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(1)

家畜衛生学雑誌41-1表14.ai

K

199pDIC

 ISSN 1347−6602 昭和62年6月9日学術刊行物認可

家畜衛生学雑誌 家畜衛生学雑誌

Vol.41  No.1 2015. MAY

日 本 家 畜 衛 生 学 会

The  Japanese  Society  of Animal  Hygiene

The Japanese Journal of Animal Hygiene

家畜衛生学雑誌

  第

41         巻第1号二〇一五年五月日本家畜衛生学会

(2)

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家 畜 衛 生 学 雑 誌

日本家畜衛生学会 発行

President :  Junsuke SHIRAI( )

Vice President :  Shigeru MIYAZAKI ( )

Editor-in-Chief :  Shigeru MIYAZAKI( )

Editorial Board  :  Norihide KAKIICHI( )

Shinji TAKAI( )

    Hajime NAGAHATA( )

Sadao NOGAMI ( )

Tsuguaki FUKUYASU ( )

Tadao WATANABE( )

"""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""

The Japanese Journal of Animal Hygiene

Published by the Japanese Society of Animal Hygiene

理 事 長 :白井淳資 副理事長 :宮﨑 茂 編集委員長 :宮﨑 茂

編集委員 :柿市徳英・高井伸二・永幡 肇

     野上貞雄・福安嗣昭・渡邊忠男

(3)

「家畜衛生学雑誌」第41巻第 1 号の送付にあたって

 会員の皆様におかれましては,ますますご清栄のこととお慶び申し上げます.

 ここに,「家畜衛生学雑誌」第41巻第 1 号を刊行する運びとなりました.本学会は1974年に創立され,昨年は創立 40周年を迎えました.本号は学会創立41年目の最初の号となりますが,残念ながら投稿論文が少なく,原著論文およ び短報それぞれ 1 報のみの掲載となってしまいました.

 本学会および「家畜衛生学雑誌」の更なる充実のため,学会役員一同,努力や工夫をしていきたいと思いますが,

何よりも会員の皆様のご支援が重要です.「家畜衛生学雑誌」についても,会員の皆様からの積極的なご投稿をお願 いいたします.

日本家畜衛生学会理事長  白井淳資 家畜衛生学雑誌編集委員長 宮﨑 茂

(日本家畜衛生学会副理事長)     

日本家畜衛生学会・学会費納入のお願い

 ご承知のように学会は会員の皆様からの会費をもって運営されています.学会の運営を円滑に運ぶために速やか に,所定の会費の納入をお願い申し上げます.

*学会費は正会員4,000円,学生会員2,000円となっています.

日本家畜衛生学会 理事長 白井淳資

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裏面の注意事項をお読みください。

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日本家畜衛生学会

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4 3 1 7 1 3 0 0 2 4 0 3 4 3 1 7 1

日本家畜衛生学会

平成 23 24 25 26 27 年度

       (      )         計       円

(4)

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(5)

家畜衛生学雑誌

第41巻 第1号 2 0 1 5

目  次

〈原 著〉

畜舎汚水処理曝気槽からの微生物飛散抑制を目的とした防風ネットの利用方法

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・田中康男 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1〜8

〈短 報〉

牛乳房炎由来緑膿菌が産生するバイオフィルム形成に対するマクロライド系抗菌薬の減少効果

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・渡邉公平・木内明男 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 9〜11

会員へのおしらせ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 13〜14 家畜衛生学雑誌投稿規程  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 15〜16 日本家畜衛生学会会則  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17

家 畜 衛 生 学 雑 誌

(6)

Vol. 41 No. 1 2 0 1 5

 

Contents

〈Original report〉

Utilizing method of windbreak net for reducing emission of hazardous  microbes from aeration tank of animal wastewater treatment facilities.

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ Yasuo Tanaka ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1〜8

〈Note〉

The reduction effect of macrolide antibiotics over the biofilm formation that  the bovine mastitis origin Pseudomonas aeruginosa produces

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・Kohei Watanabe et al. ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 9〜11

Information for Members ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 13〜14 Instruction for Authors ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 15〜16 The Regulations of The Japanese Society of Animal Hygiene ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17

Jpn. J. Anim. Hyg.

(7)

1

序  文

養豚では,曝気槽を備えた活性汚泥方式の汚水処理施 設が多く利用されている.これらの曝気槽には,覆蓋が 取付けられている場合もある一方,上部開放の事例も多 い.仮に口蹄疫ウイルス等の有害微生物が汚水に混入し た場合,上部開放曝気槽から周囲へ飛散するリスクが懸 念される.防疫の観点からは,平常時から可能な限りの リスク低減措置を講じておくことが重要である.しか

し,既存施設に覆蓋を設けるのは,構造上困難な場合や 費用が高額になる場合も多いと考えられる.このような 場合に適用可能な,簡易な飛散抑制手法が望まれる.

著者ら5 )は,上記の観点から目合 1 mmで高さ 2 mの 防風ネットを曝気槽周囲に塀のように設置する手法を検 討し,飛散抑制効果を確認している.このネットは軽量 で耐久性が高く,支柱さえあれば設置は容易である.一 方,強風時には破損が避けられず,そのたびに補修が必 要になる問題がある.台風のように予測可能な強風の場 合は巻き上げておくなどの対応もとれるが,天候急変に よる強風には対処不可能である.

そこで簡易な強風対策として,5 mを 1 単位としてユ

畜舎汚水処理用曝気槽からの微生物飛散抑制を目的とした 防風ネットの利用手法

田 中 康 男

Utilizing method of windbreak net for reducing emission of hazardous microbes from aeration tank of animal wastewater treatment facilities

Yasuo Tanaka

* National Institute of Livestock and Grassland Science, 2, Ikenodai. Tsukuba-shi, Ibaraki, 305-0901, Japan)

(2014. 12. 1 受付/2015. 2. 12 受理)

Summary

Emission of microbes from aeration tanks in animal wastewater treatment facilities may adversely affect on livestock epidemic prevention. A previous study has suggested that 2 m height 1 mm mesh windbreak raschel net made of polyethylene would be efficient for reduce the emission of microbes from aeration tank. The windbreak net is, however, damaged by strong winds. A method for minimizing the damage of the nets was examined with full scale tests. It was suggested that 5 m length net units fastened with hook and loop fastener was effective to prevent excessive wind pressure through detachment of the fasteners. The detachment of 5 cm width fastener became remarkable when maximum instantaneous wind speed exceed about 7 m/s. The detachment of the fastener was automatically detectable with an electrical cable breakage monitor. Automatic shutoff of blowers for aeration of activated sludge tank by the signal from the monitor would be efficient for preventing emission of microorganisms during storm weather.

