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家畜衛生学雑誌 家畜衛生学雑誌

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(1)

K

199pDIC

ISSN 1347-6602 昭和62年6月9日学術刊行物認可

家畜衛生学雑誌 家畜衛生学雑誌

Vol.44 No.1 2018. JUL.

日 本 家 畜 衛 生 学 会

The Japanese Society of Animal Hygiene

The Japanese Journal of Animal Hygiene

家畜衛生学雑誌 第

44巻第

1号       二〇一八年七月日本家畜衛生学会

( 附 ) 日本家畜衛生学会第88回大会 要旨集

家畜衛生学雑誌

44-1   表14

(2)

複写される方へ

 日本家畜衛生学会は有限責任中間法人 学術著作権協会(学著協)に複写に関する権利委託をしていますので,本誌に掲 載された著作物を複写したい方は,学著協より許諾を受けて複写して下さい.但し,社団法人日本複写権センター(学著協 より複写に関する権利を再委託)と包括複写許諾契約を締結されている企業の社員による社内利用目的の複写はその必要は ありません.(※社外頒布用の複写は許諾が必要です.)

  権利委託先: 有限責任中間法人 学術著作権協会

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         電話:03-3475-5618  FAX:03-3475-5619  E-mail:info@jaacc. jp

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家 畜 衛 生 学 雑 誌

日本家畜衛生学会 発行

President : Junsuke SHIRAI(Tokyo Univ. of Agric. and Technol.)

Vice President : Shigeru MIYAZAKI(Res. Inst. for Anim. Sci. in Biochem. and Toxicol.)

Editor-in-Chief : Shigeru MIYAZAKI(Res. Inst. for Anim. Sci. in Biochem. and Toxicol.)

Editorial Board : Masuo SUEYOSHI(Miyazaki Univ.)

Shinji TAKAI (Kitasato Univ.)

Makoto NAGAI(Ishikawa Pref. Univ.)

Sadao NOGAMI(Nihon Univ.)

Hideto FUKUSHI(Gifu Univ.)

"""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""

The Japanese Journal of Animal Hygiene

Published by the Japanese Society of Animal Hygiene

理 事 長 :白井淳資 副理事長 :宮﨑 茂 編集委員長 :宮﨑 茂

編集委員 :末吉益雄・髙井伸二・長井 誠      野上貞雄・福士秀人

家畜衛生学雑誌

44-1

 表23

(3)

「家畜衛生学雑誌」第44巻第 1 号の送付にあたって

 会員の皆様におかれましては,ますますご清栄のこととお慶び申し上げます.ここに,「家畜衛生学雑誌」第44巻 第 1 号を刊行する運びとなりました.

 本号では,原著論文 1 編と第88回大会の講演要旨を掲載しています.

 第88回大会では,教育講演 1 題,一般演題 5 題の発表のほか,平成29年度家畜衛生学雑誌論文賞受賞講演 2 題もご ざいますので,ご参加の皆様の積極的なご討論をお願いいたします.また,「家畜衛生フォーラム2018」の開催を予 定している12月14日の午前中には第89回大会を開催いたしますので,こちらでの一般講演発表についても積極的なエ ントリーをお願いいたします.

 第 1 号は 5 月に刊行予定としておりましたが,残念ながら投稿論文が少なく,今年度の第 1 号発行は 7 月になって しまいました.家畜衛生学雑誌では,原著論文・短報以外にも,総説,数ページ程度のミニレビュー,技術資料等の 原稿を受け付けておりますので,会員の皆様の積極的なご投稿をよろしくお願い致します.ご不明な点は遠慮なく編 集委員会事務局へお問い合わせください.

日本家畜衛生学会理事長  白井淳資 家畜衛生学雑誌編集委員長 宮﨑 茂

(日本家畜衛生学会副理事長)     

日本家畜衛生学会・学会費納入のお願い

 ご承知のように,学会は会員の皆様からの会費をもって運営されています.学会の運営を円滑に運ぶために,所定 の会費を納入していただきますようお願いします.

*会費は,正会員5,000円,学生会員2,000円です.

*平成27年度までの未納分をお支払いいただく場合,正会員年会費は4,000円です.

日本家畜衛生学会 理事長 白井淳資

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記載事項を訂正した場合は、その箇所に訂正印を押してください。切り取らないで郵便局にお出しください。

各票の※印欄は、ご依頼人において記載してください。

裏面の注意事項をお読みください。

これより下部には何も記入しないでください。

(消費税込み)

日本家畜衛生学会

0 0 2 4 0

4 3 1 7 1 3 0 0 2 4 0 3 4 3 1 7 1

日本家畜衛生学会

平成 26 27 28 29 30 年度

       (      )         計       円

(4)

(ご注意)

・この用紙は、機械で処理します ので、口座番号及び金額を記入す る際は、枠内にはっきりと記入し てください。

 また、本票を汚したり、折り曲 げたりしないでください。

・この払込請求書を郵便局の派遣 員にお預けになるときは、引換え に預り証を必ずお受け取りください。

 この受領証は、郵便振替の払込 みの証拠となるものですから大切

に保存してください。 この払込取扱票の裏面には、何も記載しないでください。

(5)

家畜衛生学雑誌

第44巻 第 1 号 2 0 1 8

 

目  次

〈原著〉オゾン水の殺糸状真菌(カビ)効果におけるpHの影響

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・宮﨑朋美・安田奏平・中川健斗・高鳥浩介

釜瀬幸広・黒松 久・櫻井美栄・白井淳資 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1〜 7

〈第88回大会一般講演要旨〉

SDS-PAGEを用いた中国産加熱処理鶏肉の加熱状況確認

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・永友恵美奈・山谷由香・三角さつき・牧田利和子

浅岡正弘・栁澤成江・鈴木一弘・守野 繁 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 12〜13 臭気低減資材および消毒薬の脱臭能力の判定について

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・小堤悠平・長峰孝文・田中康男・畠中哲哉・道宗直昭 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 14〜15 ヤギの乳房内にLPSを投与した際の非投与分房の乳汁pHの継時的変化

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・東谷暁人・篠塚康典・濵本欣城・佐藤礼一郎

上野大作・沖田美紀・磯部直樹・河合一洋 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 16〜17 野生カラスの腸内容物からのClostridium perfringensの分離および分離菌株の遺伝学的解析

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・鈴木菜月・成廣 隆・上塚浩司 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 18〜19 日本の養豚場における動物用抗菌剤使用に及ぼす要因の疫学的解析

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・礒村れん・松田真理・杉浦勝明 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 20〜21

〈平成29年度家畜衛生学雑誌論文賞授賞講演要旨〉

「散気式オゾン水生成装置により生成されたオゾン水の生活環境に存在するカビに対する消毒効果の検討」の  平成29年度家畜衛生学雑誌論文賞受賞にあたって

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・二階堂啓吾・高鳥浩介・宮崎朋美・篠原みなみ

釜瀬幸広・黒松 久・櫻井美栄・白井淳資 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 23

「牛白血病に関する衛生対策ガイドラインに基づく対策取り組み事例の検証」の  平成29年度家畜衛生学雑誌論文賞受賞にあたって

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・寺一未奈子・松本 瞳・中山卓也・富田啓介 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 25

