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修 士 論 文 概 要 書

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Academic year: 2022

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専攻名

研究指導名 氏 名

指 導

教 員 印

研 究 題 目

2011 年 1 月提出 学籍番号

修 士 論 文 概 要 書

CD 5109B083 – 3

情報理工学

並列知識情報処理

村岡 崇章 上田 和紀

補題再利用を用いた並列 SAT プランナの設計と実装 1 はじめに

プランニング問題は,初期状態・目標状態・アクション の集合が与えられた時,初期状態から目標状態へ変化さ せるまでのアクションの順序を求める問題である.この ようなプランニング問題はNP完全であるため多項式時 間で解くことはできない.しかし,プランニングは自律 型ロボットや無人航空機の経路設定など多くの実用的な 問題に適用可能であり,プランニングを高速に解く意義 は大きい.また近年プランニングを高速に解く手法の一 つとして,並列化の研究も行われるようになったが,こ れらの研究は始められて日が浅く,並列プランナはごく わずかしか存在していないなど,並列化による高速化の 余地はまだ多く残っている.

本研究ではSATプランニングを用いたSATプランナ,

COPLANをベースに,補題を再利用する手法 (Lemma

Reusing Plannig:LRP)と,高速な並列SATソルバc-satを 使うことによる高速化の両方の手法を用いた並列SATプ ランナの設計と実装を行った.

2 充足可能性問題: SAT

充足可能性問題SAT問題とはある論理式が与えられた とき,その論理式がしんとなる変数割り当てが存在する かを求める問題である.SAT問題は以下のような形式で 表現される.この論理式は,a=Tb =F,c=F,d =T とすることで充足可能(SATISFIABLE)となる.

論理式=(a∨ ¬d)∧(¬a∨ ¬bc)∧(b∨ ¬cd) ソフトウェアであるSATソルバの多くはCDCLアルゴ リズムに基づいており,変数選択,推論,衝突解析,バッ クトラックの4つのフェイズを繰り返し,解を探索する.

解の探索域は巨大だが,衝突解析フェーズで生成される,

特定の探索域に解が存在しないことを示す補題(Lemma) を用いることにより解の探索の高速化が得られる.

2.1 c-sat

c-sat[2]はCDCLアルゴリズムを用いたSATソルバを MPIで並列に実行し,lemmaの共有と探索域の動的分割 によって探索域の大幅な剪定と高速な動作を実現した並 列SATソルバである.SATソルバでは並列化における 通信がボトルネックとなりやすいため,c-satでは冗長な

lemmaは共有したいといったルールの適用等によって通

信料の削減を図っている.また,通信による解探索効率

低下を防ぐため,lemmaの共有には専用のマスタを用い たマスタワーカ構造を用いている.

3 COPLAN

COPLAN[3]はIPC2008(International Planningu Compe- tition)に出場した,SATプランニングアルゴリズムを用 いたプランナである.COPLANは探索空間を削るために,

プランニンググラフと呼ばれる有向付き探索グラフ作成 してからCNFに変換し,それをSATソルバRSATで解 くアルゴリズムになっている.

以下にCOPLANのアルゴリズムを示す.

1. プラン長を1とし,プランニンググラフを作成する.

2. プランニンググラフをCNFに変換する.

3. CNFをRSATで解く.SATISFIABLEならば,この プラン長にプランが存在するため,COPLANを終 了する.

4. プラン長を1大きくして,手順2からやり直す.

4 補題再利用

この章では補題再利用(Lemma Reusing Planning:LRP)[1]

について述べる.一般的にあるSAT問題から生成された

lemmaは別のSAT問題において利用することはできな

い.しかし,LRPは特定のアルゴリズム,CDCLで生成

されたlemmaが同じプランニング問題から生成された別

のSAT問題においても利用導出可能であることを用いて,

SATプランニングの解探索の高速化を図るアルゴリズム である.

以下の図1にLRPの概念を示す.

図1: LRP

(2)

5 C2P の設計と実装

C2PはCOPLANをベースに並列化したプランナであ

る.下の図2に流れを示す.C2Pはプラン長をnとした プランニンググラフを作成後,CNFに変換する.それを c-satで解く.SATISFIABLEならば,終了する.UNSAT ならば,プラン長を1追加し,プランニンググラフを作 成,CNFに変換する.それをc-satで解く際に,プラン長 nで生成されたlemmaを保持したままc-satで解く.これ を繰り返す.

図2: C2Pの動作図

6 評価実験

今回の実験は独立行政法人産業技術総合研究所が配備 管理している検証クラスタさつきを使用した.以下に実 験環境を示す.

実験環境 CPU:Quad Core Intel Xeon 2.93GHz×16 Memory:1TB

Middle ware:Mpich2 version 1.2.1 gcc:4.3.2

今回の実験はCOPLNA,C2P,LRPを用いたC2Pそれ ぞれに31PEを用いて行った.また,本実験ではIPCで 使用した問題の中からCOPLANが1秒かかった問題を使 用して,全実行時間と速度向上比を計算している.実験 結果を表1,図3に示す.

表1: COPLANと,C2P,C2P-lrpの性能評価 COPLAN C2P C2P-LRP

alltime 6674.23 371.27 4121.28

speedup 1 25.44 24.82

図3:実験結果

実験結果,表1からC2Pは平均向上比は約25倍,LRP を用いると約25倍になった.また,LRPを用いる場と 用いない場合ではX倍の向上比になった.実験結果から

c-satを入れることによる効果はかなりの効果がでたと思

われる.しかし,図3LRPを用いた際はそれほどの効果 が出なかった.これはlemmaがあるせいで,SATの解の 探索の邪魔をしているものと思われる.元々lemmaは冗 長なので,探索域の削減には効果はあるが,探索の邪魔 をしてしまうことがあるためと思われる.

7 まとめと今後の課題

本研究ではLRPを用いた並列SATプランナを実装し,

31PEsで問題を解かせた.結果として,c-satを用いたC2P はCOPLANに比べて平均X倍の速度向上に成功し,LRP

を用いたC2P-LRPは速度向上としては変わらない結果に

なった.以下に今後の課題を挙げる.

• 保持するlemma量の変更

今回のLRPは一つ前のレベルのlemmaのみを保持 していた.しかし,現在のレベルより前のlemmaは すべて再利用可能なので,lemma量の変更をするこ とにより,より高速な解の探索を行う.

• 複数のレベルの同時探索

今回のC2Pでは一つのレベルをc-satで探索してい たが,同時に複数のレベルを探索することによって,

早くプランが存在するレベルに達成することができ るため,更なる高速化が期待できる.

• lemma masterの導入

上記の複数のレベルの同時探索の際に,lemmaを違 うレベルの解いているc-satに受け渡すlemma master を導入する.そうすることによって,様々なlemma を受け取ることができ,更なる高速化が見込まれる.

参考文献

[1] Nabeshima,H., Soh,T.,Inoue, K.,: Lemam reusing for SAT based planning and scheduling, In Proc.ICAPS, 2006

[2] ohmuraK.,UedaK.,c-sat: A Parallel SAT Solver for Clus- ters,In Proc.SAT2009,pp. 239-253,2009.

[3] Robinson, N., Gretton, C., Pham, D.N.: Co-plan: Com- bining SAT-based planning with forward-search. In:

Proc. IPC-6 (2008)

[4] Jussi Rintanen: Planning as satisfiability: parallel plans and algorithms for plan search, Artificial Intelligence Volume 170, September 2006, pp. 1031- 1080.

参照

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