Key words: Animal wastewater treatment, Aeration tank, Emission of microorganisms, Epidemic prevention, Windbreak nets

家畜衛生学雑誌 41, 1 〜 8 (2015)

原 著

国立研究開発法人農研機構 畜産草地研究所 〒305−0901 茨城県つくば市池の台 2

(8)

ニット化したネットを面ファスナーで所要枚数連結して 設置することを考案した.強風時には面ファスナーが分 離し,風がユニット間を抜けることで,風圧が軽減され 破損が防がれるものと予想される.また,分離したネッ トは面ファスナーを再係合することで容易に元の状態に 戻すことが可能である.

この手法を最適化するため,実施設の曝気槽で以下の 2 種類の試験を実施した.試験 1 (面ファスナー選定試 験):適切な仕様の面ファスナーを選定するため, 2 ユ ニットを面ファスナーで結合した 10 mのネットを設置 し,幅 10 cmの面ファスナーの場合と幅 5 cmの場合の それぞれについて,風速が分離および破損に及ぼす影響 を検討した.試験 2 (全周設置試験):前記試験で選定

した面ファスナーで連結した約 60 mのネットを円形曝 気槽の円周上に設置し,風速と面ファスナー分離の関 係,ネット下辺の可動式固定法,およびネット分離の自 動検知法などを検討した.本論文ではこれらの検討結果 を報告する.

材料および方法

( 1 ) 曝気槽

ネットの設置試験は,畜産草地研究所内の畜舎汚水処 理用活性汚泥法曝気槽(図 1 )で実施した.この曝気槽 は,直径 20 mの円形で無覆蓋,槽周縁部水深 2.4 m,

中央部水深 4.5 m,有効容量 1,298 m3 である.槽底部か ら微細気泡を散気する垂直エアレーター(11 Kw,3 台)

と,水車状のパドルを水面で回転させて液の攪拌と同時 に空気を溶解させる水平エアレーター(1.5 Kw, 6 台)

とが設置されている.

( 2 ) ネット

試験には,ポリエチレン製防風ネット(ダイオ化成株 式会社製,ラッセル織,目合 1 mm,防風率70%)を使 用した(図 2 左).耐用年数は通常 3 〜 5 年とされてい る.なお,一般にラッセル織りのネットは飛沫抑制効果 が高く3 ),また裂け目ができた場合も拡大し難いという 特性もあり,効果面・耐久性面で最適な資材と考えられ る.幅 2 m×長さ 5 m のネットを 1 ユニットとし,外 周部に補強用の 6 mmφロープを縫い付け,上辺には吊 り下げ用の金属製リングを 1 m 間隔で取り付けた(図 2 右).なお,この加工はネット製造会社に依頼して 行った.ネット下辺は,通常風速時にネット下部が吹き 上げられないように固定を行った.この固定法として,

試験 1 (面ファスナー選定試験)では 1 ユニット当たり 図 1 .試験を実施した曝気槽の形状

4.5m 5m

歩廊

20m

水平エアレーター 垂直エアレーター N

S

W E

平面図

側面図

No.1

No.2 No.3 No.4

No.5

No.6

図 2 .使用した防風ネットと設置の状況

2 m m φ ス テ ン レ ス ワ イ ヤ ー ロ ー プ 吊 金 具

(9)

田中:防風ネットによる曝気槽からの微生物飛散抑制 3

重りによりネット下辺は固定され,強風時にはロープに よって重りが引き上げられながらネットの裾が広がり,

過大な風荷重が回避される.

( 3 ) 面ファスナー

面ファスナーは,クラレファスニング株式会社製ポリ エステル面ファスナーニューエコマジック(A8693Y-71

(フック面),B2790Y-00(ループ面))を使用した.テー プ幅は 10 cm(有効巾 9.6 cm)および 5 cm(有効巾 4.7 cm)の 2 種類を用い,長さ 2 mにカットしたテープを 各ネットユニットの両端部にフック面とループ面がネッ ト設置の際に対合するように取り付けた(試験 1 の場合 は結束バンドで固定し,試験 2 では家庭用ミシンにより ナイロン糸で縫い付けた).なお,メーカー仕様書によ れば,面ファスナーの係合力は,引張りせん断強さが 10 cm幅で 7.5 N/cm2,5 cm幅で 8.5 N/cm2,はく離強 さが 10 cm幅で 0.66 N/cm,5 cm幅で 0.87 N/cmであ る.

( 4 )支柱およびネット懸架法

支柱として,試験 1 では外径 22 mm,長さ 2 mの引 抜FRP製ロッド(フェザーフィールド株式会社製,品番 K0501300)を用いた.試験 2 では,東側半周分を上記 FRPロッド,西側半周分は外径 25 mm,肉厚 1.2 mm,

長さ 2 m のメッキ鉄パイプを使用した.支柱は 1 ユ ニットのネットあたり 3 本を既設手摺のスチールアング ル支柱のコーナー部空隙に差し込んで設置した(差し込 み深さ 70 cm).ステンレスワイヤーロープ( 2 mm φ,SUS304製, 7 × 7 タイプ)を各支柱の上端にステ ンレス製ホースバンドで固定し張り渡した.このワイ ヤーに吊り下げリングを掛けてネットを懸架した.

