引き起こすことが予想される。急性期に おける患者管理のみならず、長期間にわたって補助心臓を植え込まれた患者のquality of lifeを向上させるためにもLVAD装着下での血流分布や代謝の変化を知ることは重要であ る 。本研究は ブ夕LVAD装着モデ ルを用いて 、LVAD流量の変 化、および 吸入酸素濃 度 の変化に対する腎、腸管、全身への影響について検討した。10頭のブタを使用した。酸 素 飽和 度 およ び 乳酸 値 を、 内 頚動 脈 、肺 動 脈(PA)、 右 腎静 脈(RV)、 上腸間膜静 脈 (SMV)で そ れ ぞれ 測 定し た 。ま た 腎動脈、 上腸間膜動 脈に血流計 を装着した 。LVAD を装着したのちflow 3.51/minとし安定した状態で上行大動脈を遮断、これにより全身の 血流はIVADに依存した状態となった。

LVADnowの 変 化  吸 入 酸 素 濃 度 を40% 、 体 温 を36℃ に 保 っ た 状 態 でIVADnowを 3.51/min,2.01/min,1.01/minと変化させた。酸素飽和度はF)A,SMV,RVともにLVAD nowを 減少 さ せる と 有意 に 減 少し た。 乳酸値はPA,SMVともにLVADnowを減少さ せる と有意に 増加した。SMVの乳 酸値はPAの乳酸 値より有意 に高値であった。RVの乳酸値 はLVADnowの減 少 にか か わら ず 一定 であった 。上腸間膜 動脈、左腎 動脈の血流 量は IVADnowの 減 少 に 伴 い 有 意 に 減 少 し た が 両 者 間 に は 有 意 差 は な か っ た 。 吸 入酸 素 濃度 の 変化  LVADnowを3.51/min、 体温 を36℃ に保 っ た状態 で吸入酸素 濃度を80%,40%,10%と変化させた。酸素飽和度はPA,SMV,RVともに吸入酸素濃度を減 少 さ せ る と 有 意 に 減 少し た 。特 にSMVはPA,RVよ りも 低 い値 で あ った 。 乳酸 値 は PA.SMVと もに吸入酸 素濃度を減少させると有意に増加した。PAの乳酸値はSMVの乳酸 値より高値であったが両者間には有意差はなかった。RVの乳酸値はFi02を減少させると 増加したが統計学的な有意差はなかった。PA,SMVの乳酸値はRVの乳酸値よりも有意に 高値であった。上腸間膜動脈、左腎動脈の血流量は吸入酸素濃度の減少にかかわらず一定 であった。

これらの 結果より腸 管はIWADnowの 減少、吸入 酸素濃度の減少に対して最も虚血に陥

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りやすいことを示した。最近、ショック状態、ICU管理下での腸管の重要性が報告されて いる。また人工心肺下での腸管に関する合併症、腸管粘膜への低血流による敗血症の発生 も報告されている。LVADの必要な患者は、血行動態的に不安定でLVAD植え込み後も、

特に腸管に対しては血流不足(例えばLVADからの離脱時)、低酸素状態(例えば人工呼 吸器からの離脱時)に陥りやすい。血行動態的なモ二夕ー、尿量、PAの乳酸値、PAの酸 素飽和度も腸管虚血を把握するのは困難である。以前より胃や大腸のトノヌーターが腸管 虚血のモニターとして使われており、トノヌーターは非侵襲的であり簡単でもありその応 用が期待される。腎臓はLVAD flowの減少、吸入酸素濃度の減少にも、その代謝需要が 少ないため、他の臓器より比較的耐性があると思われる。LVADの必要な患者は、血行動 態的に不安定で心拍出量の減少、尿量の減少、さらには急性腎不全に陥っている場合もあ る。しかし実験で示したように腎臓は血流の減少、低酸素にも比較的耐性があるため、

LVAD使用により十分血流が確保されれば腎機能の回復まで透析ぬどの補助が必要とぬる であろうが、やがて回復することが十分期待できる。本実験では腸管は血流の低下、低酸 素状態では虚血に陥りやすいことを示した。また腎臓は血流の低下、低酸素状態にも、比 較的耐性があった。LVAD装着下では、従来から行われている心血行動態や血液サンプリ ングのみでは腹部臓器の血行動態を的確に把握するのは困難であり、重篤な合併症である 敗 血 症 を 回避 す る た め に も 臓 器 血 流 動態 面 か ら の さ ら な る 研 究 が 必要 で ある。

