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TOBは新聞で公告されるため、買付者は支配株主であることは一般株主 に知り渡る。したがって、一般株主は容易にそのTOBの目的が支配株主の所有比

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率の引き上げであることを認識しうる。それゆえ、現在の経営陣がその支配株主の 支持により構成された者であれば、経営陣と支配株主との事前合意は、株式の買い 集めに対する支配株主の積極さを示す程度の意味をもつにすぎないであろう。

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図表4 上位株主によるターゲット企業の所有比率(TOB前)

ターゲット会社 筆頭株主

上位5者

上位10者 扶桑動熱工業 10.0% 37.7% n。a.

国際航業 24.3%〔56.4%〕 60.2% 73.1%

マルエツ 18.6箔 38.4偽 50.4%

忠実屋 34.8% 56.0% 69.2%

ニイボン・プロダクツ 54.3%〔60.2%〕 65.9% 69.2%

江本工業 35.4%〔59.1%〕 71.2% 77.8%

エム・エヌ・ヒ㌧セミコンダクダ 51.8鑑〔61.4%〕 66.5嵩 73.1%

櫻護護 19.1%〔35.5%〕 41.1% 56.3%

ジャパンシステム 26.% 〔45.7%〕 67.7% 75.5毘

プロルート丸光 33.9%〔76.9%〕 71.8% 80.3鑑

森下ルセル 33.6% 72.4% 88.1%

北陸製薬 12.3% 39.4% 53.4%

日本工一エム 66.5% 69.8% 72.5晃

宝林 44.2器〔47.4%〕 58.5% 71.4%

ローヤル電機 14.9%〔46.8器〕 48.9% 63.3嵩

帝都ゴム 26.9% 80.0% 89.9%

日華油脂 50.0% 72.2晃 74.7%

アート・ライフ 50.9% 64.9% 71.8%

日本織物加工 20.2%〔48.4%〕 62.4器 76.1%

矢作製鉄 51.0% 64.3% 68.3%

オリイ 14.驕〔33.鴨〕 38.7% 50.4%

リース電子 22.暁 〔41.5%〕 45.2% 57.6毘

ユーニスケー 23.6%〔42.9%〕 50.8% 61.8%

大日本土木 35.4% 48.8% 58.8%

ユニダックス 5.7覧 18.0% 24.0%

ファーレン東京 66.7% 72.2% 75.7%

平均 32.6器〔43.0器〕 57.0毘 67.3%

中央値 30.3%〔44.3%〕 61.3% 71.4%

(最大値) (66.7%)〔76.9鑑〕 (80.(瑞) (89.9毘)

(最小値) (5.7%) (18.0%) (24.0晃)

過半数所有の会社数 6社 〔9社〕 17社 24社 過半数所有の会社比率 23.1%〔34.6%〕 65.4% 96.0%

(注)〔〕の数値は、筆頭株主のグループを含めた数。上位1(堵の平均は、扶桑動熱工業を  除いた25社の平均値。なお、松井〔1991,2頁〕によれば、扶桑動熱工業の上位11位ま  での所有比率は約7割とされる。

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(出所)各社有価証券報鵠扶桑蝋工業1モつ1 琳1会社艦未上場会社版』日本経済    新聞、1992年。

      図表5   ターゲット企業と買付者との事前含章曾有無 ターゲット会社 買付者と対象会社と

フ事前合意

扶桑動熱工業

国際航業

マルエツ ○

忠実屋 ○

ニイボン・プロダクツ

O

江本工業 ○

エム・エヌ・ヒ㌧セミコンダクター

櫻護護 ○

ジャパンシステム ○

プロルート丸光 ○

森下ルセル ○

北陸製薬 ○

日本ニーニム ○

宝林 ○

ローヤル電機 ○

帝都ゴム

日華油脂 ○

アート・ライフ ○

日本織物加工 ○

矢作製鉄

オリイ ○

リース電子 ○

ユーエスケー

大日本土木 ○

ユニダックス ○

ファーレン東京 ○

合計 25

比率 96.2%

(出所)各社公開買付開始公告より作成。

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事例、近畿日本鉄道による大日本土木への事例)では買付者がTOB前の時点です でに筆頭株主であった(巻末資料1を参照)。

 このように、ターゲット企業の所有が集中し、したがって、一人あるいは少数の 株主によって支配権を形成しうる株式を所有されている場合、買付者は事前の協議 による合意に基づいて、それらの少数の支配的な株主からの持株提供を確実にした うえでTOBを実施することができる。それゆえ、所有の集中している企業に対す るTOBの成功率はより成功しやすくなる。これは、過半数取得が目的ではないT OBにおいても同様である。すなわち、5(瑞未満取得を目的とする買付者も、持株

