第 6 章 共同化発展形態に関する研究
6.3 共同化発展プロセスに関する研究
6.3.3 調査分析概要
本研究は
,
唐澤が中心となり1980
年代に着手し, 1990
年初頭に第1
回アンケート調査を 実施し,
共同化の実態を明らかにすると共に提案した共同化発展モデル(
仮説)
を検証し,
更に1995
年の第2
回調査で発展モデルを再検証し, 2000
年及び2004
年(
中間調査)
に更な る研究を重ねた。途中,
第3
回調査から,
発展の不規則性発散現象が明らかになり, 2003
~
2004
年における中間調査(
第4
回調査)
では,
時代背景を配慮し,
新たに3PL
の調査項目を設け
, 3PL
関連企業を調査対象に加え,
更なる実態を解析すべく2009
年には3PL
企業の共同化発展について解析した。具体的には
,
国交省の委嘱事業として(
社)
全日本トラック 協会が受託し,
富士通総研(FRI)
と日本3PL
協会が2009
年1
月と2
月に調査を実施した。調査はインタビューを含め主としてアンケート調査に依って行われた
(
図6.3)
。186
図6.3
調査概要出典:陳玉燕
,
相浦宣徳,
鈴木邦成,
唐澤豊,
佐藤勝尚,
日本における共同化発展プロセス に関する基本的研究,
日本ロジスティクスシステム学会誌, Vol.13, No.1, p.7, 2013
年9
月6.3.3.2
共同化検証に関する基本提案本項では
,
荷主・3PL
両側面より共同化について分析する事を主眼としている。そこで,
本研究ではロジスティクス共同化理論の一側面を確立すると共にその検証を一義的に考 え,
第二義的には共同化特性,
発展レベルを明かにすることを狙ったものである。すなわ ち,
荷主サイドを主とした分析の流れと3PL
サイドの分析の流れの2
方向より分析し,
共 同化推進の主体性と発展方向について二側面から分析する事に依って実態を把握すると 共に,
提案した発展プロセスのパターンを明らかにする事を狙ったものである(
図6.4)
。尚,
図中左欄に図示されている荷主共同化分析については,
陳玉燕が調査のメンバーとして,
従事し,
唐澤豊,
佐藤勝尚,
「ロジスティクス共同化類型の発展に関する基本的研究」,
日本ロジスティクスシステム 学会誌Vol.8, No.1 , p.p.49
~63, 2008
年11
月,
右欄につい ては,
鈴木邦成,
唐澤豊,
佐藤勝尚,
「日本における3PL
の発展プロセスに関する研究」,
日 本ロジスティクスシステム学会誌, Vol.12, No.1, p.p.5
~31, 2012
年11
月に掲載されている。最終的に論文の総括として
,
陳玉燕,
相浦宣徳,
鈴木邦成,
唐澤豊,
佐藤勝尚,
「日本に おける共同化発展プロセスに関する基本的研究」,
日本ロジスティクスシステム学会誌,
Vol.13, No.1, p.p.5
~42, 2013
年9
月に掲載している。187
図6.4
分析概要出典:陳玉燕
,
相浦宣徳,
鈴木邦成,
唐澤豊,
佐藤勝尚,
日本における共同化発展プロセス に関する基本的研究,
日本ロジスティクスシステム学会誌, Vol.13, No.1, p.8, 2013
年9
月6.3.4
共同化検証に関連する基本提案基本提案とは
,
発展モデルを構築した背景の理論と体系の提案,
次いで,
発展プロセス の調査に必要な発展体系化と発展一般モデルの提案とその理論的背景の明示,
及び仮説 の提案等から成っている。提案
1.:
発展形態の基本要素発展形態の基本要素の選択は第一に共同化に関する基本要素と其の中核要素を総合的 に図表化した
(
図6.5)
。次いで,
荷主主体の要素と3PL
主体の要素を抽出し3PL
類型パタ ーンの基本要素を作成し(図6.6
及び図6.7
)。更にこれを簡略化し,
荷主スタンスの類型 と3PL
スタンスの類型の基本6
類型を作成し(
図6.8
及び図6.9),
これを発展形態モデル策 定の基本要素とした。共同化発展モデルの初期モデルを示すと図
6.10
の通りである。初期モデルでは,