( 5 ) ネット分離検出システム

面ファスナーが分離するような強風時には,曝気槽か らの飛沫飛散量の増大が予想される.よって,面ファス ナーが分離した場合には曝気を自動停止すれば飛散抑制 はより確実になる.この自動停止法として,試験 2 (全 周設置試験)では断線検出機能付漏液検出器(オムロン 株式会社製,K7L-UD形)を利用したシステムを設置し た(図 5 ).本検出器の本来の利用目的は漏液検出であ るが,検出器本体とセンサを結ぶ導線 3 本のうち少なく とも 1 本が断線した場合に,断線検出信号を出力する機 能も有している.そこで,本体とセンサを同一のプラス チックボックス内に組み込み, 2 本の導線はボックス内 で 結 線 し, 残 り 一 本 は ス テ ン レ ス ワ イ ヤ ー ロ ー プ

( 1 mmφ,SUS304製,7 × 7 タイプ)を導線としてボッ 2 点を結束バンドで曝気槽構造物に結束した.15ユニッ

トを用いた試験 2 (全周設置試験)(図 3 )では,弱風 では下辺が固定され,かつ強風では下辺が吹き上がり風 圧を逃がすことができる可動式固定法として,各ユニッ トの中央下部にロープを結び付け,このロープを槽壁上 端とネット懸架用ステンレスワイヤーロープに取付けた 2 個のステンレス製ナス環に通した後,床面に置いた 2 kg の重り(水を 2 L 入れたペットボトル)に結び付 けた(図 4 ).ネットユニットが係合されている場合は,

図 3 .ネット全周設置の状況 2 m 高 ネ ッ ト 風 向 風 速 計

図 4 .ネット下端の可動式固定手法 水入り2 L

ペットボトル ポリエチレン ロープ

ネット ステンレスワイヤーロープ

弱風時 強風時

(面ファスナ分離時)

ステンレス ナス環

(10)

クス外に引き出した.ワイヤーロープは 6 m を 1 ユ ニットとして各ネットユニットの下辺に結束バンドで取 り付け,各ワイヤーロープユニットの端部は,隣接する ユニット端部に電気的な導通が確保されるように幅 2 mmのナイロン製結束バンドで結合し,本体とセンサが

3 本の導線で導通されるようにした.いずれかの面ファ スナーが分離しネットが煽られた際には,ワイヤーロー プ同士を結合する結束バンドが切れて導通が断たれ,断 線検出信号が出力される.この出力を利用して,曝気ブ ロアーを停止する回路を設ければ,面ファスナーの分離 時に曝気が自動停止する.

( 6 )風向・風速の測定

風車型風向風速計(光進電気工業製KVS-501型)を曝 気槽上部に設置して(図 3 )風向・風速を計測した.

試験 1 では,曝気槽の東側にネットを設置したため,

ネット面に対する風の角度によって同じ風速であっても 風荷重は大きく異なることが予想された.そこで,ネッ

トへの風荷重の相対的指標値を,以下の手順で算出し た.まず,10分ごとの最大瞬間風速からネットの内側か ら外側に向かう風向時のデータのみ抽出した.次に,抽 出した風速値を下式によりネット面に垂直な方向の風速 ベクトル値に換算した(以下補正最大瞬間風速と呼ぶ).

補正最大瞬間風速=最大瞬間風速×SINα

(α:ネット面と最大瞬間風速時風向が成す角度)

2 〜 3 日ごとにこの補正最大瞬間風速の最大値を求め,

ネットへの最大風荷重の指標とした.

試験 2 の場合は,円形曝気槽の全周にネットを設置し たことから上記のような風向による補正は行わず,面 ファスナーの分離が確認された場合には,その直近の観 察日と分離確認日の間に観測された10分ごとの最大瞬間 風速の最大値を分離発生風速とした.

( 7 )試験期間

試験 1 (面ファスナー選定試験)は,幅 10 cm の面 図 5 .ネットの全周設置およびネット分離検知システムの概要

ケーブル接続箇所 断線検知機能付漏

液検出器

漏液センサー

ステンレスワイヤーロープ

(ネットの下縁に沿わせる)

防風ネット

ネット係合部位

曝気槽

検出器-センサー接続 配線(3本)

防水ボックス

ネ ッ ト 配 線 セ ン サ 本 体

断 線 検 知 用 配 線 設 置 状 況 配 線 の 接 続 箇 所 断 線 検 知 器

(11)

田中:防風ネットによる曝気槽からの微生物飛散抑制 5

ファスナーについては2013年 4 月 4 日〜 9 月11日,幅 5 cm の面ファスナーについては2013年 9 月12日〜2014 年 2 月17日に試験を実施した.

試験 2 (全周設置試験)は,2014年 6 月 4 日から2014 年11月17日まで実施した.

結  果

( 1 )試験 1 :面ファスナー選定試験

10 cm幅面ファスナーの試験期間に補正最大瞬間風速

(図 6 上)は最大 9.2 m/s を示したが,面ファスナーの 係合には影響がみられなかった.一方,下辺の結束バン ド固定部位ではネットに裂け目が生じた.この結果か ら,10 cm幅では係合強度が強すぎると考えられた.

5 cm幅面ファスナーでは(図 6 下),試験期間中に補 正最大瞬間風速 8.3 m/sおよび 9.9 m/sの場合の 2 回に ついて分離が見られた(図 7 ).一方,ネットおよび支 柱の損傷は生じなかった.よって,5 cm幅面ファスナー を使用すれば,風速がおよそ 8 m/s 以上の強風時は分

離し,それ以下の場合は通常使用が可能と推定された.

ただし,試験後半には 8 m/s を超える補正最大瞬間風 速が 5 回観測されたにもかかわらず分離は生じなかっ た.強風時の降雨状況も風荷重に影響した可能性が考え られる.

( 2 ) 試験 2 :全周設置試験

図 8 に試験期間における最大瞬間風速とネット係合部 分離箇所数の関係を示した.最大瞬間風速が 4 m/s を 超えると 1 カ所分離するケースが出始め,7 m/sを超え ると分離箇所数は最大 5 カ所に増加した.ただし, 7 〜 10 m/s の最大瞬間風速でも分離が皆無の場合もあっ た.このばらつきの原因としては,強風の継続時間,お よび既述のように強風時の雨量も考えられる.同じ風速 レベルでも,その際の雨量が大きければ,付着雨水によ るネットの重量増加とメッシュの閉塞が同時に起こり,

風圧の影響が強くなったと推定される.

