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家畜衛生学雑誌 家畜衛生学雑誌

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(1)

K

家畜衛生学雑誌 家畜衛生学雑誌

Vol.44 No.2 2018. DEC.

日 本 家 畜 衛 生 学 会

The Japanese Society of Animal Hygiene

The Japanese Journal of Animal Hygiene

家畜衛生学雑誌

  第 44巻第2号

       

二〇一八年十二月

日本家畜衛生学会 家畜衛生学雑誌

44-2

 表14

家畜衛生フォーラム2018 要旨集

)        日本家畜衛生学会第89回大会 要旨集

(2)

複写される方へ

 日本家畜衛生学会は有限責任中間法人 学術著作権協会(学著協)に複写に関する権利委託をしていますので,本誌に掲 載された著作物を複写したい方は,学著協より許諾を受けて複写して下さい.但し,社団法人日本複写権センター(学著協 より複写に関する権利を再委託)と包括複写許諾契約を締結されている企業の社員による社内利用目的の複写はその必要は ありません.(※社外頒布用の複写は許諾が必要です.)

  権利委託先: 有限責任中間法人 学術著作権協会

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注意:複写以外の許諾(著作物の転載・翻訳等)は,学著協では扱っていませんので,直接日本家畜衛生学会へご連絡下 さい.[電話:042-367-5780]

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家 畜 衛 生 学 雑 誌

日本家畜衛生学会 発行

President : Junsuke SHIRAI(Tokyo Univ. of Agric. and Technol.)

Vice President : Shigeru MIYAZAKI(Res. Inst. for Anim. Sci. in Biochem. and Toxicol.)

Editor-in-Chief : Shigeru MIYAZAKI(Res. Inst. for Anim. Sci. in Biochem. and Toxicol.)

Editorial Board : Masuo SUEYOSHI(Miyazaki Univ.)

Shinji TAKAI (Kitasato Univ.)

Makoto NAGAI(Ishikawa Pref. Univ.)

Sadao NOGAMI(Nihon Univ.)

Hideto FUKUSHI(Gifu Univ.)

"""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""

The Japanese Journal of Animal Hygiene

Published by the Japanese Society of Animal Hygiene

理 事 長 :白井淳資 副理事長 :宮﨑 茂 編集委員長 :宮﨑 茂

編集委員 :末吉益雄・髙井伸二・長井 誠      野上貞雄・福士秀人

家畜衛生学雑誌

44-2

 表23

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(3)

 会員の皆様におかれましては,ますますご清栄のこととお慶び申し上げます.ここに,「家畜衛生学雑誌」第44巻 第 2 号を刊行する運びとなりました.

 本号では,技術資料 1 編の他,「家畜衛生フォーラム2018」講演要旨及び「第89回大会」講演要旨を掲載しています.

 「家畜衛生フォーラム2018」では,「越境性動物疾病の侵入および蔓延をいかに食い止めるか?」をテーマに,高病 原性鳥インフルエンザ,豚コレラ,アフリカ豚コレラ,口蹄疫などの重要疾病の概要と流行状況などを 6 人の先生方 からご講演をいただきますので,ご参加の皆様の積極的なご討論をお願い致します.

 家畜衛生学雑誌では,原著論文・短報以外にも,総説,数ページ程度のミニレビュー,技術資料等の原稿を受け付 けておりますが,今回初めて「ミニレビュー」をご投稿いただき,掲載の運びとなりました.原著論文はもちろんで ございますが,ミニレビューや技術資料も含め,会員の皆様の積極的なご投稿をよろしくお願い致します.ご不明な 点はご遠慮なく編集委員会事務局へお問い合わせください.

日本家畜衛生学会理事長  白井淳資 家畜衛生学雑誌編集委員長 宮﨑 茂

(日本家畜衛生学会副理事長)     

日本家畜衛生学会・学会費納入のお願い

 ご承知のように,学会は会員の皆様からの会費をもって運営されています.学会の運営を円滑に運ぶために,所定 の会費を納入していただきますようお願いします.

*会費は,正会員5,000円,学生会員2,000円です.

*平成27年度までの未納分をお支払いいただく場合,正会員年会費は4,000円です.

日本家畜衛生学会 理事長 白井淳資

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記載事項を訂正した場合は、その箇所に訂正印を押してください。切り取らないで郵便局にお出しください。

各票の※印欄は、ご依頼人において記載してください。

裏面の注意事項をお読みください。

これより下部には何も記入しないでください。

(消費税込み)

日本家畜衛生学会

0 0 2 4 0

4 3 1 7 1 3 0 0 2 4 0 3 4 3 1 7 1

日本家畜衛生学会

平成 26 27 28 29 30 年度

       (      )         計       円

(4)

(ご注意)

・この用紙は、機械で処理します ので、口座番号及び金額を記入す る際は、枠内にはっきりと記入し てください。

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・この払込請求書を郵便局の派遣 員にお預けになるときは、引換え に預り証を必ずお受け取りください。

 この受領証は、郵便振替の払込 みの証拠となるものですから大切

に保存してください。 この払込取扱票の裏面には、何も記載しないでください。

(5)

家畜衛生学雑誌

第44巻 第 2 号 2 0 1 8

 

目  次

〈技術資料〉

口蹄疫の発生に備えた牛及び豚の県内最大規模農場における初動防疫計画

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・吉田大志・成富英規・村上美雪・小池康司 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 43〜51

〈家畜衛生フォーラム2018要旨集〉

今回の企画について

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・学術企画委員会 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 55〜56 世界における越境性動物疾病の状況と対策

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・釘田博文 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 57〜59 高病原性鳥インフルエンザ

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・迫田義博 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 61〜64 豚コレラ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・深井克彦 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 65〜66 アフリカ豚コレラ

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・山田 学 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 67〜70 口蹄疫・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・森岡一樹 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 71〜73 越境性動物疾病の侵入リスクに応じた水際検疫

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・伊藤和夫 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 75〜78

〈第89回大会講演要旨集〉

くん液添加による食肉製品由来微生物への影響  ─腐敗関連乳酸菌の抑制効果について─

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・高木千遥・加藤 唯・竹田志郎・坂田亮一 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 82〜83 卵殻酵素分解物による食肉製品の発色促進作用機序の検討

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・堀越茉利江・千葉原聖康・竹田志郎・坂田亮一 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 84〜85 フィリピンの家畜およびラットにおけるレプトスピラ保有状況調査

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・安島菜実・村田 亮・蒔田 浩平・内田郁夫・小沼 操 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 86〜87 Mycoplasma bovis特異抗原を用いたELISA系の構築

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・杉本侃司・西 航司・藤木純平・岩野英知・権平 智・樋口豪紀 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 88〜89 腸内のウエルシュ菌量の死後変化についての検討モデルの開発( 2 )

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・石塚由佳・上塚浩司 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 90〜91 豚コレラの発生を防ぐために

 ─モンゴルでの取り組み─

・・・・迫田義博・Munkhduuren Shatar・Bazarragchaa Enkhbold・廣瀬和彦・今泉好能・

松野啓太・岡松正敏・Uyangaa Temuujin・Basan Ganzorig・梅村孝司 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 92〜93 会員へのおしらせ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 95〜101 家畜衛生学雑誌投稿規程  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 102〜103 日本家畜衛生学会会則  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 104〜105

家 畜 衛 生 学 雑 誌

(6)

The Japanese Journal of Animal Hygiene Vol. 44 No. 2 2 0 1 8

 

Contents

〈Technical report〉

Initial epidemic preventive plan prepared for the outbreak of foot-and-mouth disease at  the large cattle and hog farm in Kumamoto

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・Hiroshi Yoshida et al. ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 45〜51

〈Abstracts of Animal Hygiene Forum 2018〉 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 53〜78

〈Abstracts of oral presentations on 89th academic meeting〉 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 79〜93

Information for Members ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 95〜101 Instruction for Authors ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 102〜103 The Regulations of The Japanese Society of Animal Hygiene ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 104〜105

Jpn. J. Anim. Hyg.

