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ドナー間の調整

ドキュメント内 424_カンボジア本文.PDF (ページ 77-80)

第 3 章 貧困削減に向けた国際協力

3.1. 援助の概況

3.1.2 ドナー間の調整

して、地方自治体の能力強化による貧困削減プログラムである

Seila

プログラムなどの事例 が取り上げられている。

Seila

プログラムは、カンボジア政府が主体となって推進している プログラムで、UNDP、オランダ、EU、スウェーデン、UNCDF、英国、オーストラリア、

WB、UNHCR

、WFP、IFADおよび

NGO

の支援により実施されている。

(2) CRDB

1995

年に援助受入の窓口を統一して優先付けを行う援助調整・運営機関として、カンボジ ア開発評議会(CDC: Council for the Development Cambodia)の下に、カンボジア復興開発 委員会(

CRDB: Cambodian Rehabilitation and Development Board

)が設立されている。

CRDB

には、各省庁が海外からの支援を求めて形成したプロジェクトを調整・管理し、開発計画 に描かれた目標を達成するため、経済・財政省や計画省をはじめとする政府機関と援助機 関の協議を主導していく権限が認められている。

しかしながら、現在の

CRDB

は、期待された機能を十分に果たし切れていないという指摘 もある。まず、CRDB の設立が各省の設立よりも後であったことから、援助機関や

NGO

は独自に各省と直接連絡を取りながらプロジェクトを準備しており、CRDBは期待されて いる調整役の機能を果たすまでには至っていない。また、人材面での問題も

CRDB

の足か せになっている。CRDBの職員は、経済財政省、計画省などからの出向者で占められてい る。CRDBは、給与が少なく、業務量が多いことから、カンボジアの公務員にとって死活 問題となる副業ができないという状況となっている。このため、モラルに問題がある職員 は職場に居着かず元の所属機関に戻ってしまい、結果として人員が更に不足するという悪 循環に陥っている。貧困削減を効果的に実現するためには、包括的な取り組みが必要とさ れるため、CRDB の機能強化は重要な課題であると考えられる78

UNDP

では

CRDB

の組織能力強化プログラム79を実施しており、専門家の派遣をとおして、

プロジェクトのモニタリング・評価などの仕組みの整備を支援し、CRDBの調整・管理能 力向上に貢献している。

78 CRDBの抱える問題に関しては、外務省経済協力局評価室. (2000).  「カンボディア援助実施体制評価調

査報告書」に記載されている議論を参照。同報告書では、現地調査をとおして見つけだされた、カンボジア における援助実施体制の問題点について触れている。また、World Bank. (2000). Country Assistance Evaluation.

P.9 にも同様の指摘がなされており、WB としても、ドナー間の協力関係づくりに力を入れていく意向であ ると述べられている。

79 UNDP/UNOPS Project CMB/96/005  Programme Support for Aid Coordination and Managementのこと。このプロ グラムの一貫として、プロジェクトのモニタリング・評価に関わるハンドブックなどが作成されている。

図 3-1  CRDBの位置づけと案件実施・モニタリングに際しての情報の流れ

[出所] CRDB/CDC. (1999). Handbook on the Monitoring and Evaluation of Development Projects in Cambodia. p.25

記号 情報の流れ

フィードバック・支援 コンサルテーション

CDC/CRDB

プロジェクト進捗・財政支出状況報告書を 用い、セクター・ドナー別の成果をまとめ た 「 開 発 協 力 報 告 書(DCR: Development

Cooperation Report)」を作成

経済・財政省

財政支出状況報告書を用い、半年ごとに財 政及びプロジェクト毎の支出状況報告書 を作成

ドナー

関係省庁

1. プロジェクト進捗状況報告書を準備し、計 画省やCRDBに半年ごとに提出

2. 財政及びプロジェクト支出に関する報告 書を作成し、経済・財務省、計画省、CRDB に半年ごとに提出

プロジェクト実施ユニット(PIU)

1. プロジェクト実施状況のモニタリングお よび評価を担当

2. 標準フォーマットに従い、プロジェクトの 進捗状況に関するモニタリング・評価報告 書を、半年ごとに作成。関係省、計画省、

経済財政省及びCRDBに提出

3. 標準フォーマットを用い、半年毎に財政支 出状況に関するモニタリング・評価報告書 を作成。関係省、計画省、経済財政省及び

CRDBに提出

計画省

各セクターより提出された報告書を用い て公共投資計画(PIP: Public Investement

Program)の成果を分析し、次年度の PIP

作成に活用

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