試験期間の約160日で分離は 9 回発生した.平均発生

図 6 .試験 1 (面ファスナー選定試験)期間中の最大瞬 間風速の変化

0 2 4 6 8 10

2013/4/3 2013/4/10 2013/4/17 2013/4/24 2013/5/8 2013/5/15 2013/5/22 2013/5/29 2013/6/5 2013/6/12 2013/6/19 2013/6/26 2013/7/3 2013/7/10 2013/7/19 2013/7/26 2013/8/2 2013/8/16 2013/8/23

m/s

10cm幅面ファスナー試験

0 2 4 6 8 10 12 14

2013/9/12 2013/9/19 2013/9/26 2013/10/3 2013/10/10 2013/10/17 2013/10/24 2013/10/31 2013/11/7 2013/11/14 2013/11/21 2013/11/28 2013/12/5 2013/12/12 2013/12/19 2013/12/26 2014/1/2 2014/1/9 2014/1/16 2014/1/23 2014/1/30 2014/2/6 2014/2/13

m/s

日付 分離

分離 5 cm幅面ファスナー試験

図 7 .強風による面ファスナーの分離状況

図 8 .試験 2 (全周設置試験)期間中の最大瞬間風速と ネット分離箇所数の関係

0 1 2 3 4 5 6

0 2 4 6 8 10

分離箇所数

最大瞬間風速(m/s)

(12)

頻度は約18日に 1 回になる.分離箇所数が 5 カ所の場合 でも再係合作業は 5 分程度で完了するので,月に 2 回 5 カ所またはそれ以下の修復を行う作業負担は軽微と思わ れる.

ネット分離検知システムについては,絶縁用被覆の無 いステンレスワイヤーロープを断線検出用導線に用いた が,断線検出は問題なく作動した.このシステムを用い れば安価な機材でネット分離の検知ができる.また,ワ イヤーロープの再結合は,結束バンドを用いるので,作 業は容易であり,保守管理負担は少ない.

考  察

今回試験に用いた面ファスナーはフック面とループ面 を対合させる仕様の製品であった.このため,ネットユ ニットへの面ファスナーの取付けおよびネットユニット の設置の際に対合に注意を払わないと係合不能箇所が生 じることもあった.この煩雑さを無くすためには,同一 面にフックとループを備えたファスナーを使用する選択 肢もある.この場合,対合を配慮する必要は無くなる.

ただし,係合力は通常品よりやや小さくなるのでテープ 巾を 5 cmより広げる必要は出てくると予想される.な お,防風ネットへの面ファスナーの取付けは,購入の際 にネットメーカーに依頼可能である.

ネット懸架に用いた直径 2 mm ステンレスワイヤー ロープは設置から約 1 年後に支柱への固定箇所での切断 が数カ所発生した.従って耐久性が不十分であったと考 えられ,実施の際は直径 3 mmまたはそれ以上の直径の ステンレスワイヤーロープにすべきである.

ネットの飛散抑制効果は,高さが増すほど確実になる と予想される.一方,ネットが高くなるほど大きな風荷 重に耐える支柱強度が必要になりコスト上昇につなが る.現実的には,ネットの設置や保守の際に 2 m 以上 では脚立の使用が不可欠になり,作業負担が大幅に増加 することから,2 mが適切なネット高と考えられる.

今回の試験においては直径 22 mmのFRP製ロッドお よび直径 25 mmのメッキ鉄パイプを支柱に用いたが,

どちらも面ファスナーを使用し始めた後は屈曲等の損傷 は生じなかった.メッキ鉄パイプの方がかなり廉価なこ とから,実用的にはメッキ鉄パイプが適当と思われる.

強度面で不安が有る場合は,工事足場用単管パイプ(外 径 48.6 mm,肉厚 1.8 mm)の利用が確実と推定され る.コンクリート床の場合,単管パイプ専用固定ベース 金具を利用すれば設置も容易である.

単管パイプの使用を想定して今回の約 60 mのネット設 置に要する費用を試算すると約23万円であった(表 1 ).

なお,設置作業は自前で行うことを想定し,工事費は入

表 1 .長さ 60 mのネット設置に要する費用試算

品 名 仕 様 単 価 所用数量 金額(円)

防風ネット

目合 1 mm,ラッセル織,ポリエチレン 製,幅 2 m,長さ 5 m,周囲に直径 6 mm ポリエチレン製ロープ縫込み,上縁に 1 m 間隔で吊金具固定.

6,900円/枚 15枚 103,500

面ファスナー

ポリエステル製,テープ巾 50 mm(有効巾 47 mm),引張りせん断強さ 8.5 N/cm2, はく離強さ 0.87 N/cm

フック面:534円/m ループ面:462円/m

フック面:30m

ループ面:30m 29,880

支柱 足場用単管パイプ,外径 48.6 mm,長さ 2 m 951円/本 45本 42,795

パイプ固定用ベース金具 足場用単管パイプ固定ベース 244円/個 45個 10,980

ネット設置用

ステンレスワイヤーロープ SUS304製,直径 3 mm, 7 × 7 158円/m 60m 9,480

ワイヤーロープ固定金具 単管パイプ用垂木止めクランプ 162円/個 45個 7,290

断線検出機能付漏液検出器 配線可能距離 400 m 27,500円/台 1 台 27,500

ネット分離検知用

ステンレスワイヤーロープ SUS304製,直径 1 mm, 7 × 7 2000円/1巻(100m) 1 巻 2,000

合  計  額 233,425

(13)

田中:防風ネットによる曝気槽からの微生物飛散抑制 7

れていない.1 m 当たりの単価にすると約4,000円であ る.この程度の額であれば,リスク削減効果が明確では ない状況でも農家が前向きな対応を考える余地はあると 思われる.

なお,多数の樹脂製ボールを曝気槽水面にカバーのよ うに浮かべて飛沫飛散を防ぐ手法も検討され,一定の効 果が報告1 )されている.この目的に利用可能な資材とし て,理化学用に市販されているポリプロピレン製中空 ボールがある.しかし,コストを試算すると,今回試験 を行った曝気槽に適用することを想定した場合,直径 1 cm のボールで57,148,000円,直径 5 cm のボールで 9,796,800円と高額になり,非現実的である.比較的安価 な練習用卓球ボール(直径 4 cm)を使用した場合でも,

1,789,800円となり,ネットの場合の約 8 倍のコストとな る.これらの試算より,ボールの使用はコスト面で実用 性に欠けると考えられる.また,表面曝気装置が設置さ れた曝気槽での使用は曝気の支障となり不可能である.

覆蓋の設置が構造上可能であれば,当然対策の選択肢 になるが,直径 20 m の円形槽を想定した公表価格で は, 荷 重 条 件 100 kg/m2 で 21,600,000〜24,970,000円2 ) とかなり高額になる.

簡易な覆蓋としてビニールハウスを設置することを想 定すると,風速 50 m/s以上又は耐雪荷重 50 kg/m2以上 の強度を有する鉄骨補強パイプハウスの標準価格が 1,000万円/10 aとされている4 )ことから,上記と同じ槽 へ設置するとした場合の費用は3,140,000円となり,本格 的覆蓋に比べれば低額ではあるものの,ネットの約14倍 の金額となる.

