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図表3  ERISA法の制定にともなう企業年金基金の対応(投資ガイドライン作     成にっいて)

質問 プロフィット・

Vェアリング型

確定拠出

図表4  ERISA法の制定にともなう企業年金基金の対応(各種証券の取得につい

     て)

企業年金基金 外部の運

p機関

取得する証券の種類 プロフィット・

Vェアワング型

確定拠出

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確定給付

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公開市場のある普通株の新規発行

完全に禁止 12.5% 4.2% 7.6毘 4.8%

ハ㌧セント・ガイドラ靭設置 5.6男 20.8% 10.7毘 12.1男

公開市場のない普通株の新規発行

完全に禁止 41.6% 45.8% 31.2毘 51.9%

ハ㌧セント・ガイドラ心設置 1.1% 8.3% 8.6男 2.4%

エネルギー産業に関連のあるベン

̀ャー・キヤピタル

完全に禁止 39.8% 33.3毘 27.4% 46.3晃

ハ㌧セント・ガイドラ初設置 1.1% 8.3% 8.1鑑 6.3%

エネルギー産業に関連のないベン

̀ャー・キャピタル

完全に禁止 39.8% 33.3% 27.4% 41.3%

ハ㌧セント・ガイドラ心設置 1.1鑑 8.3盟 8.1% 7.5%

転換社債

完全に禁止 5.7諾 0.0箔 4.2% 0.0%

ハ㌧セント・ガイドライン設置 12.5% 17.4% 14.3箔 9.5%

優先株式

完全に禁止 4.6% 4.2% 4.2% 1.2%

ハ㌧セント・ガイドラ心設置 10.3% 20.8% 14.3% 10.7晃

(注)数値は、「ERISA法の結果、いずれかの資産の取得に関して政策をもうけましたか」に   対する回答率。企業年金基金にっいては、図表3に同じ。外部の運用機関にっいては、

  年金資産の運用を積極的に行っている最大規模の銀行、保険会社、投資顧問会社のそれ   ぞれ50社に対して、1978年6月および数週間後(回答を得られなかった機関にもう一度   に送付された)に郵送されたアンケートでの同じ質問の結果。返答数100のうち、87が   有効回答。内訳は、銀行42、投資顧問業29、保険会社16。

(出所)C㎜ins, Perciva1, Westerfield and Ramage〔1980〕p.4M, table 5より作成。

部の運用マネージャーが公開市場のない株式の取得を避けようとしていることが分 かる。さらに、(c)の「エネルギー産業に関連のあるベンチャー・キャピタル」の 証券を完全に禁止した機関は、プロフィット・シェアリング型では39.8%、確定拠 出型では33.3%、確定給付型では27.4%、外部の運用機関では46.3%である。そして、

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(d)の「エネルギU産業に関連のないベンチャー・キャピタル」の証券を完全に禁 止した機関は、プロフィット・シェアリング型では39.8%、確定拠出型では33.3%、

確定給付型では27.4%、外部の運用機関では41.3%となっており、(c)の結果とほ とんど変わらない。これは、駅ISA法の制定によって年金基金および外部の運用マ ネージャーが、業種内容の差、すなわち、収益性やそのリスク見込みに関わらず、

ベンチャー・キャピタルの証券それ自体の取得を避けようとしていることを示して いる8。一方、より市場流動性のある(e)の転換社債、(f)の優先株式に対する基金 および外部の運用機関は、(a)のようにほとんど禁止してはいない。以上より、

ERISA法の制定の結果、企業年金基金およびそれを運用する外部の投資機関は取得 しようとする証券の流動性を配慮し、したがって、より流動性の高いものを選択し ようとしているといえる9。

2.機関投資家のポートフォリオ構成への配慮

機関投資家は、その巨額の資産を運用する際にリスクの軽減を図ろうとする。一 般的に、リスク低減のためにポートフォリオの分散を行う。ポートフォリオ理論に よれば、ポートフォリオ全体におけるリターンの変動のリスクは、その変動パ ターンの異なる証券を組み合わせることによって減少させることができる。した がって、機関投資家は保有する証券をそのように分散化させることによって、資産 全体のリスクの軽減を図ることができる。短期間の運用成績の向上と同時に、求め られるベンチマークを下回らないことを求められている機関投資家にとって、リス クの削減のために分散を利用することは有効である。

 さらに、その保有金額が最大の機関投資家である企業年金基金は、ERISA法に よって分散化を要請されている。すなわち、§404(a)(1)(c)において、年金基金の 受託者(およびその投資マネージャー)は、「そうしないことが明らかに慎重であ る状況以外では、大規模な損失のリスクを最小化するために、基金の投資を分散化 しなければならない」とされるlo。実際に、 ERISA法の制定によって、企業年金基金 は分散化により配慮するようになっている。すなわち、図表3の(c)から明らかな ように、ERISA法の制定に対応して文書化されたガイドラインを作成した年金基金 8  Worzala, Sirmans and Zietz〔2000, p164, exhibit 7〕のアンケート結果 によれば、年金基金は2(腫の証券のうちベンチャー・キャピタルの証券のリスクが 最も大きい(投資不適格社債やスモール・キャップ株式よりもリスクが大きい)と 考えている。