(7)

1 .緒言

口蹄疫は口蹄疫ウイルスが原因で,牛や豚などの偶蹄 類家畜が感染する伝染力がきわめて強い急性熱性伝染病 である.条件が揃えば風による長距離伝播も報告されて いる1 ).日本では家畜伝染病予防法において法定伝染病 に指定されており,患畜および疑似患畜は殺処分するこ ととなる.2010年 4 月20日に宮崎県で発生した事例で は,同年 7 月27日に移動制限区域が解除されるまでに,

牛と豚は合わせて約29万頭が殺処分され,被害額は約 2,350億円と推計されている1 , 2 ).そのため,口蹄疫発 生時には,口蹄疫に関する特定家畜伝染病防疫指針(以 下,防疫指針)3 )の基本方針にあるように,被害の拡大 を防ぐために,迅速かつ的確な初動対応による早期封じ

込めが重要である.

熊本県阿蘇家畜保健衛生所(阿蘇家保)の管内には,

牛6,000頭及び豚16,000頭のいずれも熊本県内最大規模と なる農場※ 1が存在する.しかし,両農場とも熊本県口 蹄疫防疫対策マニュアル5 )(以下,県FMDマニュアル)

の想定規模※ 2を大幅に超えている.さらに,県FMDマ ニュアルではあくまで第 1 次の動員試算のみであるが,

両農場の飼養規模を鑑みると,第 2 次, 3 次以上の大多 数の動員(獣医師や家畜の扱いに慣れた者を含む)が必 要になることが予想される.動員可能な人員(熊本県に おける平成28年度の家畜伝染病発生時の緊急派遣可能者 数は,熊本県職員(獣医師)28名,獣医師以外の県職員 2703名,県職員以外の獣医師41名※ 3,家畜保定者41名※ 3 である.)には限りがあることから,迅速な防疫措置実

口蹄疫の発生に備えた牛及び豚の 県内最大規模農場における初動防疫計画

吉田大志

1 )*

・成富英規

2 )

・村上美雪

3 )

・小池康司

1 )

Initial epidemic preventive plan prepared for the outbreak of foot-and-mouth disease at the large cattle and hog farm in Kumamoto

Hiroshi Yoshida

1)*

, Hideki Naridomi

2)

, Miyuki Murakami

3)

and Yasushi Koike

1)

1)Kumamoto Prefecture Aso Livestock Hygiene Service Center, 2639-1 Miyaji, Ichinomiyamachi, Aso-shi,Kumamoto, 869-2612, Japan

2)Kumamoto Prefecture Meat Hygiene Inspection Center, 1341 Sosaki, Shichijomachi, Kikuti-shi,Kumamoto, 861-1344, Japan

3)Kumamoto Prefecture Jyonan Livestock Hygiene Service Center, 1237-1 Ipponsugi, Gantsukurimachi, Hitoyoshi-shi, Kumamoto, 868-0042, Japan)

Corresponding author: Hiroshi Yoshida ([email protected]

(2018. 3. 18 受付/2018. 10. 1 受理)

家畜衛生学雑誌 44,43〜51(2018)

1 ) 熊本県阿蘇家畜保健衛生所

〒869−2612 熊本県阿蘇市一の宮町宮地2639− 1

2 ) 熊本県食肉衛生検査所

〒861−1344 熊本県菊池市七城町蘇崎1341

3 ) 熊本県城南家畜保健衛生所

〒868−0042 熊本県人吉市蟹作町一本杉1237− 1

連絡著者:吉田 大志

[email protected]

※ 1   熊本県全体での牛の飼養頭数は,乳用牛42,563頭,肉用

牛129,216頭,豚307,412頭であり,阿蘇家保管内では,乳 用 牛4,716頭, 肉 用 牛30,434頭, 豚44,017頭 と な っ て い る.(熊本県畜産統計4 )(平成29年 2 月 1 日時点))

※ 2   県FMDマニュアルでは,牛250頭,母豚1,000頭を 1 日で

防疫措置するための人員を試算している.

※ 3   一般社団法人熊本県獣医師会及び公益社団法人熊本県畜

産協会の緊急派遣者登録名簿の登録者数

(8)

44 家畜衛生学雑誌 第44巻第 2 号(2018)

施のために,実効性のある初動防疫計画が必要となる.

そこで,農場の現地調査と防疫措置に必要な人数などの 各種試算による,大規模農場における晴天条件下での初 動防疫計画を立案したので,その概要を報告する.

2 .初動防疫計画

阿蘇家保が,口蹄疫の防疫対応の協力機関である熊本 県建設業協会阿蘇支部,市町及び熊本県阿蘇地域振興局 から担当者を招集し,各農場内での畜舎構造や畜舎内外 の作業場所,作業動線,重機の選定,班編制,現場事務 所や通行制限の配置,埋却等について現地調査を行っ た.その後,迅速な防疫措置を行う上での課題の抽出及 び対応策を検討し,殺処分のシミュレーションと発生農 場での防疫措置にかかる人員及び日数を試算した.

1 )牛農場 a)現地調査

当該農場は肥育経営で,畜舎及び堆肥舎棟数48棟(肥 育牛舎34棟,哺育・育成牛舎 8 棟,堆肥舎 6 棟)(図 1 )

を用いて牛約6,000頭(肥育牛5,500頭,育成牛350頭,子 牛150頭)を飼養しており,埋却地として周辺の原野 5 ヶ所(計35,000 m2)を設定している.肥育牛舎では 1 牛房に 8 頭が群飼されており, 1 牛舎に10〜20牛房が 2 列に配置され,各牛房は開閉式の柵で仕切られてい る.牛舎は 3 面が壁のため,重機の出入りは前方 1 ヶ所 のみとなっている(図 2 ).牛には鼻環や頭絡が装着さ れておらず,またスタンチョン等の保定設備も無かっ た.さらに,農場から埋却地までの約1 km の道路は未 整備であった.

b)課題と対応策

現地調査において,①牛の捕獲・保定が困難な点と② 埋却地までの道路が未整備であることの 2 点に関して対 処が必要と判明したため,対応策を以下のように検討し た.

① 牛の捕獲・保定が困難な点に関しては,牛の扱いに 熟練している県内の畜産関係者と当該農場の作業員 を有事の際の動員候補(以下,保定者)として設定 した.さらに,安全性を考慮し,牛房の可動柵を利

図 1 .牛農場平面図

①衛生管理区域(FMD発生時は汚染ゾーン) ②農場出入口(FMD発生時はグレイゾーン) ③現場事務所候補地

④道路(矢印方向1 km先に埋却地予定地(原野)) ⑤死体集積場

:肥育牛舎 :哺育・育成牛舎

:堆肥舎

(9)

③ 保定した牛に塩酸キシラジンを0.5ml/100kg で筋肉 内投与して鎮静させ,効果が確認されてから殺処分 用薬剤を静脈注射して薬殺する(図 3 の③).