発展形 態のべースを発展の推進類型を示す内容主体,
水平型か垂直型かを示すチャネル主体,
並 びにロジスティクスの機能を軸とした機能主体を主たる要素と捉えたものである。機能は,
基本機能と支援機能を基本とし,
前者は,
保管,
在庫,
輸送及び配送,
後者は流通加工,
情報,
事務処理,
サ-ビス,
並びにリバースロジスティクスよりなっている。しかしなが ら,
本要素は,
業務発展と発展類型・チャネル類型との組み合わせに依る発展の説明が難 しい為2004
年調査以降は破棄し,
現在の要素を採用している。188
図
6.5
共同類型の基本要素出典:鈴木邦成
,
唐澤豊,
佐藤勝尚,
日本における3PL
発展プロセスに関する研究,
日本ロ ジスティクスシステム学会誌, Vol.9, No.1, p.7, 2012
年11
月図
6.6
荷主主体共同化類型パターンの基本要素図
6.7 3PL
主体共同化類型パターンの基本要素出典:陳玉燕
,
相浦宣徳,
鈴木邦成,
唐澤豊,
佐藤勝尚,
日本における共同化発展プロセス に関する基本的研究,
日本ロジスティクスシステム学会誌, Vol.13, No.1, p.15, 2013
年9
月提案
2.:
初期発展モデルの一般型の提案~①発展モデルのベースはチャンネル特性で水平型
,
垂直型及び統合型の3
型とした。水平 型とは流通チャネルの水平方向に共同化を発展させるものであり,
具体的には,
メーカー,
問屋,
小売業がそれぞれ水平方向に共同化する事を意味している。一方,
垂直型とはSCM
に代表されるように流通チャネルの垂直的な共同化を推進する事を指す。メーカー・問屋・小売
,
メーカー・問屋,
問屋・小売等の垂直的な共同化を指している。当該類型を軸と して機能特性及び業種特性を加え最終的にレベル1
からレベル4
に区分し下位から上位へ と発展するとするモデルを提案した(図6.11
)。189
図
6.8
荷主主体共同化類型パターンの基本要素図
6.9 PL
発展形態モデル策定の基本要素図
6.10
共同化類型パターン基本要素~初期モデル出典:唐澤豊
,
佐藤勝尚,
ジスティクス共同化類型の発展に関する基本的研究,
日本ロジ スティクスシステム学会誌Vol.8, No.1, p.52, 2008
年11
月図
6.11
共同化類型の発展モデル-1
出典:唐澤豊
,
佐藤勝尚,
ジスティクス共同化類型の発展に関する基本的研究,
日本ロジ スティクスシステム学会誌Vol.8, No.1, p.56, 2008
年11
月初期新発展モデルの一般型の提案~②
新発展モデルは図
6.12
の通りである。モデルの基本要素は機能特性,
業種特性,
チャネ ル特性の順序である。1990
年モデルでは従来の規則性が崩れ,
提案モデル自体の有効性を190
欠いた。
2000
年及び2003
年モデルでは基本機能特性を主要素にし,
業種特性,
チャネル 特性で補充し,
後述の様に検証結果は妥当であったが, 3PL
の共同化を配慮して,
提案3.
のモデルに改めた。
図
6.12
共同化類型の発展モデル-2
提案
3.:
発展モデルの一般型の提案発展形態の基本要素と従来の荷主主体の調査に於いて作成した発展モデルをベースに
,
作成した3PL
発展形態モデルは8
モデルであるが,
その代表を示したのが図6.13
である。3PL
企業及び荷主企業の共同化対象は“
物の流れ”
であり,
発展形態と云う側面ではほぼ一 致している。荷主スタンスと3PL
スタンスは基本的に同一要素である。従って,
業態類型 等呼称の違いはあるが,
内容は同一であり,
調査結果には影響はない。当該モデルを対象 に荷主及び3PL
業の2
側面から我国共同化の発展を検証する。発展モデル構築に当っては
,
推進主体を自社単独で推進する自社単一型及び推進主体 を同業他社と共同して推進する他社共同拡大型,
つまり,
④推進主体類型と水平的発展類 型をベースに①委託・受託類型,
②流通類型,
③発展類型,
⑤産業類型,
及び⑥業態類型並 びに業務類型(L1.
~LⅣ.)