〈第88回大会教育講演要旨〉

わが国における食肉加工技術:その発展と最近の話題 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・坂田亮一 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 27〜29

会員へのおしらせ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 31〜33 家畜衛生学雑誌投稿規程  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 34〜35 日本家畜衛生学会会則  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 36〜37

家 畜 衛 生 学 雑 誌

(6)

The Japanese Journal of Animal Hygiene Vol. 44 No. 1 2 0 1 8

 

Contents

〈Original report〉

The evaluation of an influence of pH of ozone water on fungicidal effect

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ Tomomi Miyazaki et al. ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1〜 7

〈Abstracts of oral presentations on 88th academic meeting〉 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 9〜21

〈Abstracts of JJAH award lecture on 88th academic meeting〉 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 23〜25

〈Abstracts of the educational lecture on 88th academic meeting〉 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 27〜29

Information for Members ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 31〜33 Instruction for Authors ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 34〜35 The Regulations of The Japanese Society of Animal Hygiene ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 36〜37

Jpn. J. Anim. Hyg.

(7)

1

オゾン水の殺糸状真菌(カビ)効果におけるpHの影響

宮﨑朋美

1 )

・安田奏平

1 )

・中川健斗

1 )

・高鳥浩介

2 )

・釜瀬幸広

3 )

・ 黒松 久

4 )

・櫻井美栄

5 )

・白井淳資

1 )*

The evaluation of an influence of pH of ozone water on fungicidal effect

Tomomi Miyazaki

1)

, Sohei Yasuda

1)

, Kento Nakagawa

1)

, KosukeTakatori

2)

, Yukihiro Kamase

3)

, Hisashi Kuromatsu

4)

, Miei Sakurai

5)

and Junsuke Shirai

1)*

1) Tokyo University of Agriculture and Technology, Laboratory of Epizootiology, Cooperative Department of Veterinary Medicine, Faculty of Agriculture,

3-5-8, Saiwai-cho, Fichu, Tokyo, 183-8509, Japan

2) NPO Corporation, Center for Fungal Consultation Japan, 13-1, Otsuka-cho, Yukigaya, Oota-ku, Tokyo, 145-0067, Japan

3) IHI Shibaura Machinery Corporation Matsumoto Factory, 1-1-1, Ishishiba, Matsumoto, Nagano, Japan

4) IHI Corporation Technology Management Group, Monozukuri Magement Department, Toyosu IHI Building, 1-1, Toyosu 3-chome, Koto-ku, Tokyo 135-8710, Japan

5) IHI Corporation Chemical Engineering Department, Products Development Center, 1, Shin-Nakahara-Cho, Isogo-ku, Yokohama 235-8501, Japan

Corresponding author: Junsuke Shirai ([email protected]))

(2018. 1. 16 受付/2018. 4. 13 受理)

Summary

As the disinfectant, ozone water does not cause environmental contamination and an appearance of resistant bacteria. It is applied practically in many fields such as food factory, water treatment, or medical fields. However, it was reported that the disinfection effect depending on the quality of water. In this study, an ozone resistant fungi (Chaetomium globosum) was used for evaluate the fungicidal effect on pH of ozone water. One mL of spore specimen was mixed with 200 mL of ① sterile purified water, ② pH (1 〜 12) adjusted sterile purified water,

③4 ppm ozone water, and ④pH (1〜12) adjusted 4 ppm ozone water. The samples reacted with these materials at 10℃, 20℃, and 35℃, and collected after 5 min reaction. At 10℃, the percentage of colony count against the number in sterile purified water on pH adjusted sterile purified water was 93%, that on ozone water was 68%, and that on pH adjusted ozone water was 25%respectively. In the same order, the result at 20℃ were 64%, 43%, and 27%; the results at 35℃ were 82%, 33%, and 4% respectively. These results suggest that the fungicidal effects of ozone water was influenced by pH of water.

Key words: Ozone water, Fungicidal effect, pH influence

家畜衛生学雑誌 44, 1 〜 7 (2018)

原 著

1 ) 東京農工大学農学部共同獣医学科獣医伝染病学研究室 〒183-8509 東京都府中市幸町 3 - 5 - 8

2 ) NPO法人 カビ相談センター

〒145-0067 東京都大田区雪谷大塚町13- 1

3 ) 株式会社IHIシバウラ機械事業本部開発部環境・制御機器開発グループ 〒390-8714 長野県松本市石芝 1 - 1 - 1

4 ) 株式会社IHI 産業・ロジスティックセクター ものづくり統括部 技術管理グループ

〒135-8710 東京都江東区豊洲三丁目 1 番 1 号豊洲IHIビル

5 ) 株式会社IHI 総合開発センター 化学システム開発部 〒235-8501横浜市磯子区新中原町 1 番地

連絡著者:白井淳資([email protected]

(8)

2 家畜衛生学雑誌 第44巻第 1 号(2018)

序  文

病原微生物感染による人や動物の疾病,食品や環境へ の病原微生物による汚染は社会に様々な損失をもたらす ため,日常の衛生管理は非常に重要である.衛生管理の 一環として消毒作業は必須であるが,消毒剤の残留によ る環境汚染や健康被害が危惧されるなど課題も多い.優 れた消毒剤の探索が求められる中,消毒資材としてオゾ ン水は,細菌,芽胞,ウイルス,糸状真菌(以下カビ)

に対し消毒効果が確認されている2 , 3 , 8 ).また,オゾ ン水は酸素と水から生成され,短時間で分解して酸素と 水に戻るため4 ),環境残留の問題も起こりにくい.この ようにオゾン水は優れた消毒資材であり,食品原材料の 洗浄,食品工場や畜舎設備の清掃に利用されるなど実用 化が進む一方で,菌種や株による消毒効果の差や9 ,12), オゾン水抵抗性カビの存在も確認されている5 ).カビの 生育条件は主に水分活性,温度,CO2濃度,pH,栄養 状態に左右される3 ).一方,消毒資材の効果に影響を与 える因子としては作用オゾン濃度,作用時間,作用温 度,pH があげられる.そこで,オゾン水の消毒効果を 向上させる条件を探索することを目的として,共通の影 響因子としてpHについて消毒効果における影響を調べ た.本研究はオゾン水抵抗性カビを用いてオゾン水の pHが殺カビ効果に与える影響を検討した.

材料および方法

( 1 )カビ菌種と培地

オ ゾ ン 水 抵 抗 性 が 確 認 さ れ て い る Chaetomium globosum(C. globosum)を使用した.培地は,クロラ ムフェニコール加ポテトデキストロース寒天(PDA)

培地を使用し25℃で14日間培養した.