を提供してほしいと望む大口株主と事前にすることによって、目標とする株の提供 を確実にすることができる。このように、わが国のTOBの高い成功率は、ター ゲット企業の所有の集中と深く関係すると考えられる。したがって、この点にっい てより詳細な分析を行う必要がある。

第3簾  ターゲット企業の所有の変化とわが国のTOBの特徴

 本節では、前節で提示された基礎的考察にもとづき、わが国のTOBにおける ターゲット企業の所有上の変化に関する実証的な分析を行い、その特徴を明らかに

する。

1.「相対取引的」売買関係と所有の変化

(1)「相対取引的」売買関係

 ターゲット企業の所有上の変化を分析する場合に必要なことは、TOBの買付者 側と売却者側をそれぞれ考察することである。まず買付者側からみていくこととす

る。

 図表6の「買付者側」は、26件における買付者のTOB前後での株主順位を示し ている(なお、買付者が複数いる場合は、もっとも上位の順位)。TOB前での買 付者の順位は、未所有あるいは不明、2位〜3位、1位の3種類に分けられる。一 方、TOB後での買付者の順位は、一つを除いてすべて1位である。その一つ(高 橋洋二氏他9名1社による日本織物加工への事例)もその関係者がTOB前に筆頭株 主であるので、実質的には、TOB後での買付者はすべて筆頭株主であるといえ

る。ここで、TOB前から後への買付者の株主順位の変化をとれば、 未所有ある いは不明→筆頭株主 は15件、 2位〜3位→筆頭株主 は5件、 筆頭株主→筆 頭株主 は6件である。 筆頭株主→筆頭株主 以外ではすべてTOBによって買 付者は筆頭株主の地位を取得したことになり、これの件数は26件中20件(76.9%)

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である。これは、約77%の多くの買付者が筆頭株主の地位を獲得できるだけの買付 予定株数を設定したことを意味する。また、 筆頭株主→筆頭株主 での買付者

は、すでに筆頭株主であったので、TOBによってその地位をより強固にしたとい

える。

 以上の買付者側での分析から明らかなことは、買付者は、自らがTOBによって 筆頭株主になることを、あるいはその地位をより強固にすることを目的としてそれ

に見合うだけの買付株数を設定しているということである。

 次に、売却者側から考察しよう。まず、どんな株主から株式が提供されたのだろ うか。図表6の「売却者側」は、TOBの前後の決算期(あるいは半期)における ターゲット企業の有価証券報告書の大株主欄から持株を減少させた株主の所有株数 および株主順位を示したものである。ここでの(b)欄は、買付者がTOBで実際に 買い付けた買付株数に対する上位10位株主の売却総株数(減少した持株数)5の比 率である。したがって、この数値が10(瑞に近いほど買付株数と売却総株数とは近い ことになる。この比率の平均値は86.85%(中央値97.1鵬)6であるが、売却株数の 値が小さく計算されていることを前提とすると7、この数値は高いといえる。これ は、上位1〔粒の大株主による売却総株数が買付株数に近いことを示している。っま り、このことは、TOBによって買い集められた株式は、所有比率が非常に低く小 口の多数の零細株主からではなく、むしろそれぞれの所有比率は高く大口で少数の 大株主から提供されたということを示唆しているといえる。

 次に、図表6の(c)欄は、(b)欄に含まれている持株を売却した大株主のうち、そ の売却株数が最大である「筆頭売却者」のグループ8の売却株数がTOBの買付株 数に占める比率である。この比率の平均値は75.92%(中央値90.81%)である。した がって、各TOBの買付株数のうち約7錫にあたる株式を、特定の一株主またはそ のグループが売却したことになる。

 以上の結果から、次のような傾向があることが分かる。すなわち、まず、買い集

5  ただし、厳密には必ずしもこの減少株数が、各株主が実際にTOBに応じ

て売却した株数を表しているとは限らない。

6  扶桑動熱工業にっいては、他の25事例とは異なり上位10位株主の数値が入 手できなかったため、除外して計算した。

フ   上位10位株主の売却株数は、各株主のTOB前後の決算期(あるいはTO Bに近い半期)での減少株数であるが、TOB前に10位以内であった株主で、 TO B後には11位以下になった株主の数値は明確には分からないことが多い。この場 合、図表6(そのもとになっている巻末資料1)では、そのような株主の売却株数

はrTOB前の株数一TOB後の第10位の株主の株数」として計算した。これは、

そのような株主が明らかに売却したと分かる最低限の数値である。したがって、お そらく実際の売却株数はこれより多く、実際のその比率もより10磯に近い数値にな ると考えられる。

8   ここでの「グループ」の定義にっいては注2を参照のこと。

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図表6 TOB前後の買付者の株主順位と売却者(大株主全体および 筆頭売却者)の売却株数の比率および株主順位

買付者側 売却者側

         

^ーゲット企業 買付者の株主順位

    (a)

M頭売却者の株主順位

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