④ 殺処分を実施している間に,通路向かいまたは奥の 枠の牛房で捕獲・保定・鎮静作業を実施する.殺処 分した死亡牛は,評価班が個体識別記録後,ショベ ルローダーで農場内に 5 ヶ所設置している死体集積 場(図 1 )へ運び出す(図 3 の③).(死体集積所に 集めた死亡牛は,塩素系消毒薬を散布した後に牛体 袋に入れ,ブルーシートで包んでから農場外の埋却 地へ輸送する.死亡牛及び車両の消毒は,死体集積 所・農場入口・埋却地入口(図 1 )にて行う.)

d)防疫措置に必要な人数の試算

防疫措置を実施するにあたり,動員者を表 1 のとおり の役割に配置することとし,必要な人員及び日数を試算 した.なお,1 班の防疫作業時間は 8 時間(以下,1 クー ル)で,内訳は 3 時間作業・90分休憩・ 3 時間作業・引 き継ぎ30分とした.

当農場の牛6,000頭を1,000頭ずつ 6 グループに分けて 措置することとした.しかし, 1 日目の動員者は県内の みの獣医師,保定者に限られるので, 1 クールでの捕 図 2 .肥育牛舎平面図

10牛房× 2 列のタイプの肥育牛舎は,25 m×50 mとなっている.

牛舎の中心に通路と飼槽が配置されている.各牛房は4.9 mの開閉 式の柵で仕切られており, 1 牛房に 8 頭が群飼されている.重機 の出入口は 1 ヶ所のみとなっている.

通 路

4.9 m

50 m

25 m 飼槽

重機出入口

図 3 .肥育牛舎における殺処分シミュレーション

① (右)  開閉式の柵で牛を片方に寄せ,敷料をローダーで除去 する.

② (左)  開閉式の柵で牛を集合させる.

  (右)  1 頭ずつロープを用いて捕獲し,牛房の枠に保定する.

③ (左)  保定した牛を薬殺する.同時に,通路向かいの牛房の 牛の捕獲・保定・鎮静を実施する.

  (右)  薬殺した死亡牛を死体集積所へショベルローダーで搬 送する.

死体集積場へ

用し保定することとした.

② 埋却地までの未整備の道路に関しては,緊急の道路 整備が必要と考えられ,道路の補強や離合ポイント の整備等を行う輸送道路整備班を設定し,さらに,

道路への負荷を軽減するため,死亡牛の輸送は2 t ダンプでのピストン輸送とした.なお,農場外の埋 却地への搬出のため,防疫指針3 )第 6 − 2 −( 2 ) に準じたまん延防止措置(後述)を検討しており,

実際の発生時には農林水産省消費・安全局動物衛生 課と協議の上で実施する.

c)殺処分シミュレーション

検討会での意見を基に,牛の殺処分を以下のとおりシ ミュレーションした(図 3 ).

① 作業者の足場の安全性の確保のため,開閉式の柵で 牛を片方に寄せ,敷料をローダーで除去する.反対 側の牛房の列も同様に行う(図 3 の①).(敷料は死 体集積所として用いない堆肥舎(図 1 )へ集めた 後,フレコンバックに詰めて埋却地へ輸送する.)

② 敷料除去後は捕獲・保定班が開閉式の柵で牛を集合 させる. 1 頭ずつロープを用いて捕獲し,牛房の枠 に保定する.(図 3 の②).

(10)

46 家畜衛生学雑誌 第44巻第 2 号(2018)

2 )豚農場 a)現地調査

当該農場は一貫経営で,豚舎及び堆肥舎棟数42棟(繁 殖豚舎14棟,離乳豚舎 6 棟,子豚舎 7 棟,肥育豚舎 9 棟,堆肥舎 6 棟)を用いて豚約16,000頭(繁殖豚(母豚 1,350頭, 種 雄 豚30頭, 育 成 豚150頭 ), 哺 乳 豚※4 2,000 頭,離乳豚※4 4,800頭,子豚※4 3,000頭,肥育豚※4 5,000 頭)を飼養しており,埋却地として農場周辺に空き地 3 ヶ所(計25,000 m2)を設定している(図 4 ).各豚舎 内の構造は図 5 のとおりで,肥育・子豚舎 B タイプの み,豚房ごとの搬出口が畜舎側面にある.そのため,

フォークリフトで出荷用ケージを搬出口に横付けして,

豚を移動させている.なお,農場所有の出荷用ケージは 4 台ある.

獲・保定班及び殺処分班の投入班数は 2 班とし, 2 日目 以降は県外からの動員者を想定して 6 班としている. 1 牛房内の肥育牛 8 頭の殺処分には,集合10分,鎮静20 分,保定10分,殺処分に15分の計55分必要と想定し, 1 クールで 1 班が牛64頭(薬殺時には,同じ牛房で作業し ていた捕獲・保定班は次の牛房の作業に取り掛かるた め, 2 時間55分で 4 牛房分32頭を処理)を殺処分できる と試算した.この試算により, 6 日間で6,144頭の殺処 分が可能であると考えられた.さらに,防疫措置全体に ついては,殺処分は 6 日目,搬出・埋却は 8 日目,畜舎 の清掃・消毒は11日目までかかることから,牛6,000頭 の防疫措置完了までには11日間,総動員数9,256名(う ち獣医師532名( 1 日目31名),保定者768名( 1 日目48 名),一般動員者7,956名( 1 日目174名))が必要である と試算した(表 1 , 2 ).

表 1 .牛農場での各班の動員者の内訳と各班の役割

人数/1 班

内訳

獣医師 保定者 一般 役割 動員者

事前調査班 4 1 3 埋却地の選定,発生農場の調査による動員数,重機,資材等必要数確認.獣医師は防疫課長.

現場責任者 1 1 発生農場に常駐.発生農場各班の指揮.統括,本部

との連絡調整.防疫課長(事前調査班兼).

連絡補助員 1 1 現場事務所との連絡,不足資材調達依頼.

農場防疫補佐 1 1 各班の作業状況の監督,現場責任者への報告.

作業班長 3 1 2 捕獲・保定班,殺処分班,搬出班の班長.殺処分班

班長は獣医師.捕獲・保定班,搬出班班長は班長研 修を受講した農林水産部職員等.

捕獲・保定班 6 6 殺処分家畜の集合・捕獲・保定.

殺処分班 3 1 2 殺処分の実施(獣医師),殺処分の補助(保定者).

搬出班 6 6 殺処分した家畜及び汚染物品の搬出・運搬.

清掃・消毒班

清掃・水洗班 36 36 殺処分後の畜舎の清掃・水洗

消毒薬散布班 8 8 殺処分後の畜舎の消毒

石灰散布班 18 18 殺処分後の畜舎及び農場への石灰散布

評価班 3 1 2 評価人による殺処分家畜及び物品の評価

埋却地 埋却班班長 1 1 埋却班の監督,現場責任者への報告.

埋却班 28 28 埋却溝掘削,死体・汚染物品の埋却

輸送道路整備班 8 8 農場から埋却地までの輸送用の道路の維持・管理.

* 捕獲・保定班,殺処分班,搬出班,清掃・消毒班

※ 4   発育ステージにより,21日齢までを哺乳豚,64日齢までを離乳豚,119日齢までを子豚,120日齢以降を肥育豚と分類した.