9  ただし、ERISAの解釈にっいては1979年に行われたため、このアンケート結 果が必ずしもその後の機関投資家の投資性を完全に反映しているとは限らない。事 実、1980年代に入って年金基金からのリミテッド・パートナーシップを介したベン チャー企業投資が解禁された。西澤〔1998,18〜19頁〕を参照。

1°  Longstreth〔1986, p.33〕を参照。

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の運用責任者のなかで、「分散の実現」を目的としているのは、プロフィット・

シエアリング型で25.7%、確定拠出型では49.2%、確定給付型では42.4%となってい

る。

 以上のように、機関投資家はその保有資産のリスク低減のために分散化を行おう とする。これは、具体的には、保有する資産をリターンの変動パターンの異なる証 券によって構成することを意味する。すなわち、機関投資家は、最大のリスク低減 効果を実現できるように、そのポートフォリオ全体の構成を最適化しようとすると

いえる。

第3節  機関投資家の流動性およびポートフォリオ構成に対する配慮と現金の選

    好

1.流動性およびポートフォリオ構成に対する配慮と支払い手段

 TOBを含むM&Aにおける特徴の一っは、買収者がその支払い手段として現金 と株式の2っの選択肢をもっていることである。したがって、ターゲット企業の株 主にとっては、オファ価格(プレミアム額)の規模だけでなく、その支払い手段も 売却判断の材料となりうる。

 M&Aの支払い手段に関する従来の研究では、買収企業のリターンの問題として 考察されることが多かった。そこでは、株式交換の買収は発表時において買収企業 の株価リターンに負の効果をもたらすことや、現金支払いの買収よりもリターンが 低いことを示す実証研究であったり(たとえば、Travlos and Wessels〔1987〕)、

あるいは、この実証結果にっいて、株式交換は過剰支払いの回避であるとか、ター ゲット企業の買収後価値を買付者が低く評価するシグナルである等の理論的説明を 提起するものであった(たとえば、Hansen〔1987〕)。また、 T O Bにっいては競 合する買付者が出現する可能性がある場合、買付者は競合者に先行しようとして現 金によるTOBを好むとの見解もある(Fishman〔1989〕)。これらは買付者側の 視点に立っものであり、ターゲット企業の株主の視点に立っものではない11。

 ここで、ターゲット企業の株主、特に機関投資家の立場に立ったとき、支払い手 段として株式よりも現金が選好されることが推測されうる。これは、前節でみた次

の2点にかかわる機関投資家固有の姿勢による。

(a)機関投資家の流動性への配慮の姿勢

 機関投資家は、その保有証券の流動性を配慮する姿勢をもっ。すなわち、同じ期 11  また、買収の支払い手段と機関所有比率の関係を分析したものもあるが、

これにっいても買収者の機関所有比率が対象となっている。Martin〔1996〕を参

照。

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待収益率をもっ証券であるならば、傾向としては、より流動性の高い証券の形態を 選択すると考えられる。現金と株式とを比較した場合、流動性の高い方は現金であ る。したがって、機関投資家はTOBの支払い手段として現金を選好する傾向があ

ると推:2則しうる。

(b)機関投資家のポートフォリオ構成への配慮の姿勢

機関投資家は、リスク低減のためにポートフォリオ全体の構成を配慮する姿勢を もっ。通常、ポートフォリオは株式や債券、社債といった証券の形態や、さらに、

業種や規模、安定性や成長性などによって分散化されている12。したがって、新た に証券を取得する場合、リスク低減のために全体の分散状態を最適化しようとし て、それまでの手持ちの証券・銘柄との重複を避けようとすると考えられる。また 逆に、何らかの理由である銘柄を放出した場合、そのすき間を生めようとすると考 えられる13。したがって、TOBに応じてある企業の株式を売却した場合、機関投 資家はそれがそれまでポートフォリオにおいて占めていたものと同様に位置づけら れる銘柄を選択して取得する必要が生じる。このとき、現金支払いの場合では、そ れに見合う株式を後に取得する際に、売却の対価として受け取った現金をあてるこ とができる。しかし、株式交換の場合、受け取った対価は買付会社の株式である。

したがって、それは必ずしもターゲット会社の株式がこれまでターゲット会社の機 関投資家のポートフォリオにおいて占めていたものと同様に位置づけられるとは限 らない。むしろこの場合、対価としての買収会社の株式は、それを受け取った機関 投資家にとってはポートフォリオの中で重複を発生させる可能性をもち、それまで の最適な分散の度合いを低下させる危険がある。それゆえ、(買収会社の)株式で 対価を受け取る場合、現金で受け取る場合よりもポートフォリオの分散状態が悪化 する可能性があり、したがって、それを再び最適化するために構成し直すには追加 的なコストが発生しうる。このように、ポートフオリオ調整の容易性において、機 関投資家は株式より現金を選好する傾向があると推測しうる。

2.現金による受取りの選好に関わる3つの仮説と限定

 以上の2っの点から、機関投資家はTOBの支払い(受取り)手段として株式よ りも現金を選好することが推測される。この推測は、次の3っの更なる推測につな

がる。

(1)機関所有比率が大きいほど株式支払いTOBは失敗しやすい。

(2)機関投資家は、対価として取得した株式を市場で売却しやすい。

(3)支払い(受取り)手段が現金か株式かを選択できる場合、機関投資家は現金 12  たとえば、Ellis〔1985, chp.8−9〕を参照。

13  (沁ffee〔1988, p.100〕を参照。

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