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修 士 論 文 概 要 書

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Academic year: 2021

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修 士 論 文 概 要 書

Summary of Master’s Thesis

Date of submission: __2_/__6_/ 2012 (MM/DD/YYYY) 専攻名(専門分野)

Department 情報理工学

Name 奥井 宣広

Advisor

甲藤 二郎 印 Seal 研究指導名

Research guidance 画像情報研究 Student ID 学籍番号 number

CD

5110B031-8

研究題目

Title

バイオメトリック暗号におけるテンプレートの安全性対策に関する研究

Fuzzy Commitment Scheme

を用いた共通補助データの作成 − 1. 研 究 の 背 景 と目 的

情報システムを利用するユーザの利便性と安全性を 両立する認証手法として,生体認証が注目されている.

しかし,生体情報は変更不可能な情報であり,生体情 報の漏洩には大きなリスクを伴う.したがって,これらを 安全に保管・更新する手法を実現することにより,生体 認証の更なる普及が促進されることが期待できる.生 体情報の安全性を保ちつつ認証を行う手法は,一般 にテンプレート保護型生体認証と呼ばれる.本稿では その中でも生体情報から生成される一意な鍵を暗号 用の鍵として使用することでネットワーク認証を行い,

ユーザ認証とクライアント認証を同時に実現する手法 であるバイオメトリック暗号とその代表的手法である Fuzzy Commitment Scheme に着目する.

本研究では,共通補助データと Fuzzy Commitment Scheme を用いることにより,安全性の高いシステムを 提案する.

2. 共 通 補 助 デ ー タを 用 い た バ イ オ メトリック暗 号 2.1 共 通 補 助 デ ー タの 概 要

共通補助データの特徴は,個人の生体情報を登録 しない点と個人ごとに作成しない点である.したがって,

共通補助データが漏洩した場合でも個人の生体情報 を推定することは困難である.

2.2 共 通 補 助 デ ー タを 用 い た 認 証 モ デ ル

B' M=B' B F

= F

図1 共通補助データを使用したシステムの概要 登録過程では,センサから得られる指紋情報と共通 補助データを用いて量子化を行いビット列 B を生成す る.秘密情報 S を誤り訂正符号化により符号語 F を作 成する.ビット列 B と符号語 F の排他的論理和によりマ スクデータ M を作成し,システムに保管する.

照合過程では,登録過程と同様に指紋情報と共通 補助データからビット列 B’を作成し,マスクデータ M と

排他的論理を取り,ビット列 B とビット列 B’の誤差が誤 り訂正能力の範囲内であれば,誤り訂正により秘密情 報 S が復元される.

2.3 秘 密 情 報 復 元 可 能 条 件

秘密情報要素数を k,検査符号要素数を g とし,ビッ ト列 B とビット列 B’で一致したビット数を mt,不一致で あるビット数を mf,マニューシャの消失等で消失誤りと 判定されたビット数を e とする.このとき,

k + g = m

t

+ m

f

+ e

が成り立ち,誤り訂正可能条件である

2m

f

+ e +1 ≤ g +1

より,次式が成り立つ.

km

t

m

f

3. 共 通 補 助 デ ー タを 用 い た 指 紋 情 報 の 量 子 化 3.1 指 紋 情 報 の ず れ や 揺 らぎ

センサから得られる指紋情報は,取得環境の気温や 湿度の変化,センサに入力する際の圧力や角度の違 いなどの要因によって変化する.本研究では,それら の指紋情報のずれや揺らぎを補正する手法としてリフ ァレンスマニューシャを用いた補正を用いる.

3.1.1 リファレン ス マ ニ ュー シ ャを 用 い た 補 正 リファレンスマニューシャを用いた補正手法は,基準 とするマニューシャとの他のマニューシャの相対的な 値を用いることで,マニューシャの位置ずれと角度ず れの補正を行う.

3.1.2 照 合 方 法

リファレンスマニューシャを用いた補正における照合 方法の概要を図 2 に示す.リファレンスマニューシャを 用いた補正では,指紋画像に含まれる全てマニューシ ャにおいて各マニューシャを基準とした変換が行われ る.したがって,図 2 において登録時に m 個,照合時 に n 個のマニューシャがあるため,それぞれビット列 T1

~ビット列 Tm,ビット列 Q1~ビット列 Qnが生成される.

1 1 0 1 ・・・ 0 1

1 1 0 1 ・・・ 0 1

1 1 0 1 ・・・ 0 1

1 1 0 1 ・・・ 0 1 1 1 0 1 ・・・ 0 1 1 1 0 1 ・・・ 0 1

Q1

Q2

Qn

照合ビット列 登録ビット列 T1

Tm

T2

図 2 照合方法の概要

登録ビット列と照合ビット列の照合は総当たりで行い,

最も照合スコアが良いものを照合結果とする.