曝気槽上部に,梁材を水平に設置し,その上に防風 ネットを水平に取り付けて水面をカバーする手法も考え 得るが,この場合の所要ネット面積は,フェンス状の設 置の場合の約 3 倍になる.また,曝気槽水面から舞い上 がる飛沫の付着や,風で飛来する落葉・ゴミ等のネット 上への堆積の可能性もあり,フェンスに比較して管理負 担の増大が予想される.

以上のことから,各種の飛散抑制手法は考えられるも のの,コスト面や管理面で最も取り組みが容易なのは ネットをフェンス状に設置する手法と考えられる.

今回試用した漏液検出器は,ネット下辺に敷設したス テンレスワイヤーロープを本体とセンサを結ぶ 3 本の信 号線のうちの 1 本にすることで,ネット係合部の分離検 知に利用できた.このシステムで断線警報信号が発出さ れた場合,その信号により曝気槽ブロアーを自動停止す る回路を組み込んでおくことで,強風時の飛散リスクを 回避できると考えられる.

農薬散布時のドリフトを防ぐ手法として,日本植物防

疫協会はネット設置の他に,適当な高さの生け垣の造成 も効果がある3 )としている.曝気槽からの飛散抑制にも 生け垣は同様な効果を発揮する可能性が推測される.曝 気槽周囲に植栽可能な用地があれば,低コストで強風対 策の不要な飛散抑制手法の選択肢になる.最適樹種およ び樹形に関する定量的な検討が今後望まれる.

引 用 文 献

1 ) Hung,H.F., Kuo,Y.M., Chien,C.C. et al. (2010) Use of floating balls for reducing bacterial aerosol emissions from aeration in wastewater treatment processes. Journal of Hazardous Materials, 175 (1-3) : 866-871.

2 ) (一財)経済調査会.公表価格一覧─覆蓋工─.

http://kohyo.kensetsu-plaza.com/search/price/

H070200060030/

3 ) 日本植物防疫協会(2005)地上防除ドリフト対策マ ニュアル.

4 ) 農林水産省生産局農産部技術普及課生産資材対策室

(2011)品目別生産コスト縮減戦略〜生産現場の取 組のヒント〜(トマト)http://www.maff.go.jp/j/

seisan/sien/sizai/s_cost/pdf/data5-2.pdf

5 ) 田中康男・山下恭広・荻野暁史(2012)畜舎汚水処 理施設曝気槽からの飛沫および微生物の飛散に対す る防風ネットの抑制効果.家畜衛生学雑誌,38

(3):65-72.

謝  辞

風速測定およびネットの状況記録を担当された畜産草 地研究所男山啓子氏に謝意を表します.また各種試験の 実施に協力いただいた畜産草地研究所の代永道裕氏,鈴 木伸明氏,熊谷正男氏,坂本由成氏に謝意を表します.

要  旨

畜舎汚水浄化用曝気槽からの微生物飛散を抑制するた め,ラッセル織ポリエチレン製防風ネット(高さ 2 m,

目合 1 mm)が効果的なことが報告されているが,強風 により損傷する問題点があった.このため,損傷を防ぐ 簡易な設置法として,ネットを長さ 5 m のユニットと し,複数のユニットを面ファスナーで係合して所要長さ とし,曝気槽周囲にフェンス状に設置する手法を考案し た. 2 ユニットを係合した予備試験の結果,幅 10 cm の面ファスナーは係合力が強すぎ,強風時でも分離しな いためネットに損傷が生じた.一方,5 cm 幅面ファス ナーでは一定以上の強風時には分離し,ネットが受ける 風圧が軽減されるため損傷を防ぐことができた.この結

(14)

果を受け,5 cm 幅の面ファスナーで15ユニットのネッ トを係合した長さ約 60 mのネットを円形曝気槽の全周 に設置したところ,強風時には係合部が分離することで 風圧が軽減され損傷を防ぎながら使用することができ た.また,ネットの係合部の分離検知は,断線検出機能 付漏液検出器の断線検出機能を利用することで簡易に行

うことができた.この断線検出信号により曝気槽の曝気 を止めることも有効と推測された.

キーワード:畜舎汚水処理,曝気槽,微生物飛散,防 疫,防風ネット

(15)

9

牛の疾病の中で乳房炎は最も発生数が多く,乳量の低 下,治療費,また感染牛の廃用等農家の経営・経済的負 担も大きく,防除方法や治療法の研究が多くされてき た.牛の乳房炎の原因菌の一つである Pseudomonas aeruginosa(緑膿菌)は,北海道における河合らの臨床 型乳房炎の発生状況の調査4 )では,0.9%とそれほど高 い発生割合を占めていないものの,本菌で環境が汚染さ れた牛群では潜在的に保菌されている事例が見受けら

れ,それが新たな臨床型乳房炎を誘発すると推察されて いる.P. aeruginosa は耐性を持つ薬剤が多く,選択さ れる投与薬剤が限られ,またディスク法による感受性試 験において効果のある薬剤も治療の際の効果は低い.そ のため,治癒率は低く2 ),多くの乳房が盲乳となる.耐 性の獲得には菌そのものの耐性のみではなく,biofilm の関与が疑われている7 )

今回,牛乳房炎由来臨床株 P. aeruginosa における biofilm 形成量の比較,biofilm 減少が確認されているマ クロライド系抗菌薬 5, 10)による牛由来株での減少効果の 検定,多剤耐性緑膿菌の状況観察のため感受性試験を 行ったのでその結果を報告する.

牛乳房炎由来緑膿菌が産生するバイオフィルム形成に対する マクロライド系抗菌薬の減少効果

渡邉公平1 )・木内明男2 )

The reduction effect of macrolide antibiotics over the biofilm formation that the bovine mastitis origin Pseudomonas aeruginosa produces

Kohei Watanabe 1) and Akio Kiuchi 2)

1)Veterinary Clinic, Tonanbu Agricultural Mutual Aid Association.

19-20-7, Tuchibuchi, Tuchibuchi, Tono, Iwate, 028-0555, Japan

2)Kiuchi Animal Clinic. 3-25-1, Numame, Isehara, Kanagawa, 259-1126, Japan)

(2014. 9. 8 受付/2015. 3. 31 受理)

Summary

Pseudomonas aeruginosa is one of the causative agents of intractable mastitis.

