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  あり、投資戦略別内訳の比率は、各機関投資家の保有額合計に占める比率である。

(出所)Brancato〔1997〕pp,188, table 5−2.

っに分かれていることに気付く。これを単純に受け取れば、前章で指摘した機関投 資家の投資姿勢の類似性を否定する可能性をもちうる。したがって、この点は詳細

に検討する必要がある。

 ここで検討すべき点は、これらの機関投資家のタイプがどれだけ投資のための資 産を持っているかである。なぜなら、売買回転率だけでは、その機関投資家の影響 力は分からないからである。ただし、注意すべきことは、この資産はこれらの機関 投資家が実際に運用することができる資産でなければならない点である。前章でも ふれたように、年金基金ではその資産の多くが外部の保険会社や投資会社(ミュー チュアル・ファンドや投資マネージャー)に運用を委託されており、実際に年金基 金内部の運用者が投資する金額は限られている。売買回転率は、実際に投資を行う ファンド・マネージャーによる売買が反映されているため、形式上の保有金額では なく、実際に運用を行っている金額が注目されなければならない。

 図表8は、図表7と同じサンプルの機関投資家が実際に株式に投資したポート フオリオの金額を、投資戦略型別に示したものである。合計値である3兆1,563億 1,900万ドルlitk、全機関投資家の株式保有金額の約9(瑞にあたる。したがって、この 表の数値はアメリカにおける全機関投資家の株式ポートフォリオのほとんどすべて

を表しているといえる11。

 図表9は、図表8の金額を比率に直したものである。これは、それぞれのタイプ の機関投資家がそのポートフォリオを投資戦略型別にどのように配分しているか

(左端以外の8列)、そして、機関投資家の全投資額のうちそれぞれのタイプの投 資額がどれくらいの比率を占めているか(左端の1列)を示している。この図表9 からまず分かることは、図表7で売買回転率が低かった3っの機関投資家の実際に 投資する株式の金額は小さいということである。すなわち、売買回転率の最も小さ かった公的年金基金の投資金額は、機関投資家全体の投資額の7.4%である。次に回 転率の小さい企業年金基金の投資額はわずかに2.鴨、銀行は27.1%である。これら 3っの合計の投資額の比率は、37.2%である。これは、売買回転率の低いこの3っ のタイプの機関投資家による取引は、市場全体の取引のうち37.2%しか占めていな いことを意味している。換言すれば、売買回転率の高い3っのタイプの機関投資家

(マネー・マネージャー(回転率:59.2%)、保険会社(回転率:46.4%)、ミュー チュァル・ファンドのマネージャー(回転率:・42.3%))による取引が市場全体の 62.8%を占めていることになる。このことは、公的年金基金、企業年金基金、銀行 による20胎の低い売買回転率よりも、マネー・マネージャー一一、保険会社、ミュー チュァル・ファンドのマネージャーによる4幌以上の高い回転率の方が機関投資家

1

1 Brancato〔1997, p.184〕を参照。

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全体の売買回転率をより代表していることを意味している。図表7における全機関 投資家の売買回転率である42.6%は、6っのタイプの売買回転率を投資額(の比 率)で加重された値であり、このことを反映した結果であるといえる。したがっ て、売買回転数が2っのグループに分かれていることは、機関投資家全体の投資姿 勢が全く異なり、それゆえ投資決定の類似性はないというよりは、基本的には、

4幌という高い売買回転数を共通してもっているが、一部にはそうでない部分もみ られると考えるべきであろう。

 インデックス投資における売買回転数の低さにっいても、これと同様に考えられ る。すなわち、インデックス投資はしばしば機関投資家による投資の代表とみなさ れ、その売買回転率の低さがとりあげられてきた。たしかに、図表7のインデック ス型のみの平均売買回転率は11.4%であり、それ以外の8っの投資戦略型の数値よ