を垂直的発展類型(
垂直型:SCM)
とした。具体的には,
横軸に,
現 行の荷主のみでビジネスを拡大する自社単一拡大型,
自社のみで荷主の共同化を図りビ ジネスを拡大する自社単一共同型,
及び同業他社と共同してビジネスを拡大する他社共 同拡大型をとり,
縦軸に,
推進主体類型と水平的発展類型及び業務類型をとって共同化発 展の基本としている。本研究では,
この様にして,
発展形態モデル一般型を作成し,
調査 データに基づき検証する(
図6.13)
。本項では,
発展モデルの一般型を示すにとどめる。尚,
図中L1
からLⅣ
は3PL
関連項目である為検討外とする。191
図
6.13
発展形態モデル一般型出典:陳玉燕
,
相浦宣徳,
鈴木邦成,
唐澤豊,
佐藤勝尚,
日本における共同化発展プロセス に関する基本的研究,
日本ロジスティクスシステム学会誌, Vol.13, No.1, p.18, 2013
年9
月提案
4.
仮説の設定仮説の設定は
2003
~4
年の第4
回までの調査と2009
年に実施した第5
回調査では,
基本 的には相異は無いが若干異なっている点がある。つまり,
前者で設定した仮説項目は5
項 目であるのに対して,
後者の項目は比較対象外の仮説を除いても7
項目ある。主たる相違 は,
前者が荷主主体の調査であったが,
後者は荷主に代わる或は荷主業務を代行する3PL
業界が調査対象となったからである(
表6.6)
。
荷主発展モデルの仮説仮説
I.
日本型ビジネスはビジネス系列主体であり,
従って同業種垂直型共同システムを基 本とする。仮説
Ⅱ.
ハンドリング特性,
保管特性,
集配荷先特性などからして,
共同化は同業種が中軸 となって推進され,
次いで異業種に移行する。仮説
Ⅲ.
共同化は基本機能の共同化を中心として発展し,
サブとして支援機能がこれを追 い,
最終的に統合機能へと発展する。仮説
Ⅳ.
同業種・垂直・基本機能・メーカー・問屋・小売を主体として発展し,
異業種・水 平・基本機能・単一業界はこれに続く。仮説
Ⅴ.
発展モデルはレベル1
から4
までとし,
統合型・水平・垂直型を中心に同業種型を 下位レベルに異業種統合型へと発展する。 3PL
発展モデルの仮説以下に設定した
7
仮説について調査に依り検証する。仮説
Ⅰ.
推進特性 :自社単一専業型,
自社単一共同型,
他社共同拡大型へと発展する。仮説
Ⅱ.
単複機能特性:単一機能をベースに複数機能型へと発展する。仮説
Ⅲ.
チャネル特性:水平型から垂直型(SCM
型)
へと発展する。192
仮説
Ⅳ.
機能・チャネ ル特性:基本的に単一機能垂直型から複合機能垂直型へ発展する。仮説
Ⅴ.
発展・進出形態・チャネル・業務特性: 共同化・2
段階SCM
型・3
段階SCM
型 の発展をベースに業務・管理・計画・コンサル(
戦略)
支援へと発展する。仮説
Ⅵ.
機能・チャネ ル・業態特性:同業種一機能垂直型から同業種複合機能垂直型発展 し,
更に異業種単一機能水平型,
異業種複合機能水平型へと発展する。仮説
Ⅶ:
貨物拡大特性: 既存類似貨物から新規貨物分野へと拡大発展を図る。全調査の仮説と検討項目については表
6.6
に要約してあるので参照されたい。図中調査 対象年の○
印は共通データにて分析出来る事を意味する。×
印は分析不可で,
従って比較検 討は出来ない。表
6.6
仮説の総括図~90
年・95
年・00
年・04
年・09
年調査出典:陳玉燕
,
相浦宣徳,
鈴木邦成,
唐澤豊,
佐藤勝尚,
日本における共同化発展プロセス に関する基本的研究,
日本ロジスティクスシステム学会誌, Vol.13, No.1, p.19, 2013
年9
月6.3.5
共同化実施の総括本項は
,
機能を中心とした共同化実施実態を把握する事に依って,
わが国に於ける共同化 の実態を明らかにする事を目的とした調査の総括である。6.3.5.1.
共同合理化ロジスティクス特性6.3.5.1.1
機能特性:①主要機能推進特性
:
保管・配送・輸送。「Storage and Move
」の原則の実施。保管を軸とし て配送及び集荷中心の輸送を主体として共同化は推進される。但し,
荷役・運搬は保管機 能維持とする観点からコスト上保管機能に含まれる(
図6.14)
。
ドキュメント内
並びにゾーン配送単価の評価に関する研究
(ページ 192-200)