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BL説の詳細な説明にっいては、本文(Bagnoli and Lipman〔1988,

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第2章 GH説とただ乗り問題

第2節 GH説とただ乗り問題

21   BL説の詳細な説明にっいては、本文(Bagnoli and Lipman〔1988,

pp.93−95〕)を参照。

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がえる期待価値はTOBによる利益の期待値である。買収に付随するコストは無視

する。TOBが失敗した場合の株式の価値はPoのままとし・株主はオファ価格b

≧Poのとき持株を提供しないものとする・

 このような設定の上で、まず買付者が一株当たりの買付価格(オファ価格)bを 提示する・これに対して・ターゲット企業の株主は持株のうち・0からhiまでの 整数株を選んで提供する22。このとき、BL説では株主が純粋戦略をとるとすると、

株主全体による売却株数はKに等しくなり、かっどの株主も持株をいくらかでも提 供するという均衡が存在することが提起される23。すなわち、この均衡においては、

誰か一人でも株主が提供する株数を少なくした場合、TOBは失敗しp1を得る機 会を失うので、どの株主も持株をすすんで提供する。ただし、ここでは提供される 合計株数がちょうどKであることが想定されている。このとき、全ての株主がTO Bの成否に影響力をもっていることになる。これによって、株主はただ乗りしない

ことになるとされる24。

b.株数分割説

 BL説の発想に沿い、さらにターゲット企業の株主の持株数と買収利益の分配の 関係に注目した説がHolmstrom and Nalebuff〔1992〕(以下、 H N説)である25。

HN説によれば、 GH説で示されたただ乗り問題の重要な点は、零細株主、すなわ ち典型的には株主が持株を1株しか持っていないと想定されていることである。1 株保有の株主にとっては、持株の提供は全株を売却するか持ち続けるかのオール・

オア・ナッシングの選択である。このような株主には売却のインセンティブは低 い。この場合、買付者に買収から生じる価値増加の利益は分配されない。なぜな ら、利益を分割できないからである。っまり、ただ乗り問題はこの利益の非分割性 によるというのである。

n  BL説の本文では、買付者の行動と株主の行動は2ステージのゲームとし

て説明されているeすなわち、買付者の戦略tが戦略群Tより選択され、オファ価 格は戦略要素の一っとされる。さらに、株主の戦略も純粋戦略(pure strategy)

と、持株の売却株数のセットについての累積確率分布の選択である混合戦略

(mixed strategy)で区分されている。しかし、本論はB L説の基本的な考え方を 述べることが目的であるので、簡略化と後に純粋戦略のみにふれるため、ここでこ れらを詳述しない。

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24@ BL説の視点に依拠し、それに初期取得を導入した分析として、 Liebler

〔1997〕がある。ただし、LieberはTOBが大株主にいる企業に対して提示される 場合を想定している。さらに、BL説に初期所有と買付者間の潜在競争を導入した 分析として、Ferguson〔1994〕がある。

25@ HN説の説明については、 Holmstrom and Nalebuff〔1992, PP.38−39〕を

参照。

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 これは次のように説明される。本来、持株の提供はTOBの成功確率を上昇さ せ、それゆえ、提供されない株式の価値をも上昇させる。っまり、持株を提供する ことと、提供しないことは完全に相反するものではなく、むしろ相乗効果をもっも のである。しかし、この相乗効果は1株保有の場合にはあらわれないeなぜなら、

1株を提供すれば持株はゼロだからである。このことから分かるように、株主の持 株数が大きくなるほど、その株主が持株を提供しようとするインセンティブは大き

くなる。

 これは、株主の持株数が大きくなり分割しやすくなるほど、買付者と株主は買収 による利益を分割することができるようになることを意味する。すなわち、全ての 株主はその持株の半分を買付者に提供すれば、買付者には50%の株式が集められて 買収が成功する。買収の成功にともなってターゲット企業の価値の増加が実現した 場合、買付者にはその5眺の持株を通じて価値増加により利益全体の5暁が分配さ れ、株主にも同様に、提供しなかった5砺の持株を通じて利益の5(務が分配される。