Participation of biofilm was suspected as an intractable cause and research on evaluation and drug resistance of the amount reduction effect of biofilm by the macrolide antibiotics erythromycin (EM) was done.

The clinical strain in which most many amounts of biofilm formation were shown was used for the amount reduction effect experiment of biofilm.

Using EM, reduction of the significant amount of biofilm was observed by PAO1 strain (5, 10, and 50µg/ml) and a clinical strain (50µg/ml).

The result, which suggests the possibility in the Pseudomonas aeruginosa curative medicine of gentamicin (GM), could be obtained.

Key words: Mastitis, Pseudomonas aeruginosa, macrolide, Quorum sensing

家畜衛生学雑誌 41, 9 〜11(2015)

短 報

1 ) NOSAI東南部 家畜診療センター

〒028-0555 岩手県遠野市土淵町土淵19-20-7

2 ) きうち動物病院

〒259-1126 神奈川県伊勢原市沼目3-25-1

(16)

供試菌株は乳房炎由来 P. aeruginosa 臨床株10菌株と 標準株として P. aeruginosa PAO1株の11菌株を使用し た.

biofilm の形成・染色および計測は O’toole ら9 )の方法 を参考に行った.−80℃凍結された菌株をBHI寒天培地

(Oxiod)で,35℃24時間培養後, 1 白金耳量 1 µl を LB 培地(日本製薬) 1 ml に接種し,35℃24時間培養した ものを前培養液とした.96穴プレートに100倍希釈した 菌液を接種し,接種したプレートを biofilm モデルとし た.蒸留水で洗浄後,クリスタルバイオレット溶液 120µl添加し,15分静置し,その後十分に洗浄・乾燥後,

95%エタノールを加えクリスタルバイオレットを溶解 後,吸光度(OD =595nm)を計測した.それぞれの菌 株につき 5 ウェル使用し,その平均値を biofilm 量とし た.biofilm モデルに 1 , 5 ,10,50,100µg/ml となる よう希釈した抗菌剤液を添加し(control には溶媒を添 加),35℃48時間好気培養後,染色および計測を行っ た.データの統計処理は,スチューデントt検定を用い た.

Biofilm 量は P. aeruginosa PAO1株との比較を行い,

10菌 株 中 4 菌 株 で 多 く(p<0.05), 2 菌 株 で 少 な く

(p<0.01)他の 4 株で同等の結果を得た.OD値でPAO1 株 の 3 倍 の biofilm 形 成 量 が 認 め ら れ た KH1848株 と PAO1株でのマクロライドによる形成量減少効果の測定 を 行 っ た と こ ろ, エ リ ス ロ マ イ シ ン(EM) で は

PAO1: 5 −50µg/ml,KH1848:50µg/ml,クラリスロマ イシン(CAM)ではPAO1: 1 −100µg/ml,KH1848:

1 ,10−100µg/ml,アジスロマイシン(AZM)では PAO1: 1 −10,100µg/ml,KH1848: 1 −100µg/ml に 抗菌薬無添加対照と比べそれぞれ有意な biofilm の減少 が見られた(表 1 ).

biofilm の形成には QS 機構(Quorum sensing)の las 系およびrhl系の 2 つが関与しているとされている 1, 3). 今回,las,rhl両遺伝子の保有についてPCR法を用いて 検索したところ,11菌株のうち lasI,lasR 欠損株が 1 株,lasR欠損株が 1 株検出されたが,これらの株に有意 な biofilm の減少は確認できなかった.治療薬剤として マクロライド系抗菌薬による P. aeruginosa の抗菌効果 は期待できないが,エリスロマイシン少量投与により,

難治性であったびまん性汎細気管支炎(DPB)の予後が 改善するという結果が報告されている6 ).EM は臨床株 に お い て KH1848株 で50µg/ml,AZM・CAM で は 1 µg/ml の低い濃度から biofilm 量の減少が見られた.

これらの結果から,EM は in vitro での biofilm 減少効果 の有効性が示された.

現在乳房内注入薬に含有されている薬剤および緑膿菌 に対して効果があるとされている抗菌剤カナマイシン

(KM),ゲンタマイシン(GM),ストレプトマイシン

(SM),オキシテトラサイクリン(OTC),アンピシリ ン(AMPC),エンロフロキサシリン(ERFX)および

表 1 .マクロライド系抗菌薬添加後のバイオフィルム減少効果

EM CAM AZM

µg/ml µg/ml µg/ml

PAO1

0 1.94±0.34 a 0 1.32±0.26 0 2.43±0.46

1 1.90±0.75 1 0.81±0.09 1 1.24±0.14

5 1.48±0.17** 5 0.81±0.13 5 1.36±0.18 10 1.40±0.14** 10 0.56±0.04 10 1.51±0.21 50 1.03±0.13 50 0.50±0.08 50 1.60±0.84 100 1.69±0.35 100 0.77±0.12 100 1.45±0.65**

HK1848  

0 2.37±0.63 0 1.67±0.19 0 3.99±0.04

1 2.20±0.59 1 1.24±0.17 1 0.68±0.21

5 2.06±0.41 5 1.12±0.42 5 0.76±0.16

10 2.55±0.86 10 0.76±0.19 10 1.18±0.16 50 1.31±0.24** 50 0.54±0.08 50 0.56±0.11 100 1.51±0.57 100 0.62±0.18 100 0.77±0.21 a:OD=595nm  P<0.01,**P<0.05

(17)

渡邉ら:バイオフィルム形成とマクロライド系抗菌薬 11

内和世監訳(2012)牛の乳房炎コントロール 酪農 家と獣医師のための実践ガイド 増補改訂版.緑書 房.東京.

3 ) Davies, D,G., Parsek, M,R., Pearson, J,P., et al. (1998) The involvement of cell-to-cell signals in the development of a bacterial biofilm. Science. 280, 295-298.

4 ) 河合一洋・竹田津史央・大林哲ら(2012)北海道に おける臨床型乳房炎の発生動向と防除への提言.家 畜衛生誌.38,54-55.

5 ) 小林宏行(1995)宿題報告 “びまん性汎細気管支炎 に対するマクロライドの作用機序”.日化療会誌.

43,96-101.