(11)

い位置に配置する場所(深さ1 mの掘削溝(以下,

ガス殺処理場))の設置を検討した.なお,掘削溝 はガス殺処理場 1 カ所(農場内に 3 ヶ所設置(図 4 ))につき 2 ヶ所作製し, 2 班が同時にガス殺を 行えるようにする.さらに,作業をより効率的に行 うために,フォーク部分を上下に可動できるヒンジ ドフォークリフトやホイルローダーのバケットに フォークを溶接した特殊重機の使用も検討した5 ). c)殺処分シミュレーション

b)の対応策を踏まえたうえで,豚の殺処分を以下の とおりシミュレーションした.

①ガス殺

 豚房及び豚舎の搬出口にフォークリフトに載せた出 荷用ケージを横付けする.次に,コンクリートパネル を用いて,豚房より豚を出荷用ケージへ追い込む.出 荷用ケージへ積込みこんだ豚をフォークリフトでガス 殺処理場へ輸送する.輸送後は,ブルーシートで目張 りした特装ダンプの荷台へ豚を移し替える.4tダンプ b)課題と対応策

現地調査において,以下の 2 点の課題が判明したた め,対応策を検討した.

① 効率的な豚の移動及び殺処分を行うために必要な出 荷用のケージが,農場保有分 4 台では不足するた め,系列会社,県施設,管内他農場での保有状況を 調査し,調達先リストを作成した.

② 殺処分方法については,それぞれの方法の特性6 ) を考慮した結果,離乳豚・肥育豚については,特装 ダンプ荷台での炭酸ガスによる殺処分(以下,ガス 殺),哺乳豚についてはペール缶内でのガス殺,繁 殖豚については電殺機による殺処分(以下,電殺)

とガス殺を検討した.そのうち,特装ダンプ荷台で のガス殺においては,特装ダンプに豚を移し替える 際にフォークリフトを2.5 m 以上上げる必要があ る.しかし,重心が高くなると,豚が暴れたときに リフトが不安定となり,作業に危険が伴うことが判 明した.その対応策として,特装ダンプの荷台を低

表 2 .牛農場での防疫措置試算

人数/

1 班

[A]

班数[B] 動員数[C]**

1日目 2日目以降

1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 6日目 7日目 8日目 9日目 10日目 11日目 計

事前調査班 4 1 0 4*** 4

現場責任者 1 1 1 3 3 3 3 3 3 3 3 3 3 3 33

連絡補助員 1 1 1 3 3 3 3 3 3 3 3 3 3 3 33

農場防疫補佐 1 2 6 6 18 18 18 18 18 18 18 18 18 18 186

作業班長 3 2 6 18 54 54 54 54 54 288

捕獲・保定班 6

2 6

36 108 108 108 108 108 576

殺処分班 3 18 54 54 54 54 54 288

搬出班 6 36 108 108 108 108 108 108 108 792

清掃・

消毒班

****

清掃・水洗班 36

6 6

648 648 648 648 648 648 3888

消毒薬散布班 8 144 144 144 432

石灰散布班 18 324 324 324 972

評価班 3 2 6 18 54 54 54 54 54 288

埋却地 埋却班班長 1 1 1 3 3 3 3 3 3 3 3 24

埋却班 28 1 2 84 168 168 168 168 168 168 168 1260

輸送道路整備班 8 1 1 24 24 24 24 24 24 24 24 192

計 251 597 1245 1245 1245 1245 1119 1119 492 348 348 9254

*    1 クールに農場に動員する班数.

**   3 クール(24時間)分の動員数.C=A×B× 3 .

***  事前調査班は殺処分作業開始前までに作業終了予定.

****  牛舎 6 棟の殺処分牛の搬出が完了次第、空いた牛舎の清掃・水洗に入り、全棟の搬出が完了したら消毒薬散布に移る。消毒薬散布後に牛舎及び

農場に石灰を散布する。清掃・水洗は 1 棟に 2 クール,消毒薬散布・石灰散布は 1 棟の作業終了に 1 クールかかると想定して試算している.

(12)

48 家畜衛生学雑誌 第44巻第 2 号(2018)

図 4 .豚農場の平面図

①衛生管理区域(FMD発生時は汚染ゾーン) ②農場入口(FMD発生時はグレイゾーン)

③道路(矢印方向100 m先に現場事務所候補地) ④ガス殺処理場 ⑤農場外の埋却地までの距離は約50 m 埋却

埋却地 堆肥舎

6棟)

事務所

埋却地

:繁殖豚舎 :子豚舎

:肥育豚舎

:離乳豚舎

図 5 .各豚舎の構造

肥育豚舎,子豚舎は 1 豚房に平均25頭,離乳豚舎は 1 豚房に平均500頭群飼され ている.肥育豚舎Bタイプのみ,豚房ごとの搬出口が畜舎側面にある.

A タイプ B タイプ

離乳豚舎 繁殖豚舎

豚房 豚房

通路

通路

通路 通路

:入口 :豚の移動

肥育豚舎、子豚舎

(13)

5 枚で保定する空間(電殺エリア)を準備する.豚を 1 頭ずつ豚房から電殺エリアへ誘導し,豚が保定され たら,通電を頭部へ30秒,胸部へ30〜60秒実施し,殺 処分を行う.死亡が確認されたらホイルローダーで特 装ダンプに投入し,埋却地に輸送する.

 なお,ガス殺処理あるいは通電処理のみでは死亡し なかった豚については,薬殺班が殺処分用薬剤を静脈 注射して薬殺する.

d)防疫措置に必要な人数の試算

防疫措置を実施するにあたり,動員者を表 3 のとおり 1 台に肥育豚では約30頭程の目安で積み込んだら,ブ

ルーシート上部を折り返し,全体を密封した後に,30 kg 炭酸ガスボンベ 1 本分を注入して殺処分する.殺 処分後はそのまま埋却地まで輸送する.

 哺乳豚は,豚房内で捕獲した後にペール缶に入れ,

豚舎入口まで運んだ後にペール缶内に炭酸ガスを 2 分 以上注入し,殺処分する.殺処分後は豚をフレコン バックに入れて埋却地へ輸送する.

②電殺

 豚舎の搬出口を囲むように,コンクリートパネルを

表 3 .豚農場での各班の動員者の内訳と各班の役割 人数/1 班

内訳 役割

獣医師 一般動員者

事前調査班 4 1 3 埋却地の選定,発生農場の調査による動員数,重機,

資材等必要数確認.獣医師は防疫課長.

現場責任者 1 1 発生農場に常駐.発生農場各班の指揮.統括,本部と

の連絡調整.防疫課長(事前調査班兼).

連絡補助員 1 1 現場事務所との連絡,不足資材調達依頼.

農場防疫補佐 1 1 各班の作業状況の監督,現場責任者への報告.

繁殖豚電殺班

捕獲・保定班 9 9 電殺エリアへの豚の誘導,電殺エリアの設置.

殺処分班 4 2 2 電殺機操作,薬殺(獣医師),スイッチ操作等の補助

(一般).

搬出班 5 5 殺処分した家畜及び汚染物品の搬出・運搬.

哺乳豚ガス殺班

捕獲班 10 10 殺処分家畜の捕獲・保定.ペール缶内への豚の投入.

殺処分班 4 4 ガス殺及びガス殺補助.

搬出班 14 14 殺処分した家畜及び汚染物品の搬出・運搬.