りかなり低いことがみてとれる。しかし、図表9によれば、インデックス型による 実際の投資金額の比率は全体の14.驕にすぎず、それほど注目されるべきではない

ことが分かる。

 次に、図表7から分かることは、長期志向とされる年金基金の売買回転率は、必 ずしもそのポートフォリオ全体において低いわけではないことである。すなわち、

企業年金基金においては、たしかにグロース型、インカム型、インデックス型の売 買回転率は1幌台と低いが、GARP型、バランス型では、それぞれ53.鴉、48.臨と機 関投資家全体の平均値より高いのである。同様に、公的年金基金においても、GARP 型、バリュー/インカム型、インデックス型では1(瑞であるが、クラシック・バ

リュー型では37.暁と比較的高く、さらに、グロース型では75.眺である。この数値 は、すべてのタイプの機関投資家の投資戦略型の中でもマネー・マネージャーの積 極グロース型(88.0%)についで2番目に高い数値である。このように、長期志向 で運用されるといわれる年金基金においてさえも、必ずしもそのポートフォリオの すべてにおいて売買回転率が低いわけではなく、中にはかなり頻繁に取り引きされ るものがあることが分かるのである。

 以上から明らかなように、機関投資家にはさまざまなタイプがあり、中にはその 売買回転数が2艦台と低いものもみられるが、それらは機関投資家全体においては

一一yZにすぎない。機関投資家全体の売買回転率は4(罵を超える数値である。これは、

〜年間にポートフォリオの株式の4眺を超える部分を入れ換えることを意味し、し たがって、頻繁な売買が行われていることを示している。さらに、Badrinath, Gay and Kale〔1989〕の実証分析によれば、機関所有比率と企業の株式売買回転率(発 行済株数に対する年間取引株数の比率)は正の相関を持っていることが報告されて

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いる。以上より、全体として機関投資家の売買回転率は高く、その短期主義志向を 端的に表しているということができる。

第3節  機関投資家の短期主義志向

1.機関投資家自身による短期主義志向の認識

前節でみたように、機関投資家はほぼ全体として高い売買回転率をもっているこ とが示された。これは、機関投資家が短期主義的な取引を行っていることの端的な 表れであるといえるが、注意すべき点は、このような短期主義的な取引姿勢は機関 投資家自身にも認識されていることである。アンケートの結果はこれを示してい る。図表10は1990年1.月に投資マネージャー400人に郵送で行われたアンケートの 一部である(Shiller〔1991, P.24〕)。(a)の「株式市場はバッド・ニュースに対

して過剰に反応する傾向にある、すなわち、たとえそのバッド・ニュースが将来の 全利益の現在価値にっいてはマイナスにはならない場合であっても、市場は短期的 利益に対するバッド・ニュースに反応して下落すると思いますか」という質問に対 して、そう思うとするマネージャーは85%と圧倒的多数にのぼり、そう思わないと するマネージャーはわずかに7%にすぎない。さらに、(b)の「あなたの売買意思決 定のうちのいくらかは、利益ニュースに対するそのような市場の過剰反応の理論に 基づいていますか」という質問に対しては、しばしばそうであるとするマネー ジヤーは14%、時々そうであるは73%、一度もそうしていないは13%となっている。

したがって、87%の圧倒的多数のマネージャーが少なくともある程度、市場の過剰 反応に対応して売買を行っていることが分かる。

 このような投資マネージャーの短期的な取引姿勢にっいては、これらの外部の投 資マネージャーに運用を委託している年金基金の運用責任者も認識している。図表

10のアンケートのほぼ1年後に行われたと思われるlnstitutional Investor

〔1991〕のアンケートによれば12、年金基金の運用担当役員(pension officer)に 対して「ファンド・マネージャーは過剰なほど短期主義志向になったと思います か」との質問に対し、はいと答えた人は60.1%、いいえは39.9%となっており、6割

の運用責任者がファンド・マネージャーが過剰なほど短期主義になったと考えてい る。さらに、「年金基金は過剰なほど短期主義志向にになったと思いますか」との 質問に対しても、はいと答えた人は56.1%、いいえは43.驕となっており、過半数の 12  1nstitutional Investor〔1991〕のアンケート調査は、年金基金の担当役 員に対して関連する年金基金に関わるテーマについてほぼ毎月行われている。ただ し、調査時期などは詳述されていない。ここで用いたものは1991年3.月号に掲載さ れたものであり、おそらく1990年末に行われたものと思われる。

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