6 ) 工藤翔二・植竹健司・萩原弘一ら(1987)びまん性 汎細気管支炎に対するエリスロマイシン少量長期投 与の臨床効果に関する研究─ 4 年間の治療成績─.

日胸疾誌.25,632-642.

7 ) Melchior, M.B., Vaarkamp, H., Fink-Gremmels, J.

(2006) Biofilms: A role in recurrent mastitis infection. Vet. J. 171, 398-407.

8 ) Ohnishi, M., Sawada, T., Hirose, K., et al. (2011) Antimicrobial susceptibilities and bacteriological characteristics of bovine Pseudomonas aeruginosa and Serratia marcescens isolates from mastitis. Vet.

Microbiol. 154, 202-207.

9 ) O’toole G,A., Pratt L,A., Watnick P,I., et al. (1999) Genetic approaches to study of biofilms. Methods Enzymol. 310, 91-109.

10) Yasuda, H.,Ajiki, Y.,Koga, T., et al. (1994) Interaction between clarithromycin and biofilms formed by Staphylococcus epidermidis. Antimicrob Agents Chemother. 38, 138-141.

多剤耐性緑膿菌の探索のためにイミペネム(IPM)を用 いて感受性試験を実施したところ,GMとIPMに対して は全ての菌株において感性を示した.

多 剤 耐 性 緑 膿 菌(multidrug-resistant Pseudomonas aeruginosa:MDRP)は,現在日本で使用されている抗 菌薬全てが単独投与では効果は期待できない.以前の報 告8 )同様,MBL 産生株・MDRP は今回も検出されな かった.しかし,乳房炎治療薬として使用されている SM や KM,OTC やβ- ラクタム系の AMPC に対して耐 性を示す菌株が多く,使用頻度の高い薬剤における耐性 の成立が示唆された.緑膿菌による乳房炎と判断された 場合,今回の結果から現在使用されている注入薬による 抗菌薬投与では効果が期待できず,現在のところ盲乳の 選択が最も望ましいと考えられる.また,現在第二選択 薬として使用されているフルオロキノロン系抗菌薬 ERFXでも感受性が中間を示す菌株が 6 菌株確認され,

使用継続によりERFXの耐性菌の出現も懸念される.

以上の成績から,緑膿菌による牛乳房炎においても DPB 同様の効果の可能性が in vitro で示唆された.GM およびマクロライド系抗菌薬を共に含有した注入剤等 P. aeruginosa のみに特化した biofilm 対策も考えた治療 薬の開発が望まれる.

臨床型乳房炎由来緑膿菌株を分与いただいた麻布大学 衛生学第一研究室河合一洋氏に深謝いたします.

引 用 文 献

1 ) Bjarnsholt, T., Jensen, P,O., Burmolle, M., et al.

(2005) Pseudomonas aeruginosa tolerance to tobramycin, hydrogen peroxide and polymorph nuclear leukocytes is quorum-sensing dependent.

Microbiology. 151, 373-383.

2 ) Blowey, R., Edmondso, P. 浜名克己・河合一洋・竹

(18)
(19)

13

会 員 へ の お し ら せ

①第82回大会について

 開催場所を,昨年まで実施してきた麻布大学から東京農工大学に変え,定期大会を開催いたします.演題のエント リーよろしくお願いいたします.

Ⅰ 日時及び場所

  日時:平成27年 7 月11日(土)

     総 会 13:00〜 

     発表会 13:30〜

  場所:東京農工大学第一講義棟      総 会 21教室

     発表会 25教室

     東京都府中市幸町 3 − 5 − 8

Ⅱ 発表申し込み

  エントリー:演題名,発表者,所属          6 月 5 日(金)まで   発表要旨 :1,000〜1,300文字程度          6 月19日(金)まで   [email protected]まで

Ⅲ 懇親会

  大会終了後に大学内にある武蔵野荘でビアパー ティー(会費1,500円程度)を企画しております.

ビアパーティー

理事会、大会

東京農工大学

JR中央線 …… 「国分寺駅」下車,南口 2 番乗場から「府中駅行 バス(明星学苑経由) 」約10分「晴見町」バス停 下車

京王線 ……… 「府中駅」下車,北口バスターミナル 2 番乗場から

「国分寺駅南口行バス(明星学苑経由)」約 7 分

「晴見町」バス停下車 JR武蔵野線 … 「北府中駅」下車,徒歩約12分

(20)

②家畜衛生フォーラム2015について

 今年も「家畜衛生フォーラム2015」を企画進行中です.日時と場所は決定しております.詳細は決まり次第,HP や雑誌でお伝えいたします.

  日時:平成27年12月18日(金)午後〜

  場所:Meiji Seikaファルマ(株)講堂      東京都中央区京橋 2 − 4 −16      (東京メトロ銀座線・京橋駅徒歩 1 分       JR東京駅・八重洲口徒歩10分)

フォーラム東京国際

八重洲南口

みずほ証券

三井住友銀行 パシフィックセンチュリー プレイス

パイロット みずほ銀行

フィルムセンター

ブックセンター八重洲 八重洲通り

鍛冶橋通り

昭和通り 中央通り 常陽銀行

福岡銀行

3番出口

A5出口

京橋K-1ビル

Meiji Seika ファルマ株式会社

山形銀行 ローソン

しんきん信託銀行

秋田銀行

JR 東京駅

東京メトロ銀座線 京橋駅

都営浅草線 宝町駅

(21)

15

「家畜衛生学雑誌」投稿規程 1 .本誌には原則として,家畜衛生に関する総説,原著

論文,短報を掲載する.なお,原稿は編集委員会事 務局へ電子メール添付(PDF ファイル)で提出す る.印刷原稿 3 部(うち 2 部は鮮明なコピーでもよ い)の書留郵便あるいはレターパックによる提出も 可とする.

2 .投稿論文は他誌に未発表であること.また,筆頭著 者および連絡著者(コレスポンディングオーサー)

は本学会会員に限るが,共著者は非会員でも差支え ない.共著者が非会員の場合は 1 名につき,3,000円 の投稿手数料を徴収する.

3 .掲載論文は総説,原著論文,短報とし,編集委員会 が掲載の採否を決定する.

4 .投稿論文は和文または英文とし,次の指示(記述順 序など)に従うこと.

1 ) 論文原稿は別に定める注意に従って作成するこ と.用紙サイズはA 4 とし,和文の場合は30字 で25行程度,英文の場合はダブルスペース(70 字で25行程度)とする.