( 2 )オゾン水の調製

オゾン発生装置,オゾン濃度計,電圧調整装置,排気 乾燥装置,窒素吸収装置および温度調整のための恒温水 槽を用いてオゾン水を調製した.オゾン水の温度は 10℃,20℃,35℃,濃度はC. globosumに殺カビ作用が 現れ始める 4 ppmに設定した5 )

( 3 )pH調整

pH 調整剤に10%塩酸水溶液,10%水酸化ナトリウム 水溶液を使用し,pH 測定は堀場製作所製 pH メーター F-52を用いた.

( 4 )胞子液の作製

Tween80加 生 理 食 塩 水 に,PDA 培 地 で 培 養 し た

C. globosumをパスツールピペットで胞子が均一に拡散 するよう200回程度ピペッティングを行なった.胞子液 は血球計算版を用いて胞子数1.1〜1.5×106/mLになるよ う調整した.

( 5 )消毒効果の測定

コントロールとして①滅菌精製水(pH7.3〜7.8)を,

②pH1〜12に調整をした滅菌精製水,③滅菌精製水を原 料に調製した4 ppm オゾン水(pH6.8〜7.3),④ pH1〜

12に調整した4 ppm オゾン水をそれぞれ用い,各溶液 200 mLに胞子液1 mLをそれぞれ加えスターラーで撹拌 した. 5 分後に培地接種用に1 mL,形態観察用に5 mL の試料を採取した.感作前後でpHを測定し,pHに変化 がない事を確認した.胞子のpH 調整オゾン水等への感 作は,10℃,20℃,35℃でそれぞれ行った.培地接種用 試料1 mL を0.2%ペプトン水で10倍段階希釈した後,

PDA 培地に0.2 mL ずつ接種し,25℃で14日培養した.

コロニー数の算定はコロニーの目視が可能で各コロニー が融合しない培養 3 日目に行った.その後,培養を続け 菌種の確認を行った.

( 6 )カビ胞子の形態学的観察

形態観察用試料5 mL を1500×g で 5 分間遠心分離を 行い,沈殿した胞子の形態を光学顕微鏡により倍率1000 倍で観察を行った.

結  果

( 1 )10℃における消毒効果

滅菌蒸留水で1.5±0.19×106 CFU/mL(コントロール)

に対し,pH 調整滅菌水では1.4±0.46×106 CFU/mL で あったので93 %となった.オゾン水では1.0±0.46×106 CFU/mL であり,10℃滅菌精製水コントロールの値に 対して68%を示した.pH調整オゾン水では,0.33±0.22

×106 CFU/mL であり,10℃滅菌精製水コントロールの 値に対して25%であった.(表 1 ,図 1 )

( 2 )20℃における消毒効果

滅菌精製水1.1±0.19×106 CFU/mL(コントロール)

に対し,pH調整滅菌水0.7±0.80×106CFU/mL であった ので64%となった.オゾン水では0.53±0.46×106 CFU/

mL であり,20℃滅菌精製水コントロールの値に対して 43% を 示 し た.pH 調 整 オ ゾ ン 水 で は0.3±0.26×106 CFU/mL であり,20℃滅菌精製水コントロールの値に 対して27%であった(表 1 ,図 2 ).

(9)

宮﨑ら:オゾン水の殺糸状真菌(カビ)効果におけるpHの影響 3

表 1 .10℃,20℃,35℃におけるカビのコロニー数(×106 CFU/mL)

10℃ 20℃ 35℃

オゾン無添加 オゾン添加 オゾン無添加 オゾン添加 オゾン無添加 オゾン添加

滅菌精製水 1.5(100%) 1.0(68%) 1.1(100%) 0.5(43%) 1.1(100%) 0.4(33%)

pH** 1 1.4(91%) 0.4(26%) 0.7(67%) 0.5(43%) 0.8(74%) 0.01(0.9%)

2 1.5(99%) 0.4(24%) 0.7(64%) 0.3(32%) 0.9(82%) 0.04(3.8%)

3 1.4(92%) 0.5(30%) 0.7(70%) 0.3(25%) 0.9(88%) 0.11(10%)

4 1.5(95%) 0.4(25%) 0.6(58%) 0.3(28%) 0.9(80%) 0.01(0.9%)

5 1.4(92%) 0.4(28%) 0.8(74%) 0.4(39%) 0.9(85%) 0.04(3.8%)

6 1.4(91%) 0.4(28%) 0.7(66%) 0.4(39%) 0.9(88%) 0.02(1.9%)

7 1.4(93%) 0.4(28%) 0.7(61%) 0.4(36%) 0.8(77%) 0.05(4.7%)

8 1.4(89%) 0.3(20%) 0.6(57%) 0.3(28%) 0.8(76%) 0(0%)

9 1.4(94%) 0.3(22%) 0.6(60%) 0.2(14%) 0.8(75%) 0.03(2.8%)

10 1.4(91%) 0.5(32%) 0.6(60%) 0.2(22%) 1.0(90%) 0.13(12%)

11 1.4(91%) 0.2(10%) 0.7(63%) 0.1(8%) 0.9(84%) 0.08(7.5%)

12 1.4(94%) 0.3(22%) 0.7(65%) 0.2(14%) 0.9(85%) 0(0%)

カッコ内は,各温度における滅菌精製水(コントロール)で計測したコロニー数を100%とした場合の比率を示す.

*:滅菌精製水のpHは7.3〜7.8,オゾン水(オゾン添加精製水)のpHは6.8〜7.3であった.

**:各温度における精製水(オゾン無添加)およびオゾン水(オゾン添加精製水)のpHを表に示すとおり調整した.

図 1 .10℃における計測コロニー数の比率

コロニー数はコントロールでのコロニー数を100とした割合で示した.

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12

%

pH

10℃

pH調整滅菌水 pH調整オゾン水 91

99

92 95

92 91 93

89 94

91 91 94

26 24 30

25 28 28 28

20 22 32

10 22

注)     コントロール,      pH未調整オゾン水

(10)

4 家畜衛生学雑誌 第44巻第 1 号(2018)

図 2 .20℃における計測コロニー数の比率

コロニー数はコントロールでのコロニー数を100とした割合で示した.

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12

%

pH

20℃

pH調整滅菌水 pH調整オゾン水 67 64

70 58

74 66

61 57 60 60 63 65

43 32

25 28

39 39 36 28

14 22

8 14

注)     コントロール,      pH未調整オゾン水

図 3 .35℃における計測コロニー数の比率

コロニー数はコントロールでのコロニー数を100とした割合で示した.

74 82

88

80 85 88

77 76 75 90

84 85

0.9 3.8 10

0.9 3.8 1.9 4.7

0 2.8

12 7.5 0 0

10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12

%

pH

35℃

pH調整滅菌水 pH調整オゾン水 注)     コントロール,      pH未調整オゾン水

(11)

宮﨑ら:オゾン水の殺糸状真菌(カビ)効果におけるpHの影響 5

比べ,カビではオゾンに対する感受性および抵抗性に菌 種差が比較的認められ5 , 7 , 9 ),胞子の表面構造の違い がオゾンの殺菌効果の差に影響を与えるのではないかと 考えられる.なお,本研究では胞子の収縮や内容物の流 出に対しては,pH による明確な差は見られなかった.

