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援助額・重点分野の推移と主要ドナー

ドキュメント内 424_カンボジア本文.PDF (ページ 73-77)

第 3 章 貧困削減に向けた国際協力

3.1. 援助の概況

3.1.1 援助額・重点分野の推移と主要ドナー

援助額の推移を見ると(表

3-1)、カンボジアの発展が海外からの支援に大きく依存してい

ることが伺える。1991年以降、カンボジアの援助総額は、平均して約

3

億ドル規模で推移 し、GNPの

12%程度を占めてきた(表 3-1)。ただし、1999

年におけるカンボジアの

ODA

純受取額は、約

279

百万ドルと

300

百万ドルを割り込んでおり、同年の

GNP

に対して

9%

を占める割合まで低下している。これは、

ODA

純受取額が

200

百万ドル以上となった

1992

年以降、もっとも低い数字となっている73

1991

年と

1999

年の

ODA

純受取額に対する主要ドナーの占める割合の変化は、この間のカ ンボジアに対する援助の移り変わりを示している(表

3-2

および

3-3)。 1991

年においては、

UNHCR

WFP

といった緊急援助を主体とする国際機関の割合が高い。

1999

年になると、

日本、

WB

(IDA)、

ADB

の割合が大きくなっており、ポルポト政権崩壊後の緊急援助から、

長期的な協力関係に基づくカンボジアの社会・経済の基盤づくりに援助の重点が移り変 わってきていることが伺える。日本は、1993年以降、カンボジアに対するトップドナーの 立場を保っている。1999 年においても日本からの拠出がカンボジアの

ODA

純受取額の

18%を占めている。日本以外では、フランス、ドイツ、米国、オーストラリア、スウェー

デンなどが比較的初期の段階から援助を継続している。また、

ODA

の金額には反映されて いないが、カンボジアにおいては

NGO

の支援実績が大きいことに留意しておく必要があ る。

カンボジアの援助受取額のセクター別割合にも、主要ドナーの変遷の結果が表れている(表

3-4)。 1992

年に

56%を占めていた人道援助・緊急支援の割合は、1998

年には

2%台にまで

落ちている。一方、地域・農村開発、開発行政、教育・人的資源開発、保健といった分野 の割合が大きくなっている。カンボジアの貧困層の集中する農村の開発およびポルポト政

73 同年のベトナムのGNPに対するODA純受取額比率は5%、ラオスは21%となっている。

権下で失われた人材の育成は、カンボジアの重要課題であり、こうした課題を反映した数 字であるといえる。

カンボジアに関わる主要な国際機関には、国際通貨基金(IMF)、WB、ADB および

UNDP

などの国連グループがある。いずれの国際機関も「貧困の軽減」をカンボジアの最重要課 題として認識し、そのために必要とされるガバナンスの強化、経済構造改革、社会開発、

社会資本整備、人的資源開発、民間セクター振興など幅広く、包括的な協力を行っている。

このうち、

WB

は後述する

CAS

(Country Assistance Strategy)に基づくプログラムを実施し ている。主なプログラムとしては、国内幹線道路、電力などのインフラ整備や除隊兵士支 援、また、2000 年に過去最大の被害をもたらした洪水対策支援などがあげられる。ADB は

SEDP

などの開発計画作成に深く関わっていると同時に、国内の幹線道路の整備といっ た分野でも大きな貢献をしている。

UNDP

などの国連グループは、保健医療、農村開発、

地雷除去といった分野での貢献が目立つ。

二国間援助では、日本が専門家・青年協力隊派遣、研修員受入などの技術協力とともに、

プノンペンのチュルイ・チョンバー橋(カンボジア日本友好橋)に代表されるインフラ関 連の無償資金協力を中心に支援してきた。

1999

年からは、

1968

年以来供与されていなかっ た有償資金協力も再開されている。日本に次ぐ二国間ドナーであるオーストラリアの援助 は、アジアに集中しており、その中でもカンボジアを含むメコン川流域諸国の位置づけは 大きい。オーストラリアは、AusAID (Australian Agency for International Development)を とおして、人材育成、農業、保健医療分野、司法制度整備などの支援を行っている。米国 の