もちろん、買い付ける目標の所有比率を引き上げることもできる。たとえば、8幌 を目標の買付所有比率とした場合、各株主はその持株の80%を提供すれば、株主全 体としての提供株数の比率は8暁になり買収が成功する。これによって生じる価値 上昇の利益のうち、買付者は8(嬬を、株主は2(罵を得ることができる。こうすること

により、買付者とターゲット企業の株主の両者が利益を享受することができるとH N説では主張されるのである。これによれば、希薄化や初期所有をともなわなくて

も買付者に利益が生じることになる。

c.株主数限定説と株数分割説の共通性

 この両説の共通点は、GH説において前提とされていた、 TOBの成否に対する 株主の影響力がないという考え方を放棄したことにある。すなわち、GH説では、

高度に分散した零細化した株主が想定され、したがって、各株主は自らの持株提供 の意思決定はTOBの成否に何らの影響を及ぼさないと考えるとされていた。この 想定に基づいて、原子的な株主は自らの利益を最大化させようと、オファ価格より も高い買収後価値を得るためにTOBでも持株を提供せず持ち続けようとすること が、いわゆるただ乗り問題であった。

 これに対して、この両説においては、ターゲット企業の株主はみずからの売却意 思決定がTOBの成否に影響力を及ぼすと考える状態が想定されている。すなわ ち、まず株主数限定説のBL説では、株主全体での売却株数が一定となる状態で は、どの株主も成否に影響を及ぼすことが指摘されている。さらに株数分割説のH N説では、各株主がその持株のうち、買付者の目標買付比率と同じ比率の株数を提

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供したときに、株主と買付者の両者に利益が分配されるような買収が成立するとさ れており、これは各株主の成否への影響力を前提としている。この意味で、この両 説は「中枢株主(pivotal shareholders)」仮説ともいいうる。

 ただし、両説では直接的に強調される株主の姿勢は異なる。まずBL説について は、株主間の協調が暗黙裡に想定されている。すなわち、BL説では、まず株主全 体から提供される株式数が買付者の目標株数に正確に等しくなることが前提とされ ている。さらに、通常ターゲット企業の株主が複数であり、BL説でもそのように 設定されている。株主が複数の場合、この前提のとおりに株主全体の提供株数が目 標株数に一致するためには、明らかに株主間での協調のうえでそれぞれの提供株数 が決定される必要がある。したがって、BL説の現実的な意味は、株主間の協調が ただ乗り問題を解消することを提起していることと考えられる。

 っぎにHN説では、 GH説で想定されていた株主の利益への積極姿勢が否定され ている。GH説における株主は「より」多くの利益を求め、買付者への利益さえも 侵食する存在であった。これに対し、HN説における株主は、買付者への利益の分 配を積極的に認め、自らそれに貢献するために、持株を提供する。このように、H N説で想定される株主は、自らの最大利益を求めようとするのではなく、買収の成 功を優先しようとする存在である。

 しかし、HN説のこのような株主の行動が利益追求に沿うものとして成立するに は、やはり株主間の協調が必要となろう。すなわち、HN説においても買付者の目 標買付比率と同様の比率をターゲット企業の各株主がその持株から提供しなけれ ば、買収は成功しない。もともと、ただ乗りをもくろんで全く提供しない場合に得 られる価値の方が、成功させるために一定の比率を提供することによって得られる 価値よりも高い。したがって、利益を追求する株主であれば、一定比率の持株の提 供を選択するには、買収の成功に確実性を求めると考えられる。この確実性のため には結局、株主間の協調が必要となると考えられるのである。

 以上のように、両説の主張が有効に機能するには、いずれも株主間の協調が必要 である。ただし、所有の分散した企業においてこれが実現するには現実的に相当の 困難がともなう。Hirshleifer〔1995, PP.856−857〕においても、異なる文脈で、

中枢株主仮説の問題点としてこの点が指摘されている26。すなわち、買収を成功さ せようとする戦略的な株主は、他の株主の行動が未知であれば結局のところ、どれ だけ持株を提供すれば買収が成功するか分からないことが問題視されているのであ る。このように、中枢株主説は現実的には実現が困難である株主間の協調を前提と

26

る。

この点に関連した実験を報告した文献として、Kale and Noe〔1997〕があ

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