離乳豚ガス殺班

捕獲班 14 14 豚房から出荷用ケージへの豚の誘導.

搬出班 2 2 ガス殺処理場への豚の運搬.

子豚・肉豚・

繁殖豚ガス殺班

捕獲班 9 9 豚房から出荷用ケージへの豚の誘導.

搬出班 2 2 ガス殺処理場への豚の運搬.

ガス殺処理場

( 3 ヵ所)

殺処分班 28 28 ダンプ荷台でのガス殺及びガス殺補助.

搬出班 4 4 殺処分した家畜の搬出・運搬.

清掃・消毒班 清掃・水洗班 20 20 殺処分後の畜舎の清掃・水洗.

消毒・石灰散布班 10 10 殺処分後の畜舎の消毒・石灰散布.

評価班 3 1 2 評価人による殺処分家畜及び物品の評価.

( 3 ヵ所)埋却地

埋却班班長 1 1 埋却班の監督,現場責任者への報告.

薬殺班 1 1 ガス殺で死亡しなかった豚の殺処分を実施.

埋却班 17 17 埋却溝掘削,死体・汚染物品の埋却.

* 電殺班,ガス殺班,ガス殺処理場,清掃・消毒班

(14)

50 家畜衛生学雑誌 第44巻第 2 号(2018)

の役割に配置することとし,必要な人員及び日数を試算 した. 1 班の作業時間及びその内訳は牛農場と同様とし た.

1 クールでの投入班数は,牛農場と同様の理由から,

1 日目は電殺班 3 班,子豚・肉豚・繁殖豚ガス殺班 4 班 とした.それに合わせてガス殺処理場は 2 ヶ所,埋却地 は 1 ヵ所の稼働とした. 2 日目以降は県外動員者を想定 し,表 4 のとおりとした.

特装ダンプ荷台でのガス殺では, 1 クールで 1 班あた り約330頭を殺処分できる※ 5と想定し,表 4 の班編成だ と 3 日目までに15,840頭処理できると試算した.

哺乳豚の処理については, 1 クールで 1 班あたり1,000 頭殺処分できるとし, 1 日での処理が可能と試算した.

電殺では 1 頭当たり10分必要と想定し, 1 クールで 1 班当たり36頭殺処分できると想定し,繁殖豚を 3 日間で 1404頭処理できると試算した.残りの約200頭はガス殺

※ 5   引用文献 7 )「口蹄疫に関する防疫作業マニュアル〜口蹄疫の感染拡大を防ぐために〜」によると,ガス殺作業員20〜25名

程度で 1 日当たり肥育豚1,000頭の処理が可能

表 4 .豚農場での防疫措置試算

人数/1 班

[A]

班数[B] 動員数[C]**

1日目 2日目以降

1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 6日目 7日目 8日目 計

事前調査班 4 1 0 4*** 0 0 0 0 0 0 0 4

現場責任者 1 1 1 3 3 3 3 3 3 3 3 24

連絡補助員 1 1 1 3 3 3 3 3 3 3 3 24

農場防疫補佐 1 9 **** 27 63 78 18 18 18 18 18 258

繁殖豚電殺班

捕獲・保定班 9

3 5

81 135 135 0 0 0 0 0 351

殺処分班 4 36 60 60 0 0 0 0 0 156

搬出班 5 45 75 75 0 0 0 0 0 195

哺乳豚ガス殺班

捕獲班 10

0 1

0 30 0 0 0 0 0 0 30

殺処分班 4 0 12 0 0 0 0 0 0 12

搬出班 14 0 42 0 0 0 0 0 0 42

離乳豚ガス殺班 捕獲班 14

0 4 0 168 168 0 0 0 0 0 336

搬出班 2 0 24 24 0 0 0 0 0 48

子豚・肉豚・繁殖豚 ガス殺班

捕獲班 9

4 8 108 216 216 0 0 0 0 0 540

搬出班 2 24 48 48 0 0 0 0 0 120

ガス殺処理場

( 3 ヵ所)

殺処分班 28

2 3 168 252 252 0 0 0 0 0 672

搬出班 4 24 36 36 0 0 0 0 0 96

清掃・消毒班***** 清掃・水洗班 20

0 6 0 0 360 360 360 360 360 0 1800 消毒・石灰散布班 10 0 0 0 180 180 180 180 180 900

評価班 3 1 1 9 9 0 0 0 0 0 0 18

( 3 ヵ所)埋却地

埋却班班長 1 1 1 3 3 3 3 3 0 0 0 15

薬殺班 1

1 3 3 9 9 9 9 0 0 0 39

埋却班 17 51 153 153 153 153 0 0 0 663

計 589 1341 1623 729 729 564 564 204 6343

*      1 クールに農場に動員する班数.

**     3 クール(24時間)分の動員数.C=A×B× 3

***    事前調査班は殺処分作業開始前までに作業終了予定.

****   農場防疫補佐の動員は電殺班・ガス殺班・ガス殺処理場・清掃・消毒班の班数[B]に対応して,2 日目21班,3 日目26班,4 日目以降 6 班( 1 クールでの班数)となる.

*****  全棟の豚の搬出が完了したら消毒・石灰散布に移る。清掃・水洗および消毒・石灰散布は 1 棟の作業終了に 2 クールかかると想定している.

(15)

4 ) 熊本県 HP:熊本県畜産統計,URL:https://www.

pref.kumamoto.jp/hpkiji/pub/List.aspx?c_id=3&

class_set_id=1&class_id=5154

5 ) 熊本県農林水産部(2012)熊本県口蹄疫防疫対策マ ニュアル.熊本県.

6 ) 宮崎県口蹄疫防疫対策本部(2016)宮崎県口蹄疫防 疫マニュアル.宮崎県.

7 ) 農林水産省消費・安全局動物衛生課(2013)口蹄疫 に関する防疫作業マニュアル〜口蹄疫の感染拡大を 防ぐために〜.

要  旨

口蹄疫発生時の早期封じ込めには,迅速な防疫措置が 重要である.管内には,熊本県口蹄疫防疫対策マニュア ルの想定規模を大幅に超えた牛農場(肥育牛6,000頭)

と豚農場(一貫経営,16,000頭)が存在する.そこで,

両農場の現地調査と各種試算により,現実に即した実効 性のある初動防疫計画を立案したので,その概要を報告 する.牛農場では,埋却地への道路が未舗装のため,輸 送道路整備班を設定した.また,牛の捕獲・保定が困難 なことから,牛の扱いに熟練している者を選抜・動員す ることとした.豚農場では,繁殖豚は電殺と炭酸ガス 殺,他の豚はガス殺することとした.作業を効率的に行 うために,出荷用ケージや重機の手配,作業場所の整備 を検討した.試算の結果,牛農場では殺処分完了に 6 日,防疫措置完了に11日,総動員数は9,256名が必要と 試算した.豚農場では殺処分完了に 3 日,防疫措置完了 に 8 日,総動員数6,343名が必要と試算した.現在,県 内全養豚場を調査し,農場毎の初動防疫計画書の作成に 着手している.今後は,県全体として口蹄疫発生時の迅 速かつ的確な初動防疫対応を目指し進めていきたい.

キーワード:口蹄疫,大規模農場,初動防疫計画,殺処 分シミュレーション,防疫措置に必要な人数及び人数の 試算

で殺処分することとした.

