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修 士 論 文 概 要 書

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Academic year: 2022

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修 士 論 文 概 要 書

提出

2008 年 2 月 学籍番号

3606U062–7

CD

専門分野 情報・ネットワーク専攻

研究指導 情報アーキテクチャ研究

氏 名

月木 英治

指 導

教 員

大附 辰夫

研 究

題 目  移動体を対象としたMHMIP-NEMOの負荷分散方式

1 まえがき

現在,空港・学校やオフィス等の屋内だけでなく屋外 にも無線LANのアクセスポイントが設置されはじめ,

移動体通信環境が急速に広がってきている.これに伴 い,車や電車などの移動体からインターネットを利用 する事が可能となっている.しかしながら特定ルータ への負荷集中とハンドオーバの際に生じる遅延時間に より,WEBブラウジングや電子メールの送受信が快 適に利用できる一方で,ビデオストリーミングなどの 遅延時間の影響が大きいアプリケーションを用いると 通信が途切れる問題がある.

本論文では,電車や車などの移動体を対象とした MHMIP-NEMOの負荷分散方式を提案する.MHMIP によるMAP(ルータ)の負荷分散方式として,MNの 移動速度を用いた手法が提案されている.しかしなが ら移動体内部にいるMNは移動速度が同一であるため,

MAPの負荷が偏る可能性がある.また,MNの使用す るアプリケーションが単一の場合しか想定されていな いため,遅延時間の影響が大きいアプリケーションの 通信が途切れる問題がある.そこで,MNの移動速度 に非依存かつMNの使用するアプリケーションを考慮 したMAPのMNの管理方式を提案する.提案手法の 有効性を示すために計算機実験を行い,複数のアプリ ケーションが混在する中で,IP電話やビデオストリー ミングなどのアプリケーションに対し遅延時間を削減 した上で,MAPの負荷分散ができることを確認する.

2 アプリケーションとデータサイズによ る負荷分散方式

MNの移動速度に非依存かつMNの使用するアプリ ケーションを考慮したMAPのMNの管理方式を提案 する.MNの移動速度を用いたMHMIPの負荷分散手 法では,負荷が偏る可能性がある.そこで,MRに以 下の2つの処理を加え,MAPの管理するMNを,MN の使用するアプリケーションと通信データサイズで制 御する.

1. トランスポート層プロトコルの取得 2. 通信データサイズの取得

2.1

トランスポート層プロトコルの取得

MNの使用するトランスポート層プロトコルを,IPv6 ヘッダのNext Headerフィールドを用いて判別する.

IPv6ヘッダのNext Headerフィールド値は,TCPプ ロトコルであれば6,UDPプロトコルであれば17と 定義されている.UDPプロトコルであった場合は,上 位MAPのアドレスをMRがMNに通知する.TCPプ ロトコルであった場合は,次に通信データサイズの取 得処理を行う.

2.2

通信データサイズの取得

TCPプロトコルを用いたアプリケーションである と判別したMR が,MNに代わり,通信相手である CNから通信データサイズを取得する.提案手法では,

WEBブラウジングにHTTP(80),E-Mailの受信に POP(110),ファイル受信にFTP(20,21)プロトコ ルを使用し,括弧内ポート番号を使用するものとする.

MRとCNはそれぞれのプロトコルに応じて,HEAD

(HTTP),LIST(POP),LIST(FTP)メソッドを 実装する.

2.3 MAP

の管理する

MN

の分類

通信データサイズによるMNの分類のために,閾値 τを用いる.閾値τは単位を[KB]とし,予めMRに設 定しておく.通信データサイズが閾値τ 以上のMNを 上位MAP,閾値τ 以下のMNを下位MAPで管理す る.これは,通信データサイズが大きいMNは,通信 中にハンドオーバを行う可能性が高いためである.ま た,IP電話やビデオストリーミングなどのアプリケー ションを優先的に上位MAPで管理することで,これ らのアプリケーションの遅延時間の削減が行える.

2.4

提案手法の動作フロー

図1は,提案手法のシーケンス図であり,以下の4 つからなる.

1. MRのアドレス登録

MRがMAPとHA MRにBUを行う.

(2)

MNs MR 1st-Layer

MAP HA_MR HA_MN CN

RA BU BA BUBA RA

BA BU IP/IP/IP

IP/IP/IP/IP IP in IP

IP IP IP in IP

IP/IP/IP/IP IP/IP/IP

2nd-Layer MAP

IP

IP BUBA

BU BA

IP/IP/IP/IP

IP in IP IP in IP IP/IP/IP/IP

1st-Layer共通 2nd-Layer

IP/IP/IP IP/IP IP

IP/IP IP IP/IP/IP

1

2

4 3

図 1: 提案手法のシーケンス.

2. トランスポー層プロトコル,データサイズ取得 MRがMNの使用するL4プロトコルの取得とMN の通信相手であるCNにデータサイズを要求する.

3. MNのアドレス登録

MRから通知されたMAPアドレスを元に,MAP とHA MNにBUを行う.

4. MN,CN間の通信

MNとCN間で通信が開始される.

3 評価実験

提案手法の有効性を確認するために評価実験を実施 した.

評価実験(1)MAP負荷

MAP負荷=(1秒間に担当しているMN数)+(1秒間 に行われるMAP間でのMN担当依頼処理) + 2*(1秒 間にMAPに対して行われたBU数)

として計算したMAPの負荷を図2に示す.

閾値τ = 1000,1500の場合,1st-layerと2nd-layer の負荷が約20%削減できている.これは,既存手法が,

MAP同士でMN担当依頼処理を出しているためだと 考えられる.提案手法では,MNの依頼処理は行わな いために,担当依頼処理による負荷はゼロである.一 方で,τ = 500とした場合,1st-layerが2nd-layerの負 荷が偏る結果となった.

評価実験(2):ビデオ通話遅延時間

図3は提案手法(τ = 1000)と既存手法のビデオ通 話往復遅延時間の平均値を示したものである.既存手 法では,380ms付近で通信遅延時間が提案手法に比べ て約1.7倍となった.提案手法では,往復遅延時間を

0 500 1000 1500 2000 2500 3000 3500 4000

提案手法 既存手法

1st-layer (τ=500)

1st-layer (τ=1000)

1st-layer (τ=1500) 2nd-layer

(τ=500)

2nd-layer (τ=1000)

2nd-layer (τ=1500)

図2: MAP負荷比較.

0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8

0 120 240 360 480 600

時間[s]

[s]

提案手法 既存手法

図3: ビデオ通話遅延.

400ms以内に抑えることが出来き,またシミュレーショ ン中に通話が途切れる事がなかった.既存手法がシミュ レーション時間全体の1/7にあたる80s通話不能になっ た端末があることを考えると,本手法は有効であると 考えられる.

4 むすび

本論分では,電車や車などの移動体を対象とし,複 数のアプリケーションが混在する中で特定アプリケー ションの遅延時間の削減と MAP の負荷分散を行う MHMIP-NEMOの負荷分散方式を提案した.提案手 法の有効性を示すために計算機実験を行った.MAP負 荷を最大で24%,ビデオ通話の通信遅延時間を最大で 270ms削減出来ることを確認した.今後の課題として,

階層数を増やすこと,閾値τ を動的に変化させること で負荷の偏りを抑える事が挙げられる.

研究業績

研究会(ITS研究会)

1. 月木 英治,戸川望,柳澤政生,大附辰夫,移動体を対象と したアプリケーションとデータサイズによる階層型Network Mobilityの負荷分散方式,”信学技報,ITS2007–30, pp. 21–

26, 2007.

参照

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