しかし,オゾン感作の緑膿菌から漏出するカリウムイオ ンや ATP の定量,電子顕微鏡を用いた微細構造の観察 において,オゾン濃度や接触時間の差による微細な変化 が捕捉されている15).従って,pH 調整オゾン水に感作 させた胞子の流出物の特定と定量,光学顕微鏡よりも分 解能の高い電子顕微鏡を使った観察を行う事等で,pH による差異がより明確になると思われる.

今回の検討では,コントロールとして滅菌精製水

(pH7.3〜7.8)を置き,pH1〜12に調整をした滅菌精製 水, 滅 菌 精 製 水 を 原 料 に 調 整 し た4 ppm オ ゾ ン 水

(pH6.8〜7.3),およびpH1〜12に調整した4 ppmオゾン 水をそれぞれ用い消毒効果の試験を行った.従って,

pH7あるいはpH8に調整した滅菌精製水あるいはオゾン 水の殺カビ効果は,pH を調整していない滅菌精製水あ るいはオゾン水のそれらとほぼ同等になるはずである.

しかし,コントロールの滅菌精製水あるいはpH未調整 オゾン水とほぼ同じpHにも関わらず,pH調整滅菌精製 水あるいはオゾン水の中性付近pHにおける殺カビ効果 は,pH 非調整のものの殺カビ効果と大きく異なってい た.この原因として,pH 調整に使用した10%塩酸水溶 液,あるいは10%水酸化ナトリウム水溶液の影響が考え られるが,詳細は不明である.しかし,図 2 に示したよ うに20℃ においては,中性付近pHに調整したオゾン水 の殺カビ効果はpH 非調整オゾン水とほぼ同等で,アル カリ域では殺カビ効果が増強される傾向が見られた.ま た,pH1〜12に調整をした滅菌精製水では20℃ での試

( 3 )35℃における消毒効果

滅菌精製水1.1±0.19×106 CFU/mL(コントロール)に 対し,pH 調整滅菌水0.83±0.46×106 CFU/mL であった ので82 %となった.オゾン水では0.4±0.71×106 CFU/mL であり,35℃滅菌精製水コントロールの値に対して33%

を示した.pH調整オゾン水では0.07±0.37×106 CFU/mL であり,35℃滅菌精製水コントロールの値に対して 4 % であった(表 1 ,図 3 ).

( 4 )各温度におけるpH影響の比較

pH9以上のアルカリ条件下でコロニー数が減少し,特 に20℃においてこの傾向が強く認められた(図 1 , 2 ,

3 ).

( 5 )形態学的観察

すべての温度および pH で,滅菌精製水と pH 調整滅 菌水に感作された胞子では形態の変化が観察されず,正 常な胞子と同様のレモン型であった.オゾン水とpH調 整オゾン水に感作させた胞子では,陥没や収縮が観察さ れ,内容物の流出も認められた(図 4 ).

考  察

オゾンは低 pH ではオゾン自体,高 pH では酸素への 分解過程で生成されるOHラジカルで対象物の表面を酸 化し損傷を与えると報告されており1 ),殺菌作用は主に 細胞膜や細胞壁の構造的破壊による溶菌によっておこ る9 ).形態観察の結果からC. globosumの胞子でも同様 の現象が見られ,胞子外壁はオゾンによって構造的破壊 が起こったことが示唆された.胞子の形態は真菌の分類 基準の 1 つであり,大きさ・色・形・表面構造など菌種 によって多様性がみられる6 ,13,14).細菌やウイルスに

図 4 .C. globosum胞子の光学顕微鏡(1000倍)観察像

左は,①滅菌精製水で観察された正常な胞子,右は②pH調整オゾン水で観察された内容物の流出,③オ ゾン水および④pH調整オゾン水で観察された収縮した胞子.白色矢印は胞子から流出している内容物を 示す.黒色矢印は陥没した胞子を示す.(バーは1 µm)

(12)

6 家畜衛生学雑誌 第44巻第 1 号(2018)

験がpH 調整の影響を最も強く受けていた.一方10℃に おいては,pH を調整した滅菌精製水の殺カビ効果はコ ントロールの滅菌精製水とほぼ同等で,pH 調整オゾン 水の殺カビ効果に pH の影響はほとんど見られなかっ た.35℃ではpH1〜12に調整をした滅菌精製水がpH 調 整の影響を強く受けていないのに対し,pH 調整オゾン 水ではpH 調整の影響が強く表れていた.これらの結果 には,pH 調整に用いた塩酸あるいは水酸化ナトリウム の影響が関係していた可能性がある.一方,高橋らはオ ゾン水のpHが高くなるとオゾンの分解は促進し,残留 オゾン濃度は減少するが,殺菌効果は上昇すると報告し ており11),オゾン水のカビに対する消毒効果もアルカリ 域で高くなることも予想される.このことから,オゾン 水と併用して使用できる消毒薬や添加剤を探索すること により,オゾン水に対して抵抗性の強い殺カビ効果の増 強が行なえると考えられる.オゾン水は残留せず,様々 な微生物に効果を持つなど消毒資材として優れた点が数 多くあるため,今後の研究においても様々な条件でより 高い有効性を追求していくことが必要である.

本研究は株式会社IHIとの共同研究により行った.

引 用 文 献

1 ) Cho, M., Chung, H., Yoon, J. (2002) Effect of pH and importance of ozone initiated radical reactions in inactivating Bacillus subtilis spore. The Journal of the International Ozone Association. 24, 145-150.

2 ) Ishizaki, K., Shinriki, N., Matsuyama, H. (1986) Inactivation of Bacillus spores by gaseous ozone.

Journal of applied Bacteriology. 60, 67-72.

3 ) 小菅旬子・高鳥浩介・田中真紀(2002)かびの検査 法,かび検査のための具体的操作マニュアル,

Chaetomium globosom,カビ検査マニュアルカラー 図 譜.70-159頁,162-239頁,262-263頁. 高 鳥 浩 介 監修,テクノシステム株式会社,東京.

4 ) McClurkin, J.D., Maier, D.E. (2013) Half-life time of ozone as a function of air conditions and movement. Journal of Stored Products Research.

55, 41-47.

5 ) 二階堂啓吾・高鳥浩介・宮﨑朋美ら.(2017).散気 式オゾン水生成装置により生成されたオゾン水の生 活環境に存在するカビに対する消毒効果の検討.家 畜衛生学雑誌.43,39-47

6 ) Novel, H., Hans Sietsma, J., Van den Ende, H., et al.

(2007) Molecular organization and construction of

the fungal cell wall. pp.181-200, Howard, R.J. and Gow, N.A.R. eds. The Mycota Ⅷ. Biology of the fungal cell. Berlin Heidelberg: Springer-Verlag.