さらに,防疫措置全体については,殺処分は 3 日目,

搬出・埋却は 5 日目,畜舎の清掃・消毒は 8 日目までか かることから,豚16,000頭の防疫措置完了までには 8 日 間,総動員数6,343名(うち獣医師421名( 1 日目58名),

一般動員者5,922名( 1 日目531名))が必要であると試 算した(表 3 , 4 ).

3 .まとめ及び現在の取組

今回,関係機関と連携した現地調査及び検討会を実施 したことで,個々の作業内容や役割について具体的にイ メージでき,関係者の防疫意識及び連携が強化された.

また,検討会では各関係機関より農場内作業動線や埋却 地等について具体的な提案を受けたことで,現実に即し た実効性のある初動防疫計画が作成できた.

さらに,県内全家保が参集した大規模農場の口蹄疫初 動防疫研修会を実施し,試算内容や抽出された課題,ま た,その対策について情報を共有し,県下家保職員の初 動防疫の考え方を統一した.

現在は,今回のシミュレーションを県内の他農場にも 拡大するため,口蹄疫の伝播リスクが高く,畜舎や飼養 形態が多様である豚農場を優先的に現地調査し,豚農場 毎の初動防疫計画の作成に着手している.今回の取り組 みを生かし,県全体として発生時の迅速かつ的確な初動 防疫対応を目指し進めていきたい.

引 用 文 献

1 ) 室賀紀彦・山本健久(2014)口蹄疫ウイルスの感染 と伝播.獣医疫学雑誌.18( 1 ),46-55.

2 ) 宮崎県 HP:2010年に宮崎県で発生した口蹄疫の対 策に関する調査報告書,URL:https://www.pref.

miyazaki.lg.jp/shinsei-chikusan/shigoto/

chikusangyo/documents/000151738.pdf

3 ) 農林水産省 HP:特定家畜伝染病防疫指針につい て,http://www.maff.go.jp/j/syouan/douei/

katiku_yobo/k_bousi/index.html

(16)
(17)

フォーラムテーマ

「越境性動物疾病の侵入および蔓延を いかに食い止めるか?」

要 旨 集

主催:日 本 家 畜 衛 生 学 会

共催:(一財)生物科学安全研究所

後援:農

(18)

家畜衛生フォーラム2018

と き:平成30年12月14日(金) 13:00〜17:30 ところ:Meiji Seika ファルマ(株) 本社講堂

座長 迫田義博(北海道大学),杉浦勝明(東京大学)

13:00〜13:10

 挨  拶  日本家畜衛生学会理事長

       (一財)生物科学安全研究所理事長  企画説明  学術企画委員会委員長

13:10〜13:40(うち討論 5 分)

 ( 1 ) 世界における越境性動物疾病の状況と対策     釘田博文(OIEアジア太平洋地域事務所)

13:40〜14:15(うち討論 5 分)

 ( 2 ) 高病原性鳥インフルエンザ     迫田義博(北海道大学)

14:15〜14:50(うち討論 5 分)

 ( 3 ) 豚コレラ

    深井克彦(農研機構動物衛生研究部門・小平)

14:50〜15:25(うち討論 5 分)

 ( 4 ) アフリカ豚コレラ

    山田 学(農研機構動物衛生研究部門・小平)

休憩 15:25〜15:35

15:35〜16:10(うち討論 5 分)

 ( 5 ) 口蹄疫

    森岡一樹(農研機構動物衛生研究部門・小平)

16:10〜16:45(うち討論 5 分)

 ( 6 ) 越境性動物疾病の侵入リスクに応じた水際検疫     伊藤和夫(農林水産省動物検疫所)

会場設営(16:45−16:50)

16:50〜17:15

 総合討論

(19)

社会・経済活動のグローバル化に伴い,国際間での人 の移動,家畜および畜産物の貿易も活発に行われるよう になり,かつては地域的に発生していた動物感染症が世 界に蔓延し大きな被害を与えるようになっている.国際 連合食糧農業機関(FAO)および国際獣疫事務局(OIE)

は,「国境を越えてまん延し,発生国の経済,貿易及び 食料の安全保障に関わる重要性を持ち,その防疫には多 国間の協力が必要となる疾病」を越境性動物疾病と定義 している.

越境性動物疾病については,我が国では2000年と2010 年に口蹄疫の発生を経験し,高病原性鳥インフルエンザ の発生がほぼ毎年報告されている.今年の 9 月には26年 ぶりに豚コレラの発生も確認された.また,今年の 8 月 には隣国の中国で初のアフリカ豚コレラ発生が認めら れ,中国では現在も本病の発生が続発している.さらに 輸入検疫における検査において旅客の携帯品から高病原 性鳥インフルエンザウイルスやアフリカ豚コレラウイル ス遺伝子が検出された報告もある.これらの近年の国内 外における動物衛生事情を考えると,国内畜産業の脅威

となる越境性動物疾病の侵入防止と被害拡大防止のため の防疫戦略がますます重要になってくると考えられる.

そこで本年度の家畜衛生フォーラム2018では,「越境性 動物疾病の侵入および蔓延をいかに食い止めるか?」を テーマに, 6 人の先生方から越境性疾病に関する最新の 情報をご提供いただくこととした(図 1 ).

一番初めの演題として,世界における越境性動物疾病 の状況と対策についてOIEアジア太平洋地域事務所の釘 田博文先生にご講演いただく.続く 4 演題は,越境性動 物疾病の中で特に重要な 4 つの疾病についてご講演いた だく.まず初めに北海道大学の迫田義博先生に,高病原 性インフルエンザの家禽と野鳥への感染について,国 内・中国・東南アジアでの対策ならびに本病の鍵となる 対策についてご講演いただく.次いで豚コレラの概要に ついて,農研機構動物衛生研究部門(動衛研)の深井克 彦先生にお話いただく.その次に,アフリカ豚コレラの 病態及び東欧・ロシア・中国におけるアフリカ豚コレラ について,動衛研の山田学先生にお話しいただく.さら に口蹄疫についての基本的情報や海外での流行状況なら

企画説明

今回の企画について

日本家畜衛生学会学術企画委員会 委員長

伊藤 博哉

(農研機構 動物衛生研究部門)

図 1 .家畜衛生フォーラム2018演題一覧

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56 家畜衛生学雑誌 第44巻第 2 号(2018)

びに口蹄疫の抗原検出・血清型別用簡易迅速診断法の開 発について,動衛研の森岡一樹先生に説明と紹介をして いただく.そして最後に,「越境性動物疾病の侵入リス クに応じた水際検疫」と題して,越境性動物疾病の水際 防疫の最前線である農林水産省動物検疫所における輸入

検疫について,同所の伊藤和夫先生にご講演いただく.

今回のフォーラムが,参加者の皆様に越境性動物疾病 に関する最新の正しい知識を提供し,今後の我が国にお ける越境性動物疾病の侵入と蔓延を阻止するための一助 となることを期待する.

(21)

1 .国際獣疫事務局(OIE)とその役割

( 1 ) 設立の経緯

国際獣疫事務局(OIE)は,世界の動物の衛生と福祉 の向上を目的とした政府間国際機関である.1920年代に ヨーロッパで蔓延した牛疫の防疫対策について,関係国 間の連携の重要性が強く認識されたことを背景として,

世界各国の連絡協調のもとに,動物衛生情報の交換,技 術協力等を効果的に進めることを目的として,1924年に 28カ国が参加して設立された(日本は1930年に加盟).