(2)

3.1.3 照 合 ス コア の 算 出 方 法

リファレンスマニューシャを用いた補正による照合ス コアの算出方法には,以下の Daugman らが提案した NHD(Normalized Hamming Distance)を提案手法に応 用して用いる.また,次式におけるmt+mf は,本人間 照合における mt + mf の平均値を示す.

HDraw= mf mt+mf

NHD=0.5−(0.5−HDraw) mt+mf mt+mf 3.2 共 通 補 助 デ ー タ作 成 方 法

2.3 節で説明したシステムを用いる場合,マニューシ ャ情報から常に固定長のビット列を生成しなければな らない.本研究では,指紋画像をエリアという予め定め た領域に分割して,エリアごとにマニューシャ情報を用 いてビット列を生成する.

3.2.1 エ リア 設 計 方 針

本研究では,マニューシャ位置分布の統計情報を用 いて,各エリアに含まれるマニューシャ数が均等となる ように作成する.また,エリアの形状を円形とすることで,

エリアの縁にあるマニューシャの位置ずれの誤差を均 等にすることが期待できる.

3.2.2 エ リア 作 成 方 法

3.2.1 項のエリア作成方針から,本研究ではリファレン スマニューシャを用いた補正後の指紋画像中心点から 円形エリアを同心円上に配置する.円形エリア作成の 概要を図 3 に示す.

図 3 円形エリア作成の概要 1. マニューシャ位置分布の統計を算出する

2. 作成する円形エリアの総数 N を指定することで,各 円形エリアに含まれるマニューシャ数が決定し,統 計情報から 1 周目の円形エリアの半径が決定する.

3. k周目の円形エリア数を仮決定し,統計情報からk 周目のエリア中心点 Ckと半径 Rkを仮決定しておく.

4. k周目までエリアにおいて,各円形エリア間に隙間 が生じていないかを調査し,隙間がある場合はk周 目のエリア半径を+1 する.また,Rk の取りうる値の 範囲は実験的に以下のように定めてある.

Rk が最大値でもエリア間に隙間がある場合は,3.

に戻り円形エリア数を+1 する.

5. エリア完成後に円形エリアの総数が 1.で指定した N に対して,±3 以内の誤差であれば完成とする.

3.3 照 合 閾 値

指紋のマニューシャと共通補助データの円形エリ アとの照合には,照合閾値を設けて判定を行う.円 形エリアの半径を r,円形エリア中心点からマニュー シャまでの距離を d とした場合,照合閾値は d/r と する.

3.4 量 子 化 方 法

本研究では,円形エリアごとにマニューシャの角 度情報を用いてビット列を出力する.予め,角度情 報とビット列の対応(以下,ビットスケール)を作成し ておく.円形エリアとマニューシャの一致判定を行 い,エリアごとに一致したマニューシャの角度平均 を算出し,ビットスケールを用いて量子化を行う.円 形エリアと最終的に出力されるビット列は,円形エリ アごとに出力したビット列をエリア番号順に組み合 わせたものである.

4. 秘 密 鍵 復 元 に よる照 合 精 度 評 価

円形エリア数 345 個,照合閾値 1.2,角度分割数 8 分割の時最も照合精度が高く,図 4 の結果となった.

誤り訂正符号には Reed-Solomon 符号を用いる.ま た,角度分割数が 8 分割の場合は,1 つの円形エ リアから 4 ビットを出力するため GF(24) ガロア拡大 体を用い,1 シンボルを各円形エリアから出力され るビット列に対応づける.実験結果より,最も精度が 高い(FMR, FNMR)=(0.031, 0.03)のとき秘密情報要 素数は 11 個であり,秘密情報のビット数は 44 ビット となる.

0 0.05 0.1 0.15 0.2

0 0.05 0.1 0.15 0.2

FNMR

FMR

図 4 実験結果(ROC カーブ)

5. ま とめ と今 後 の 検 討

共通補助データを用いたバイオメトリック暗号の構 成に関する検討を行い,リファレンスマニューシャを 用いた補正後のマニューシャ位置分布や位置ずれ の影響を考慮したエリア設計手法として,円形エリ アを補正後の指紋画像中心点から同心円上に配 置する手法を提案した.また,提案手法によって出 力されたビット列における秘密情報復元による照合 精度評価を行った.

本研究では,全ての円形エリアに対して共通のビ ットスケールを用いたが,実際にはエリアごとにマニ ューシャの角度分布に偏りがあると考えられ,エリア ごとに最適なビットスケールを設定することで,より 安全かつ照合精度の高いビット列を生成できる可 能性がある.

参照

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