7 ) 萩谷宏三・安達嗣雄・芦川正行.(1988)オゾン水 による真菌類と芽胞菌の不活化試験.西松建設技 報.11,114-120.

8 ) Restaino, L., Frampton, E.W., Hemphill, J.B., et al.

(1995) Efficacy of ozonated water against various f o o d - r e l a t e d m i c r o o r g a n i s m s . A p p l i e d Environmental Microbiology. 61, 3471–3475.

9 ) Rojas-Valencia, M.N. (2011) Research on ozone application as disinfectant and action mechanisms on wastewater microorganisms. pp263-271.

Méndez-Vilas A. ed. Science against Microbial Pathogens: Communicating Current Research and Technological Advances Vol. 1 FORMATEX Microbiology Series Nº 3, Badajoz, Spain

10) 鈴木遊大・福原麻衣・釜瀬幸広ら.(2016)散気式 オゾン水生成装置により生成されたオゾン水のウイ ルスおよび細菌に対する消毒効果.家畜衛生学雑 誌.41,117-125.

11) 高橋信行・香月収.(1981)水溶液中でのオゾンの 溶解度,自己分解および物質移動特性.日本化学会 誌. 4 ,486-493.

12) Taylor, R.H., Falkinham, J.O. 3rd, Norton, C.D., et al. (2000) Chlorine, chloramine, chlorine dioxide, and ozone susceptibility of Mycobacterium avium.

Applied Environmental Microbiology. 66, 1702- 1705.

13) Webster, J, Weber, R. (2007) Introduction to fungi., 3th ed. pp25, 26, 321, 333. Cambridge University Press, London

14) 矢口貴志.(2009)真菌の分類と同定.モダンメディ ア.55,205-216

15) Zhang, Y.Q., Wu, Q.P., Zhang, J.M., et al. (2011) Effects of ozone on membrane permeability and ultrastructure in Pseudomonas aeruginosa. Journal of Applied Microbiology. 111, 1006-1015

要  旨

オゾン水は残留や耐性菌発生が生じない消毒資材とし て,細菌,芽胞,ウイルスおよびカビに対する消毒効果 が認められ食品工場等で実用化されているが,菌種に よって消毒効果に差が存在することが報告されている.

オゾン抵抗性カビ Chaetomium globosum を用いて,消 毒効果を向上させる条件の探索を念頭に置き,オゾン水

(13)

宮﨑ら:オゾン水の殺糸状真菌(カビ)効果におけるpHの影響 7

オゾン水43%,pH 調整オゾン水27%であった.35℃に おいて滅菌精製水では1.1±0.19×106 CFU/mLに対し,

pH 調整滅菌水82%,オゾン水33%,pH 調整オゾン水 4 %であった.また,すべての温度でオゾン水とpH調 整オゾン水から採取した胞子のみ,胞子の収縮や胞子内 容物の流出が観察された.20℃では明らかにpH調整オ ゾン水の殺カビ効果の増強が認められたことから,オゾ ン水と併用して使用できる消毒薬や添加剤を探索するこ とで消毒効果の向上が可能であることが示唆された.

キーワード:オゾン水,殺カビ効果,pHの影響 のpHが殺カビ効果に与える影響を検討した.胞子数1.1

〜1.5×106 CFU/mLのC. globosum胞子液1 mLに対し,

オゾン水の原料となる①滅菌精製水のみ,②10%HCl,

10%NaOH を用いて pH( 1 〜12)調整を行った滅菌精 製水,③4 ppmオゾン水,④pH( 1 〜12)調整を行った 4 ppmオゾン水200 mLを10℃,20℃,35℃で 5 分間感作 させた.その結果,10℃において滅菌精製水では1.5±

0.19×106 CFU/mLであり,それに対する各試験のコロ ニー数の比率はpH調整滅菌水93%,オゾン水68%,pH 調整オゾン水25%であった.20℃において滅菌精製水で は1.1±0.19×106 CFU/mLに対し,pH調整滅菌水64%,

(14)
(15)

日本家畜衛生学会 第88回大会

講演要旨集

主 催: 日本家畜衛生学会

(16)

日本家畜衛生学会第88回大会

と き:平成30年 7 月 7 日(土)  発表会13:30〜16:50       (総 会13:00〜13:30)

ところ:麻布大学(獣医学部棟, 7 階大会議室)

一般講演 13:30〜14:45

座長 坂田亮一(麻布大学)

  13:30〜13:45

  1 .SDS-PAGEを用いた中国産加熱処理鶏肉の加熱状況確認

  ○永友恵美奈・山谷由香・三角さつき・牧田利和子・浅岡正弘・栁澤成江・

   鈴木一弘・守野繁

座長 押田敏雄(前麻布大学)

  13:45〜14:00

  2 .臭気低減資材および消毒薬の脱臭能力の判定について   ○小堤悠平・長峰孝文・田中康男・畠中哲哉・道宗直昭

座長 齋藤康倫(日本全薬)

  14:00〜14:15

  3 .ヤギの乳房内にLPSを投与した際の非投与分房の乳汁pHの継時的変化   ○東谷暁人・篠塚康典・濵本欣城・佐藤礼一郎・上野大作・沖田美紀    磯部直樹・河合一洋

座長 伊藤博哉(農研機構・動衛研)

  14:15〜14:30

  4 . 野生カラスの腸内容物からのClostridium perfringensの分離および分離菌株 の遺伝学的解析

   鈴木菜月・成廣 隆・○上塚浩司

座長 山本孝史(前東京農大)

  14:30〜14:45

  5 .日本の養豚場における動物用抗菌剤使用に及ぼす要因の疫学的解析   ○礒村れん・松田真理・杉浦勝明

  休憩 14:45〜14:55

(17)

家畜衛生学雑誌論文賞受賞講演 14:55〜15:45

座長 宮﨑 茂(生物科学安全研究所)

  14:55〜15:20

  「散気式オゾン水生成装置により生成されたオゾン水の生活環境に存在するカビ に対する消毒効果の検討」の平成29年度家畜衛生学雑誌論文賞受賞にあたって    二階堂啓吾 先生

座長 須藤慶子(群馬県)

  15:20〜15:45

  「牛白血病に関する衛生対策ガイドラインに基づく対策取り組み事例の検証」の 平成29年度家畜衛生学雑誌論文賞受賞にあたって

   寺一未奈子 先生   休憩 15:45〜16:00 教育講演 16:00〜16:50

座長 白井淳資(東京農工大学)

 わが国における食肉加工技術:その発展と最近の話題    坂田 亮一 先生

(18)

12 家畜衛生学雑誌 第44巻第 1 号(2018)

【はじめに】

口蹄疫等家畜の悪性伝染病発生国から輸入される畜肉類は,加熱処理(100℃以上の蒸気で中心温度70℃以上 1 分 間以上等)を条件に輸入が認められているものがある.動物検疫所では加熱処理を条件に輸入される畜肉類(以下加 熱処理肉)については,目視検査による加熱状況の確認を行い,加熱に疑義があるものは,ポリアクリルアミドゲル 電気泳動法を用いた加熱状況確認試験(以下SDS-PAGE)を実施している.SDS-PAGEでは,検査申請のあった加 熱処理肉の乳剤と,同一検体を再加熱(70℃ 1 分間)した乳剤について,たん白質の電気泳動像の違いから加熱状況 を判定している.原材料が肉だけの加熱処理検体については判定が可能であることが確認されており,肉以外の原材 料を含む調理肉についても広く活用されている.今般,ある輸入者が中国から輸入した味付け加工された加熱処理鶏 肉(唐揚げ)の検査を実施したところ,目視検査では加熱十分と判定されたが,SDS-PAGEでは加熱不十分と判定 された検体があった.輸入者から原因を究明したいとの要望があり,輸入者及び現地加熱処理施設の協力により,原 材料の一部,加熱温度・時間を変えて製造した製品サンプルについてSDS-PAGE判定状況を比較した.