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学位論文審査の要旨

学 位 論 文 題 名

ブ夕 LVAD 装着モデルにおける腎臓,腸管,全身の      代 謝性変 化に 関す る研 究

    Left Ventricle Assist Device(以下LVAD)は、拡 張型心筋 症などの末 期の心不全 患者、 人工心肺 からの離 脱不能例、 心臓移植 待機患者 に対するbrigde useとして広く使 わ れる よ うに な っ てい る 。 最近 は ドナ ー 不 足、 またLVADの性能の 向上から その使用 期 間が延 長する傾 向にある 。急性期に おける患 者管理の みならず 、長期間 にわたって補助 心 臓を 植 え込 ま れ た患 者のquality of lifeを向 上させる ためにもLVAD装 着下での 血流 分 布や 代 謝の 変 化 を知 る こ とは 重 要で あ る 。LVAD装着下 の患者の 血行動態 はしばし ば 不安定 であり、 このよう な状況下で 諸臓器に 対する不 均等な血 流配分が 生じた場合、低 潅流状 態での生 体に及ぽ す影響はさ らに増幅 され全身 的な代謝 障害を引 き起こすことが 予想さ れる。

本 研 究 で は 、LVAD装 着 下 で の 代 謝に つ いて 、 低 灌流 , 低酸 素 が 各臓 器 に及 ぽ す 影響 を明ら かにする ことを目 的とした。

  10頭 の ブ 夕LVAD装 着 モ デ ル を 用 い 、LVAD流 量 の 変 化 、 お よ び 吸 入 酸 素 濃 度 の 変 化に対 する腎、 腸管、全 身への影響 について 検討した 。酸素飽 和度およ び乳酸値を、内 頚 動 脈 、 肺 動 脈(PA)、 左 腎 静 脈 (RV)、 上 腸 間 膜 静 脈 (SMV)で そ れ ぞ れ 測 定 し た 。 ま た 腎 動 脈 、 上 腸 間 膜 動 脈 に 血 流 計 を 装 着 し た 。LVADを装 着 し 、流 量3.51/mm とし安 定した状 態で上行 大動脈を遮 断した。

LVAD流 量 の 変 化 : 吸 入 酸 素 濃 度 を40% 、 体 温 を36℃ に 保 っ た 状 態 でLVAD流 量 を 351/mm2Ol/mm101/mmと 変化 さ せた 。 酸 素飽 和 度はPASMVRVと も にLVAD 流 量 を 減 少 さ せ る と 有 意 に 減 少 し た 。 乳 酸 値 はPASMVと も にLVAD流量 を 減少 さ せ る と 有 意 に 増 加 し た 。SMVの 乳 酸 値 はPAの 乳 酸 値 よ り 有 意 に 高 値で あ った 。RVの 乳 酸 値 はLVAD流 量 を 減 少 に か か わ らず 一 定で あ っ た。 上 腸間 膜 動 脈、 左 腎動 脈 の 血流 量 はLVAD流 量 の 減 少 に 伴 い 有 意 に 減 少 し た が 両 者 間 に は 有 意 差 は な か っ た 。   吸 入 酸 素 濃 度 の 変 化 :IWAD流量 を351/mm、 体温 を36℃ に 保っ た 状 態で 吸 入酸 素 濃度を80%,40%,10%と変化 させた。酸 素飽和度はPA,SMVRVともに吸入酸素濃度を

秀顕 之 慶

 

 

紘 田畠 藤 安北 加 授授 授 教教 教 査査 査 主副 副

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減少 させ ると有意に減少した。特にSMVはPA,RVよりも低い値であった。乳酸値は PA,SMVともに吸入酸素濃度を減少させると有意に増加した。PAの乳酸値はSMVの乳 酸値より高値であったが両者間には有意差はなかった。RVの乳酸値はFi02を減少させ ると増加したが統計学的な有意差はなかった。PA,SMVの乳酸値はRVの乳酸値よりも 有意に高値であった。

LVAD患 者 はLVAD植 え 込 み 後も、LVADや人 工呼吸 器か らの 離脱 時に低 灌流 ,あ る いは低酸素状態となるに陥りやすい。従来行われている心血行動態モこターや血液サン プリングのみでは腹部臓器の血行動態を的確に把握するのは困難であり、重篤な合併症 で あ る 敗 血 症 を回 避 す る た め に も 臓 器 血 流 動態 面 か ら の 検 討 が 必 要 で ある 。 公開発表に際して、副査の加藤教授からは流量低下に対するモデルの問題点、乳酸値 と虚血の関係、translocationの証明、実際の臨床との関係について、副査の北畠教授 からは臓器による至適灌流量の違い、腸管の虚血部位、LVADの臨床最長期間、管理上 の問題、主査の安田教授からは欧米でのLVADの症例数、離脱例、病棟管理などの実際、

腸管の組織学的検索についての質問があった。申請者は豊富な実験結果と、蓄積された 学識でもって、誠実に、かつ概ね適切に回答し得た。

本研究はLVAD装着下で、とくに腸管が低灌流,低酸素で重篤な代謝障害に陥りやす いことをプタモデルを用いて明らかにしたことで意味があり、LVAD装着下での患者管 理、長期間にわたって補助心臓を植え込まれた患者のquality of lifeの向上に寄与する ことができると期待される。

    審査員一同は、申請者の豊富な学識に併せてこの研究が関連領域の進展に与える成 果を高く評価し、申請者が博士(医学)の学位を受けるのに充分な資格を有するものと 判定した。

参照

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