本部はパリに置かれている.OIE は,設立時の名称 Office International des Epizooties(フランス語)にち なんだ略称であり,現在では英語表記による名称World Organization for Animal Health とともに引き続き使わ れている.OIEは,国連の創設(1945年)よりも歴史が 古く,FAO や WHO 等と異なり,国連に属さない独立 の国際機関である.(以下のOIEに関する記述は,原則 として2017年時点のもの)

( 2 ) 業務内容

OIEは,その設立当初から,動物伝染性疾病の予防,

そのための情報交換や研究支援を主な活動目的としてき たが,その後の社会情勢やニーズの変化に対応して,動 物用医薬品管理,食品安全,飼料安全,アニマルウェル フェア,獣医学教育など,周辺分野,関連領域へと活動 の範囲が拡大してきている.

OIEの主な業務は,以下の 6 点にまとめられる.

①  世界の動物疾病及び人獣共通伝染病の発生状況に 関する透明性の確保

②  獣医学に関する最新の科学知識の収集,分析,及 び普及

③  動物疾病の制圧と根絶に向けた専門家の派遣や技 術指導

④  動物及び動物由来製品の国際貿易に関する衛生基 準の策定

⑤  各国の獣医サービス向上のための支援

⑥  動物由来食品に関する食の安全の確保や科学的知 見に基づいたアニマルウェルフェアの促進

( 3 ) 組織と運営

OIE の最高意思決定機関は,OIE 総会(国際委員会)

であり,加盟国政府代表により,事業計画,予算等の決

定,理事会メンバー選挙等のほか,コード改正案の採択 などが行われる.加盟国数は2017年末現在181カ国.各 国政府代表は,政府から指名を受けた各国の動物衛生・

獣医行政の責任者であり,多くの場合,獣医師資格を有 す る 高 級 政 府 職 員( 首 席 獣 医 官:Chief Veterinary Officer)である.

OIE事務局本部(パリ)のほか,現在(2017年)では 世界の 5 つの地域ごとに 5 地域事務所と 7 つの準地域事 務所が設置されている.アジア太平洋地域事務所は1992 年に東京に設置され,地域の加盟国32カ国を対象として 地域に密着した活動を行っている.

OIEの下には,総会において選ばれた専門家からなる 4 つの専門家委員会(コード委員会,科学委員会,ラボ ラトリー委員会及び水産動物委員会)が置かれている.

各委員会は,最新の科学情報を用いて動物疾病の疫学及 び防疫に関する問題について検討を行い,国際基準の作 成・改定,その他加盟国から提示された技術的課題につ いて検討し,その結果を総会に報告する重要な役割を 担っている.

( 4 ) 疾病情報の報告義務

OIEの最も基本的な役割の 1 つが,世界各地における 人獣共通感染症を含む動物疾病(水生動物疾病を含む)

の発生情報を収集し,すべての加盟国に直ちに知らせる ということである.加盟国は,OIEが定めるリスト疾病 の発生等について,以下のような報告を行い,OIEを通 じて他の加盟国に知らせる義務を負っている.

 ●疾病発生報告

リスト疾病の発生,及びそれ以外の高い死亡率や人 への感染性を持つ疾病の発生が確認された場合,24時 間以内にOIE本部へ緊急通報しなければならない.さ らに,その後の経過や追加情報について 1 週間ごとに フォローアップ報告,発生が終息した場合又は常在化 してしまった場合には最終報告を提出することとされ ている.

 ● 6 ヶ月報告及び年次報告

発生の有無に関わらずすべてのリスト疾病に関する 国内の状況のほか,関連する防疫体制,ワクチン生産 等についての報告が求められる.これらの報告は,

OIE の WAHIS(世界動物衛生情報システム)を通じ

世界における越境性動物疾病の状況と対策

国際獣疫事務局(OIE)アジア太平洋地域事務所

釘田 博文

(22)

58 家畜衛生学雑誌 第44巻第 2 号(2018)

て速やかに各国への情報提供が行われるほか,蓄積さ れた情報データベースは一般にも公開されている.

 ●野生動物

野生動物における疾病発生状況の把握の重要性に対 する認識が高まってきており,報告は加盟国の任意で あるが,その情報もWAHISに追加されている.

( 5 ) 国際基準の策定

OIEはWTO/SPS協定に基づき,動物衛生及び人獣共 通伝染病に関する国際基準の策定機関とされている.そ の国際基準には,貿易の際の参照すべき事項を規定した コード(規約)と,疾病の診断方法などを規定したマ ニュアルの 2 種類があり,それぞれ陸生動物(哺乳類,

鳥類,蜂)及び水生動物(魚類,軟体動物,甲殻類,両 生類)について作成されている.

●  陸生動物衛生規約(陸生コード)(Terrestrial Animal Health Code)

●  陸生動物の診断及びワクチンに関するマニュアル

(the Manual of Diagnostic Tests and Vaccines for Terrestrial Animals)

●  水生動物衛生規約(水生コード)(the Aquatic Animal Health Code)

●  水生動物の診断に関するマニュアル(the Manual of Diagnostic Test for Aquatic Animals)

OIEコードは,安全な国際貿易のための基準として,

動物疾病の診断,サーベイランス,通報,輸入リスク分 析,獣医サービスの能力,輸出入手続きや衛生証明書,

獣医公衆衛生,アニマルウェルフェア等一般的な事項の ほか,主要な動物疾病毎に,清浄国・地域の条件,安全 な輸入のための条件,サーベイランスの考え方等を定め ている.

OIEマニュアルは,獣医学的診断及びサーベイランス を行う研究機関,ワクチン製造業者及びその規制当局を 対象として,ワクチンやその他の生物学的製剤の生産及 び管理のための国際的に合意された診断・実験法等を定 めている.

OIEコード及びマニュアルは,OIEの専門家委員会が 世界の専門家の意見を踏まえて案を作成し,加盟国の意 見も聞いた上で,毎年のOIE総会で採択される.採択さ れたコード及びマニュアルは,WTO/SPS協定上の国際 基準と見なされるが,新たな知見や技術の進歩に伴い,

必要に応じて見直しが行われる.

OIEコードにおいて疾病毎の基準が定められる国際貿 易上特に重要な疾病は,「リスト疾病」と呼ばれる.そ の基準は,陸生コードにおいては,「病原物質の国際的 な拡散が証明されていること」,「当該疾病フリーな国が 少なくとも 1 つ存在すること」及び「信頼性のある検査

診断法があり,他の疾病と判別可能なこと」のすべてを 満たし,かつ,「人への自然感染が証明され,人への感 染が重大な結果を伴うこと」又は「家畜の健康に重大な 影響をもたらすこと」又は「野生動物の健康に重大な影 響をもたらす恐れがあること」のいずれかを満たす場 合,とされている.水生コードにも同様の定義がある.

リスト疾病についても,このような基準に照らして,

毎年追加,削除等の見直しが行われる.2017年における リスト疾病の数は,陸生動物88,水生動物28,合計116 である.

( 6 ) 科学的ネットワーク

OIE の多方面に及ぶ専門的活動は,世界各国の科学 的・技術的な観点からの支援なくしては遂行できない.

