第 2 章 SCM 戦略構築の理論体系に関する研究
2.3 SCM 戦略論の展開
2.3.1 SCM 戦略論の展開に際して
SCM
戦略の展開については既に述べたが, 次の基本三条件を前提としている。即ち, SCM の定義, SCMとロジスティクス, 並びに経営戦略ないしは経営計画におけるSCM
戦略ない26
し計画の位置付けである。2.3.1.1
本研究におけるSCM
の定義既に定義の項目で述べたが, 代表的な定義としては下記三定義が存在する。
①CSCMP(Council of Supply Chain Management, Professionals)の供給連鎖管理の定義(2011):
供給連鎖管理は, 資源の探索及び調達, 転換(生産), 並びに全てのロジスティクス管理 活動を含む計画と管理の全活動を包含するものである。重要な事は, それは又, 供給者, 仲介者, 3PLサービス供与者, 及び顧客から成るチャネル・パートナーとの調整と協力を 含む。本質的に, 供給連鎖管理は企業内及び企業を超えて需給管理を統合する事である。
②APICS(American Production and Information Control Society) 辞書(1997):
供給者‐使用企業間を超えて結び付け, 原材料の調達から終局的消費に至るまでのプロ セス;価値連鎖の提供を可能にする企業内外の機能である。
③SCC(Supply Chain Council)供給連鎖協議会(1997):
供給連鎖は供給者から顧客に至る製品或はサービスを生産し配達する業務を包括・四つの 基本的なプロセス-計画, 探索, 生産, 配達-・供給と需要の管理・全チャネルに及ぶ機 能である。
④本研究の定義:
「供給連鎖に関する戦略的な方法論である」としている。従って, ロジスティクスとの関 連についても上記定義を前提に論を進めている。但し, 補足説明としては下記の通りであ る(図
2.23)。
・内容:企業を超えて需給管理を統合する事である。需給管理とは, 需給管理に関わる一 切の資源を云い, 具体的には, 有形・無形の財と用役並びに人, 物, 金, 情報, サービス 等を指す。
・管理領域:川上から川下までの全てのチャネルで, フォワードロジスティクスとリバー スロジスティクスから成っている。
・活動要素と管理レベル:ロジスティクスの本機能と支援機能, 及び其の管理レベルをベ ースに活動領域と対応付ける。
図
2.23 SCM
とは27 2.3.1.2 SCM
とロジスティクスについてのスタンスSCM
の機能並びに領域はロジスティクスであり, 前者は荷役・包装・輸送・保管・情報・流通加工等から構成されており, 後者は需給チャネルの全てを含むものである。更に, 発 展形態は, ロジスティクスの発展形態である, 企業内・企業間・企業群間・社会・国家・
グローバルと同一である。
一方, 階層別管理については, ロジ戦略・ロジ計画・ロジ管理・ロジ業務に対して供給 連鎖管理は, 戦略部分に対応しているものと考える。故に, SCMとはロジスティクスを需 給連鎖の軸とした戦略的思考であるものと云える。従って, SCMとロジスティクスの関係 を具体的に図示したのが図
2.24
と図2.25
である。つまり, SCMはロジスティクスの戦略 部門に焦点を当て, 供給連鎖全体のネットワークの革新的な合理化を配慮した方法論で あり, 供給連鎖の視点か需給連鎖の視点かは, 供給者又は最終消費者を前提にした考え であれば, 何れの立場にても問題は無いものと思われる。従来, JIT方式, カンバン方式, パイプライン方式, リーンロジスティクス方式等種々の考えが輩出しているが, これら 諸方式は方法論である。従って, 実態論は既存の方法論ないしは改良型方法論に依存して いる。SCM もこの範疇に属するものである。結論的には, SCM は戦略的方法論であり, 実 態はロジスティクスであるものと云う事が出来る。ここで, SCMの重要性を否定している ものではない事を付言しておく。図
2.24 ロジスティクスの鳥瞰図
28
図
2.25 SCM
とロジスティクスの鳥瞰図出典:陳玉燕, 唐澤豊, 若林敬造, 井上敬介, 生島義英, 豊谷純, SCM戦略論の基本的研究と戦略フ レームワークの提案, 日本ロジスティクスシステム学会誌, Vol.14, No.1, p.65, 2014年