USAID(United States Agency for International Development)も主要ドナーであるが、 1997

年のラナリット・フンセンの武力衝突以来、カンボジア政府を直接支援せず、

NGO

などを 経由したカンボジア支援を行っている74。これらのドナーのセクター別プログラム実施状 況は、別添

2

にまとめたとおりである。

カンボジアにおける非政府組織(NGO)の活動の開始は早く、公的援助が停止していた

1980

年代から活動を行っている。そのため、カンボジアにおける

NGO

のプレゼンスは非常に 大きく、CG 会合(次節参照)やモニタリング会合にも毎回出席し、公式な提言も発表し ている。

2001

6

月に東京で開催された

CG

会合の資料によると、

NGO

の重点分野はグッ ドガバナンス(Good Governance)人材育成(Human Resource Management)、貧困層支援

(Reaching the Poor)の

3

つの分野にまとめられている75

以降の

3.2

より国際機関、二国間援助機関、NGOのカンボジアに対する貧困削減に向けた 取り組み状況を説明していくこととする。

74 ただし、2001年の6月のCG会合で、HIV/AIDS対策の分野でカンボジア政府と合意に達する見込みである ことを報告している。

75 Medicam, NGO Forum on Cambodia. Cooperation Committee for Cambodia. (2001). NGO Statement to the 2001 Consultative Group Meeting Cambodia

表 3-1  ODA純受取額の推移

(単位:100万ドル)

ODA純受取額合計 DAC諸国 国際機関 金額

(百万ドル)

GNP 金額

(百万ドル)

純 受 取 額 合 計 に 対 す る 割合

金額

(百万ドル)

純 受 取 額 合 計 に 対 す る 割合

1991 90.98 5.15% 49.93 54.88% 41.05 45.12%

1992 205.57 10.27% 95.44 46.43% 110.13 53.57%

1993 305.88 13.69% 196.57 64.26% 109.31 35.74%

1994 326.61 13.56% 180.99 55.41% 143.41 43.91%

1995 555.99 18.93% 341.23 61.37% 214.76 38.63%

1996 421.53 13.41% 252.49 59.90% 169.04 40.10%

1997 333.45 10.97% 228.39 68.49% 105.06 31.51%

1998 337.12 11.85% 230.60 68.40% 106.52 31.60%

1999 278.90 9.04% 167.13 59.92% 111.77 40.08%

[出所] OECD ホームページ(URL: http://www.oecd.org/)の International Development Statistics Online Database から Destination of Official Development Assistance and Official Aid - Disbursementsを用いて作成

表 3-2  ODA純受取額のドナー別推移

(単位:百万ドル)

1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999

(DAC諸国)

Japan 0.48 4.71 61.34 64.52 152.04 71.34 61.63 81.40 50.87

米国 6.00 13.00 29.00 16.00 33.00 28.00 30.00 32.47 14.11

フランス 5.29 8.68 16.75 28.41 53.43 52.10 27.09 21.43 22.10

ドイツ 6.67 10.16 5.47 12.22 19.63 14.17 17.01 17.85 21.62

オーストラリア 4.80 7.71 10.40 14.31 25.83 28.24 23.95 21.91 16.74 スウェーデン 3.82 18.54 11.81 10.08 10.92 15.99 22.98 14.28 7.55

その他 22.87 32.64 61.80 35.45 46.38 42.65 45.73 41.26 34.14

小計 49.93 95.44 196.57 180.99 341.23 252.49 228.39 230.60 167.13

(国際機関)

WB 38.23 24.62 45.60 30.41 19.18 26.78

EU 3.79 15.69 17.01 11.39 33.02 52.58 32.93 32.90 27.49

ADB 6.00 5.98 16.36 45.42 32.06 10.74 29.33 26.16

UNDP 0.34 7.22 17.86 17.81 19.06 18.12 17.54 9.83 7.88

UNHCR 18.96 39.82 26.22 3.59 1.75 0.38 0.41 0.10 0.11

その他 17.96 41.40 42.24 56.03 90.89 20.30 13.03 15.18 23.35

小計 41.05 110.13 109.31 143.41 214.76 169.04 105.06 106.52 111.77

アラブ諸国 2.21

総合計 90.98 205.57 305.88 326.61 555.99 421.53 333.45 337.12 278.90

[出所] OECD ホームページ(URL: http://www.oecd.org/)の International Development Statistics Online Database から Destination of Official Development Assistance and Official Aid – Disbursementsを用いて作成