【材料と方法】

当該唐揚げの肉のみの部分,肉と衣の混合部分(肉+衣),衣だけの部分についてSDS-PAGEを実施した.さらに 現地加熱処理施設で製造された,(A)通常輸入されている製品と同じ原材料(表 1 )のもの,(B)Aから一部の植 物性原材料を除いたもの,(C)調味液及び衣液を使用しない肉のみについて,それぞれ80℃ 2 ,3 ,4 ,5 ,15分間,

85℃ 2 分間,90℃ 2 分間の加熱処理が施されたサンプルについてSDS-PAGEを実施した.また,未加熱の調味液及 び衣液単体について, 1 回及び 2 回加熱し,SDS-PAGEを実施した.

【結果】

衣は加熱十分,肉及び肉+衣は加熱不十分と判定され,当該唐揚げが加熱不十分と判定されたことについて衣は関 与していないことが確認された.調味液及び衣液を使用したA及びBは全ての検体が加熱不十分と判定され,Cの肉 のみは全ての検体が加熱十分と判定されたことから(表 2 ,図 1 ),当該唐揚げは再加熱前後の泳動像の差では加熱 状況を正しく判定できないことが明らかとなった.また,調味液及び衣液単体については, 1 回及び 2 回の加熱では 泳動像に変化がなかった.

【考察】

SDS-PAGEでは,調味液等が使用された後に加熱処理された鶏肉(A,B)は全て加熱不十分と判定された.当該 唐揚げは製造時に真空状態で調味液を浸透させており,調味液及び衣液に含まれる成分が肉のタンパク質に変化を生 じさせ,その変化が加熱及び再加熱による泳動像に影響を及ぼしたと推察された.最近の食肉加工技術の発展によっ て様々な加工処理を施した加熱処理肉が輸入されてきている.原材料及び製品の製造工程によっては,SDS-PAGE では加熱処理状況が正しく判定できない場合があり,SDS-PAGEによる判定基準の再考,新たな加熱状況確認試験 の開発等が望まれる.

SDS-PAGEを用いた中国産加熱処理鶏肉の加熱状況確認

○永友恵美奈・山谷由香・三角さつき・牧田利和子・浅岡正弘・栁澤成江・鈴木一弘・守野 繁

(農林水産省動物検疫所)

Key word:heat processed, SDS-PAGE

1

(19)

「日本家畜衛生学会第88回大会」要旨集 13

<製造工程>

肉 胸 鶏 )

% 3 5 ( 肉 胸 鶏

↓ 材

水 保 )

% 6 1 ( 液 味 調

分 0 4 空 真

、 漬 浸 液 味 調 グ ン リ ブ ン タ 粉

澱 カ オ ピ タ  塩

↓ チ

ー タ ス ン ー コ

け 付 液 衣 油

 大豆、小麦、塩、エタノール、水

↓ 姜

生 し ろ お

間 時 0 1 - 8

℃ 5 - 0 置

静 塩

おろしニンニク

↓ 糖

間 分 1

℃ 0 7 1 イ

ラ フ 物

解 分 水 加 白 ん た 白ごま

↓ 水

スチーム 80℃2分間保持 衣液(26%) 馬鈴薯澱粉

↓ ス

ク ッ ミ ー タ ッ バ

 小麦粉、パン粉、ブドウ糖、 冷却 室温、5-10分間保持  ショートニング、大豆たん白、

 香辛料、炭酸水素ナトリウム、   ↓

 塩、パプリカ色素、L-グルタミ 急速凍結 -35℃以下、45分間  ン酸ナトリウム

↓ 油

 大豆、小麦、塩、エタノール、水 梱包 水

下 以

℃ 8 1 - 管

保 油

豆 大 )

% 5 ( 油 げ 揚

<原材料>

表 1 .中国産加熱処理鶏肉(唐揚げ)の原材料及び製造工程

加熱処理温度 85℃ 90℃

加熱処理時間 2分 3分 4分 5分 15分 2分 2分

A 通常 × × × × × × ×

B 植物抜き × × × × × × ×

C 肉のみ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○

80℃

通常:調味液、衣液を使用し通常の製造工程で製造されたもの。植物抜き:植物性原料(タピオカ、コーンス ターチ、おろし生姜、おろしニンニク、白ごま)を除いた調味液を用いて製造されたもの。×:泳動像に変化あ り、加熱不十分と判定。○:泳動像に変化なし、加熱十分と判定。

表 2 .原材料,加熱方法を変更して製造したサンプルのSDS-PAGE加熱状況判定

図 1 .原材料の一部,加熱温度・時間を変えて製造されたサンプルの再加熱前後のSDS-PAGE泳動像

(20)

14 家畜衛生学雑誌 第44巻第 1 号(2018)

【はじめに】

これまでに畜舎や堆肥化施設等からの臭気低減に効果のあるとされる資材について脱臭能力を調査し,そのほとん どが豚舎スラリーに対しての脱臭効果は限定的であり,効果があるとしても即効性の脱臭は低いことを報告してい る.市販消毒薬についても畜舎由来の臭気の脱臭効果を謳っているものがあるが,その効果については不明なところ が多い.そこで本試験では,今回新たに選定した臭気低減資材の脱臭能力を評価するとともに,市販消毒薬について も評価を実施した.

【材料および方法】

新たな臭気低減資材 2 種類と市販消毒薬として,ヨウ素系,塩素系など 5 種類の 9 剤を選定した.脱臭能力の判定 には,「畜産で利用される臭気対策資材の効果判定方法(畜産草地研究所 2005)」に掲載されている実験装置を改良

(写真 1 )し,回収した臭気ガスを,におい識別装置(島津製作所)によって測定した.ろ紙に塗布するスラリー量 は,豚房床面を想定して薄く広がる0.5g(5.66㎏ /m2)とした.各資材の散布量および希釈率は,各メーカーの使用 方法に準拠した.実験室内温度は夏期を想定して30℃とした.においサンプルの採取は,試料(各資材+スラリー)

を入れる前( 0 時間),試料を入れてから 1 , 6 ,24時間後に行った.評価する資材の対照区は,滅菌蒸留水とし,

各資材と同量散布した.実験装置は 3 台あり,一回の試験で 2 資材の評価を行った( 1 台は,対照区).