そのため,OIEは,一定の基準を満たした専門機関をリ ファレンス研究所(特定の動物疾病を扱う)又はコラボ レーティングセンター(特定の横断的分野(疫学,動物 用医薬品,食品安全,アニマルウェルフェアなど)の問 題を扱う)として指定し,密接な連携を図っている.こ れらの専門機関は,OIEの国際基準策定に対する助言や その実施に当たっての技術支援など,多くの面でOIEの 活動を支えている.

( 7 ) 特定疾病のステータス公式認定

動物・畜産物の国際貿易に伴う動物疾病の拡散や輸入 国への侵入を防ぐためには,特に輸出国が,自国の疾病 の清浄性を維持し,それを証明することはきわめて重要 である.OIEは,特に重要とみなされる特定の疾病につ いて,加盟国の申請と必要な情報の提出を受けて,専門 家による評価を行い,適格とみなされた場合,総会の決 議より,その国又はその一部地域にステータスの認定を 行っている.

2017年時点では,OIEは,口蹄疫,牛海綿状脳症,牛 肺疫,アフリカ馬疫,豚コレラ及び小反芻獣疫の 6 つの リスト疾病についてステータスの公式認定を実施してい る.また,各国が清浄国を目指す上での段階的な取組を 促すために,口蹄疫等については,当該国の公式防疫プ ログラムの認定も行っている.

なお,上記の公式認定に加え,OIEは各国が自主的に 特定疾病(公式認定対象の 6 疾病を除く)に関する清浄 性を宣言する仕組み(疾病ステータスの自己宣言)を用 意しており,この仕組みを通じて,各国が疾病に関する 透明性の向上に努めることを奨励している.各国は,

OIE コードの規定に従って,自国(又は一部のゾーン)

が特定疾病について清浄であることを示すデータをOIE に提出し,OIEはその提出されたデータが十分に要件を 満たしている場合,提出国の疾病ステータス情報を,

ホームページ上に公開している.ただし,この宣言は,

(23)

あくまでも提出国がその内容に責任を負うべきものであ り,OIEが公式に認定しているものではない.

( 8 ) 各国獣医サービスの能力向上

OIEは,上記のような動物疾病の制御に直接関係する 活動に加え,近年,各国の獣医サービスの能力向上のた めの支援に力を入れてきている.ここで,獣医サービス とは,OIEが定める国際基準を実施する政府及び政府以 外の組織の全体を指しており,獣医当局(政府)の監 督・指示の下で,与えられた権限を実行する獣医師,獣 医技術者,水産技術者,民間団体等のすべてを含むもの である.

この分野におけるOIEの活動は,世界の衛生状況を継 続的に改善し,人及び動物を含む社会全体の安全と福祉 の向上を図っていくためには,その基盤となる各国の獣 医サービスの能力の向上が不可欠である,との認識に基 づいている.

OIEは,2000年代後半より,各国の獣医サービスの評 価,改善すべき事項の特定とそのための予算案の作成,

各国の獣医サービスの強化のための獣医事法規の見直 し・整備,獣医研究所や獣医学教育の改善への助言な ど,様々な加盟国支援のためのプログラムを実施してお り,一連の活動は,“PVS(Performance of Veterinary Services)Pathway” と呼ばれている.

2 .家畜伝染病コントロールに向けた国際的な取組

( 1 )  越境性動物疾病の段階的防疫のための地球枠組

(GF-TADs)

口蹄疫や鳥インフルエンザ等の越境性動物疾病が世界 各地で発生し,甚大な経済的被害をもたらしていた当時 の深刻な事態に対応して,FAOとOIEが2004年に共同で 立ち上げた協力の枠組がGF-TADs(Global Framework for the Progressive Control of Transboundary Animal Diseases)である.

GF-TADs の下で,越境性動物疾病対策に関係してい る国際機関,援助機関及び関係各国が情報を共有し,地 域毎に優先疾病や優先事項を特定し,取組の進捗状況を 定期的に確認することにより,活動の効率化を目指して

いる.

GF-TADsの枠組の下で,FAOとOIEが近年最も力を 入れているのが,口蹄疫対策及び小反芻獣疫対策であ る. 口 蹄 疫 に つ い て は,2012年 に “Global Foot and Mouth Disease Control Strategy” が 取 り ま と め ら れ た.その中では,何の対策も取られていない汚染状態か ら,ワクチン非接種清浄状態に至るまでの 5 段階に分 け,一歩ずつ進むProgressive Control Pathway (PCP)

という考え方が提唱されている.また,小反芻獣疫対策 についても,同様の手法に基づく清浄化対策が FAO と OIEの共同で進められている.

( 2 ) ワン・ヘルス

人に病原性を示す病原体のうち約 6 割が人獣共通感染 症であるとされている.また,近年,エボラ出血熱,牛 海綿状脳症,ニパウイルス感染症,ウエストナイル熱,

重症急性呼吸器症候群(SARS),鳥インフルエンザな ど,新興感染症又は再興感染症といわれる感染症が世界 各地で相次いで問題となっているが,これらの新興・再 興感染症の約75%は,人獣共通感染症であるといわれて いる.さらに,人と動物の健康に対する共通の脅威であ る抗菌薬耐性(AMR)への対応が,国際社会の大きな 問題となっている.

このような人,動物,環境の複雑な相互関係の中で起 きる感染症などの共通の脅威に対して,人の衛生,動物 の衛生,環境の衛生(保全)に関与する関係者が連携,

共同して対応しようという考え方が「ワン・ヘルス」で ある.

国際連合世界食料農業機関(FAO),OIE,世界保健 機関(WHO)の 3 国際機関は,従来から「ワン・ヘル ス」の考えに基づき,特に世界的に重要な人と動物に共 通する感染症・衛生問題である,インフルエンザ,狂犬 病,薬剤耐性菌の 3 つのテーマを優先分野として,公衆 衛生,動物衛生及び環境衛生の部門間の連携による取り 組みを推進している.

( 3 ) 主な越境性動物疾病の最近の状況と対策の現状

(本項については,当日の発表において報告を行う)

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図 1 .ユーラシア大陸におけるASFの発生拡大状況(2007〜)(農林水産省HPより)
図 3 .モンゴル国におけるキットの実証試験および普及活動の様子 用している. 今回紹介する簡易迅速抗原診断キットについては,先 に述べた抗口蹄疫ウイルスMAbと銀増感技術を応用し たイムノクロマト法であり,高感度化技術およびイムノ クロマトキットの製品化実績を有する民間企業 2 社との 協同研究により開発されている.銀増感技術を応用した イムノクロマト法の高感度化技術は,従来,銀増感反応 の制御および自動判定を行う専用装置を必要としていた が,本技術の口蹄疫発生現場での使用を考えた際,バイ オセキュリティ
表 1 .強制劣化 5 日目のソーセージ中の生菌数 各菌株における異符号間においてP < 0.05 図 1 .各くん液製品の腐敗LABに対する抗菌作用 分離されたLAB菌株をペーパーディスク法に供試したところ,すべての菌株において,各くん液製品による阻止円形成が認められた(図 1 ).特にくん液製品のEnviroは,異なる乳酸菌種・菌株において高い抗菌作用があると認められた.現在,Enviroの抗菌作用について,各乳酸菌株の増殖の抑制効果を検討している.食肉製品におけるEnviro添加試験の結果,試験
図 1 .本実験で使用したELISA系の概要 図 2 .Overlap extension PCRの概要 M:  マーカー S:  実験感染血清(PG45))M S kDa 70  図 3 .組換えP81タンパク質と被検血清との反応性(Western blotting)
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参照

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