表 3-3  ODA純受取額のドナー別割合の推移

(単位:%)

1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999

(DAC諸国)

日本 0.53 2.29 20.05 19.75 27.35 16.92 18.48 24.15 18.24

米国 6.59 6.32 9.48 4.90 5.94 6.64 9.00 9.63 5.06 フランス 5.81 4.22 5.48 8.70 9.61 12.36 8.12 6.36 7.92 ドイツ 7.33 4.94 1.79 3.74 3.53 3.36 5.10 5.29 7.75 オーストラリア 5.28 3.75 3.40 4.38 4.65 6.70 7.18 6.50 6.00 スウェーデン 4.20 9.02 3.86 3.09 1.96 3.79 6.89 4.24 2.71

その他 25.14 15.88 20.20 10.85 8.34 10.12 13.71 12.24 12.24

小計 54.88 46.43 64.26 55.41 61.37 59.90 68.49 68.40 59.92

(国際機関)

WB 11.71 4.43 10.82 9.12 5.69 9.60

EU 4.17 7.63 5.56 3.49 5.94 12.47 9.88 9.76 9.86

ADB 0.00 2.92 1.96 5.01 8.17 7.61 3.22 8.70 9.38

UNDP 0.37 3.51 5.84 5.45 3.43 4.30 5.26 2.92 2.83

UNHCR 20.84 19.37 8.57 1.10 0.31 0.09 0.12 0.03 0.04

その他 19.74 20.14 13.81 17.16 16.35 4.82 3.91 4.50 8.37

小計 45.12 53.57 35.74 43.91 38.63 40.10 31.51 31.60 40.08

アラブ諸国 0.68

総合計 100.00 100.00 100.00 100.00 100.00 100.00 100.00 100.00 100.00

[出所] OECD ホームページ(URL: http://www.oecd.org/)の International Development Statistics Online Database から Destination of Official Development Assistance and Official Aid – Disbursementsを用いて作成

表 3-4  援助受取額のセクター別割合の推移(1992-2000)

(単位:%)

セクター 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 (暫定) 経済管理 0.23 16.73 20.44 16.21 14.13 2.92 1.71 3.38 6.26 開発行政 2.42 4.55 7.90 12.51 17.02 20.97 14.65 7.48 6.02 天然資源 0.13 0.38 0.43 0.21 0.65 1.56 0.86 0.84 0.90 教育・人的資源開発 6.30 8.86 8.07 8.25 6.71 12.86 14.42 13.93 8.42 農林・水産 6.75 8.55 6.78 7.14 12.46 4.80 3.08 5.25 9.06 地域・農村開発 14.03 13.53 7.97 13.67 15.07 18.09 15.67 18.70 23.00

産業 0.05 0.00 0.00 0.00 0.12 0.00 0.00 0.00 0.00

エネルギー 0.42 2.33 6.62 7.59 2.66 4.62 7.65 4.88 4.21 国際貿易 0.00 0.00 0.00 0.01 0.03 0.01 0.00 0.34 0.00 国内交易 0.12 0.00 0.08 0.05 0.39 1.98 1.34 0.00 0.38

運輸 3.47 14.02 16.13 15.25 11.63 9.92 11.65 10.39 11.40

コミュニケーション 0.34 0.42 0.58 0.77 4.31 4.46 2.73 0.58 0.08 社会開発 2.23 4.91 7.57 8.02 4.02 5.02 8.20 7.54 7.81

保健 6.19 8.97 5.81 4.85 8.43 8.53 15.59 22.03 15.02

防災 0.94 0.07 0.00 0.00 0.00 0.04 0.03 0.06 1.28

人道援助・緊急支援 56.38 16.68 11.62 5.47 2.37 4.22 2.42 4.60 6.16

合計 100.00 100.00 100.00 100.00 100.00 100.00 100.00 100.00 100.00

[出所] CRDB/CDC (2001), Development Cooperation Report, pp.11より作成

[] CRDB集計によるNGOの援助額も含む。また、本資料作成時には、2000年の援助実績をCRDB 未提出のド ナーがいるため、2000年度の数値は暫定のものを用いている。

ドキュメント内 424_カンボジア本文.PDF (ページ 73-77)