【結果および考察】

臭気低減資材 2 種類と消毒薬 9 剤を評価した結果,散布 1 時間目は対照区(滅菌蒸留水)の臭気指数相当値が最も 低く(18),散布 6 時間目は消毒薬Cが最も低く(17(対照区19)),散布24時間目は消毒薬Dが最も低くかった(21(対 照区25))が,臭気指数相当値の推移が,対照区にくらべて大きくは低下していなかった(図 1 ).これらより,今回 新たに選定した臭気低減資材及び消毒薬の脱臭能力は低いことが考えられた.特に,消毒薬においては不快臭物質

(ふん尿臭)そのものを低減しているのではなく,マスキング的な役割をしている可能性が示唆された(薬剤臭を使っ てふん尿臭を感じなくさせている).本来,消毒の目的は,微生物による疾病の感染経路を遮断することである.畜 舎等の消臭を,臭気低減資材や消毒薬のみに頼るのではなく,小まめな清掃など,基本的な対応が重要であると考え られた.また,引き続き,新たな臭気低減資材や消毒薬について脱臭能力を評価する必要性もあると考えている.

臭気低減資材および消毒薬の脱臭能力の判定について

○小堤悠平

1 )

・長峰孝文

2 )

・田中康男

1 )

・畠中哲哉

1 )

・道宗直昭

1 )

1 )一般財団法人・畜産環境整備機構・畜産環境技術研究所・2 )三桜電気工業株式会社)

Key word:deodorizer, disinfectant, deodorizing ability

2

(21)

「日本家畜衛生学会第88回大会」要旨集 15

5 10 15 20 25

0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 22 24

臭気指数相当値

経過時間(時)

消毒薬A 消毒薬B 消毒薬C 消毒薬D

消毒薬E 消毒薬F 消毒薬G 消毒薬H

消毒薬I 脱臭剤① 脱臭剤② 対照区(水)

図 1 .消毒剤散布後の豚舎スラリー由来の臭気指数相当値の推移 写真 1 .臭気対策資材の効果判定装置の外観( 3 台)

(22)

16 家畜衛生学雑誌 第44巻第 1 号(2018)

【背景・目的】

乳汁pHは乳房炎の指標の一つで,正常乳と比べて乳房炎乳において上昇することが知られている.近年,急性大 腸菌性乳房炎(ACM)の臨床例において,乳房炎非罹患分房の乳汁pHの上昇と早期診断の可能性が報告された.

ACMの急性期病態はグラム陰性菌の菌体構成成分であるリポ多糖(Lipopolysaccharide;LPS)に対する生体反応に よるが,この現象がLPSの影響によるものかは明らかにされていない.本研究は,ヤギ乳房内にLPSを投与した際 の非投与分房の乳汁pHに与える影響を明らかにすることを目的とした.

【材料と方法】

臨床上健康な泌乳中のトカラヤギ(17.8 kg〜30.2 kgBW)を用いた.対照群(n= 5 )は 1 分房へ生理食塩水5 ml を注入,もう一方の分房は非投与とした.試験群では 1 分房へLPS(O111 和光純薬)を注入し,もう一方の分房は 非投与とし,経時的に血液検査(血液pH)と両分房の乳汁検査(乳汁pH,乳汁中体細胞数(SCC))を行った.血 液pH測定はi-STAT® 1 アナライザーとi-STATカートリッジCG8,乳汁pH測定はデジタルPHメータ,SCC測定は DeLaval cell counterをそれぞれ用いた.試験群のLPS投与量は10 µg(n= 5 )・100 µg(n= 4 )・1,000 µg(n= 4 ) の 3 パターンを実施した.

【結果】

乳汁pHは,注入分房では全てのLPS注入群で,非注入分房ではLPS100 µgとLPS1,000 µg注入群で有意な上昇が みられた(図 1 ).SCCは注入分房において全てのLPS注入群で有意な増加がみられたが,非注入分房では変化はみ られなかった(図 2 ).血液pHはいずれの群も変化はみられなかった.

【考察】

LPS注入群では食欲不振・発熱などの全身症状およびLPS注入分房の乳汁pHとSCCが上昇したことから,急性乳 房炎の病態が作出されたと考えられた.LPS非注入分房の乳汁pHはLPS10 µg投与では変化がなく,LPS100,1,000 µg投与で上昇がみられたことから,ACM臨床例で観察される非注入分房の乳汁pHの反応はLPS量に依存し影響を 受けることが明らかとなった.さらにLPS非注入分房のSCCでは変化がみられなかったことから,LPS非注入分房 の好中球などの浸潤を伴う血管透過性には影響を与えないと考えられた.また血液pHでは変化がみられなかったこ とから,乳汁pHの上昇は血液pHとは関連していないと考えられた.

以上のことから,罹患分房の乳房炎診断に CMT 変法は用いられているが,非罹患分房乳汁の CMT 変法の観察 は,LPSの影響を確認できる可能性が示唆された.

ヤギの乳房内にLPSを投与した際の非投与分房の 乳汁pHの経時的変化

○東谷暁人

1 )

・篠塚康典

1 )

・濵本欣城

1 )

・佐藤礼一郎

1 )

上野大作

2 )

・沖田美紀

3 )

・磯部直樹

3 )

・河合一洋

1 )

1 )麻布大獣医・2 )NOSAIみなみ 中部家畜診療所・3 )広島大学大学院)

Key word:goat milk, lipopolysaccharide, milk pH, somatic cell count

3

(23)

「日本家畜衛生学会第88回大会」要旨集 17

時間 (h) 0 1 2 3 4 6 8 12 24

採血 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇

採乳 〇 - 〇* - 〇 〇** 〇 〇 〇

*)LPS100 µg、LPS1,000 µg注入実験時のみ採材

**)LPS1,000 µg注入実験時のみ採材

表 1 .採材時間

*

** *

*

*

*

*

* *

6.50 6.85 7.20

0 2 4 6 8 12 24

乳汁pH

** ** **

*

*

**

** * *

0 2 4 6 8 12 24

対照群 LPS10µg

LPS100µg LPS1,000µg

(時間)

注入分房 非注入分房

図 1 .投与後の乳汁pHの推移

( 0 時間との比較,t検定,*:P<0.05 **:P<0.01)

*

** **

* **

** ** **

**

**

* **

*

5.00 7.00 9.00

0 2 4 6 8 12 24

SCC (Log₁₀個/ml)

* *

* *

* *

0 2 4 6 8 12 24

対照群

LPS10µg LPS100µg LPS1,000µg

非注入分房

(時間) 注入分房

図 2 .投与後のSCCの推移

( 0 時間との比較,t検定,*:P<0.05 **:P<0.01)

(24)

18 家畜衛生学雑誌 第44巻第 1 号(2018)

Clostridium perfringensは,通称ウエルシュ菌と呼ばれるグラム陽性の芽胞形成性嫌気性桿菌である.正常なヒト や動物の腸内に存在するほか,土壌や下水など環境中からも分離される.しかしその反面,ヒトの食中毒の原因にも なり,また家禽や家畜では腸炎などを引き起こして農場に重大な経済的損害をもたらす.