2 ) 和文の場合も句読点は,「 ,」,「 .」を用いる こと.

3 ) 論文原稿は第 1 ページに表題,著者名,所属機 関名およびその所在地を和文と英文で記載する とともに,連絡著者とその電子メールアドレス を記載する.また,和文の場合は20字,英文の 場合は40字以内の略表題(running head)を記 載する.

4 ) 原著論文の構成は原則として,Summary(本 文が和文の場合も英語),序文(Introduction),

材料および方法(Materials and Methods),結 果(Results), 考 察(Discussion), 引 用 文 献

(References),要旨(本文が和文であっても英 文であっても,和文の要旨)とする.ただし,

謝辞は,別項目を設けず,本文の最後に 1 行の 空白をとった後に記載する.

5 ) 英文 Summary は250語以内,和文要旨は600字 以内とし,それぞれの最後の行に 5 つ以内の Key words(キーワード)をつける.

6 ) 英語論文および和文論文の英文 Summary は,

投稿前にしかるべき校閲を受けること.

7 ) 原著論文で刷り上り 6 頁(30文字 ×25行=750 文字で,図表を含めて12枚程度)までは,印刷 費を本学会で負担する.ただし,超過ページに ついては,その費用を著者の負担とする.な

お,総説についてはこの限りではない.また,

カラーや特殊な用紙での印刷は,その費用を著 者の負担とする.

8 ) 使用する動植物・微生物などの学名はイタリッ ク体で表記する.

9 ) 度量衡の単位,略記は SI 単位系を基本とし,

以下の例に従う.

[例] m,cm,mm,µm,nm,kg,g,mg,µg,ng,

L,mL,µL,nL M,mM,µM,%,cm2,m3, hr,min,sec,OC,pH,Pa(血圧はmmHg,

生体内圧力はTorr)など.

10) 表および図(写真を含む)は用紙 1 枚に 1 つと し,個々に番号と表題を記入し,投稿原稿の最 後に添付する.

11) 引用文献は下記の例にならって,アルファベッ ト順にならべ,本文中では1 ), 3 − 6 )のように上 付き(superscript)で記入する.ただし,著者 名 は 3 名 ま で と し, 4 人 目 以 降 は 省 略 し,

「ら」,「et al」で示す.

[例]

雑誌

1 ) 内田孝治・藤井武・高山公一ら(1991)ブロ イラーにおける実験的大腸菌症に対するラノ フロキサシンの治療効果および用量設定試 験.家畜衛生研究会報.33,19-24.

2 ) Oshida, T., Fukuyasu, T., Kohzaki, K., et al.

(1993) A new treatment system for animal waste water using microorganism, soil and vagetation. Asian-Australasian Journal of Animal Sciences. 6, 205-209.

電子ジャーナル

3 ) Wilson, D.J., Rood, K.A., Bunnel, J., et al. (2014) Johne’s disease, mycoplasma and BVD in Utah-Bulk tank milk testing and comparison to previous regional prevalence and individual herd results over time. Journal of Veterinary Science and Technology. 5 :182.

doi: 10.4172/2157-7579.1000182.

単行書

4 ) 伊予部志津子(1980)薬剤耐性因子(R)の 検出法,薬剤感受性測定法.22-48頁.三橋 進編,講談社,東京.

(22)

論文原稿を作成する上での注意 1 ) 執筆にあたり,投稿規定をもう一度,熟読するこ

と.

2 ) 各行の行末での強制改行をしないこと.

3 ) 投稿論文が和文,英文のいずれの場合も数字,欧文 は全て 1 バイト文字(いわゆる半角)で入力するこ と.ただしかっこ( )は 2 バイト文字(いわゆる 全角)とする.「µ」(マイクロ)は半角立体で入力 すること.

4 ) 投稿論文原稿は PDF ファイルとして事務局まで電 子メールで提出すること.その際には必ずパスワー ドロックし,パスワードは別メールで事務局まで連 絡すること.特段の理由がある場合は,印刷原稿 3 部(うち 2 部は鮮明なコピーでも可)を事務局まで 書留郵便あるいはレターパックで送付すること.

5 ) 写真は印刷に耐えうる鮮明なものを使用すること.

6 ) 図は,Microsoft PowerPoint,Excel,Adobe Photo shop,Illustrator等のソフトウェアで作成するのが 望ましい.

7 ) 論文受理後の最終原稿は,Microsoft Word(あるい は Microsoft Word 互換ソフトウェア)ファイルと して提出する.ただし,Microsoft Word 互換ソフ トウェアを使用した場合は,Microsoft Word で正 しく表示されることを確認すること.グラフィック ソフトウェアで作成した図データは,jpeg,tiff 等 の汎用フォーマットで提出する.

日本家畜衛生学会 編集委員会 5 ) McDonrd, P. (1976) Trends in silage making,

Microbiology in Agriculture, Fisheries and Food. pp109-121. Shinner, F.A and Carr, J.G.

eds. Acad. Press, London, NY.

12) 図はグラフィックソフトウェアで作成することが望 ましい.手書きで作成する場合は,そのまま製版で きるよう,白色紙または青色方眼紙にタイプやレタ リングなどにより作成する.

13) 投稿原稿が受理(掲載決定)されたならば,著者は すみやかに最終原稿の Microsoft Word ファイルを 電子メールで提出すること.図については,グラ フィックソフトウェアで作成したファイルも併せて 提出する.

5 . 短報は,その内容を成績および考察(Results and Discussion)としてまとめ,要旨(Summary)は 英文では200字以内の和文,和文では100語以内の英 文をつける.原稿の長さは刷り上りで, 2 頁以内と する,その他の規定については原著の場合に準じ

る.

6 . 総説の構成については特に規定を設けないが,引用 論文の記載法は原著論文の場合に準じることとす る.

7 . 別刷りは50部に限り無料とする.追加分についてそ の費用を著者の負担とする.

8 . 本誌の発行は原則として,年 4 回( 4 月, 7 月,10 月および 1 月)とする.

9 . 編集委員会事務局を下記に置く.

〒252−0132

 神奈川県相模原市緑区橋本台 3 − 7 −11   (一財)生物科学安全研究所内   日本家畜衛生学会編集委員会  Tel 042(762)2775

 Fax 042(762)7979  E-mail:[email protected] 附則

本規定は,2015年 1 月 1 日以降の投稿論文に適用する.

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