野生カラスは農場に飛来し得るが,そのウエルシュ菌の保有についてはよく知られていない.そこで本研究では,

茨城県内で捕獲された野生カラスの腸内容物からウエルシュ菌の分離を行い,その分離頻度,分離菌量,毒素型を調 べ,さらに分離された菌株について遺伝学的解析を行なった.

【材料と方法】

茨城県で平成26および27年度に捕獲された野生カラスそれぞれ45羽および38羽の腸内容物から,10%卵黄加カナマ イシン入りCW寒天培地を用いてウエルシュ菌の分離を行なった.ウエルシュ菌と同定された純化菌株はPCR法で 毒素型を調べ,β2毒素(cpb2)およびエンテロトキシン(cpe)の遺伝子の保有を調べた.さらに,平成26年度に捕 獲されたカラスのうち15羽に由来するウエルシュ菌25株について, 8 種のハウスキーピング遺伝子(plc,colA,

groEL,sigK,pgk,nadA,gyrB,sodA)を対象としたMLST(Multi Locus Sequence Typing)法による遺伝学的 解析を実施した.

【結果と考察】

平成26および27年度の分離率は,それぞれ42.2%(19/45羽)と65.8%(25/38羽)であった.腸内容物中の平均菌 量は,それぞれ4.2×106CFU/gと4.9×106CFU/gであった.鶏の小腸での菌量は健常な鶏で102〜104CFU/g,壊死性 腸炎の発症鶏で107〜109CFU/gとの報告から,野生カラスは鶏より多量のウエルシュ菌を腸内に保有している可能性 が推察された.PCR法を用いた毒素型判定の結果,全てA型と同定され,ヒトや様々な動物種での報告と同様にカ ラスにおいてもA型が主要な毒素型と推察された.β2毒素(cpb2)およびエンテロトキシン(cpe)の遺伝子は,26 年度ではそれぞれ118菌株中22菌株(18.6%)と18菌株(15.3%),27年度ではそれぞれ187菌株中 4 菌株(2.1%)と 39菌株(20.9%)から検出された.

MLST法による遺伝学的解析では,カラスからの分離菌25株は16種類の配列型(ST)に分類され,同一個体のカ ラスに由来する 2 菌株のSTについての考察から,健常なカラスの腸内に生息するウエルシュ菌のクローン性につい て,さらに検討する必要性が示唆された.また, 8 種のハウスキーピング遺伝子のアライメントにより作成した系統 樹では,カラスからの分離菌25株は大きく 3 つのクラスターに分かれ,分離菌の由来カラスの捕獲場所についてクラ スターごとに茨城県内での分布に特徴があることが示唆された.これより 3 つのクラスターの菌株の分布に対応し て, 3 つのカラス群が生息あるいは移動している可能性が推察された.今後は,さらに解析する菌株数を増やし,検 討を続ける予定である.

野生カラスの腸内容物からのClostridium perfringensの分離 および分離菌株の遺伝学的解析

鈴木菜月

1 )

・成廣 隆

2 )

・〇上塚浩司

1 )

1 )茨城大学大学院農学研究科・生物生産科学専攻・

2 )国立研究開発法人・産業技術総合研究所・生物プロセス研究部門)

Key word:Clostridium perfringens, crow, intestine, MLST, Ibaraki prefecture

4

(25)

「日本家畜衛生学会第88回大会」要旨集 19

(26)

20 家畜衛生学雑誌 第44巻第 1 号(2018)

【はじめに】

薬剤耐性菌問題は人および動物医療分野で大きな課題となっており,その背景には抗菌剤の不適切な使用がある.

現在日本で動物用抗菌剤の販売量が最も多いのは豚に対してであり,養豚分野における抗菌剤使用削減に影響する要 因の解明は重要である.本研究は,畜産農家における動物用抗菌剤の使用と関連し,かつ畜産農家にとって実現可能 な措置として考えられる農場バイオセキュリティ水準およびアニマルウェルフェア水準と農場レベルでの動物用抗菌 剤使用量との関係について疫学的解析を行い,感染症対策の戦略に影響を及ぼす要因を上記の 2 因子と仮定し,各要 因の戦略への影響度を推定することにより,抗菌剤に依存しない予防対策の推進に有効な手段を探索することを目的 とした.

【材料と方法】

日本養豚開業獣医師協会(JASV)会員獣医師とコンサルティング契約を結ぶ38農場について,①2015年の出荷肉 豚一頭当たりの年間抗菌剤使用量データ,②自記式質問表による農場バイオセキュリティレベルの評価結果(表 1 ) および③ベンチマーキングから得られたアニマルウェルフェアに基づく適正飼養指標を用いて,農場における動物用 抗菌剤使用量における各要因の影響度について多変量回帰分析を用いて明らかにした.

【結果】

経口抗菌剤使用量に影響する因子として,影響力の大きい順にⅰ.立地条件,Ⅱ.農場外バイオセキュリティスコ アの小項目ⅶ.工事業者およびⅱ.更新豚に関する対策が挙げられた(p<0.001)(表 2 ).次に各抗菌剤使用量に影 響する因子として,バイオセキュリティ水準ではⅰ.農場の立地条件,ⅱ.農場で長期飼養される更新豚の導入に関 する条件,ⅴ.堆肥と斃死体の管理条件,ⅵ.害獣管理条件およびⅸ.ピッグフロー条件(各生産ステージの豚舎の AI/AO の徹底レベルや病豚・出荷残り豚の扱い)が,また適正飼養指標として哺乳期死亡率が挙げられた(p < 0.001).

【考察】

豚の飼養密度が低い地域に位置し農場が隔絶されること,また長期間農場にて飼育される更新豚の導入に関する対 策を講じ,他の農場に出入りする頻度が高い工事業者への入場規則を徹底することにより,群投与される経口抗菌剤 使用量の低減につながることが示唆された.また農場バイオセキュリティレベルの向上に加え,哺乳期の疾病管理を 改善し死亡率を改善することで各種抗菌剤使用量の低減につながることが示唆された.今後は母豚を中心としたアニ マルウェルフェア水準評価方法の確立および重要なバイオセキュリティ対策の向上の費用・有効度分析の研究を進め ることにより,抗菌剤使用量削減のために有効な具体的方策を特定できると考える.

日本の養豚場における動物用抗菌剤使用に及ぼす要因の疫学的解析

─動物用抗菌剤使用量と農場バイオセキュリティ水準 および適正飼養因子との関連─

○礒村れん・松田真理・杉浦勝明

(東京大学大学院)

Key word:antimicrobial usage, biosecurity, animal welfare, pig production

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参照

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